「元々こういった観察や作戦立てがいちばん得意なのはフリアだもん。今更反対することもないし、私はフリアが決めてくれたことなら信じてついていくよ」
「あたしも同感と。悔しいけど、この辺りはあたしもなかなか手が出せない場所。だから、フリアを頼りたい」
「うちはもう、クリア出来ればなんでもいいわよォ〜〜〜〜ッ!!」
「……わかった。ありがとうみんな」
首を縦に振った3人から貰った言葉は、ボクを真っ直ぐ信じてくれる言葉。……クララさんはちょっと違うけど、あまりにも真っ直ぐすぎて、思わず少し恥ずかしくなってしまうほどだ。それだけ信頼されているんだと思うことで、なんとか恥ずかしさを抑え込み、話の本題へと早速移ろうとする。
「じゃあ早速ヤドンについてわかったことを━━」
「お〜い!!誰か来てくれ〜!!」
「━━話そうと思ったんだけど、なにか騒がしくない?」
「何かあったのかな?」
しかし、そんなボクたちの声を遮るように、休憩時に大きな声が響き渡る。そちらの方が気になったので、少し視線を向けてみると、どうやら今までここにいなかった門下生たちも続々と帰ってきているみたいで、ボクたちが清涼湿原で戦っている間にチャレンジビーチに向かっていた人たちが帰ってきていて、そしてたった今、鍛錬平原に向かっていた人たちが、この休憩所に合流してきていた。言われて周りを見渡してみると、確かにここにいる人数が増えていることに気づく。話を聞く限り、これで門下生の人たちが全員揃ったらしく、誰1人として欠けることなくまた集まることができたことに、少なくない安心感を覚えた。
「とりあえずみんな無事でよかったと」
「けど、やっぱり誰もヤドンを捕まえてはいないわねェ」
マリィとクララさんの言葉を聴きながら帰ってきた人たちを見てみるけど、彼女たちの言う通り、その手にヤドンを抱えている人は誰もおらず、みんながみんな疲弊しきった顔をしていた。彼らもまた、野生のポケモンたちにこってり絞られて帰ってきたということだろう。
「あれ、門下生の人たちがみんな帰ってきたってことは、ホップたちはどうなったのかな……?」
「そういえば………」
鍛錬平原とチャレンジビーチ、そのどちらからも門下生が帰ってきているのなら、同じくどちらかに向かっているホップとジュンも帰ってきていると考えて良さそうなものだ。ユウリの言葉のおかげでその事を思い出したボクは、改めて周りを見渡してみる。すると、飲み物を準備している場所に目的の人物はいた。
「「ぷっはぁぁぁああ!!生き返る〜!!」」
「よかった。予想よりは元気そうだ」
「あのお騒がせコンビのこと。あまり心配はしてなかと」
「まぁまぁ。無事が確認できて良かったってことで」
「むしろうちはなんでまだあんなに元気なのか不思議なんだけどォ……」
各々の感想を述べながらホップたちに近づくボクたち。美味しそうにお茶を飲み干す彼らに若干の呆れを感じながら歩いていたところ、向こう側もこちらに気づいたみたいで、コップの中身をこぼしそうな勢いでこちらに駆けつけてきた。
「おいお前ら遅いぞ!!もっと速く来れば絶対にヤドンを捕まえられたんだぞ!!」
「はいはい。結局失敗したのね」
「うぐぐ……あとちょっとだったんだよ~!!あのストライクとカイロスさえいなければ~!!」
「あ、あはは……え、えっと……ジュンはこう言ってるみたいだけど、実際はどうだったの?ホップ」
「ああ、ヤドンの姿をたびたび見かけることはあったんだけどな……いかんせん野生ポケモンが多すぎて最後まで追いかけきれなかったんだ。あとは━━」
ボクとジュンが言い合っている間にホップに話を聞くユウリ。鍛錬平原の方は情報が全くないので、ホップからの意見はとても助かるんだけど、話を聞く限りどうも清涼湿原と状況自体はあまり変わらないようだ。変化があるとすれば出てくるポケモンの種類が少し違うくらいで、それすらもいくつかタイプがかぶっており、バトルする時の対策もボクたちが闘った時とあまり変化する必要がなさそうに聞こえた。こうなると、環境が一番違うチャレンジビーチの方が余計気になってくるかもしれない。
