【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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180話

「みんな自分の本は読み終えたかしら?」

「バッチリ読み切ったと」

「オレも大丈夫だぞ!!」

「ボクも、理解出来たから説明できるよ」

「……オレもOKだ」

「うん……私も大丈夫……」

「皆さんの発表、楽しみですね」

「なにか進展があればいいわね……」

「いつの間にこんなに話が進んでいたんだ!?この手の速さ……おめぇらド・すげぇな!!」

 

 全員が本を読み終えて改めて顔を合わせたところで、ヒカリがみんなに確認を取る。この言葉に対して、マリィ、ホップ、ボクが自信ありの空気を纏いながら返答する。一方で、ジュンとユウリはどこか落ち込んだ様子で返答。まぁ、2人が選んだ本的におそらくいい収穫はなかったということが何となく予想できる。そこはドンマイと言うしかないだろう。そして、この中でまだどの情報も持っていないコクランさん、カトレアさん、ピオニーさんは、どこか期待を込めたような視線を投げかけてくる。その前に、ピオニーさんの返答が本当に何も知らない人のそれで少し困惑してしまったのだけど……。

 

「あの、コクランさん……ピオニーさんはなんで何も知らなさそうなんですか……?」

「申し訳ございません。説明はしたのですが……」

 

 そのあまりにも何も知らなさそうな姿が気になったのでコクランさんに質問をすると、とても困ったような顔を浮かべながら言葉を返してきた。その様子を見たカトレアさんが、溜息をつきながら説明を引き継ぐ。

 

「コクランが説明を初めて……5分もしないうちに寝たわ……だからこの人は何も知らない……」

「あぁ……」

 

 さもありなん。

 

「ほんと……枕なくてもすぐ寝るじゃない……」

「ダッハッハ!!すげぇだろ!オレの快眠力!!」

「褒めてないわよ……」

 

 皮肉も一切効かないこの豪快さに思わず頭を抑えるカトレアさん。本当にお疲れ様です。

 

「……本題に入ってもいいかしら?」

「おお、すまなかったな!!いい報告待ってるぜ!!」

 

 話が脱線し始めたところでヒカリがストップをかけ、元の流れに戻していく。返事を返したのが流れを崩したきっかけのピオニーさんであることにまたひとつ溜息をこぼすヒカリだけど、ここを突っ込むとまた逸れると感じたヒカリはこれを無視し、さっさと本題に入っていく。

 

「じゃあ順番に調べてわかったことを話しましょうか」

「じゃあオレから話すぜ……」

 

 まずは誰から話し出すか。トップバッターを務める人をヒカリが探していくと、ジュンが真っ先に発言をする。しかし、彼のテンションが低いことから、今回の名乗り出しはいつものせっかちから来るものではなく、彼が手にした本から特に大きな情報を得ることが出来なかったというガッカリ感から来るものというのが伝わってきた。……まぁ、彼が手にした本のタイトル的にも、あまり情報はなさそうだったしね。

 

「オレが読んだ『フリーズ踊り』に書かれていたのは老後の運動に対するものだったぞ。頑張って最後まで読んだけど……何も、なかった……」

「お疲れ様。最後まで読んだだけ今回はあんたは偉かった。うん、ドンマイよ」

 

 普段本を読まないジュンの行動に素直に褒め言葉を送るヒカリ。いつもの彼なら途中で本を投げてもおかしくないので、最後まで読んだというジュンの行動は確かに褒められていいだろう。よく頑張ったよ。うん。

 

「じゃあその流れで私も言うね?私の手にした『お土産アイデア』にも、特に重要そうなものはなかったよ。中に書いてたのは……ほら、村長さんが喋ってた『豊穣の王』がプリントされてるTシャツについてだったから。……もしかしたらあの本自体、村長さんが書いたものなのかも……」

 

 ジュンに続いてユウリも特に情報なしとの報告をあげる。この2つに関してはタイトルの時点であまり期待はしてなかったのだけど、その予想通りの結果となった。周りのみんなも同じみたいで、この2つの本には期待していなかったみたいだ。

 

「さて、茶番はこのくらいで……」

「ここからが本番だね」

「おい!!お前ら分かってて止めなかったのかよ!?ユウリもなにか言えよ!!」

「私は何となく分かってたから……」

「ユウリもかよ!?くそ〜、なんだってんだよ〜!!」

 

 ヒカリとボクがこれからが大事だという旨の言葉を発すると、ジュンが噛み付いてきた。しかし彼だけがこの結果を予想してなかったみたいで、騒いでるのがジュンだけだったのでスルーする。むしろ、伝説に触れたことのあるジュンには分かって欲しかったと思わなくもない。

