【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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幕間 背水の陣編
191話


「そんなことが……はぁ、自分の仕事だし、私がやりたいからしていたことだから後悔に関しては一切ないけど、そんな面白い話を聞かされたら、少しもったいないことをしたと言わざるを得ないわね……」

「むしろ村で暴れてたのになんで気づかないのよ……あたくし的にはそこの方が問題よ……」

「仕方ないじゃない。好奇心に勝るものは無いのだもの」

「その好奇心の持ち方が異常なのよ……まぁ……そこまで興味無いと考古学なんてできないんでしょうけど……」

「あら、よくわかっているじゃない。さすが私の親友ね」

「ぅうるさいわね……」

「あ、あはは……えっと、とりあえずボクの説明で良ければちゃんとお話しますので、それで少しでも埋め合わせになれば……」

「っと、そうだったわね。早く続きを聞かせてちょうだい」

 

 バドレックスとのバトルを終え、カンムリ神殿を後にしたボクたちは、そのまま楽しく談笑しながら村への帰路へと着いていた。

 

 総勢人数7人+3人のポケモンというちょっとした大所帯となったこのパーティは、当然の事ながら帰りの時もその賑やかさを失うことは無い。むしろ、さっきまでの戦いを振り返るのが楽しかったのか、厳しい寒さと登山、激しいバトルと、体力をかなり使っているのにも関わらず、行きの時よりもより騒がしくなっている印象さえ受ける。やっぱりそれだけ刺激的なバトルだったということなのだろう。ジュンとホップなんか、明日また直ぐに戦おうとしてるしね。

 

 そんな騒がしさを楽しみながら村に着いたボクたち。さすがにレイスポスとブリザポスは民宿には入れないことと、最近村を襲ったばかりということで、そこを理解している彼らは村に着く直前で別の方向へと走り去っていった。どこに行ったかは分からないけど、キズナのタヅナがある以上バドレックスとのつながりはずっとあるので、もう離れ離れになることは無いはずだ。バドレックスは少し寂しそうな顔をしてたけどね。いつか昔みたいに、この村の中も一緒に歩けたらなと思う。っと、話が脱線したね。

 

 村に帰ってきてボクたちが泊まっている民宿の中に入ると、カトレアさんとコクランさん、そしてシロナさんが出迎えてくれた。久しぶりに姿を見せたシロナさんに驚くボクたち。どうやらひとまずの節目には到達したらしく、ようやく部屋から出てきたみたいだ。驚きの様子を見せるボクたちに、苦笑い半分、申し訳なさ半分と言った表情を浮かべている時に、シロナさんの視界に入ったのがバドレックスだ。

 

 初めて見るポケモンが、しかもボクたちと親しそうにしている上に人の言葉を話すということに一気に興味を引かれたシロナさんに色々質問されたので、それに一つ一つ返答をしていき、それで冒頭のような話になったというわけだ。

 

 シロナさんからの質問は興奮しているとは言っても、ちゃんとしたところでは落ち着いていたのでバドレックスもとても話しやすそうにしていた。バドレックはバドレックスで、以前シロナさんのことを軽く教えていたら少し興味を持ったような反応も示していたし、彼にとってもこの質問の時間は嫌ではなかったのだろう。傍から見ても楽しそうに話をしていた。

 

「聞けば聞くほど面白いわね。これは是非ともレイスポスとブリザポスにも会いたいわね」

「ヨもオヌシとの会話は楽しいのである。レイスポスたちも喜ぶだろう。是非とも合わせてみたいのである」

 

 そんな話も、ひとまずボクたちが戦ったところまで話し終え、満足気な顔を浮かべるシロナさんとバドレックス。シロナさんなら喜んで耳を傾けると思ったけど、やっぱりこの手の話はとても好きみたいだ。こういい反応をしてくれると、話しているボクもちょっと嬉しい。

 

「しかし、ガラル地方に巨人伝説以外にもこんなお話があったなんて……ほんとに面白い地方ね。巨人伝説について色々落ち着いたら、またここに戻ってきてしばらく滞在するのも面白そうね」

「その時はあたくしは付き合わないわよ……」

「さすがにそこまで付き合わせたりはしないわよ。でも、1人は少し大変そうね……その時はまたジュンとヒカリにお願いしようかしら?」

「オレは全然付き合うぜ!」

「わたしは今回みたいなオフシーズンなら……かしら?」

 

 豊穣の伝説と鳥の伝説について聞いたシロナさんはもうすっかりガラル地方の……というより、カンムリ雪原の魅力に引き込まれてしまっている状態だ。こうなったらそう遠くない日にまたみんなで来ることになりそうだ。ジュンとヒカリも案外乗り気だし、その時はボクもまた巻き込まれるんじゃないかな?

