【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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129話

「やっぱり、あなたたちが揃った時の楽しそうな姿を見ると、ポケモンとトレーナーはこうあるべきだって、改めてそう思わせてくれるわね」

「それもこれも、シロナさんがこうやってみんなを連れてきてくれたおかげです。本当にありがとうございます!!」

 

 空に砂浜に、ボクのシンオウ時代の仲間とガラル地方の仲間が入り乱れて遊んでいる姿を見ながら、いつの間にか隣に来ていたシロナさんとちょっと小話。マリィの方にはカトレアさんがついており、今は2人でバトルについて話し合っているようだ。

 

「礼はいいわよ。あなたたちがこうしているのを、私も見たかった。ただそれだけなんだから」

「それでも、です。ボクだって、こうしてみんなが揃っているところを見たかったですし、ホップたちにも自慢の仲間を見せたいと思っていましたから……」

 

 特にホップたちへの顔合わせは、本来ガラル地方では絶対できないことだ。なので、それでも顔合わせをしようとするなら、どうしてもみんなをシンオウ地方に連れてくる必要があった。当然、3人も違う地方に招待するとなるとそれ相応の準備が必要だし、何よりユウリたちへの負担がすごく大きい。だからホップたちへのみんなの顔合わせは、自分の凄くやりたかったことであると同時に、『多分できないんだろうなぁ』と、8割方諦めていることでもあった。だけど、シロナさんがこうやって頑張ってくれたおかげで、今ボクのしたかったことがこうやって目の前で叶っている。

 

 ボクがみんなを呼んだことによって、ユウリたちも自分の手持ちをみんな呼び出しており、場はさらに賑やかなものへと変わっていた。

 

 この状況も誰のおかげかときかれたら、やっぱりシロナさんのおかげなので、改めてしっかりとお礼をしておく。

 

「だから……ありがとうございます!!」

「そこまで言われちゃうと、逆に受け取らないと失礼になりそうね。どういたしまして」

 

 ボクの言葉に笑顔で返してくれるシロナさん。やっぱりこの人はとても頼もしい凄い人だ。

 

「ただ、あなたには言わないといけないこともあるから、ここからの話はちゃんと聞いておくように」

「……はい!」

 

 朗らかな話から少し変わって、表情をちょっとだけ真面目なそれに変えるシロナさん。その変化から、これからされる話はボクにとって大事なことなんだと言うことを感じ取り、ボクもシロナさんにならって、少し気を引きしめる。

 

「まずは、今のネオラントたちの扱いについて話すわね。あなたも知っていると思うけど、このガラル地方は外来ポケモンに対してかなり厳しい措置を取っているわ。それこそ、ガラル地方で確認されていないポケモンは、基本的にはシャットアウトしてしまうくらいにはね」

「はい。最初はみんなとこっちに来れないことにショックを受けましたけど、ガラル地方を旅していくうちに、確かにこの自然は守りたくなるなと感じたので、今はその措置は正しいんだなって理解はしています」

 

 自然に新しいポケモンが来るのならまだしも、人に手によってポケモンの生態が変わってしまうことは避けようと対処しているこの姿勢は、素直に凄いと思える行動だ。今更そこに文句をつける気は全くない。人の手によって、絶滅危惧と大量発生を繰り返しているラプラスを見ていると、そういった気持ちを持つようになるのも納得できるしね。

 

 さすがにこの記事を読んだときはラプラスがかわいそうだった。

 

「けど、だからといって、融通を全く効かせなさすぎると、いざガラル地方で他の地方を巻き込んだイベントを催した時に、他の地方で活躍するトレーナーを誘うのに支障をきたしてしまう」

「人は呼ぶことが出来ても、ポケモンが来れなくちゃインパクトも半減ですもんね……」

 

 例をあげるなら、シロナさんをガラル地方に招待したのに肝心のガブリアスが居ない。といった感じだろうか。そう言われてしまうと、シロナさんに会えるのは嬉しいけど、『シロナさんの相棒と言えば』の代表的なポケモンを見れないとなると、少なくない落胆をおぼえてしまうだろう。

