【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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167話

「これが電の巨人と龍の巨人……」

 

 ボクたちの前で佇み、見下ろすかのように視線を向けてくる2つの巨人。さっき入口で確認したレジロックたちと同様に、生き物と言うよりも機械的な雰囲気を漂わせながら見つめてくるその姿にはやはり現実感がないように感じた。というより、なんで生きているのかすらもよく分からない。一目見た時の印象はやっぱり、『無機物』という言葉がピッタリだった。

 

「電と龍……レジロックたちに習うのであれば、さしずめレジエレキとレジドラゴ、と言いったところかしら?」

「その呼び方……借りるわ……いつまでも巨人では格好がつかないもの……」

 

 ボールを握りしめながら会話をするシロナさんとカトレアさんの言葉を聴きながら、ボクもボールからポケモンを出す準備を整えた。

 

(名前とレジロックたちの傾向から、そして見た目から察するに、でんきタイプとドラゴンタイプとみて間違いない。けどボクの手持ちにはこの両方に強く出られる子はいない。ならせめて、どちらかに強い子を出すのが得策……じゃあどっちにするかだけど……)

 

 でんきに強いグライオンを出すか、ドラゴンに強いマホイップを出すか。頭の中で思い浮かべた時、ボクの頭の中の天秤がグライオンに傾いたため、早速グライオンの入ったボールを投げ……

 

「フリア。みんな。今回は任せて貰えないかしら?」

 

 ようとしたところで、シロナさんからの言葉で手が止められる。それはボクだけでなく、ボクと一緒のタイミングでボールを構えていたジュンとヒカリも一緒のポーズで固まっていた。そこからさらに、どうしていきなりそういうことを言い出すのかを聞こうと口を開きかけたところで、シロナさんからさらに言葉が続けられる。

 

「伝説との戦いを手伝いたいって言ってくれて、ここまで付き合ってもらって、そのうえでこんなことを言うのは、あなたたちに対してちょっと失礼だってことは理解しているわ。でも……」

 

 シロナさんの言葉を聞き続けているボクは、その視線をシロナさんの手元に落としていく。そこには、緊張からか、はたまた興奮からか、遠目に見ても明らかに震えているモンスターボールが目に入る。シロナさん自身の震えもあるけど、それ以上に中に入っている子が、『外に出せ』と主張しているようにも見えた。それは今すぐ伝説と戦いたくてしょうがないがためから来た主張に見えてしまい、そのあまりに激しい気迫から思わず息をのんでしまう程。

 

「ヨロイ島とカンムリ雪原を経て、あなたたちの成長と進化を見てたら、私もだんだん心の奥から湧き上がってくるものを止められなくなってきたみたい」

「本当に……心の奥はポケモンバトルバカ……もうちょっと慎みを持てばいいのに……」

「そういうあなただって、なんだかんだやる気じゃない。昔のあなたのこともよく知っているんだから、今更ごまかせはしないわよ?」

「過去を持ってくるのは卑怯……はいはい、分かったわよ……あたくしも少なからず触発されてるわ……これで満足……?」

「ふふふ、ありがと」

 

 その視線をあげれば、今度目に入って来るのはシロナさんとカトレアさんの少し微笑んだ姿。シロナさんはともかくとして、あのカトレアさんまでもが浮かべる好戦的な笑みに、思わず見とれてしまう。

 

「カトレアさんまで……笑ってる……」

「なんか……珍しか……」

 

 ユウリとマリィから零れる言葉に頷きながら、それでも2人から視線を逸らさない。そんな彼女から、言葉がかかる。

 

「コクラン……」

「はい……」

「ここは広い割には隠れる場所がない……戦いの余波が及ぶ可能性があるわ……だから……あなたがみんなを守りなさい……」

「仰せのままに……ムクホーク!エンペルト!」

「ホーッ!!」

「ペルッ!!」

 

 カトレアさんからの指示を聞いてコクランさんが繰り出したのはエンペルトとムクホーク。シンオウ地方にいたボクにとってはどちらも見慣れたポケモンだ。しかし、そんな見慣れているはずのポケモンなのに、この両者から感じる気迫はジュンのポケモンともヒカリのポケモンとも全然違う。

