「なるほど、そんなことがあったのね……」
「ほりゃぁふぁいふぇんふぁっふぁなぁ~」
「うん、ジュンはご飯を食べきってから喋ろうか」
昨日の夜、ユウリがカミツルギを下し、無事に帰ることが出来たボクたちは、民宿に戻って、冷えた身体を温めるためにもう一度シャワーを浴びた後に、余程疲れていたのか、まるで倒れるようにして眠りについた。ユウリは当たり前だけど、どうやらボクも、何もしていなかったとはいえ、背中に受けた痛みとユウリを見守っていた時に感じていた緊張がかなり大きかったみたいで、自分でも驚くほど一瞬で眠りに落ちてしまっていた。そんなこともあってか、ボクとユウリは次の日は起きるのが遅れてしまい、他のみんなが朝食の準備を終えたくらいでようやく目を覚まし、そこで昨日のことを何となく察しているみんなに何があったのか聞かれたので、それに答えたことによって冒頭に繋がるというわけだ。
この話を聞いたヒカリとジュンは相槌をうちながら言葉を返してくる。いや、ジュンは食べ物を含んでいるせいで何言ってるか分かんないんだけどさ。
「とりあえず、あなたたちが無事でよかったわ。一応その辺についても、あとはこちらで色々連絡してみるわ」
「3人目のUB……ここに来て少し不穏ね……」
「何も無ければいいのですが……」
ボクとユウリの言葉を聞いて、神妙な面持ちになるのはシロナさん、カトレアさん、そしてコクランさんの3人だ。ボクとユウリが出会った出来事が、かなり重要度の高いものであることは理解しているけど、シロナさんたちがここまで真剣に話している姿を見ると、事の重大さを余計に認識させられる。
「ま、次に出てきたら今度はオレが追い返してやるけどな!!」
「いいなそれ!オレも乗っかるぞ!!」
「随分な自信と……」
「あはは、出来ればもう出会わないことが理想なんだけどね……」
そんな少し重い空気もジュンの一言で少し軽くなる。おかげでホップやマリィ、ユウリも、割といつも通りのテンションで会話をできていた。……いや、ユウリだけは少し顔を赤くしてる気がする。何かあったのだろうか?
「大丈夫である。もし同じことが起きたら、次はヨも全力で戦おう」
「頼もしいわね」
胸を叩きながら嬉しそうに喋るバドレックスに微笑みながら返すシロナさん。ボクたち全員も同じような表情を浮かべていた。
「しっかし世の中変なポケモンもいるんだなぁ……シャクちゃんが余計に心配になってきちまったぜ……」
「なら、またダイマックスアドベンチャーの様子を見に行きます?幸い、今日は食材調達のために駅の方に行きますし、巣穴はその途中にあるので……」
「そうだな……さすがに気になるし、1度確認しに行くか!!」
一方で、ボクたちがウルトラビーストと出会ったことで娘のことが心配になってきているピオニーさん。シャクヤのことを心から愛しているピオニーさんからすれば、今回のことは確かに気が気じゃないだろう。これを機に1度安否確認を取るのは大事だ。よくよく考えなくても、ずっと洞窟で寝泊まりしているみたいだから、その点でも不安要素はあるしね。
「うしっ!!そうと決まれば早く会いに行ってやらないとな!!シャクちゃ~ん!!待っててくれよ~!!」
「うるさい……」
今日の予定が固まったことで、またいつもの猪突猛進モードに入るピオニーさん。叫び声を上げながら、けどご飯は粒も残さないほど綺麗に、そして丁寧に素早く掻き込む姿を見ながら、カトレアさんはぼそっと悪態をつく。もはや見慣れた様式美に、思わず苦笑いを浮かべていると、シロナさんが何かを思いついたかのように手を叩き、ピオニーさんに声をかける。
「そういえばピオニーさん。今更なのだけど、本当に良かったのかしら?」
「ん?何がだ?」
「いえ、あなたがここに来た理由は、最愛の娘とカンムリ雪原の伝説を巡るためなのでしょう?」
「おう、そうだな」
「その肝心の伝説……もう全て確認してしまったのだけど……」
「……はっ!?」
