【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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188話

「畳み掛けるのである!!」

「バシロォース!!」

「跳んで逃げるよ!!」

 

 仕切り直からまず動いたのはバドレックス。再び地面を踏み鳴らしていくブリザポスの姿を見たボクたちは、氷に閉じ込められないように空中に飛び上がり、地面から生えてきた氷を避けていく。

 

「レイスポス!!」

「バクロォース!!」

 

 飛び上がったみんなを見たバドレックスは、すかさずレイスポスに指示を出すと、空中にいるみんなに向かってシャドーボールをばら撒き始める。当然空中ではできる動きに制限があるため、避けることが出来ないほとんどのポケモンは技をぶつけることで何とか相殺していく。

 

「アーマーガア!!行け!!」

「エテボース!!構えなさい!!」

 

 そんな中でも、空中で動けるアーマーガアと、タイプ相性上そもそも攻撃を受けないエテボースはそのままレイスポスへと突っ込みながら技を構える。

 

「させぬ!」

 

 そんな両者へ、今度はバドレックスから緑色のエネルギー弾……おそらく、エナジーボールと思われる攻撃が飛んでいく。

 

「『はがねのつばさ』!!」

 

 自分たちの動きを邪魔してきたその球は、しかしアーマーガアが鋼鉄の翼で野球よろしく打ち返すことで、むしろこちらの攻撃へと利用させてもらう。この反撃に、バドレックスはすかさずブリザポスに指示を出して氷の盾を作ることで対処されてしまうけど、おかげでレイスポスを守る行動は少しの間取れなくなった。

 

「今よエテボース!!『アイアンテール』!!」

「エポッ!!」

 

 ようやく作り上げられたレイスポスとのタイマン状態。短い時間だけど、このチャンスを生かすために、エテボースが尻尾を鈍色に光らせながら乱舞していく。

 

「クロォースッ!!」

 

 だけどレイスポスだって伝説のポケモン。タイマンが弱い訳では無い。身体の周りに浮かせたシャドーボールを巧みに操り、時には前見せたように、蹄や口元に構えた状態でエテボースの尻尾にぶつけ、攻撃を逸らしていく。現に今も、十字を刻むように振るわれたエテボースの尻尾に対して、その中心点にシャドーボールを放つことで攻撃を弾き、生まれた隙をついてレイスポスが180°向きを反転。後ろ足を振り上げてにどげりを行い、エテボースに叩きつける。

 

「威力は無いけど、動きが上手い……やるわね……」

 

 特殊主体のレイスポスのにどげりはあくまでも近接を拒否するための技だから、こうかばつぐんだったとしても痛くは無いため、エテボースは特に大きなダメージを負った様子は無い。しかし、距離は取られてしまった。

 

「シロォースッ!!」

「またっ!?」

 

 距離がはなれ、ゆっくりとエテボースが着地したと同時に、目の前に入れ替わって現れた()()()()()がいななき、つららを飛ばしてくる。

 

「タイレーツ!!」

「ズルズキン!!」

 

 そのつららに対して、エテボースを守るようにタイレーツとズルズキンが前に出る。そして、そんな攻防戦を繰り広げているところに、レイスポスに乗ったバドレックスが攻撃を加え、そこにエルレイドとギャロップも加わって、再び6対3の攻防戦へと舞台が移っていった。

 

「くっそ~……いいところまでは詰められても、最後の最後でいつも瞬間移動されるぞ……」

「レイスポスとブリザポスが入れ替わったり、バドレックスが乗っている場所が変わったり……うが~!!目がぐるぐるする!!」

 

 此方の攻撃が届かない現状をじれったく感じたホップとジュンが、声を荒げながら戦況を見つめている。いつもならこの行動を収めようとする女性陣も今回ばかりは焦りが前に出ているのか、少し険しい顔を浮かべていた。

 

 このままでは、翻弄されたまま終わってしまう。現に、今もレイスポスに乗ったバドレックスを攻撃しようと、アーマーガアとズルズキン、エテボースが前に出たところで、レイスポスがその場に残ったままバドレックスがブリザポスの上に瞬間移動をし、ブリザードランスを構えているところだった。この攻撃に対してはエルレイドとギャロップが、それぞれせいなるつるぎとフレアドライブを行うことで牽制をし、引かせることで事なきを得たけど、このままではいつこちらのリズムが崩れてもおかしくはない。

 

