【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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122話

 降り注ぐ拍手と鳴り止まない歓声。その全てを一身に受けているボクは、拳をゆっくりと下ろしていく。少し視線をあげてみれば、ヨノワールの拳もボクと一緒にゆっくりと下がっており、ヨノワールを包んでいた謎の黒い渦も収まっていった。すなあらしもはれ、視界が良くなり、ボクとヨノワールの繋がりも切れたような感覚が伝わり、視界もいつもの状態へと戻っていく。さらに先を見れば、倒れているジェラルドンと、そんなジェラルドンをボールに戻すキバナさんの姿。

 

 ここまで色々現状を確認して、ようやく『ああ、ボクは勝ったんだ』という実感が改めて湧いてきて、同時に今までバトルの興奮によって出ていたアドレナリンのおかげで、何とか誤魔化していた疲れが一気に体に襲いかかってくる。

 

「わわわ……」

 

 ガクガク震える足が言うことを聞かず、思わず倒れそうになるものの、こちらに向かって歩いてくるキバナさんの姿を見かけたためグッとこらえてこちらも前を向く。

 

 約40cmという相変わらずとんでもない身長差に、疲れた体で視線を合わせることに少し苦労しながらも、しっかりと顔を上げてキバナさんと向き合う。

 

「……ったく、こんな小さな体のどこにこんな力が宿っているんだか」

 

 やれやれという言葉が聞こえそうなほど大袈裟に手を広げて首を振るキバナさん。けど、バトルの時と違い、いつものタレ目に戻っているその視線は、こんな言葉と行動とは裏腹にどこか敬意というか、尊敬というか……とにかく、ボクの自惚れじゃなければ、プラスの印象を含んでいるように見えた。

 

「見事だよ。お前の切り札も、お前自身も。勿論、切り札以外のポケモンたちもな」

 

 頭の後ろで手を組みながらそういうキバナさんは、近くに漂うスマホロトムに撮影をお願いしながらこちらに語り掛けてくる。あとでキバナさんのSNSアカウントにでもあがるのかな?

 

「オレ様の敗因はあれだな。お前さんの切り札に目を向けすぎて、他の奴らに足元を掬われちまったことだな。いや、別に他の奴らを甘く見ているつもりもなかったんだがな……」

「誰もそんなこと思ってませんよ?」

「んにゃ、オレ様自身の問題だ」

 

 若干申し訳なさそうな声色で言ってくるキバナさんに対して、ボクの率直な感想を述べるもののやんわりと断られる。

 

「お前が強いのはわかっているが、なんだかんだジム戦用のポケモンだったとしても、オレ様ならすぐに切り札を……ヨノワールを引き出せると思ってたんだよ。だが、蓋を開けてみればだ。エルレイドには暴れられ、マホイップには存分にサポートをされ、ブラッキーには邪魔をされまくった。結果、オレ様の方が速くジュラルドンを登板させることになったからな。オレ様の中にわずかとはいえ、驕りがあったのは間違いねぇ」

「だってさ皆。ガラル最強のジムリーダーにここまで言ってもらえてよかったね!ヨノワールも!!」

「ノワ」

 

 ボクの言葉にカタカタと震えることで喜びを返してくれるエルレイドたちと、自分の声でゆっくり返事をするヨノワール。みんなダメージが大きくて、返事のためにボールを揺らすだけでも疲れるだろうに、それでも頑張って揺らしてくれたあたりかなり嬉しかったみたいで、こちらも思わず頬が緩んでしまう。

 

「ったく、なんか調子狂うなぁ。オレ様を挑発したかと思ったらこんなにも素直に言葉を受け取りやがって……」

「と言われましても……やっぱり、こうして改めて手持ちの皆が褒められるのは嬉しいですから」

「ッ!?」

「っとと、ごめんねヨノワール。ゆっくり休んで。本当にありがと」

 

