【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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172話

 

 

「ギャオオォォォ!!」

「キイイィィィィ!!」

「フォウウゥゥゥッ!!」

 

 

「絶対に……許さないんだから……!!」

 

 叫び合う伝説の3鳥と、道具を傷つけられてご立腹なヒカリの視線が絡み合う。3つ巴のバトルと思われたものが、気づけば4つ巴になってしまっていた。

 

「え、えっと……ヒカリ……?」

「フリア……ここはわたしがやるから手は出さないで頂戴。……大丈夫よ。本当に、フリアが思っている以上に冷静は保っているから……」

「……」

 

 ボクから見て、『もしかしたら周りが見えていないのでは』と不安を感じてしまったので、それを確かめるためにゆっくりと声をかけてみる。すると、帰ってきた返答は彼女の言う通り意外にも落ち着いている声だった。だからと言って、料理道具を傷つけられたことに怒りが収まっているわけではないため、それをぶつける先にあの3鳥を選んだことに変わりはないみたいだけどね。

 

「……わかった。でも、無茶はしないでね」

「わかっているわ。大丈夫。自分の実力はちゃんと把握しているつもりよ」

 

 ヒカリほどの実力者ならばそんなに心配する必要は確かになさそうだけど……相手が伝説となるとちょっと心配の比率が上がってしまうのは仕方ないと思って欲しい。ヒカリは確かに強いけど、そもそも彼女の専門はあくまでもコンテストだからね。もし何かあった場合は、ヒカリに怒られるのを覚悟で割り込むとしよう。

 

「とりあえず、ちょっと下がって荷物をまとめておこうか」

「本当に大丈夫と……?」

「やっぱり一緒に戦った方がいいと思うぞ……?」

「そうだけど……」

 

 ヒカリとの会話を終えてみんなの方に向き直ったボクに対して、ユウリとホップが不安の声を投げかける。その声を聞いてしまうと、さっき振り払ったばかりの不安がまた帰ってきそうになるけど、それをもう一度振り払ってユウリたちに視線を合わせる。

 

「ヒカリがやるっていったから、ボクはそれを信じるよ。まぁ、もし本当に危なかったら無理やり乱入するけど……ヒカリだって経験は豊富だからね。自分の実力はちゃんと理解しているだろうし、無理はしない……と思ってる」

 

 はっきりと言い切れないところに、やっぱりボクの中にまだ不安があるのを感じるけど、そんなちょっとふわふわしたボクの発言をそれでも信じてくれたユウリとホップは、ボクの言った通り荷物をまとめ始めていた。

 

「フリアがそういうなら……うん。信じる!」

「おう!それに、フリアが言っている通り、本当に危なくなったら無理やり入ればいいだけだもんな!むしろ、伝説のバトルをまた見れることをありがたく思いながら楽しむぞ!」

「……うん、ありがと」

「おし、んじゃあ、オレたちも片付けしながら準備するか」

「そうね……あたしも、いろいろ気にかけておくと」

 

 そんな2人にお礼を言いながら、ボクもジュンとマリィに倣ってヒカリの料理器具等を集めたり、汚れた道具を綺麗に拭いたりしながら戦場へと目を向ける。

 

「ふぅ……」

 

 視線の先には深呼吸を入れるヒカリ。やはり、伝説3人同時に相手というのは相対するだけでもかなり身体が固まってしまうのだろう。けど、今の深呼吸でかなり解れたのか、ヒカリの表情が少しだけ柔らかくなった気がした。

 

「よし……行くわよ!」

「ギャオオォォォ!!」

「キイイィィィィ!!」

「フォウウゥゥゥ!!」

 

 ヒカリの声に呼応するように叫ぶ3鳥たち。その声をきっかけに、全員が一斉に動き出した。

 

「マンムーは『ふぶき』!!トゲキッスは『エアスラッシュ』!!エンペルトは『ハイドロポンプ』!!」

「ギャオオォォォ!!」

「キイイィィィィ!!」

「フォウウゥゥゥ!!」

 

