【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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ポケモンスナップ楽しいんですけど進化演出と嫁ポケがいないのだけは納得出来ません……


18話

「みんなお疲れ様!!これで今日やることは終わりだよ!!」

「「「「おわった~~~~~!!!」」」」

 

 あれだけさんさんと輝いていた太陽はなりを潜め、夕方も終わりを告げそうなほど赤から黒へと空が変わり始めたくらいでようやく全ての仕事が完了した。

 

 全てのポケモンのお世話、地面の整備、お客さんへのポケモンの返却及びさらなる預り。目まぐるしく動くポケモンの状況に全て対応しなきゃいけなくて、言っても預けるだけでは?なんて思ってた自分を殴り倒したくなるくらいには忙しかった。他にもお手伝いさんがいるという話は聞いたけど、それでもメインはこの3世代家族で基本支えているというのだから凄いことだ。忙しいけど楽しそうに働くアオイさんを見てると、本当にポケモンが大好きだから出来ているんだろうなあと感じる。

 

 汗と顔についた泥を拭いながらスッキリした達成感に満たされてどこが気持ちいい。そんな晴れ晴れとした気持ちの中、みんなで笑いながら預かり屋に戻っていく。

 

「今日は本当にありがとうね。おかげで地面の復旧は予想よりも早く終わったからもうほんとに感謝感謝だよ〜」

「こっちこそ、凄く勉強にもなったし楽しい1日だったぞ!!なんか、今ならバチンキーたちと完璧なコンビネーションが出来そうだ!!フリアにも勝っちゃうかもな!!」

「ボクのハードルそんなに高くないと思うんだけど……うん、そういうなら今度戦う?ボクだってこうは言ってるけど負けるつもりは全然ないからね」

「ホップの気持ちは分かるかも。今ならラビフット達のこともっと理解できそうだもん。バトルして確かめてみたい気持ちはあるかも」

「ハイハイ、とりあえずは預かり屋戻ってヒマリさんに報告!あたしは今は早くお風呂入ってさっぱりしたか……」

 

 作業服を借りたとはいえかなり汚れてしまってはいるのでマリィの言葉には全面的に賛成だ。この後にご飯を食べることを考えてもやっぱりお風呂には入りたい。それにこの汚れた服のまま家に上がり込む訳にもいかないし……

 

 でもさすがにボクたち4人も含めてお風呂となるとかなり長い時間がかかりそうだ。みんなに先に入って貰うことも考えても1番最後は1時間以上経ってからの入浴になりそう。

 

「みんなお疲れ様。今日は本当に助かったわ。これからご飯の準備するから、先にお風呂に入っちゃってちょうだい。お風呂の準備も終わってるから」

 

 預かり屋の扉の前で出迎えてくれたヒマリさんの言葉ににわかに盛り上がるみんな。楽しかったし盛り上がったとはいえ行ったのは仕事。責任というプレッシャーと体を酷使した疲れは当然溜まっており、それを簡単に発散出来るお風呂にすぐに入れるとなれば、このテンションの上がりようも納得出来るというもの。

 

「ありがとうございますヒマリさん!!お風呂……思いっきり体伸ばしたい!!」

「あたしも肩まで使って温もって……疲れとりたい」

「ユウリもマリィもたくさん手伝ってくれたもんね!私後でいいから先に入って!!」

「え、いいの……?でもフリアとホップは?」

「俺たちは気にしなくてもいいぞユウリ。こういうのはあれだ!えっと……レディファイト?」

「レディファーストね?なんで戦ってるのさ」

「それだそれだ!俺たちならまだ我慢できるしな!」

「ま、そういうこと。男性陣は後で大丈夫よ」

 

 汗と泥の匂いはまぁまぁするけど自分の仕事の成果と考えたらまだ耐えれるし、お風呂待っている間ここに預けられている子たちと遊べばいいんじゃないかなと。夜にしか顔を出さない子もいるかもしれないしね。

 

「あら、みんなで入ればいいじゃない」

「…………え?」

 

 なんて考えている時に爆弾を落とすヒマリさん。……冗談よね?