 ここにきてバトルの疲れと、視界共有の長時間使用の反動が限界にまで到達したヨノワールがバランスを崩したので、さすがにこれ以上出しておくのはかわいそうなのですぐさまボールへ。ヨノワールがボールへと戻ったと同時に再び巻き起こる拍手喝采は、ヨノワールの大立ち回りを賞賛してくれているみたいで、キバナさんに褒められることによって湧き上がっていた嬉しさはより強く育っていく。

 

「ま、とにかくだ。お前さんの切り札の強さ、しかと観させてもらったぜ。その役割に偽りなしだな。戦えて本当に良かったぜ。んん~……あぁ、強敵と戦えてすっきりした気分……」

 

 伸びをしながらそんなことを言うキバナさんは、晴れ渡った空を見ながら、晴れやかそうな雰囲気を出し……

 

「ってなれるわけあるかぁ!!」

 

 急にその表情を変えて天に向かって吠えた。

 

「楽しい試合が出来たのはよかったが、それとこれとは別の問題だ!!フリア次は絶対勝つからな!!」

「……はい!!」

 

 急に変わったキバナさんの態度に思わずびくっとなってしまったけど、これはこれでキバナさんらしい。キバナさんからの再戦の約束にこちらも元気に返事をし、笑顔で頷く。

 

「うし!そんじゃあ、その時のためにもオレ様も気合入れて特訓しないとな!!」

「ボクも、今日よりもっと強くなって、また挑みます!!」

「おう!!……っと、その前にこれを渡しておかねぇとな」

 

 態度を再び軟化させ、タレ目をより優しいものに変えながらポケットをまさぐるキバナさん。程なくして、ポケットから引き抜かれた手に持っていたのはドラゴンバッジ。ここナックルスタジアムを、そして全てのジムを突破したものに与えられる最後のバッジ。何千、何万と挑んで、それでもほんのひと握りしか手にすることの出来ない、そんな栄誉あるバッジがゆっくりとボクの視界に入ってくる。

 

 ついにここまで来た。

 

「お前にくれてやる。勝利の証……ドラゴンバッジだ」

「はい!ありが━━」

 

 とうございます。そう続けてバッジに手を伸ばそうとするボク。しかし、そこでボクの体に異変が起きる。

 

「あ、れ……?」

 

 急に体の力がガクッと抜けて、立つことを維持できなくなってしまう。フラフラと体を揺らしながらゆっくり折れていく膝に、もうちょっと耐えてとお願いしても一切聞き届けてくれない。そのまま前につんのめってしまい、このままでは地面に顔から落ちてしまう。

 

(ち、力が……体が……ぶ、ぶつかる……っ)

 

 来たる衝撃に対して、少しでも痛みを耐えられるように目を瞑り、最後の力を込めて体を強ばらせる。けど、次にボクを襲ったのは固いものにぶつかる衝撃ではなく、少し硬いけど、やわらかさもある暖かいものに受け止められるような感覚だった。

 

「おいおい、大丈夫か?」

「す、すいません。緊張が抜けちゃって……」

 

 受け止めてくれたのがキバナさんと気づくのにそんなに時間がかかることはなく、すぐさまお礼をして、自分の足で立とうとする。せめて、バッジの受け渡しという最後の締めまでは、ジムを制覇したものとしてしっかりしておかないと、なんだかキバナさんにも申し訳ない気がしたから。けど、1度抜けてしまった力と緊張を取り戻すのは至難の業で、自分の足で立て直そうにも、この足が本当に自分の足なのかと疑ってしまうくらいには言うことを聞いてくれない。いや、むしろ体が動かなくなったことによってアドレナリンがいよいよ切れ始め、疲れと痛みをより強く自覚させられてしまい、さらに体が動かせなくなってしまう。

 

(あうぅ……この痛み…全身が筋肉痛に襲われてるような……いつつ……)

 

「お、おい。大丈夫か?」

「は、はい。だいじょぅ……ひうっ!?」

 

 急なボクの異変に心配したキバナさんが、ゆっくりとボクの体に触れて安否を確認してくれるものの、そのちょっとした接触だけでも体に痺れるような痛みが少し走る。なんでこんなことに?と、疑問が頭に浮かんだけど、その答えはすぐにたどり着くことが出来た。

 

(これ……ヨノワールが受けたすなあらしのダメージだ!)

