【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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131話

「大丈夫か!?エンペルト」

「ゴウカザル……動ける?」

 

 バトルが終わると同時にそれぞれの仲間に駆け寄るボクとジュン。それに対して、ゴウカザルは顔をこちらに向けて小さく鳴き、エンペルトは仰向けに体を倒しながら返事をする。今回のバトルは確かにエンペルトの勝ちだったけど、この結果を見れば、あと少しでもゴウカザルの攻撃が深く当たれば結果は逆転していたかもしれない。それほどにまでギリギリの戦いだったように見えるだろう。

 

 ……その実、ちょっとだけ違ったりするんだけどね。

 

「ほんと、凄く強くなってるね……今回は負けちゃった」

「お前も、またややこしい動きをするようになったな……むしろ、付きっきりで鍛えてもらったのに、シンオウで留守番していたはずのゴウカザルにここまで追い詰められるのが未だに信じられないぞ……」

「ブランクはあると言っても、自主練は欠かしてないだろうからね。体のなまりも想像より全然なかったし」

 

 今回の敗因はゴウカザルの体のなまりではない。単純にジュンのエンペルトがかなり強くなっていたのと、カブさんの真似をする形で使ったあの戦法を、ボクがまだ理解しきれていないことにある。おにびを打ち付けあった時の爆風を上手く使えることに関してだったり、おにびを付け直すタイミングや、おにびで強化された拳でどのくらいのダメージを与えられるかの情報が不足していたため、げきりゅうが強くなる前にしとめ切る判断が上手くいかなかった。

 

 もっとも、『げきりゅう』が発動するタイミングはジュンの特訓によって体力のラインが変わっていたので、どの道難しかった感は否めなかったけどね。純粋にジュンが強くなっていた。今回はそれに尽きるかもしれない。

 

「あ〜もう、なんだってんだよ〜……」

「どうしたの?急に頭抱えながら落ち込んだりして……」

 

 けど、どうもジュンは今回の勝利に納得がいっていないみたいで、2人でゴウカザルとエンペルトの治療をしながら、ジュンはいつもの口癖を零し、落ち込んだ顔を浮かべていた。

 

「いやぁ……さっきのバトル、オレはてっきりヨノワールを出してくると思ったんだよ。お互いの成長具合を確かめるなら尚更そうだと思ったんだが……出てきたのがゴウカザルだったろ?別にゴウカザルが嫌だってわけでもないし、フリアが手を抜くようなやつとも思っていないから、このことに関して不満があるわけじゃないんだ。ただなぁ……」

 

 後頭部を手で掻きながら、どこか納得がいかないという表情を浮かべるジュンの姿に首をかしげてしまうボク。傍から見てもなかなか面白いバトルが出来たと思うし、お互いの成長、およびこの先の課題がなんとなく確認できたから個人的には満足なんだけど……。

 

「ゴウカザルってフリアと離れている期間がそこそこあっただろ?だから少なくないブランクがあるはずなのに、つきっきりで特訓していたオレと接戦っていうのがなぁ……さっきも言ったけど、やっぱり納得いかないんだよ」

「ああ、そういう……」

 

 単純な訓練期間に大きな差があるのに、ボクのゴウカザルに思ったよりも余裕の勝利を収めることが出来なかったことに不満があるようだ。確かに、向上心溢れているゴウカザルなら自主練こそ欠かせていないとは思うけど、ボクと一緒のトレーニングがない以上そのトレーニングの質は落ちてしまい、実質的なブランク状態となってしまう。一方で、シロナさんにここまでの間みっちりとしごかれているエンペルトは、自主練しかできないゴウカザルと比べてかなり濃密な時間を過ごすことができ、その分大きく成長することが出来ている。その成長具合はジュンが一番理解しているはずだし、実際対面してみてかなり強力な『げきりゅう』となっていたため、ジュンが自信を持つのもよくわかるし、何よりもさっきのバトルでその成長具合は証明されている。

 

 『げきりゅう』によってこんなにも強力な力を手に入れることが出来た。しかし、こんなに成長したのに、自主練しかしていないゴウカザルに勝ったとはいえ接戦となってしまっている。

 

 この現実に、どうやら少なくないショックを受けているようで、ジュン自身ちょっと落ち込みがあるみたいだ。

 

 確かに、ボクがジュンの立場でも同じようにちょっとしょげてしまうかもしれないけど……ジュンのエンペルトの強さと成長したところを確認してみて、そもそもの根底が間違っていることに気づく。

