「ギャロップ!!ブリザポスに『フレアドライブ』!!」
「エテボース!!レイスポスに『アイアンテール』!!」
「ムゥ……ブリザポスはエテボースに『つららおとし』、レイスポス、オヌシはギャロップに『シャドーボール』である!!」
ジュンとヒカリの発言を受けて、ギャロップとエテボースがそれぞれ近くにいる愛馬に対して攻撃技を仕掛けていく。それも、例えレイスポスとブリザポスが入れ替えられてもいいように、どちらもブリザポスの弱点をつける技かつ、ゴーストタイプで透かされることの無いタイプで攻めていた。
「相手が『サイドチェンジ』を使っているということは、入れ替えることしかできないという事。ならその対策は凄く単純。レイスポスとブリザポスを両方同時に殴ればいい!!」
「確かに、これなら入れ替えられても両方ダメージも入るもんね」
「それに、かくとう技を使わないことによって入れ替えられても大丈夫なように対策もしてると」
「しかもどっちもこおりタイプのブリザポスの弱点を突けるから、一番の目的の愛馬をどちらか落とすっていうのも達成できるもんな!!」
エテボースとギャロップの攻撃を見ながら、ようやく見えた勝利への道にテンションをあげていくユウリ、マリィ、ホップの3人。勿論この間にも3人とも指示を出しており、エテボースとギャロップを狙った攻撃を次々と落としていく。
「やはり同時攻撃されるとつらいであるな……」
一方で、自身の一番の立ち回りを防がれているバドレックスは、それでもレイスポスの機動力とブリザポスの防御力をうまく活用し、被弾こそ増えているものの、致命傷だけは何とか避けている動きを続けていた。交換ができないと理解し、レイスポスがギャロップに向けて攻撃を、逆にブリザポスはエテボースに向けて、それぞれを狙ってい来る敵とは逆の方を攻撃していた。これならまだフォローしやすいとの考えからの行動だ。しかし、この行動すらもさっき述べたように、ユウリたち3人による手厚いフォローによって防がれていく。その様を見たバドレックスは、今度はエナジーボールを構え、愛馬たちだけでどうにもできない状況を自らの手でこじ開けようと考える。しかし……
「エルレイド!!『サイコカッター』!!」
その緑のエネルギー弾はエルレイドが放つエスパーの刃で切り裂かれた。
「やはりオヌシが手を出すか……」
「バドレックス本人を狙う必要がないんだったら、みんなは愛馬に集中してもらって、ボクが君を止めることに集中した方が絶対に良いからね」
「その判断の速さ、やはり厄介であるな……わかってはいたがさすがである」
ユウリたち3人は防御に専念し、ヒカリとジュンというなんだかんだ昔からかかわりがあるゆえに存在するコンビネーションで愛馬を攻め、司令塔であるバドレックスはボクが抑え込む。現状ボクが思いつく完璧な布陣。このままいけばそう遠くない未来にブリザポスを落とし切ることが出来るはずだ。
問題があるとすれば、バドレックスがこの程度で音を上げるようなポケモンではないと言ったところか。
(伝説の意地……まだ引き出しあるよね?)
バドレックスの次の手を見逃さないために再び観察モードに入るボク。すると、バドレックスの口元がかすかに動いた気がした。
(来る!)