 ヒカリからは3つの技が放たれて、ファイヤーたちからは先ほども見たそれぞれの固有の技と思われるものが飛んでくる。それらが先ほどと同じように全員の中心にてぶつかり合い、しかしエンペルトたちの技が加わったことによってさらに激しい衝撃と轟音をまき散らしながら周りをあおっていく。

 

「パチリス!『てだすけ』!!エンペルトはファイヤーに『たきのぼり』!!エテボースはサンダーに『ダブルアタック』!!ミミロップはフリーザーに『とびはねる』!!」

「パチパチッ!!」

 

 しかし先ほどと違うのは、その衝撃に耐えるだけでなく、その間にヒカリが攻撃を指示していること。爆風によって上がった土煙のせいで悪い視界を利用して、パチリスの手拍子とともに3人のポケモンがそれぞれの標的に向かって走り出す。水を纏ったエンペルトはファイヤーの真下まで一瞬で移動し、そこからアッパーカットのような形で、エテボースは地面にいるサンダーに向かって真っすぐ走り抜け、自慢の尻尾で殴り抜ける形で、ミミロップは一転してその場で超ジャンプ。ダイ木を超えるのではという高さまで飛びあがって、そのまま落下する力を利用してフリーザーに向かって突撃する。どの攻撃も相手の不意を突く強力な攻撃でありながら、パチリスのてだすけによってさらに強化されているのでいくら伝説と言えでもこの技を無視するわけにはいかない。

 

 伝説の3鳥が行った行動は、それぞれ違った。ファイヤーは攻撃を避けるべく羽ばたいてさらに上空へと飛び上がり、サンダーは攻撃を迎え撃つべく蹴りで応戦。フリーザーのみは、死角から急に現れたため反応がおくれ、技がちゃんとヒットしており、態勢が崩れた。

 

「エンペルトとミミロップはバック!!エテボースは『アイアンテール』!!」

 

 攻撃を避けられたエンペルトとダメージを与えたミミロップは、とりあえず反撃される前にすぐさま戻ってくることを指示。逆に、技を受け止められたエテボースは、反撃される可能性があるため、押し切られないように注視しながら指示を出す。

 

「エポ……ッ!!」

「キィィィッ!!」

 

 ダブルアタックからアイアンテールに切りかえて、攻め手を休めないようにするものの、サンダーの蹴りが強烈過ぎて、攻撃を受け止められた上で押し返されてしまう。

 

「エテボース、下がって!!」

「キィィィッ!!」

「エポッ!?」

「エテボース!?」

 

 エテボースでは分が悪いと悟ったヒカリがエテボースにも退却命令を出すものの、エテボースが下がりきる前にサンダーの蹴りが当たり、ヒカリの近くまで吹き飛ばされる。

 

「大丈夫!?」

「エポッ!!……エポッ!?」

 

 ヒカリの呼びかけに元気に答えようとするけど、それでもふらついてしまうエテボース。想像以上にダメージが刻まれているみたいだ。

 

(蹴ってるところからもしかしてとは思ったけど……あのサンダー、かくとうタイプを持っている……?)

 

「ひこう、かくとうタイプと言ったところかしら……まずは1人目……伝説と戦うなら、全員のタイプから調べないと……全く、変に前情報があるせいで先入観が邪魔しちゃうわね……」

 

 エテボースの様子からボクと同じ結論にたどり着いたヒカリが、少しだけ面倒くさそうな表情を浮かべる。ヒカリの言う通り、変に知識があるせいで逆に動きづらさを感じてしまう。まずヒカリが行わなければならないところは、彼女の言う通りタイプの調査からだ。とりあえずはサンダーのタイプがエテボースの様子から確定できた。いくらかくとうに弱いエテボースと言えども、このダメージの受け方はタイプ一致の威力上昇も考えないと説明がつかない。

 

「残り2人なんだけど……さて、どうやって調べましょうか……」

 

 タイプすらわからない伝説とのバトル。レジエレキとかと違い、名前からの予想も全くできない以上、手探りで行くしかない。しかし、なにも悲観するだけの状況ではない。というのも、このバトルは先ほども言った通り4つ巴。ならば、敵の攻撃はこっちに来るだけじゃない。

 

「ギャオオォォォ!!」

「フォゥッ!?」

 

