170話
「うおおおお!!朝だぁぁぁぁ!!」
「うるさいわね……そんな大声で言わなくてもわかってるわよ」
巨人たちの伝説に挑んだ次の日。あれから夕飯を食べ、再び各々で自由な時間を過ごして就寝。そのまま夜が明け、清々しい程綺麗な空が窓から見える中、朝食を食べ終えたジュンが身体をグッと伸ばしながら大声で叫ぶ。その声があまりにも大きく、隣にいるヒカリが思わず不機嫌そうに眉を顰める。
「あはは、朝から元気だね……」
「ピュイピュイ!」
「ほしぐもちゃんも元気そうと」
「オレもジュンの気持ちわかるぞ!!」
少し離れたところでほしぐもちゃんと戯れているガラル組のみんなもジュンの言動にはちょっと呆れ顔だ。唯一同じテンションになれるホップだけは、同じように燃えてるみたいだけどね。
「若いわね……本当に元気……」
「カトレアさんもかなり若い方だと思うんですけど……」
「お嬢様はこのような若い見た目ですが、その実……」
「コクラン……?」
「……失礼致しました。さっきの言葉は聴かなかったことにしてくださいませ」
「あっはい……」
カトレアさんからの鋭いにらみつけるは、コクランさんの防御力と勢いを完全に殺し切った。そのにらみの余波はすさまじく、思わずボクまでもが少し震えてしまう。
(もしかして、意外と年齢……)
「フリア……?」
「はい!?」
「……」
「ご、ごめんなさい……」
心の中でちょっと考えたところに、カトレアさんにさらに釘を刺されるボク。どうしてボクの周りの人はこうも心を読む人が多いのか。
「よぉお前ら!!元気してっか!!」
そんな、ハブネークに睨まれたニョロモの気持ちになっている中響き渡るのは豪快な声。少しだけ冷えた空気を思いっきり吹き飛ばしてくれるその声は、固まったボクの身体を一瞬でほぐしてくれて、空気をいつも通りに戻してくれる。ここまでピオニーさんに感謝したのは初めてかもしれない。
「ピオニーさん!!待ってたぜ!!」
「伝説の続き!伝説の続き!」
「本当、来てくれてよかったと……」
そんなピオニーさんの登場に喜ぶ声を上げたのはホップとジュン。マリィも小声で安堵したような声を零していた。ピオニーさんがこちらに来たとなれば、ボクたちの話の流れは伝説へと変わっていく。年齢の話はそのまま流れてくれたのでほっと一安心だ。
「おいおい、そんなに楽しみにしていたのかぁ?仕方ねぇなぁ。で、あと伝説は2つあるんだが……どっちからやるんだ?」
「鳥の伝説と、豊穣の神の伝説……だよね?」
「鳥の伝説が南の方で、豊穣の伝説がこの村の中の伝説だね」
ピオニーさんの言葉から改めて今ある伝説をおさらいしていく。ユウリがボクの方に視線を向けながら聞いてきたので、ボクはその言葉に頷きながら、プラスして伝説の場所を提示。すると、ホップとジュンが考えるように顎に手を当てながら吟味していく。
「鳥と豊穣……想像しやすいのは鳥の方だぞ」
「なんせ、名前だけはオレたちでも知ってるポケモンだからな」
ジュンの言う通り、鳥伝説に関しては既にポケモンの名前まで明らかになっている。ファイヤー、フリーザー、そしてサンダーの3鳥と呼ばれる伝説たちだ。珍しくないというわけではないんだけど、それでも他の伝説と比べると、まだ確認されている数の多い伝説たちだ。名前も姿も全く想像できない豊穣の神と比べると、個人的には少しだけ物足りなさを感じてしまう。……この意見はファイヤーたちに失礼になるかもしれないね。ごめんなさい。
「そうなって来ると、先に気になる豊穣の神を調べてみる……?」
「いや、鳥伝説を先にしよう!!」
既に名前を知っている伝説だけあって、言い方を悪くすれば、少しだけ期待値の低い鳥伝説を後に回すことを提案するユウリだったけど、それを否定したのはホップだった。