そう確信したと同時に起きるのは、バドレックスの乗るレイスポスとブリザポスのチェンジ。勿論この時もギャロップとエテボースは同時に攻撃していたので、攻撃はしっかりと両者にぶつかる。防御の低いレイスポスにも、弱点を突かれるブリザポスにも決して少なくないダメージが入るけど、問題はその入り方だった。
「おし!!同時にダメージ入ったぜ!!」
「……いや、軽いわ」
「レイスポスは自分から後ろに飛んで衝撃を減らしてるね」
「マジか!?」
ボクとヒカリの言葉にジュンが驚きの声を上げる。
チェンジしたと同時にフレアドライブを受けたレイスポスは、攻撃を受けながら瞬時に自分から後ろに飛ぶことによってダメージを軽減させながら、自身の素早さを生かして一気に距離を取り始める。一方でバドレックスが乗っているブリザポスは、思いっきり踏ん張りながら自身の周りに氷の鎧を生成することによって、こちらもダメージをを最小限に抑えていた。ギャロップよりもエテボースの方が火力が低いことをしっかりと理解している対処法だ。
「ブリザポス!!」
「バシロォース!!」
攻撃を受けきったことを確認したら、今度はバドレックスの指示と同時に、ブリザポスは勢いよく地面を踏みしめる。すると至る所から氷の山が生えだしていき、特に後ろに下がったレイスポスの足元には見上げるほどの巨大な氷山が出来上がり、その頂上にレイスポスが待ち構える状態となる。
「ムゥ!!」
その状態でバドレックスは再びサイドチェンジを発動。ブリザポスに乗ったままのバドレックスは氷山の上に移動し、レイスポスは氷山の下に戻ってきた。
「『サイドチェンジ』を狙われるのであれば、立ち回りを変えるだけである。ゆくぞブリザポス!!」
「バシロォースッ!!」
氷山の上で嘶くブリザポスに続き、バドレックスは右手を上に掲げる。するとそこに氷の塊がどんどん集まっていき、氷の槍が大量に量産される。
「おいおい、まさか……」
「あの威力を連発する気と!?」
その様から予想されるのは、ブリザポスとバドレックスの協力技であるブリザードランス。あの時はジュンとギャロップの活躍によって直撃を受けることがなかったため、どれだけのダメージが出るのかはわからないけど、喰らったらダメージをいまひとつに抑えられるはずのギャロップでさえ致命傷になってしまうということが簡単に予想できる。そんな技を連発して来ようとしている。
いくらこちらにこおりタイプに強いポケモンが多いからと言って、あんなものに長時間さらされたら防御を上げているタイレーツだって耐えきれない。当然ここにいる全員がそのことに気づいており、現にホップとマリィは、若干顔を青ざめながら声を上げる。
「なんとしてでも止めるよ!!エルレイド!!」
「ギャロップ!!」
「タイレーツ!!」
こんな行動を許してしまえば一瞬で蹂躙されてしまう。それを止めるべく急いで氷山を駆け上がるエルレイドたちだけど、当然それをレイスポスが許さない。
「バクロォース!!」
「エルッ!?」
「グルッ!?」
「「「「「「ヘイッ!?」」」」」」
自身の周りにシャドーボールを展開しながら駆け回るレイスポスが、前に出ようとするエルレイドたちを的確に射貫いて行く。とっさの防御行動こそ間に合っているものの、バドレックスとの距離は離され、この隙に近づいたズルズキンはレイスポスがすぐさま飛びのいてしまったため追いかけることが出来ずにいた。
そんなことをしている間にブリザポスの準備が整ってしまう。
「『ブリザードランス』!!」
「来るッ!!」
バドレックスの合図とともに、氷の槍が雨のように降り注ぐ。
「『せいなるつるぎ』!!」
「『インファイト』!!」
「『はがねのつばさ』!!」
「『ドレインパンチ』!!」
「『アイアンテール』!!」
「『フレアドライブ』!!」
バドレックスとブリザポスの共同作業によって飛んでくる暴力の嵐。それに対して、こちらもこおりタイプに対して持ちうる最大火力をもって対抗する。が、それでも押し切られてしまいそうになってしまう程相手の火力が高すぎる。
「うそだろ!?こっち全員弱点ついてるんだぞ!?」
「いくらなんでも火力が高すぎるぞ!!」
思わず声を上げるジュンとホップ。メロンさんとの闘いの時も思ったけど、やはりこおりタイプは攻撃面においてはかなりの強さを誇ると言ったところか。ここにいるメンバーも防御面においてはギャロップ以外は普通にダメージが通ってしまう。更にこの攻撃の辛い所は、レイスポスが自由に動けてしまう点。
「バクロォース!!」
降りそそぐ氷の槍の中、黒い影が間をすり抜けながら球を飛ばしてくる。しかも、飛んでくるシャドーボール1つ1つも、さっきより威力が高くなっている。
(こっちの弱点……っていうよりも、向こうの強みである伝説としての火力の高さを押し付けてきた!!)
