【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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134話

 ヨロイ島は複数のエリアからなっている大きな孤島だ。その数はなんと16エリアも存在し、このエリアごとにワイルドエリアと同じように天候が変わるため、場合によってはこちらの方が厳しいと感じる人も多いかもしれない程の自然の厳しい場所となっている。

 

 天候だけならワイルドエリアよりも比較的安定はしやすい方なので、その点に関しては楽だと明確に言えるけど、つい十数年前まで人の手が一切加わっていなかったこの島は、人間によって少なくない管理と保護を受けているワイルドエリアと違って、野生のポケモン同士の争いも多い方となっているし、その争いの数に比例して、気性の荒いポケモンも少し多く見受けられる。少し沖の方に視線を向けた時に映るサメハダーたちの高速遊泳を見ていただけたら、この海域の危険度が何となく伝わるはずだ。だからこそ、この島にくる方法が空路しかないわけだしね。

 

 さて、少し話を戻して……そんな16のエリアに別れているこのヨロイ島についてなんだけど、16全てのエリアについて説明をするととても長くなってしまうので、とりあえず今は関係のありそうなエリアだけ軽く説明するとしよう。

 

 まずはボクたちが飛行船を降りた駅と、マスター道場がある『一礼野原』。綺麗なビーチと穏やかな草原が広がるこの場所を基準にし、北西に進むと広がる湿原を『清涼湿原』といい、クララさんがヤドンを捕まえた場所がここにあたる。次に、この『清涼湿原』を北に進むと、『集中の森』と呼ばれる森林地帯があり、さらに北へ進めば『鍛錬平原』と呼ばれる平原が広がる。自然の多いヨロイ島の中でも特に緑の多い場所となっており、くさタイプやむしタイプ、ノーマルタイプといったポケモンが多くいるように感じる場所となっている。一方で、『清涼湿原』と『集中の森』から西に進めば景色は一転。ボクたちがここに来て最初に見たビーチよりもさらに広い、『チャレンジビーチ』と呼ばれる砂浜が来訪者を迎え入れる。この地域は前の紹介した3つのエリアと違い、じめんタイプやひこうタイプがよくいるイメージだ。また、全体的に水の多い島なので、今紹介したエリア全部にみずタイプのポケモンも多い。そして、ここまで紹介した5つエリアの中でも、今回大事になってくるのが、『清涼湿原』、『チャレンジビーチ』、『鍛錬平原』の3箇所だ。

 

 道場を出る前にクララさんに確認した結果、ヤドンの場所はさっきあげた3箇所で走り回っているらしく、彼女のクリア目標はこの3匹のうちのどれか1匹でも捕まえられたらOKという内容だったらしい。

 

 最初こそは、「ヤドンの捕獲なんて楽勝!!なんなら3匹とも捕まえっぞォ!!」と意気込んで、悠々と外にとび出たらしいんだけど、蓋を開けてみたらご覧の有様だ。特に、クララさんの時点ではクリア報酬の話なんて出ていなかったらしく、その難易度の高さに余計に頭を抱えたそうな。けど、全ては大好きで尊敬するマリィの隣に立って、恥ずかしくない人になるためという目標のため、自らを鼓舞して前に進み、やっとの思いで捕獲できた。だけど……その先はボクたちが見た通り。という訳だ。

 

 クララさんは自分を卑下する発言を多く残すけど、その実、キバナさんにジム戦で勝つくらいの実力はしっかりと兼ねている優秀なトレーナーだ。そんな彼女がここまで凹んでしまうほどの難易度のゲーム。彼女の話を聞いたボクたちは、ますます先発組であるホップとジュン、そして門下生のみんなのことが心配になった。もしかしたら、既にクララさんのように心を折られている人が現れていてもおかしくは無い。そう思い、ボクたちが先ず足を向けたのは、ここから1番近い『清涼湿原』だった。

 

 南に向かってその扉を解放しているマスター道場から出たボクたちは、右手に見える通路に沿って歩いていく。

 

「ここを道沿いに行けば『清涼湿原』だよね?」

「ええそうよォ。なんなら、もうちょっと歩けばもう見えてくるわよォ」

「そんな話をするうちにもう見えてきたみたい……だけど……」

「たったちょっとの距離でも、随分雰囲気違うと」

 

 距離としては十数分も歩けばたどり着くその場所は、しかしマスター道場付近とはあまりにも景色が違い、とてもじゃないけど同じ島とは思えないほど違う雰囲気を纏っていた。

 

 清涼湿原。

 

