【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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159話

 ダイマックスアドベンチャー。

 

 複数人のトレーナーで協力し、広大なマックスダイ巣穴を進んで行くカンムリ雪原に作られたアトラクションで、カンムリ雪原への来客を増やすことと、この洞窟内に広がるちょっと特殊なガラル粒子を研究することを目的としてつくられた施設。このちょっと特殊なガラル粒子を研究することによって、新しいエネルギー施設をここにも作り上げるのがこのアトラクションの最終的な目標なのかもしれない。そんな、もしかしたら未来のガラルを支えることになるかもしれない重要な場所に足を踏み入れたボクたちは、目の前に広がる巨大な洞窟に一度足を止めていた。

 

「これは……想像以上に広いわね……」

「広いだけじゃなくて、道が一杯あってどこに行けばいいのかも迷っちゃいますね……」

 

 先頭を歩いていたシロナさんとボクがぼそりと今の状況を呟く。

 

 今までのダイマックス巣穴と言えば、ダイマックス、及びレイドバトルが出来るくらい広い場所はあったんだけど、そこまで行く道は狭く細長いというのが普通だった。今まで入ってきた巣穴の中で一番複雑だと言われていたズガドーンとデンジュモクがいた巣穴でもそれは例外ではなく、細く曲がりくねって険しくはあったけどこの前提を崩してはいなかった。しかしこのマックスダイ巣穴は、レイドバトルが出来る広場に行く道すらも大きかった。

 

「なんというか……列車でも通ってそうな大きさですね……」

「天井は高いし、横幅も広いし……何よりも行ける場所が多いのも凄いわね……まるでアイアントの巣にバチュルよりも小さくなった姿で迷い込んだみたいだわ……」

 

 そのあまりにも広い空間から、ユウリとヒカリも思わず声を漏らしながら周りの壁に触れてしまう程。しかもこれだけ大きな洞窟であるにも関わらず、木枠などで補強されているところも見受けられないことから、これが自然にできたもと思われるのが驚きなところだ。いったいこの洞窟が出来るまでにどれほどの年月が経っているのだろうか。

 

「この洞窟の中に、一体どれほどのダイマックスポケモンがいるのかしらね?」

「これだけ広ければ、数十体どころじゃない数いてもおかしくなさそうですよね」

「研究員さんが言うには、ダイマックスポケモンが2匹並ぶことはないそうだからそこは安心できるけどね」

「でも、ダイマックスポケモンとの連戦って、私経験ないからそこはちょっと不安かも……」

 

 ユウリの言葉に『そういえば確かに』と納得するボクたち。確かに、ダイマックスバトルやレイドバトルは何回も経験したけど、ダイマックスポケモンとの連戦は経験したことはない……というか、それ以上に気になることを今更ながらに思い出したボクは、慌ててヒカリの方に視線を向ける。

 

「そういえばヒカリってダイマックスできるの?ダイマックスバンドがないとそもそもできないんだけど……」

「あ、そっか……ヒカリってシンオウ地方とホウエン地方しか行ったことないから、ダイマックスバンドを貰う機会ないもんね」

 

 シロナさんはチャンピオンとしてのイベントだったり、考古学者として世界中を回っているから、その時に手に入れててもおかしくはない……というか、実際に右腕の袖の下にちらりと巻かれているのを確認できているため、シロナさんはダイマックスをすることは可能だ。けど、ヒカリは別地方からやってきたお客様。ガラル地方に来たのもつい最近のため、ダイマックスバンドを持っていない可能性が高い。今になってようやく気付いたそのことが、このダイマックスアドベンチャーでは立ち回りの手数が減る可能性があるというなかなか大きな痛手になってしまう。挑む前にこのことについて確認を取った方がいいだろう。

 

「そのことに関してはあまり気にしなくてもいいわよ。ほら」

 