 

「じゃあまずはオレから行くぞ!!」

 

 そんな騒がしいジュンを置いて説明を始めたのはホップ。ここから話す、ボクを含めた4人の言葉はとても大事なものになる可能性が高い。聞き逃さないようにしっかりと聞かないとね。

 

「と言っても、オレも無茶苦茶情報があったって感じじゃないんだよな……」

「そうだったの?」

「ああ。オレが読んだ本って、『豊穣の王』ってタイトルだったろ?だからちょっと嫌な予感はしたんだが……やっぱり書かれている内容は、どちらかというと『バドレックスがどんなポケモンで、どんなことをしてきたか』っていう歴史の話になってたぞ。『右手は草花を、左手は畑を豊かにし、そして足跡には命が芽吹く』……だったか?おおよそはバドレックスから聞いた通りの力と歴史だったぞ。……そのあたりを調べるのなら、この本を読むよりは、本人に聞いた方が圧倒的に正確だし早いぞ」

「そういう系だったのね……」

 

 3番手で発表したホップの内容は、バドレックスについてのこれまでの歴史だった。豊穣の王である彼が、どんな力を持ち、どんなことをして、人々にどのように接していたかを纏められた本は、言わばバドレックスの冒険記。貴重な資料であることは変わらないし、ボク自身その中身はとても気になる。しかし、実際のところはホップの言う通り、愛馬についての情報もなければ、本人と話をすることが出来る現状において、態々本で調べる必要がほとんど無い。残念ながら今この場においては、特に必要のないものになってしまうだろう。

 

「悪いな。あまり役に立てなくて……」

「ホップのせいじゃなかと」

「そうそう。気にしないの」

 

 手にした本がたまたま悪かっただけなのに、申し訳なさそうな声を上げるホップをマリィとヒカリが慰める。実際に、ホップには一切の非がないのだからあまり気にしないで欲しい。そんなみんなの空気に、ホップも安心したようなため息を着く。

 

「そう言ってくれて助かるぞ」

「うん。じゃあ気を取り直して……4番目!!」

「あたしが言うと」

 

 ホップが切り替えて、空気も元に戻ったところで次を促すヒカリの言葉。これに反応したのはマリィだ。彼女が手にした本のタイトルは『王の愛馬』。タイトルからして、1番の注目株だ。これで何も情報がないと言われたらさすがにお手上げというか、残っている本の質を疑ってしまう。……ただ、先程のホップの例もあるため、もしかしたら愛馬に関する歴史ばかりで、居場所などは分からない可能性がちゃんと残されているのが怖いところではあるけど……。そんな不安を帯びた視線をそのままマリィに向けてみると、マリィは少し申し訳なさそうな表情を浮かべていた。……ちょっと嫌な予感がした。

 

「あたしが手にした『王の愛馬』の本だけど……内容はどちらかと言うとホップのそれに近かと」

「やっぱり……」

 

 マリィの表情から何となく察したけど、本人の口から改めて聞かされると、少なくないショックと失望を感じてしまう。ただ、ホップの時と違い、愛馬本人がここにいないので、歴史を調べる方法がこれしかないのがせめてもの救いかな。この本からしか分からない情報も『豊穣の王』の本に比べたら多いはずだ。それが気になったのか、ユウリが率先して質問をする。

 

「で、なんて書いてあったの?」

「えっと……バドレックスの愛馬は、バドレックスの従順なる足であると同時に、バトレックスの力を引き出す役目も担っていたみたいと。2人の相性がとてもいいみたいで、愛馬とバドレックス、2人が本気を出せば、一晩で森を作ることができるって言われてみたい。元々は暴れん坊で、村の作物を食べ荒らしてたけど、そこをバドレックスが諌めて、部下にした……ここはバドレックスに聞いた通りの話とね」

「2人の相性が良くて、相乗効果が出てたんだね。……なんか、フリアとヨノワールみたい」

「確かに、言われてみたらそうとね」

 

 マリィの説明を聞いたユウリが、ボクの方を見ながらそう呟いたので、マリィ含めてみんながこちらを見てくる。確かにボク自身も、ボクが読んだ本のこともあってか少しシンパシーを感じていた。ただ、今はマリィのターンなので、彼女の話を進めていこう。

 

「あと、愛馬の見た目についても書かれてたと」

「見た目!?超重要情報じゃねぇか!!」

「うん……ただ……」

 

 マリィの言葉にジュンが嬉しそうに声を上げるものの、マリィの表情は優れない。

 

