「じゃあ早速あの赤い実をとるわよ!!ついてきなさい!!」
「はい、先生!!」
「うわぁ、この2人……今更だけど相性良すぎ……」
ダイ木を目の前にして突如起きる熱血のやり取りに思わず苦笑いをこぼすボク。作るのが大好きな人と食べるのが大好きな人が組むと物凄い科学反応が起きるということの片鱗を味わってしまった。とまぁ、現状のテンションに少しばかり困惑はしているものの、ボクの頭はちゃんとダイ木の赤いきのみへと向かってはいる。料理に使うにしても、味を確認するにしても、まずはあの赤い実を入手することから始めなくてはいけない。ただ、問題はその赤い実をどうやって入手するかだ。
「入手って簡単に言っても、これ……かなり難しいぞ?」
「とてもじゃないけど、気楽に取りに行ける高さでは無いよな」
「落とすにしても、大きさ的にかなり重そうと。下手に落としたら潰されそうやんね」
ホップ、ジュン、マリィの言う通り色々障害が高いせいでなかなか手が出しづらかった。木の幹も太くて、表面も滑らか且つ綺麗なせいでよじ登ろうにも手を引っ掛ける場所が少なく、また、何度も述べているとおりダイ木そのものの高さがとんでもなく、命綱などを持っていない現状、きのみがある所まで登った上で落ちようものなら間違いなく命は無い。かと言って、ポケモンの技を使ってあのきのみを落とすとなると、あの大きな塊がものすごい勢いで落ちてくることとなる。勿論ポケモンたちの力で緩和こそするけど、きのみの重さが分からないのと高さがある以上、位置エネルギーによって体感重量は格段に跳ね上がってしまうので、しっかりと受け止められる保証がない。そんな状況で先の提案を安易に行えるほど、ボクたちはお気楽ではない。
「さて、どうしたものかな……」
「そんなことよりも、まずはやるべき事があるでしょ?」
「え?」
どうやってあのきのみを収穫するか考えていたら、横にいるヒカリから何故か怒られてしまう。どういうことか分からずに首を傾げていると、ヒカリから『呆れた』と言った雰囲気を醸し出されながら口を出される。
「味よ味!何においてもまずは味!!あの実が一体どんな味なのか?そしてどんな成分を含んでいるのか?まずはここを調べないと、そもそもあの実が収穫するに値するかどうかがわからないででしょう!?全く、普段バトルでは鋭いのに、なんでこんなこともわからないのよ……」
「なんでボクはこんなにも怒られてるんだろ……」
さも『自分は至って冷静ですよ』といった風を装いながらこちらに向かって意見を述べているけど、今一番冷静ではないのは間違いなくヒカリだ。そんな彼女にこのような意見を落とされるのはいささか心外というほかない。
「そうだよフリア!味は大事なんだから……ちゃんと覚えてね?」
「……」
なのにどうしてユウリにまでこんなのことを言われているのか。
「諦めるとフリア。今この場には、料理ジャンキーと食事ジャンキーがいる。どちらもあたしたちには止められなか。下手するとフリアが食われるとよ?」
「割と冗談じゃなさそうなのが怖い所だよ……」
マリィからの忠告に身体を震わせながら反応するボク。マリィの言っていることがあながち間違っていないところに、更なる怖さとリアリティを感じさせてくるのがもっと嫌だ。ここは歯向かわないようにしよう。
「とりあえず、ユウリとヒカリが今から何かしたいのかは分かったけど……結局どうやってその味を確かめるの?結局は収穫しないとその味は確認できないと思うんだけど……」
「その点に関しては問題ないよ!」
ただ、それでも疑問点の残っていたボクはそこをあげてみる。すると、その回答はユウリが行った。
