【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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183話

「インテレオン!!『アクアブレイク』!!」

「ヘラクロス!!『メガホーン』!!」

 

 舞い上がる雪を突っ切る勢いで走り抜けるインテレオンとヘラクロス。目標はもちろんその先の愛馬たち。インテレオンはレイスポスに、ヘラクロスはブリザポスに向かって技を構えて懐に入り込もうとする。これに対して愛馬たちは、それぞれの特徴を活かして回避していく。具体的には、レイスポスは高いすばやさを利用した華麗なステップで後ろへ下がっていき、耐久が自慢のブリザポスは、身体に氷をまとって防ぎ切っていた。

 

 単純な攻撃はまず当たらない。そう理解したインテレオンとヘラクロスは、一旦ボクたちの下へと帰ってくる。

 

「このまま1対1を2つする?それとも2対2でコンビ組む?」

「1対1を2つ!!んでもって、どっちが先に勝つか競走だ!!遅れたら罰金な!!」

「ほんとに、いつでも変わらないなぁ」

 

 こんな時でも平常運転な彼に呆れを通り越して関心すら生まれてしまう。そんな大物だからこそ、今この場にいるだけでも、ボクの心は落ち着いているのだろう。そこは感謝だ。……絶対に口には出さないけど。

 

「それじゃあそういうことで……そっちは任せたよ」

「おう!!さっさと倒して、お前から罰金貰うぜ!!ヘラクロス!!『インファイト』!!」

「ヘラクロッ!!」

「バシロォース!!」

 

 ジュンの気合いの入った指示に呼応するように吠えたヘラクロスが、両の拳にありったけの力を込めながら突撃。これに対してブリザポスは無数の氷を呼び出し、ヘラクロスへ向けて連続射出。氷の弾幕が雨あられとなってヘラクロスに突っ込んでいく。どれもこれも当たればただでは済まないそんな一撃たちを前にして、しかしヘラクロスは怯まない。全力で拳を振りまくるヘラクロスは、その悉くを拳で薙ぎ倒しながらブリザポスへと猛進していく。

 

 拳と氷の弾ける音が鳴り響き、完全な力と力のぶつかり合いとなっていた。

 

「……向こうは向こうで任せてよさそうだね」

 

 少なくとも現状はイーブンなので、向こうは任せてこちらに集中する。

 

 ボクの前には黒色の愛馬のレイスポスが、ボクの出方を伺うように観察していた。ブリザポスと違って力押しするタイプではなく、バトルスタイルは冷静な子なのだろう。暴れ馬と聞いていたから少し意外だ。けど、それはあくまでバトルスタイルの話であって、レイスポスから感じる迫力はとてつもなく強い。間違いなく、『食事の邪魔をするものは何が何でも始末する』という視線を向けてきている。食べ物の恨みは恐ろしい。けど、それで村を無茶苦茶にされたのではたまったものではない。

 

(試しに、ここで好物を取り出してみる……?)

 

 村から引きはがすために、好物をちらつかせて外に連れていくことで、何とかレイスポスたちの攻撃を村に行かないようにできないかなんて考えてみるけど、よくよく考えたら今にんじんを持っているのはヒカリだし、ここで好物を見せようものならさらに興奮して手が付けられなくなる可能性がある。

 

「やっぱり自分でどうにかしないとダメか……インテレオン!!『ねらいうち』!!」

「レオッ!!」

 

 穏便に済ませる手を考えたけどやっぱりうまくいきそうにないので、思考を戻してまずはインテレオンに攻撃を指示。相手の出方を観察して、レイスポスの戦い方を研究する。

 

「クルォー!!」

 

 インテレオンから放たれた高速の弾丸に対して、バドレックスは同じサイズの黒色の弾丸を発射する。技はシャドーボールだけど、これはさっきまでブリザポスとの打ち合いで行っていた時と比べて球の大きさがかなり小さい。恐らく、ねらいうちと相殺するために素早くわざを放ちたかったため、出力を抑えて、すぐに発射できるように最低限の力で打ったという事なのだろう。その狙い通り、ねらいうちは止められて爆散する。

