【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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166話

 三つまたヶ原。

 

 カンムリ雪原の東端にあり、3方を岩壁に囲まれ、北側が海に面した小さなエリアだ。しかし、決して目立たないエリアという訳ではなく、このエリアにそびえ立つ先端のとがった3つの巨岩は大きな目印となっており、それはカンムリ雪原全体のマップを見てもちゃんとその存在が記されているほど。とは言うものの、このエリアの役目は名前の通り3つの場所に挟まれた それぞれへの道の中継地点と言ったような意味合いが強い。先程あげた3つの巨岩に囲まれた位置から北に進めば、たった今ボクたちが歩いてきた凍てつきの海へと進み、南西に進めば海鳴りの洞窟へと行くことができる。そしてここから行けるもうひとつの場所。そここそが、今回ボクたちが目的地としている場所だった。

 

「これが……『定めの遺跡』……」

「凄いね。こんな僻地にひっそりと建っているのに、物凄い……なんて言うか、圧迫感?みたいなのを感じる……」

「ああ。見ているだけで少し圧倒されるぞ……」

 

 ボクがつぶやくと同時に、ユウリとホップも声を漏らす。ヒカリやジュン、マリィも、言葉こそ発してはいないものの、同じように視線を釘付けにされていた。

 

 定めの遺跡。

 

 簡単にこの遺跡の見た目を説明するなら『ツートーンカラーの遺跡』だ。向かい合って左半分が黄色。逆に反対側が赤色になっているこの遺跡は、少し欠けた柱が聳え立っているところや、年季の入った階段が見れるところから、構造自体はThe遺跡と言った感じなんだけど、先程述べた赤と黄色という見た目が遺跡っぽさを少しだけ減らしており、そのちょっとした歪さが逆にこちらを威圧させる。色が少しくすんでおり、重い配色になっているのもそう感じさせる要因かもしれない。そして何よりも特徴的なのが、遺跡の上側に並べられた点だ。黄色と赤、それぞれに7つの点が並べられた記号のようなものが描かれており、黄色の方は、Yのおしり同士をくっつけて横にかたむけたような形を、赤色の方は三叉の槍のような形をして並べられていた。果たして、この点の配置に意味はあるのだろうか。

 

「これが定めの遺跡ね。ピオニーさんから頂いたメモの通りの見た目だわ」

「メモを見た時から思っていましたが……個性的なデザインですね」

「趣味が悪いわね……あたくしには理解できないデザインだわ……」

「昔の人やポケモンは、そう言うのは意識してないかと思うのだけど……」

 

 遺跡に見とれている間にシロナさんたちも合流。コクランさんとカトレアさんの言葉に苦笑いを浮かべながら、シロナさんは後ろから前に歩いていき、定めの遺跡の入口へと進んでいく。

 

「なるほど……これが言われていた点字ね……」

 

 入口までたどり着いたシロナさんは、外観と同じく黄色と赤のツートーンカラーでできた扉を眺めながら小声でつぶやいた。その後ろをついて行き、シロナさんの肩越しに扉の方へ視線を向けてみると、ピオニーさんが言っていた点々の羅列が目にはいる。

 

「これが……『点字』って記号……ですか?」

「ああそうだぜ。オレたちが今まで巡ってきた遺跡にも、同じような記号が並んでたんだ」

「フリアはシロナさんに質問してたと思うんだけど……まぁいいわ。このせっかちの言う通り、今まで巡ってきた遺跡前部にこの記号の羅列があったわ。そこにも意味のある言葉が書いてあったみたいなんだけど……」

 

 シロナさんに呼びかけたところで、ジュンとヒカリからアンサーが帰って来る。正直、ボクがシロナさんに声をかけた時点で、シロナさんは考古学者モードに入っており、ボクの声が届いていないような気がしたので、ジュンたちが返答してくれたのは、今回においては助かっていたりする。そんな彼らの説明を受け、改めてシロナさんがじっと見つめている記号の羅列を眺めてみる。ヒカリの言うことが本当なら、今ここには、おそらくピオニーさんに教えてもらった言葉の全文が書き記されているんだろうけど……

 

「……全くわかんない」

「あたしにもわかんなかと……」

「これ本当に文字なの……?」

「ただの凸凹にしか見えないぞ……」

 

 ボク、マリィ、ユウリ、ホップと、順番に眺めてみるけど、誰一人としてその文字を読むことが出来なかった。どこからどう見ても点々が適当に並んでいるようにしか見えず、これで文字と言われても全く理解できない。どうやら点々は文字だけという訳でなく、実際に凹凸があるため、触ったらちゃんと点のところは出っ張っていて、指が引っかかるみたいなんだけど……現在進行形でシロナさんが指を触れているところを見ても、とても解読しているようには見えなかった。