 

(コクランさんのポケモンは初めて見るけど……やっぱりフロンティアブレーンの名前は伊達じゃない……凄く育ってる……)

 

 一目見ただけで伝わって来るその力強さに思わず息をのんでしまう。こんなに育ったポケモンが、懐を見る限りまだあと3匹控えていると考えると、この人もやっぱり四天王クラスの実力を持っているとみて間違いない。

 

「いつか、戦ってみたいかも……」

「機会があれば、ぜひやりましょうね?」

「あ、はい!?……ッ!?」

 

 どうやら無意識に声を出してしまっていたようで、コクランさんが微笑みながら言葉を返してくれた。……ちょっと恥ずかしい。しかしそんなボクの気持ちも一瞬で吹き飛んだ。なぜなら、目の前で今、圧倒的な存在感を放つ2匹のポケモンが出てきたから。そのポケモンは、それぞれの主を守るように立ちはだかっていた。

 

 シロナさんの前に立つのは黒と紺色の間の色をした龍。シャープながらも力強さを感じさせるその身体はまるでジェット機のような姿にも見え、実際に空をマッハの速度で飛び回ることを可能としている。また、身体を覆う繊細なウロコは触れるものを逆に傷つける盾となり、同時に自身が飛び回る際に周囲のモノを切り裂くソニックムーブを発生させる矛ともなる。

 

 カトレアさんの前に立つのは4つのポケモンが合体した鉄のポケモン。4つの脳が磁力とサイコパワーで連結しており、鉄の身体という無骨な見た目とは相反して、スーパーコンピューターをも超える計算能力を持つと言われるそのポケモンは、しかし決して見た目だけではない破壊力を備えた4つの足を地面に打ちつけながら、目の前の伝説を赤い双眸で睨みつけていた。

 

「行くわよ、ガブリアス!」

「メタグロス……やるわよ……」

「グアアァァブッ!!」

「メッタッ!!」

 

 ガブリアスとメタグロス。ポケモンの中でもトップクラスの力を秘めたそれぞれの切り札が、目の前の巨人と相対した。

 

「ジジ……キキキ!!」

「ゴゴ……ジジゴ……」

 

 お互い黙って見つめ合い、かかること数秒。開幕の合図は、レジエレキから聞こえた電気のはじける音だった。

 

 瞬きをひとつ。もちろんこの間にも決してレジエレキとレジドラゴから注意をそらすことなんてしていない。しかし……

 

「キキキ!」

「なんッ!?」

「はやッ!?」

 

 その瞬きの間に、レジエレキは一瞬でメタグロスの真後ろに回っていた。そのあまりの速さに、ボクとジュンの言葉が中途半端なところで遮られてしまう。しかも、レジエレキは既に攻撃体勢を整えており、左右に伸びる触手は、それぞれの手の先でエレキボールを作りあげ、今まさにメタグロスに叩きつけられようとしていた。

 

 このままでは、いきなり大ダメージを受けてしまう。しかし

 

「ガブァァァッ!!」

「キキッ!?」

 

 そんな速攻を決めようとしていたレジエレキが、ガブリアスの紫色の光をまとった爪にて弾き飛ばされた。

 

「『どくづき』!?いつの間に技なんて構えて……」

「ゴゴゴ!!」

「次はレジドラゴ!?」

 

 レジエレキとガブリアスのやり取りにびっくりしている間に、レジドラゴも準備を終えて攻撃を放ってくる。構えた技はげんしのちから。空中に漂うおびただしい数の岩石が、一斉にこちらに向けて発射される。しかし、その岩石たちはこちらに届くことなく、全てが一瞬のうちに粉々に破壊されていき、辺りに舞うのは砂だけとなる。

 

「『コメットパンチ』……だよね?」

「……全く見えなかった」

 