 

「ジュン……君、そもそもの『げきりゅう』の条件忘れていない?」

「『げきりゅう』の条件……?」

 

 ボクの言葉に首をかしげるジュンに、『やっぱり忘れているや』と小声でつぶやきながら、そもそもの前提の話を続けていく。

 

「ジュンが今回エンペルトを強化したところって、『げきりゅう』関連なんだよね?」

「あ、ああ……そうだけど……」

「じゃあ『げきりゅう』の発動条件ってなに?」

「そんなの、体力が減ったらに決まって……あ」

「気づいた?」

 

 ここまで説明してようやく何かに気づいたという声を出すジュン。

 

『げきりゅう』という特性はさっきもジュンが言った通りポケモンの体力が減ることによって発動する特性だ。それは特訓によって発動に必要な体力の上限が上がったとしてもついてくるものであり、切っても切れないものである。逆に言えば、ジュンがこの『げきりゅう』を軸にして戦う以上、この特性が発動するところまで()()()()()()()がある。

 

 ここまで言えばわかるだろう。

 

 ジュンの戦法は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()であり、そうなってくると例えゴウカザルが今よりもさらに弱かったとしても、エンペルトは今回と同じように追い詰められてから戦ったはずだ。逆に言えば、接戦にさえ持ち込めたら今回のように圧倒的な火力で押し切れるわけだから、むしろ誰が相手でも接戦の状況を作り出せるような立ち回りを覚えることの方が大事な気がする。そこまで成長すれば、ただでさえ現状ボクのゴウカザルではどうやったってエンペルトには勝てない状況なのに、その差をより大きく引き離されることになってしまうだろう。

 

「本当にボクとの接戦を嫌うなら、そもそも『げきりゅう』に頼らない立ち回りも覚えないといけない。でもジュンのエンペルトはもうこの戦い方に慣れているんでしょ?なら別にいい気はするけど……」

「そっか……なるほど……」

 

 ボクの言葉にようやく腑に落ちたジュンが、珍しく悩んだ表情を浮かべながらうんうん唸っている。自分の成長を確認できたと共に、明確な課題……というか、どうすれば成長するかの選択肢が見つかったおかげで、これからどうすればいいのかを考えるのに必死なんだろう。気持ちはよくわかる。

 

(ボクも強い戦法を真似るだけじゃなくて、今回の爆発を利用した高速移動みたいな感じで、さらにアレンジできるところとか、応用できそうな所をしっかりと探していかないとね)

 

 ジュンと同じくボクもいくつかの課題が見つかったので、今からどんな練習や訓練、戦法を考えようかちょっとワクワクし始める。まだまだ強くなる余地があると言うのはとても嬉しいことだ。と、そんなことを考えていた時に、ふと後ろから視線を感じたので振り返ってみると、視線の先にはこちらを見て固まってしまっているユウリ、ホップ、マリィの姿。『どうしたの?』と声をかけてみても反応はいまいち良くはなく、返ってくるのは生返事ばかりだ。なんでそんな反応かよく分からず首を傾げていると、ホップがゆっくり口を開く。

 

「いやぁ……フリアが負けるところ、初めて見たからさ」

「うん……相手のエンペルトが強いのはよく分かるんだけど、それでもフリアが勝つ姿しか予想してなかったっていうか……」

「いつもギリギリだけど、最後に機転を見せて乗り越えてるイメージだったから、ちょっと意外だったと」

「ボクはいつもギリギリでひやひやしてるからもうちょっとスマートに勝ちたいなぁって思っているんだけどね……」

 

 みんなからの評価と自分自身の評価の差異に若干の苦笑いを零す。前々から思っていたんだけど、ユウリたちはちょっとボクを持ち上げすぎな気がするんだ。ボクだって一端のトレーナーでしかないし、それ相応に負けだって経験している。むしろ、このジムチャレンジに挑戦している間に一回も負けを経験していない事の方がおかしいことだ。それに今までの勝負だって、ジムリーダーたちは戦い方こそ結構本気を出しているように見えたけど、繰り出してきたポケモンは全力の手持ちではない。全力の相手に勝ったわけじゃないのに、このジムチャレンジを全勝したからと言ってうぬぼれていられるわけがない。だってこの先にて改めて待ち構えているジムリーダーたちは、チャレンジの時と比べてはるかに強くなっているのだから。

 

「まだまだ、強くならなきゃだね……」

「ゥキィ……」

「ゴウカザル……」

 