此方が相手の弱点を攻めるのなら、あちらは自身のスペックを押し付けて来る。実際に、伝説のポケモンと普通のポケモンではそもそもの差があるため、純粋な力押しが一番つらい。それがわかっているからこそのこの行動。素早さの低いブリザポスが固定砲台役を担うことで、その作戦はより凶悪さを増していた。
「こ、これどうするんだ!?どうにかしてブリザポスを止めないとどうもできないぞ!?」
「いくら何でもむちゃくちゃしすぎよ!!」
「わかってはいるけど……」
ホップとヒカリの言葉に返答しようも言葉が出てこないボク。いつもなら何かしらの作戦をすぐ思いつくんだけど、こうも力押しされると策がどうのこうの言っている暇が……
「……いや、行けるかも!」
「ほんとか!?」
「これならいけると思う!!ヒカリ!!またお願いしていい?」
「任せなさい!!」
ジュンの言葉に頷きながらヒカリに作戦の要を託して、ボクはすぐさまみんなにお願いをする。この作戦においてまず重要なのは、何よりもバドレックスに気づかれないようにすること。そのためにも、まずはレイスポスに気づかれないように常に何かしらの破壊音を鳴らすこと。そのためにも、ちょっとバドレックスには申し訳ないけど、この建物の中で暴れることを許してほしい。
「タイレーツ!!『インファイト』!!」
「ギャロップ!!『ドリルライナー』!!」
地面に向かって攻撃を放つ2人のポケモン。彼らが地面に攻撃することによって、雪と土埃が同時に舞い、一瞬視界が埋まっていく。
「ふむ……その程度の目隠し、ヨには通じないのである」
しかしこの土煙たちすべてを見下ろしているバドレックスは、そんなもの気にせずに土煙全体に降り注ぐように氷の槍を飛ばしてくる。
「エルレイド!!」
「タイレーツ!!」
その様子を見たボクとユウリは、それぞれ右と左から逃げるようにエルレイドたちに指示を出し、土煙の外へ飛び出す。
「『サイコカッター』!!」
「『メガホーン』!!」
右にエルレイド。左にタイレーツの布陣から、両者が氷山の頂上にいるバドレックスに向かって技を放ちながら前進していく。
「左右から挟撃……ヨの意識を分散させるためであるか?残念ながら、ここから見下ろしている分には、視線は逸れないので無駄である」
しかし、宙に浮かぶ氷の槍にはまだまだストックがある。そのため真ん中に放っている槍の一部分をそれぞれに向けて放つだけで、左右からの進軍はいとも簡単に止められてしまう。今も、エルレイドがせいなるつるぎで、そしてタイレーツがインファイトでブリザードランスを追い払いながら前進するものの、氷の量と威力が規格外すぎて前に出られない。
「ズルズキン!!」
「ギャロップ!!」
しかし左右に攻撃が行くということは真正面の手が薄くなるという事。この間に土煙の中でまだ耐えていたズルズキンとギャロップが走り出す。
「『ドレインパンチ』!!」
「『フレアドライブ』!!」
技を構えながら真正面から猛進していく2人は、けど降りそそいだ氷の槍がいくつか当たっているみたいで、若干痛みに顔をゆがめながら走り出していた。そのせいか、足取りも少し遅く、力もあまり入ってないように見受けられる。
「レイスポス!!」
「クロォース!!」
そうなってしまえば、もはやバドレックスが前に行くまでもなく、レイスポスが連続で放ってくるシャドーボールによって足を止められてしまう。
「レイスポスが速すぎて進めなかと……!」
「くそっ!」
「まずは2人からである」
そんな2人に向けて、とどめを刺すべく右手に今までで一番大きな槍を構えるバドレックス。彼はそのまま、その槍と思いっきりズルズキンたちに向けて投擲して……
「アーマーガア!!『はがねのつばさ』だ!!」
すんでのところで間に割り込んだアーマーガアが翼を打ち付けて、その軌道を何とか逸らすことに成功する。