 

「でもお風呂の大きさ大丈夫か?5人いるぞ?」

「いやホップ、お風呂の大きさの問題じゃなくてね?」

「ここをどこだと思っているのよ。天下の預かり屋よ?大型のポケモンやたくさんのポケモンたちを一緒にお風呂に入れるための大きなお風呂ぐらいあるわよ」

「いや、ヒマリさんも悪乗りはほどほどで……え?あれ?これってボクがおかしいの?」

 

 ふと振り返ると女性陣もなんでそんな否定するのかわからないといった顔をしている。……やっぱりボクが異端児なのかな?そんなことないはずなんだけど……そういえばヒカリも旅途中野宿で水浴びとかする時一緒に浴びるのに抵抗してなかった気がする……。う~ん、ボクの中での常識が崩れる……。

 

「でも別々に入っちゃうと時間かかっちゃうわよ?ガラル地方は夜はかなり冷えちゃうし、さすがにその汚れの状態でうちに上げるわけにもいかないし……」

「それは……」

 

 そういわれると確かに反論はできない。人様のおうちを汚すわけにもいかないし、かといってずっと外は確かにさっきまではポケモンと触れ合えるなんて思ってたけどここ、シンオウ地方と同じくらいの緯度にあるこの地方、地元民からしてもかなり冷えるのは想像できる。汗も拭かずにこのままいたら確かに風邪をひきそうだ。

 

「私だって恩人に風邪をひかせるなんてできないもの。やっぱりみんな一緒に入った方がいいと思うのだけど……」

 

 完全なる善意から来ているという事はよく伝わった。ただそこら辺の許可はボクらにとるというよりも彼女たちにとるべきのような……?

 

「水着ないなら貸すわよ?」

「一応、別地方を旅してた経験から水浴び用に水着は持っているので大丈夫ですけど……」

「ならOKね。大丈夫よ。ガラル地方のみんなはワイルドエリアで水遊びよくするから水着は大体常備してるのよ」

「ああ、それなら納得です」

 

 少し驚いたけど割とガラルでは普通?のようだ。ならここは郷に従おう。

 

「いやぁ、みんなでお風呂、楽しみだな!!」

「そうだね~」

「お風呂場はあっちよ。案内するわね」

 

 皆で疲れを癒しながら談笑できる。うん。なかなか楽しそうだ。自分の命と体を洗えるお風呂はもともと大好きな方だし、それをみんなとできるならその楽しみもひとしお。さて、ゆっくり楽しむとしよう。

 

 ……ヒマリさんがこっそりガッツポーズとったり、女性陣が少し顔を背けているのは気のせいだと思おう。うん。ちなみにホップは何も考えてない。絶対に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「はあぁ……生き返る~~~」」」」」

 

 何てちょっとどぎまぎした空気こそあったものの、水着に着替えていざお風呂に浸かってしまえばそんなことを忘れ去ってしまうほどの心地よさに全身が包まれる。ちょうどいい温度に身を沈ませながら脱力するこの感覚はいつ味わっても最高なもので、意味もなく口が開いて呆けた声が出てしまう。周りに聞かれると思うと恥ずかしいけどみんなも同じような感じだから特に気にする必要もない。やっぱりお風呂ってサイコーだ。

 

「しかし凄いぞ。こんなに広いお風呂は初めてだ」

「ありがと〜。うちの自慢のお風呂だよ〜。と言っても実は私もここで入るのは初めてなんだけどね?」

「そうなの?」

「だって普通に入る分には別にこんなに広くある必要ないもん」

「それもそうやんね〜」

 

 確かにこんな広いお風呂。贅沢ではあるものの掃除とか大変そうだし広すぎて逆に不安になったりしそうだ。何事も程々が1番。

 

「ねぇねぇ、そう言えば気になってたんだけど……みんなの関係ってどんな感じなの?」

「「「「関係……?」」」」

 

 アオイさんがどこかそわそわして様子でそう訪ねてくる。ボクたちの関係かぁ……

 

「旅仲間?」

「ライバルじゃないのか?」

「あたしはそう思ってるよ」

「う〜ん、私はまだホップと軽く戦っただけだからライバルって言うよりか、フリアの旅仲間って言う方があってるかも……?」

 

 あくまでボク視点なんだけどこうも意気投合するとは思わなかったからライバルって言う気はあまりしなかったりするのは本当で、その理由としてはまだ知らないことが多いからかお互いがお互いに色んなことを説明しながら話しているってところが大きいかもしれない。こっちは旅の先輩として、向こうはガラルの先輩として。競うことよりも手助けし合うことの方が多いことからやっぱりライバルよりも旅仲間の方がしっくりきそうだ。

 

「旅仲間……いいなぁ。私もそういうの憧れちゃうかも……」

「アオイさんはそういう人いないの?」

「私は物心ついた時にはもうポケモンに囲まれてて、預かり屋の環境に染まっちゃってたから……ほら、ここターフタウンからそこそこ離れてるでしょ?それに預かり屋ってだけあってあまり同年代の子が来ることもないし……だからこうやって他の人と賑やかに過ごすって本当に珍しくって!!本当に楽しかったなぁ」

 