 この先を見据えて考えていると、ボクの隣に申し訳なさそうな表情を浮かべて寄り添ってくるゴウカザルの姿があった。シンオウ地方の頃からの戦績を考えるとゴウカザルの方が勝ち越している。だからと言ってエンペルトを下に見ているわけではないけど、おそらく今回ほどどうしようもないと思わせるような負け方をしたのは初めての経験のはずだ。

 

 ほんの数ヵ月でできた差にしては少し大きすぎた。そのことがゴウカザルを少し追い詰めていたみたいで。

 

「ごめんね、2か月近くもほったらかしちゃって……」

「ガ、ガウキィ!!」

 

 謝りながら頬を撫でてあげるボクに対して、まるで『悪いのは自分だ』と言いたそうな態度で慌てふためくゴウカザル。戦闘スタイルや普段の性格は荒かったりするけど、こういうところで優しさを見せてくれるのがボクのゴウカザルだ。こうなってしまえば多分何を言っても自分を責めることをやめないだろう。だから、別のアプローチで励ましていく。

 

「お互い、まだまだ至らぬところもたくさんある。けど、シロナさんのおかげでまた一緒に特訓をする機会が出来たんだ。次は絶対にリベンジするために、ここで改めて一緒にがんばろ?」

「……ガウキィ!!」

「うん。その調子!!」

 

 ゴウカザルの意識の矢印を、さっきのバトルの後悔から未来へのリベンジに向けることでやる気を引き戻して元気づける。さっきまでの落ち込み具合が嘘のように元気にあったゴウカザルは、再び頭の炎を激しく燃え上がらせてリベンジを誓う。そんな熱くなったゴウカザルにあてられたのか、気づけば周りには、ボクの仲間である、ゴウカザルも含めた総勢11人のポケモンたちが集合していた。

 

「みんなもゴウカザルに置いて行かれないように頑張らないとね!!」

 

 ボクの言葉を聞き、ゴウカザルの姿を見て、同じように盛り上がり始めるみんなを見て、ボクも気が引き締まっていく。

 

「凄いぞ。落ち込んでいたゴウカザルをすぐにやる気に……」

「こういう、ポケモンと寄り添うのがうまいところも、フリアの強みだよね」

「特別なことをしているつもりはないんだけどね。ボクたちみんなの性格や思考が違うように、ポケモンたちもみんな違うからそれぞれに合った接し方を探して、会話して、遊んで、触れ合って、仲良くなって少しずつ理解してから歩み寄っていこうって思っているだけだから」

「だから、それが凄か。普通の人はたぶん、そこまで深くは考えることなかと。そんな凄いフリアだからこそ、あたしたちは評価してるんよ」

 

 マリィの言葉にうんうんと頷くユウリとホップ。こうも真っすぐ褒められてしまうとこちらとしても照れが出てしまい、このままみんなから視線を貰い続けるのがくすぐったくて仕方がない。ジュンとカトレアさんはともかくとして、シロナさんとヒカリ、そしてまさかのコクランさんからも生暖かい視線を感じるせいで余計に逃げたくなってくる。

 

「と、とにかく!!せっかくこんなに特訓に適した場所に来ることが出来たんだ!ダンデさんの意向でもあるし、ここはありがたくこの機会を使わせてもらって、さっそくみんなで特訓を━━」

「うふふふ……なかなか面白いバトルを見させてもらったよん!珍しくて、良いポケモンたちだね~」

 

 とにかく、みんなの意識をボクの方から練習の方向へシフトさせようと特訓のことについてしゃべろうとした瞬間に割り込んでくる声。その声は、ボクたちの中の誰のものでもない少しお年を召した男性のものだった。どうやら島の内陸の方から聞こえたみたいで、ボクたち全員でそちらの方に視線を向けると、そちらから歩いてくるひとつのかげがあった。

 

 その人物は、首元よりも下に伸びるほど長い眉毛を揺らせ、顎髭を右手でさすりながら、猫背姿でこちらに歩いてくる老人だった。服装は緑を基調としたものに黒色のラインの入ったジャージを着ており、ジャージの裾からは黄色い布がはみ出して見える。その黄色い布の左右にスリットが入っているように見えたり、ズボンが袋のように膨らんだ、白色のバギーパンツ……?みたいなものを着ているところや、この島に建てられているのが道場という情報から、あのジャージの下には『胴着のようなものを着ていそう』という想像が浮かび上がってくる。

 