 ボクたちの視線の先には、鈍色に光った右前足を振りぬいた姿で止まっているメタグロス。ユウリの言う通り、そのしぐさはコメットパンチを打ち切った姿だった。けど、次に呟いたホップの言う通り、メタグロスが拳を振っていた瞬間が見えなかった。自分の意識がバトルに集中していなかったから、あまり注視していなかったこともあるけど、それにしたって速すぎる。ガブリアスもだけど、技を発動するときの予備動作というのが感じ取れなさすぎる。

 

「これが四天王とチャンピオン……」

 

 マリィがボソッと呟く言葉も右から左へと流れていく。そんなボクの心の中は別のことで埋まっていた。

 

(間違いなく強くなってる……)

 

 シロナさんの強さは理解していた。だって、コウキとシロナさんの戦いは当たり前のようにリアタイしていたのだから。その時だって、お互いの動きの凄さに打ちひしがれたし、『もう追い付けないのでは?』なんて思ったりもした。けど、今のシロナさんの動きはあの時以上に洗練されている。まだどくづきを一回見ただけなのに、そのことがありありと伝わってきた。

 

(あたりまえだけど……成長しているのはボクだけじゃないんだよね……)

 

 ヨロイ島でジュンと戦った時に分かっていたはずだけど、シロナさんのこの姿を見てさらに実感させられる。そして、みんなが成長しているということは当然コウキも強くなっているはずで……。

 

(勝てるかな……)

 

 自分の中で少し大きくなる不安。けど、その不安もすぐに消える。なぜなら、ボクの腰についたモンスターボールたちが一斉に揺れたから。

 

「……そうだよね。みんながいるもんね……ありがと」

 

 腰にいる大切な仲間たちに勇気を貰ったボクは、2人の動きを1つでも多く吸収するべく、視線を前に向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……啖呵を切ったからには、しっかりとしなきゃいけないわね」

「当り前でしょ……足を引っ張ったら承知しないわよ……」

「あら、いまだに私に勝ててない人が言うにはなかなか大きなセリフね?」

「ムカつく……あとで覚えていなさい……」

「ふふ、カトレアとの全力バトルも予約できるなんて、本当に運がいいわね」

「いいから前を見なさい……」

 

 頬を叩きながら意識を切り替えていると、前方からシロナさんとカトレアさんの雑談が聞こえてきた。その会話感がボクとジュンたちとの会話に似ていて、どこか親近感を覚えた。そのことにほんの少しだけ頬が緩むけど、すぐさま気を引き締め、じっと戦場を見つめる。もう、何1つとして見逃さないために。

 

「開幕は派手に行こうかしら!!」

「仕方ないから合わせてあげるわ……」

「「『じしん』!!」」

「グアアアッ!!」

「メッタッ!!」

 

 シロナさんとカトレアさんからの指示が力強く宣言され、その言葉に答えるようにガブリアスとメタグロスが地面を殴りつける。

 

 巻き起こるのは圧倒的暴力。

 

 激しく揺さぶられる地面は、破壊のエネルギーを携えてレジエレキとレジドラゴに進んで行く。これに対して2人の巨人は空に飛びあがることで回避しようとするものの、そんなこと予想通りとばかりに、いつの間にか2人よりもさらに上に移動していたガブリアスとメタグロスが、それぞれの技を構えていた。

 

「『どくづき』!!」

「『コメットパンチ』……」

 

 上から地面に叩き落して、再び地面に接地させることでじしんをぶつけようという考えらしく、勢いよく上から振り下ろされる2つの攻撃は、しかし突如横から突撃してきた塊に邪魔される。

 

「『しんそく』……レジエレキ……想像以上に速い……」

「あの速度は厄介ね……」

 

 それは先ほどまでガブリアスたちの真下にいたはずのレジエレキ。一瞬でその場から移動して回り込み、上で構えていた2人に渾身の体当たりをぶつけているところだった。それでもただでは反撃されまいと、でんきタイプを無効化できるガブリアスが盾になる形で前に出ていた。しかし、技を受けたのが空中ということもあってバランスを崩した両者に対して、レジドラゴが追撃のげんしのちからを発動。それもさっきみたいな前からだけの攻撃ではなく、全方位から集中するように数多の岩石が放たれたため、逃げ場が存在しなかった。