 ヒカリがサンダーへと思考を回しているときに、上空から聞こえてきた声をに視線を向けると、たきのぼりをよけて空に飛んだファイヤーが、とびはねるを受けて怯んでいたフリーザーに向かって黒色の炎を放っているところだった。

 

「その調子でもっと争ってなさい!!」

 

 黒い炎を受けてしまったフリーザーはさらに態勢を崩し、地面へと真っ逆さまに落ちていく。そんなフリーザーにとどめを刺すべく、上空にいたファイヤーが急降下。自身の身体に纏っている真っ黒の焔を更に滾らせ、ありったけをフリーザーに叩き込もうと構えた。

 

(まずはフリーザーが落ちるか……)

 

「ギャウゥッ!?」

 

 そう予想し、2人の行く末を見つめていると、突如ファイヤーが風の刃に襲われて弾き飛ばされる。

 

「……ほんっと、自分から喧嘩売っておいてあれだけど、伝説ってどいつもこいつも一筋縄じゃいかないわね……」

 

 ファイヤーを弾き飛ばしたのは、二度の技の直撃を受けて満身創痍になっているのではと思われたフリーザー。地面すれすれまで落とされた彼は、それでもなおあの冷えた視線を崩すことなくファイヤーを見つめており、同時に彼自身の身体に刻まれた傷をどんどん治していく。

 

(『じこさいせい』……このフリーザーは回復技持ちなのか……)

 

「フォゥゥ……」

 

 そうこうしている間にあっという間に傷を完治させたフリーザーは、先ほどまでの出来事がなかったのように優雅にたたずむ。これにはさすがのファイヤーも苦い視線をフリーザーに投げかけた。返しで貰ったエアスラッシュが確かに効いた瞬間だった。

 

「少しずつ技は見えてきたけど……肝心のタイプが……」

「キイィィィッ!!」

「ヒカリ!!前!!」

「っ!?トゲキッス!!」

「キィ!!」

 

 ヒカリがファイヤーとフリーザーのやり取りに目を奪われているところに鳴り響くサンダーの声。再びバチバチという元気の音を響かせながらかけてきたサンダーは、自慢の蹴りを叩き込むべくヒカリの方へと猛進してくる。その攻撃を受け止めるべく、かくとう技のダメージを大きく減少させることの出来るトゲキッスを前に出すことでこれをしっかりと受け止めた。

 

「ごめんなさいトゲキッス」

「キィ!!」

「ありがとう!マンムー!!『れいとうビーム』!!パチリス!!『スパーク』!!」

「ムーッ!!」

「パチィッ!!」

 

 トゲキッスが受け止めている間に右からマンムーが、左からパチリスがそれぞれひこうタイプにこうかばつぐんの技を放っていく。サンダーを倒すべく放たれた2つの強力な技は、真っすぐ突き進んでいき……

 

「ギャオオオォォォッ!!」

 

 逆上したかのように叫び声をあげたファイヤーがフリーザーに向けて放った黒色の炎が、フリーザーがよけてしまったことによってこちらに流れ弾として飛んできてしまい、その炎によってかき消されてしまう。

 

「みんな下がって!!」

「キイィィィッ!?」

「キィッ!?」

 

 そんなアクシデントにも何とか反応できたヒカリが急いでみんなに退却を促すものの、取っ組み合っていたトゲキッスだけが逃げきれず、サンダーとともにその黒い炎に巻き込まれる。

 

「トゲキッス!!」

 

 ヒカリが心配そうな声を上げる。あのフリーザーに一撃でかなりのダメージを負わせたあの技を意識外から喰らってしまった。そのことに流石に焦っている様子だ。傍から見ているボクやユウリたちも、思わず息をのんでいた。

 

「キキ!!」

「キィ!!」

「よかった……無事なのね」

「あまり効いてなかと……?」

 

 しかし予想に反して、黒い炎を喰らったトゲキッスとサンダーにはたいしてダメージが入っているように見えなかった。その様子から、今の攻撃が2人に対しては効果がいまひとつだったことがうかがえた。マリィもそのことに気づき、少しいぶかしげな声を上げる。

 