「アブリボーン!!こっちきてー!!」
「リリ?」
「成程、アブリボン……」
そんなユウリが呼んだのは彼女の手持ちの1人であるアブリボン。その姿を見て、ボクはユウリが何をしようとしているのか納得した。
アブリボンというポケモンは、様々な花粉や花の蜜を集めて、花粉のだんごを作り出すという習性をもっているんだけど、この際つくられるかふんだんごは、食料にもなればリラックス効果を持つサプリメントの原料にもなるという、かなりの高性能なものなんだ。それを作ることが出来ることからわかる通り、アブリボンはそういった蜜を集める力に長けている。さて、この話と果物をつなげれば、もうユウリが何をしようとしているのかがわかっただろう。ユウリは、アブリボンのこの習性を利用し、アブリボンに赤い実の果汁を取ってきてもらおうという魂胆らしい。果汁さえ持って帰って来ることが出来れば、あとはヒカリの独壇場。ユウリの狙いにいち早く気付いたこともあってか、すでにヒカリは料理の準備を進めており、各種料理道具は勿論のこと、糖度計なんて物も取り出して、これからの出来事に対する大きな意気込みを見せていた。
「……と言うわけなの。お願いできる?」
「リリ!」
「よし……じゃあ行ってきて!アブリボン!!」
「リリィ!!」
ユウリとヒカリを見てボクが考察を回していた間に説明を終えたユウリは、そのままアブリボンに赤い実に向かって飛ぶように指示をする。
「ポットデス!!アブリボンの援護をお願い!!」
「トゲキッス!!あなたも援護に向かって!!」
「ティティ~」
「キィ!」
そんなアブリボンについて行くように、ユウリとヒカリの言葉を受けて飛び立つトゲキッスとポットデス。どちらもアブリボンを守るように少し後ろをついて行く。というのも、このダイ木、大きな紅葉で見づらいけど、木の中にホシガリスやチェリンボといった、沢山のポケモンが隠れている。みんな基本的には怯えるように隠れているため、こちらに危害を与えてくるようには見えないんだけど……念には念を入れての行動だね。何かあってだと遅いし。
そういうわけで、赤いきのみを目指して飛び立った3人なんだけど、結論から言うと、特に大きな問題が起きることは無かった。ダイ木になる大きな紅葉が目隠しとなったため、アブリボンが蜜を回収する瞬間を確認することは出来なかったけど、程なくして嬉しそうに帰ってきていたあたり、そんなに難しい事でもなかったみたいだ。アブリボンにとってはちょっとしたお使い気分だったのだろう。ユウリの役に立てたことが嬉しいというのもあるのかもしれない。
「リリィ!!」
「ありがと、アブリボン!!はいヒカリ!これくらいあれば足りるかな?」
「充分よ。ありがとうねユウリ。それにアブリボンも」
アブリボンから果汁を貰ったヒカリは、早速それを調べ始める。見た目や色味、そして糖度と味。いつになく真剣な表情でそれらを吟味していた。
「ふむふむ……遠目だと赤く見えたけど、こうして近くで見てみる色はピンクの方が近いのね……香りはすごく甘い匂い……なるほど、どちらかと言うとモモンのみのそれに近いのかしら……?でもモモンのみと比べても明らかに甘さが……」
「なんか、ヒカリがいつになく怖いぞ……?」
「ああ気にしないで。モードに入ったヒカリはいつもあんな感じだから」
「面白いよな!!」
「面白かと……?」
ボクとジュンの反応に戸惑いを隠せないホップとマリィは、しかし『ボクたちが言うならいっか』と、半ば諦めにも似た形で納得をする。え、ユウリ?彼女は目を光らせながらヒカリを見つめているよ。
「糖度20!?高くない!?」