「この本には、『愛馬の毛並みは凍てつくこおりのような白と言うものがいれば、闇夜のゴーストのような黒というものもいる』って……『どちらの言い分が正しいかは分からない』って書いてあったと」

「それって、村長さんの家の前にいた、おばあさんたちの言ってた内容と一緒よね?」

「うん……」

「結局、ハッキリはしないってことか……」

 

 続けて喋ったマリィの言葉に、ヒカリとホップが納得しながら声を漏らす。確かにはっきりしない情報だった。でも、ボクとユウリ、そしてコクランさんとカトレアさんは違った意見を持っていた。

 

「でも、少なくともその2択までは絞れてるよね?」

「うん、他の色はなさそう……?」

「そこに関しては前進ですね」

「白と黒……どちらもわかりやすいから……見つけるのは楽かもしれないわね……」

「あ、確かにそうとね。……じゃああたしのは無駄じゃなかったんだ……良かったと」

 

 ボクたちの言葉にマリィたちも気づき、今の情報が少し役に立つものだということが全体に伝わった。自分の担当した本が役に立ったことに、安心と嬉しさの表情を浮かべていた。

 

「よし、4冊目はこの辺りかしらね。じゃあ次、5冊目は……わたしが喋るわね」

 

 マリィの話が落ち着いたところで、次に発表をするのはヒカリ。

 

「わたしが読んだこの『雪原の野菜』なんだけど……どうやらこのカンムリの雪原だと、野菜の……特に、にんじんの育ち方がちょっと変わってるみたい」

「変わってるって?」

 

 ヒカリの言葉に首を傾げながらユウリが質問をする。これに対して、ヒカリは顎に手を当てながら説明した。

 

「雪の深い土地の畑なら『つめたいにんじん』が、お墓の近くの畑なら『くろいにんじん』が育つらしいわ」

「『つめたいにんじん』に『くろいにんじん』……なんだかまずそ━━」

「美味しいのかな!?」

「ええ~……」

「さぁ、どんな味がするのかしらね?ただ、少なくとも食べられないなんてことはなさそうよ」

「え、そうなのか?」

 

 ヒカリの言葉にジュンが苦い表情を浮かべるものの、その言葉をユウリがカットインしてしまう。こんな時にも食い意地が前に出て来るユウリにはさすがにジュンも苦笑いを隠せない。ただ、この謎のにんじんを食べようとする意識自体は間違っていないらしい。となれば、予想されることは1つだけ。

 

「どうもこのにんじん、元々ポケモンに食べさせてあげるためのモノみたい。『つめたいにんじんは』こおりタイプが、『くろいにんじん』はゴーストタイプが好んで食べるみたいね。そして何よりも、おとぎ話に出て来る豊穣の王の愛馬も、これらのにんじんが好物だったみたいよ」

「じゃあ、このにんじんがあれば、愛馬の場所が分からなくてもおびき寄せることは出来そう……ってこと?」

「そうだとわたしも思うわ」

 

 やっぱりこのにんじんはバドレックスの愛馬の好物でもあるみたいだ。ボクが出来そうなことを提示してみると、ヒカリも同じ考えみたいで、ボクの考えに肯定を示してくれた。これは確かに重要な情報だ。しかし、ここに来てもやっぱり大きな問題が立ちふさがる。

 

「で、結局愛馬って黒か白、どっちなんだ?」

「そこなのよねぇ……」

 

 それはホップが挙げたように、愛馬が黒色なのか、白色なのか、その判別が出来ていないという事だ。ヒカリの読んだ本が正しいのなら、愛馬が黒いのならくろいにんじんが、白いならつめたいにんじんが好物ということになるのだけど、結局どっちが正しいのかわからない以上どちらのにんじんを準備すればいいのかわからない。……まぁそもそも、このにんじんの所在を知らないから、問題はそこからな訳なのだけど……

 

「ヒカリの本にも書かれてないのか?」

「それが、書かれている本によっては、白い馬がつめたいにんじんをたべていたり、黒い馬がくろいにんじんを食べていたりで、ここでも表記が揺らいでいるみたい。描かれ方が違うから、どちらが正しいかは分からないわね……」

「おばあさんと言い、この本といい、ここまで綺麗に2分割されるのも凄いね……」

 

 噂が嘘にまみれたり、時を重ねることで拡大、もしくは縮小されるのはよく見かけるけど、ここまで2分割されて続いているのはなかなかな聞かないことではないかなと思う。ここまで来ると、もしかしたらどっちも正しいのかと思ってしまいたくなる。例えば、時間帯によって馬の見た目が変わるとか。ボクたちの身近なところで言えば、モルペコのハラペコスイッチのようなそれだ。