「トゲキッスとサンダーに対して効果があまりない……」

「サンダーをひこう、かくとうと仮定した場合、トゲキッスと被って効果が低いタイプは……あく、くさ、かくとう……の3つだよね?」

「あの技が黒い所を見ると……うん。間違いなかと。ファイヤーの攻撃はあくタイプと!!あくタイプを使うあたしが断言すると!!」

 

 そこから思考を回していったガラル組によって、ファイヤーのタイプを看破していく。

 

「ありがとみんな。これで2人目ね……あとはフリーザーだけ。予想は何となくできているけど……最終確認と行きましょうか!!」

「キキィィッ!!」

 

 タイプがわかったことでさらにテンションが上がっていくヒカリと呼応するように、さっき横やりを入れられたことに怒ったサンダーが猛ダッシュし、トゲキッスからファイヤーへと標的を変える。

 

「ギャオオッ!!」

 

 走って来るサンダーに対して威嚇するかのように叫び返すファイヤー。ボクたちが初めて彼らと出会った時と同じように再びバトルが始まろうとしている所に、フリーザーがエアスラッシュの構えを取り、両者をまとめて吹き飛ばそうと画策する。

 

「エンペルト!!『たきのぼり』!!ミミロップは『でんこうせっか』!!」

 

 そんなフリーザーを邪魔するべく走るのはヒカリのポケモン2人。技を構えている隙をねっらて2人が地面をかけ、フリーザーの真下に辿り着くと同時に、そこから直角に上昇。フリーザーに向かってアッパーを繰り出すように攻撃を放つ。

 

「フォウッ!!」

 

 しかし、そう何度も攻撃を喰らうようなやわポケモンではない。華麗に空を飛び回り、2つの攻撃をさばききったフリーザーは、飛び上がって無防備となったエンペルトとミミロップに向かって、両目から白い光線を放った。このままでは2人に大きなダメージが入ってしまう。

 

「『エアスラッシュ』じゃなくて、あなたの得意技且つ、自分と同じタイプの可能性があるその攻撃をして欲しかったのよ!!トゲキッス!!エテボース!!」

 

 しかし、相手がよけるのならこちらも攻撃を華麗に捌く。トゲキッスに乗ったエテボースが、自慢の尻尾の大きな手でエンペルトとミミロップを構え、3人分の体重を抱えたトゲキッスが、それでも仲間を守るために全力で空を駆けて白い光線の範囲から逃れる。

 

「よし!!そのままくらいなさい!!そしてフリーザー!!あなたのタイプも見させてもらうわよ!!」

 

 フリーザーの放った光線はそのまま直進し、右目の光はサンダーへ、左目の光はファイヤーへと突き刺さる。

 

「キキィッ!?」

「ギャオ……?」

 

 恐らくフリーザーが一番得意とし、自身と同じタイプであろう技を受けた両者の反応はとても極端で、サンダーは激しく苦しむように悶え、ファイヤーは何をさらたのかわからないと言ったような声を上げる。

 

「かくとうタイプのサンダーがこうかばつぐんで、あくタイプのファイヤーに効果がないみたいだな!!」

「そんなタイプなんて1つしかない……ヒカリ!!」

「ええ、ようやくわかったわね!!」

 

 ここまでの戦いでようやく最後の伝説のタイプもわかった。勿論ヒカリもそのことを理解しており、ジュンとボクの言葉に嬉しそうに反応する。ファイヤー、サンダー、フリーザー……それぞれ、ひこうを含みながら、あく、かくとう、エスパータイプを含んでいる。ここだけでちょうど3すくみになっている形だ。

 

「じめんタイプやこおりタイプ、くさタイプを含んでなくてよかったわ……これでようやく暴れられるってわけね」

 

「キイィィィッ!!」

「ギャオォォッ!!」

 

 再び横やりを入れられたことで激昂するサンダーと、サンダーにつられて吠えるファイヤー。

 

「邪魔されまくって怒っているって事かしら?わたしだって、今まで戦いづらくてもやもやしていたんだから、その分のお返しをするわよ!!」

「フォオォォッ!!」

 

 その声に返すのはヒカリの気合の入った言葉と、技を利用されたことに少なくない怒りを覚えたフリーザー。今の全員の声の出し方から、相対する4人全員のテンションが1段階引き上げられたのを感じた。おそらく戦闘はますます激化していくだろう。