 

「『サイコキネシス』……」

 

 しかし、そんな状況にも決して焦ることのないカトレアさんは、静かに指示を落とす。

 

 ガブリアスとメタグロスを守るように展開されたサイコエネルギーは、集中してくる岩石たちを外にはじき返していく。当たると思っていた攻撃が外れてしまったことに、少なくない衝撃を受けたレジドラゴの動きが一瞬だけ止まった。

 

「『コメットパンチ』……」

 

 そこにすかさず攻撃を入れるメタグロス。そんなメタグロスの攻撃を防ごうと、レジエレキが一瞬にして移動し、レジドラゴとメタグロスの間に割り込んで……

 

「『げきりん』!!」

「グバァッ!!」

「キキキッ!?」

 

 そのレジエレキがガブリアスによって面白いように吹き飛ばされ、地面へと叩き落された。その姿を確認することすらせずにレジドラゴに突撃していくメタグロス。その姿は、最初からシロナさんがレジエレキを吹き飛ばすことを確信しているからこそできる動きだ。

 

「メタッ!!」

「ゴゴッ!?」

 

 そのまま叩き込まれる鈍色の足。この技でレジドラゴもレジエレキと同じように壁に叩きつけられる。

 

 一瞬のうちに起きた攻防に、視線をついて行かせるのがやっとなボクたちは、ここまで来てようやく口を開けるようになった。

 

「あのガブリアス……レジエレキの速度にちゃんとついて行ってる……」

「メタグロスも、レジドラゴにパワー負けしてなかと」

「それだけじゃないぞ。レジエレキにはガブリアスが、レジドラゴにはメタグロスが常に注意を払うことで、それぞれが相手の主力技を効率よく受け止められるように位置取りしてたぞ……」

 

 ユウリ、マリィ、ホップの言葉に頷くボク。彼女たちの言う通りほんの少しの攻防だったけど、それだけで2人の実力とコンビネーションの高さを実感させられた。レジドラゴを吹き飛ばす時のお互いの信頼も含めて、本当に凄いという感想しか出てこないほどだ。そのうえで、丹精込めて育て上げられた2人の強力な一撃が叩き込まれたんだ。少なくないダメージを負った2人の巨人は、すぐには動き出すことが出来ないだろう。

 

「ひとまず試しましょうか。モンスターボール!!」

 

 地面と壁に埋め込まれるように叩きつけられたレジエレキとレジドラゴ。その両者に対して、とりあえずモンスターボールを投げるシロナさん。真っすぐ投げられた2つのボールは、2人の巨人にこつんとあたり、赤い光に変えてボールの中に収納していく。

 

 2人の巨人を完全に取り込んだ2つのモンスターボールは、そのまま地面に落下し、ゆっくりと揺れだした。

 

「1回、2回、3回……」

「あとはロックがかかれば……」

 

 その様子を見つめているジュンとヒカリから言葉がこぼれる。その言葉に乗っかるようにユウリたちも祈るように手を合わせており、当事者であるシロナさんとカトレアさんもじっとボールを見つめていた。しかし……

 

「ッ!?ガブリアス!!」

「メタグロス……ッ!!」

「エンペルト!!ムクホーク!!」

 

 シロナさん、カトレアさん、コクランさんが、それぞれの仲間に声をかけた瞬間にモンスターボールが弾け、閉じ込められていた2人の巨人が同時に外に飛び出した。

 

 

「キキキーーーーィッ!!!」

「ゴゴ……ゴゴゴゴッ!!」

 

 

 同時にあたりにまき散らされる龍と電のエネルギー。それはまるで一時的にとはいえ、ボールという狭いものの中に閉じ込められたことに対して激怒しているようにも見えた。その余波はすさまじく、コクランさんのポケモンが盾になってくれなければ、間違いなくボクたちから怪我人が出てきたであろうことが予想されるほど。

 