 名前の通り辺り一面に広がる湿原は、平原の途中途中に見える水溜まりの存在によってひと目で分かるくらいには潤いのある場所になっている。しかしその一方で、夏ゆえの湿度の高さからくるジメジメ感が意外と少なく、風通しがいいのか、湿原という名前から連想されるような不快感を感じる湿度は体感することはなかった。湿度を確認すれば間違いなく高い数字を誇っているはずなのに、どこか爽やかさを感じることができるからこそ、湿原の前に『清涼』の2文字がくっついているのだろう事を、身を持って実感することが出来た。

 

 いつものボクなら、この場所にたどり着いた瞬間に、この自然広がる綺麗な湿原に感嘆の声を漏らしていたことだろう。しかし、今日だけは感動した気持ちを口にすることが出来なかった。なぜなら……

 

「……やっぱり、コテンパンにやられてるっぽいね」

「なんて言うか……凄いね」

「死屍累々と……」

「うちはみんなの気持ちがよーくわかるゥ……」

 

 木陰、岩場、倒木、等など……ありとあらゆる休憩出来そうな地点にて、マスター道場の門下生の証でもある、黄色と黒の道着を来た人が、腰を下ろしたり地面に手をつけたりして、必死に呼吸を整えている姿が見られたためだ。

 

 本来なら自然の美しい場所のはずなのに、そうやって体を休めている人がそこらじゅうにいる今の状態は、とてもじゃないけど景色を堪能できるようなものでは無い。むしろ、クララさんとの会話と、マスター道場から歩いてきた数十分程度の時間しかボクたちとのラグは無いはずなのに、それでもここまでの状態に陥ってしまっているという現状に、このゲームの難易度の高さを改めて思い知らされているような気がした。

 

「とりあえず、まずはみんなの介抱から始めよう」

「うん。このまま放っておくと、野生のポケモンに襲われそうだしね」

「せめてみんなを1箇所には集めておきたかと」

 

 かと言って、ここで足を止めるわけにもいかないので、まずは門下生のみんなを集めてちょっとした拠点のような場所を作ってあげる。周辺にスプレーを軽く撒いておけば、その中心の空間はちょっとした安全スペースになってくれるだろう。少なくとも、このゲームによって消費された体力を回復する時間くらいは稼げるはずだ。

 

「はぁ……はぁ……こ、こんなにきついとは思わなかった……」

「あのヤドン速すぎるだろ……」

「野生のポケモンも侮れないわよ……」

「す、すまないな……わざわざきずぐすりやげんきのかけらまで分けてもらって……」

「いえいえ、気にしないでください。こういう時は助け合いですよ」

 

 臨時で作った休憩所にはすぐに人が集まってきた。1人で動くのが辛そうな人には、ボクやボクのエルレイド、マリィのオーロンゲといった、体力と力に自信のあるメンバーによって移動を手伝い、1人で動ける人はこの休憩所を見かけた時に勝手に近寄ってきては、ボクたちの手伝いをしてくれた。手伝ってくれる門下生が思いのほか多かったおかげか、ひとまず『清涼湿原』でへばっていた門下生たちに関しては、全員集めて休ませることには成功した。これでとりあえず安心できる状態にはなっただろう。……ボクが人に肩を貸して運んでいる時に、物凄く心配されたのは納得いかないけど……。ボクは身長が低いだけで力はそれ相応にあるつもりなんだけどなぁ。

 

「フリア〜。こっちも全員大丈夫そう〜」

「あたしの方も、これで安心と」

「OK。2人ともお疲れ様」

 

 そうこうしている間にユウリとマリィも一通り仕事を終えたみたいで、こちらに近づいては状況報告をしあっていた。ちなみにクララさんに関しては、ヤドン追いを終えてすぐにここに来ているため、まだポケモンもクララさん自身も回復していないだろうと判断し、今回は要休息者としてこの場所で休んでもらっている。心のショックもでかいだろうし、暫くはここでみんなとゆっくり腰を据えて休んで欲しいというのが、ボクたち3人の共通の意見だった。

 

 さて、ようやくひと段落着いて周りを見渡す余裕が出来てきたんだけど……既に気づいている人が何人かいるかもしれないけど、ボクたちが1番気にかけている人物が、どれだけ周りを見渡しても一向に姿が見えない。勿論、あの元気と体力がカンストしていそうなあの2人が、いくらハードな特訓内容とはいえ、高々数十分走り回った程度では疲れを見せるだなんてことはひとつも思っていないのだけど、それにしたってこれだけ賑やかにしてかつ、人の助けとなることを行っているこの場所には、なんだかんだで根は優しい2人は顔を出すだろうと思っていた。しかし、現実はいつまで経っても2人の影が現れることはなく、結局そのまま全員の回復が済んでしまった。他の人に2人の行方を聞いても、『先に走ってしまい追いつけなくなってからは、どこに行ったのかは知らない』の言葉しか聞くことがなかったので、本当にここの付近には居ないみたいだ。