 

 ヨノワールとブラッキーが対峙していたサダイジャというポケモンは、大きな鼻の穴から鋭い砂利交じりの危険な砂を激しく噴射して、相手を最悪裂傷に陥れる程の危険なすなあらしを産む。だからこそ、ギガイアスの特性で生み出されたものと比べるとより強力なものになるというわけなんだけど、そうなれば当然天候によって受けるダメージも増え、ヨノワールと痛覚を共有しているボクにも、その分多くダメージが帰ってくる。つまり、今のボクは遠回しに体全体が砂で削られたような痛みの何割かが帰ってきている状態となっているわけだ。それはこうなるに決まっている。

 

 せっかく介抱してくれているというのに、お礼を言いたくても言葉が続かないボクを見て、キバナさんもボクの体の異変の正体に手をかける。

 

「やっぱり、お前とヨノワール何かあるな?バトルの時も『へびにらみ』が効かなかったり、やけに腕をさすったり、表情をゆがめたり……それに、終盤はまるでお前たちの動きが重なって……隠していた切り札の役割って以外に、ヨノワールのことでなんかあるのか?」

「それは━━」

 

 一から説明しようとして言葉が詰まる。別にキバナさんに話すことは構わないんだけど、今ボクたちがいる場所はナックルスタジアムのバトルフィールドど真ん中。周りにはドローンロトムも飛んでいるし、今はすなあらしも止んでいるのでボクたちの会話は筒抜けになってしまう。

 

 正直ヨノワールとのあれこれは、ボク自身よくわかっていないし、聞いたことも見たこともない現象だから、あまり不特定多数の人には話はしたくない気分ではある。このあたりは本当に気分でしかないから、実際のところは話して広めてもいいのかどうかは判断出来てはいなんだけど……単純にボクのカンが、いたずらに広めない方がいいのではという結論を出しているだけだ。実際、このままヨノワールと戦い続けるのならこの現象はいつかみんなに見られることにはなるからね。結論、ボクの自己満足だ。

 

 後、それ以上にボクが言葉を詰まった理由があって、それが……

 

「ひぐぅ……っつつ」

「っておいお前……全身がうっすらとだが腫れてないか?ちと熱っぽい気も……」

「す、すいません……お話したいのはやまやまなんですけど……い、痛みが……ひうぅっ!」

 

 この全身の痛みだ。

 

 さっきも説明したこの全身の痛みを自覚した瞬間、どんどん体に力が入らなくなって、今もキバナさんの手や服が体に擦れるだけで変な声をあげてしまうくらいには影響が出ている。しかも、さっきも言った通りここは人の目が沢山ある場所だ。このままキバナさんにもたれかかって問題を起こそうものなら、多大な迷惑をかけてしまう。早くキバナさんから離れてバッジを受け取って握手をして、ボクが大丈夫だということを証明して円滑にこの場を収めたい。けどやっぱり体は動かなくて……

 

(足腰に全然力が……ユウリたちにも心配かけたくないのに……お願いだから動いて……!!)