「それって凄いのか……?」
糖度計とにらめっこしながら凄い声をあげるヒカリに対して疑問を投げるホップ。それに対して、ヒカリがゆっくりと答えてくれた。
「この計器、糖度計なんて名前がついているけど、測定されるのは糖度だけじゃないの。その辺はちょっとややこしいから割愛するけど、そんなことがあるから『糖度計の数字が高い=甘いもの』という図式が絶対成り立つという訳では無いの。それでも一種の指標にはなるわ。それを前提に話すのだけど、それでもこの20という数字はかなり異常ね。もちろん、いい意味で」
「どのくらいすごいの?」
いつも以上に食い入るように視線を向けるユウリ。そんなユウリに対しても……いや、そんなユウリに対してだからこそ、ヒカリはさらに真面目に回答する。
「このダイ木のについてる実。どうやら元はモモンの実の親戚みたいなんだけど……そのモモンの実は平均的には糖度は11か12くらいと言われているわ」
「え、ってことは2倍くらい甘いってこと!?」
「正確には、甘さはその果汁に含まれている酸味とのバランスによって成り立つから、安易に2倍なんて言えないけど……うん、モモンの実なんて目じゃないくらい甘いわね」
「モモンの実よりも甘い……」
ヒカリの説明を受けてマリィも喉を小さく鳴らす。ユウリ程では無いにしろ、やっぱりマリィも女の子故、甘いものには目がないと言ったところかな?実際、ボクもちょっと惹かれ始めてるし。
「はぁ~……どうやって調理しちゃおうかなぁ……甘いならやっぱりクリームかしら?それともジュレやジャムにして他のものと合わせちゃう?それともそれとも、ピーチパイにするとか……」
「うぅ、どれも美味しそう……食べてみたい……」
あの赤い実をどうやって料理するかという点にトリップするヒカリと、ヒカリが作るかもしれないものを夢想してこれまたトリップするユウリ。しかし今度はそんな2人に呆れることなんてなく、むしろヒカリの料理が楽しみなユウリと共感するように想いを馳せ始めていた。
「なんかこう……具体的なモノを出されると想像力を刺激されるよな……」
「この場の状況と具体案のせいで、お昼はまだなのに少しお腹空いてきたぞ……」
それはあのジュンとホップをも食べることに夢中にさせてしまう程。ここにいる全員が頭の中をヒカリの作る料理に占領され始めていた。こうなってしまえば、みんなの目はもうあのきのみにしか向いていない。
「よ~し、そうと決まれば、さっそくダイ木のきのみを……」
「ギャオオオォォォォッ!!」
「「「「「「っ?!」」」」」」
収穫しようとボクたちが準備を始めた瞬間に響き渡る、何かが大きく吠える声。そのあまりにも強い圧と迫力に、ボクたちの動きが一瞬にして止められてしまう。しかし、辺りを見渡してみてもどこにも声の主と思われるポケモンは見当たらなかった。
「な、なんだ今の声……?」
「身体の奥から痺れるような……」
「凄い声だったよね……」
ホップ、マリィ、ユウリがあたりを見渡しながら言葉を交わしていく。その表情は何が何だかわからないと言った雰囲気で、若干の戸惑いを見せ始めている。
「なぁ、フリア、ヒカリ……この空気……」
「うん、間違いない……この雰囲気……あの子たちのモノに近いよ……」
「……」
一方でボクとジュンは、どこかで感じたことのあるこの雰囲気に、自然と気を引き締めていく。ヒカリだけは顔を伏せているから何を考えているのかわからないけど、感じたことのあるこの雰囲気に構えていると思いたい。
「……レオッ!」
「バース!!」
「グラッ!」
