【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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119話

「さぁ翔けろフライゴン!!『アイアンテール』!!」

 

 りゅうのまいによって圧倒的な素早さと火力を手に入れたフライゴンが、独特の羽音を響かせながらすなあらしの中を駆け回る。ただでさえすなあらしで視界が悪いのに、元々すなあらしの中で飛ぶことが得意なフライゴンがりゅうのまいで素早さを底上げしているのだから目で追いかけるだけでも至難の業だ。幸い、先程も述べている通り、フライゴンの羽ばたく音はかなり特徴的な音なので、聴覚に頼ることでまだ反応は可能だし、エルレイドに至ってはエスパータイプ特有の読心もあるため、まだなんとかなる……と思う。ただ一番の問題はそこじゃない。

 

「エルレイド!!右!!」

 

 ボクの視界とエルレイドの読心によってどこからフライゴンが来るかが分かったため、右に向かってかわらわりを放つエルレイド。想像通り、エルレイドの右側から襲い掛かって来る鈍色の尻尾は、その技に対して反撃をしようと構えたエルレイドがしっかりと受け止めた。しかし、受け止めたはずの尻尾が更に押し込まれる。

 

「エルッ!?」

「マホイップ!!もう一回援護!!」

 

 りゅうのまいで強化されすぎて受け止めることが出来ず、再び飛ばされそうになるエルレイドの背中を、マホイップがクリームで支えて耐えられるように援護をする。

 

(やっぱり火力が段違いだ……)

 

 先ほど空中で受け止めた時と違い、しっかりと腰を落として受け止めているのにまるで打ち勝てる気がしない。自分が得意なかくとう技を使い、相手は得意なドラゴン技を使っていないのにもかかわらずこの差だ。恐らく素のステータスなら、ジム用に調整されているフライゴンには絶対に勝っているという自負はある。けど、それ以上にりゅうのまいによって強化されている振れ幅がでかすぎる。マホイップとの2人がかりでようやく受け止めることが出来る所を見れば、傍から見てもその火力はよくわかるだろう。そして、忘れてはいけないのがこれは2対2のダブルバトルだという事。相手はフライゴンだけではない。

 

「そっちばかりに注視していいのか?ギガイアス!!『ストーンエッジ』!!」

 

 フライゴンの火力は確かに放っておくことはできないが、かといって彼ばかりに目を向けていると、もう1体への注意が散漫になってしまう。今も、フライゴンからの攻撃を止めることに集中しすぎて、ギガイアスから放たれたストーンエッジを避けることが出来ずに2体そろって吹き飛ばされてしまう。

 

「2人とも、大丈夫!?」

「エルッ!!」

「マホッ!!」

 

 ボクの呼びかけに対して、クリームの中から這い出てきながら答える2人の姿にほっとする。またもやマホイップがクッションを用意して受け止めてくれたみたいだ。

 

(マホイップのおかげで何とか致命傷だけは避けている……けど、あのフライゴンの火力をどうにかしないと……)

 

 再び上昇して、すなあらしのなかに舞うフライゴン。あそこまで届く技は、こちらの中ではマジカルリーフ、マジカルシャイン、マジカルフレイム、サイコカッターの4つ。だけど、現状ここからあのフライゴンを狙ったところでギガイアスに邪魔をされるだろうし、例えされなくても、すなあらしの中で軽減された攻撃ではアイアンテールで消されてしまうだろう。ならば先にギガイアスを落とすべきなんだろうけど、耐久力にかなりの自信があるギガイアスを、フライゴンに邪魔されないうちに倒し切るのは至難の業だ。

 

 ギガイアスの弱点としては、物理攻撃よりも特殊攻撃にそこそこ弱いという点が挙げられるけど、それでも普通のポケモンに比べると十分な耐久があるし、そもそもいわタイプは天候がすなあらしの時に、その砂を自身の体にまとわせることで特殊攻撃に対する耐性を得ることが出来る。つまり、すなあらしが吹き荒れているこの状況では、ギガイアスは物理にも特殊にも高い耐性を手に入れている。こうなってしまうと、フライゴンに邪魔される以前にそもそも倒すのがかなり困難になってしまう。