 そういいながらヒカリは、防寒着の右袖を少しめくり、その下に巻いてあるバンドを見せてくれた。それは、ボクとユウリの右腕に巻いてあるものと全く同じものだった。

 

「この地方に来るにあたって『持っていた方が便利でしょ?』ってシロナさんからもらったの。ジュンとカトレアさん、コクランさんも、同じように貰ってたかな」

「成程、それなら安心……って、よくそれだけの数持ってましたね」

「ダイマックスバンド自体はそれほど貴重なものではないから、私みたいなイベントへ呼ばれる人はその度に記念でよく渡されるのよ。持っているからいいって断ってはいるんだけど、それでも渡される時があるからその分が余っててね?」

 

 少し苦笑いを浮かべながらそう説明するシロナさんに成程と言った表情で頷くボクとユウリ。何となくだけどその現場を想像するとちょっと面白い。っと、そのことは置いておいて……とにかく、ヒカリもダイマックスできるというのであればちょっとは安心だ。まだ経験はないから最初は戸惑うこともあるかもしれないけど、そこはボクたちでフォローしてあげよう。

 

「さて、お喋りはいいけどそろそろ前に進みましょう。まずはどっちに行くか、かしらね」

 

 シロナさんの言葉に頷いて前を見据えるボクたち。その視線の先には、右と左と真ん中の3つの道がある。どの道も先から大きな圧力を感じるあたり、どれを選んでもダイマックスポケモンと戦う事にはなりそうだけど……どの道を選ぶかで誰と戦うかは変わって来るからちょっと悩んでしまう。

 

「一番はピオニーさんを追いかけることなんだけど……」

「正直どの道行ったかなんてわからないわね。あの人の性格上、後ろの人に分かってもらうための目印もつけなさそうだし……」

 

 ユウリとヒカリが分かれ道を見つめながらウンウンと唸っている。さっきも言った通り、目の前には右、左、真ん中の3択の道だ。足跡が残るような場所でもないため、純粋な3分の1を当てなければピオニーさんの後ろをついて行くことが出来ない。

 

「まぁあの研究員さんも、私たちがちゃんとあの人についていけるとは思っていないでしょう。ついで感覚でいいじゃないかしら?それに、先に進めば娘さんがいるでしょうし、そちらに先に合っておくのもいいと思うわよ」

 

 そこについてはシロナさんがのんびりと回答する。確かに、ここまで入り組んでいるのならば、先に行ってしまった人を追いかけるのは至難の業。一応戦闘音がする方向に行くという、先に行った人を追いかけられる可能性のある行動はできるけど、これだって確定で出会えるわけじゃないしね。っというか、このアドベンチャーに参加している人が意外にも多いことと、洞窟という音がこもる場所のせいで至る所から戦闘音が聞こえてくるため、とてもじゃないけど目当ての人を狙って追いかけるのは不可能だ。ピオニーさんが娘さんと会うことを目的として、戦闘を避けて走り抜けている可能性だってあるしね。そのことを諸々考えると、やっぱりシロナさんの言うように、難しく考えずに気楽に進む方がよさそうだ。それにせっかくのアトラクションなんだ。楽しまないとね?

 

「じゃあどっちに進むかは適当に決めよっか!」

 

 そうと決まれば早速行動。この中で一番の行動力を持っているヒカリが一歩前に出て、『どれにしようかな?』なんて言いながら順番に分かれ道を指差していく。それを見つめるボク、シロナさん、ユウリは、特に自分の意見を通したいというのもないので、それをちょっと微笑みながら見つめている。

 

「ア・ル・セ・ウ・ス・の・言・う・と・う・り!よ~し、じゃあわたしはこの道を選ぶわよ!!」

 

 程なくしてヒカリが選んだ道は右側の道。右を指差しながらこちらを振り向くヒカリは、本当に楽しそうな笑顔を浮かべながらこのアドベンチャーに臨んでいた。そんな彼女を見ていると『ボクも楽しまなきゃ』と自然と思わせてくれる。