経験があるかないかで別れるボクたちの反応。それを1つにまとめたのが、インテレオン、エースバーン、ゴリランダーの声。3人が視線を向けた方向を追うようにしてみると、その先にはとある鳥型のポケモンの影が見えた。
「あれは……もしかして……」
ユウリが緊張を乗せた声で呟きながら見据えた先にいるポケモン。それは、ピオニーさんの口よりきいた鳥伝説の1つ。メラメラした赤い鳥ポケモン。
「ファイヤー!?」
「あれが、伝説のとりポケモン……」
「初めて見るけど……凄く強そうだぞ……」
初めて見るファイヤーの姿に、嬉しさ半分、恐れ半分と言ったテンションで声を上げるユウリたちガラル組。話にこそ聞いていたけど、実際に見た時の迫力が凄すぎて、声をあげずにはいられないと言った感じだ。
レジエレキ、レジドラゴに続いて3人目の伝説。勿論ボクたちだって驚いている。しかし、驚きが半分を占めていたユウリたちと違って、ボクの反応は戸惑いと困惑を含んだ反応になってしまった。
「あれが……ファイヤー……?」
「確かにメラメラしてるが……なんだ、違和感があるぞ?」
「うん……ボクが知っているファイヤーと見た目がちょっと違う……」
確かに、ピオニーさんが挙げていた『メラメラしたやつ』という特徴をしっかりととらえた見た目をしており、実際、長いくちばしとメラメラと揺らめく翼こそファイヤーのそれと合致しているものの、ボクが知っており、そして今同時にポケモン図鑑で検索して表示した子と比べると全くと言っていいほど違う姿をした子が目の前に現れていた。身体は黒く変色しており、目は鋭く青色に、そして長いくちばしは少し曲って邪悪な笑みを浮かべているように見えた。今まで知識として頭に入っていたファイヤーとはかけ離れた姿をしたポケモン。それが今上空に現れたポケモンの姿だった。
「え、これがファイヤーじゃないのか!?」
「ファイヤーに近いとは思う……けどボクの知ってるファイヤーじゃない……もしかして、リージョンフォーム……?」
ファイヤーではないけどファイヤーではある可能性……そうなると、地方によって姿を変えるリージョンフォームである説が出て来るけど……
(なんでだろう……、どことなく違うような気もする……?)
妙な違和感が頭を駆け巡ってはなれず、思わずその姿を中止してしまう。それはボクだけではないみたいで、ここにいるヒカリ以外の全員が、ポケモンたちも含めてファイヤーを見つめていた。対する見つめられる側のファイヤー(仮)は、そんな視線なんてものともせず、悠々と空を飛びながらダイ木の上の方へ飛んでいく。
「何をすると……?」
「さぁ……でも、少なくとも敵対はしてこないのかな……?」
話しながらも決して視線を外すことのないユウリとマリィは、ファイヤー(仮)の動きを目で追いながら、自分の手持ちのみんなを集めていく。いつ襲われても大丈夫なように準備を整えているみたいだ。その姿に倣って、ボクたちも各々のポケモンをそばに集め始めた。相変わらずヒカリだけは全く動き気配を見せないけど、エンペルトたちは自分から集まっているので、とりあえずは大丈夫だろう。それよりも、今はあのポケモンの観察だ。
ファイヤー(仮)は、ダイ木の上の方に飛んだあと、ダイ木になっているきのみの前で滞空をはじめ、そこから長いくちばしをきのみに向かって突き立て始めた。
「もしかして……食事?」
「ぽいね……」
「だよね……やっぱり美味しいのかな……いいなぁ……」
その姿を見て思ったままの感想を零すユウリ。ボクも同じ感想を抱いたのでその言葉を肯定すると、何やら小声でぼそっと何かを呟いた。声が小さかったので上手く聞き取れなかったけど、とりあえず気にする必要はなさそうかな?