 嬉しそうに、楽しそうに、天井を見上げながらそういうアオイさんは本当に心から楽しそうで見てるこちらまでもが思わず笑ってしまう。

 

「私たちも凄く楽しかったよ。貴重な体験させてもらったし、大変だったけどその分勉強にもなったし」

「やっぱりこういうのって実際やってみると印象変わるやんね〜。あたしちょっと尊敬が強くなってる」

「本当だよな!ジムチャレンジ終わって一息ついたらまたここに遊びに来たいぞ!!」

「また来てくれるの!?その時は歓迎するね!!」

 

 盛り上がっているところを少し離れて見守るボク。楽しそうに話している姿がまた昔のボクたちと重なる。きっとここにジュンたちがいたらもっと騒がしくなりそうだ。1回でいいから引き合わせてみたい。そんな気持ちが湧いてくる。

 

(……そのためにも、やっぱり強くならなくちゃね)

 

 そっと気持ちを引き締め直し、やっぱり今はくつろごうとお風呂の魔力に誘い込まれる。

 

「その時は地面に足取られてコケないようにしないとな!!マリィ?」

「あ、あれは木の上からいきなりカジッチュが落ちてきたからっちゃけん仕方なか!!そういうホップもパルスワンの尻尾踏みかけとったと!!」

「俺は未遂だったぞ!!マリィなんか悲鳴を上げながらコケてて面白かったし」

「し、しぇからしか!!」

「うぶっ!?」

 

 バシャッ!!と弾ける音を立てながら思いっきりお湯をぶっかけるマリィ。予想外の攻撃に変な声を上げながら仰け反るホップ。その姿が面白くてつい笑ってしまう。

 

「や、やったなぁ!!」

「からかうのが悪か!!って危な!?」

「「ひゃうっ!?」」

 

 ホップが反撃とばかりにし返すが身軽な動きでサッと避けるマリィ。しかし避けられたお湯はその先にいたユウリとアオイさんに直撃してしまう。

 

「ホップ〜?」

「あははは!!やったね〜ホップ君!!」

「ちょっ、今のはマリィが避けたのが悪か━━ぐはぁ!?」

 

 問答無用で仕返しされるホップが面白くてさらに吹き出してしまう。やっぱりこのメンバーは賑やかで楽し━━

 

「んぎゅっ!?」

「「「あ……」」」

 

 ホップを狙ったものが思いのほか広範囲に飛び散っていたためボクの方にも流れ弾が飛んできた。というか、狙いが正確じゃなかったのかホップよりもボクの方に飛んでくる量の方が明らかに多い。

 

「ふっふっふっ、よかろう。ホップ」

「っぷはぁ!!おう、フリア!!こうなったらやるぞ!!」

 

「「戦争だぁあああ!!」」

 

「え、ちょっ、フリアごめ━━ふぎゅっ!?」

「ユウリ!?ああもう!!こうなったらとことんやっちゃるけんね!!アオイ!!いくよ!!」

「え、えええええ!?!?」

 

 突如始まる全員によるお湯の掛け合いバトル。だんだん楽しくなってしまいどんどん激しくなっていくその遊びは、ご飯の報告をしに来るヒマリさんが現れるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、ヒマリさんのご飯すごく美味しかったな!!」

「当たり前だよ。私のお母さん、凄く料理上手いんだから!!」

「預かり屋のポケモンたちの分も作ってることを考えたら納得はできるよね」

「あたしのモルペコも大満足しとったしね」

「私も幸せな時間だった〜」

 

 お風呂で大はしゃぎした後、ご飯を頂いてアオイさんのお部屋にお邪魔したボクたちはベッドに寝転がるアオイさん、ユウリ、マリィと床に広げた敷布団に寝っ転がるボクとホップという図式で寝ていた。

 

 預かり屋のある場所が土地の広い所というのもあり、家自体がかなり広いせいか一部屋一部屋がかなり広く五人寝転がっても余裕はあるし、そもそも三人が寝られるベッドがある時点でその広さは言わなくても伝わると思う。なんだか友達の家でお泊り会をしているみたいでとても楽しい。

 

「明日はもうここ出ちゃうの?」

「そうだね~……そんなに急いで旅しているわけではないけど、かといって遅くいく必要もないからね」

 

 代表でボクが答えたけど他の人も同じ意見のようでボクの言葉にうなずいて同意を表す。バウタウンまでの道のりを考えたらこの預かり屋はバウタウンへの距離的に半分いかないくらいの場所に立っているのでむしろ早めにここを出ないとバウタウンにつくのが夜遅くになってしまい、下手をすればバウタウン目の前かもしれないのに夜遅くて視界がないから目前野宿なんてことにもなりかねない。