 

「ひゆっ!?」

 

 どれだけ念じても動く気配のない体にいよいよ焦りを感じ始めるボク。周りの観客も、さっきまでの盛り上がりが落ち着き始めて、ボクを心配する声が増え始める。

 

(このままじゃあまずい……)

 

「ったく、しょうがねぇな。あまり動くなよ?」

「え?」

 

 内心凄く焦っているところに、急に体を襲ってきた浮遊感。自分の体に起こったその変化に一瞬頭が追い付いてこずに、自分が今どうなっているのか理解するのに時間がかかってしまう。

 

「このまま控室まで行くからな」

 

 数秒経ってようやく冷静になったボクは、定期的に感じる振動と温かさに、ちょっとした安心感を覚えながら、現状ボクがどうなっているのか目を動かして確認を始める。

 

 まず真正面に目を向けると、そこにはスタジアムの天井と空。そしてキバナさんの顔をしたから眺めるようなアングルになっており、しかも想像以上にキバナさんの顔が近い位置にあったので、びっくりしてしまい思わず体が跳ねそうになって、再び全身に痛みが走って変な声が上がる。

 

「っ!?くぅ……」

「おいおい、だから言ってるだろ?あんまり動くなって」

「す、すいません……」

 

 キバナさんからの言葉に謝りながら、現状を確認するために再び周りを見て確認する。

 

 横を向けばいつもよりも高い視線。自分の足元を見れば膝の裏に腕を回されている状態で、自分の左肩を見てみれば、キバナさんの左手と思われるものががっしりと掴んであり、背中に意識を集中してみれば、おそらくキバナさんの腕と思われるものが回されているのが感じられる。

 

 ここまでの情報で、今自分がどういう状態なのか、ようやく理解した。長々と現状を確認したけど、もうちゃっちゃと結論を言ってしまおう。

 

 今ボクは、キバナさんにお姫様抱っこをされていた。

 

『きゃああああ!』

『フリア選手がキバナさんにお姫様抱っこされてる!!』

『まさしくお姫様が抱えられてるわ!!』

『こうしてみると本当にフリア選手って小さくてかわいい……男の子なのにずるい……』

『尊い……好き……』

『私もフリアを抱っこしてみたい……』

 

 

「~~~~~~~っ!!!!」

「おお~、凄い歓声だな。やっぱり注目選手者は違うな」

 

 観客からの黄色い声に恥ずかしさが爆発してしまい、鏡を見なくても頬が熱くなっているのがわかる。キバナさんが何やら見当違いなことを言っているような気がするけど、それすらも耳に入ってこないほど、さっきとは別ベクトルで頭がパ二クってしまう。

 

(身長差のせいで余計にそうみられてるってこと!?それとも見た目のせい!?と、とにかく恥ずかしい!!っていうか最後の声絶対ユウリでしょ!!ユウリだよね!?ってことはこの恥ずかしい姿をいつものみんなにも見られているということで……あとで顔合わせるの恥ずかしいんだけど!!なんでお姫様扱いなの!!ボク男なんだけどなぁ!!)

 

 よくよく考えたら、このバトルは生放送なのでここにいる観客は勿論、全国放送というとんでもなく幅広い人に見られていることになるんだけど、正直その事まで意識を向けたらいよいよもってボクの精神が持たないので、そっちに関しては考えないようにする。

 

「キ、キバナさん!!ボクは自分で歩けるので!!大丈夫なので!!」

「遠慮しなくていいぞ。今もつらいだろ?オレ様が医務室まで連れて行ってやるから任せておけ~」

「そういう事じゃないんです~!!」

 

 とにかくこの恥ずかしい状況を脱しようとあれこれ言うけど、キバナさんは全く取り合ってくれない。それどころか、今のこの状況を楽しんでいる節まである。

 

 間違いなく確信犯である。

 

「絶対楽しんでますよね!?そんなにボクに負けた事とか挑発されたこと根に持ってたんですか!?」

「さぁ何のことやら。オレ様は歩くのがつらそうなか弱い挑戦者を運んであげているだけなんだがなぁ……お、そうだ。ロトム。ちゃんと撮っておけよ~」

「と、撮らないでくださ……っつぅ!!」

 

 それから繰り広げられるのは、キバナさんの腕の中でボクが全身の痛みに耐えながらも駄々をこねるという誰得なのか全くわからない景色。誰得なのかわからないはずの景色なのに、余計に上がる黄色い歓声が余計にボクを辱めるという悪循環。結局この意味の分からない寸劇は、ボクたちの姿が完全にフィールドから見えなくなるまで続く。