「食事をしに来ただけなら、下手に刺激しなければ襲われないよな?」
「だな……とりあえずは、ゆっくり観察をして……ってなんだ!?なんか聞こえないか!?」
そんな会話をホップとジュンがしている間にも食事を続けているファイヤー。彼を刺激しないようにじっと観察し、情報を集めようとしていると、今度は遠くの方から地鳴りのような音がし始める。『今度は何事か』と思いながらそちらに視線を向けると、視線の先には地面を猛スピードで走る、『ギザギザしたやつ』が姿を現した。
「今度はサンダーか!?」
その姿を見てホップが思い当たるポケモンの名前を叫ぶものの、その声に全くの無反応を示した『ギザギザしたやつ』は、バチバチと雷の音を響かせながら猛ダッシュ。ダイ木の根元までたどり着いたそいつは、そこから地面に足跡がくっきりと残るほど激しく地面を踏みしめ、ダイ木よりも高いところまで飛び上がった。
「凄いジャンプ力……バシャーモみたい……」
ユウリの言葉に同意するように頷きながら『ギザギザしたやつ』に視線を向けていると、そいつはさらに激しい雷の音を鳴らしながら、鋭い飛び蹴りをファイヤー(仮)に放つ。直前で気づいたファイヤー(仮)はこれを何とか回避し、蹴りを放った敵に対して向かい合う。
伝説2人の睨み合い。
先のレジエレキとレジドラゴは、昔からの仲間として協力してこちらを襲ってきたのに対して、こちらは昔からのライバルかのような因縁を感じる。
「ギャオオォォォ!!」
「キイイィィィィ!!」
向かい合って叫び合う両者。……もうめんどくさいからとりあえずボクの知っている姿と同じ名前で呼ぼう。地面から見上げるサンダーと、空から見下ろすファイヤーの視線がぶつかり合い、今度は食事を邪魔されたファイヤーが、怒りを撒き散らすかのように黒色の炎を解き放つ。この攻撃を華麗なステップで避けきったサンダーは、再び蹴りを放とうとファイヤーへと走り出し……
「フォウウゥゥゥッ!!」
両者をまとめて吹き飛ばさんと突き刺さる、白色の光線が明後日の方向から放たれた。
「今度は何と!?」
声を上げながら攻撃が放たれた方に視線を向けるマリィ。その動きにつられて一緒に視線を向けると、その視線の先には、ピオニーさん曰く『シャナリシャナリしたやつ』がいた。そいつが放った白の光線は他の2人に当たることなく、地面にぶつかって爆ぜるに留まる。その時に上がった砂埃は、ファイヤーが羽ばたいた時に起きた風で吹きとばされ、そこからはそれぞれがそれぞれを睨み合う、三つ巴の状態となった。
「となると、あれがフリーザー……」
「伝説のとりポケモン3種、勢揃いとね……」
「凄い瞬間だぞ……」
ガラル組の3人が見とれながら声を上げる。確かに伝説のポケモンが3人もこうやって並び立つ姿は壮観だ。だけど、ファイヤーと同じく、サンダーもフリーザーもやっぱりボクの知る彼らとは違った姿をしているせいで、どうしても少しモヤモヤしてしまう。
サンダーは体毛が少し濃いオレンジ色になっており、自慢のギザギザした翼はドードリオのような小さなものになってしまっているせいで、とてもではないが羽ばたけるようには見えない。その分、強く発達した脚のおかげで、さっきのような跳躍ができるのだろうけど、空を悠々と飛ぶあのサンダーとは似て非なるものだ。見た目はファイヤーと違ってまだ面影は残っているけどね。
そしてフリーザー。こちらも体色が少し変わっており、ボクの知っている水色から薄紫色に変わっており、顔にはジョウト地方の四天王が着けていたものと似た仮面をつけている。また、空を羽ばたいていたあちらの姿と違い、こちらは翼をマントのようにして、身体を包みながら佇んでおり、その姿は『飛ぶ』と言うより『浮かぶ』と言った方が適切に見えるほど。優雅というよりは、上から見下してくる姿から冷酷という言葉の方が似合う様となっている。
「やっぱり……確かに似てるところはあるけど、サンダーもフリーザーも、ボクの知ってる姿じゃない……」
「それだけじゃない。なんか、使ってる技もちょっと違う気がするぞ……もしかして、タイプも違うんじゃないのか?」
「確かに……」
