【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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192話

「ヘイ!」

「「「「「へヘイ!!」」」」」

「へヘイ!!」

「「「「「ヘイ!!」」」」」

 

 夜中の森に響き渡るタイレーツの掛け声と木を叩く音。定期的にリズムよく聞こえてくるその音は、聞いている側からすればどこか心地よく、ついついそのまま聞き入ってしまいそうになってしまうけど、問題は今が寒さの厳しいカンムリ雪原の真夜中だという事。当然気温は氷点下を下回っているため、今この瞬間も身体がどんどん冷えていく。だから本当は一秒でも早くタイレーツに声をかけて連れて帰った方がいいんだけど……私から見てタイレーツの表情はとても必死そうに見え、どうしてもこの特訓を無理やり断ち切ってしまう程の思考を私は持ち合わせていなかった。

 

「フリア、ちょっと時間かかりそうだけど……いい?」

「勿論。ユウリのやりたいようにして?」

「うん。ありがと」

 

 このことをフリアに告げ、許可をもらった私はゆっくりとタイレーツの方に向かっていく。

 

「タイレーツ……」

「!?……へ、ヘイ……」

 

 特訓の合間を見つけてゆっくりと声をかける私。この呼びかけでようやく私に気づいたタイレーツは、今まで気づかなかったことと、こんな時間に勝手に外に出てしまい、心配させたことに若干の負い目があるのか、私と目を合わせようとはせずに、少しうつむいて暗い表情を浮かべていた。そんな彼らを元気づけるように、私はしゃがんで、出来る限りタイレーツと目線を近くして話しかける。

 

「そんなに怯えないで?別に怒っているわけじゃないんだ。ただ、どうしてこんなことしてるのかが気になっちゃって……教えてくれる?」

「……ヘイ」

 

 私が怒っていないということが分かったタイレーツは、少し安心したような表情を浮かべて、けどすぐまたちょっと落ち込んだような表情を見せて私に語り掛けようとしてくる。けど、そこで問題が一つあって……

 

「……へヘイ」

「……どうしよう、全然わかんない」

 

 当然だけどタイレーツは……というか、ポケモンは人の言葉を喋ることはできない。バドレックスという特異中の特異とずっとかかわっていたせいで混乱しがちだけど、本来だとこれが普通。勿論、タイレーツが今どんな気持ちなのか自体は感じるとることができる。私だってそこそこトレーナー業が身についてきているし、タイレーツと共に過ごした時間は短くないのだから。だけど、そこから更に奥深くまで知ろうと思うと、どうしても言語の壁というものが邪魔してしまう。だから今も大体の感情は理解できても、その原因とまで行くとなかなか理解することが難しい。というか、理解できる人なんて、それこそシロナさんレベルじゃないといないのでは?と思ってしまう程だ。

 

「う~ん……どうしよう……」

「出てきて、ヨノワール」

 

 今日何度目かわからない悩みの声。私の口から知らず知らずのうちにそんな言葉を零していると、後ろからフリアの声が聞こえてくる。振り向けば彼の横にはヨノワールがたたずんでおり、二人並んで此方を見つめていた。

 

「ヨノワール……?何かあったの?」

「ううん、特に何もないんだけど、ユウリが困っているみたいだからね。その悩み、ボクとヨノワールなら解決できるかなって思ってさ」

「解決……どうやってやるの?」

「こうするんだよ」

 

 どうやらヨノワールとフリアで、タイレーツの言いたいことを通訳してくれるらしいんだけど、私にはその方法が全く想像出来なくて、ついつい質問を返してしまう。これに対してフリアは、自信満々に答えながらヨノワールの身体に手を触れ、目を閉じていく。すると、ヨノワールとフリアの身体が黒い靄に覆われたような気がして……

 

「ヨノワールの身体が……変わってる?」

 

 身体が靄に覆われているだけで、うっすらとしか変化が見受けられなかったから、実際にどう違うのかと言われるとちょっと言葉にしづらいけど、でも確かに何かが違うような気がした。それ以上に、フリアから漂う気配も少し変わってて、なんだかいつものフリアと違ってて少しだけ違和感を覚えてしまった。けど、だからと言って恐さはなく、この状態でもフリアの優しさはしっかりと感じた。むしろ、フリアから感じる暖かさをヨノワールからも感じるような気がする。もしかしたら、ネズさんの時に見たあの姿を、このヨロイ島とカンムリ雪原を冒険している間に昇華させているのかもしれない。

 

(ほんとに、どんどん先に行っちゃうなぁ……)

 

「この状態ならタイレーツの気持ちを……ユウリ?何かあった?」

「ううん、なんでもないよ」

「ならいいんだけど……」

 

(私も置いていかれないように頑張らないと……!!)