「どうせなら最後に調べるのは一番ドキドキするのにしたいだろ?あ、いや、鳥伝説にドキドキしてないわけではないんだけどな」
「言い訳みたいに言わなくても、あなたの言いたいことは何となくわかるから大丈夫よ」
慌てて訂正するホップに、みんなを代表してヒカリが言葉を零す。ホップの『鳥伝説ももちろんドキドキしているが、強いて差異をつけるのなら豊穣の神の方がちょっと上回っている』という気持ちはここにいるみんなが理解していた。ご飯で言えば、一番好きなものを最後に食べる感じだよね。先に食べる派の人とぶつかることが多いこの手の意見だけど、少なくともここにいる人たちはみんな、最後にとっておくタイプの人間だったみたいだ。……ごめんちょっとだけ嘘。せっかちなジュンだけはこれに当てはまっていない。
「オレは豊穣の神から回りたかったけどなぁ……ま、みんながそういうなら仕方ないか」
けど、だからと言って流石にみんなの輪を乱したりしないあたりは、地味にちゃんとしているところだ。普段からこの思いやりを別方向にも発揮して欲しいんだけどね。
「おし、そんじゃあ今日調べるのは『目撃!大樹に集う伝説の鳥伝説!!』でいいんだな?」
「「「「「「はい!!」」」」」」
ピオニーさんの最終確認に元気応えるボクたち。ちなみにコクランさんとカトレアさんは少し離れたところで紅茶を飲んでいる。鳥伝説に関しては特に興味もなく、我関せずにスタイルを貫くみたいだ。ちょっと寂しいと思ってしまったけど、元々ここに来た理由がボクのヨノワールとの現象を調べるためと、シロナさんの手伝いをするためだったみたいだし、そう考えるとカトレアさんの目的はもう達成している。これ以上外に出る必要がない現状、興味を持つ理由も特にないと言った感じかな?
「そんじゃ、改めておさらいするぜ!!」
とりあえず今はカトレアさんにではなく、ピオニーさんに意識を集中させよう。
「うんじゃ、改めて鳥伝説についての説明をするが……まずこいつの伝説が関係する場所は、このカンムリ雪原の南側だ」
「『ボールレイクの湖畔』……でしたっけ?」
「おう!そんでもって、その湖畔の中でも特に目立つ、『ダイ木』ってのが目印だな」
「『ダイ木』……それって、定めの遺跡に行く途中に見えたあの赤い木のことかな……?」
ユウリの質問に補足を入れるピオニーさん。もしこのダイ木がユウリの言っている通り定めの遺跡に行く途中に見かけたものだとしたら……
「あれがそうなのだとしたら……サイズ、とんでもなかとよ?」
「そうよね……わたしもちらっと見えたけど、遠目からでも相当大きかったわよ?」
「それこそ、自然の木がダイマックスしたような……あ、だから『ダイ木』って呼ばれてるのかな?」
マリィ、ヒカリ、ユウリが、そのダイ木の大きさについての議論をする。彼女たちの言う通り、定めの遺跡へ向かう時に通る巨人の寝床から、ボールレイクの湖畔と思われる場所と、その中心に立っているダイ木と呼ばれるものも視認することができるのだけど、巨人の寝床からボールレイク湖畔はかなりの距離がある。それでもしっかりとダイ木の存在感を確認することが出来るということは、それだけ大きなものということだ。近づいたらどれだけ見上げることになるのだろうか。
「それにあの木……どうやらきのみもなってるみたいなのよね。……食材に使えたら、わたしは飛んで喜ぶんだけど……」
「ヒカリの新しい料理が食べられるのか!?」
「それは楽しみだぞ!!」
「……それは食べなきゃ」