「ガァ……ッ!!」
「アーマーガア!?」
が、この行動をするためにかなり無茶したらしく、ダメージこそ何とか抑えてはいるものの、バランスを崩してそのまま地面に落ちてしまう。そんなアーマーガアに追撃するべく走り出すレイスポスと、それを守るズルズキンたちの構図が生まれ、氷山のふもとで3人のポケモンによる大立ち回りが始まる。しかし、アーマーガアを守りながらの戦いを伝説相手にするのは厳しく、徐々に押されてしまっていた。
「エル……ッ!」
「ヘイ……ッ!」
一方で氷山の頂上の方でも動きが起き始める。
降りそそぐブリザードランスに何とか食らいついて行くエルレイドとタイレーツは、身体に傷を増やしながらも確実に、一歩ずつバドレックスに近づいていた。
「この攻撃に喰らいつくか……見事!!」
土煙が晴れ、レイスポスたちとのバトルを見届けたバドレックスは、そのまま視線をエルレイドたちに戻す。
「だが、そろそろ退場してもらおう」
ここまで自分の攻撃をさばいてきたことを素直に賞賛したバドレックスは、エルレイドたちを称えたうえでその視線を少し鋭くさせ、身体をほんのりと青色に染めていく。
(また何か派手なことを……?)
そう感じたボクとユウリはバドレックスとエルレイドたちををじっと見つめ、何があっても見逃さないという意思を表す。しかし、バドレックスが行った行動はとてつもなくシンプルで、だからこそ大技を警戒していたボクたちにとっては意表を突く行動だった。
それは今まさに、エルレイドとタイレーツが真正面から飛んできた氷の槍を壊そうとしたときの出来事だった。
「ムッ!」
バドレックスが手を少しだけ揺らすと、それに合わせて氷の槍の軌道が少しだけ変化する。その差を数字にすればほんの数ミリほど。しかし、今この場においてその数ミリは致命的な誤差となる。現にそのわずかなずれによって、本来なら防ぐことの出来るはずだった氷の槍は、エルレイドたちの攻撃をすり抜けて2人の身体に突き刺さる。
「エルッ!?」
「ヘイッ!?」
「エルレイド!?」
「タイレーツ!!」
何とか急所こそ外してはいるものの、決して少なくないダメージを負ってしまったエルレイドたちは氷山を転がるように下って行ってしまう。そして同時に繰り広げられていた麓でのバトルも、ここまでのダメージによって態勢を崩していたズルズキンとギャロップがレイスポスの前で膝をつきかけている状態だった。
バドレックスはそんな状況を確認し終えると同時に、再び上空に氷の槍を作り上げる。
「現状の本気のヨを前にここまで戦えただけでも上々……誇るのである。そんなオヌシらに敬意をこめ、この一撃にてこの戦いの幕を下ろそう」
右手を上にあげながらそう告げるバドレックスは、この一撃で決めることを宣言。そんな話をしている間にも次々と氷の槍が錬成され、いよいよもって終わりが見え始めて来る。そしてその槍の数が10を超えたところで、その攻撃を放とうとし……
「……なぜ、1人おらぬのだ?」
ここまで来てようやくバドレックスがこの場の違和感に気づく。
氷山の周りを見ても、麓を見ても、そしてさっきアーマーガアが空から来たことを思い出して空を見上げても、バドレックスの視界にはとあるポケモンが見当たらない。
「一体どこへ……」
「エルレイド!!」
バドレックスの視線が宙をさまよい、ほんの少しの戸惑いが見えた瞬間にサイコカッターを放つ。バドレックスの隙をついた攻撃だけど、それにしては些か距離があいていたため、攻撃が当たる前に反応し切ったバドレックスのサイコキネシスで止められてしまう。けど、サイコキネシスを行ったこの時間こそが、ボクの一番欲しかった時間だ。
「ヒカリ!!」
「わかってるわよ!エテボース!!『アイアンテール』!!」