シロナさんの言葉にピオニーさんはもちろん、声に出さないだけで、ボクたちも同じような表情を浮かべてしまう。シャクヤのためにせっせと集め、そして本当に存在した伝説たち。彼らとの出会いは貴重で、それこそシャクヤの父親に対するイメージを覆すには十分の内容ではあったけど、その肝心の冒険をボクたちの手で消化してしまった。これではダイマックスアドベンチャーに満足して帰ってくる彼女を満足させることができず、下手をすればまた洞窟へとトンボ帰りする可能性がある。それに気づいたピオニーさんは、ご飯を食べ追えると同時に焦り始める。
「く、くそぅ……このままじゃあシャクちゃんがまたドリュウズ生活に戻っちまう……うおおおおぉぉぉ!!なんでもいい!!今からトンデモない伝説をでっち上げて、ド・面白そうな冒険チャートを……」
「さすがに嘘は辞めなさい……」
暴走手前まで行くピオニーさんと、それを何とか宥めるシロナさん。そしてその横でまた呆れるカトレアさん。いつも通りすぎてもはや安心感さえ覚え始め、なんならヒカリたちはもうそちらの会話には興味はなく、別の方へと話題は変わっていく。
「それよりもユウリ~。朝からよそよそしいけど、昨日何かあった?」
「ふぇ!?な、何もないよ?」
「……怪しか」
「よねよね!!なんだかラブでコメディな香りするわよね!!」
「うん。これは詳しく聞かないと……」
「ほ、ほんとに何も無いんだけど!?フリア!!助けて!!」
「あ、アッハハ……」
こうなったらもう誰にもヒカリは止まらない。諦めてもらうとしよう。
こうして女性陣は女性陣で別の話題で盛り上がる。ちなみにホップとジュンは食べることしか脳がない。全員マイペースで各々のやりたいことではしゃいでいる姿は、ここ最近伝説を求めて走り回っていたのと比べるととてもまったりしていて、なんとも気の抜ける風景だった。
「平和だね~」
「ブラ~……」
そんな風景を見ながら、ボクは膝の上で気持ちよさそうにしているブラッキーの頭を撫で、紅茶をゆっくりと口に含んだ。
☆
「…………」
「はぁ……はぁ……」
自然と吐き出される俺の荒い息。そんな俺の視線の先には、相手のピクシーと俺のストリンダ―がボロボロの姿でにらみ合っていた。どちらも見た目以上に満身創痍で、今すぐに倒れてもおかしくない状態となっていた。そんななか、お互いの最後の指示が飛ぶ。
「…………『ムーンフォース』」
「『ヘドロウェーブ』!!」
月の輝きと毒の波。お互いのポケモンが全力で放ったその技は、ぶつかり合うことなく相手に直撃してしまう。当然俺のストリンダ―はこれを耐えられるほどの体力はなく、しかもこの技が急所に当たってしまったため、苦しそうな声を上げながら地面に倒れ込む。
一方で、相手のピクシーも弱点であるどく技を受けているため、残りの体力を考えてもこれで戦闘不能になることとなる。それを見届けるためにピクシーに視線を送ると、しかし俺の予想を上回り、ギリギリの淵でまさかの耐えきりを見せていた。
「ほんと、わけわかんないよな……」
相変わらずのそのおかしな能力に本当に嫌になる。けど、どうやら今回はこちらにもちゃんと天秤が傾いていたみたいで……。
「ピ……ク……」
ギリギリで耐えきったと思われたピクシー。そんな彼女の頭の上で、紫色の泡が弾ける。これの効果は、先ほどのヘドロウェーブの追加効果で起きる毒状態の証拠。ここまでありえない粘りを見せたピクシーも、急に患ってしまった毒の前では耐えきることが出来なかったのか、毒に身体を蝕まれてそのまま地面に倒れた。
このバトルの結果が、引き分けに決まった瞬間だった。
「しょ、勝負ありです!!この勝負、両者戦闘不能の引き分けです!!」
「く……っはぁ……」
「…………」
息の詰まる戦いが終わり、ようやく思いっきり力を抜けるようになった俺は、大きく息を吐きながらナギサシティの砂浜に背中から倒れた。けど、このままだと相手に失礼だと思い、倒れた時の反動を使って上半身だけでも何とか起こし、砂浜に座り込んだまま対戦相手に言葉を告げる。
「今日もバトルありがとうございました!」
「…………」