 

(……その時は、5人で来れたらいいなぁ)

 

 この場に居ないあと1人のことを思いながら、近くでポフィンを食べているブラッキーをゆっくり撫でる。心地よさそうに目を細めるブラッキーにちょっと癒されながら、今度はリビングでご飯を食べながらじゃれあっているポケモンたちに視線を送る。

 

 民宿に帰ってきたのがかなり遅かったということもあり、シロナさんへの説明は夕食を食べながら行われていた。もちろんその間はポケモンたちもご飯を食べているわけで、全員呼び出すスペースはさすがにないので、何人かのポケモンが順番に出てきてはご飯を食べている。そのせいでこの時間の民宿内は軽い宴会みたいな状態だ。もっとも、近所迷惑にはならない程度に抑えてはいるけどね。

 

 そんな中でも、ボクの視線はエルレイドに向かって多めに注がれていた。

 

「エルレイド」

「エル?」

 

 ボクの呼びかけに反応したエルレイドが、口元に少しおべんとうをくっつけながらこちらに近づいてくる。バトルの時の凛々しい姿からのギャップで少し頬が緩んでしまい、和やかな気分になりながらそっと口元を拭いてあげる。エルレイドもようやく気づいたみたいで、少し恥ずかしそうな顔を浮かべていた。可愛い。

 

「っと、これで綺麗になった」

「エ、エル……」

「よしよし……で、身体は大丈夫?問題ない?」

「エルッ!!」

 

 綺麗になったところで、今日たくさん頑張ってくれたエルレイドに身体の調子を問う。カンムリ神殿で粗方の治療は行ったから大丈夫だとは思うけど、一応の確認。それに対してエルレイドは元気よく返事をしてくれた。その姿がやはり微笑ましく、またついつい頭を撫でてしまう。

 

「それは良かった。『きれあじ』の方も上手く使えそう?」

「エルエル!!」

 

 ボクの質問に腕を軽く振りながら答えるエルレイドの表情は、先程の恥ずかしそうなそれとは一転して、頼もしいものを浮かべていた。やはりバドレックスとのバトルがいい刺激になったみたいで、いい方向に成長ができたみたいだ。勿論このことに満足はしておらず、次は引き分けではなくちゃんと勝ちたいと思っているみたいで、エルレイドのやる気はさらに満ちている。これなら、ガラルトーナメントの時はもっと頼もしい姿を見せてくれることだろう。

 

「エルレイド、気合入ってるな!」

「まぁ、あんなバトルをしたらねぇ。いやでも気合いが入るわよね」

 

 ボクがエルレイドと話をしていると、横からジュンとヒカリが割ってくる。2人ともエルレイドの様子に、大会への意気込みを感じているみたいだ。

 

「楽しみだな!エルレイドの活躍!」

「いいところみせなさいよ?」

「当然!」

「エル!!」

 

 ヒカリとジュンの言葉に元気よく返すボクとエルレイド。もちろんエルレイドだけじゃなく、周りにいるマホイップたちや、今もボクのそばにいるブラッキーも、この時ばかりは気合いの入った表情を見せていた。

 

 ボクたちがジムチャレンジを走り抜け、トーナメントに参加する権利を手に入れた時は大会までの日にちはかなりあったけど、ダンデさんのおかげで手に入れたヨロイ島とカンムリ雪原のチケットで冒険しているうちになかなかの時間が経っている。明日明後日と言った急な話ではないけど、それでもそろそろ意識し始めないといけないくらいには日にちも迫っている。そんなこともあってか、エルレイドたちのテンションは少し高くなっている。とはいうもののもうちょっと日にちがあるから、今から気張るというのは少し体力と心の維持が難しそうな気もするけど……そのあたりはボクの手腕の見せ所だろう。頑張ってオーバーワークにならないようにしないとね。ボクの面子だと、ヨノワールは大きな大会が2回目ということもあってかなり落ち着いているから、いろいろ手伝ってもらうとしよう。

 

「う~ん……」

「ん?どうしたのユウリ?」

「なんかあったか?」

「気になることでも起きたと?」

 

