【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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第4章 ガラルリーグ 開幕
196話


「モスノウ!!『むしのさざめき』!!」

「フィー!!」

 

 モスノウを中心に緑色の音波が飛び交い、あらゆるものを巻き込んで荒れ狂う。

 

「ブラッキー!!『でんこうせっか』からの『あくのはどう』!!」

「ブラッ!」

 

 そんな攻撃の嵐を駆け抜ける一陣の黒い風。そんな彼から漆黒の波動が放たれて、緑の音波に負けじと進軍していく。

 

「マホイップ!!『ドレインキッス』!!」

「マホッ!!」

 

 そんな緑と黒が荒れ狂う場所に突如現れるのは、地面に伸ばされたクリームより飛び出す、甘い香りの中にほんのりミントを混ぜて漂わせるクリームの塊。彼女から放たれたピンクの光は、この両者の攻撃を仲裁するかのように飛んでいく。

 

 同時に引き起こされる爆発音と土煙。

 

「エルレイド!!『リーフブレード』!!インテレオン!!『アクアブレイク』!!ヨノワール!!『かわらわり』!!」

「エルッ!!」

「レオッ!!」

「ノワ……!」

 

 そんな音と土煙を切り裂くように飛びこむ3つの影。それらは、土煙の中心でお互いの攻撃をぶつけ合って、先程に負けないほどの衝撃音と風圧を巻き起こし、土煙とクリーム全てを弾き飛ばす。そのあまりにも激しい勢いに、ついつい目を閉じそうになるけどしっかりと前を見据える。

 

 しばらく3人による鍔迫り合いが行われるものの、程なくして全員が同時に後ろに下がることによって、鍔迫り合いも終了。全員が一定の距離を保ち、お互いを見つめ合うことで、この場を静寂がつつみ始めた。

 

「……よし、今日はここまで!!みんなお疲れ様」

 

 その静寂は、ボクの言葉によって終わりを告げ、ボクの声を聞いた瞬間に気が抜けたようにみんなからほっとしたような声が聞こえてきた。

 

「ブラー!!」

「マホー!!」

「フィー!!」

「っとと、よしよし、みんなも頑張ったね」

 

 と同時に、ボクの手持ちの中では甘えん坊よりのブラッキー、マホイップ、モスノウが飛びついて来た。全員の頭や身体を優しく撫でながらゆっくり労っていると、その後ろからヨノワールたちもやってくる。

 

「みんなも大丈夫?調子は良さそう?」

「エルエル!!」

「レオ」

「ノワ……」

 

 この3人にも確認の言葉を投げてみると、返ってきたのは元気な返事。普段あまり言葉を発さないヨノワールでさえ、今回は気合いが入っているのか言葉を返してくれた。それが嬉しくて、ボクもついつい笑顔で頷き返してしまう。

 

「みんなコンディションは抜群だね。この調子で身体を大切にして、本番を迎えよう!!」

 

 ボクの〆の一言に、みんながもう一度返事を返してくれる。そのことに満足しながら、ボクはスマホを取りだし、今日の日付を改めて確認する。そこには、ボクたちがジムチャレンジを終えて2ヶ月近くたったあとの日付が表示されていた。

 

「あと少し……もうちょっとだね」

 

 この期間は長いようで、けどヨロイ島やカンムリ雪原を駆け回っていたためとても楽しく、あっという間に過ぎていった。濃密な時間を過ごしていくことで、確かなレベルアップも果たしている。心身ともに万全と言っても差し支えないだろう。

 

 あとは、全力を出すだけだ。

 

「いよいよ始まるね。……本戦が!」

 

 今日の特訓を終えたボクの視線は、シュートシティのスタジアムの方へと向けられていた。

 

「……頑張ろう!!」

 

 そんな言葉を零しながら、ボクは胸元のにあるうしおのおこうで作られたペンダントをぎゅっと握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、フリア!!もう帰ってきてたんだな!!体調はどうなんだ?」

「ホップもお帰り!!ボクの方は大丈夫だよ。そっちこそ大丈夫?」

「おう!!いつでも戦えるぞ!!なんなら今からでも始めたいくらいだぞ!!」

「やる気満々だね~」

「あったりまえだぞ!」

 

 特訓を終えたボクは、大会本戦が近づいてきたということで、長らく過ごしていたヨロイ島とカンムリ雪原を離れていた。場所はシュートシティの『ロンド・ロゼ』。ボクたちがジムチャレンジを突破し、突破者の特典として泊まる部屋を用意された場所兼、ダンデさんにヨロイ島とカンムリ雪原に行くためのチケットを貰った場所だ。