 

「ちょっと心配だね。あの2人ならそう簡単にやられるとは思わないけど……」

「ホップに関しては言わずもがなだし、ジュンに関しても、フリアとあんなバトルができるなら、確かに大丈夫そうだけど……」

「心配には変わりなかと。マスタードさんに鍛えられて、このあたりの地理に強かはずの門下生たちでもこの状態。あまり楽観もしてられんとよ?」

「だとしても、今は無事を祈るしかないかな……」

 

 マリィの言葉は確かに一理あるけど、これだけ見渡してもいないのなら現状ホップとジュンはこの『清涼湿原』にはいない可能性が高い。となると、2人がいる可能性のある場所は『鍛錬平原』か『チャレンジビーチ』の2択になるんだけど、さっきも説明した通り『鍛錬平原』は北。『チャレンジビーチ』は西と、別の方向に存在する。2人がどっちに行ったか分からない以上、下手に追えばすれ違いになって無駄に体力を使う可能性だってあるし、そもそもの話、ここにいる門下生たちが、マスタードさんの抱えているお弟子さん全員という訳では無い。話を聞く限り、ここにいない門下生さんたちは、ホップとジュンについて行って、さらに島の奥へと進んでいるみたいなので、ホップとジュンに何かあっても、最悪はついて行っている門下生の方たちが何とかしてくれるだろう。……それすらも振り切って先に進んでいる可能性もゼロでは無いところが若干気がかりだけど……その時はその時だ。

 

「それよりも、ボクたちはボクたちでやるべきことをしないと……ね?」

 

 ジュンとホップへの心配をひとまず脇に置きながら、ボクが視線をある方向に向ける。

 

「確かに……ホップたちの援護をするにしろしないにしろ、私たちはあの子をどうにかしないといけないもんね」

「むしろ、あたしたちで攻略法を見つけてしまえば、合流してすぐに手伝えるし、そっちの方が結果は良さそうとね」

 

 ボクに釣られてマリィとユウリも同じ方向に視線を向けると、その先には()()()()()()()()()()()()()()、ガラル地方の姿にリージョンフォームしているヤドンの姿。

 

 間違いない。あの時クララさんの手元から逃げ果せたあのヤドンだ。

 

 湿原の至る所に溜まっている水源の近くで、よく見るのんびりと、そしてどこか抜けているような顔をうかべたヤドンは、自身のしっぽが切れているのに気づいているのか怪しい程まったりとしており、その証拠に本当にさっきまで起きていたことを忘れているかのように、水を飲んでくつろいでいた。

 

 どこからどう見ても隙だらけなその姿。だけど、先程の寸劇が頭から離れないボクたちは、どれだけ後ろからこっそり近づけたとしても、どうしても一瞬で逃げられる想像しか頭によぎることがなかった。実際、今からそうしたって想像通りの結果にしかならないだろう。かといって何もせずにじっと見続けるのだと結局場は動かないし、情報だって何も手に入らない。

 

「とりあえず、まずは近づいてみよっか」

 

 ボクの言葉に頷くユウリとマリィの姿を確認したボクは、一応念のためモンスターボールを構えながら、できる限り足音を立てないようにゆっくりと歩いて行く。

 

 どうせ見つかってしまうのならそんなにゆっくり動く必要はないのでは?と思うかもしれないけど、このゆっくりとした動きは何もヤドンに見つからないようにしているだけじゃない。ヤドンにしっかりと目線を向けながらも、周りにもしっかりと視線を向けていく。

 

 さっきも言った通りここは『清涼湿原』と呼ばれる自然豊かな場所で、野生のポケモンも多くいる場所となっている。今も少し顔を横に向ければ、野生のバッフロンが美味しそうに草を食べているし、さらに別のところに視線を向ければスコルピとドラピオンが大群で歩いている姿が目に入る。また、水たまりの方に目を向ければ、気持ちよさそうに水浴びをしているウパーとヌオーの親子がいた。一見すると自然とポケモンが伸び伸びと生きている平和な姿。しかし、忘れてはいけないのが先ほどクララさんから聞いた言葉。

 

『ヤドンが逃げた先にいる野生のポケモンが、的確にうちの邪魔をしてくる』

 