 浮かべている表情は柔らかく、人当たりがよさそうな雰囲気を出しており、それは先ほど聞こえてきた言葉の口調から読み取ることが出来る。しかし、強いて気になることがあるとすれば……

 

(……このおじいちゃん、いつの間にこんな近くに……)

 

 ボクの手持ちには、こういった気配に敏感なエルレイドがいる。そのため、急に近づいてくる人がいればエルレイドが気づくはずなのに、ちらりと視線を向けてみれば、あのおじいちゃんの接近に一切気が付かなかったのか、エルレイドの表情が驚愕に染まっていた。

 

(あのおじいちゃん……只者じゃなさそう……)

 

 そんなことを考えながらも、おそらくこの島の住人であろう人に、部外者であるボクがいきなり観察するような視線を向けるのは無礼が過ぎるので、今頭に浮かんだものはすぐに奥にしまい込み、何事もなかったかのように視線を向ける。

 

「これはこれは、こちらから伺おうと思っていましたのに、わざわざ来ていただいてありがとうございます」

「ううんううん~。そんなに畏まらなくっても大丈夫よん。わしちゃんがしたくてしてることだからね~。むしろ、はるばるシンオウ地方からシロナちんのような凄いトレーナーが来てくれて、わしちゃんも年甲斐にもなくワクワクしちゃってるよん」

「私の方こそ、あなたとあえて光栄だわ。よろしければいろいろお話を聞いてみたいくらいです」

 

 秘めた思いを隠しながら視線を送っていると、ボクたちの代表としてシロナさんが前に出る。

 

 ボクたちが見守る中で行われた2人の会話は、一見変なところがないように見えて、お互いの視線が合間合間でやけに鋭くなる瞬間があり、一連のやり取りであのシロナさんと探り合うような会話をしているおじいちゃんにますます興味が湧いてきてしまう結果となった。

 

 その感想を持ったのはボクだけでなく、カトレアさんとコクランさん、そしてヒカリも、興味の視線を向けていた。

 

 そのうえで、おそらくその視線全てに気づいたと思われるあのおじいちゃんが、一瞬此方を見て微笑んできた気がした。

 

(本当に何者……?)

 

 いよいよ自身の顔から疑問の感情を隠せそうになくなってきた当たりで、シロナさんがこちらに振り返っておじいちゃんの紹介をしてくれた。

 

「みんな。この方はマスタードさん。このヨロイ島の道場の経営者であり、師範よ」

「初めまして~。わしちゃんの名前はマスタードだよん。よろしくねん」

 

 相も変わらず気の抜けた柔らかい自己紹介に毒気を抜かれてしまったボクたちは、口々に『よろしくおねがいします』と言葉を返していく。

 

 鋭い視線を向けてきたと思ったら喋り方はフワフワでつかみどころがない。そんな違和感を抱えながら口を開くボクたちだけど、ボクたちの中で2人だけ違う反応をしている人がいた。

 

「マ……マスタードさん!?」

「マ、マスタード……って、あの!?」

 

 それはホップとマリィの言葉。

 

 2人の口から聞こえてきた言葉と感情は驚愕の色に染まっており、戸惑っているがゆえに若干小声になってしまっていたボクたちの声に比べてとても大きく、思わずそちらに視線を向けてしまう程のものだった。

 

「有名な人なの……?」

「そりゃあもう!!ガラル地方ではかなりの有名人だぞ!!」

「知らない人の方が少なか!!」

「へ〜……の割には、ユウリは首を傾げているみたいだけど……」

 

 ふと横に視線を向けたら、いまいち状況を理解していないユウリの姿。本当にのおじいちゃんが有名人なら『ユウリも知っていそうだなぁ』と思ったのだけど、そんなことは無いのかな?

 

「ちょ、ユウリ!?お前こそよく知っているはずだぞ!?」

「ユウリ、本当に覚えてなか?マスタードって言ったら、あのマサル選手の……」

「お兄ちゃんの……あ、ああぁ!?」

「「気づくの遅っ!?」」

 

 ホップとマリィの説明によってようやく正解にたどり着いた様子のユウリが1歩遅れて驚きの声を上げる。けど、事情を全く知らないボクたちにとっては置いてけぼりのお話で。

 

「ねぇフリア。あの人、そんなにすごい人なの?」

「オレにはそうは見えないけどなぁ……」

「ボクもよく分からないや。ホップたちの様子とシロナさんの態度。そして……」

 