 

 実に数ヵ月ぶりのホテルへの帰還だったのだけど、いまだに突破者として部屋を借りられていたらしく、しかもこの間にもしっかりと掃除をしてもらっていたため、帰ってきたときでさえ、連絡を入れていなかったのにいつ帰ってきてもいいように清潔さを保たれていた。本当にジムチャレンジというのを重く置いているんだなぁと改めて実感した瞬間だった。

 

 なんというか、さすがにちょっと申し訳なく思ったよね。

 

 そんなホテルに帰ってきたのは勿論ボクとホップだけではない。特訓を終えて、ホテルのロビーでホップと楽しく談笑していると、程なくしてこちらに近づいてくる影が現れる。

 

「あ!2人とも帰ってきたんだ!!」

「珍しか。むしろここに来るの一番最後と思ってたと」

 

 その影の正体はユウリとマリィ。2人ともボクたちと同じく、大会が近づいてきたのでこちらに戻ってきた次第だ。

 

「ユウリとマリィこそ、結構早めに切り上げてるよね?」

「あはは、まぁね」

「さすがに今日は早く切り上げてしまいたくなると」

「それもそっか」

 

 時計を見てみれば時間はまだ14時程を差しており、ボクたちの活動時間を考えるのなら、むしろ今から活発化するまである時間帯だ。そんな時間にこうして特訓を切り上げてここに戻ってくるのはたしかに珍しい。特に、ホップはこういう時は間違いなくギリギリまで煮詰めてしまうタイプだから、マリィたちにとっては尚更珍しい状況になっていることだろう。それだけ明日行われることに対しての緊張感と楽しみと、そこに向けての体調管理を優先したいという証左なのかもしれない。

 

「いよいよ明日からなんだぞ。そこで無様な姿なんて見せられないからな!!……やれることはやった。あとは万全の体調で望むだけだぞ!!」

 

 明日に思いを馳せながら、旅の初めと比べるとひと回りもふた回りも成長しているホップの姿に、思わず頬が緩んでしまう。一時期スランプに陥り、それでも諦めずに前を向き、ようやく自分とちゃんと向き合えるようになった彼は、明日以降も堂々とした姿で歩くことができるだろう。勿論それは ユウリとマリィも一緒だ。

 

 ユウリはおそらく見つけることが出来たであろう新しい目標に向かって。そしてマリィは地元への愛を糧に。

 

 各々が心に宿す大きな思いを目標に、大きく前進することとなる。

 

 そしてそれは、ボクにも言えることだ。

 

(ここで勝って……また挑むんだ……!!)

 

 見つめ合うみんなの瞳には、既に闘志が溢れている。明後日以降は、この瞳がさらに燃え上がるのだろう。

 

「ん……?おや、皆さんお集まりでしたか」

「お!!もうみんな集まってバチバチって感じィ?」

「いい気合いですね。その熱気、わたしにも伝わってきそうです」

「もっとも、今大会最後まで勝ち残るのはこのワタクシですがね」

 

 この闘志を抑える術が見つからないボクたちが、少し気持ちをもてあましていると、ボクらの元へ新しく4つの声が聞こえてくる。そちらの方に視線を向ければ、そこにはボクたちにとっては一時期共に旅をした仲間かつ、今回しのぎを削るライバルでもある4人の姿があった。

 

「マクワさん、お久しぶりです!!」

「クララ!元気しとう?」

「そういうサイトウさんも、凄く熱くなっているのが分かります!!」

「お、優勝宣言か!?でも、優勝は渡さないぞ!!セイボリー!!」

 

 マクワさん。クララさん。サイトウさん。そしてセイボリーさん。

 

 楽しい思い出も辛い思いでも分かちあった、ボクがガラル地方で出会った大切な仲間たち。そしてなによりも、今回のジムチャレンジを最後まで駆け抜けた、正しくガラルの未来を担う希望の花たち。

 

 今や世間の注目を集めてやまないメンバーが、今ここに集結した。

 

「フリアも元気そうでなによりですよ」

「うちは元気いっぱいだぞォ!!」

「やはり伝わってしまいますよね。まだまだわたしも甘いですね」

「ふふふ、進化したワタクシを前に、同じことが言えますかね!!」

 

 マクワさんは落ち着いた声色で、クララさんは元気いっぱいに、サイトウさんは自分に厳しくしながらも、楽しみという気持ちを抑えられないのか微笑みながら、そしてセイボリーさんは自信満々に笑いながら、それぞれ自分たちへと声をかけてくれた人に返しながら、そのまま談笑に花を咲かせていく。