 

「はっはっは。慌てふためくお前は見ててなかなか面白いな」

「なんか、バトルよりも疲れた気がします……」

 

 最終的には、動いても抗議しても身体を痛めるだけと理解したボクは抵抗をやめ、大人しくすることに。せめて明日、このことがそんなに広まっていないことだけを祈っておこう。

 

(特に、ヒカリにだけは絶対に見られていませんように……)

 

 そんな祈りを心の中で捧げながら、ボクはナックルスタジアムの医務室へと、ゆっくりと運ばれて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「フリア!!」」」

「フリアっち!!」

「あ、みんな!!」

「お、お仲間も全員集合だな」

 

 ナックルスタジアムは医務室。

 

 キバナさんに連れてこられてベッドに寝かされたボクは、それでもまだ体の痛みが抜けきらず、とりあえず動けるようになるまでここで休むことになった。おかげでだいぶ痛みは引いてくれたので、あと数十分もすれば歩くこともできるようになるだろう。ユウリたちがお見舞い来たのはそんなタイミングだった。

 

「フリア〜っ!!」

「ユ、ユウリ!今来られると……っつつ!!」

「あ……ご、ごめんなさい……」

「ううん、大丈夫だよ。心配かけてごめんね?」

 

 ユウリが飛びついてきたことで再び全身に痛みが走り、思わず声が出てしまう。そんなボクの姿を見て、ユウリが申し訳なさそうな顔をしながらゆっくりボクから離れていく。

 

 何も知らない観客たちならともかく、事情を知っているユウリたちなら、今のボクの現状がどんな感じなのかよく分かっていると思う。だからこそ、飛びついた結果筋肉痛のような痛みに悶えるボクを見て、申し訳なさそうな顔を浮かべているのだろう。

 

 悪気があった訳じゃなく、ボクの安否がわかり、それに安堵したからの行動だと分かっているから、ボクも特に責めたりしない。

 

「そこに関してはホントだよ!!……とにかく、無事でよかった〜……」

「全くだぞ。キバナさんにもたれかかった時は本気で焦ったんだぞ」

「事情知ってるあたしたちはハラハラもんと」

「でもキバナ様のお姫様抱っこは良かったァ!!」

「心配は嬉しいけど最後のは思い出させないで!!」

 

 むしろ、あの姿を見て心配してくれたことに感謝をしなければね。最後のあれは絶対に思い出したくないけど……

 

「さて、それじゃあ役者も揃った事だし……お前さんのヨノワールについて、聞いてもいいか?」

 

 和気あいあいとしていた空気が少しだけ張り詰め、みんなの視線がボクに向く。キバナさんはもちろんのこと、事情を知っているユウリたちも、最後にヨノワールを包んでいたあの謎の渦のようなものは知らないので、ボクの体のこともあって凄く集中して耳を傾けてきた。そんな彼らに、ボクもあのバトルに起きたことを1つずつゆっくりと説明していく。

 

 ボクにとっても今日起きたことは初めての経験だったし、ボク自身にもまだ分からないことの多い現象だから、ちゃんと説明できるか怪しいけど、しっかりと伝わるようにゆっくりと、細かく、自分の今の考えも混ぜながら話を進めた。

 

 そんな感じに説明していたからか、説明が全部終わる頃には30分の時間がかかっていた。

 

「……なるほどな。とりあえず今の説明で大体は理解出来たぜ。しっかし、そこまでヨノワールと繋がるってなると、視界共有以上に、五感全部が共有されてるって感じだな」

「それ以上に痛覚まで共有されるのはどうにかしたいんですけどね」

 

 こればかりは訓練どうこうで何とかなる気がしないからどうしようもない。もしかしたら、この共有化をもっと練度高く行うことが出来れば或いは……

 

(いや、むしろ余計にダメージが返ってきそう……うん、こればかりはなれるしかないよね)