 

(いやでも、それだと好物が変わるのが説明つかない……いや、多重人格みたいなもので、変わってしまう可能性もあるけど……)

 

 なんだかそれだとどうしてもしっくりこない。というか、そもそもの時点で勘違いしているような……

 

「もしかして……」

「おや、フリア様は気づかれたようで……」

「え?」

 

 考察していく過程で、とある仮説が出てきたボクは思わず言葉を零してしまう。その言葉はコクランさんにはしっかりと聞こえてきたみたいで、そのうえで、まるで最初から答えがわかっているかのような口ぶりでボクに声をかけてきた。

 

「なんだなんだ?何かに気づいたのか?」

「考え、聞かせてもらってもいいかしら?」

 

 そんなボクとコクランさんの会話は、こそこそ話ではないため当然ここにいる全員に聞こえていた。その中を代表して、ホップとヒカリがボクに質問を投げかけて来る。それに対し、ボクは自分の考えをまとめながらゆっくり喋った。

 

「あくまでもこれはボクの想像なんだけど……もしかしてだけどさ、この2つの説明……両方『正しいこと』を言っているんじゃないのかなって」

「両方正しい……?」

「うん」

 

 ジュンの返事を確認して、ボクは続きを喋る。

 

「ある方では白い愛馬が語り継がれ、もう一方では黒い愛馬が語り継がれている。お互いの意見がぶつかり合って、どっちが正しいのかがわからない。けど、そもそもだよ?もしこの2つの意見、両方が正しいんだったら……ボクたちの前提条件の方が間違っているんじゃない?」

「ん~?回りくどくてよく分かんなかと」

「ごめんごめん。結論をはっきり言うね?」

 

 ボクの悪い癖が出てきたみたいで、少し説明が回りくどくなってしまった。カトレアさんは今の言葉で、ボクが何を言おうとしているのか理解したらしく、小声で『なるほど……』と呟いていたけど、マリィをはじめ、ほとんどの人が首を傾げ始めたので、ズバッと結論を言う。

 

「もしかしてだけど……愛馬は2()()()()んじゃないのかな……?」

「「「「「!?」」」」」」

 

 ボクの言葉に驚愕の表情を浮かべるユウリたち。ボクの言った考えは全く頭になかったらしい。……いや、それが普通の反応だ。だって、そもそもこの村においてある像が、愛馬に乗ったバドレックスだけだった。あれを見させられたら、愛馬は1人しかいないと、ほとんどの人が思ってしまうはずだ。

 

「それなら、噂が2つに分かれているのに、歴史や書物に残っている情報がやたらとはっきりしていることにも説明がつくと思う」

「けど、そんなに都合のいい話があるのか?」

「『都合のいい』っていうけど、実際問題、シンオウ地方での伝説だって2つの姿が語り継がれていたし、ハクタイの像はその2つの姿が組み合わさった像だった……1つだと思ったものが実は2つだったっていうケースは、少なくともボクたちも経験があるはずだよ」

「……そういえばそうだったな」

 

 ボクの仮説に異を唱えるジュンだったけど、ボクの反論にすぐに納得する。シンオウ地方でも同じようなことが起きたという経験は、ジュンを説得するのに十分な材料になったみたいだ。

 

「黒と白……両方の愛馬が存在する……成程ね……」

「フリア様の考えは概ねわたくしも同意です。こうもはっきり形が残っているのであれば、その線は高いかと」

「なんかどんどん伝説を解明してる気がしてド・すげぇな!!要はあれだろ?白黒がパカラっとして、荒れるくらいならオレの作ったにんじん食え!!ってやつだな!!」

「ほんと……どれだけ人の話を聞くのが苦手なのよ……」

 

 ここまでボクたちの話をじっと聞いていたカトレアさんたちも、話がいったん落ち着いたのを見計らって言葉をつぶやく。ピオニーさんに限って言えば、静観していたというよりかは、さっきまでうとうとしてて今起きたって感じだけどね。ダイマックスアドベンチャーの時もだけど、本当に長話や説明を聞くのが無理らしい。まぁ、ここはあきらめよう。

 

「でも、結局のところはフリアの考察どまりだろ?確証は……」

「確かにないよ?でも、そのことに関しては本人に聞けばいいんじゃない?ね?」

(そうであるな……)

「「「「「え!?」」」」」

 

 それでもどこか納得いかないような言葉を零すのはホップ。彼の言いたいことも何となくわかるけど、それなら、それこそ本人に確認を取ればいい。ボクは入り口付近に視線を向け、その本人様に声をかける。