 

 みんなに習って、ボクもマクワさんと久しぶりの会話を初めて行く。

 

「いよいよですね」

「ええ。明日の結果次第でどうなるのかは変わってしまいますが、どう転んでも恨みっこ無しで行きましょう」

「当然です!!ぶつかる時は……本気で行きます!!」

「ええ」

 

 キルクスタウンで別れて以来のマクワさんとの再会は、とてもメラメラしたものとなった。普段の立ち回りや言動が割とクール寄りなマクワさんにしては、感情が多分に含まれた言動だったため、ボクもつられて熱くなってしまう。

 

「兎にも角にも、まずは明日、ですね」

「はい。ボクも今からどうなるのか楽しみです」

 

 ボクたちの会話で出て来る『明日』という発言。これは明日、ボクたちにとって大事な要件があるからだ。

 

 その用件の名前は、トーナメント抽選。

 

 ジムチャレンジの期限の締め切りが今日の15時……つまりあと1時間後となっており、終了時間到達と同時にジムチャレンジ突破者が改めて発表。それが終わった次の日に、突破者を集めて全員の軽い紹介をし、そしてトーナメントの抽選という流れの式を行うことになっている。

 

 そう、このトーナメント抽選の結果によって、今ここにいる8人がどうぶつかり合うかが決まってしまう。そんな重大なことを、ここにいるメンバーが気にならないわけがない。ボクたちがそわそわして、練習を早めに切ったのはこれが理由だ。

 

 勿論、まだジムチャレンジは終わっていないためここからまだ人数が増える可能性はある。けど、セイボリーさんとサイトウさんの突破の知らせを見て以降、残念ながら他の突破者が出たという知らせは何1つ入ってきていない。もっと言えば、ボクたちとセイボリーさんたちの間にも突破者がいたという話も全く聞かないので、ボクの情報にぬけがなければ、ここにいる8人だけが今のジムチャレンジの突破者だと思われる。

 

 どうでもいいけど、突破者が全員自分の知り合いというのはちょっと面白いよね。

 

「おいおい!2人で盛り上がるんじゃないぞ!!オレとも当たったら全力バトルだぞ!!」

「わ、私だって!!」

「あたしも、手加減は抜きと」

「わかってるよ。そんなことできる相手とも思っていないから……!!」

「「「……」」」

 

 ボクが真面目な顔をして返すと、ユウリたちも少し嬉しそうに、けど表情を引き締めてこちらを見つめてくれた。それだけボクのことを1つの壁としてみてくれているという事だろうか。

 

(その思いには……ちゃんと応えないとね……)

 

 応えられる余裕があるかどうかは、若干怪しくはあるけどね。

 

「っと、そろそろ時間ですね」

 

 そんなこんなで、みんなでいろいろ話していると、サイトウさんがスマホロトムを確認しながらぼそっと言葉を零す。それにつられて、各々が手持ちの時間を確認できるものに目を通すと、確かにサイトウさんの言う通り、時刻がちょうど15時をお知らせした。

 

 それと同時に、ホテルのロビーから確認できるテレビや、街のいたるところにある放送器具から、速報が流れだす。

 

『皆さんこんにちは!!たったいま15時を訪れたことをお知らせします。そして、この時間を持ちまして、今年のジムチャレンジの終了を宣言します!!ジムチャレンジに挑戦した皆様、お疲れ様でした!!突破できなかった方も、ジムチャレンジは来年以降も開催されるので、奮ってご参加ください!!』

 

 聞こえてくるアナウンスはジムチャレンジ終了のお知らせ。このお知らせが流れると同時に、テレビの画面にはボクたち8人の顔写真が並べられる。

 

『さて、ではそんな波乱なジムチャレンジを乗り越えたジムチャレンジャーを軽く紹介しましょう!!本格的な紹介は明日の抽選会場にて行うので、あくまで軽くですが、ひとまずは、ここまで残った選手がどんな凄い人なのかをそれとなく知っていただけたら━━』

 

「ひとまず、本選進出者は決まったね」

 

 とうとう訪れたジムチャレンジの終了時間。それと共に紹介された、突破者である8人の姿は、前情報通りここにいる全員だけだった。やっぱり、ボクたち以外にジムチャレンジを乗り越えられた人はいなかったらしい。みんなでそのことを理解したら、今度は全員で顔を合わせる。

 

「やはり突破者はワタクシたちだけの様子……ふふふ、いいでしょう。相手にとって不足はありません!!」

「全力をもってぶつからせていただきます」

 