 

 どちらかに攻撃を集中させないと倒せないのに、それすらも難しいという最悪の状態。

 

 さっきから力比べをするたびに負けていることからわかる通り、現状のエルレイドとマホイップでは火力が足りていないのは自明の理。

 

 すなあらしの中、空を制圧するフライゴンと、地面で要塞化するギガイアス。天候を利用したキバナさんらしい磐石な構え。

 

(だけど予想はしてた!だから対処法もある!そのためのマホイップなんだから!!)

 

「マホイップ!エルレイドの背中に乗って!!」

「マホッ!!」

 

 ボクの指示を聞いてすぐさまエルレイドにおんぶして貰うマホイップ。最初に地面に着地する時とおなじ格好をとった2人は、そのままフィールドを走り始める。

 

「さぁ何を見せてくれるんだ?」

「この2人だからできる楽しい戦法です!!エルレイド!!『かげぶんしん』!!」

 

 マホイップを背負ったままかげぶんしんを行ったエルレイドは、分身たちと一緒にストーンエッジの森を駆け回る。辺り一面を飛び回るその影に、ギガイアスもフライゴンも、どれが本体なのかを見失ってしまい、辺りをキョロキョロし始める。

 

「数で撹乱か?確かに面白い図だが、そんなんじゃあオレ様は止められねぇぞ!!『じしん』!!」

 

 どれが本物か分からないなら全部潰せばいい。そんなキバナさんらしい荒々しい指示に従うフライゴンとギガイアスによって、再び地面が大振動を起こす。

 

 しかし、今のエルレイドはストーンエッジを利用して空中を跳ね回っている。勿論地面に立っているのが1人もいないという訳ではないので、この技で消えてしまった分身は相応に存在する。けど、空中にいる分身の方が数が多いので、ほとんどの分身が攻撃を避けることに成功していた。

 

「さぁ、落ちてくるぞ!!」

「っ!?」

 

 だが、キバナさんの狙いはそこじゃない。飛び回っているエルレイドには当たらないと思っていたけど、このじしんによって乱立していたストーンエッジが次々と崩壊していき、割れた岩が落ちてくる。元々エルレイドたちよりもかなり高くそびえ立っていたストーンエッジが崩れればどうなるか。答えは、岩雪崩となって落ちてくる、だ。

 

「さらに上に飛んで!!」

 

 岩に押しつぶされないように、落ちてくる岩すらも足場として上に駆け上がるエルレイドたち。すなあらしのせいで視界が悪く、スリップダメージも痛い中、それでも駆け抜けたエルレイドたちは、その数をさらに半分ほど減らして、ようやくストーンエッジよりも高い所へと躍り出る。代償となった分身は確かに多いけど、これでもう巻き込まれない。

 

(ギガイアスだって危ないだろうに、本当に無茶苦茶するね……)

 

 じしんという技も、今回の岩の雨も、どちらも味方を巻き込む技だ。空を飛んでいるフライゴンはともかく、地面にどっしりと構えるギガイアスには全部当たってしまう。一体どうやって……と思いながらちらっとギガイアスの方を見てみると、地面に体をめり込ませ、できる限り体を小さくしながら踏ん張っていた。

 

(気合で耐えてるの!?逞しすぎない!?いや、ギガイアスの硬さだからできるのかな?)