(ブリザポスとレイスポスの位置が入れ替わったり、バドレックスが2人の愛馬の上を瞬間移動したりする……でもテレポートではない……う~ん……心当たり自体は1つだけ確かにある……けど、それだとバドレックスだけが瞬間移動している説明がつかない……)

 

 そんな中でも……いや、そんな中だからこそ、ボクが落ち着きを失ったら一瞬で負けてしまうため、ボクは周りをなだめるよりもいち早くバドレックスの動きを見極めるためにとにかく観察をしていた。

 

 答えの予想自体はおおよそのものがある。けど確信がない。だからそのピースを埋めるためにも、とにかくじっと見つめていく。

 

「エテボース!!『ダブルアタック』!!」

「アーマーガア!!『ドリルくちばし』!!」

「ズルズキン!!『かみくだく』!!」

「ムゥ!!」

 

 そんなことを考えている間にも、レイスポスの上に乗っているバドレックスを狙って攻撃していたら、バドレックスが移動してブリザポスの上に移っており、3人の攻撃がからぶっていた。

 

「また!!」

「あんな風に好き勝手飛ばれたら無理だぞ!?」

「でも、バドレックスを止めない限りあの移動法はなくならか!!」

 

 その様子にまた声をあげるヒカリとホップとマリィ。確かにこうもバドレックスに自在に逃げられたら、彼に攻撃するなんて出来ない。このテレポートじみた事をしているのは確かにバドレックスだ。けど、肝心の彼を殴ろうとすると逃げられてしまうから止めることが出来ない。じゃあバトレックスを無視するのかと言われると、愛馬の方もテレポートじみた行動で逃げられるからやっぱり攻撃できない。

 

 敵は攻撃できるのに、こちらは攻撃できない。そんな一方的な関係を早くどうにかしないと、本当に何も出来ずに終わってしまう。けど、そんな攻防の中にも気になる点はいくつかある。

 

(やっぱり、バドレックスがテレポートが使えないのは本当だ。豊穣の力が戻ってもそこに変化はない。だって、本当に瞬間移動が自由にできるのなら、レイスポスとブリザポスを入れ替える必要がない)

 

 入れ替わることによって、ブリザポスへのかくとう技をレイスポスで透かすという、凄く映える行動をしているのは確かにわかるんだけど、本当に安パイを取るのなら、そもそもブリザポスだけを攻撃の当たらないところに移動させた方がよっぽど安心だし、ボクならそうする。けど、今までそういった方面でのテレポートは一回も見ていない。必ずレイスポスとブリザポスを入れ替えることでしか使用していない。これに対しての解答は正直思いついてはいる。しかしこのままでは、今度はバドレックスだけがテレポートしている件についての説明が出来ない。だから……

 

(あと一回だけ、観察したい)

 

「ジュン、少し付き合って」

「フリア、その表情は……いや、分かったぜ!」

 

 ボクの言葉に察してくれたジュンが、さっきまでの苛立ちを募らせた表情から一転させ、嬉しそうな表情を浮かべながらボクの横に並んでくれる。そんなボクとジュンのやり取りをしっかりと横目で確認したヒカリも、ゆっくりとこちらに並んできた。

 

「わたしも何かすることあるかしら?」

「ヒカリ……うん。ヒカリも、ついてきてくれると嬉しい」

「わかったわ」

 

 特に深く聞くこともなく頷いてくれる2人には感謝しかない。このあたりは長く一緒に旅をしてきた経験によるものだ。けど、ユウリたちだってそこは負けていない。

 

「フリア。何か気づいたんだね。……ううん、正確には、何か気になっているものが見つかったってところ?」

「ユウリがすぐに移動するから何事かと思ったと」

「相変わらずユウリは、フリアのことになるとすぐ動くよな!」

「た、たまたまだもん」

「あはは、みんなも手伝ってくれる?」

「「「勿論!!」」」

 

 ガラルを一緒に旅してきた仲間たち。その期間も決して短くはない。ボクが何かを確認したいという狙いにすぐに気づき、それを手伝ってくれようとすぐに駆けよってくれていた。

 

(ほんと、もったいないくらいいい仲間を持ったよ……)

 

 その事に深く心で感謝しながら、みんなにバドレックスに聞こえないように、けど時間はないので手短に、みんなにして欲しいことを伝えていく。

 

「ユウリ、ホップ、マリィはバドレックスの攻撃をとにかく弾いてくれると嬉しい。後はボクとジュン、ヒカリで、詰める」

「「「了解!!」」」

 

 ボクの言葉を聞いた3人が、すぐさま返事をしながら指示を出す。

 

「来るか……よいぞ。受けてたつのである!!」

 