 

 自然は守りたいけど、ガラル地方に住むみんなが喜ぶこともしたい。

 

 そんなジレンマの中生まれたのが、ほしぐもちゃんの時に話題が上がった許可制だ。恐らく、今回ネオラントたちがここに来ることが出来たのも、その許可を貰ったからだろう。

 

「そのとおり。だからこその許可制。その分規制も条件もややこしくて、破った時のペナルティも大きいわ」

「実際、出禁って結構大きいですよね……」

 

 リーグからの信頼はもちろん、提出しないといけない書類や、通さないといけない相手も多そうで、凡人のボクではその辺の想像が全然できない。

 

「けど、そんな規制にもちょっとした抜け穴はあってね?」

「抜け穴……?」

「そう。今回はそこを利用させてもらったのよ」

 

 ちょっといたずらな笑顔を浮かべながらそういうシロナさんが少しだけ子供っぽく見えてしまう。話に集中しないといけないのに、少しだけその笑顔に見とれてしまい、すぐさま頭を降って集中力を戻す。

 

「さて、ちょっと遠回りになっちゃったけど、一番大事な所を説明させてもらうわね」

「はい!」

「まず許可申請をするのにあたって、そもそも許可を取れる人は、各地方のチャンピオンだったり、フロンティアブレーンだったり、国際警察の方だったりと、本当に信頼されている人しか申請することが出来ない且つ、その人の手持ちの中で、ガラル地方にいない子がどれだけいるのかを報告して置く必要があるのだけど、この許可申請するためのポケモンの数に上限はないの」

「ってことは……」

「そう。今回で言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。という事ね」

 

 そこまで説明されて、シロナさんが何を言いたいのか、そして、どうしてネオラントたちを連れてくることが出来たのかに、ようやく納得ができた。確かにネオラントたちとの再会は嬉しかったんだけど、どうしてここに来れたのか。それだけはずっと気になっていたんだよね。

 

「私の手持ちなら何体でも申請できる。その裏技を使わせてもらっているからネオラントたちは今ここにいる。けどそれは裏を返せば、確かにネオラントたちの主はあなたなんだけど、今この場においては、あの子たちの主は私という事になっているわ。だから、もしあの子たちが問題を起こせば、当然私の責任になるし……」

「シロナさんの手持ちという扱いだから、今ボクが挑んでいるジムチャレンジの本戦や、その先のチャンピオン大会にも、繰り出すことが出来ないってことですよね?」

「さすが、理解が早くて助かるわ。ちなみに、ジュンやヒカリの手持ちも、同じ方法で何体か連れてきているわよ」

 

 シロナさんの説明をボクがなんとなく引きついでみると、返ってきた言葉は肯定。ネオラントたちも一緒にこの先に戦いに挑むことが出来ないのは確かに残念だけど、本来ならここで会うことすら出来ないのだから、それ以上を望むのは贅沢だ。むしろ、ここまで色々な許可を取ってまでネオラントたちを連れてきてくれたシロナさんには感謝しかない。ボクだけでなくヒカリやジュンのポケモンの分までとなれば、それ相応のリスクと手間がかかっているはずなのに、それでも『気にしないで』と言葉を残しながら微笑むシロナさんの懐の広さにはただただ頭が下がるばかりだ。

 

「本当にありがとうございます!」

「いえいえ。ただ、ちょっと脅す様で申し訳ないのだけど、あまり大きな問題は起こさないでね?あなたたちなら大丈夫だとは思うけどね」

「肝に銘じておきます!」

「あとはさっきも言った通り、今のこの子たちは私の手持ちということになっているから、あなたがボールを持つことに問題はないけど、あまり私から離れすぎると何か言われる可能性があることと、私がガラル地方を去る時は一緒に連れて帰ることになっているわ。そこは申し訳ないのだけど……」