ファイヤーは燃えているはずなのに熱を感じないし、サンダーは羽からバチバチと音を立てているだけでよくよく見たら電気は流れていない。そして、フリーザーは視線こそ冷たいけど冷気はなく、浮いてる様はエスパーのそれに近い。ジュンの言う通り、どうやらタイプまでもが違うようで……。
「それよりも、なんか危なそうな雰囲気と」
「このままあの子たちがバトルしたら巻き込まれちゃうよ!?」
「とりあえず、キャンプ道具とか片付けて、安全な場所に……」
「ギャオオォォォ!!」
「キイイィィィィ!!」
「フォウウゥゥゥッ!!」
マリィ、ユウリ、ホップが避難の準備を始めた瞬間にあがる3鳥の叫び声。その声をきっかけに、ファイヤーは黒い炎を、サンダーは雷鳴の蹴りを、フリーザーは白い光を同時に放つ。その3つの攻撃が、それぞれの中心でぶつかることによって爆発。轟音と衝撃が荒れ狂い、その余波にあおられそうになる。
「みんな無事!?」
「な、何とか……!」
余波を踏ん張って耐えながら周りに声をかけると、ユウリが声を返してくれた。他のみんなもとりあえずは無事そうだ。けど、今の余波でボクたちのキャンプ道具がいくつか飛ばされ、地面を転がっていた。
その中にはヒカリの調理道具もあって……
「あ……やば……」
「……」
その様子を見て嫌な予感がしたけどもう遅かった。
「マンムー……『ふぶき』……」
「ムーッ!!」
ぽつりと、ヒカリが指示を零した瞬間吹き荒れるは白い風。おそらくひこうタイプを含むであろう彼らにとってはこれ以上ない天敵の風。急遽吹き荒れたその風に、技をぶつけ合った後も戦おうと構えていた彼らの動きが完全に止まった。
「人の楽しみに水を差すのは……マァいいわ。自然の摂理ってことで我慢してあげる……でも、人の大切な道具を傷つけるだなんて……」
「ああ……これはまずい……」
「またヒカリの暴走が始まっちまったか……」
「な、なに!?ヒカリに何があったの?」
急に雰囲気の変わったヒカリにユウリが焦りながら質問してくる。それに対してゆっくりボクが答えた。
「単純なことだよ。ヒカリは料理が大好きなんだ。そんな彼女が大好きな料理を作るための調理器具を傷つけられたらどうなると思う?」
「あ……」
この説明で気づいたユウリが声を漏らす。そう、調理道具はヒカリにとっては宝物だ。それを傷つけられ、邪魔されたら、本当にシャレにならないくらい怒ってしまう。
「こうなったら……うん、止められないかな」
「……」
ユウリの息をのむ音が聞こえる。そんなボクたちの会話なんて目もくれず、当の本人は前に歩いていた。
「あんたたち……この代償はでかいわよ……」
「「「……」」」
ヒカリから放たれる重圧に、とりポケモンたちも息をのんでいるような気がした。
「覚悟しなさい……!!」
そんな中告げられる、ヒカリの思い思い言葉。
料理好きによる、とてつもないやつあたりが始まろうとしていた。
ダイ木の実
実機のムービーを見るに、桃のお湯な割れ目が見えることと、ガラルファイヤーが食事をするシーンに手飛散っている薄ピンクの果汁から、モモンの実をもととした何かでは?ということにしました。どこかに設定あったりするんですかね?
糖度
11,12は、リアルの桃の平均糖度だったりします。20は特に糖度が高い高級品の桃ですね。ちなみに他の果物をあげると、リンゴは15くらい。ブドウとバナナが20くらいです。こうして数字で見てみると、桃がそんなに甘くなさそうに見えますが、実際はヒカリさんが言っている通り、酸味とのバランスによって成り立つため、一概には言えないみたいですね。数字通りに行くなら、イチゴとレモンが糖度一緒の7くらいらしいですよ。
ガラル3鳥
ファイヤー、サンダー、フリーザーのリージョンフォーム……と言われていますが、実際には、カントー人からこの3鳥の特徴を聞いたガラル人が、カンムリ雪原にて見かけたこの3鳥を『ファイヤーたちだ!!』と勘違いしたからそう呼ばれているだけの、実際には別のポケモンという説があるみたいですね。今回はそちらの説を色濃く出すために、フリアさんたちには違和感を感じ貰いました。
ヒカリ
滾った次は極限化しました。気を付けましょう。
ポケモンのアプデのおかげで、ボックスなどが軽くなりそうでしたね。ストーリーはすごく良かったのですが、操作面で課題の多かったSVなので、そのあたりが直ってくれるのはとても嬉しいですね。ちょっと楽しみです。