 

 攻撃を防いだレイスポスが次に行ったことは、小さなシャドーボールを自分の身体の周りに浮遊させること。そのまま自身の周りをゆっくりと周回していく黒色の弾は、まるで自分の身体を自動で守るビットみたいな状態だ。試しにインテレオンが再びねらいうちをするものの、その攻撃は周回する黒い弾に防がれてしまう。

 

「器用な子だね……ほんとに暴れ馬なの……?」

 

 シャドーボールを頻繁に使う事から、もしかしたら使える技の幅はかなり少ない子なのかもしれないけど、その分応用範囲がかなり凄い。まだボクがこのバトルで見たのはこの自衛シャドーボールと、相殺するための威力操作だけだけど、それだけでかなりの正確さなのがよく分かる。きっとまだまだ引き出しはあるとみていいだろう。

 

「攻めは慎重に……けど、大胆に行かないとスペックで負けてるから押し勝てない……なら……インテレオン、『ねらいうち』!!」

 

 3度インテレオンから放たれる水の弾丸は、先と同じようにレイスポスの周りに浮かぶシャドーボールに触れて爆発する。しかし、先程と違うのはねらいうちが爆発したことによって辺りに蒸気が舞い、ちょっとした視界不良を起こしているということ。この時に巻き上がった水をインテレオンが被ることによって、インテレオンの性質による変色が発動し、身体を周囲の背景に溶け込ませる。

 

「今!!」

「……ッ!!」

 

 その隙に後ろに回り込んだインテレオンに指示を出し、死角からアクアブレイクを叩き込もうとする。

 

「クロースッ!!」

「レオッ!?」

「インテレオン!?」

 

 しかし、そんな行動なんてお見通しと言わんばかりに、後ろ足によるにどげりを叩きつけるようにして反撃を行ってきた。咄嗟にガードをしたものの、少なくないダメージを受けたインテレオンはたまらずボクの所まで戻ってくる。

 

「……そうだった。レイスポスは目が見えていない可能性が高いから、そうなると目くらましなんて意味が無いんだ……」

 

 長い前髪に隠れた右目とずっと閉じられている左目。そこからもしやとは思っていたけど、やっぱりレイスポスは周りからの情報収集に視覚を使っていない可能性が高いということがわかった。おそらく、聴覚か嗅覚……にんじんの件を鑑みるに、嗅覚の方が可能性は高いけど、その辺が発達しているということだろう。これだとインテレオンの強みは生かしづらい。

 

(こうなってくると、ポケモンの交代も考慮した方がいいかも……?)

 

 本当だったら正々堂々と真正面から1対1で戦うべき所なんだろうけど、正直言ってそんなことを言ってられる状況ではないので、このあたりは臨機応変に動くとしよう。とりあえず、レイスポスに関する情報がもっと欲しいので、こちらからどんどん仕掛けていくこととする。

 

「インテレオン!!『アクアブレイク』!!」

「レオッ!!」

 

 両手両足。それに加えて尻尾に水を纏ったインテレオンが、レイスポスに向かって直進。まずは右手を横に薙いで相手の出方をうかがう。この技に対して、レイスポスはバックステップで回避すると同時に、周囲に浮かぶシャドーボールを5つ、インテレオンに向かって飛ばしてくる。この黒球に対して、まず最初にねらいうちを2回行って2つを弾く。同時にその場で1回転し、アクアブレイクを纏った尻尾を右から左に薙ぐことでまた2つ弾き、最後の1個は右足のかかと落としで粉砕。

 

「追って!!」

「レオッ!!」

 

 今の攻防でレイスポスの周りに合ったシャドーボールが全部消えたので、更に攻めるべく前に進むインテレオン。素早さに自身のあるインテレオンなら、この隙に間違いなく急接近できるはずだ。……と思っていたんだけど……