 

 せっかくの伝説巡りなのに、一番最初に目にしたのが意味の分からない点の羅列ということに、少なくないがっかりを感じてしまっている。そんなちょっと手持ち無沙汰になっているボクたちに対して、カトレアさんが小さく、しかし全員に聞こえる通った声で、現状についての説明をしてくれた。

 

「あの点字は本来……文字を見ることが出来ない人に対する配慮なのよ……」

「文字が見えない人……?」

「ええ……」

 

 ユウリに対する質問に頷きながら返したカトレアさん。そんな彼女に続いて、今度はコクランさんが解説を続ける。

 

「点字というのは本来、盲目の方に伝わるようにと開発されたものです。昔は盲目の方は勉強をする必要がないと言われ、周りから迫害される傾向にありました。しかし、そんな中でも、『盲目でも学びたい』と声を上げ、努力をした方がいたのです。その方が、周りの方の援助や、本人の弛まぬ努力の結果として作られたのが、この点字と言われています」

「この文字、そんなに凄かったのか……」

「けど、そこでこの遺跡についての謎が出てくるの」

「え……?」

 

 コクランさんによって語られる、この点字の起源に思わず声を上げてしまうジュン。ボクも、声には出さなかったものの、同じように感心していたら、文字の解読が終わったのか、シロナさんが扉から手を離し、こちらに振り返りながら、そのうえでこの遺跡の謎について語り出す。

 

「コクランの言う通り作られた場合、この点字が作られたのは200年程度昔ということになるわ。けど……」

「この遺跡、どう見ても建てられてから何千年……ううん、下手をすれば何万年とか、途方もない時が経ってる可能性だってあると……」

「そう。この劣化は200年程度では起きない劣化……つまりは、それだけ昔から存在するということ……」

 

 扉を手でなぞりながらそう説明するシロナさん。その手を追って改めて扉を見ると、点字の欠けや、色んな人が触ったことによって起きた磨耗による突起の削れ具合が見て取れる。きっと、何人もの研究者がここを訪れ、この入口を調べ、そして追い返されたのだろう。そう思うと、先程までまるで意味を理解できなかった点字にも、ちょっとした趣を感じ始めてしまう。我ながら単純だなぁと思わなくもない。

 

「ではなぜ、そんな昔からあるこの建造物に点字が書いてあるのか。この点字は後に掘られたのか、はたまた、そもそも点字が別にあり、点字を作った人はこれを参考にして作ったのか。……もしくは、偶然、たまたま、太古からある点字と、後で作られた点字がほとんど一緒の意味を持つ記号として作られたのか……現段階では、この点字ひとつとっても、謎に満ちて分からないことだらけよ。けど……」

 

 扉から手を離し、ゆっくりと距離をとるシロナさん。その姿は、暗に『扉から離れて』と言っているような気がして、その姿を追って、ボクたちも慌てて遺跡の入口から距離をとる。

 

「少なくとも、その歴史の一端に触れることの出来る存在が、今この遺跡の中にいるはずよ!」

 

 ある程度離れたところで振り返るシロナさん。その手には3つのモンスターボールが握られていた。そんなシロナさんに対して、ずっとソワソワしていたジュンが口を開く。

 

「で!で!結局あの点字には何が書いてあったんだ!?」

 

 答えを今か今かと待ち望んでいるジュンに対し、小さく微笑むシロナさん。そこからゆっくりと口を開き、言葉を発した。

 

「『みっつのきょじんあつまりしとき、うんめいのとびらひらかん』……遺跡の扉にはそう書かれていたわ」

「3つの巨人集まりし時……」

「運命の扉開かれん……」

 

 ボクとユウリが復唱し、その言葉を聴きながらシロナさんが説明を続ける。

 

「正確には風化が激しかったり、人の手の触れすぎによって曖昧なところや抜けている部分もあったけど、前後の文字と組み合わせると補完可能だったから、そこは私の予測が入っているわ。けど、おおよそこの文で間違いは無いはずよ。そして、その上で重要なのが、最初に書かれている『3つの巨人』の部分」

「……当然、あの子たちのことよね?」

「ええ、そうね。それ以外にないわ……それじゃあ早速、『運命の扉』とやらを開けるわよ!!」

 