 

「ギャオオォォォッ!!」

 

 まずはファイヤー。両翼を激しく羽ばたかせて、辺り一面に嵐を巻き起こし始めた。ひこうタイプの強力な技。ぼうふうだ。

 

「マンムーは『ふぶき』!!エンペルトは『ハイドロポンプ』!!」

 

 飛んで来る嵐に対して、ヒカリは2つの技で受け止めることを選択。フリーザーは身体で受け、じこさいせいで回復し、サンダーは地面をとにかく走りまくることで避けるという、各々が自分の得意とする行動でぼうふうの対処を行っていた。

 

「フォォォォォッ!!」

 

 嵐を捌ききった中で一番最初に行動したのはフリーザー。翼を大きく広げながら大きな声をあげ、何かを起こした。その行動に視線を奪われ、思わず身構えてみるヒカリ。しかし何も起きない。

 

「今のは……?」

「キィィィッ!!」

「ギャオォッ!!」

 

 何が起きたのか気になるヒカリは、そちらに一瞬思考を取られ、その間にサンダーとファイヤーが吠える。

 

 サンダーはフリーザーに向かって走り出し、くちばしを光らせてドリルくちばしの態勢へ。一方ファイヤーは、ヒカリに向けて黒い炎を発射してきた。さっきの疑問を考えても答えは出ないので、とりあえずはファイヤーの対処だ。

 

「トゲキッス!!『マジカルシャイン』!!ミミロップ!!『とびひざげり』!!」

 

 飛んで来る黒に対するは虹の光。おそらくあくと思われる技をフェアリーで受け止め、その間に飛び上がったミミロップが、自慢の膝を構えながら突撃する。

 

「フォオォォッ!!」

「ミロッ!?」

「エンペルト!!」

 

 しかしミミロップはフリーザーに放たれた光線によって撃ち落とされてしまう。着地地点にエンペルトを向かわせることによって、地面にたたきつけられることこそ防いだものの、大きなダメージを刻まれてしまった。どうやら、サンダーはフリーザーの攻撃で一時的に押し返されていたみたいで、その隙にこちらを攻撃して来たみたいだ。

 

「ギャオォォォッ!!」

 

 ヒカリの攻撃が不発に終わったところで吠えるはファイヤー。翼を羽ばたかせ、今度はエアスラッシュをばら撒き始める。

 

「マンムー!!『こおりのつぶて』!!パチリスは『てだすけ』!!」

 

 風の刃に対しては氷に塊をぶつけて相殺。てだすけも相まって今度は余裕を持って受け止めることに成功。エアスラッシュを止めてなお威力の余ったこおりのつぶては、そのままファイヤーへ飛んでいき、突き刺さる。

 

「エンペルト!!右に『ハイドロポンプ』!!トゲキッスも同じ方に『エアスラッシュ』!!ミミロップとエテボースは構えなさい!!」

 

 しかし、そんなファイヤーになんて目もくれず、ヒカリはすぐさま別の方へ視線を向ける。すると、そちらにはヒカリに向かって白い光線を放っているフリーザーの姿。この攻撃に気づいていたからこそ、ヒカリはファイヤーではなくこちらに視線を向けたというわけだ。その狙い通り、フリーザーからの攻撃は無事せき止めることに成功。お互いの攻撃がぶつかり合い、爆発によって砂が巻き上がり、視界が悪くなる。

 

「来るわよ!!」

 

 そんな砂をかき分けるように突っ込んできたのがサンダー。サンダーが突っ込むこともちゃんと考慮していたため。構えていたミミロップとエテボースがしっかり対応する。

 

「キキィッ!!」

「ミミッ!!」

「エポッ!!」

 

 また電気の音を立てながら猛進してくるサンダーに対し、苦手タイプであるはずの2人がそれでもしっかりと前を見て相対する。

 

「『とびひざげり』と『ダブルアタック』!!」

 

 強力な蹴りに立ち向かう尻尾と膝は、辺りにかなりの衝撃をまき散らして相殺。その余波で辺りの砂埃が飛び去り、サンダーとミミロップたちの距離が開いて行く。この間にファイヤーも態勢を立て直しており、フリーザーもいったん様子見のために一定の距離を置いた。