「いえいえ、本当に今ここで会えるだけでも感謝してもしきれないんです。何回も同じことを言うようですけど、本当にありがとうございます」

 

 シロナさんが負い目を感じることなんて何もない。あとはボクが問題を起こさないように、おとなしくしておけばオールオッケーだ。

 

「お~い!!フリア~!!」

 

 シロナさんに改めてお礼を言って、話が一区切りついたところで急に掛けられる大声。声がした方向に視線を向ければ、そこから走ってきたのはジュンとホップの2人だった。とんでもない速さで意気投合し、もはや走って来る姿勢も足の速さも、ほぼ一緒になり始めてきていることに若干の呆れを感じながらも、無視をしたらそれはそれでちょっとめんどくさそうなので、仕方なく返事をする。

 

 ちなみに隣のシロナさんは、そんなジュンとホップの姿を見て少し笑っていた。

 

「2人ともどうした━━」

「フリア!バトルするぞ~~~!!」

 

 ボクの名前を叫びながら走ってきたジュンに対して『また振り回されそう』と感じながら返した言葉を遮るように投げられたのは宣戦布告。遠く離れているのに、まるで近くで叫ばれたかのような声量をあげながらこちらに走ってくる様は、一種の暴走族のようで。

 

(変わらないなぁ、ほんと……)

 

 シロナさんのところで特訓をしてもらったのか、纏う雰囲気こそ少し成長して見えたけど、このせっかちさは全く変わらない。それがジュンのいい所……いや、せっかちは長所じゃないか。彼の特徴なんだけど、今回においては、このままこっちに走ってくる彼を放っておくと、シンオウ地方を旅していた時に何回喰らったのか、数えるのも途中であきらめてしまった例のタックルをここでも喰らうことになるので、体を半身横にずらし、ジュンの体を足で引っ掛けて砂浜に倒す。

 

「ふべっ!?」

「よし……落ち着いた?」

「『よし』じゃないが!?それになにもこかすことないだろ!?」

「こけたくなかったら自分にブレーキをつける努力しなさいよ……」

 

 綺麗に砂浜と口づけを交わしたジュンが、こけた事なんてもう忘れたかのように体を起き上がらせて文句を言ってくるけど、こっちだってジュンのタックルを何回も喰らって、そこそこのダメージを貰った経験があるんだから、今回くらいは我慢してほしい。ほら、ホップもちょっとびっくりした顔してるし……

 

「なんか、フリアのちょっとあしらったような対応は初めて見るから新鮮だぞ……」

「うん、私も初めて見た……」

「え、びっくりした原因ボクなの!?」

「話を逸らすな!!オレを視ろ!!」

 

 ホップと、いつの間にか近くに来ていたユウリの言葉に驚くボクに、話を逸らされたジュンがかみつく。若干のカオスを感じながらも、あまりいじるといよいよ機嫌が悪くなるので改めてジュンと見合う。

 

「それで……ボクと勝負?」

「ああそうだ!!」

 

 お互いが見合って、少し落ち着いたところで改めてジュンからされる宣戦布告。

 

「オレはシロナさんについて行った、お前はこのガラル地方に行った。……あの約束をもう一度果たすために……」

「そうだね。それがこの旅の始まりだもんね」

「ああ。だけど今!まだ成長過程とはいえこうやって別々の道を歩いて行ったオレたちが!ここにきてまた出会った!!なら、やることなんて決まってるだろ?」

「……成程ね。途中までの結果報告がしたいと」

「まさか、逃げたりはしねぇよな?」

 

 余程自分の成果に自信があるのか、やたらと挑発的な目でこちらを見てくるジュン。勿論ボクだってジュンがどれくらい成長したのかが気にならないわけではないけど、ヨロイ島でこうやって出会った以上、今日明日だけの邂逅で終わると思っていなかったので、『ちょっとずつ成長結果を視れたらそれでいいや』と思っていた。だけど、せっかちなジュンは今すぐにでもその成果を確認したいようで……

 

「そんなわけ。ここまで言われて引くような性格じゃないことは君も知ってるでしょ?」

 