 

「じゃあまずはヒカリの希望通り右に行こうか!」

「うん!さ~て、どんな子とあえるかな~」

「ふふふ、珍しい子と会えるといいわね」

 

 ヒカリにつられて自然と明るい雰囲気が広がるボクたちは、同じように笑顔を浮かべながらヒカリの指差した右側に向かって足を進めていく。どんな子がこの先に待っているのかワクワクしながら談笑し、足を進めていくボクたちは程なくして広い空間に辿り着いた。その空間の中心には赤い霧が広がっており、その中心にて待っているであろうダイマックスポケモンを覆って隠していた。とはいっても完全に隠しているわけではなく、ダイマックスポケモンの輪郭はうっすらと確認できた。

 

「さぁて、ダイマックスアドベンチャー……記念すべき最初のポケモンは誰なのかしら?」

「ダイマックスの霧のせいでうまく確認できない……でも、ほんのり輪郭は見えるような……」

「あの輪郭……フリア、もしかして……」

「うん……間違いない……!!」

 

 霧のせいで輪郭しか見えないとはいえ、ユウリはともかくいろんな地方を歩いてきたボクたち3人にとって、それだけわかればポケモンを判別することは難しくない。

 

 見えた輪郭は人型の大きなポケモン。しかし人と明らかに違うのは後ろに伸びる長い尻尾。頭や背中から伸びている大きな棘は、このポケモンの強大さと凶悪さを如実に表してる。また、シルエットだけでも分かるほど太くたくましい腕や足、尻尾は、とても硬そうな外殻に覆われており、全体的なシルエットだけ見れば屈強なヨロイのようにも見える。

 

 この時点でボクとヒカリ、そしてシロナさんは相手がどのポケモンなのかを完璧に把握した。

 

「行くわよみんな!!」

「「「はい!!」」」

 

 シロナさんの号令とともに投げられる4つのモンスターボール。そこから現れる先ほども確認した4匹のポケモンたち。彼らが雄たけびをあげながら一列に並ぶと同時にダイマックスの霧が晴れ、ついにダイマックスポケモンが姿を現す。

 

「あのポケモンは……!?」

 

 姿を現したポケモンを見て声を上げるユウリ。どうやら実際に見たことはなくても知識としてこのポケモンのことは知っていたみたいだ。

 

 体色は紫で、胸部と腹部、爪が白。振り回すだけで大木や鉄筋コンクリート、電柱はおろか、鉄塔さえも倒壊させると言われているほどの破壊力を持ち、皮膚も石や鉱石で例えられるほどの屈強な体格をしたポケモン。その正体は……。

 

「さぁ、キミがボクたちの初戦だ!!勝負!!ニドキング!!」

 

 

「グギャアァァァァッ」

 

 

 ドリルポケモン。ニドキング。

 

 彼がボクたちのダイマックスアドベンチャー、最初の対戦相手だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バシャーモ!!『コーチング!!』」

「シャモ!!」

 

 戦闘が始まると同時にユウリから上がる聞きなれない技の指示が飛んでくると同時に、バシャーモも叫び声をあげて、みんなに何かの指示を飛ばす。すると、バシャーモ以外のポケモンの身体が赤く光り、何かしらの能力が上がったのが確認できた。

 

「今のは味方の攻撃と防御を強化する『コーチング』って技みたい。ニドキングって確か物理攻撃が得意だよね?」

「成程そんな技が……ありがとうユウリ!!」

 

 ユウリの援護によっていきな能力が強化されたジュカインたちは、そのことによってさらに気合が入ったみたいで、更に張り切ってニドキングをにらむ。

 

(そっか、レンタルポケモンだから普段使っているポケモンと技構成も全然違うんだ。しっかり技を確認しておかないと……)

 