「━━っと、こんなものだぞ。そっちもおんなじ感じか?」
「概ねそうと。ただ、あたしたちはホップたちと違って、情報取集のための行動だったから全然消耗してなかと。現にあたしたちの被害はあるにはあるけど、想像よりは少なめだし……」
「みたいだな。オレたちは無理やり突き進んでたからその分被害は大きかったんだよなぁ……」
ホップからあらかた情報を教えてもらったところで、2人の今の手持ち状況を聞いてみると、ジュンはカビゴン、ロズレイド、ギャロップが、ホップはカビゴン、ウッウ、バチンウニが戦闘不能となっており、戦闘不能になっていないポケモンたちもそれなりに疲労している状態になっているらしい。その分、鍛錬平原の野生のポケモンは倒してきたみたいだけど、それでも撤退を余儀なくされるくらいには、まだまだ戦力は向こうの方が多いらしい。野生なんだから、数が多いのは当然と言えば当然なんだけどね。
「んで、フリア。お前のことだからあらかた状況と解決方法はわかってるんだろ?教えてくれ」
ホップの語りが終わったところで話題を元に戻すジュン。自分ひとりでクリアできそうにないことに怒ってはいたけど、こういう時の切り替えの速さは単純に彼のいいところでもある。せっかちという性格も、たまにはいいところがあるのかもしれない。と、ジュンの性格についてはひとまず置いておいて、みんなの話が落ち着いたところで、改めてみんなに今回のヤドン捕獲ゲームについての話を始める。
「それじゃあ改めて、まずはこれを見て欲しい。メガヤンマとグライオンが頑張って撮影してくれた動画だよ」
ユウリたちは既にみているけど、ホップとジュンは見ていないので改めて動画を流し、確認してもらう。
「相変わらず速すぎるぞ……」
「フリアのメガヤンマでも追いつくのがやっとなのか……道理でオレたちがよく見失うわけだぜ」
その動画に対する2人の初見の意見を聞き、一通り動画を流し終わったところで、ボクは続きを喋りだした。
「ご覧の通りヤドンは超高速で走り回っている。これを正直に真っ直ぐ追いかけ回すには、ボクのメガヤンマのような、速さに自慢のあるポケモンが手持ちに居ないと不可能だ。だけど、それは逆に何かしらの突破方法があると、ボクは思ってた」
「それは前も言ってたよね」
「確か、固定のポケモンが居ないと捕まえられないのなら、そもそもクリア報酬がおかしいって話と」
「ああ、そう言われるとそうだよな。じゃなきゃおかしな話……って、フリア、今『
ボクの言葉に乗っかって発言するユウリとマリィの言葉に、ホップが納得言ったかのような言葉をあげ、そのうえでボクの言葉尻を捉え、周りもその言葉につられてボクの方に視線を集めた。……正確には、言い間違いではないから言葉尻では無いのだけど……今は置いておこう。
「まずはヤドンの行動について話そうか」
ホップの指摘と、ボクたちの作戦会議が気になるらしい周りの門下生たちの、絶妙に丸わかりな聞き耳を立てている姿を無視しながら、ボクは言葉を続ける。
「結論から言うね。まずこのヤドンなんだけど、この子が逃げるルートには法則性が……ううん。そんな大それたものでもないね。もっと単純に、
「そこまで言い切るのか……」
「法則性はあるかもとは思ったけどォ、そこまで言い切れる理由はァ?」
「簡単だよ。さっきの動画を見ればわかるけど、ヤドンの走っている場所がずっと同じだからね」
もう一度動画を流してみると、ヤドンとメガヤンマの追いかけっこのルートが似通っている場所が多々ある。グライオンが上空から俯瞰して撮影したからこそ分かる状況だ。