俺の言葉に相変わらず無言を貫く彼。しかし、それは無視しているというわけではなく、単純に彼自身の心の問題なので、俺は特に気にすることなく、目の前で目を回して倒れているストリンダ―に向けてリターンレーザーを伸ばしていく。
「お疲れ様ストリンダ―。よく頑張ってくれたな」
「お疲れ様ですマサルさん。今日も凄いバトルでしたね。それに、内容も今までで一番よかったですし……あ、これお水です」
「ありがとうございますミカンさん。けど、やっぱりまだまだですね……本当にトップの壁は高いや……」
ボールに戻したストリンダ―を労いながら、彼が入ったモンスターボールを撫でていると、今回も審判を担ってくれたミカンさんが言葉をかけながらお水をくれた。それを受け取った俺は、その封を開けながら豪快に飲み干していく。疲れた身体に冷たい水がしみわたる感覚が気持ちよく、飲み終わると同時についつい息を漏らす。
「んん~……いいところまではいくんだが、やっぱりむずかしいなぁ……」
「あと少しなんですけどね……」
「俺的にはそうは思えないんですけどね……」
「それは……」
俺が少しネガティブな発言を残していると、ミカンさんの言葉が詰まってしまう。
俺とコウキさんのバトルは、あれからもほぼ毎日のペースで行われていた。使うポケモンこそコロコロ変わってはいたけど、行っているルールはずっと3対3。いろいろな組み合わせを利用したコンボ攻めだったり、交代を主軸に置いたサイクル戦だったりと、あの手この手で攻めてみたものの、結果は全戦全敗。今日のバトルで初めて引き分けまでもっていくことが出来たけど、それだって低い確率を引いて相手に毒を与えて、それで何とか持っていけただけだ。たとえこれで勝ったとしても、俺は納得をすることはできなかっただろう。……いや、相手の攻撃がやたら急所に当たったり、謎の耐えを見せられたり、謎のタイミングで急に状態異常が治ったりという、おそらく普通のトレーナーにとっては十分納得いかない現象は起きまくっているんだが……
「いやぁ、こんなにもどうすればいいのかわかんないのは初めてだなぁ……」
何をしても勝てず、どうしても突破できない。ここまで手詰まり感を覚えたのは、ダンデさんとのバトルでもなかった。しかもやばいのがこれがまだ3対3だという事。もしフルバトルだったらと考えると、想像もしたくない。
まさに手詰まり。何もすることがない状態。これほどまでに差があるのかと、その壁の高さに委縮してしまう。
では、今の俺は絶望しているのかと聞かれると、その答えは否だった。
「でも、その割には楽しそうですね……?」
「……っはは、そう見えます?」
ミカンさんの言う通り、これほどの巨大な壁にぶつかっておきながら、俺の表情は全く陰ることはなかった。
最年少タイのチャンピオン。曰く、歴代最強とうたわれるそのチャンピオンの実力をここまで感じれるのはまさに貴重な体験で、ここまで強い人とここまで戦えることに少なくない高揚感を感じていた。
世の中には、こんなにも強い人間がいるのか。
それをリアルタイムで肌に感じられるこの瞬間が、俺は何よりも好きだった。それに、何も全く前進がないわけではない。さっきも述べた通り、俺は今まで全戦全敗だったのに今回は運が多分に絡んでいるとはいえ引き分けまでもっていくことが出来た。それはつまり、ちゃんと俺が育っている証拠。
俺はまだまだ強くなれる。そのことがわかっているのに、今ここで心が折れるなんてもったいない。
「ふふ、本当に楽しそうに話しますよね」
「実際楽しいですからね」
そんな俺の心情につられてか、ミカンさんの表情も明るくなっていく。ここ数日ずっと一緒にいるから、ミカンさんの顔自体はもうかなり見慣れてしまっているけど、やっぱりこうして朗らかに話している時間は好きだなと、改めて実感をする。本当にミカンさんとあえてよかった。
「では、今日はこれからまた特訓に行きますか?」
「ああ!……って言いたいんですけど、そろそろ準備を進めておきたくはあるんですよね~……」
「準備……ってあ、そういえば……」