 

 とにかく、これでギガイアスに対してダメージが入っていない事が分かった以上、相手の自滅も狙えないので避けることに集中するしかない。なぜなら、今こちらはじしんと岩石落下のせいで空中にいるから。

 

「そこを撃ち落とすぜ!!フライゴン!『りゅうのはどう』!!ギガイアス!!『ロックブラスト』!!」

「マホイップ!!『マジカルシャイン』!!エルレイドは『かわらわり』!!」

 

 空中にいるということはそれだけ動きを制限されるという事。むしろ、じしんは飛んで避けざるを得ない技だからこそ、相手を空中に誘導しての攻撃がよく刺さる。かげぶんしんのおかげでまだどれが本体なのかがばれていないのが幸いだったけど、ならばとキバナさんは遠距離技を薙ぎ払うように放つことによって本体をあぶりだそうとしてくる。

 

 全体にまばらにしたおかげで威力こそ下がってはいるものの、それでも貰ってしまえば痛いことに変わりはない。飛んできた技を受け止めるべく、2人そろって反撃の技をすかさず発射。竜の力は妖精が止め、岩石はかくとう技で叩き割る。相性の関係でまだ止めやすかったのと、フライゴンが強化されている物理技で攻撃しなかったことが幸いし、なんとかすべての攻撃を防ぐことには成功したものの、今の攻撃で分身がすべて消えてしまい本体があらわになる。

 

 空中に姿を隠すこともなく漂っていれば、相手にとっては当然格好の的だ。そして運が悪いことに、そんな相手を刈るためにもってこいな敵が空にいる。

 

「フライゴン!!今度こそ『アイアンテール』で叩き潰せ!!」

 

 さっきと同じ状況で、しかし度重なるじしんといわなだれによって地面にクッションとなるクリームがない。りゅうのまいで素早さも上がっているため、真正面からくるフライゴンに対しては、後ろに背負われているマホイップの技も間に合わない。

 

「エルレイド!『かわらわり』!!」

 

 受け止められるのはエルレイドのみ。なのでまたもやアイアンテールをかわらわりで受け止める構図となる。

 

「おいおい、またそのパターンか?受け止められないのはよく知っているだろ?」

 

 もう見た光景がまた繰り返されることに、若干呆れたような声を出しながらこちらを見てくるキバナさん。その目にはちょっとの失望の色を浮かべており、とりあえずこのままエルレイドを倒してしまうかという考えが見て取れる。

 

「これならまだダンデが推薦していたやつらの方が骨があったぜ?……まぁいい。フライゴン!決めな!!」

 

 その言葉を実現しようと、フライゴンがアイアンテールに目一杯力を籠めようとして……

 

「エルッ!!」

「フリャッ!?」

「……は?」

 

 フライゴンの尻尾が勢いよく後ろに弾かれる。

 

 まさか弾かれると思っていなかったキバナさんとフライゴンの表情が驚愕に染まったのを確認したボクは思わずニヤリとし、そのまま反撃の一手をエルレイドに伝える。

 

「エルレイド!!『インファイト』!!」

「エルルッ!!」

 

 両こぶしに全力を籠め、隙だらけのフライゴンに対してラッシュを叩き込むエルレイド。今までしてやられたことによってたまった鬱憤を晴らさんと、雨のように拳を振り続けたエルレイドは、先ほどアイアンテールで地面にたたきつけられた分のお返しと言わんばかりに、最後の一撃を振り下ろしてフライゴンを地面に叩き落す。

 

「『りゅうのまい』で強化された技を打ち返しやがった……?だがどうして……いや、まさか!!」

 

 キバナさんが答えに辿り着いたところで、エルレイドが少し得意げに()()()()()()()()()()()を見せてくる。

 

「『デコレーション』か!!」

「そういう事です!!」

 

 デコレーション。

 

 マホイップが覚えることのできるダブル専用技。その効果は、自分が選んだ相手に対して、自身のアメざいくやクリームを飾りつけしてあげることで、攻撃と特攻をぐーんと上げることのできる補助技だ。かげぶんしんで攪乱しながら飛んでいる間に、マホイップがエルレイドのためにこっそりと準備しておいたもの。

 

 これがりゅうのまいで火力が上がっているフライゴンに対する対抗策。

 

 上がった素早さはかげぶんしんでいなし、あがった攻撃に対してはこちらも攻撃を上げる。これで対処ができるはずだ。

 