 

「クロッ!!」

「レオ……ッ!」

「追いつけない……インテレオンよりも速い……!!」

 

 シャラシャラと軽やかな音を立てながら動き回るレイスポスは、その音から想像できない素早さをもって動き回っており、その速度はインテレオンよりもわずかに上といった形だ。このまま長時間続ければいつかは追いつけるような気がするけど、そのころには攻撃を芯に叩き込むスタミナが残っていないだろう。

 

「やっぱり手数増やした方がいいかも……ブラッキー!!」

「ブラッ!!」

 

 インテレオンがレイスポスを追いかけているうちに新しくブラッキーを呼び出す。ここから援護しながら、つきのひかりによる回復も行うことで、レイスポスとの差を埋めていく算段だ。

 

「ブラッキー!『あくのはどう』!!」

「ブラッ!!」

 

 インテレオンのアクアブレイクをバックステップでちょうど回避しているところに、その着地地点に当たるようにブラッキーから攻撃が飛んでくる。

 

「クロッ!!」

 

 そんなあくのはどうに対してレイスポスが行ったのはスピードスター。相変わらず素早く、あくのはどうを正確に打ち抜く精密動作性を披露してくれはするものの、シャドーボールと比べて威力がかなり劣るため、完全に相殺しきることが出来ずに余波を受ける。

 

「クロッ!?」

「インテレオン!!」

「レオッ!!」

 

 素早さと火力に身体能力を注ぎ込んでいるためか、見た目通り体力はあまり多い方ではないらしく、余波だけで少したたらを踏むレイスポスを見かけたボクは、すぐさまインテレオンで追撃。アクアブレイクを上段に構え、縦に真っ二つにするべく右腕を振り下ろす。

 

「クロースッ!!」

 

 これに対し回避は不可能と判断したレイスポスは、口元にシャドーボールを展開。それを咥えたまま、逆に前に突進をし、インテレオンの右手首に向かってぶつかってきた。

 

「レオッ!?」

「クロ……ッ!」

 

 インテレオンの手首とぶつかると同時にシャドーボールが爆発。これによって、インテレオンが爆風に煽られて無理やり後ろに下げられた。勿論、自身の口元で爆発したため、レイスポス自身にもダメージが入っているから、こちらとしてはダメージをしっかり与えることには成功出来てはいるんだけど……

 

「クロース……」

「力づくだね……ほんとに迷いがない……」

 

 あの手この手でこちらの勢いを無理やりそいでくるその姿は、与えているダメージよりもおおきな精神的ダメージをこちらが負うことになってしまっている。インテレオンも、まさかの方法で防がれてしまったことに、身体へのダメージは勿論のこと、少なくない衝撃を受けてしまい、思わず足を止めてしまう。当然それは相手に態勢を立て直すには十分な時間を与えてしまう事となる。

 

「バクロォースッ!!」

 

 レイスポスが嘶くと同時に、再びレイスポスの周りにシャドーボールが展開。ビットのように周りを飛び回るそれらは、先ほどよりも数が多く、一つ一つから感じる圧も強くなっていることから、込められている威力も相当なものだということが予想される。

 

(あれだけの力をあそこまで圧縮できるんだ……)

 

 ふと視線を横に向ければ、ブリザポスも同じように身体の周りに氷柱を出現させ、ジュンのヘラクロスとカビゴンを前に堂々と佇んでいた。

 

(ほんと……バドレックスはよく1人でこの2人を沈めたよね……)

 

 本人に聞いたところ、バドレックスのタイプはくさ、エスパータイプとのこと。つまり、レイスポスからもブリザポスからも弱点を突かれてしまうタイプだ。真正面から戦えば当然不利となる。それなのに昔はしっかりと抑え、あまつさえ自身の仲間として引き入れたのだから、彼の手腕には感心させられる。同時に、ここに来る前に対策の1つや2つでも聴いておくんだったとちょっと後悔。

 

(けど、そんなことする暇があるのなら、前を見なきゃね!!)