 そんなやる気に満ち溢れているみんなに視線を送っていると。隣から悩んでいるような声が聞こえてくる。そちらに視線を向けてみると声の主はユウリだった。そんな彼女の様子が気になったボクとホップ、そしてマリィは、少し近寄りながら声をかけてみる。すると、不安げな声をしながらも、それでも首を振りながらユウリは答える。

 

「何でもないよ。ちょっと持ち物減ってきたなぁと思って……ほら、最近いろんなところでバトルすることが多かったし、この村にはポケモンセンターってないでしょ?だからきずぐすり関連が少なくなってきたなぁって」

「確かに、そういわれるとオレも少なくなってきたぞ」

「あたしもちょっと不安とね……」

「では一度ブラッシータウンに戻りますか?この民宿にまだ滞在するようでしたら、食料なども少し心もとないので、そのついでにそろえてみてはいかがでしょう?」

「ムゥ、ヨの送る野菜だけでは不満であるか……」

「いや、流石に野菜だけっていうのは……ねぇ?」

 

 その内容は今の手持ちについてのもの。確かにユウリの言う通り、ここ最近伝説たちとのバトルのせいか傷つくことも多くて沢山の道具を消費した。それはホップとマリィも同じらしく、改めてバッグを見るとやっぱり足りていないらしい。となれば、コクランさんの言う通り、食料もかなりなくなってきているのでその他もろもろを調達するためにも、一度ブラッシータウンに戻るというのは大いにありだ。食料に関しても、さっきの戦いが引き分けだったからヒカリは受け取りを拒否しようとしていたけど、バドレックス自身がぜひ送らせてくれということで野菜が大量に送られたため、これらに合うものを買っておきたいはずだ。……流石に野菜だけのご飯は、育ち盛りであるボクたちにとってはなかなかつらいものがあるからね。

 

 ということもあって、みんな特にユウリの言葉に疑問を持つことなく、明日以降のやることについて話し合いを始めていく。けど、どうにもボクは気になることがあって……

 

(ユウリって、民宿に戻ってからカバンの中を確認してたっけ……?)

 

 今までの行動を振り返ってみると、この民宿に入ってまずみんな部屋にカバンを置き、すぐにリビングへ。そしてリビングに降りてポケモンたちを呼び出してご飯を作って……っていう流れだったから、ユウリがカバンを見るタイミングはなかったように思う。ここに来るまでに確認していたそぶりも見ていないし、そうなるとさっきのユウリの発言がちょっと嘘に聞こえてしまって……

 

(何か隠してる……?それとも見落としてる……?)

 

 このことが妙に気になって、ボクはそれからもユウリの姿と、一応その周りも注視するようにしてみた。

 

(何もないといいのだけど……)

 

 特に嫌な予感がするというわけではないけど、心配するに越したことはないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん……やっぱりいない……」

 

 みんなと民宿に戻って、シロナさんたちと夕ご飯を食べながらお話をして、食後の休憩もしたりして……その間もずっと気になってて周りをちらちら見ていたんだけど、私はどうしてもとある子だけを見つけることが出来なかった。

 

「タイレーツ……どこに行ったんだろう……」

 

 それは私の手持ちの1人……ううん、正確には6人のタイレーツ。

 

 民宿に行くまではちゃんと私のボールの中でおとなしく……というより、さっきしたバトルのせいでへとへとになっていたタイレーツは、民宿のリビングで皆と一緒に呼び出したときも、誰かと騒ぐというよりかは、今日の疲れを癒すために休むことを優先しているような節があって、特に何か動くようには見えなかった。だけど、フリアがシロナさんにいろいろお話をしている間に、気づけばタイレーツの姿が見えなくなっていた。ちょっと話に夢中になっていたからついつい目を離してしまっていたけど、まさかここまで見つからないなんて思いもしなくて……いろいろ探し回った結果、民宿の中にはいないと判断した私は、今はもう暗くなってしまっているこのフリーズ村の夜に、寒いのを我慢して外に出ることにしたというわけだ。ちなみに他のみんなに関してはもう就寝済み……だと思う。タイレーツは私のポケモンだし、みんな今日はバドレックスとのバトルで疲れているはずだからどうにも声が掛けづらくて……だから今回は一人で頑張ろうと思ったのだけど、実は既にちょっと後悔していたりする。

 