「湿原そのものが広かったり、ルートが複雑だったり、野生のポケモンの妨害のせいで、実際に追いかけていたら方向感覚を狂わされて気づきにくいけど、こうしてみたらルートが固定されてるのがよく分かるでしょ?」
「でもちょっと待って。それだとあたしたちが野生のポケモンと戦っている時にヤドンが現れなかったのが説明つかなか」
ボクの言葉に反論するのはマリィ。確かに彼女の言う通り、ヤドンの走るルートが固定されているのなら、ヤドンはいずれ同じ場所に戻ることとなる。しかし、ボクたちは同じ場所で長く戦っていたのにヤドンが再び姿を現すことは無かった。メガヤンマに追いかけられていることもあり、途中でヤドンが止まっていたこともありえないので、そうなるとマリィの言う通り破綻してしまう。けど、それについても大凡の答えは出ている。
「それに関しては、単純にルートが複数あるだけだね」
「ルートが複数……?」
「例えの話。ヤドンがルートAに則って逃げていたとしよう。その道中に何かしらの妨害があった場合、ヤドンはルートAを捨てて、ルートBを使って逃げた。たったそれだけの話だよ。同じように、ルートBがダメならルートC。CがダメならD。この過程でAがまた使えるようになっていたら、ルートAに戻る。多分こんな感じで逃げ回っているだけだね。今回で言えば、本来ならルートAで逃げるはずなのに、ボクたちが戦い続けていたため、ルートAが使えなかったから、ルートBにてメガヤンマと追いかけっこをしたって感じかな?」
「何個かのルートを、状況によって使い分けているだけ……?」
「うん。ボクはそう思ってる。しかも、そのルートの数もそんなに無い。多くても、4つまでのはずだよ」
「そう思う根拠はあると?」
「それはあくまでも、このゲームがクララさん1人でクリアできる難易度だから、かな」
「うち1人でェ?」
「うん」
マリィの疑問に答えている時に、急に自分の名前が上がったため、驚いたような声をあげるクララさん。そんな彼女に対して、ボクは質問を投げかける。
「クララさんは、ボクたちがこのゲームに参加する前から挑戦してたんだよね?」
「うん。逃げているヤドン3匹のうちィ、どれか1匹捕まえておいでって言われたわよォ」
「クララさん以外の参加者は?」
「いなかったと思うゥ」
「じゃあ最後。クララさんの手持ちのポケモンを聞いてもいい?」
「?フリアっちはもう知ってると思うけどォ……まぁ、改めて言うわねェ。マタドガス、ペンドラー、ヤドキング、ヤドラン、ドラピオン、エンニュートの6体よォ」
「ありがとうクララさん」
「今ので何か分かったの?」
クララさんへの質問を終えて、ユウリからの言葉に頷くことで返しながら、ボクは説明を続ける。
「クララさんの手持ち……というか、基本的にどくタイプって、攻撃を受けることが得意なポケモンが多いんだ」
攻撃を受け止めて、相手を毒にし、じわじわと追い詰めていくことを主とした戦い方をするどくタイプは基本的に打たれ強く、防御面がほかのタイプと比べ、比較的高い子が多い。クララさんの手持ちで言えば、ドラピオン、マタドガス、ヤドラン、ヤドキングがこれに該当する。この、耐えることの出るポケモンが多いということが、今回の地味に重要なポイントだったりする。
「その、受けることが得意ってことと今回と、どういう関係があるんだよ」
「分からない?ルートを封鎖するってことは、その場所にずっと居座らないといけないってことなんだよ?そうなると……」
「……野生のポケモンに襲われるってことか」
「正解」
ジュンの言葉に返していると、ホップが正解にたどり着く。
ヤドンを追い込むためにルートを封鎖するためには、ヤドンの叫び声で襲ってくる野生のポケモンがいる以上、少なくとも野生のポケモンの攻撃を一時的にでも抑え込む耐久力が必須となってくる。でないと、ヤドンを追いかけている間にこの封鎖が解かれてしまえば、再びヤドンが逃げる道を与えることになってしまうからだ。けど、その問題をクララさんの手持ちなら解決出来る。