 

 ないものねだりはしても意味がない。今ある手札で、なんとしてでもフリーズ村を守るために頑張るしかない。幸いあちらはまだ本調子ではない。その他いろいろ考えても、勝率はこちらの方が高いはずだ。

 

「ブラッキー!『でんこうせっか』!!」

「ブラッ!!」

 

 次はでんこうせっかを使えるブラッキーに走ってもらい、レイスポスの動きを乱していく。ブラッキーなら耐久も高いし、あくタイプということもあってシャドーボールを比較的軽傷に抑えられるからだ。あくのはどうを止めたのがスピードスターだったこともあって、おそらく使える技の数が少ない。もしくは、使える技のタイプが多くないかのどちらかなのだろう。ブラッキーがいればとりあえずの耐久は出来そうだ。ブラッキーもそのことに気づいたみたいで、でんこうせっかで接近している間も、レイスポスは回避しながらシャドーボールを打っているけど、それに臆することなく、若干強引に近づいていた。

 

「インテレオンは『ねらいうち』!!」

 

 ブラッキーの無茶な攻撃は、そのままレイスポスの隙へとつながり、明確な狙撃チャンスとなる。最も、この攻撃もレイスポスの周りに飛ぶ、シャドーボールのビットが防いでしまうため、レイスポスにダメージを与えることなく爆発して終わってしまうんだけど……

 

「今だよブラッキー!!『イカサマ』!!」

「ブラッ!!」

「クロ……ッ!?」

 

 シャドーボールが爆発するということは、付近で大きな音がするという事だ。視覚を持っておらず、他の感覚に頼っているであろうレイスポスにとって、この大きな音は少なくない弊害になるはず。その瞬間こそが、足の速いレイスポスが確実に止まり、且つこちらが一番大きな攻撃を叩き込むことが出来るタイミングだ。

 

 相手の攻撃を利用したブラッキーの強烈なタックルがレイスポスに突き刺さる。これによって、大きなダメージを負ったレイスポスは、たたらを踏みながらも後ろに下がるべくバックステップ。一度ブラッキーから距離を取って、またシャドーボールを展開するつもりなんだろうけど、そこでレイスポスにとって予想外のことが起きる。

 

「クロォース……」

「シロォース……」

「おし!!あとちょっとだぜ!!フリア!!そっちも順調みたいだな!!」

「ジュンこそ!!このまま抑え込むよ!!」

「おう!!」

 

 それは自分と背中合わせになる形で追い詰められていたもう1人の愛馬、ブリザポスの存在だ。

 

 自分の背中にぴったりくっつくように立っている対となるものの存在にちょっと衝撃を受けたみたいで、同時に自らの不利を悟ったレイスポスは小さく嘶く。

 

「確かに器用だし、『シャドーボール』の出力は高い」

「こっちも、なかなかの耐久力だし、一発一発の攻撃は重かったぜ」

「けど、やっぱりバドレックスと同じで力を削られてるせいか、まだ本調子じゃないよね?」

「いくら伝説の愛馬と言えども、本調子じゃないならオレたちの敵じゃないな!!」

 

 1対1だとどうなるかはわからないけど、今は公式対戦ではない。なら、こちらはいくらでもポケモンは繰り出せるし、交代もし放題だ。そこまでこちらにいい条件がそろっているのであればさすがに負けることはない。住民をみんなが守ってくれているおかげで、周りも気にしなくていいしね。カトレアさんたちが手を出せなかったのは、あくまでも住民の守護を優先していたからだし。

 

 さて、とにもかくにも、もう少しで彼らの暴走を抑えることが出来る。このままジュンと挟み込んでしまえば、数分と経たずに解決するだろう。

 

 けど、ボクもジュンも、決して油断はしない。

 