 さらに横にいるカトレアさんの方を見れば、彼女もまた何かを察したみたいで、ボクと目が会った瞬間、少しだけ首が縦に動いた。その動作は、暗に『あの人は物凄いトレーナーだ』と言っているような感じだった。

 

「そして……?」

「……ううん。なんでもない。とにかく、みんなの反応から考えて、あの人が実はすごい人なんじゃないかなぁくらいしか分かんないや」

「それなら教えてやるぞ!!」

 

 置いてけぼり同士で話し合っていたところに割り込んできたのはホップ。まるで自分の事のように誇らしく喋り出すその姿は、まるでダンデさんのことを話す時のようなテンションだった。

 

(ホップがここまで嬉しそうに喋るなんて……本当にすごい人なんだろうなぁ)

 

 漠然とした予想を抱えながらホップの方に耳を向けると、ホップがマスタードさんについての説明を始める。シロナさんもマスタードさん本人もそんなボクたちの様子をしっかりとみており、その上で黙っているあたり、説明は全部ホップに任せるようだ。

 

「じゃあ説明するぞ。マスタードさんはな、ガラル地方で1番長くチャンピオンの座にいた記録を持っている伝説のチャンピオンなんだ!!」

「その記録は実に18年。チャンピオンの入れ替わりが特に激しいガラル地方で、2桁年数チャンピオンを死守出来たら奇跡だと言われているのに、そんな中20年近くもトップに君臨し続けた人と。この防衛記録は未だに誰にも破られてなか」

「そして何よりも、彼はダンデさんの師匠であり……去年のジムチャレンジで優勝し、ダンデさんと戦ったマサル選手の……私のお兄ちゃんの、師匠兼推薦人だよ」

「伝説のチャンピオン……!?それほんとか!?」

「18年防衛って……他地方でも難しいわよ……そんな記録聞いたことない」

「それに……あのダンデさんの……そしてユウリのお兄さんの師匠……」

 

 ホップたちから聞かせられる、知れば知るほど人間離れした経歴に、ジュン、ヒカリ、ボクの3人で、驚きながら口を開く。

 

 歴史に名を残すレベルの人物が今目の前にいる。

 

 その事に、少なくない畏怖と尊敬の念が芽生えてくる。

 

「そんな畏まられると、わしちゃんもみんなと話しづらいよん」

 

 そんなボクたちの気持ちを知ってか知らずか、どう動けばいいのか分かっていないボクたちをスルーしてマイペースに口を開くマスタードさん。相変わらず柔らかいその口調からは、やっぱりホップたちの言うような記録をうちたてた人にはとても見えない。どう考えても、話で聞いた人物像と実際に接してみた時とのギャップが大きすぎて、頭を抱えてしまいたくなる程で。

 

「とりあえず、ここでお喋りも足が辛いと思うし〜、まずはわしちゃんの道場に来るといいよん。そこでもてなしてあげるね〜」

 

 けど、その差異から感じるのは不気味さではなく……

 

「あ、そうそう。これは言っておかなきゃね〜」

 

 まるでこちらを包み込むような暖かさだった。

 

「ようこそヨロイ島へ〜。わしちゃん、みんなを大歓迎するよん!」

 

 そう言いながら、嬉しそうに前を歩くマスタードさんに続いて、ボクたちは若干の戸惑いを覚えながら、道場への道を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジュン

改めて接戦だった理由。
『げきりゅう』前提ならこうなりますよね。
襷カウンターをリアルでしているようなものなので。
別にジュンさんが弱いわけではない……というか、実機の中で見てもかなり強い方だと思っています。
ジュンさんの御三家の最高レベル85というのは、プラチナから十何年もたって今でさえ、歴代3位の高さを取っていますし、平均をとっても歴代5位にいます。
さすがはフロンティアブレーン……というか、タワータイクーンですかね。の息子。と言ったところでしょうか。

マスタード

全盛期はおそらくダンデさんよりも強かったのではないかと思しき方。
18年防衛、およびダンデさんの師匠は公式設定ですね。ここに追加で、この作品ではマサルさんの師匠も兼ねてます。
この作品の最初の方でも、ダンデさんが推薦状を書いたのは初めて(と書いた気がする……抜けてたらすいません)となっているので、この方に書いてもらっていることになりますね。ということはマサルさんの手持ちには……?
ダンデさんがあのポケモンを持っていない理由は、あの訓練に失敗したというのが理由みたいですけど、さらに詳しく言うと、道に迷ってしまったため、進化できるあの場所に辿り着けなかったらしいですね。
確かにあの島は迷いやすい……




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