俺の言葉で思い当たるものが見つかったミカンさんは、納得と言った表情を浮かべながら手をポンと叩く。その様子に対して、俺は頷きながら先ほどの準備という言葉の補足をしていく。
「そろそろガラル地方のジムチャレンジが終わるころなんで、ここら辺で一度ガラル地方に帰ろうかなって思ってるんですよね。今年のジムチャレンジには妹が出てるんで、さすがに本戦は実地で視たいな……」
「予選を突破できない可能性とかは考えたりは……あ、いえ、これはそう意味では……」
「あはは、分かってますよ」
受け取り方次第では勘違いしてしまいかねない発言だったため、慌ててミカンさんが謝って来るけど、俺はミカンさんがそんな人ではないことは理解しているので笑って宥める。
「勿論100%突破できるかって言われるとあやしいけど、それでも俺の妹ですからね。ちょくちょくニュースを見る限りだと、どうやら注目選手の1人として紹介されているみたいだし、もしかしたらって……ちょっと期待しているんですよ」
「……妹さんのこと、大事にしているんですね」
「まあ……そうですね~……別段仲が良いとまではいわないんですけど、なんだかんだ身内ですから、気にはしますよ」
「いいお兄さんですね」
「や、やめてくださいよ……」
いつになく温かい表情でこちらを見て来るミカンさん。その表情がとてもむず痒くて、ついつい目線を逸らしてしまう。そんな視線から逃げるかのように、俺はスマホロトムを呼び出しながら、その場でニュース番組を視聴する。内容は勿論ガラル地方のジムチャレンジの内容だ。
『さぁ今年も大変盛り上がっておりますジムチャレンジ!!今日は新しくジムチャレンジを突破した2人の選手をご紹介します!!まずは━━』
ミカンさんから逃げるように開いたスマホロトムからは、ニュースキャスターの人がジムチャレンジに関する速報を連絡していた。画面にはシルクハットっとメガネをつけた金髪ロングの男性選手と、褐色の肌に黒色のリボンがついたカチューシャをつけた女性格闘家のような選手が表示される。片方は俺の知っている人だが、もう片方は知らない人だ。
『どちらもそれぞれエスパータイプとかくとうタイプのエキスパート選手ですね!!これは大会でも活躍が期待できます!!さぁ、この2人がジムチャレンジを突破したことにより、今回のジムチャレンジクリア者の数が8人となりました!!この数は凄いです!!歴代で1番多いのではないでしょうか!!』
少し興奮気味に喋るキャスターの人。確かに、俺もジムチャレンジの内容は毎年欠かさずチェックはしているが、突破者8人というのは聞いたことがない。この盛り上がり具合も納得だ。
『今年は豊作ですね!!ではそんな優秀な選手が多い今回のジムチャレンジの突破者を順番に見ていきましょう!!』
キャスターの人の言葉と同時に並べられる8つの顔写真。その中の4つが、俺のよく知る顔だったことに、思わず声を出す。
「ほら!やっぱり!!それにホップも一緒に突破しているんだな!!あいついつも『アニキみたいになりたいんだ!!』って言ってたもんなぁ……いやぁ、やっぱり知っている人が出ているのを見るとワクワクするな!!それと……セイボリーさんとクララさんも突破してるのか!!これは同門として目が離せないな……」
「ふふふ、そうですね」
「っと……すいません。ついつい嬉しくて……」
「いえいえ、そんなに楽しそうに話すマサルさん、凄く珍しいからちょっといいなぁって」
「だ、だから!そういう恥ずかしい所突くのやめてくださいよ……」
いつになく悪い笑顔を浮かべながらこちらを見てくるミカンさん。はて、この人はこんな性格の人だったろうか?まぁ、これが長い付き合いからくる遠慮のなさなら、全然いいんだが……
「ですが突破者8人……わたしもガラル地方のジムチャレンジについてはよく見るのですけど、確かにこの人数は多いですね……キャスターさんの言う通り、豊作っていうのがよく分かります」
「しかもただ豊作ってだけじゃない。凄い人に推薦されている人が多いっていうのが今大会のレベルの高さを物語ってますね」