「バシロォース!!」

「バクロォース!!」

 

 なぜなら、野生のポケモンが一番怖いのは追い詰められたときだから。

 

「来るよ、ジュン!!」

「わかってるぜ!!お前こそしくじるなよ!!フリア!!」

 

 ここからが本番。自然とそのことを悟ったボクたちは、お互いに声をかけ合うことで気合いを入れ、目の前の愛馬たちに注目する。

 

 一方で、愛馬たちは声を上げながら、レイスポスは黒色のオーラを、ブリザポスは水色のオーラを解き放ち、それぞれの得意技を構え出す。

 

「バシロォースッ!!」

 

 ブリザポスは空気を凍らせ、空中の至る所に氷柱よりもはるかに大きい氷塊を生み出し始める。

 

「バクロォースッ!!」

 

 レイスポスは空気を暗くし、自身の蹄鉄に圧縮したシャドーボールを生成。もちろん身体の周りにもさらにシャドーボールのビットを展開し始める。

 

 おそらく、現状両者が出せる全力の攻撃。きっと受け止めるだけでかなり苦労するだろうけど、まだ受け止めきることの出来る範囲ではあるはずだ。

 

(村を守るためにも……引かない!!)

 

 拳を握りしめ、来るべき一撃に備えるボクとジュン。

 

 合図はブリザポスが出現させた氷塊たち。それらが、ぴしりと音を立てた瞬間、愛馬たちが動き出した。

 

「クロースッ!!」

「シロースッ!!」

 

 ブリザポスは空中に現れた氷を足場にし、レイスポスは足の裏のシャドーボールを爆発させることで空中に舞い上がっていく。

 

「インテレオンは『ねらいうち』!!ブラッキーは『あくのはどう』!!」

「ヘラクロス!!『ロックブラスト』!!」

 

 勿論この行動をただ見送るボクたちではない。空中で何をするのかわからないけど、放置するのがよくないのはわかる。だからこそ、何かをされる前に撃ち落とすべく、インテレオン、ブラッキー、ヘラクロスによる同時攻撃で攻めていく。

 

「バシロォース!!」

 

 しかし、その攻撃は空中に突如現れた氷によってせき止められてしまう。

 

「ちょ!?その氷はまずくないか!?」

「良いから溶かすよ!!お願いゴウカザル!!」

「ギャロップ!!お前も頼むぞ!!」

 

 更に、ボクたちの攻撃を止めたことによって砕けた氷たちがこちらに降り注いできた。このままではボクたちにこの氷の礫が降ってきてしまう。それを止めるべく、ボクとジュンで今度はほのおタイプのポケモンを呼ぶ。

 

「「『フレアドライブ』!!」」

「ガウッキィ!!」

「ロォー!!」

 

 呼び出した2人にお願いするのは、圧倒的な火力で氷を溶かしてしまう事。火炎の塊と化したゴウカザルとギャロップが、ものすごい勢いで氷の雨に激突。同時にさらに火力を上げることで、落ちて来る氷全てを溶かしきる。これで氷に関しては大丈夫だろう。けど、問題はここからだ。

 

「バシロォース!!」

「バクロォース!!」

 

 今の氷は愛馬たちの攻撃の前準備。これからあの2人が行う攻撃こそが本番だ。その証拠に、叫び声と共に展開された攻撃は、2人の技の駆け合わせである、黒いオーラを纏った氷の塊だった。その攻撃が、重力に従ってゆっくりとこちらに降り注いでくる。

 

「正真正銘、本気の一撃かな」

「んな攻撃なんて返してやるぜ!!フリア!!」

「わかってるよ!!みんなお願い!!」

「全力で打ち消すぜ!!」

 

 それに対して、こちらもいま場に出しているポケモンたち全員で一斉に攻撃を行う。

 