また、ヒカリによるとダイ木には赤くて大きなきのみもなっていたらしい。そのきのみの味しだいでは、ただでさえ美味しいヒカリの料理にさらに幅が生まれそうだ。そう言われると、ボクもジュンとホップ、そしてユウリみたいに期待が膨らんでしまう。鳥伝説とは関係ないことではあるけど、これも目標のにとつにしてみたい。
「嬢ちゃんが作る新しいメシか……もし上手くいったら、オレにも食わしてくれよな!!」
「ええ、勿論」
「…………」
「お嬢様……食べたいのでしたら素直に言えばよろしいのに……」
「う、うるさいわね……別に気になってないわよ……」
「そういうところですよ。お嬢様」
ヒカリの料理の腕の良さはみんなの共通認識だ。ピオニーさんもまだ2回しか食べていないけど、その腕の高さをしっかりと理解し、虜になってしまっている故のこの発言だ。ボクも楽しみなので、できればピオニーさんの要望も応えてあげたいね。あとは……
「ヒカリ……もし料理が上手く行ったらの時なんだけど……」
「『カトレアさんたちの分も確保して欲しい』、でしょ?わかってるわよ。お世話になったお礼もしたいし……カトレアさんとコクランさんの会話、小声で言ってるみたいだけどばっちり聞こえているもの……」
「だよね……コクランさんも物凄く分かりづらくこっちを見てる辺り……」
「カトレアさんはともかく、コクランさんは間違いなくわざとね。……本当に、カトレアさんってこうしてみると意外とめんどくさい所あるわね。あ、悪い意味じゃないわよ?」
「わかってる。人間臭くて、ちょっと親近感沸くって話でしょ?理解してるから大丈夫だよ」
このあたりは、マホイップとブラッキーを含めて一緒にお話をしているときにそれとなく拾っていた要素なので、ボク自身もいまの印象はヒカリ寄りになっている。そのためヒカリが感じたその感想はとても共感できるし、ヒカリがもし料理が上手くいったのなら是非とも持って行ってあげたいとも思っている。あのきのみがとても美味しいものなら、ボクも頑張ってヒカリの手伝いをしようかな?
「ボールレイクの湖畔に行くには、巨人の寝床の南側に川が流れているから、そこを下っていけばたどり着けるぜ。途中までの道のりは定めの遺跡に行くルートと一緒だから、たぶん迷うこともないはずだ!!」
「川……確かに見かけたかも……いにしえの墓地から少し進んだところの右手にあったあれだよね?」
「あたしも見たと。あれを下ればいいとね」
ピオニーさんに道のりを教えてもらい、昨日の記憶と照らし合わせを行うユウリとマリィ。その道のりはボクの記憶にもしっかりと残っているので、2人の言っていることとピオニーさんの言っていることに偽りはないだろう。昨日と同じく、進む道がわかっているのはとてもありがたいことだ。
「よし、行く場所が分かったなら早速行こうぜ!!」
「善は急げっていうもんな!オレも早く行きたいぞ!!」
目的地と行き方がわかってしまえば、あとはうちのせっかちコンビの独壇場だ。早く行きたいという気持ちを高ぶらせながら、誰よりも早く準備を進めていく2人。その速さに思わず苦笑いを浮かべてしまいながらも、楽しみな気持ちは同じなので2人程とはいかないけど、ボクたちも準備を進めていく。今日もまた、お昼ご飯用のヒカリお手製の弁当を携えていざ出発の時。
「ではいってきますね。シロナさんにはよろしく言っておいてください」
「了解しました。……あなたたちが帰ってきても、部屋から出てくることはなさそうですけどね」
「ははは……えっと、シロナさんのご飯は……」
「ええ、キッチンに作り置きがあるのも確認しております。機を見てお渡ししますのでご安心を」
ボクとヒカリでコクランさんにいろいろ言づけておくけど、確かにシロナさんは部屋から出てくることはなさそうだ。結局昨日も、夕飯の時間になっても出てくることはなかったしね。……倒れてなかったらいいのだけど、そこはコクランさんに任せておくしかなさそうだ。