 温厚そうに見えるこの子たちも、今ボクたちが追いかけているヤドンがひとたび何かアクションを起こせば、一斉にこちらに爪やらキバやら角やらを向けてとびかかってくる可能性がある。野生のポケモンに負けるとは思っていないけど、これだけの数のポケモンに同時に襲われると、少なくない量の体力を奪われることになるだろう。現に、それで門下生の人たちは削られているわけだしね。なら、少しでもその可能性を低くするために、足音をできる限り殺し、刺激しないというのは大切な行動のはずだ。最も、ボクたちがヤドンに気づかれた時点でこの子たちが一斉に襲ってくるのなら、ボクたちが今している行動はやっぱり無駄になってしまうんだけど……やらない後悔よりやる後悔だ。この辺の判断は、今のボクの性格によるところが大きい。

 

(さてさて、いったいどう動くかな……?)

 

 なんてことを考えているうちに、ヤドンとの距離がかなり縮まっており、普通のヤドン相手ならここから走ったとしても、周りのポケモンに襲われる前に捕まえて逃げることが出来るだろう所まで来ていた。しかし、今回追いかけているのは例のヤドン。恐らく既にボクたちがいる場所はヤドンの警戒範囲であり、このまま進めばきっとヤドンは行動を起こすだろう。

 

「ヤアァァァン!!」

 

 と思った瞬間にヤドンから上がる雄たけび。

 

 普段まったりとしたヤドンが、こんな力強い雄たけびをあげていることに物凄い違和感を感じながらも、今はその辺の感想を無視してヤドンの観察を続ける。すると……

 

「ヤンッ!!」

 

 再びものすごい勢いでここから走り去っていくヤドン。しかし、今回はあらかじめ素早く動くという前情報を持っていたため、見失うことなくヤドンの動きを目で追うことが出来た。それはボクだけではなく、横で一緒に見ていたユウリとマリィも同じだったみたいで、ヤドンをしっかりと視界に捉えながら口を開き始める。

 

「前視界から消えたように見えたのは、私たちが『ヤドンは遅い生き物だ』っていう固定概念に囚われていたからだったんだね」

「その情報を持った状態で改めて注視すれば、消して追い付けない速さというわけじゃないことが分かったと」

「でも楽観ばかりはできないね」

 

 ユウリとマリィの言う通り、固定概念を捨ててそういうものなんだと意識を改めれば、決して目で追い付けないものではない。しかし驚異的な速さであることには変わりはなく、あの固体に追いつけるほどの素早さを持っているポケモンなんて限られている。それこそ、ボクのメガヤンマやクララさんのペンドラー、それに、何回もオーラぐるまを行ったマリィのモルペコぐらいではなかろうか。他のポケモンでは、いくら追いかけたところで追いつくことなんて不可能だろう。しかし、だからこそわかったことがある。

 

「『素早いポケモンがないとクリアできない』。そんな理不尽なゲームにはマスタードさんは絶対にしないはず。じゃないとゲームとして成り立たないもんね」

「ってことは、やっぱりあるとね。何かしらの攻略の糸口が」

「むしろなかったら、あとで門下生さんたちに大バッシング受けちゃいそうだもんね」

 

 前提としてこのポケモンを持っていないとクリア出来ない。みたいなクリア条件なら、わざわざゲームという形で全員参加のものにはしないだろう。それこそ、最初のクララさんだけでやっていたみたいに、特定の個人に向けたメニューとして課題を出せばいいだけだ。逆に言えば、全員に対してこの課題を出したということは、参加者全員にクリアする術があるということになる。なんせ、最初にこの課題を受けたクララさんは1人で挑戦していたわけだし、実際に1度ちゃんと捕まえている。なら、まだどこかしらに糸口があるはずなのだ。

 

(……けど、唯一クリア出来る人が絞られている理由が1つだけ、あるにはあるんだけどね……)

 

 頭の中に思い浮かんだ1つのとても意地悪な解答にたどり着き、少しだけ苦笑いをこぼすボク。もしこの予想が当たっているのなら、マスタードさんはかなりの意地悪者だ。『()()()()()()()()()()商品をあげる』という報酬が、ボクたちの動きを物凄く邪魔してきそうだ。

 

 と、ここまで色々考えたけど、現状どれも確証を得られるものにはなっていない机上の空論だ。ボクのこの考えを裏付けるにせよ、否定するにせよ、やはり情報というものはとても重要になってくる。ならば、ボクたちのとるべき行動は、あのヤドンについてしっかりと観察をすること。

 

「とにかく、今はあのヤドンをまた追いかけよう。そうすればもうちょっとわかることがあるかも━━」

「「フリア!危ない!!」」

「━━しれな……え?」

 

 ヤドンの観察のために再び動こうとしたところで、ユウリとマリィからかけられる叫び声。その声に反応して振り返ると、そこにはこちらに突進してこようと構えているバッフロンの姿。それも1匹や2匹ではなく、今ボクたちがいる場所の周辺にいるバッフロン全てがこちらを向いていた。

 

 

「ヤアアアァァァァンッ!!」

 

 

(ヤドンの声にひかれたのか!!)