 

 フリアの成長を実感した私は、改めて気合いを入れ直す。その様にフリアが少し首を傾げたものの、私が特に気にした様子を見せていないところから問題は無いと判断したフリアは説明を続けていく。

 

「説明に戻るね。今のボクとヨノワールは心が繋がっている。この状態を利用して、ヨノワールとタイレーツに会話をして貰って、その時の内容をヨノワールを通じてボクに伝えてもらおうって考え。そこで得た内容をボクがユウリに伝えたら、実質タイレーツとの会話が可能でしょ?これでユウリに手助けになればいいんだけど……」

「そんなことが出来るんだ……むしろありがとうね?そこまでしてくれて……」

「それこそ気にしないでよ。ボクもタイレーツのこと気になるしさ」

 

 私のお礼に対しても朗らかに笑いながら、なんでもないように返すフリア。本当に、油断したらこの優しさにどこまでも甘えてしまいそうだ。

 

「じゃあ始めるね」

「うん。お願い」

「ヨノワール!」

「ノワ」

 

 私の返事を聞いたフリアはヨノワールに声をかけたあと、ヨノワールの身体に手を当てながら目を閉じ、集中する雰囲気を見せる。

 

「ノワ……」

「ヘイ……へへイ……」

 

 一方でヨノワールとタイレーツは、私たちがお話をする時のように言葉を交わしていく。相変わらず私からは何を言っているのかさっぱり分からないけど、2人の様子を見るに、タイレーツの悩みをヨノワールが聞いてあげる、お悩み相談室のような雰囲気を感じる。いつも自信満々で、強さに貪欲で、とにかく前を見続けているタイレーツからは想像もできない姿だ。こんな姿を彼らにさせてしまっていることに、ちょっとだけ罪悪感が湧いてしまう。

 

(今回の件で嫌われてたら……ううん、何があっても受け止めないと……)

 

 タイレーツの言葉にヨノワールが相槌をうち、その近くでフリアがじっと目を閉じて立っている。その姿は、何も事情を知らない人が見たらちょっとおかしく映ることだろう。けど、私からしたらとても長く、そして重い時間だった。

 

 今の私に出来ることは、何があっても受け止める。そんな覚悟を固める時間に回すことだけ。

 

「……ふぅ」

 

 そんな嫌なドキドキが付きまとう時間は、フリアがため息とともに目を開けることで終わりを告げる。

 

「フリア……えと、どうだった……?やっぱり、私が悪かった……のかな……?」

「落ち着いてユウリ。とりあえずわかったことを順番に教えるね?」

「うん……」

 

 会話の通訳を終えてすぐのフリアに、思わず勢いをつけて質問をしてしまう。そんな私を宥めるように肩に手を置き、フリアはゆっくりと言葉を続けてくれた。

 

「まずは特訓を始めたきっかけだね。結論から言うと、今日したバドレックスとの戦いが原因だったっぽい」

「バドレックスとの戦い……」

 

 フリアに言われて頭をよぎるのは今日のお昼に行われたバドレックスとのバトル。6対3で行われた伝説とのバトルは、バドレックスは納得していなかったけど引き分けという形に終わり、そのバトルに参加したタイレーツは、ブリザポスと同じタイミングで戦闘不能になってしまった。途中退場という形ではあるものの、ブリザポスの攻撃をエルレイドと一緒に最前線に出てて止めていた勇姿は、私の脳裏にはしっかりと焼き付いている。そんなバトルが、タイレーツにとっては少し思うとところがあったようで……その気になる部分を、フリアはゆっくりと伝えてくれる。

 

「タイレーツは、あのバトルで一番最初に戦闘不能になったのが自分だったことに、大きな悔いを残しているみたい」

「あ……」

 