「ヤドンを追いかける『かそく』のポケモンがいて、ルートを閉鎖できるポケモンも4匹いて、最後にヤドンを追い詰めた後に、色々ちょっかいを出せる、小回りの効くエンニュートまで控えている。つまり、このヤドン追いに関して、クララさんの手持ちってほぼ理想系なんだよ。というか、多分これがこのゲームの攻略方法」
「理想系……だから最初はクララさんに1人で捕まえて来いってルールを?」
「だと思う」
「だからルートも多くて4つまでってこととね」
「そういうこと。クララさんの手持ちの数だと、5つ以上のルートは手が足りないからね」
自分はヤドンを捕まえるために動かないといけないため、ルートを遮るポケモンはクララさんの指示無しで戦うこととなる。そう考えると、5つ以上はどうしてもエンニュートまでもが遮るメンバーに入らざすを得ず、その時に戦う相手がボクとユウリとマリィの3人がかりでようやく被害を抑えられるレベルの野生のポケモンとなると、指示がない状態だと防御力の低いエンニュートでは時間稼ぎも難しい。そこを踏まえると、多くてもルート分岐は4つが精々だと思う。この分岐も、3つ以下減ることはあっても、増えることはないだろう。……多分。
「うわぁァ、そういう方法を求められてたんだァ……」
「あくまでも答えのひとつってだけだと思うから、最初の餌付け作戦も、マスタードさんにとってはいい作戦と思われるだけな気もするけどね」
あの人のことだから、むしろ別解による攻略は喜んで許しそうだ。
「とにかく!!ヤドンを捕まえるためには、追いかける役と封鎖して野生のポケモンを食い止める役、そんでもって、最後に捕まえるときに相対する役がいるって訳だな!!」
「あとは、出来れば追いかける役を援護する役も、かな。ここはなくてもいいかもだけど、あった方が安心できるかも。とにかく、それだけいれば上手くいくと思う」
ジュンが話を元に戻しながら結論をまとめてくれたので、それに少しつけ加えた上でボクが作戦……というより、必要な役割をあげていく。このゲームの攻略方法が段々と見えてきたことから、少しずつみんなの表情が明るくなり始めるけど、ここに来てようやくなにかに気づいたユウリが、何かを疑うような表情を浮かべながらボクに質問をしてくる。
「ねぇ、この攻略方法……やっぱり変だよ。だって、この解決方法、クララさんとフリアくらいしか実行出来ないよね……?」
「え?」
ユウリの言葉に声を返したのはマリィだけだけど、他の人も同じようにユウリへと視線を向けていた。そんな注目の中にいるユウリは、それでも言葉を止めずに自分の言葉を続けていく。
「だって、多分あのヤドンをスピードに追いつけるポケモンなんて、私たちの中だとメガヤンマとペンドラーぐらいしかいないし、野生のポケモンの攻撃を受け止められるのなんて、耐久できるポケモンが沢山いるクララか、そもそも手持ちの多いフリアくらいしか居ないよね……?」
ユウリの言葉にみんなも攻略法の穴に気づき、今度はボクの方に視線が集まってくる。その視線に答えるように、ボクも口を開いた。
「ユウリの言葉にさらに付け加えるね。クララさん。今ボクがあげた攻略方法、
「出来るわけないでしょォ!?ヤドンを追いかけるのにみんなヘトヘトで、とてもじゃないけど野生のポケモンの足止めなんて難しいわよォ!?」
「うん。だと思う。ボクだって、マリィとユウリがいなかったら、被害を抑えながらこの情報を集めるなんて不可能だった」
「それってつまり……」
ボクとクララさんしか単独でクリアできそうな人はおらず、その2人でさえ、この攻略に気づいた時にはもう手遅れになってしまうこの方法。それが意味することは……
「1人でクリア出来そうなのは、理論上ボクかクララさんしかおらず、その理論もボクは仲間と一緒でなきゃ突き止められなかった。つまり、このゲームは