 そんなボクたちの動きを見たバドレックスがレイスポスとブリザポスに指示を出し、シャドーボールとつららおとしの弾幕を放ってくる。

 

「タイレーツ!!『はいすいのじん』!!」

 

 その攻撃の前にまず立ち向かうはタイレーツ。後ろに下がるという道を捨て、自らを追い込むことで能力を底上げしたタイレーツは、飛んでくる攻撃を前に陣形を組み始める。

 

「『インファイト』!!」

「ヘイ!!」

「「「「「ヘイ!!」」」」」

 

 全ての準備を終えたタイレーツは、そのままユウリの指示に従って拳の嵐を放つ。彼ら6人の放つ攻撃は、飛んでくるつららを次々と落としていく。本来なら1人では撃ち落とすことが出来ない氷の雨も、覚悟を決めた6人なら防ぎきれる。ここが正念場だと意気込むタイレーツは、次々と氷を打ち砕いていた。

 

 けど、これだけではシャドーボールは止められない。

 

「ズルズキン!!『かみくだく』!!」

 

 そんなタイレーツの隙間を埋めるのはズルズキン。あくタイプを持っている彼がシャドーボールを受け持ち、攻撃をひたすら耐えていく。しかし、タイレーツと違って能力を強化していないことと、攻撃方法が口という回転率の悪い攻撃であることが、攻撃をさばききることを難しくしていた。

 

「アーマーガア!!『ひかりのかべ』だぞ!!」

 

 そんなズルズキンに手を差し伸べるのがアーマーガア。ひかりのかべを展開することで、特殊攻撃の雨を緩和していく。アストラルビットは防ぐことは出来なくても、シャドーボールならまだ耐えられる。

 

「いいぞアーマーガア!!そのまま意地を見せつけるんだ!!」

「グアァ!!」

 

 それでも少し苦しそうだけど、ホップの激励を受けてアーマーガアは吠えながら力を入れる。

 

 3人による完璧な迎撃態勢は、レイスポスとブリザポスの攻撃をしっかりと受け止めながら前進していく。このままいけば、こちらに対して被害を出すことなく距離を詰めることが出来るだろう。そんな此方有利の展開をバドレックスは当然無視しない。

 

「ムゥ!!」

 

 バドレックスが右手を掲げると同時に放たれるのは緑色のエネルギー弾。真っすぐ放たれたエナジーボールは、ひかりのかべとかみくだくの隙間をすり抜けて、タイレーツに向かって飛んでいく。タイレーツの動きさえ止めてしまえば、こちらの防御が瓦解するからとの考えだろう。その考えは正しいけど、だからこそ、こちらだって対策はする。

 

「エルレイド!!『つじぎり』!!」

「エル!!」

 

 タイレーツを守るように立ちはだかるのはエルレイド。肘の刃で緑の弾を一刀両断した彼は、そのまま攻撃の弾幕の間を縫うようにしてバドレックへとむけて走り出す。

 

「ム、来るか!!」

 

 つららおとしを屈んで避け、さらに低く飛んでくるシャドーボールをスライディングすることで、そのさらに下をくぐって進み続けるエルレイド。このままでは自分の下へエルレイドが走って来るけど、かといってレイスポスとブリザポスの攻撃を外すとタイレーツたちをフリーにしてしまうため、攻撃の矛先を変えることも難しい。そうなれば、バドレックスが自ら相手をするしかない。

 

「ムゥ!!」

「連続で『つじぎり』!!」

「エル!!」

 

 けど、そんなバドレックスから飛んでくるエナジーボールは、黒色のオーラを纏い、特性『きれあじ』によって更に研ぎ澄まされたエルレイドの斬撃にて次々と切り裂かれる。攻撃の悉くを切り伏せたエルレイドは、ついにバドレックスの目前まで辿り着いた。

 

「エルレイド!!」

「エルッ!!」

 

 バドレックスの近くまで来たエルレイドはそこから跳躍。腕にさらに力をこめ、黒色の刃を伸ばしながらとびかかる。エスパータイプを含んでいるバドレックスにとっては、この攻撃は絶対に受けたくないはずだ。ともすれば絶対に逃げようとするはず。

 

(さぁ、逃げてみなよバドレックス!!)