「おいフリア!ヒカリ!早く行くぞ!!」
「余り遅れると罰金だかんな!!」
そんな話をしているうちに、さっさと民宿から外に出て行ってしまうホップとジュン。そんな2人に連れられ、ユウリとマリィも外に出ていく。
「2人とも早く来てね!私たちだとあの2人を止められないから……」
「無茶しないように見張っておくのが限界と。だから急いでくるんよ!」
4人が出ていった民宿に一気に静けさが訪れる。このままぼーっとしていたら本当において行かれてしまいそうだ。
「ボクたちも行こうか」
「そうね、もう罰金は勘弁願いたいもの」
「『もう』って……一度も払ったことないくせに」
「それはフリアもでしょ?気持ちの問題よ」
先に行った4人置いて行かれないように、お話をしながらボクたちもすぐに扉の方へ歩いて行く。
「んじゃ、気を付けていって来いよ!!いい報告待ってるぜ!!」
「……って、今回もついてこないんですね」
「おう!シャクちゃんが帰ってくるかもしれないからな!!」
「……行きましょうフリア。」
「うん……」
結局今回も旅には不参加のピオニーさんにため息をつきながら、ボクたちも民宿を出た。
(できれば、最後の伝説くらいは一緒に来て欲しいなぁ……)
そんなことを思いながら。
☆
「おお~……ここが『ボールレイクの湖畔』か~」
「だいぶ暖かくて過ごしやすいかも……空気も綺麗で美味しい~……」
フリーズ村を発って数時間。氷点雪原、巨人の寝床、いにしえの墓地と経て、川を下っていよいよ辿り着いたボールレイクの湖畔。そこは、カンムリ雪原とは思えないほど温暖な地域で、広がる草原と長閑な雰囲気がとても心地よく、フリーズ村とは打って変わって物凄く過ごしやすい気候となっている。それは『村を建てる位置を間違えているのでは?』と思ってしまう程。ここなら作物もよく育ちそうなのにとどうしても思ってしまう。ただ、ピオニーさんの話だと、あの村は豊穣の神を祀っているらしい村なので、もしかしたら土着的な意味合いがあるのかもしれない。そのあたりはシロナさんに聞いてみたら答えが返ってくるかもしれないね。
ちょっと話が逸れてしまったので修正。とりあえず今はボールレイクの湖畔についての話をしよう。
ボールレイクの湖畔。
雪原南部に位置するこの地域の一番の特徴は、なんといっても中心部に存在する大きな湖とダイ木のセットだろう。中心にダイ木が生えた丘があり、その丘を囲うようにして大きな湖がある。その湖を更に囲うようにして草原が広がっているのがこのボールレイクの湖畔という場所だ。恐らくこの中心部にある湖のことを、『ボールレイク』と呼ぶのだろう。また、先ほどはこちらの方が住みやすいのでは?なんてボクが言ったと思うけど、よくよく周りを見渡せば集落と畑の跡を確認することが出来た。昔はこのあたりにもたくさんの人が住んでいたみたいで、それでもこうなってしまっているあたり、やっぱり土着のこととか信仰のこととか、この土地の住む人ならではの何かがあるのかもしれないね。
そんなボールレイクの湖畔なんだけど、ボクたちの目的地はこの湖畔の中心にある丘のど真ん中だ。
ダイ木の丘と呼ばれるらしい場所の中心にそびえ立つダイ木。フリーズ村にいる時にユウリが言った通り、巨人の寝床に差し掛かった時点で見え始めたこの木は、これまたユウリが言った通り、自然の木がダイマックスしたかと思ってしまう程の大きな木だ。その大きさは、ボールレイクの湖畔に来たことによって、より顕著に確認することが出来た。
「でっっっっっっけぇ……」
「わかってはいたけど……こんなにでかいんだ……」
「見上げてもてっぺんが見えないわね……」