 今ボクが一緒に戦っているのはジュカインだ。勿論ジュカインがどんな技を使うことが出来るのかはおおよそ理解はしている。しかし、エルレイドが新しい技を使っているみたいに、住む地域や成長の過程で、本来は覚えないと言われている技を覚えることは往々にして存在する。となると、この洞窟で育ったジュカインは、独自の成長を遂げていつもと違う技を使う可能性がある。その技を確認するためにも、一度ジュカインのデータを見ておこうと思い、ジュカインのボールと一緒に貰った小さなメモ用紙を読んでみる。

 

「覚えている技は……『くさのちかい』、『ワイドブレイカー』、『リーフストーム』、『シザークロス』……成程ね」

 

 戦闘が始まってしまっている故、そんなに細かいところまで確認することはできないけど、ボクが初めて見る技についても、普段あまり見ることがない珍しい技についても、基本的なことは全部頭に叩き込むことが出来た。

 

「こうやって臨機応変に適応する力が求められるんだね……面白い……なら、ボクもユウリに倣ってまずは場を整えることから行こうかな!!ジュカイン、『ワイドブレイカー』!!」

「ドレディア、『ちょうのまい』!!」

「ラグラージ!!『だいちのちから』!!」

 

 ボクが技を理解し、自分の頭の中で戦い方を組み立てた後、それを行動に起こすためにさっそく指示を出す。すると、ボクと同じタイミングで戦術を組み立て終えたらしいシロナさんとヒカリの指示も聞こえてきた。

 

 ボク含めてみんながやった行動を簡単に説明するなら、さっきも言った通り『場を整える』だ。

 

 ジュカインのワイドブレイカーとラグラージのだいちのちからで相手の攻撃と特防を落とし、ドレディアはちょうのまいを行って自身の能力を底上げすることによって、これからのバトルを有利に進める算段だ。その意図をしっかりと汲み取ったみんなは、それぞれの行動を起こしていく。ジュカインはニドキングの足元に入り込んで、右足を足払いするように尻尾を振り、ラグラージも相手のバランスを崩せれば御の字と言った様子で、ジュカインと同じ足を狙って技を放つ。その甲斐もあってか、ニドキングのバランスがわずかに崩れ、重心が右に傾いた。

 

「バシャーモ!『ブレイズキック』!!」

「ドレディア、『かふんだんご』」

 

 その様子をしっかりと確認していたシロナさんとユウリがすかさず追撃。ニドキングの左側に回ったバシャーモが、自慢の脚力で大きく飛翔。ニドキングの左側のこめかみあたりへと急接近していく。勿論そのまま攻撃を通すにニドキングではなく、左側に飛んできたバシャーモを叩き落とそうと技を構えるが、その動きはシロナさんが見逃さない。ちょうのまいで強化されたかふんだんごは、正確に左腕の関節に命中し、ニドキングの攻撃を一瞬ずらすことに成功する。少しそれたニドキングの腕は、バシャーモの少し右を通り過ぎ、腕と自分がすれ違う瞬間に、バシャーモがその腕を足場にすることによってさらに加速。渾身のブレイズキックをニドキングの側頭部に叩き込むことに成功する。

 

「まずは一発!!」

「良い調子だよユウリ!!」

「まだ安心するには早いわよ」

 

 初撃を綺麗に決めたことに、ユウリと軽いハイタッチを決めるけど、そこにシロナさんがすかさず言葉を挟む。勿論ボクたちだってこれでニドキングが倒れるだなんて思ってはいない。

 

 

「グギャアァァァァッ」

 

 

 攻撃を受けたことに怒ったニドキングが、両手に雷を纏わせて反撃に出る。

 

「『かみなりパンチ』!!来るわよ!!」

 

 ヒカリが叫ぶと同時にバチバチと光る両拳のうち、右はジュカインを、左はバシャーモをめがけて振りおろされる。

 

「ラグラージ!!ジュカインを守りなさい!!」

 