 フリアの言葉を聞いて改めてバドレックスとのバトルを振り返ると、確かに一番最初に倒れてしまったのはタイレーツだ。勿論それだけ強敵とのバトルだったというわけだし、タイレーツの立ち位置は最前線だったから1番被弾の多いポジションだ。そのうえでちゃんと活躍していたのだから、私から今回のことを咎めるなんて絶対にない。けど、本人はどうやらそうとは思っていないみたいで。

 

「あの時自分がもっと強かったら、あの時自分がちゃんと攻撃を防げてたら、そして何より、あの時の攻撃に気づいて、ちゃんと『かふんだんご』を叩き落とせていたなら、もっと簡単に、そしてユウリが安心して勝てたのではないか。一番の後悔はこの部分みたい」

「そ、そんな!!だってあの時は私が『躱して』って指示を出したからで……タイレーツのせいなんかじゃ……」

「それでも、自分がそもそも強かったなら、ユウリも回避ではなく、弾くことを指示出来たのでは?って考えてしまっているみたい」

「ヘイ……」

「そんな……どうして……」

 

 明らかに自分の指示ミスのせいなのに、どうしてそこまで自分を責めてしまうのか。それがどうしても理解できなかった私は、改めてタイレーツのヘイチョーさんを持ち上げて視線を合わせる。そんな私の視線から逃げるように、少しだけタイレーツの視線が下げられた。その行動が少し寂しくて、私は思わずタイレーツに声をかけてしまう。

 

「そういえば……イワパレスとの戦いの時も凄く気合を入れてたけど……そもそもどうしてあなたはそんなに強さを求めていたの?」

「ヘイ……」

「そこに関しても、ヨノワールはしっかりと聞いてくれていたみたい」

 

 私の質問にまた視線を逸らしかけるタイレーツだけど、その行動をフリアが、他のタイレーツたちを撫でながら優しく言葉を繋ぐことで止めていく。

 

「どうやら、ボクたちと出会う前に、とあるポケモンに思いっきり負けちゃったみたい」

「タイレーツが!?」

「うん」

 

 私の手持ちの中でも突破力の高いタイレーツ。イワパレスとの闘いも、そのあとのメロンさんやネズさんとの闘いも、バドレックスとの闘いだって、その高い攻撃力と根性に助けてもらったのに、そんな彼らが何もできずに完敗したというのがとてもじゃないけど信じられなかった。

 

「本当に一瞬だったみたい。仲間たちと遊んでいるところに急に現れたそいつに、一瞬で負かされて……」

 

 そこからフリアによって伝えられるのはタイレーツの過去。仲間たちと遊んでいるときに何かしらのポケモンに襲われて負傷して、そんな仲間たちのために強くなりたくて、ここまでストイックになってきた彼ら。そんな彼らにとって一番最初に戦闘不能になるというのは、間違いなく一番許せない事ではある。こうやってフリアから詳しい言葉を通訳してもらうと、なるほどタイレーツがこんな時間から外に出て特訓をするというのも深く頷くことが出来る。

 

「タイレーツ……それがあなたの原点だったんだね」

 

 ようやく知ることが出来たタイレーツの根幹部分。と同時に、私はタイレーツに対して申し訳ない気持ちが湧いてくる。

 

「ごめんなさい……私がもっと優秀なトレーナーだったら、今頃あなたたちは……」

「へ、へヘイ!!」

 

 心のうちに広がるのは自身の劣等感。もし私がフリアやヒカリ、ジュンのように、経験豊富且つ優秀なトレーナーだったら、タイレーツは間違いなく今よりも強くなっていたはずだ。バドレックスとの闘いでももっと活躍していたかもしれない。そのことがどうしても頭から離れなくて、思わずタイレーツに謝ってしまう。タイレーツはそんな私に対して、まるで『そんなことを言いたかったんじゃない』というような声を上げるけど、どうしても思考はそっちに傾いてしまって……

 

「こーら」

「いたっ!?」

 

 そんなマイナス思考に囚われた私の頭を、フリアが咎めるような声を上げながら軽くチョップする。思わず『いたっ』なんて言ってしまったけど、当然フリアが力を入れているなんてことはなく、急にあてられたことによって反射的に出てしまった言葉だから、実際は痛みなんて全然ない。けど、それ以上にフリアから向けられる視線がちょっと怖くて、真っすぐみられなかった。

 