 

 バドレックスが逃げる瞬間を見逃さないためにじっとバドレックスを見つめるボク。そんなボクの目の前で、エルレイドの凶刃が今まさに炸裂しようとするところで、もう何回も見たバドレックスの移動が始まる。

 

「エル……ッ!!」

「いい狙いである」

 

 結果、やはりエルレイドの攻撃は空を切り、ブリザポスの上から移動。バドレックスの声は少し離れたレイスポスの上から聞こえてきていた。

 

「だがいまだにヨの動きについてこれていない様子……このままでは、ヨに一太刀も浴びせることは出来ぬぞ」

 

 レイスポスの上から声を出すバドレックスは、少し自慢げに声をかけて来る。

 

「さて、次はこちらから仕掛けるぞ!!」

 

 レイスポスの上で座り直し、気合を入れなおしたバドレックスは反撃をするべく準備を進める。構えからして、おそらくアストラルビットを行うつもりだろう。敵の攻撃をさばき続けていたタイレーツたちが今この攻撃を受けてしまえばひとたまりもない。この技は何としてでも阻止しなければならない。それを理解しているからこそ、バドレックスも勝負を決めるべく大技を放つ準備をし……

 

「クロッ!?」

「レイスポス!?」

 

 その準備を、レイスポスが態勢を崩してしまうことで無駄にさせられてしまう。

 

「一体何を……」

 

 レイスポスの様子を慌てて確認するバドレックス。すると、レイスポスの身体の一部がやけどを起こしていた。

 

「やけど……ギャロップの攻撃であるな……ということは、ヨがエルレイドに視線を奪われたときに……」

「その通りだよ。でも、それだけじゃない」

 

 原因は簡単で、エルレイドが上に飛んで視線を集めている隙にギャロップが攻撃しただけだ。ただ、この攻撃の仕方に一番大きな工夫がある。

 

「……成程。オヌシ、確かめたな?」

「原理は何となくわかったからね。後はその確認がしたかっただけだから」

 

 その工夫というのはギャロップ、そして実はギャロップと一緒に攻撃を行っていたエテボースの攻撃する相手だ。エルレイドが空中にいる間に、それぞれの愛馬に向かってこの2人は別々に攻撃をしていたんだけど……

 

「よし!!ようやく愛馬たちに攻撃が入ったぜ!!」

「それはそうだけど……でも、なんでブリザポスに攻撃したはずのギャロップの攻撃痕がレイスポスについているの?」

「フリア、どういう事と?」

 

 ユウリが疑問に挙げた通り、ギャロップとエテボースの立ち位置が重要だ。その肝心な立ち位置は、やけどを負っているレイスポスの近くにはなぜかエテボースがおり、ブリザポスの近くにやけどを与えた張本人であるギャロップが存在していた。

 

「順を追って説明するよ。まず、バドレックスが瞬間移動している原理だけど、これは『サイドチェンジ』という技を使っているんだ」

「『サイドチェンジ』……?」

「そ。ボクたちがよく戦うシングルバトルでは使わないから、ユウリたちは馴染みないかもだけどね」

 

 サイドチェンジ。

 

 その名前の通り、自分と味方の位置を入れ替える技。これだけだと一体どう言った用途で使うのか分からないと思うけど、この技の真骨頂はダブルバトルで発揮される。その強さは、ブリザポスへの攻撃をレイスポスで透かされていることからよく分かるだろう。

 

「サイドチェンジ……成程、そういうこと」

「でも、それだとバドレックスだけがテレポートしてる理由が……いや、だからこそギャロップとエテボースなのか!!」

「そう、そこを見極めたかったからジュンたちに頼んだんだ」

 

 技の名前を聞いて納得した声をあげるヒカリと、言葉を整理している間に答えにたどり着いたジュン。一方でユウリたちは未だに頭にはてなを浮かべていたので、そのまま説明を続けていく。

 

「『サイドチェンジ』は本来『自分と味方を入れ替える』技なんだ。だから自分だけをテレポートとか、味方2人だけをテレポートなんて出来ない」

「でも、バドレックスはそれをしてるよ?」

「そこが1つ目のポイント。バドレックスは多分、愛馬に乗っている時は自分を1人のポケモンとしてカウントしてるんじゃないかな?一言で言うなら、『人馬一体』……かな?」

 

 自分と馬を合わせて1つと考えるのなら、バトレックスは自分の半身同士を入れ替えているに過ぎない。言葉にするのなら、『自身の半分であるレイスポス』と『味方であるブリザポス』のチェンジという訳だ。

 

「とりあえず言いたいことは分かったぞ」

「じゃあ次、バドレックスだけがテレポートしているのは?」

「これは簡単。『サイドチェンジ』を連続で行っているだけだよ。これが2つ目のポイントだね」

 