「うぅ……やっぱりこの時間から探すのは無謀かなぁ……でも、タイレーツは心配だし……はぁ、意地なんて張らずに、今からでも誰かの手を……」

「誰かの手を……なに?」

「わわっ!?」

 

 私の苦手な寒さに、今にも心を折られそうになってしまっているところに、誰かが後ろからコートをかぶせながら声をかけてきた。急に身体にのしかかった温かい重さにびっくりした私は、後ろに振り返りながらその主を見る。

 

「フリア!?なんで……」

「なんでも何も、こんな時間に外に出ていったら気になるに決まっているでしょ?全く……」

「あぅ……も、もしかして……他のみんなにも……?」

「ジュンはともかく、他のみんなの目をごまかせるとでも?この場には四天王にチャンピオン、フロンティアブレーンがいるわけだけど?」

「……だよね」

 

 こういわれると確かに、世界的に見ても上から数えた方が速い人たちばかりなのに、私なんかの隠し事がばれないなんてことは絶対にありえない。

 

(うぅ、これは後で怒られちゃうかも……)

 

 想像に難くない未来のことを思い浮かべ、少しげんなりしてしまう私。でも、それはそれとしてやっぱりタイレーツのことは気に合って……

 

「ま、今起きているのは確かにボクだけだけどね。みんななぜかボクに全部任せてるみたいだし」

「ごめんなさいフリア。でも、私やっぱりタイレーツのことが心配で……」

「やっぱり、タイレーツがいなくなっちゃってたんだね」

「タイレーツがいないことも気づいていたの!?」

「あ、ううん。タイレーツがいなくなったって知ったのは今なんだけど……わざわざユウリが嫌いな寒い所にこんな時間になってでも飛び出す理由を考えたら、なんとなく……ね?」

「ああ、そういう……」

 

 どうやら私の行動から予想を立てていたみたいだ。この行動だけで大体のことを読み取られるというのは、なんだかそれだけフリアに理解してもらえているという事のような気がして……今思う事ではないとわかっていても、少しだけ心の奥が暖かくなったような気がした。けど、それはそれ、これはこれだ。確かにこんな時間から外に出るのは褒められたことじゃないけど、私はやっぱりタイレーツが心配だ。

 

「私の事情を知っているのなら、なおさらごめんなさい!私、タイレーツを探し━━」

「わかってる。だから一緒に行こう?」

「……え?」

 

 自分の意志を押し通してでも探しに行こうとしたところで、フリアから言われた言葉はまさかの一緒に捜索するということ。話の流れ的に民宿に連れ戻されると思っていた私にとっては、少し予想外の言葉だった。

 

「1人で探すよりも、一緒に探した方がいいでしょ?それに、ユウリがタイレーツのことを心配しているのと同じように、ボクたちだってユウリが心配なんだよ?だから一緒に……ね?」

「フリア……」

 

 まっすぐこちらに手を差し伸べるフリアの表情はやっぱり穏やかで、いつ見ても優しい彼のそれだった。

 

(ほんと、敵わないなぁ……)

 

「ありがとう、フリア」

 

 その手を握りながらお礼を告げた私の心が、またひとつ暖かくなった気がした。

 

「うん!じゃあ探しに行こっか。あてとかある?」

「それが全然分からなくて……あまり遠くに行ってないとは思うんだけど……」

「そっか~……じゃあまずはこの村の中から探していこうか」

「うん」

 

 そのままフリアと一緒に、まずは村の中を回ることにした。民宿や畑の周りはもちろんのこと、バドレックスと初めてであった広場のような、あまり人目につかないようなところにも足を運んだけど、特にタイレーツの姿は見かけることは無かった。

 

「いないねぇ……」

「うん……本当にどこに行ったのかな……」

「村の中にはいないのかも……よし、じゃあ次はちょっと外の森見てみようか」

「うん」

 

 フリアの言葉に少し不安気に答える私。けど、そんな私を元気づけるように、フリアは明るく声を出しながら私を優しく引っ張っていく。こういったさり気ない気遣いが本当にいいなぁと思いながら、ふと私は自分の手元に視線を移す。するとそこには、さっきフリアと出会ってから()()()()()()()()()()手が映った。

 

「……っ!?」

 

(ってそういえばずっと手を繋いでる!?)