 ジュカインに振り下ろされた拳に関しては、じめんタイプを含んでいるため、でんきタイプを無効にすることが出来るラグラージが盾になることによって完全に防ぐことに成功する。本来なら足の遅いラグラージでは間に合わないけど、先ほど同じ右足を狙って攻撃していたためたまたま近くにいたのが幸いした。しかし、ブレイズキックを空中で放ち、着した直後ということもあって、満足に回避行動をとることもできなかったバシャーモにはこの技が命中。ユウリの近くまで吹き飛ばされる結果となってしまう。

 

「バシャーモ!」

「シャモ……」

「ドレディア。バシャーモに向かって『かふんだんご』」

「ディアッ!!」

 

 なかなかのダメージを負ってしまい、思わず膝をつくバシャーモ。しかし、そこにすぐにドレディアのかふんだんごが降り注ぐ。本来なら攻撃技であるはずのこの技は、味方に対して放つと体力を回復させる技へと効果を変える。その特性をしっかりと把握した的確な援護のおかげで、バシャーモはすぐさま元気になり、再び戦線へ復帰していく。

 

「ありがとうヒカリ」

「貸し1つね?」

「シロナさん、ありがとうございます!」

「気にしないで。さ、どんどん行くわよ!」

 

 反撃されたことによってさらにスイッチが入るボクたち。各々の目にさらなるやる気を満ち溢れさせていると、ヒカリの方から何か音が聞こえたのでそちらをちらりと確認する。

 

「これって……」

「ヒカリのバンドにダイマックスエネルギーがたまった証ね。ヒカリ!」

「「やっちゃえ!!」」

 

 その様子にヒカリが少し不思議そうな声をあげていると、すかさずシロナさんが説明し、同時にヒカリにお願いするかのように名前を呼ぶ。この時に状況を察したボクとユウリも、ヒカリに向かって声を上げた。当然ヒカリもこの状況を理解できないほど鈍感ではない。むしろ、初めての経験に身体を震わせていた。

 

「待ってました~!!さぁ、記念すべきわたしの初ダイマックス……見せてあげるわ!!ラグラージ!!」

「グラァ!!」

 

 楽しそうに宣言したヒカリは、ラグラージに向けてリターンレーザーを当てて一度ボールに戻し、ダイマックスバンドから光を送ってモンスターボールを巨大化。大きくなったそれを自信満々に宙に放り投げる。

 

「大きくいくわよ!!ダイマックス!!」

 

 

「グラァァァァッ」

 

 

 現れたのは赤い光を纏った巨大なラグラージ。本来ならガラル地方で見ることが出来ないはずのその姿に、思わず少しだけ見とれそうになるのをぐっとこらえて前を見る。

 

 じめんタイプとどくタイプの複合であるニドキングにとって、ラグラージの一撃はボクたちの中でこうかばつぐんを突くことが出来る唯一の手だ。ダイマックスアドベンチャーにはまだまだ先がある以上ここで消耗するわけにもいかないので、少しでも体力を残してここを乗り越えるためにはラグラージの攻撃にて速攻で仕留める必要がある。ちらりと左右を見ると、どうやらユウリとシロナさんも同じ結論に至ったみたいで、ボクと目が合った瞬間小さく頷くのが見えた。

 

 

「グギャアァァァァッ」

 

 

 ボクたちの中で作戦が固まったと同時にニドキングが叫び声をあげながら右腕を地面にたたきつける。すると地面が急に隆起しはじめ、ボクたちを巻き込む大きな地震が発生しはじめた。ニドキングのダイマックス技だ。

 

「『ダイアース』がくるよ!!ヒカリ!!」

「任せて!!守ればいいのよね?なら『ダイウォール』!!」

 

 地面から襲い掛かって来る大きな波に対してラグラージが一歩前に出てみんなを守る盾となることで被害を抑えていく。両者の力が拮抗しているのか、ギリギリという音を響かせる2つの力。その衝撃の大きさに思わず顔を覆いたくなるけど、今ここで動かないとラグラージが守ってくれている意味がない。