 インテレオンはねらいうち。ブラッキーはあくのはどう。ゴウカザルはフレアドライブ。ヘラクロスはインファイト。カビゴンはギガインパクト。ギャロップはフレアドライブ。

 

 それぞれが行うことの出来る最高火力をもって、愛馬たちの合体技とぶつかり合う。その破壊力はまるで音が一瞬消えたかのような現象を起こし、同時に発生する爆風によって目を開けられなくなってしまい、場の状況を確認できなくなってしまう。

 

「ぐぅっ……わかっていたけど……凄い破壊力……」

 

 思わず声を出して感想を言うけど、この声すらもかき消される風圧に顔を覆う。そのまま数十秒経過し、ようやく前を確認できるようになったので前を確認すると、すでにその場には愛馬たちはおらず、あたりには戦いの余波で少し荒れてしまっていた村だけが残っていた。

 

「……逃げた……のかな?」

「くっそ~……倒したかったぞ……」

「もしかしたら、今の技……」

「ん?何か気づいたのか?」

「……ううん、何でもないよ」

「……?なんだってんだ?」

 

 突然姿を消した愛馬たち。そして、今の技とこの場の状況を見て思ったのが、今の技がこの場所から逃げるためのブラフだった可能性だ。

 

 暴れ馬だけど知能がないわけではなく、むしろ聡い方である彼らは、間違いなくこのままでは負けることを悟っているはずだ。なら逃げることに思考を回していてもおかしくはない。ボク自身も、いくら伝説と言えど本調子ではない彼らにはまだ勝てるくらいの力はあると思っているので、その結論に辿り着くのも理解はできるし、この状況も納得できる。そのことに気づいたのだけど、これをジュンに言うとまた調子に乗る可能性があるので、あえて黙っておく。不満げな声をあげているけど、調子に乗ったジュンはいろいろとめんどくさいから許して欲しい。

 

「それよりも、まずは村のことをどうにかしよう」

「……なんとなーくはぐらかされてるが……まぁ、その通りだから今回は見逃してやるぜ。みんなサンキューな」

 

 愛馬たちがいなくなったことで避難をする必要がなくなったため、村人やコクランさんたちの言葉でにわかに騒がしくなっていく村の様子。これから村人への事情説明やら村の修理やらでもっと騒がしく、そして忙しくなっていくだろう。それを予見したジュンが、ボクの言葉に渋々納得しながら、エンペルトたちをボールに戻してみんなの下へと走っていく。

 

「ボクも速くみんなに合流しないとね……ありがと。戻って休んでね」

 

 ボクも遅れるわけにはいかないので、今回活躍してくれたヨノワールたちにお礼を言い、ボールに戻してから後を追おうとする。

 

「バドレックスも到着してるみたいだし、早速……あれ?」

 

 みんなの近くの木陰にバドレックスと、寝ぼけ眼を擦るピオニーさんの姿も確認できたので、その場所に走っていこうとしたときに、ふと視界の端で何かが光る。

 

「なんだろ……これ……?」

 

 ボクの近くに落ちていた光るもの。それは、なにか細長くて、繊維状の物の束で……

 

「お~いフリア~!速く来ないと罰金だぞ~!!」

「すぐ行くよ~!!」

 

 これが何なのか確かめようとしたところでジュンから声がかかったので、拾ったものを慌ててバッグにしまって走り出す。

 

(思わず拾っちゃったけど……よかったのかなぁ?)

 

 頭の中で、拾ったもののことを考えながら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シャドーボール つららおとし

どちらもどこかで見た使い方をしてますね。ちなに見流石に威力は落ちてますよ。あれはあの状態で初めて完成するあれなので。……あればっかり言ってますね。つまりあれです。

バドレックス

本当によく抑えましたよね。くさ、エスパーなんて全身弱点みたいなものですから、相当苦労したと思います。




振り返るとこの作品の文字数凄いですね。ポケモン作品を文字数順で検索すると一番上に来ているような気もします。……長くなったなぁ。




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