 

「タイレーツ!!『インファイト』!!」

「ズルズキン!!『かわらわり』!!」

 

 走ってくるバッフロンに対して、ユウリとマリィがすかさず迎撃を始めてくれたおかげで、ボクの方にまで攻撃が来ることなく止められた。しかし、この間にも遠くへと離れていくヤドンの姿がどんどんと小さくなっていく。このままだと、あと数秒もすればヤドンを完全に見失うだろう。

 

「逃がさない!!グライオン!!メガヤンマ!!」

 

 それを防ぐためにボクもすぐさま仲間を呼び、指示を出す。

 

「メガヤンマはヤドンの追跡!!攻撃はしなくていいよ!!まずは追いかけるだけでいい、自慢の素早さで駆け抜けて!!グライオンは高く飛び上がってこれで撮影をお願い!!」

 

 ボクの指示を聞いた瞬間飛び立つメガヤンマとグライオン。

 

 特性『かそく』でぐんぐん速くなっていくメガヤンマは、放っておけばいつかヤドンにたどり着くだろう。そしてグライオンは、ボクの携帯を大切そうに抱えたまま、風に乗って大空へと浮かび上がる。これで、たとえボクたちがこれからヤドンを追いかけることが出来なくなったとしても、グライオンが証拠を残してくれれば大きな情報となるだろう。強いて言えば、シロナさんの言っていた『目立つ動き』に該当していないかがちょっとした不安要素ではあるけど……まぁ、メガヤンマとグライオンなら、特に問題を起こすことなく帰ってきてくれるはずだ。ここは長年一緒に旅をしてきたことによって出来た信頼を大事にする。

 

 それに、今は目の前のことに集中しなくてはね。

 

 バッフロンの攻撃を次々捌いていくタイレーツとズルズキン。どちらもかくとうタイプであるため、バッフロンに対して有効な技で対処することができ、おかげで数の不利を跳ね返すことが出来ている。しかし、今この場にいる野生のポケモンはバッフロンだけでは無い。遠くの方に視線を向ければ、ヌオーがこちらに向けてマッドショットを構えているのが見える。これを貰えば、タイレーツとズルズキンが押され返される可能性がかなり高い。だからボクはそれを止めるべく、3つ目のボールを投げる。

 

「チリーン!!『エナジーボール』!!」

「リリーン!!」

 

 チリーンから繰り出された緑色の珠は、正確にヌオーを貫き、戦闘不能に追いやる。

 

「前衛は2人に任せるから、援護は任せて!!」

「「了解!!」」

 

 ヌオーが倒されたことにより、周りのポケモンたちがさらに反応を示してこちらに寄ってくる。それはまるで波のようで……

 

(なるほど、これは厄介だ……)

 

 厳しい状況。だけど、どこかこの状況をボクは……ううん。ボクたちは楽しんでいた。

 

「さぁ、ここはまだまだ課題の通過点なんだから、これくらいさっさといなしていくよ!!」

「当たり前と!!今更この程度のことで動揺なんかしないんだから。コロッとやっちゃって、早くヤドンを追いかけると!!」

「ヤドンのしっぽのフルコースが待ってるんだもん!!そのためなら、なんだって越えられる気がする!!」

 

 相変わらずのユウリの言葉に苦笑いをこぼすボクとマリィ。けど、これはこれでいつものボクたちらしく、変に緊張するより全然いい。

 

 改めて気合いを入れ直したボクたちは、迫り来るポケモンたちに対して構えを取り、激しい迎撃戦へと身を投じて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヤドン

実機では清涼湿原に3匹全て居ますが、ここでは3箇所に行ってもらってます。
1箇所に全員だと、少しワチャワチャしすぎる気がしたので……

クリア報酬

なんで意地悪なんでしょうかね?




アニポケでトゲキッスがダイマックスしてるのを見て懐かしいと思いました。
さてさて、サトシさんは勝てるのでしょうか……本当にどっちが勝ってもおかしくないのでドキドキしますね。




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