そのあまりにもスケールの違う大きさに、思わずジュンが言葉を零す。そこに続いてボク、ヒカリと感想を零していくけど、本当に『でかい』という言葉しか出てこない。
木の幹は、まだ少し遠いこの位置から見ても、巨人として扱われいたはずのレジエレキやレジドラゴよりもはるかに大きく、木になっている葉と木の実は、ダイマックスをしたときに現れる赤い雲や光を象徴するかのように赤に染まっており、木の幹に負けないくらい大きく育っていた。また、よくよく目を凝らせば他にもいろいろな木の実がなっているみたいで、そちらはボクたちのよく知るきのみやぼんぐりと言った、みたことのあるものがいろんなところに実っており、こちらは、これまたボクたちがよく見るサイズで実っていた。
いろんな実が同時になる大きな木。まさしく不思議な木と呼ぶにふさわしい木……それがダイ木だった。
「こんなにも色々な実をつけるなんて……初めて見たかも」
「ワイルドエリアにも木の実を沢山つける木はいっぱいあるけど……ここまでよりどりみどりなのは初めてと……」
「なんか、木の実の宝石箱みたいで凄いぞ!」
その木の実の豊富さはここにいる全員が思わずはしゃいでしまうほどで、自然の多いと言われるワイルドエリアなんかよりもずっと多い。それはガラル地方をよく知るはずのユウリ、マリィ、ホップでさえも見たことがないと言葉を零すほど。
「オールフルーツはここにあったのね……」
「何?オールフルーツって……」
特にテンションが高いのはヒカリだ。料理に使うことの多いきのみたちは、料理をこよなく愛する彼女にとってはホップ以上に宝石箱として……いや、宝石箱よりも価値のあるものとして目に映ることだろう。そのせいでちょっと意味のわからないことを喋り出したため、思わずツッコミを入れてしまったけど、彼女の精神状態を考えてみれば仕方の無いことなのかもしれない。
「さぁ早くあの木の根元まで行くわよ!!まだ見ぬ食材がわたしを待っているんだから~!!」
「あ、ちょっとヒカリ!!」
「お、競争なら負けないぜ!!」
「ジュンまでも!?」
こうなってしまえばヒカリを止められる人なんてどこにもいない。ジュンの性格もあってどんどん盛り上がっていく2人の勢いに振り回されるしかなく、急に走り出してしまった2人を慌てて追いかけ始める。
「はぁ、また始まっちゃった……」
「いつもこんな感じと?」
「シンオウ地方を巡ってた時は、出会う度にこんな感じだったね……」
「えっと……お疲れ様?」
「ありがとユウリ……」
「そんなに悲観することなのか?オレは楽しそうだと思ったぞ?」
「ホップの性格だと、確かにそんな答えになりそうだよね」
走りながら言葉を交わしていくボクたちは、どんどん遠くなっていく2人の背中に追いつくことを若干諦めながら駆け出していた。暖かい気候ということもあり、生息しているポケモンも寒いのが苦手なチゴラスやガチゴラスといった子たちが顔をのぞかせていた。相変わらずの化石ポケモンではあるけど、彼らがのんびりと過ごしている姿を見ると、少なくとも今は幸せみたいなのでそこは良かったなぁと思えた。人の手が届かないここではのんびり過ごしてほしいよね。
そんなこんなで、先に走ってしまった2人を追いかけながらも、周りの景色を楽しむ余裕を持ちながら走り続けること十数分。若干息が上がってきて、気分が高揚し始めたくらいで、ボクたちはようやくダイ木の根元までやってきた。
「お前ら遅いぞ!!これ以上遅れたら罰金1000万円だったぞ!!」
「はいはい罰金罰金……にしても、本当に大きいね~……」