 

「ジュカイン!!」

「ジュカッ!!」

 

 ボクの言葉に答えたジュカインが真っすぐニドキングの方へ走り出す。ラグラージとの鍔迫り合いに力を使っているニドキングは、ジュカインの行動に目を向けてはいるけど行動することが出来ない。

 

「『リーフストーム』!!」

 

 そんなニドキングの足元に潜り込んだジュカインは、地面に打ちつけてある右腕に対して、下から打ち上げるようにリーフストームを放つ。

 

 

「グギャッ!?」

 

 

 だいちのちからによって特防を下げられていたニドキングは、この攻撃によって少しのけ反ってしまい、右腕が地面から離れていく。

 

「ラグラージ!!」

 

 

「グラァッ」

 

 

 力が弱くなった瞬間にバリアに力を込めて、相手の攻撃を完全に弾くラグラージ。これでダイアースは止まった。

 

 

「グギャアァァァァッ」

 

 

 しかしニドキングの攻撃はまだ終わらない。自分の攻撃を邪魔したジュカインに標的を変えたニドキングは、右手にほのおのパンチを、左手にこおりのパンチを構えて、ジュカインを左右から押しつぶさんと拳を振るってくる。

 

「ドレディア!!」

「バシャーモ!!」

 

 だけどこっちだってそんな攻撃を簡単には通さない。

 

 技の後隙で動けないジュカインをカバーするために走るのはバシャーモとドレディア。

 

「バシャーモ!!右肘に『インファイト』!!」

「ドレディアは左肘に『はなびらのまい』よ」

 

 バシャーモは特性『かそく』によって、ドレディアはちょうのまいによってあげられたすばやさを生かして、ニドキングの拳よりも早くニドキングの体の前に移動する。そこで2人が放つのは、かくとうタイプとくさタイプの現状放てる最高火力の技。それを両腕の肘の内側から叩き込むことによって、攻撃を防ぐと同時にニドキングの両腕を左右に弾いて態勢を大きく崩すことに成功する。

 

 攻撃は止まった。態勢も崩しているから防御行動もとれない。ならば、あとはもう決まっている。

 

「「「ヒカリ!!」」」

「まっかせなさい!!ラグラージ!!『ダイストリーム』よ!!」

 

 

「グラァァァァッ」

 

 

 ヒカリとラグラージが大きく吠えると同時に、ニドキングに向かって飛んでいく大きな水の砲撃。

 

 洞窟の中だというのにこの広場一帯に一瞬で雨を降らせてしまう程の強力な一撃を受けてしまったニドキング。無防備な状態だったことと、こうかばつぐんなのも相まって、致命的なダメージを負ってしまった彼が耐えられるはずもなく。

 

 

「グギャ……ッ」

 

 

 小さく声をあげながら地面に倒れ伏す。

 

「「「お疲れさま!!」」」

「さすが、なかなかいいんじゃないかしら?」

 

 それを確認したボクたちは小さくハイタッチし、そんなボクたちを見てシロナさんも嬉しそうに言葉を零す。

 

 ダイマックスアドベンチャー緊張の初戦は、ボクたちの快勝という景気のいい形でスタートを切ることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




分かれ道

実際のところはどうなっているのでしょうかね?もしかしたら不思議のダンジョンシリーズのように、入るたびに構造が変わっている可能性もありますよね。

ニドキング

技構成が『10まんばりき』と3色パンチになっている個体ですね。基本的にフルアタは無難に使えますよね。NPCに是非とも持ってもらいたい個体です。今回はフリアさんたちの最初の相手になってもらいました。




今年も今日でもう終わりですね。言うまでもないですが、これが今年最後の投稿となります。今年も1年、この作品に触れてくださりありがとうございました。来年もよしなにしていただけたら嬉しいです。それでは皆様、よいお年を……。




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