 

 シンオウ地方のころと違って冒険に対する保険やら手当やらが万全というか手厚いから可能ならという気持ちでついついホテルに泊まれるように動いてしまう。旅に対するハードルが低くなっているなぁと思ったけどリーグの難易度は招待制ということもあってむしろハードルが上がっていて結局ここの冒険自体はプラマイゼロの難易度なんだけど、せっかくこうも旅に関してのハードルが低いならユウリ達にはできる限りホテルに泊まってほしいしね。

 

「ジムチャレンジかぁ」

「アオイは出場考えなかったのか?」

「勿論考えたよ?でも私はこうやってポケモンのお世話をするのが大好きだからさ。バトルは見るだけで満足!!」

 

 笑顔で元気よく答えるアオイさんから本当にこの仕事が好きなんだなと思った。

 

「勿論バトルをみるのも大好きだから、今日一緒にお仕事した縁もあるし、皆のこと応援するね!!」

「期待にこたえられるように頑張るよ」

「まだまだジムバッジ一個だから先は長いけどね」

「最初のジムの動画はみれなかったんだけど、次からはしっかり見て応援するね!!あ、でもフリアさんのは見たかも……たしか注目のジム戦って特集組まれててそこにあった気がする!!」

「そんなのやってたの!?」

「そうなのか!?流石フリアだな!!」

「そ、そんなに褒めなくても……」

 

 まさかテレビでそんなふうに取り上げられているなんて……っていう事はもしかしたらすでにバウタウンでボクが来るのを待ってる人もいたりするのかな……って流石にないか。ここにいる人のなかでちゃんとファンを持っているのってマリィくらいしか知らないし……

 

「フリアさんってそんなに強いんですか?」

「「「すっごく強い」」」

「持ち上げすぎじゃない?」

「いやいや、少なくとも俺たちの中では一番だろ」

「ヤローさんに組み合わせ技使わせてる時点でお察しって感じやんね」

「私も弱点つける二匹でいっても使われなかったからなぁ」

「そう考えるとむしろくさタイプ苦手な編成でなんでヤローさんの本気の片鱗を引き出したんだ?」

 

 言われて考え直すけど確かにユウリは弱点をつける二匹選出だし、ホップとマリィも弱点を突きつつもう片方でしびれごなを防ぐことができる対処っぷり。一方ボクは……うん。御覧の通りだ。

 

「……なんであんな戦いになったんだろう?」

「おい当事者」

「あれ、もしかして私って今すごい人と話してる?」

「と、とにかく!みんなもこの先がんばろ~!!」

「「「「話そらした……」」」」

 

 そんな目でボクを見ないでほしい。まるでボクが異常者みたいな扱いじゃないか。

 

「そもそもボクは別に特別な人じゃあ……ふぁあ……」

「ふぁあ……フリアの欠伸がうつったぞ……ってもうこんな時間なのか」

 

 突如襲ってきた眠気に逆らえずに大きなあくびを一つしてしまい、声に出したのがホップだけだったからわかりづらかったけどあくびが全員にうつっていた。あと1回動いたらみんな寝そうだ。ホップの言葉につられて時計を確認すると11時を回り始めているところ。明日早く出ることを考えるならもう寝ておいて明日に備えておくべきところだろう。

 

「そろそろ寝よっか」

「そうやんね……明日も早そうだし、お風呂でリラックスできたとは言えまだ疲れも残っとるし……ふあぁ……あたしももう限界かも」

「じゃあ電気消すぞ」

 

 ホップの言葉を合図に皆で布団の中に顔を沈める。

 

 皆が寝る準備が整ったのを見たところでホップが電気を落としたことによって部屋を照らすのが月明かりのみとなり若干の幻想的な空間が出来上がる。周りが自然だからこそよく見える星空もその空間の構築に一役買っているのもあるだろう。

 

「じゃあまた明日!おやすみだぞ」

「「「「おやすみ~」」」」

 

 そんな少し幻想的な景色を一目だけ見て、ホップの言葉を聞き届けそっと目を閉じる。預かり屋の奥から聞こえる預けられた夜行性のポケモンたちのかすかな鳴き声がどこか子守唄のように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 皆が寝静まって一時間強っほどたった部屋の中。

 

 夜もいよいよ深くなり本格的に夜行性の生き物たちが元気になり始める時間。そんな時間にむしろここからが私の時間だとばかりに目を開けるものがひとつ。

物音を立てしまって主を起こさないようにそっと()()()()()()()()()()()()私は飛び出した。

 