 ボクだってポケモントレーナーだ。挑発されたらちょっとは『やってやるぞ』という気になる。

 

 

「……フリアのあんな挑発的というか、やんちゃな表情も初めて見たかも」

「普段は大人っぽいけど、こういうところは子供っぽいでしょ?」

「うん……」

「……改めて、『可愛い』って惚れ直しちゃった?」

「な、ななっ!?」

 

 

 少し離れたところでヒカリとユウリがまた何か話しているけど、ジュンのせいで意識がバトルモードに変わっているボクにはよく聞き取れなかった。それよりも、今は久しぶりにライバルと戦いたくて仕方がなくなってきた。

 

「うし!それじゃあお互い、これまでの成長の成果ってやつをぶつけ合おうぜ!!」

「望むところだよ!!」

 

 そうと決まれば、お互い背を向けて走り出し、距離を取り始めるボクとジュン。ある程度走ったところで振り向けば、ジュンは既に振り返っており、ちょうどいい距離離れたところでもうモンスターボールを構えていた。

 

「ふふ、こうしてあなたたちのぶつかり合いを見るのは久しぶりね。審判は私に任せて、思いっきりぶつかり合いなさい」

「フリアとジュンのバトル!!ワクワクするぞ!!」

 

 にらみ合うボクとジュンの間に立って審判の役を買って出たのはシロナさん。その隣には、目を輝かせているホップの姿もあった。

 

「成長したあなたたちの姿をしっかりと観たいのもあるけど、ここで長く戦うのもちょっと違う気がするから、今回は1対1のバトルということで。2人ともいいわね?」

「おう!!」

「はい!!」

 

 シロナさんだけでなく、ボクとジュンも、本当ならフルバトルと行きたいところだけど、まだ今のタイミングではない。それを理解しているからこそ、今はこれくらいのバトルがちょうどいい。

 

「では両者、ポケモンを!」

「行くぞ、エンペルト!!」

「ペルッ!!」

 

 シロナさんの言葉を合図に、ジュンが懐から取り出したボールからはエンペルトが登場する。

 

 久しぶりに見るジュンのエンペルトは、顔の凛々しさや両翼のエッジの鋭さに更に磨きがかかっているように見えた。

 

 最後に見た時よりも明らかに成長している。一目見ただけでそのことがよく伝わってきた。

 

 こうやって対峙してみて、より強くそのことを感じた。

 

(さて、ジュンがエンペルトならボクは……)

 

 ジュンのエンペルトを見たボクは、次にボクの手持ちのみんなへ視線を移し、とあるポケモンを見つめた。

 

 この状況で選ぶなら、この子しかいない。

 

「おいで!ゴウカザル!!」

「ガウッキィ!!」

 

 ボクの言葉を聞いて飛び上がったゴウカザルが空中で一回転。そのままボクの目の前に着地して、雄たけびをあげながらファイティングポーズを取る。

 

 久しぶりにボクの指示を聞きながら戦える。とテンションの上がったゴウカザルの頭の炎は、より猛々しく燃え上がった。

 

「ゴウカザル対エンペルト……」

「どっちもあたしたちの知らないポケモンだから、物凄く気になる戦いね」

「わたしにとっては日常だけど、ガラルにはいないもんねぇ」

 

 ユウリとマリィにヒカリ、それに、しゃべってはいないけどカトレアさんと、カトレアさんに日傘をっ刺してあげているコクランさんも来たため、さらに視線を感じるようになったけど、今は久しぶりのこのバトルに集中する。

 

「さて……フリア!心の準備はオーケーか?」

「っ!?」

 

 お互いのポケモンが戦闘態勢に入ったところでジュンから投げかけられた言葉は、あの日初めてポケモンを手に入れて、初めてのポケモンバトルをした時にジュンが言った言葉そのままだった。

 

「ふふ……いつでもいいよ!ジュン!!」

 

 その言葉に、あの頃の記憶がちょっと蘇った。少し離れたところでは、ヒカリも『なっつかし~』と言っているのが聞こえた。

 

 となれば、次にボクたちが言う言葉も決まっている。

 

「フリア!!」

「ジュン!!」

「「ポケモンしょーぶだぁっ!!」」

 

 

ポケモントレーナーの ジュンが

勝負を しかけてきた!