サイコキネシスとサイコカッターがぶつかると同時に響くのは氷が割れる音。その音の正体は、バドレックスの足跡から響き、そこからエテボースが尻尾を鈍色に光らせながら飛び出してくる。その際繰り出された尻尾によるアッパーはブリザポスの身体にしっかりと直撃し、大きく態勢を崩すことに成功していた。
「氷山の中を掘ったのであるか!?」
「わたしのエテボースは器用なのよ。悪いけど、氷を削ることはなれてるわよ?」
バドレックスの驚愕に対して嬉しそうな顔を浮かべるヒカリ。彼女の言う通り、コンテストでこういうパフォーマンスをよくする彼女はこの手の動きを得意としている。現に先日のヨロイ島でズガドーンたちを退けた時にも氷を削っていたしね。だからこそ、今回の奇襲役を彼女に任せたわけだ。
この奇襲を成功させるためにボクたちはひたすらバドレックスたちの視線をこちらに集め続けた。そして今、その策は成り、ブリザポスに致命打を与えることが出来る瞬間を得た。
「『ダブルアタック』!!」
この機を逃さず、確実にブリザポスを仕留めるためにエテボースが自身の持つ最高火力をもって、エテボースが攻撃準備に取り掛かる。先ほどの攻防で態勢を崩しているブリザポスはこの技を避けるすべを持たない。だからこの技は確実にブリザポスに叩き込まれる。
「『サイドチェンジ』!!」
しかし、その寸前でブリザポスとバドレックスが麓にいたレイスポスとチェンジをし、ダブルアタックがレイスポスの身体をすり抜ける。
確かに避ける動作をブリザポスがとることは不可能だ。けど、乗っているバドレックスは自由に動ける。その事をすぐに理解した彼による素早い対策。本当にこ判断の速さはそこいらのトレーナーと比べて群を抜くものだ。
けど、予想できなかったわけじゃない。
「みんな!!」
ボクの言葉と共に動き出すのは、麓でレイスポスと戦っていたアーマーガア、ズルズキン、ギャロップの3人。サイドチェンジで自分たちの前にブリザポスが来ることを信じて疑わなかった彼らは、バドレックスがサイドチェンジを行う前から技を構えていた。
「『はがねのつばさ』!!」
「『ドレインパンチ』!!」
「『フレアドライブ』!!」
「なっ!?」
「シロォースッ!?」
入れ替わった瞬間飛んでくる攻撃の嵐。しかもそれらすべてがブリザポスへ致命傷を与える技。これならいっそのこと入れ替わらなかった方がまだましだったと思えるほどだ。そんな攻撃の嵐に巻き込まれ、ブリザポスは自身の身体を維持させられなくなり、倒れ込んでしまう。そしてその背中に乗っていたバドレックスも振り落とされ、少し離れたところに転がっていってしまっていた。
「うぐ……ブ、ブリザポス……」
「クロォースッ!?」
「ッ!?レイスポス!!」
そんなバドレックスがブリザポスの身を案じているときに響くもう1つの鳴き声。それは、今のやり取りに目を奪われているうちに、エルレイド、タイレーツ、エテボースによって攻撃を受けたレイスポスの鳴き声だった。そのことに気づいてバドレックスが顔を向けた時にはもう、攻撃が全て当たり終え、ブリザポス同様ぐったりしているレイスポスの姿が出来上がっていた。
「……ヨが入れ替わりを反射で行うことを利用したのであるな」
「ゴーストタイプで透かせる技を見せれば、それをよけようと無意識化で入れ替わりを行うって思ったからね。たとえ入れ替わりされなくても十分なダメージが入るから読み得だし、やらない手はないでしょ?」
「本当に見事である」
心の底から感嘆したという声を漏らすバドレックス。しかしまだボクたちの警戒は解かれていない。
バドレックスの目はまだ死んでいないし、レイスポスもブリザポスも、まだ完全に戦闘不能にはなっていないから。
「何かされる前に愛馬たちを落とすよ!!」
「させぬ!!」
ボクの言葉に頷いたみんなはレイスポスたちにとどめを刺すべくまた技を構える。当然これを見過ごすバドレックスではなく、すぐさま両手に緑色のエネルギーをためて、それぞれの愛馬の方にひとつずつ球を発射。片方はアーマーガアの方へ行き、もう片方はタイレーツを狙った形となっていた。