「タイレーツがここまで強くなれたのはユウリのおかげだよ。あの時、あの場所で、タイレーツと出会って、ヘイチョーを命を懸けて助けたのはユウリなんだ。だからこそ、タイレーツも君について行きたいって言ったんだよ」

「ヘイ!!」

「「「「「へヘイ!!」」」」」

「タイレーツ……」

 

 視線をそむけている間にフリアから告げられるのはちょっとしたお説教。けど、その口調は怒っているようには聞こえず、どちらかというとお母さんが諭してくるような言い回しで。そのことに安心した私はゆっくりと顔を上げて、タイレーツとフリアの目を見る。そんな私の目に映ったのは、声色通り優しそうな目で見つめて来るフリアの顔と、私を励ますように元気な顔を見せてくれるタイレーツたちだった。

 

「『たられば』の話なんて意味がない。タイレーツは、他でもないユウリと強くなることを選んだんだ。それなら、主であるユウリがしっかり前を見ないとね?……じゃないと、主がふらふらしちゃうと、ポケモンたちも凄く不安になっちゃうから……」

「フリア……」

 

 フリアから告げられる言葉が凄く重く、真実味が深い。間違いなく、昔の自分を重ねながら発言している。だからこそ、その発言は私の奥深くに突き刺さった。

 

 フリアがどんな気持ちでこのガラル地方を訪れたのかはよく知っている。ヨロイ島で昔話をした時に、どれだけの思いを込めてここに来たのかを知った私にとって、この言葉は好きな人の言葉というフィルターを外したとしても無視できないものだった。

 

「だから今、改めてタイレーツの気持ちを知ったところで、ここからまた2人で始めればいいんだよ」

「一緒に……」

「ヘイ!」

「「「「「へヘイ!!」」」」」

 

 フリアの言葉を受けながら、もう一度タイレーツたちと目を合わせる。すると、タイレーツはまた元気よく声を上げる。

 

 またここから。もっと高みを目指して。

 

「タイレーツ……頑張ろう!!」

「「「「「「ヘイ!!」」」」」」

 

 フリアの言葉をしっかりと受け止めた私とタイレーツは、今度こそ悔しい思いをしないために、大会までに更なるレベルアップを約束する。新たな決意をした私たちは、その決意を固めるために、お互いの拳をあてがおうとし……

 

「……ッ!?ノワッ!!」

「え、ヨノワール?どうし……ッ!?ユウリ!!タイレーツ!!」

「え?」

「ヘイ?」

 

 その瞬間に急に声を荒げるヨノワールとフリア。

 

 一瞬何が起こったのかわからない私とタイレーツは、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。私はタイレーツと意思を確認し合っていた瞬間だったため、周りに意識を割くなんてことが出来ずに、フリアとヨノワールが焦っている理由に反応することが出来なかった。その結果は今、目の前でとんでもない事態として現れる。

 

「ヨノワール!!守って!!」

「ノワッ!!……ッ!?」

「あぐっ!?」

「フリア!?」

 

 私たちを守るように包み込んでくるヨノワールと、同時に響き渡るヨノワールとフリアの苦痛にゆがむ声。それだけで、今私たちが襲われてしまっているということが判断できた。けど、ヨノワールの身体で周りを確認することが出来ない私は、顔をゆがめながら地面に倒れそうになるフリアを支えることしかできない。

 

「な、何があったの!?大丈夫!?フリア!!ヨノワール!!」

「へ、ヘイヘイ!!」

「ノワ……ッ」

「だ、だいじょう……ぶ……それよりも、気を付けて……!!」

「で、でも、いったい、何に気を付けたら……」

 

 急にヨノワールを襲った犯人の姿が分からなかったので、せめてその姿だけでも確認しようと顔を横にずらすけど、ヨノワールの身体が大きいのか、はたまた襲ってきたものの身体が小さいのか分からないのか、どちらにせよ、未だにその姿は確認出来なかった。

 

(このままだとまたヨノワールが攻撃されちゃう……そしたらフリアも……!!)