「成程……前言撤回だ。やっぱりお前は面白れぇな!!」

「そう言ってもらえてよかったです!!エルレイド!!追撃!!」

「させねぇよ!!ギガイアス!!『ロックブラスト』!!」

 

 地面に落ちて大ダメージを負っているフライゴンに追撃するべく、地面に着地したと同時に前に走るエルレイド。度重なるじしんによってストーンエッジも崩されており、視界も大分開けたのでのびのびと走り出すエルレイドに対して、接近を少しでも遅らせようと牽制技を放ってくるギガイアス。しかし、デコレーションによって攻撃力の上がった今のエルレイドに対して、この程度の岩はなんにも怖くない。

 

「『かわらわり』で打ち壊しながらつき進め!!」

 

 両手の手刀で、まるで豆腐を切るようにスパスパと岩を切り裂きながら直進するエルレイド。その姿を見てギガイアスも攻め方を変える。

 

 崩れて視界が開けたからと言って、まだ崩れきってはいないのもある岩柱にロックブラストを跳弾させて、今度はエルレイドの側面から岩をぶつけようと頑張る、けど、エルレイドの死角からの攻撃はマホイップがクリームを出して受けとめていた。

 

 攻めはエルレイドが、守りはマホイップが担う完璧な陣形。

 

 いくらデコレーションで強化されているとはいえ、インファイトを行っている以上防御面はさらに弱くなってしまっている。そんなエルレイドをしっかりと援護するマホイップの姿には頭が上がらない。

 

 気づけばエルレイドがもうギガイアスの目と鼻の先まで距離を詰めていた。

 

「エルレイド!『インファイト』!!」

 

 再び構えるは先ほどフライゴンを落とした最強のかくとう技。

 これが当たれば、さすがのギガイアスもただでは済まないはず。

 

「フライゴン!!意地を見せろ!!『りゅうのはどう』!!」

 

 未だにダメージのせいで思うように動けないフライゴンが、それでもギガイアスを守るためにりゅうのはどうを発射。またマホイップのマジカルシャインで撃ち落とそうと考えたものの、今回は直接エルレイドを狙ったわけではなく、エルレイドの横の地面に向かって放たれる。結果、その場で爆発が巻き起こり、岩の破片が飛び散って礫となり襲い掛かる。

 

 ダメージを受けるほどではないにしろ、エルレイドの動きが少し緩む。

 

「ギガイアス!!『じしん』!!」

「エルレイド!!バック!!」

 

 その隙を逃さずにギガイアスも体重を使って大地を揺るがす。

 

 もう少しで手が届きそうだったけど、攻撃をすれば間違いなくこのじしんで此方も大ダメージを受けてしまうので深追いはやめて後ろに下がる。

 

「たった一撃で形勢逆転かよ。末恐ろしいな」

「キバナさんと戦うことを考えてこちらも準備してますからね」

 

 インファイトのダメージからようやく立ち直って飛び上がったフライゴンを確認しながら言葉をこぼすキバナさん。こっちはキバナさんに勝つために、マホイップの戦い方をいろいろ考えたのだから、むしろ通じてもらわなくては困る。そして、実は今の状況はキバナさんが思っているほどこちらが有利というわけでもない。というのも、インファイトのデメリットにより、エルレイドが動けば動くほどこちらの防御が下がってしまうからだ。りゅうのまいで強化されたフライゴンと力比べはできる。しかし、万が一攻撃を喰らおうものなら、おそらくこちらも一撃で沈む。そうなれば、マホイップには単体で覆す力はないので今度はこちらが一気に崩される。すなあらしにさらされている時間も考えれば、アイアンテールとの打ち合いも合わせてエルレイドの体力もかなり削られているとみていい。

 

(フライゴンが落ちるのが先か、エルレイドが落ちるのが先か!!)