 

 毎回この痛みを味わうのは勿論嫌だけど、最後の体が軽くなって、いつも以上の力を出せたあの瞬間は、何にも変えがたい安心感というか、高揚感というか……とにかく、何か心に来るものがあった。あの状態を自由に発現できると考えたら、きっとこの先本当に心強い切り札になる。そう考えると、やっぱりこの現象にはしっかりと向き合っておいた方がいい。今日キバナさんとの戦いで初めての実践投入をしてみて、改めてそう感じた。

 

「ま、その痛覚共有は、それを受けてしまほどすべてを共有しているからこその強さの代償って事だろうな。道理であんなに強くなるわけだ。ヨノワールの姿もちょっと変わってたし、この先もっと大きな変化があると思うと楽しみだな!!」

「あ、やっぱり変わってましたよね。ボクも少し気になってて━━」

「「「「なにそれ!?」」」」

「うわぁ!?」

 

 キバナさんと最後のヨノワールの姿について話していた時に飛び出す4人の言葉。みんなが見つめるバトルフィールドの中心で変わった姿になっていたんだけど、みんなは見てなかったのかな?同じような疑問をキバナさんも持っていたらしく、ボクの代わりに口を開く。

 

「なんだ、お前たちは見たことないのか?っていうかさっきの戦いで見なかったのか?」

「すなあらしが激しかったことと、ヨノワールの周りに変な渦があったから私たちの場所からはちょっと……」

「決着がついたってところで興奮してよく見てなかったところもあったと……」

 

 ユウリとマリィの言葉に頷くホップとクララさんの姿に納得するボクたち。そう言われると確かに、あの時の視認性ってすごく悪かったよね。この調子だと、多分ボクとキバナさんしか見た目の変化に気づいていないんじゃないかな?

 

「それなら納得だ。あ~あ、勿体ねぇな~……あのヨノワール、なかなかいい見た目してたぜ?」

「ど、どんななのか気になるぞ!!」

 

 ホップの言葉に続いてキバナさんにじっと視線を向ける皆。

 

 ……実はヨノワ―ルの姿というのは、変わったのは理解していたけどボク自身もよく見えていない。というのも、ボクの視界はヨノワールと共有されているから、ヨノワールの手は見えても見た目は見えないし、自分の視界だとしても見えるのはヨノワールの背中だけだからだ。だから実はボクも、キバナさんからはどう見えていたのか気になった。

 

 みんなが耳を傾けるなか口を開くキバナさん。

 

「っと言っても、オレ様も詳しく見えたわけじゃねぇから詳しくは言えないが……ただ一つ、普通のヨノワールと違うところと言えば……」

 

 そんなキバナさんの言葉にボクは……

 

「ヨノワールの特徴の一つ、大きな赤色のモノアイがきれいな水色になっていたことだな。例えるなら……そうだフリア、ちょうどお前の目の色にそっくりだったぜ」

「ボクの……目に……」

 

 また少し、心をざわつかせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お姫様抱っこ

そういえばルリナさんにもされていたような……?
このまま全員からお姫様抱っこしてもらいましょうか?

生放送

???「ナニコレ超かわいい!!!!!今度はぜひともあの衣装を着せてまたこの人にお姫様抱っこを……」
???「鼻血……鼻血出てるぞ……」

ヨノワール

少しだけ姿変更。
水色のモノアイ姿を想像するだけでなんかクール度が上がって個人的にちょっと痺れちゃっているんですけどどうですか???(ヨノワール大好き人間)




見返してみたら8話ではちゃんと初見のアナウンサーさん、ちゃんと一目で男の子と見抜いているんですよね。と書こうと思ったら、天の声視点ですから、もしかしたらあの時点でもう女のことしか見てもらえていないのかもしれないですね。
現在の観客からの評価は、確かに男の子にも見えるけど、可愛いからです状態です。
キバナさんもノリノリです。
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