 セイボリーさんとサイトウさんの声に無言でなずくボクたち。

 

「みんな……悔いのないバトルをしよう」

 

 ボクたちの冒険の、一番の山場まで、あと少しのところまで迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいヒカリ!!早くしないと始まっちまうぞ!!」

「ああもう!!どっかの誰かが皿も洗濯物もとっ散らかして片づけないからでしょ!!」

「はいはい、間に合ったんだからヒカリも落ち着きましょ」

「全く……テレビくらい静かに見ればいいのに……」

「とりあえず付けますよ」

 

 フリアたちが本戦が近づいているということでフリーズ村を旅立って数日後。今日はいよいよ大会の組み合わせ抽選日だ。オレたちの親友であるフリアたちが出場し、そしてぶつかり合うガラル地方で一番盛り上がる大会。本当は現地で見たかったが、こちらでいろいろやることがあったため、残念ながら抽選会はテレビ視聴となった。その代わり、試合は絶対現地で見れるのでよしとしておこう。

 

 さて、このトーナメントだが、これはオレがシロナさんについてホウエン地方を回り、たくさん修行してきたのに対して、フリアがしてきた旅の集大成が発揮される大事な大会だ。ここでの結果如何では、フリアがどこまで成長し、先に行ってしまったコウキにどこまで通用するかの指標が見えてくる。……いや、フリアの実力という点で言えば、ヨロイ島とカンムリ雪原を一緒に巡っていたため何となくは分かっている。けど、問題はその実力でどこまで通用するかという話だ。

 

 ガラル地方のチャンピオンであるダンデさんがどこまでの実力かは詳しくはわからない。けど、いち地方のチャンピオンというだけあって、コウキの実力と比べても遜色ないレベルのトレーナーであることに間違いはない。そんなチャンピオンに、成長したフリアはどこまで喰らいつけるのか。いや、そもそも辿り着くことが出来るのか。たどり着くまでに誰と戦うことになるのか。そんな、フリアにとって人生の分帰路の1つと言ってもいいほどの大きな腕試しの場なのに、気にならないわけがない。

 

「どんなトーナメント表になるかしらね」

「さぁな~……でも、誰と当たっても面白いカードにはなりそうだよな!!」

 

 テレビに映し出されている、まだ誰も名前が埋まっていないトーナメント表を見ながらオレに質問を投げかけて来るヒカリ。それに対してオレは素直な解答を返した。確かにこの大会は、フリアの目的という点ではとても重要なポイントだ。けど、それとは別にオレのいちトレーナーとしての純粋な興味が、知り合い同士の熱い戦いを求めていたりする。

 

 フリア以外はヨロイ島で初めて会う人たちばかりだったけど、みんながみんな素晴らしいトレーナーだ。どんなカードになったとしても、間違いなく全てが見応えのあるカードになる。まぁ勿論、そんな中でも起きて欲しいカードというものは存在するにはするけどな。

 

「オレ的には、フリアとホップの試合が気になるんだよなぁ……ヒカリはどうだ?」

「わたしはクララとマリィかしらね。なかなか癖の強そうなバトルが起きそうよ」

 

 自分の中で気になるマッチアップを挙げていると、ヒカリも乗ってくれる。やっぱりこういう場ではこの手の話題はどうしても巻き起こるものだろう。当然シロナさんたちもそれぞれ気になるものはあるようで、オレとヒカリの会話の後に続くように意見をくれる。

 

「わたくしはクララ様とセイボリー様の対決でしょうか。お互い同門ということもあって、よく知っている相手だと思います。それゆえの立ち回りというのも、見ていて面白そうに思います」

「あたくしは、フリア以外なら、しいて言えばセイボリーの試合が見れれば相手は誰でも……エスパー使いみたいだし……その中では特にマリィとぶつかった時かしら……あくタイプ相手にどう動くのかしらね……」

「私もカトレアのように、どれかひとつの組み合わせと言われるとなかなか挙げづらいものがあるわね……。気になる点で言えば、今回の大会はマリィやクララのようなタイプのエキスパートと、フリアやユウリのようなマルチタイプ使いが、少し傾きはあるけどだいたい半々に別れているわ。この辺りの違いについては、1つの注目ポイントになりそうね」

「なるほど……」

 