 

「やっぱりいた」

「隠れる必要なんてないでしょうに……」

(すまぬ。盗み聞きをするつもりはなかったのだがな……どうもオヌシたちの空気がピリッとしていたのでな。邪魔するのが忍びなかったのだ)

 

 カトレアさんの言う通り、どうせこの後バドレックスに全部報告するのだから、最初から会議に参加すればよかったのにと思っていると、どうやらボクたちの空気を読んでの行動だったみたい。だとすれば、むしろボクが気づいた時点で声をかけてあげればよかったね。ちなみに、ボクがバドレックスに気づいたのはホップが発表していたあたりだ。その辺で、自分の伝説が残っていることに嬉しそうにしたバドレックスの気配隠しが少し緩んだので気づけたというわけだ。ちょっとかわいいよね。カトレアさんなんかはもっと早く気付いていそうだ。

 

「空気なんて気にしないでもいいのに……とりあえず、ここからはバドレックスも話を……」

「ストップストップ!!フリア!!私たちはバドレックスの声聞こえないから!!」

「あ……」

 

 兎にも角にも、ここからはバドレックスも交えて会議をしようとしたところで、ユウリから待ったがかかり、気づかされる。バドレックスの言葉はみんなには聞こえない。そのことをすっかりと失念していた。

 

(そういえば、フリアとカトレア以外の者には、ヨの声は届かぬのであったな。少し待っておれ)

「な、何だ!?また頭でけぇのが急に民宿に……てょわわわぁ~ん……

「……ふふっ」

「ぷっははは!!」

「や、やっぱり……我慢できなか……」

 

 話が通じていないことに気づいたバドレックスは、すぐさまピオニーさんの身体を乗っ取り、再び話せるように調整を始める。その姿がやっぱりシュールで、ヒカリとジュン、マリィは嬉しそうな声をあげていた。

 

「でも、なんでカトレアさんとフリアは話を聞けるんだろ?」

「確かに、そこはオレも気になるぞ」

「そう言えば……なんでだろ……?」

 

 そんななか、何とか笑いをこらえられたユウリとホップは、ボクとカトレアさんを見つめて疑問点を上げる。確かに、ボク自身なんでバドレックスの声が聞こえるのかはよくわからない。改めてどうしてか考えていると、その答えはカトレアさんがしてくれた。

 

「とても簡単なことよ……あたくしはエスパータイプ適性があって……昔からテレパシーが使える……だからバドレックスとも相性がいい……おそらく……他のエスパータイプのエキスパートも声が聞こえるはずよ……」

「成程……それならカトレアさんの方は納得したぞ」

「でもフリアは?チリーンやエルレイドみたいに、エスパータイプの仲間はいるけど、エスパータイプのエキスパートじゃないよね?」

「そこも簡単……」

 

 カトレアさんの問題は解決したけど、一方でそれはボクには当てはまらないので、やっぱり疑問の声を零すユウリ。それに対してもカトレアさんは、何でもないように言葉を返す。

 

「フリアはそもそも……ポケモンと心を繋ぐことに慣れてる……だから声が聞こえるのよ……」

「ポケモンと心を……あ、ヨノワール」

「そういう事」

 

 ボクはヨノワールととある現象によって心を繋げ、ポケモンの気持ちを感じることに対して他者よりも慣れている。今回バドレックスの声をしっかりと聞き取ることが出来るのは、その影響があるから、と、カトレアさんは言いたいのだろう。物凄く説得力のある答えに、ユウリもホップも今度こそ納得した。

 

「それよりも……まだお話は終わってないのでしょう?続きを始めましょう……」

『うむ……人の子よ、待たせたのだ』

 

 そんな話をしているうちに、バドレックスの準備も終わったらしい。

 

 さぁ、この報告会ももうちょっとで終わり。最後まで気を引き締めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




愛馬

というわけで、愛馬は2人います(今更)。
どうせならみんな出て欲しいですからね。出し惜しみは無しです。

バドレックスの声

カトレアさんとフリアさんが聞こえる理由は本編の通りです。感想欄でも、早い段階で気づいている方は居ましたね。本当ならもうちょっと早く説明する予定でしたが、このタイミングしかなかったですね。




サトシさんの長い旅が……終わってしまいましたね……
涙を誘うような展開ではなく、『まだまだこれから続くんだよ』と示唆してくれるような、明るい最後なのがとてもらしいなと思いました。それに、あの子も返ってきたみたいでよかったですね。それ以上に、私はあのキャラが喋っているところを久しぶりに見れてびっくりしたんですけどね。




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