 ヒカリの質問に答えながら手にした3つのボールを宙へ投げるシロナさん。綺麗な放物線を描いたそのボールは、遺跡の入口付近まで近づいたところで景気のいい音を立てながら開かれる。そこから伸びる白い光に包まれながら現れたのは3つの巨人。

 

「ロロ……ジ……」

「イイ……スス」

「チチ、ジジジ」

 

 岩の巨人、レジロック。氷の巨人、レジアイス。鋼の巨人、レジスチル。

 

 シロナさんがここに来るまでに捕まえた、3つの巨人が今ここに集結する。それぞれが顔を突合せ、独特な機械音のような声でコミュニケーションをとっている姿は、とてもじゃないけど現実味のあるものとはいえなかった。急に現れた3つの伝説に、ユウリたちも思わず息を飲む。そんなユウリたちの姿なんて気にも留めず、お互いの顔を見合わせながら顔の点々を光らせている巨人たちは、ほどなくして遺跡の入り口へと視線を向ける。すると、3つの巨人が両手を入口の方へと伸ばし、何かを呟くような音とともに顔の点を光らせていく。すると、辺りに突然地響きが鳴り出した。

 

「わわわ!?地震!?」

「落ち着きなさい……地震ならもっと大きなことになっているわ……」

「ええ、そうね……そして、どうやらこれでこの入口の問題は間違いないようね」

 

 急な揺れに思わずこけそうになるユウリを背中から支えるカトレアさん。ユウリの不安を取り除く言葉をかける彼女に続いてしゃべるシロナさんは、ユウリへの心配の気持ちを残しつつ、しっかりと入口を見つめ続ける。この地響きがなんてことないものと理解した瞬間、他の全員も視線をまた集中させた。数多の視線を集める中、それでも自分のペースでゆっくりと開いていく扉は、数秒後にひときわ大きな音を立てたと同時に、完全に開ききる。

 

「……ありがとうみんな。戻ってちょうだい」

 

 扉が開ききったのを確認したシロナさんが、3つの巨人を再びボールへと戻していく。

 

「行くわよ……」

「いよいよだな……!!」

「ええ。ホウエン地方から数えたら4回目だけど、この空気はやっぱり慣れないわね……」

 

 3つの巨人がボールに戻ったところで、シロナさんが先頭を切って遺跡へと歩いて行き、その後ろに続くようにジュンとヒカリが歩き出す。

 

「さて……さっさと終わらせて……紅茶でも飲みながら本が読みたいわ……」

「行きましょう。お嬢様のお力があれば、今回の件もすぐに片付きますよ」

 

 次いで歩き出すのはカトレアさんとコクランさん。伝説が待っているというのに2人のテンションはいつも通りで、どこか安心感を抱かせる歩調で進んで行く。

 

「伝説……ちょっとドキドキすると……」

「なんせ初めての出会いだもんな!!オレもワクワクしてきたぞ!!」

 

 その次に歩き出すのはマリィとホップ。2人とも、初めて出会う伝説のポケモンという言葉に胸をときめかせながら、カトレアさんとコクランさんの後ろについて行こうと小走りで駆けだした。

 

「フリア……どうしよう……怖い気持ちと楽しみの気持ちがぶつかり合って……なんていうか……」

「大丈夫。ボクも同じ気持ちだから……行こ?」

 

 最後はユウリ。武者震いからくる振動によって、逆に体が上手く動いていないユウリの背中をぼくがカトレアさんにしてもらった時のように軽く叩いてあげる。すると、程よく体の力が抜けたのか、いまだに武者震いが完全になくなっているわけではないけど、それでもちょうどいい緊張感に包まれた状態にはなってきた。

 

「ありがとフリア。もう大丈夫!!」

「ならよかった。さ、伝説に会いに行こう!!」

「うん!!」

 

 もう不安はない。改めて気合を入れなおしたボクとユウリも、先に行ったみんなに置いて行かれないように足を動かして、遺跡の中に入っていく。

 

「……思ったよりも暗くない?」

「というよりも、そんなに深い構造じゃない感じかな?」

「お、フリアにユウリ!遅いぞ!!罰金もらうぞ?」

「はいはい罰金罰金」

「流すなよ!!もう、なんだってんだよ~!!」

 

 相変わらずのテンションのジュンを放置して中に入って、ボクたちが真っ先に思った感想が、『思ったよりも狭い』だった。ダイマックス巣穴のように中が入り組んでいたり、洞窟のように高低差があったり、入口のようなギミックがあったりと、そういうのを覚悟していたんだけど、いざ蓋を開けてみれば、入口すぐのちょっと細い道を進めば、もう目の前に広場がやってきた。