 1つ目の疑問に納得を示すホップに続き、2つ目の疑問を投げて来るマリィに対して、これもすぐに返答をする。

 

 2つ目の謎に関しては、さっき上げた1つ目のポイントの延長だ。ブリザポスとレイスポスを入れ替えた後に、今度は連続で自分を含めて交換している。前の言葉に続けるのなら、『人馬一体のポケモン』と『味方のレイスポス』を入れ替える。この2つの工程を高速で行うことによって、あたかもバドレックスだけがテレポートしたように見えているだけだ。

 

「その証拠に、さっきブリザポスに向けて『フレアドライブ』をしたはずなのにやけどを負っているのはレイスポスでしょ?」

「フリアはこれを確認したかったから、ジュンに声をかけたという訳ね」

「そういう事」

 

 これがレイスポスの近くにエテボースがいて、ブリザポスの横にギャロップがいるのにレイスポスがやけどを負っている理由だ。1回目の入れ替えの時に攻撃が当たって、2回目の入れ替えが行われたからこそ、レイスポスに不思議な傷が出来たというわけだ。恐らく、ブリザポスの方にも目立たないだけで、エテボースが行った何かしらの技の跡が残っているはずだ。

 

 本当はこの件に関しては合っているかの自信がなかった、けど今回ジュンたちが手伝ってくれたからこそ、この確信が持てた。ボクを信じて協力してくれたみんなには本当に感謝だ。

 

「見事である。よくヨのトリックに気づいたのである」

「あれだけ見せられたら流石にね?」

 

 うぬぼれてるわけではないけど、こういった観察力は人よりも秀でているという自覚はあるし、それ相応のプライドとまではいかないけど、思うところはあるわけで。こんなにも目の前で見せられているのに見抜けないのは個人的にはちょっと嫌だったから、こうしてバドレックスから答えを貰えてほっと一安心だ。

 

「原理は分かったよ。でもフリア、じゃあなんでバドレックスはわざわざそこまでしてこんなことを……?」

「そこが3つ目……最後のポイントだよ」

 

 原理とからくりがわかったところで、最後の謎であるこの行動の理由を唱えるユウリ。それに対して、ボクがゆっくりと言葉を返す。

 

「この行動の意味はずばり、弱点を隠すため」

「弱点?」

 

 ユウリの言葉に頷きながら続きを喋る。

 

「こんなふうに翻弄されたら、誰だってこの技の主であるバドレックスを倒さないとって躍起になる。だから攻撃が通らないとわかっていても、バドレックスにどんどん攻撃をしてしまい、そこを逆に突かれてどんどん不利になってしまう。事実、みんなバドレックスへの攻撃が多かったでしょ?」

「確かに……少し多かったと……」

「けど、『サイドチェンジ』という技は入れ替え先の味方が元気でないと発動できない技なんだ。だから、ボクたちが優先して狙わなきゃいけないのは……」

「ブリザポスとレイスポスのどっちか……!!」

「そういう事!!どちらかさえ倒せば、そもそも『サイドチェンジ』自体の発動を防げる!!だから……」

 

 ボクの言葉にマリィとユウリが反応を返しながら、みんなの視線がレイスポスとブリザポスへと向かっていく。

 

 対処法は分かった。これからするべき行動も明確化した。なら、もうさっきみたいに焦る必要なんてない。

 

「……レイスポス、そしてブリザポスよ。気合を入れるぞ。ここからバトルはどんどん厳しくなる」

「クロォース!」

「シロォース!」

 

 ボクたちの視線を受け、バドレックスたちも気合を入れなおす。

 

 ここからはお互いの弱点を攻め合うバトルになる。そうなると被弾は増え、バトルはどんどん激しくなるだろう。

 

「行くよみんな!!」

「「おう!!」」

「「「うん!!」」」

 

「本当に、人の子の成長は侮れないであるな……」

 

 そんな戦況とは裏腹に、バドレックスの少し嬉しそうな、そして穏やかな声が聞こえたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サイドチェンジ

ダブルバトル専用技ですね。剣盾では技レコードでいろんなポケモンが覚えるようになったので、ダブルバトルの読み愛がかなり厄介になっている印象があります。そのせいか、SVでは覚えるポケモンかなり減りましたよね。どくどくに似たような対処を感じます。そういう意味でも、記憶に根付いている人多いですよね。感想欄でも感じっていた方が多かったです。これをしたいがためだけに、愛馬を2人とも出しましたからね。




GWですね。これがずっと続けばいいのにと心から思います。
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