ダイ木に着いたと同時にいつものセリフを投げられるものの、それを華麗にスルーして見上げてみると、視界一杯に広がるのは綺麗な紅葉。木陰になっているため、少しだけ肌寒さを感じる場所ながらも、走って火照った体にはこの寒さはちょうど良く感じた。また、葉と葉の隙間からほんの少し零れる光が風と一緒に揺れる姿もちょっとした心奪われるポイントとなっており、その様に見とれていると疲れもなくなるような、ちょっとしたパワースポットのような空気も感じる。本当に綺麗で心地いい場所だ。
「なんか、ここでピクニックでもしたい気分だね」
「すっごく分かると!」
「なんなら、今からここでちょっとキャンプでもするか?」
神秘的な光景に心奪われているところに聞こえてきたのはガラル組によるキャンプの提案。その提案に反対する声は特に上がらなかったし、ボク自身も『いいアイデアだなぁ』と思ったので、そんな彼女たちに倣ってボクもレジャーシートやら机やらを準備していく。ほどなくしてキャンプの準備が出来たボクたちは、手持ちのみんなを呼び出してお遊びタイム。みんながみんな思うように過ごし、のびのびと羽を休めていた。
「……壮観だね~」
「うん……凄く賑やかで楽しい……」
みんなが楽しそうに過ごしている姿を見ながら言葉を零すと、いつの間にか隣に来たユウリが言葉を返してくれた。
「ヨロイ島についてから特訓が多めだったし、シロナさんやカトレアさんっていう年上の凄い人たちが身近にいたから、なかなかこういった機会なかったもん。このメンバーでこんなにはしゃぐのは初めてだけど……うん、すっごく楽しい!」
「それはよかった」
グライオンたちが空を舞い、エースバーンたちが地をかけ、インテレオンたちが木陰でくつろいでいる。総勢41人のポケモンたち。彼らが一斉に遊ぶ姿は、このダイ木の環境もあって本当に壮観だ。
「ちょっとフリア!ユウリ!何のんびりしているのよ!!」
そんな壮観な景色に見とれていると、ヒカリから言葉を貰ったのでそちらに振り返る。すると、そこにはいつになくやる気をたぎらせているヒカリの姿が。
「今日は何のためにここに来たと思っているの!?余裕が出来たのならさっそくあの赤い実を手に入れるわよ!!手伝って!!」
「はいはい、分かってますよ~……ユウリも行けそう?」
「ヒカリのご飯が食べられるもんね!!私は全然手伝えるよ!!」
「あぁ、そういえばこの子も健啖家だった……」
もしかしたら今日を一番楽しみにしていたのはユウリだったのかもしれないね。
「ヒカリ!!期待しているからね!!」
「まっかせなさい!!最高のモノを作って見せるわ!!」
「て、適度に頑張ってね?」
まだ美味しいと決まったわけではなのに、ダイ木になる赤い実を求めて、ボクたちの今日の目的が今実行された。
「……あれ?今日の目的は鳥伝説じゃないのか?」
「オレもそうだと思ってたぞ……」
「ジュンもホップも、今のヒカリとユウリを止めたらだめとよ?もし止めたら、どうなってもしらんけんね」
「「お、おう……」」
鳥伝説
ということで、お次は鳥伝説です。彼らに出てきてもらうのですが、今回はコクランさん、カトレアさん、シロナさんと言った大人組がお休みですね。子供たちによる冒険(?)をお楽しみください。……さっそく脱線してますけどね。
ボールレイクの湖畔&ダイ木
本当に大きい木ですし、本当に長閑ですよね。チョット奥に行くとお墓とかがあるので、そこまで見てしまうと流石に楽しめない気もしますが……。
やる気滾るヒカリ
特殊固体ですね。大変興奮して手が付けられないので、対応する際は気を付けましょう。
鳥伝説目的だと思ったらいつの間にか料理目的になりました。なんでこうなったのか作者もわかっていませんが……ちゃんと伝説たちにも出番はあるのでそこはご安心を。……それ以上にヒカリさんがはっちゃけはじめているのが不安ですけどね……。