「推薦……ああ、確かジムチャレンジって推薦状がないと出られないんでしたっけ。推薦者も一緒に公開されているんですか?」
「はい。それによると今回突破した人たちの推薦者は、ダンデさんだったり、俺のお師匠だったり、極めつけは元シンオウチャンピオンのシロナさんだったりと、普段なら絶対推薦状を書かなかったり、初めて推薦状を書く人もいるから、余計にそれだけの人がいるんだなと際立って見えるんですよね」
「確かに、それだけ聞かされると前情報だけでも期待が持てそうですね」
俺とミカンさんがジムチャレンジの仕組みを話している時にも、今開いているニュースは流れていく。その内容はそれぞれのプロフィールや推薦者、使用しているポケモンと言った、基本的な情報からそれぞれの選手のハイライトシーンが映し出されていく。このハイライトの順番は、ジムチャレンジの突破順らしく、たった今最初の突破者であるマクワさんの紹介が終わり、次の突破者へと移るところだった。
「そんな選手が8人も……ただの豊作ではないのが、とても気になる部分ですね。……ちなみに、前回ジムチャレンジを突破して、ダンデさんの下まで行ったマサルさん的に、今回の優勝者は誰になりそうですか?」
「それは勿論、俺の妹……って言えたらいいんですけどね……」
「……?」
ハイライトシーンを眺めていると、ミカンさんからそんな質問が飛んでくる。これに対して俺は自信満々に答えようとして、途中でその勢いを落としていく。その様子に首を傾げられたので、俺はそのまま補足説明を入れていく。
「身内びいき無しで発言すると、ユウリはトレーナー経験っていうのがないんですよ。俺は師匠に特訓してもらってからの出場だったから、それなりに経験を積んで参加できたんですけど、ユウリは多分そんな期間は取っていない。ってなると、セイボリーさんやクララさんと言った経験者が多い大会だと、どうしても遅れてる部分が出て来るんですよね」
「成程……確かにポケモンバトルって経験値がものを言いますもんね、そういう意味では、今回は初心者が少ないってことですか……」
「まぁ、推薦状を貰って出てる時点で、このジムチャレンジはむしろ初心者の方が少ないんですけどね……そういう意味では、初心者なのにここまで上がってきているユウリとホップは、むしろ天才なのかもしれないですけど……」
基本的にジムリーダーたちの下で修業を積んでからここに来ている以上、参加者はそのほとんどがそこそこのキャリアを積んでいる状態で参加している。それでもなお、カブさんのところを突破できる人でさえ、半数を切る難易度。そんなチャレンジを初心者で突破しているのは才能と言っても過言ではない。そういう意味では、逆にユウリの優勝は確かに高いんだけど……
「今回ばかりは、この人がなぁ……」
俺が言葉を零しながらスマホロトムを見ると、その画面にはとある選手のハイライトシーンが流されていた。その選手の戦い方は、正直一言では言い表せない。攻撃も防御も立ち回りもすべてが高水準。そのうえでポケモンの特性をしっかり理解しており、アドリブに弱いように見せて、作戦の構築が上手いせいでその弱点を華麗にごまかし切って見せているその立ち回りは、今回の突破者の中でも明らかに頭一つとびぬけていた。
「その選手……凄いですよね。わたしも少しバトルを見たんですけど……なんというか……とにかく巧いです。この言葉だけでは全然足りないくらいには……」
「ですよね~……この番組でも紹介している通り、本線はこの選手じゃないかなぁと……」
ミカンさんと意見を合わせながらハイライトシーンをそのまま見るけど、やっぱり巧い。そんな彼のバトルを見つめながら、俺はぼそっと言葉を零す。
「フリア選手か……戦ってみたいなぁ……」
「…………フリア……?」
「……え?」
そんな俺の言葉に、今まで何の反応も示さなかったコウキさんが、初めてアクションを返した。
マサル
一方その頃。こちらはこちらで何かが起きている様子ですね。
さぁ、書きたいことも一通り書き終えましたのでいよいよ……