 

 広場の中は、外観と同様に左半分が黄色で、右半分が赤色の空間になっており、それぞれの色の空間の最奥にて、腕を胸の前でクロスさせた巨人の像と思われるものがたたずんでいた。また、それぞれの巨人の顔には点が全部で10個並んでおり、その並びは入り口の上に掲げられた2つの模様を重ね合わせたようなものになっていた。そして、その顔に掘られている点と同じ並びが地面にもあった。

 

 想像よりも少し明るいこの空間にて、ボクは近くにいたヒカリとジュンに質問を投げかける。

 

「これが遺跡の内部……ねぇヒカリ、ジュン。他の遺跡もこんな感じだったの?」

「いや、オレたちが見た遺跡はもっと薄暗かったし、巨人の像なんかなかったぞ」

「そうね……足元の点も初めて見るわ」

「そっか……逆に今まではどんな感じだったの?」

「今まではもっとジメっとした暗い洞窟の中で、一番奥の壁に点字で、巨人の封印の解放条件が書いてあったんだよ」

「技を使ったり、特定のポケモンを連れて来たり……果ては特定の場所でじっとしてろ。なんて指示もあったわね」

「もしそれをなぞるのなら、今回も何かしらの指示か条件を満たしたら、巨人が出て来るって事かな……?」

 

 ヒカリとジュンの言葉を聞いて、ボクなりの仮説を立ててみる。けど、だからと言って何かが思いつくわけでもなく、とりあえず、床に並んでいる点の模様が関係あるのかな?くらいの素人意見しか出すことが出来ない。それはマリィやホップ、ユウリも同じみたいで、それぞれ考えるようなしぐさを見せるものの、答えに辿り着いているものはいないみたいだ。そんななかで、シロナさんがゆっくりと前に進み、床に描かれている点の一つの上に足を置いてみる。すると、シロナさんが足を置いた円が1つ、淡く光りだした。

 

「わ!?光った!?」

「……」

 

 いきなり起きた現象に小さく声を上げるユウリ。けど、シロナさんは再び考古学者モードとなっており、こちらの声は届いていなかった。そんなシロナさんが再び同じ場所に足をつけると、光は消えていった。

 

「一度踏むと光り、もう一度踏むと消えるのね。ということは特定の場所を光らせたら巨人が動きだす。という事かしら?けど……」

「もう1つの方が気になるわね……」

 

 左側で点を踏んでいたシロナさんに続いて、右側の点を踏むカトレアさん。すると、シロナさんの時と同じように点が淡く光りだす。しかし、その動きに続いてシロナさんが左側で点を踏むと、カトレアさんが踏んだ時に光った点が消灯した。

 

「どちらかが踏まれると……もう片方の光が消えるのね……」

「となると、どちらか片方だけを光らせるのが良いのかしら?もしくは……」

「あたくしとシロナ……2人で同時に光らせるか……」

 

 お互いの視線を合わせてコクリと頷く2人。一方でそんな2人を見つめるボクたちは、何が何だかさっぱりわからず、2人のやり取りについて行けずにいた。

 

「何が何だか……いつもこんな感じなの?」

「あはは……残念だけど、わたしたちに点字は読めないからね。わたしたちが手伝っているのはその先のバトルばっかりだったから……」

「何回か覚えてみようとは思ったんだがな……難しすぎて覚えられないんだよなぁ」

「確かに、あの記号の解読を覚えるはの難しそうと……」

「覚えようと思えば、実は案外簡単に憶えられますよ?もし興味がおありでしたら、わたくしが民宿に戻ったのちに教えてあげますよ」

 

 謎解きをしている2人を見ながらヒカリとジュンに質問を投げかけてみるけど、この感じはどうやら前から変わらないみたい。マリィも解読の難しそうな点字に少しだけ苦言を呈していると、コクランさんからあの文字の勉強を提案される。ちょっとだけ気になりはするんだけど……それ上に今は大会が近いから、その時間は特訓ないし、イメトレに使いたいから、勉強は後回しかな?