「やっぱり一筋縄ではいかな……」

「シロナ……!感想は後よ……!」

「ガブァッ!?」

「ッ!?」

 

 感想を零している間にレジエレキのしんそくによって吹き飛ばされるガブリアス。ただでさえ速いのに、さっきよりも明らかに上がっている速度によってぶつかられたガブリアスは、レジエレキにさっきのお返しと言わんばかりの速度で吹き飛ばされる。

 

「メタグロス……『しねんのずつき』……」

 

 急なカウンターによって一時戦線を外されるガブリアス。しかしそんなことにも動じないカトレアさんは、この間に来るであろうレジドラゴに応戦するべくすかさず技を指示。その判断は確かで、今まさに攻撃しようとしていたレジドラゴにカウンターのような形で技が放たれる。サイコエネルギーをまとったメタグロスの巨体が、両腕のアギトで大きな顎を作り、かみくだくを構えていたレジドラゴに対して先手を打とうと前に飛び出した。

 

「キキキキィッ!!」

「メタッ!?」

「……ッ!本当に速い……!」

 

 しかしメタグロスの攻撃は、さっきまでガブリアスに攻撃していたはずのレジエレキが放った電撃によってせき止められる。それもただの電撃ではなく、圧倒的な速さでいつの間にか真上を撮っていたレジエレキから、まるで檻のような形で電撃が降り注いでおり、直撃を受けたメタグロスはとてもじゃないけど動ける状態では無い。まひとは違い、相手を拘束することに特化した技らしい。

 

「ジジ……ゴ……ッ!!」

「メタッ!?」

 

 メタグロスが攻撃を中断させられたということは、必然的にレジドラゴの攻撃が繰り出されてしまうということ。電撃で動けないメタグロスを襲うのはレジドラゴのかみくだく。メタグロスにこうかばつぐんなこの技は、メタグロスの腕にしっかりとその牙を突き立てており、メタグロスにさらなるダメージを与える。

 

「振り払いなさい……!」

「メタッ……!」

 

 やられてばかりではいられないメタグロスはこれをすぐさま振り払う。元々の力はメタグロスの方が上らしく、レジドラゴは思ったよりは早く離れてくれた。しかし電撃のせいで追撃はできないため、メタグロスは耐えるしかない。

 

「ガブリアス!!」

「ガブアァッ!!」

 

 そんなメタグロスへと駆けつけるのは再起したガブリアス。じめんタイプを含んでいるガブリアスがメタグロスを閉じ込める電撃の檻に突撃。でんきをじめんで消すことによって、電撃の檻からメタグロスを解放する。

 

 これで安心できる。と、思い、ボクたちが一息こぼした時に、何かがチャージされるような音が鳴り響く。

 何が起きているのかを確認するべく、慌てて色々見渡していくと、その音の正体にたどり着いた。

 

「何かやばそうだぞ!?」

 

 ホップの声に先にいるのは、身体をかたむけて両腕を龍の顔の形にし、その中心にて技を溜めているレジドラゴの姿。口の中心に溜まっていく赤黒いエネルギーは、ジュンの言う通り明らかにやばい気配を漂わせていた。けど時は既に遅く、程なくしてレジドラゴから赤いレーザーが解き放たれる。その一撃は寸分たがわずカブリアスたちのいる位置を射貫き、派手な音と共に大爆発を起こしてしまう。

 

「なんて火力……ッ!」

 

 余りの爆風に顔を覆う事で精一杯なボクの言葉は、爆風に消されて誰の耳にも届いていない。

 

 辺りに舞う土煙に視界を奪われ、前を見ても現状を理解できない時間が生まれるけど、あれだけの攻撃を受けたんだ。ガブリアスたちが無事なようには全然見えなかった。

 

「ガブリアス……」

「メタグロス……」

 

 そんな中聞こえてくるシロナさんとカトレアさんの小さな言葉。その言葉に、シロナさんたちもショックを受けたのかと思った。

 

 けど、そんな浅い考えは一瞬で蹴散らされる。

 

「「まだやれるわよね……?」」

 

 低く、低く、背筋まで冷えてしまう程冷たい一言。小さいはずなのに、しっかりと体の芯まで届くその声に……

 

 

「ガアアアァァァァッ!!」

「メッタアアァァァッ!!」

 

 

 まるで『あたりまえだ』と答えんばかりに咆哮しながら土煙を吹き飛ばし、傷つきながらも滾らせ、ギアを更にあげ始めているガブリアスとメタグロスの姿が目に入る。その姿があまりにも勇ましく、先の咆哮と合わせて体の震えが止まらない。

 

(……凄い……!)