 ポケモン界全体を見ても、おそらく上から数えてすぐに名前が上がるであろう3人の話を聞いて頷くオレ。感覚的なもので選んでいるオレと違って、しっかりと何かを見据えたり、予想したりした上で楽しみにしているあたり、もしかしたらおおよその順位予想は終わっているのかもしれない。この辺りはさすがに経験と観察力の差を感じさせられた。『オレも成長しているとはいえ、まだまだだな~』なんて思っていると、オレの頷きに対して、シロナさんが『ただ……』と言葉を続けたので、オレは勿論、ヒカリたちも耳をすませて、その続きの言葉を待つ。

 

「やはり、1番みんなが気になっているのは、フリアとユウリのバトルじゃないかしら?」

「……」

 

 シロナさんの言葉にオレたちは反応を返さない。けどこれは無視している訳ではなく、シロナさんの言葉と同時に抽選が始まり、トーナメントに名前が埋まり始めたからだ。決してこのマッチアップを見たくない訳では無い。いや、むしろシロナさんの言う通り、1番気になるカードだ。なんせ、ユウリの中に眠っている才能……あれは間違いなく、チャンピオンへと届きうるそれだから。

 

 バドレックスの件から今日まで、特訓期間としてユウリと何回かバトルをしたんだが、最初こそはオレが普通に勝っていた。けど、ある程度戦ったあたりから、どんどんユウリの動きが洗練されていき、オレの動きが読まれ始める。それでも負けるまでは行かなかったが、特訓最終日近くまで行ったら、ユウリのポケモンたちがさらに洗練され、急所狙いや根性耐えを見せ始めたりもした。

 

 その動きは、まるでコウキの動きを見ているようで。

 

 そんな才能を開花させ始めているユウリと、才能を開花させた先の人間を目標としているフリア。その構図は何処か運命めいたものを感じる。だからこそ、この2人のぶつかり合いはここにいる全員が気になるカードとなっていた。

 

「たしかに気にはなるけど……わたし的にはそのカードは決勝でして欲しいわね」

「そこは同感ね。……もっとも、ここまできたらどのカードも決勝と言われてもおかしくないくらいのハイレベルなものになるでしょうけどね」

「他の地方と違って、このトーナメントにエントリーすること自体が難しいですからね。自然と出場者の強さというのも、高くなりますよ」

 

 ヒカリ、シロナさん、コクランさんと続いた言葉を皮切りに、話題が二転三転と移り変わっていき、さらに盛り上がっていく。その間もオレたちはテレビから目を離すことはなく、トーナメントに埋まっていく名前1つ1つに反応していった。

 

『最後に突破したセイボリー選手とサイトウ選手の名前をトーナメントに配置し……さぁ決まりました!!これが今回のトーナメント表となります!!』

 

 ジムチャレンジを突破した順に、くじ引きによって名前を埋められたトーナメントは、8人しかいないということもあってすぐに埋まることとなる。とはいっても、ガラル地方の人にとっては、8人でも多いみたいだから、少し長く感じていたかもしれないが……とにかく、そんなことよりも今注目するべきはトーナメント表だ。

 

 結果はこうなった。

 

 

 1回戦

 

 第1試合 フリアVSマクワ

 

 第2試合 セイボリーVSクララ

 

 第3試合 ホップVSマリィ

 

 第4試合 ユウリVSサイトウ

 

 ここから、1試合と2試合の勝者と、3、4試合の勝者が決勝をかけてぶつかり合い、その勝者同士で、決勝を行うという形だ。

 

 オレたちの意見が通ったカードもあれば、そうでもないカードもある。だけど、やっぱり一番目が行ったのは、あの部分だろう。

 

(なんか……この組み合わせは変な運命を感じるな……)

 

 このトーナメント表を見て、オレの心は少し不思議な感覚に襲われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジムチャレンジ終了

ジムチャレンジが終了しましたね。実機では突破者4人でしたが、このお話では倍の8人です。設定上ではこの人数は多いと言っても差し支えない気がします。……しかし、こうしてみると、トーナメントはかなり組みづらいですよね。中途半端な人数ならどうなっていたのでしょう?リーグ戦、もしくは、スイスドロー形式にでもするのですかね?

トーナメント

というわけで内訳はこうなりました。組み合わせ理由は割とシャッフルをしていたり、してなかったりしています。さぁ、どのようなバトルになるのでしょうかね?ちなみに、もう一つの案として、ダブルイリミネーション制にするのも考えたのですが、さすがに長くなりすぎな気がしたのでやめました。この方がドラマは生まれそうなんですけどね……




ジムチャレンジが終わり、DLCも終わり……この話も大分佳境まで来ましたね。とはいってもまだまだ簡単には終わりそうにないので、もう少しお付き合いいただけたらと思います。




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