「……だからさっき、フリアは『思ってた』って言ったんだな」
「そう言うこと」
「じゃあ……ヤドンを捕まえてきた人に報酬っていうのは……?」
「多分それは本当じゃないかな?ヤドンを
攻略するのに人手がいるのに、報酬を貰えるのは1人だけ。その説明によって、このゲームが協力必須というのをわざと考えさせないようにしている。それが、このゲーム1番の肝という訳だ。
(だから、物凄く意地悪だなぁと思ったわけなんだけどね……ほんと、いい性格をしてらっしゃる……)
最後の言葉を口にすることは既のところで止め、何とか飲み込む。マスタードさんの事だから、どうせまだ何か考えていそうだし、ボクとしては悪口のつもりは無いのだけど、そう取られかねない発言は、今の状況ではあまり言わない方がいいだろう。
さて、ここまでのお話によって、ようやく攻略が見えたからという理由で明るくなっていたみんなの表情が再び暗くなり始めた。それもそうだろう。今まで1人でもクリアできるかもと思ったものが、複数人でないとクリア出来ないと言われれば、誰だってちょっとは思うところがあるものだ。だから、先にこれだけは言っておこう。
「そのうえでボクから発言。みんなに手伝って欲しいって言ったけど、ボクは成功報酬を貰う気はないって言っておくね」
「なっ!?」
ボクの発言に驚きを見せる。特に門下生たちの反応が大きく、まさか言い出しっぺが降りるとは思わなかったのだろう。明らかに動揺している気配が伝わってきた。
「いいのか?」
「いいも何も、ボクはヒカリの個人的な知り合いだからね。またお願いする機会はいつでもあるから。けどみんなは……特に、門下生の人たちは違うでしょ?この機会を逃がしたらもうない可能性の方がよっぽど高いんだから。だったら、その人たちに譲るよ。……まぁ、ボクひとりが競走から降りたところで、枠が3人と少ないから、気休め程度しかないかもだけどね……でも、だから……」
ボクが報酬を蹴る理由を話しながら、視線をユウリたちから門下生のみんなへと向ける。そして、そのまま門下生たちへと頭を下げた。
「どうか、皆さんの力も貸してくれませんか?」
「……は?」
急なお願い。その事に、少なくない人が素っ頓狂な声を上げ、混乱したかのような顔を見せる。まさか、このタイミングで協力を仰がれるなんて全く想像していなかったみたいで、本当に面白い顔になっていた。
「……あなたたち6人の力なら、我々の力がなくとも、ヤドンを1匹ずつ捕まえるのは可能なのでは?」
「かもしれません。ですが、それだとダメなんです」
「ダメ……?」
そんな中でも、比較的冷静に物事を対処出来た方が、ごく普通の疑問をなげかけてきた。確かに、攻略法がわかった今、ボクたち6人なら時間はかかるけど確実にヤドンを捕まえることができる……と思う。しかし、今回においてそれはダメだと言っておく。その理由を、ボクは視線を西に向けながら喋る。
「時間がもうないので……」
「もうこんな時間だったんだ……」
ボクの視線を追ったユウリがこぼしたように、空で輝いていた太陽はかなり西に傾き始めている。このゲームの明確な制限時間は伝えられていないけど、報酬がディナーである以上、どれだけ長くても夕飯までと言う絶対的な制限時間があることには変わらない。その事を考えると、1匹ずつ捕まえる時間というのは、役割を決めたり、ヤドンを追いかけてルートを把握したり、最後の追い込みにかかる時間を考慮したりすると、とてもじゃないけど足りないと思う。だから3匹同時に捕獲しないと間に合わない。そのためにも……
「力を、貸していただけませんか?」
「……」
ボクの言葉に少しだけ考える素振りを見せる門下生の方たち。しかし、その沈黙は想像より短く、すぐに返答が来る。
「俺たちで良ければ、全力で!!」
「ああ!!そもそも、君たちのおかげでこの休憩スペースで回復できたしな!!」