 

「全く……横着するからこうなるのよ……」

「それに関しては悪かったわよ。でも、あんなにもやられたような姿しちゃったら、ボールを投げたくなってしまうのが性じゃないかしら?」

「あたくしにはわからないわよ……でも、想像以上に強かったのは同感ね……」

 

 ガブリアスたちに見とれているボクたちだけど、当事者であるシロナさんたちは一切気に留めず、いつも通りの会話をする。

 

 

「キキキキィィィッ!!」

「ゴゴゴ……ゴゴゴ……ッ!!」

 

 

 一方でレジエレキとレジドラゴは、ダメージこそ負っているものの、普通に立ち上がって臨戦態勢を整えているガブリアスたちが気に入らないのか、こちらも大きく吠えながらギアをあげていく。

 

 4人のポケモンの気迫がぶつかり、それだけでバチバチとはじけるような音が聞こえてくる。

 

「……やっぱり伝説……甘く見ていたわけではないけど、ちょっと本気で行きましょうか。カトレア!」

「ええ、よろしくてよ……今あたくしたちに放った攻撃……そのお返しは、高くつくわよ……」

 

 一触即発。この言葉がここまで似合う場面もそうそうないだろう。だけど、緊迫した状況でもいつも通り言葉を紡ぐシロナさんたちは、会話をしながら胸元に隠していたペンダントを取り出した。

 

「あれは……もしかして……!!」

 

 その正体に気づいたボクは思わず声を出してしまう。

 

 シロナさんとカトレアさんが取り出したペンダント。その先についているのは1つの石だった。その石の中心には、遺伝子を思わせる模様が描かれており、七色に輝きながら存在を主張してくる。

 

 その不思議な石の名前は『キーストーン』。対となるもう1つの石とを絆でつなげることで、ポケモンをさらに先のステージへと昇華させる神秘の石。

 

「ガブリアス……」

「メタグロス……」

 

 カロス地方で見つかったその石によって行われるポケモンのさらなる進化。

 

「「『メガシンカ』!!」」

 

 進化を越えた進化。その境地へと、ガブリアスとメタグロスが変わっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シロナ、カトレア

ということで、レジ戦はまさかのこのお2人です。出てきたは良いのですが、ここまでしっかり彼女たちの手持ちを活躍させていないので、ここで暴れていただくことに。いろいろ悩んだのですが、話を書いて行くにつれ、シロナさんが闘いたいと言っているような気がしましたのでこの展開に。2人の仲は、この小説内ではフリアさんとジュンさんのような関係ですね。素を出し合える仲なので、シロナさんのテンションもかなりくだけてます。こういう関係は個人的に大好きです。

メタグロス

BWでは強化版にてトリを務める彼。最初はゴチルゼルかランクルスを考えていたのですが、せっかくガブリアスと並べるのなら、同じ600属が映えるかなと。実機とは技構成は変えてますけどね。

メガシンカ

ガブリアス、メタグロスと並んだのであれば、思い切ってこちらも出してしまおうということで、ここまで書いてこの作品初のメガシンカです。巨人対メガシンカ。激しくなっていくバトルを、お楽しみいただけたらと思います。




この話を書いていると、レジ全種の色違いを集めるため、3,4か月ほどひたすらエンカウントと地面の点を踏むのを繰り返していた日々を思い出します。中には1年かけて出会えていない人もいるみたいなので、自分はこの期間でレジ全種の色違いが手に入って本当に良かったなぁと思いました。けどやっぱりレジアイスの色違いはよく分からない……




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