「アーマーガア!!弾け!!」
距離的にブリザポスの方が近いため、先に着弾するのはアーマーガアの方。避けることを不可能と判断したアーマーガアは、この攻撃をはがねのつばさにて弾くことで防ぐ。結果、アーマーガアはブリザポスへの攻撃に参加することが出来なかったけど、代わりにギャロップとズルズキンが技を当てることで、ブリザポスの動きは完全に止まった。けど、気になることが一つ。
(今バドレックスが打った技って『エナジーボール』……?でもアーマーガアが弾いたときの技の消え方がちょっと違うような……)
しかしそんな思考を回している間にも弾は飛んでいき、もう1つの球はタイレーツとぶつかる寸前まで進んでいた。
「避けて!」
これに対してタイレーツは回避を選択。避けることで標的を失った緑の弾は、その先にいたレイスポスの方へ飛んでいき……
「ッ!?ユウリ!!その攻撃避けちゃダメ!!落として!!」
「え!?」
そこまで飛んでようやく今の攻撃の正体に気づいたものの、その頃には遅く、緑の球はレイスポスに直撃。緑の球は淡い光を放ちながら、
「な、なに!?レイスポスが回復してる!?」
「やられた……最初からこれが狙いか……!!」
バドレックスが放った技がエナジーボールではなく、味方にあてると攻撃技から回復技に変わるむしタイプの技、
「エルレイド!!引いて!!」
「エテボースも下がって!!」
「タイレーツ!!戻って!!」
その様に嫌な予感が爆発したボクとヒカリはすぐに後退を選択。一瞬遅れてユウリも下がる指示をしたけど、その一瞬の差が命取りとなる。
「クロォース!!」
緑の球を受けたレイスポスは急に立ち上がり、大きく嘶くと同時にシャドーボールを発射。この技が後ろに下がりきるのが遅れたタイレーツに直撃し、タイレーツが目を回しながらユウリの足元まで飛ばされてくる。
「来い!!」
「クロォースッ!!」
それを確認したバドレックスがすぐさま指示。それに応えるように嘶き、身体をほんのりと赤く光らせながらバドレックスの下まで猛進するレイスポス。そのままバドレックスを拾い、背中に乗せたレイスポスはその勢いを殺さぬまま駆け回り、再びシャドーボールを今度はブリザポスと戦っていた3人に向けて連発。これに対して回避を選択するギャロップと、タイプ相性やひかりのかべで受け止めることを選ぶアーマーガアとズルズキンに別れた。が、ここで思わぬ事態が起きる。
「クロォースッ!!」
「ガァッ!?」
「ズキッ!?」
「ズルズキン!?」
「アーマーガア!?……な、なんか火力上がってないか!?」
さっきまでなんとか受け止められていたはずの攻撃を、アーマーガアとズルズキンは受け止めきれずに吹き飛ばされる。そこにさらにシャドーボールが突き刺さることにより、アーマーガアたちもタイレーツと同じく、目を回すこととなる。
「クロォースッ!!」
「ブリザポス、タイレーツ、アーマーガア、ズルズキン……戦闘不能だぜ」
ピオニーさんの判定をかき消すように叫ぶレイスポスの身体が再び赤く光る。
「まだ……粘らせてもらうのである……!!」
王の意地が、追い詰められたバドレックスを奮い立てていく。
かふんだんご
ウルガモス戦でも活躍しましたよね。敵にあてれば攻撃技。味方にあてれば回復する変わった技ですね。こうしてみるとサイドチェンジと言い今回と言い、バドレックスはダブル向けの技をよく覚えますよね。愛馬と共に戦うからでしょうか?
レイスポス
彼の身体が赤く光るのはあれのせいですね。この手の特性は本当に強いと思います。特にダイマックスとの相性がいいので、8世代では本当に猛威を振るっていましたよね。
新アニポケのOPが個人的にかなり好きです。本当にいい曲ですよね。