 すやすやと安心しきった寝顔をさらしている主に少し暖かい気持ちになりながらそっと外の様子を見つめる。この地方にきてなかなか外に出る機会に恵まれずにこうして主が寝ている間にそっと動くことしかできないことに勿論不満はあるものの、その理由を深く知っている私はあまり強くは抗議しない。

 

 こうやって夜にこっそり抜け出すわけではないが、外に出ることも許容されているので窮屈感はないし、いざという時は私を頼ってくれるのを知っているから。むしろこのジムチャレンジのいつ、どんな相手と戦う時に私が解禁されるのか、どんな舞台で私が陽の光を浴びるのか。そんなことを想像してみるとそれはそれでものすごく楽しみだ。

 

「…………」

「んぅ……」

 

 この地方にきて、このボールの中から外の様子を見て、まだ全然日にちはたっていないもののその時間は濃密で、一つ目のジムは私の視点から見ても心の奥がくすぐられるとてもいいものだった、新しい仲間も心強く、きっとこの先も主のことを一緒に支えてくれる大きな存在になるだろう。

 

 そうすればきっと私の主は悩みから……後悔から解き放たれると信じている。

 

 そのためにも私ももっと力をつけなければいけない。主の切り札として恥ずかしくないように、もう二度と、主にあんな顔をさせないためにも……

 

「……っ」

 

 ぐっと拳に力を籠める。

 

 きっとこの旅は主の大きな分岐点だ。前の地方を一緒に回った仲間はここには来られなかった。そんな仲間たちの分も私は強くならなくてはならない。だから……

 

「…………」

 

 主の頬に触れていた手をそっと離して少し離れる。そしてこれからこの地方に来てから始めるようになった自主特訓をするために外へ出ていこうとする。幸いなことに今日は預かり屋の庭という動き回るには最適な場所がある。もしかしたら預けられたポケモンたちを驚かせてしまうかもしれないが……その時は主と同じようにゆっくり優しく接していこう。何とかなるはずだ。たぶん……

 

 そんな考えとともに部屋の窓から出るために窓に近づき……

 

「……?」

 

 自分の目が何か不自然なものをとらえる。

 

 それはこの自然あふれるところでは不自然な光……機械が反射して光っている光と言えばいいだろうか。窓から見える預かり屋の敷地内の森の中ら見えるその光からはなにか悪意のある気配をひしひしと感じ……

 

「………っ!?」

 

 その光が見えるところから何匹かの鳥ポケモンがまるで逃げるかのように飛び立った。さらにそれと時を同じくして……

 

『こんな時間に何か用ですか?……ッ!?』

 

 下から今主がお世話になっている人の声が聞こえたと思ったらなにか息をのむような空気を感じる。あの光とこの時間の来客と逃げる鳥ポケモンたち。そしてたどり着く一つの可能性……。

 

「……!!」

 

 何か嫌な予感がする。このままではよくない何かが……だから……

 

「……!!」

「んぅ、うう……あれ?いま何時……」

 

 忍びないが主を起こす。きっと主がこのまま寝過ごしたら絶対に後悔するから。

 

「あれ……外出てたの?どうしたの……?」

 

 目を擦りながら、それでも私に起こされるということは何かあったのかと感じ取ってくれた主が私の言葉に耳を傾けてくれる。そんな主に応えるべくすぐに私が見たものと聞いたものを伝える。

 

 さぁ主。早く動いてくれ。心優しいあなたがこのことを放っておくはずがない。

 

「っ!?本当にそんなことが!?」

 

 そんな優しい主だからこそ私は主のそばにいたいと思ったのだから。だから……

 

「絶対に止めなきゃ……手伝って!!」

 

 公式戦でまだ助けることを憚られている私だからこそ、こういうところで主の背中を支えさせて欲しい。そう願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




預かり屋の仕事。

最近のアニメでケンタロスの毛繕いしてるところありましたけどあれみたいなことやりまくってると考えると本当に大変そう。
実機でも家の裏の森深そうだし、そこにみんな預かってるならほんとに無茶苦茶広そう。

お風呂

気づけば入ってました。
温泉旅行行きたいですね。
サービスシーン?少なくとも作者にはあまり期待しないでください()
……そう言えばR15ってどこかなんですかね?
まだこの程度では必要ないと思ってるんですけど……

視点???

言わずもがなフリア君の切り札。
さて、誰でしょうかね……?
当てられたら凄いと思います。
とりあえずひとつ言うのなら伝説系統は考えなくていいですよとだけ。
さすがに伝説はね……?




思いのほか預かり屋編長くなってしまっている……
当初の予定では2話で終わるつもりだったんですけどなぜ?
た、多分次で預かり屋編は終わるかなと……多分()
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