 

 少なくとも、この2対2の決着はもうすぐ着くことになるだろう。

 

「エルレイド!!『かげぶんしん』!!マホイップは『マジカルリーフ』!!」

「フライゴン!!もっと舞え!!ギガイアスは『ストーンエッジ』!!」

 

 お互い決着までの時間は理解しているからこそ、次の接敵で決めるべく準備を始める。こちらはかげぶんしんで攪乱を、あちらは更にりゅうのまいを行って火力と速度の準備を行い、その間にマホイップが牽制を、ギガイアスがフィールドの作成を行っていく

 

「『ロックブラスト』!!」

 

 場に再び岩の柱が乱立したところでまた飛んでくる岩石。しかし、先ほどよりも明らかにその数は増えており、跳弾も激しくなっているので体感はもっと増えて感じる。

 

「エルレイド!!」

「フライゴン!!」

 

 岩が反射して荒れ狂う中、それでもその中を駆け抜けるエルレイドとフライゴン。フライゴンはりゅうのまいによってさらに強化された素早さで駆け抜けて、エルレイドは背負っているマホイップがクリームを操作し、受け止めることで岩をよけていく。

 

 クリームを操作するマホイップの姿が、まるでヨノワールがかげうちで岩を持っていた時の姿に似ていて、そこから学んだんだと思うと顔がほころんでしまう。

 

 そんな少し嬉しい気持ちになっている間に、エルレイドのかわらわりとフライゴンのアイアンテールがぶつかる。

 

 鈍い音を響かせながら打ち付けあう2人の攻撃はさらに激しくなる。

 

 振り下ろされるかわらわりを右回転しながら尻尾を振るうことで弾き、その勢いを利用したままもう一回転して右側から尻尾を打ち付けてくる。それをしゃがんで避けたエルレイドが、下からすくい上げるようにかわらわり。これに対してフライゴンがりゅうのはどうを至近距離で放つことで、かわらわりとりゅうのはどうが触れて爆発。爆風に煽られて少し後ろに下がるエルレイドを見たフライゴンが、今度はじしんにて追撃。この技だけは絶対に食らうわけにはいかないと無理やりジャンプして空に逃げる。しかし、無理やり飛んだせいで他の動きに目を向けることが出来ずに、さっきから飛び回っている岩をよける余裕がない。そこを確認したギガイアスがロックブラストを、フライゴンがそこにさらに追撃するためにアイアンテールを構える。

 

 エルレイドに向かう2つの攻撃。

 

「マホイップ!!」

「マホ!!」

 

 そんなピンチのエルレイドを支えるのはマホイップ。

 

 クリームの操作精度がスパイクタウンでの特訓によりあがったおかげで、まるでポプラさんのマホイップのように自在に操り、飛んでくるロックブラストを掴んでフライゴンに叩きつける。

 

 急に岩をぶつけられたことによって、フライゴンがバランスを崩した。

 

「エルレイド!!『インファイト』!!」

 

 刹那の隙。しかし、今のエルレイドにとっては万秒にも等しい隙。

 

 懐に踏み込んだエルレイドが全力で拳を叩き続け、目にも止まらない連撃が再びフライゴンの体を捉えて吹き飛ばす。

 

 ちらりと見えたフライゴンの目はグルグル状態。つまり戦闘不能。

 

(行ける!!)

 

 残りはギガイアスのみ。

 

「エルレイド!!」

 

 ボクの言葉を聞いてエルレイドがギガイアスへ猛ダッシュ。フライゴンがいない以上、エルレイドの攻撃を止める役がいないから決め切るなら今しかない。エルレイドもそれを理解しているからこそ、さらに防御が下がることを承知で最後の詰めへ。相手のギガイアスも自分が狙われていることに気づいてはいるけれど、防御に優秀な反面機動力に難があるため、エルレイドの攻撃から逃げることはできない。

 

「これで2体目!!」

 

 一気にこちらの勝利につながるとどめの一手。見る見るうちにエルレイドがギガイアスに詰めていき、もう数秒もすれば、フライゴンのようにギガイアスも殴り倒されることだろう。

 