 

「……ふぅ」

 

 これで全員が等間隔で離れたこととなり、バトルはいったん仕切り直しへ。

 

「凄いぞ……伝説3人を相手に引けを取ってないぞ……」

「ヒカリってコンテストメインだよね……?」

「ジムチャレンジに参加してたら、絶対に最後まで行ってると……」

 

 ヒカリの大立ち回りに賞賛の言葉を贈るホップ、ユウリ、マリィの3人。確かに、伝説のポケモン相手に、1人でここまで互角に渡り合えるのは褒められるべき快挙だ。けど……

 

「なんでだろう……凄く嫌な予感……」

「ああ。オレもあのフリーザーの行動が気になって仕方ないぜ……」

 

 ボクとジュンが気になったのはフリーザーの行動。吠えただけで何もしなかったあれの意味がどうしても分からず、頭に引っかかってしまう。

 

(横やりを入れたり、『じこさいせい』まかせのやられたふりをしたり、様子見を多くしたり……間違いなくこのメンツの中で一番強かなのはフリーザーだ。そんなフリーザーのあの行動が、何の意味もないとは思えない)

 

 こうして改めてこちらを見下ろしてくるフリーザーを見ていると、やっぱり今も何かを考えているような気がして気が気じゃない。エスパータイプの力で浮いていると思われる姿を見て、よりその毛色を強く感じてしまい……

 

「まって……エスパータイプ……っ!?ヒカリ!!上!!」

「え?」

「フォウウゥゥゥッ!!」

 

 フリーザーのタイプを思い出して、答えに辿り着いたボクは慌ててヒカリに忠告をする。しかし、ボクが声を上げた時にはもう遅く、フリーザーの攻撃は()()()()()()

 

 上空から降りそそぐは無数の光。まるで流れ星のように降りそそがれるその光は、サンダー、ファイヤー、そしてヒカリのポケモンたちに余すことなく降りそそいだ。

 

「『みらいよち』!?みんな逃げ……ッ!?」

 

 ヒカリが慌てて逃げる指示を出すがもう遅い。激しい攻撃が降り注ぐ中、ひたすら受けることしかできないみんな。

 

「フォウウゥゥゥッ!!」

 

 フリーザーが嬉しそうに吠える中行われた攻撃は、数10秒ほど続いてようやく止まる。タイプ上効果のないファイヤーと、鋭いステップで避け切ったサンダーは、特に変わらない姿でお互いをにらみつけるが、ヒカリのポケモンはそうはいかない。きっと何人かのポケモンが倒れ、倒れていない子はそれでも大きなダメージを受けているだろうと思っていた。

 

「……っ!?」

 

 しかし、その予想は裏切られる。

 

「キィ……」

 

 攻撃が消え、視界が晴れたところでボクたちの目に映ったのは、みらいよちからみんなを守るように羽を広げ、攻撃を一身に受けたトゲキッスが、ゆっくりと倒れる姿だった。

 

「トゲキッス……ありがとう……あなたのおかげで、みんなが助かったわ。本当に、感謝してもしきれない……ゆっくり休んで……」

 

 トゲキッスをボールに戻すヒカリと、そんなトゲキッスを見送るヒカリのポケモンたち。

 

「みんな……絶対に勝つわよ……」

「ペルッ!!」

「ムーッ!!」

「エポッ!!」

「パチッ!!」

「ミミッ!!」

 

 トゲキッスからのバトンを受け、彼女たちの目の色が、変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




タイプ

ファイヤー、サンダー、フリーザーと、本来なら名前だけでタイプがわかるはずなのに、姿が違うせいでこの名前がミスリードになるという展開。やっぱり別固体ですよね、この子たち……。

みらいよち

この技を見ると、アニポケのゴジカさんとの闘いを思い出します。あの時は対処方法がとても可愛かったですよね。

トゲキッス

この地方では白い悪魔だなんて呼ばれてましたが、ヒカリさんの手持ちではお母さんのようなポジションですね。




花粉がひどい……これだから作者は春が一番嫌いだったりします……。




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