 

「タイレーツ!!『インファイト』!!」

「ヘイ!!」

「「「「「ヘイ!!」」」」」

 

 明らかに私を庇って傷ついた2人をみて、もう傷ついて欲しくないと願った私は、姿は確認できないけど、小柄な身体ゆえすぐに動くことができるタイレーツに指示を出し、ヨノワールの後ろにいるであろう敵に対して攻撃するように指示。それに応えたタイレーツはすぐさま移動を開始して拳の嵐をお見舞いする。

 

「よし、当たってる……!フリア!ヨノワール!」

 

 攻撃を指示して直ぐに激しい打撃音が聞こえてきたので、とりあえず攻撃が当たったのだろうということを理解した私は、ひとまずヨノワールとフリアの身体を確認する。すると、ヨノワールの背中には、なにかに切り裂かれたような痕が残っていた。ダメージを共有するフリアにも、恐らくこれと同じ痛みが伝わっているのだろう。

 

「ノワ……」

「っつつ……」

「待ってて、すぐに応急手当を……ああでも、荷物ほとんど民宿に……タイレーツ!!2人を運ぶのを手伝って!!」

「ヘイ……ッ!?」

「タイレーツ?」

 

 致命傷では無いけど大きな怪我であることに変わりは無い。なので直ぐさま治療を行おうとして、そういえばろくに荷物を持ってきていないことを思い出して、すぐに治してあげられない現状に混乱しそうになる。ひとまずはフリアとヨノワールを民宿に運ぼうとタイレーツに指示し、すぐに行動開始。しかし、その瞬間にタイレーツの動きが止まり、驚愕の声を上げる。

 

 同時に、タイレーツの表情が、どんどん険しいものへと変わっていく。

 

「タイレーツ、何があったの……?」

 

 急なタイレーツの雰囲気の変化に戸惑った私は、改めてヨノワールの後ろへ視線を動かす。ダメージ故に身体を少し倒したことによって、ようやくヨノワールの後ろを確認できた私は、そこで初めて今回の襲撃者の姿を確認することとなる。

 

「なに……あの子……ポケモン……?」

 

 そのポケモンは、まるで風に煽られるかのように空中をヒラヒラと漂い、一見して小さいその姿はとてもヨノワールにこんな大きな一撃を加えたようには見えなかった。熨斗と式神を合わせた、まるで折り紙で作ったデフォルメされた人のような姿をしたそのポケモン(?)は、イーブイくらいの身長しかない。もちろんタイレーツよりも小さいその子は、しかし感じる圧は凄まじいものがあり、特に両腕と思われる部分からは、触れただけで切り裂かれるのでは?という、想像しただけでもポッポ肌が立ってしまいそうなほどの冷たい気配を感じる。実際、あれで攻撃を受けたヨノワールは大ダメージを受けていることだし、最注意案件であることは間違いない。

 

「気をつけて……ユウリ……」

「フリア!あんまり喋ると怪我が……」

「ボクなら平気……確かに痛いけど、何とかなるから……」

「でも……」

「それよりも、タイレーツを見ててあげて」

「タイレーツを……」

 

 痛みに冷や汗を流しながらも、自分のことよりもタイレーツの心配をするフリア。その姿がどうしても引っかかって、私もゆっくりとタイレーツに目を向けると、タイレーツから凄まじい覇気を感じた。

 

「タイレーツ……」

「……あのポケモンだ」

「え?」

 

 その覇気に驚いた私は言葉を零し、その横でフリアが口を開く。それにつられて今度はフリアに視線を向けると、フリアがゆっくりと告げる。

 

「あのポケモンが……タイレーツにとっての因縁の相手だ……!!」

「あの子が……!!」

 

 私たちと出会う前に、タイレーツが仲間諸共襲われてしまった、タイレーツが強さを求めた理由の原点。

 

「スラ……スラ……ヤー、ターン……」

「ヘイ……!!」

「「「「「ヘイッ!!」」」」」

 

 その原点との、まさかの再会を果たした瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




タイレーツ

ヨノワールとの協力でユウリさんたちも知ることが出来ましたね。1度出しましたが、改めての彼の原点です。振り返るとこのお話を前に出したの、もう100話近く前なんですね……恐ろしい……

ヨノワール

フリアさんがこの現象をどこまで物にしてるのかは、他の人は知りません。そんな描写も入れていません(はず)ですしね。何気にイツメンの中なら、ユウリさんが1番手だったり。

謎のポケモン

バドレックスが出てカンムリ雪原編終わり……ではありません。最後にエクストラボスに出ていただきます。一体誰なのでしょう?()




タイレーツの因縁の相手再び。彼は乗り越えられるのでしょうか?




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