 

 

「『アクアジェット』!!」

「『マッハパンチ』!!」

 

 バトルが始まると同時に弾かれたように前に突撃するエンペルトとゴウカザル。本来なら威力よりも素早さを重視したはずのその技は、お互いの技がぶつかり会った瞬間、爆発音を奏でる。同時に巻き上げられる砂が、この衝突の規模の大きさを、余計にわかり易く表していた。

 

「ペルッ!!」

「ガウッ!!」

 

 鍔迫り合いをしながら睨み合う両者も、久しぶりのバトルに嬉しいという表情を隠せていない。それほどまでに、ボクたちだけでなく、ゴウカザルたちも楽しみにしてくれていたということだろう。

 

「やっぱ最初はこうだよな!!」

「せっかちな君は、こういう戦い方ばっかりだもんね」

 

 戦闘スタイルとしてはホップに近く、とにかく押して押して押しまくるガン攻めスタイルのジュン。せっかちの擬人化と言っても過言ではない彼が、ちまちまとした戦い方なんて基本的にしないとわかっているからこその、開幕からのぶつかり合い。気持ちいいほどまっすぐぶつかってくる彼の戦い方は、見ている分にはいっそ清々しく気持ちがいいし、思わず応援したくなるような、言ってしまえばガラル地方では映える戦い方だ。故に対戦相手として立った場合、ジュンの行動はわりかし読むのが容易だったりする。しかし、それはイコール簡単に勝てるという訳では無い。

 

「戦い方は今更変えられねぇ。これはオレ自身の性格が問題だからな。けど、シロナさんの元で修行した以上、昔のままのオレなんかじゃないぞ!!」

「ペルッ!!」

「ガウッ!?」

 

 ジュンの言葉と共に、エンペルトの体を包んでいた水の勢いが急激に増し、アクアジェットの威力が上がっていく。その結果、先程まで拮抗していたバランスが崩れ、ゴウカザルが押され始める。

 

「ゴウカザル!!左手も叩きつけて一旦下がって!!」

 

 このままでは押し負けるので、左手も使ったマッハパンチで一瞬だけエンペルトを止めて、その隙に距離をとる。

 

(本来火力に自信があるゴウカザルが力負けしている……こっちにブランクがあるから負けている可能性の考慮はしていたけど、それ以上にエンペルトの成長具合が大きすぎる!!)

 

 確かにジュンの行動は読みやすいけど、読まれてもなお無理やり押し通す。そんな思い切りの良さと無茶苦茶さが、彼の強さとなっている。

 

 智を倒すのはさらに強力な暴力。それを地で行く彼のエンペルトは、シロナさんとの特訓によってさらに強くなっている。

 

「へへん!どんなもんだ!!シロナさんとの特訓に、伝説のポケモンとの戦いでオレたちはもっと強くなったんだ!!今ん所お前に負け越してるこの戦績も、これからひっくり返してやるぜ!!」

「ペルッ!!」

「エンペルト!!『ハイドロポンプ』!!」

 

 ジュンの言葉に合わせて声を上げるエンペルトが口を大きく開け、ゴウカザルに向かって激流を吐き出す。

 

「ゴウカザル!!」

「ガウッ!!」

 

 みずタイプの技の中でも最高峰の威力を備えた技が、ボクの想像よりもかなり速い速度でゴウカザルに飛んでくる。攻撃を捨て避けることに全力を尽くしたおかげか、避けること自体は何とか出来たものの、ゴウカザルがいたところに突き刺さった水の塊は、砂浜に当たると同時に爆音を奏でながら水しぶきと砂をまき散らし、その破片が少し襲い掛かって来る。

 