「ったく、強いだけじゃなくて学習能力も高いか……そのマホイップ、ばあさんみたいなこともできるのか……」

 

 この押されている状況に声を漏らすキバナさんの言葉。しかし、その言葉に焦りなんてみじんも感じられず、不満はありつつも想像はできたといった感じだった。

 

「やりたくなかったが仕方ねぇ。……すまねぇな、ギガイアス」

「ギガ」

 

 申し訳なさそうなキバナさんの言葉。それと同時にギガイアスの集中していくエネルギー。

 

 このエネルギーの流れを、ボクはつい最近にも見た。

 

「まず!?エルレイド!!下がって!!」

 

 ネズさんにも喰らったあの技の予兆を感じて慌てて引かせようとするものの、もう懐に踏み込んでいるため今から下がっても範囲から逃げられない。

 

「ギガイアス!!『だいばくはつ』!!」

 

 またもや見ることとなった自爆技。自分も含めて、全てを壊すそのエネルギーは、すなあらしもストーンエッジも、何もかもを吹き飛ばしフィールドを更地に変える。

 

 爆音と激しい光が納まり、ようやく確認できるようになったバトルフィールド。そこには自爆によって目を回したギガイアスと……

 

「……エル?」

「え?」

「なんだと!?」

 

 何故か()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()

 

 そして同時に、その理由にすぐ思い至る。

 

「マ……ホ……」

「マホイップ!!」

 

 エルレイドのすぐそばには、ありったけのクリームを周りに散らせたマホイップの姿があったから。

 

 

「フライゴン、ギガイアス、マホイップ戦闘不能!!」

 

 

「2人とも、お疲れだ」

「マホイップ……ありがとう」

 

 倒れた3体が同時にボールへ戻っていく。

 

「仲間を守るために、自分の身を犠牲にしてでも全力でエルレイドをクリームで包んだか……お前の強さはお前の思考の凄さだけじゃなく、そうまでしてでも仲間を守りたいと思わせるほどの絆を作り上げることにもあるのかもな」

「本当に……自慢の仲間です」

「エルッ!」

 

 マホイップの姿に心を打たれたエルレイドが、さらに気合を入れる。

 

「本当に、良いトレーナーだ。だから、もっともっとオレ様を楽しませてくれ!!」

 

 マホイップの熱い思いに、キバナさんが吠える。

 

「マホイップのためにも……絶対に勝たせてもらいます!!」

 

 マホイップの優しい行動に、ボクの中で何かが燃える。

 

 マホイップの思いと行動を中心に、バトルは後半戦へ動いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




デコレーション

ダブルと言えばやっぱりこの技ですよね。それだけでなく、今回はマホイップ大活躍回。
どうしても耐久寄りのポケモンは活躍させる機会が少ないんですよね。もっと平等に活躍させたいです。

だいばくはつ

まさかの2回連続爆発オチ。
正直どうしようか悩んだ展開なんですけど、前回あまり活躍できなかったエルレイドとマホイップを活躍させたうえでキバナさんも負けない手となると、ギガイアスというポケモンの特性もあってこういう形に。
前回とはまた違った爆発の仕方と結果は意識しましたけど……どうでしょうかね?

戦闘不能

というわけでまさかの3体同時(?)に戦闘不能。なんですけど、フライゴンだけちょっと怪しいですよね。
実際、リアルタイムだとダブルバトルのこの通告はどのタイミングでされるんですかね?
2体2だけなら大丈夫ですけど、今回のように4体まで使えるのであれば途中でポケモンを追加しないといけないのでどこかで切らなきゃですよね。
その辺は審判の匙加減なんですかね?少なくともこの作品では私の匙加減で行こうと思います。




気づけば1,000,000文字を軽く超える作品に……
今からこの作品を読み始める人は長くて大変そうだなぁと思いながらも、この作品はまだまだ続くので最終的に何文字になるのかがちょっと恐ろしいですね。
最終話の構成はできていますが……そこに行くまでどれくらいかかることやら……。
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