 

 さっきまでは何ともなかったのに、こうして意識し始めた途端に急に身体と頬の温度が上がっていくのを感じる。フリアと手を繋ぐことは初めてでは無いとはいえ、2人っきりでこうして並んでずっとというのはさすがに経験がない。意中の相手とこんなにくっついてしまう。それだけで私の心は少しあたふたしていた。

 

 当然そんな心の機微を、観察力の高いフリアが見逃すはずもなく……

 

「ユウリ?何かあった?」

「いや、あの……その……」

 

 ただ一言、『手』と言うだけなのに、その言葉が妙に引っかかって出てこなかった。そのことにますますフリアが疑問に持ち、今度は私の体調を気遣うように、おでこに手を伸ばそうとしてきて、すんでのところでようやく口が回った。

 

「手!そ、その……ずっと繋いでるなぁって……!」

「ああ、そのこと。ユウリ、寒いの苦手だし、手を取った時のユウリの手がちょっと冷たかったからさ。こうしてた方が暖かいかなって」

「な、なるほど……」

 

「あと、なぜかわかんないけど……こうしていたいなぁと……」

 

「え?」

「なんでもないよ!!」

「そ、そうなの?じゃあいいけど……」

 

 フリアが小声で何か言っていたような気がするけど、自分の心臓の音がうるさくて上手く聞き取れなくて。フリアもこう言っているし、特に気にしないようにしていると、今度はフリアの方から声をかけられる。

 

「えっと……こういうの、あまり好きじゃなかった……?」

 

 その声色はどこか不安そうで、ともすれば怯えも混じっているようにも見えて。本当に私のことを心から気遣ってくれているのがよくわかった。だからこそ、そんな優しくて大好きなフリアにそんな表情を浮かべて欲しくなくて、けどドキドキしてしまっている私の口はやっぱり上手く動かなくて、それでも、勇気と根性で動かされたこの口は、言いたかったことは何とか伝え切る。

 

「嫌じゃ……ないよ……?むしろ暖かくて嬉しいから……だから……ありがとう、ね?」

「そ、そっか……なら良かった……かな?」

「うん……」

「「……」」

 

(……って何言ってるの私ー!!)

 

 言いたいことを伝え終わった私は、改めてさっき言った言葉を思い出して、心の中で悶絶してしまう。我ながらよくもまぁあんな恥ずかしいセリフを言えたものだとびっくりしてしまう。フリアも今の言葉に困っているのか、心做しか私から視線を逸らしているようにも見えるし……

 

(うぅ、変なことを思われてないといいなぁ……)

 

 かと言ってこのことを再び話題に出す勇気もなく、私たちの間に少し話しづらい空気が流れ出す。この空気を破る勇気がなくて、私もフリアも、少し戸惑いながらも、でも決して手を離すことはなく、ギュッと握りしめたまま、私たちの足は森の中をを進んでいく。

 

 

『ドンッ……ドンッ……』

 

 

「な、なに!?」

「この音……」

 

 そんな中急に聞こえてきたのは何かを殴るような音だった。私はその音を不気味に感じてしまい、少し怯えてしまうけど、フリアは私を安心させるように優しく身体を叩きながら、何かを考えるような顔をうかべる。

 

「もしかして……ユウリ、行ってみよう」

「え?う、うん」

 

 そのまま何かしらの答えを出したフリアは、私の手を引いて音の鳴る方へと足を進めていく。この音がまだ怖い私は、ついつい少し強くフリアの手を握ってしまうのだけど、フリアはこれを優しく受け止めてくれる。その事が嬉しくて、安心して……いつしか私はフリアの後ろから、フリアの横に並んで歩いていた。それだけ私の中から恐怖が消えていったということなのだろう。

 

 そして程なくして、私の前に音の正体が現れる。

 

「やっぱり、ここにいた」

 

 そう告げたフリアの視線の先。そこには……

 

「ヘイ!」

「「「「「ヘイ!!」」」」」

「ヘイ!」

「「「「「ヘイ!!」」」」」

「タイレーツ……!!」

 

 沢山の木に対して、何回も身体をぶつけているタイレーツの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シロナ

お久しぶりですね。ようやくひと段落してバドレックスとご対面です。考古学者としては、間違いなく興味の対象ですよね。

エルレイド

悔しいけど気合十分。『きれあじ』の精度もあがってます。

ブラッキー

ポフィン美味しい。

マホイップ

ご飯美味しい。

タイレーツ

1人(6人)陰で特訓。何か思ったことがあるようで……?




一難去ってまた一難……と思ったら、途中変に甘くなりました。……なぜ?




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