「くっ……なんて火力……」

「いいぞ!いいぞ!!」

 

 伝説のポケモンとのバトル。そしてシロナさんの特訓を経てエンペルトは、ジュンの長所である攻撃に振った戦い方を更に強力なものにするために、純粋に技の練度を上げてきていた。

 

 ハイドロポンプとアクアジェット。どちらもここまでの上がり幅をしているのなら、他に覚えている2つの技も同じくいらの練度になっているだろうし、昔はわずかにこちらの方が強かった力比べも、今は逆転してしまっているとみていい。ブランクのことを考えればなおさらだ。

 

「このまま押し切るぞ!!エンペルト!!『アクアジェット』!!」

「ペルッ!!」

 

 ハイドロポンプを飛んで避けたため、ゴウカザルの着地にはわずかだけど隙ができる。その隙をつくために、全身に水を纏い、矢のような速度で飛び出すエンペルト。さっきマッハパンチと打ち合った時よりも速度はちょっと遅いものの、体を流れる水の勢いから威力は上がっていることがわかる。ただでさえ弱点を突かれている技なのに、そのうえ特訓による強化が入ったこの技を貰えば、戦闘不能にこそならないかもしれないけど、ゴウカザルには大きなダメージが入ってしまう。けど……

 

「ゴウカザル。『マッハパンチ』」

「そんな技でオレのエンペルトの強くなった『アクアジェット』は止められな━━」

「ペルッ!?」

「なぁっ!?」

 

 エンペルトのアクアジェットは、ゴウカザルが拳をぶつけた瞬間に巻き起こった()()()()()によって止められる。

 

 煙が晴れ、怯んだエンペルトの視線の先には、()()()()()()()()()()()()ゴウカザルの姿があった。

 

「な、なんだってんだよー!」

 

 急に姿が変わったゴウカザルに対して、ジュンのお馴染みのセリフが返って来るけど、ボクは気にせずゴウカザルに構えを取らせる。

 

「ジュン。確かに君は強くなっている。だけどね……」

 

 ゴウカザルが声をあげながら拳を打ち付けた瞬間、紫の焔が小さく爆発を起こす。

 

 この紫の焔を使った戦い方は、ボクがガラル地方で戦っていた時に見つけた戦い方だ。

 

「ボクだって、このガラル地方で成長しているんだ」

 

 ジュンが純粋な力をつけることによって成長したのなら、ボクはいろんな人と戦うことによって、たくさんの戦法を観たり、思いついていくことで成長してきた。

 

「君がさらなる力をつけて成長したっていうなら、ボクはさらなる知恵をつけて成長してきたんだ」

 

 ジュンはボクにその力を見せてくれた。なら今度は……

 

「悪いけど、戦績の逆転なんて絶対にさせないよ!!」

 

 次は、ボクが見せつける番だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




規制

ということで、ここでさらに規制についての追加ルールです。
これがないとネオラントたちもジムチャレンジに向かうことが出来てしまいますからね。

ジュン

久しぶりのバトル。
セリフは、プラチナバージョンの初バトルの時のモノです。

ゴウカザル

この戦い方に見覚え、ありますよね?
元々いろいろな作戦を考えて戦う彼にとっては、さらにレベルを上げるよりも、手札を増やす方が強くなります。この2人は、その対比も意識したりしていますね。




テラスタイプの情報追加されましたね。
間違いなくヌケニンはやばいと思いますが、逆にここまで来たら出禁になっていそうですよね。
他のポケモンで考えたら、個人的にはクレセリアがやばいと思います。
でんき+ふゆうのクレセリア……誰が倒せるの……?
かたやぶりが必須になりそうな気が……
後は動画で上がっていたのですが、エスパータイプポットデスの、からをやぶる+アシストパワーが純粋に強そうというのを聞いて、ちょっと心を打たれました。
ゴースト統一をした時は、テラスタイプもゴーストにしようと思ったのですが、ちょっとこのポットデスも使ってみたいですよね。
新作、本当に楽しみです。




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