「恩返しじゃないけど、私たちもなにか頑張らなきゃ!!」
「先程は冷たいことを言って済まなかった。我々もぜひ協力させてくれ」
その内容はボクたちに協力をしてくれるというもので、その言葉を聞いた瞬間、思わず飛び上がってしまいたくなってしまった。その気持ちをなんとか抑え、ユウリたちと顔を見合わせて1度頷いたボクは、すぐさま次の行動へ移る。
「あ、ありがとうございます!!では早速、役割を決めましょう!!まずは封鎖係と、追いかける人の護衛係を━━」
「それなら封鎖は俺たちに任せてくれ!!力仕事には自信があるんだ!!」
「なら私たちはチャレンジビーチの方に行かせて!!私のポケモンなら『れいとうパンチ』が使えるから、あの地域のポケモンと戦えると思うの!!」
「なら僕は護衛班にしてくれ。足には自信があるからな」
1度流れが出来てしまえばあとはトントン拍子。さっきまでの空気が嘘のように明るくなった休憩所は、各々が苦手分野を任せ、得意な分野を活かせるように班を決めていく。元々同じ屋根の下で寝食を共にしている仲間なだけあって、この辺りの進行はとてもスムーズで、最初こそボクが作戦に必要なことを喋っていたものの、気づけばボクなしでも綺麗に役割をまとめていた。
もう任せても大丈夫だろう。
「作戦、上手くいくといいね」
「うん」
そんなみんなの様子を見守っていると、横からユウリが声をかけてくる。その言葉に返事を返していると、ユウリから最後の質問が飛んできた。
「フリア、最後に気になることがひとつあるんだけど……」
「なに?」
「追い詰められたヤドンは、最後はどこに向かうの?」
それは、全てのルートを潰されて、最後にヤドンが逃げ込む場所について。全てのルートを潰せば、当然ヤドンは最後に追い込まれることとなる。その場所がどこなのかは確かに気になることだろう。けど、この場所についても大凡の予想は出来ている。
「それはね……」
恐らく、この3匹の最後に逃げ込む場所は同じはずだ。だってそれぞれのヤドンがいる場所の隣は、ボクが予想している場所以外は、砂漠だったり深く広い海だったり洞窟だったりと、より凶暴なポケモンが多く住む場所にしか繋がっていないから。とてもヤドンが住める場所では無い。なら、逃げ込む場所はひとつのみ。
「ここだよ」
清涼湿原、鍛錬平原、チャレンジビーチ。この全てに隣接している唯一のエリア。
「集中の森……ここに集まるはずだ」
奇しくも、『集まる』という文字が入ったこの森。ここしかありえない。
種明かし
というわけで、実はギミックは凄く単純です。走るルートが固定されているのは実機と一緒ですね。ただ今回は、『先回りされたらこちらのルートで逃げる』という別案がある感じです。最も、その別案もあまり多くないので、ひとつずつつぶせばいつか必ず追い込めるようになってはいますけどね。しかし、このゲームの1番の肝は、フリアさんが言っているように、『協力がほぼ必須なのに、報酬のせいで1人でじゃないとクリア出来ないと思い込ませること』にありました。そこに早く気づいたからこそ、フリアさんは『意地悪』と言っていたわけですね。このゲーム、手持ちが6匹以上前提ですし、門下生の方……というか、基本的に実機のNPCで手持ちをちゃんと埋められている人なんていませんからね……恐らく、現実で6匹所持ってかなり難しいのでしょうね。
集中の森
単純に、こういう名前だしヤドンが集まる場所と合わせたら似合いそう!!という理由だけで、逃げ場所になりました。名前の由来は別にあると思います。
未だに内定していないヨノワールさんにヒヤヒヤしながら11月を待っています。
そういえば、皆さんはどちらを買うとか決めているのでしょうか?私はいつも通り両方買うのですが、メインで進めるのはヴァイオレットになりそうです。単純にソウブレイズがかっこよすぎて……準伝でなければ旅パに入れてあげたいですね。