 

「ありがとうございますコクランさん。大会が終わって落ち着いたらお願いしていいですか?」

「そうでしたね。あなた方は今は大事な時期……それに、わたくしが教えられるのはあくまで現代にて使われている物のみ。今回のような、古代からあるものに対しては適応されませんでした。失礼いたしました」

「そ、そんなかしこまらないでください!!こちらこそ、断ってすいません……」

 

 胸に手を当てながら、恭しく頭を下げるコクランさんに慌てて謝罪を入れるボク。こういうところを見ると、やっぱり住む世界が違うんだなぁと理解させられてしまうね。

 

「そんなことよりも、そろそろ謎が解けそうだぞ!!」

「いつの間にか凄く順調に謎といてる!?」

 

 点字についてのあれやこれやをみんなと話しているうちに、ホップとユウリが声をあげたので現場に目に向けると、地面の点がそれぞれ5つずつついている状態だった。

 

「成程、どっちかが踏んでもう片方が消えちゃうのなら、両方同時に踏んでしまえばいいってことなんだ……」

「それに地面の点を光らせている位置……あれって、入口の上の黄色と赤にそれぞれ飾ってあったものと同じ形よね?」

 

 ユウリとヒカリの言葉を聞きながら見ていると、確かに黄色側を光らせているシロナさんはYのお尻をくっつけて倒したあの形を作っており、赤色を担当しているカトレアさんは三叉の槍の形を作っていた。そうこう話しているうちに、たった今アイコンタクトでタイミングを合わせた2人が、同時に6つ目の光をともした。

 

「これで6つ目……確か、入口の模様は7つの点で作られていたよね?」

「ああ、だから次が最後だな」

 

 ボクの質問に答えるジュンと話をしている間にも、シロナさんとカトレアさんの足はゆっくりと進んで行き……

 

「……みんな、準備をしてちょうだい」

「え?」

 

 シロナさんから急な忠告が飛んでくる。その言葉に一瞬だけ反応が遅れてしまったけど、みんなその言葉の意味を理解してすぐさまボールを構えた。恐らく、2人が7つ目の点を光らせた瞬間、何かが起きる可能性を危惧しているのだろう。

 

 みんなが息をのむ音が聞こえた。同時に、ボクのボールを握る手に力が込められていく感覚がはっきりと伝わって来る。

 

「……行くわよ。カトレア」

「ええ……いつでも……」

 

 みんなが準備できたのを確認したシロナさんが、カトレアさんと目を合わせながら頷き、いよいよ最後の光をともすための一歩を踏み出す。

 

「また地震……」

 

 7つと7つ。計14の光がともされた瞬間、入口が開いた時と同じように地響きが鳴り出した。けど、さすがにここまで来たら誰もひるみはしない。呟くユウリの言葉も震えてはいなかった

 

「いよいよだね……」

 

 地面にともされた光と同じ並びで、前にたたずむ巨人の顔に光がともされていき、更に地響きが強くなると同時に、ボクの言葉にみんなが頷き、さらに気を引き締める。

 

 辺りをほとばしるは黄色と赤黒い稲妻。

 

 バチバチとはじけるような音をまき散らしながら、空間中を走り抜ける稲妻は、ボクたちに否応なくプレッシャーを与えていく。その稲妻が巨人の像の頭の上に集まっていき、はじけて視界が一瞬真っ白になる。そして、その光が晴れた時、ついに目的の巨人が姿を現した。

 

「あれが……」

「龍と……電の……巨人……」

 

 シロナさんとカトレアさんが呟く視線の先に現れる2人の巨人。

 

 片方は黄色い球体に同じ色の触手が左右に伸び、針のような2本の足でぴょんぴょん跳ねている電気の塊のような巨人。

 

 片方は真っ赤な球体に、まるでドラゴンの上顎のような右腕と、下顎のような左腕を携えた、ひときわ大きな巨人。

 

「ようやく会えたわね……あなたたちの歴史……しかと体験させてもらうわ!!」

「さっさと決めましょ……伝説と言えども……時間は掛けないわ……」

 

 カトレアさんとシロナさん対2つの巨人。

 

 4人の視線のぶつかり合いが、これから起きる激闘を予感させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




点字

コクランさんがここで語っているのは、現実世界での発祥理由です。ポケモンの世界でもこうなのかはわからないです。それに、レジ系列のお話は遥か昔ですからね。……本当に、あの点字はどうして書かれているんでしょうかね?

巨人

ついに登場ですね。どちらが出るのか気にされていた方も多かったと思いますが、今回は両方出てきていただきました。ギミックの形としては、アニポケもと同じだと思っていただいてかまいません。あちらでも、同じように2人が協力していましたよね。




アニポケがずっと懐かしいですよね。出てくるキャラもですし、音楽も懐かしくてたまらないです。そしてやっぱり、エスパータイプってずるいですよね。改めて、ターン制ではないエスパータイプの強さを認識しました。




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