【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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2話

 空は快晴。

 

 ただひとつの曇もなく絶好の旅立ち日和だ。

 

 高らかに空を飛ぶ飛行機の窓から見える景色も雲はひとつもなく、日光を反射する海が煌めいていて冒険の門出を祝っているようにも感じる。

 

 海面から体を見せるホエルオーが吹いた潮が虹を作り、そのアーチを数多のキャモメやぺリッパー達が、海面ではマンタイン、タマンタの群れが華麗に飛びまわる姿はさながら自然の大サーカスで見ているだけで心奪われる景色。そんな景色を現在進行形で窓から覗いているボク。そんなボクの現在のテンションは……

 

「はぁ……」

 

 既に暗雲が立ちこめていた。

 

「うぅ……聞いてないよぅ……」

 

 隣の人に迷惑にならないように小声で愚痴を零す。

 

 なんでこんなことになっているかと言うと現在のボクの腰のホルダーにあるボールが原因だった。

 

 シンオウ地方を巡ってたボクは当然……って言葉が正しいかはわかんないけどポケモンリーグより決められている対戦で戦わせる上限である6匹のポケモン全員をしっかりと仲間にしていて冒険していた。

 

 辛い時も楽しい時も一緒に乗り越えたかけがえのない相棒たち。

 

 ボクが何よりも信頼していた仲間たちなんだけど……現在のボクの腰のホルダーにはボールは一つだけ……

 

 というのもどうやらガラル地方、ひいてはワイルドエリア……ナナカマド博士も言っていた大自然。この魅力をガラル地方側もしっかりと理解しているのかその保護に大きな力を注ぎ込んでいるらしく特別な理由でもない限りガラル地方にて生息が確認されていないポケモンが来るのを制限しているみたいで、また近々ガラル地方にて大きなイベントがあることもありいつも以上に制限がかかっている時期と重なったためその例に漏れずボクにも制限というか検問というかそういうのがかかった。

 

 別にそこまでは問題じゃなかった。現に他の地方では人が逃がしたポケモンによって生態系が大きく変わって問題になった地域があると言うし大自然を売りにしている以上そういったところに神経質になるのは分からない話でもない。

 

 だけど……そうだとしても……

 

「なんでボクの手持ちのほとんどがガラルに居ないのさぁ……」

 

 ボクが仲間にしていた自慢の子達6匹。そのうちまさかの5匹がガラル地方にて生息が確認されていない種類で泣く泣く自宅に送り親に預かってもらうことに……

 

 ナナカマド博士に苦情の電話を入れるものの帰ってきた言葉は……

 

『そういえば忘れておったな。はっはっはっは』

 

(はっはっはっじゃないっつーの!!)

 

 飛行機の中だから迷惑になるから心の中で声を荒らげる。

 

 いや、だけどこれはボクの気持ちをわかって欲しい。

 

 せっかくまたみんなと新しい冒険に行けると思ったらダメだと言われた時の喪失感半端じゃないんだよ!?比喩なんかじゃなく自分の半身が消えた気がしてならない……。そして何よりも不安感が強くてやばい……いつも頼りにしてる皆がいなくなった瞬間がこんなにも寂しくて不安だとは……

 

 大切なものは無くして初めてその大切さを感じるとは聞くけど想像以上だよこれ……。

 

「はぁ……」

 

 もう何度目か数えるのも億劫になるほどの数のため息を吐きながらボクは空の旅を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ✩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぇ〜……すっご……」

 

 空の旅を続けること十数時間。久しぶりに地に足をつけて見た景色にボクは圧倒されていた。

 

 ずっと座り続けて凝った体をほぐそうとぐ〜っと伸びをした時にまず目に入ったのは天を突かんとするほど大きくそびえ立った近代的な塔。

 

 エメラルド色の龍が巻きついているかのようなデザインは見るものの目を引き付けてやまない。

 

 飛行機内での暇な時間でパンフレットを読んでいたのでこの塔の事はなんとなくは分かっているんだけど、どうやらローズタワーという建物らしい。そしてそのローズタワーを囲むかのように観覧車やモノレールといった未来感あふれる建造物が並んでいる。

 

 まるでテーマパークのようなその外観のさらに外回りには大きな川を挟んで、ガラル地方の文化を感じるような住宅街や公園、他にも喫茶店やブディックが並んでおり、東側には大きなスタジアム、西側には大きな時計台、ホテル等々が建っており、シンオウ地方で1番大きいと言われているコトブキシティなんかとは比にならないくらい大きく派手な街並みは、しかしながらも住人の良さの表れか隅々まで綺麗で一種の芸術のようにも見える。

 

 シュートシティ。

 

 このガラル地方で1番の都市であり、計画的に作られた大都市だ。

 

「コトブキシティに初めて行った時にも都会ってすごいって感想が出てきたけど……申し訳ないんだけどコトブキシティが米粒に見えちゃうほど凄い……」

 

 田舎者感が凄くなるから多分こういう時ってキョロキョロしない方がいいんだろうけど……これだけすごい街並みを見せられたらするなって言う方が難しいよね……

 

「こんなの、ジュンが見たら大はしゃぎしそう……あのブディックなんかはヒカリが飛びつきそうだし……あ、あの喫茶店のおすすめコウキの好きなやつだ。……みんなを誘ってきたくなっちゃうなぁ」

 

 見るところが多すぎて次々と目移りしてしまう。……ってこんなことしてる場合じゃなくて!!

 

「気になるところは多いけどまずはやることやらないと!!」

 

 後ろ髪を引かれる思いを感じながらもとりあえずは目的地を優先しよう。観光とか冒険は届け物を渡してからでも遅くは無いはずだ。

 

「えっと、届ける場所……マグノリア博士の研究所は……」

 

 空港で手に入れた地図を開きながら目的地と現在地を見つけておく。

 

「シュートシティが1番北でマグノリア博士の研究所はブラッシータウンってところだから……うーん、ほとんど反対か〜。ガラル地方縦断の旅じゃん」

 

 ガラル地方自体が縦長なせいで余計に遠く見えるその距離に若干うんざりしてしまう。何故もっと真ん中辺りに空港を作らなかったのか……

 

「うーん、ここから直ぐに目的地に行くとなると……そらとぶタクシーって言うのが1番早い……?って値段高い!?」

 

 まぁタクシーで端から端までと考えたら妥当な値段なのかもしれないけど……パンフレットに書いてある値段は旅をしている少年の懐事情にはなかなか厳しいものがあり、しかもふとタクシーの停留所を見てみると長蛇の列。1時間とまでは行かないだろうけどかなりの時間を待たないと乗ることが出来なさそうだ。

 

 タクシーの全体像を見てみると大雑把に言うと大きな籠を1匹の大きな鳥ポケモンが掴んで飛ぶというもの。広さもそんなにないから一度に運べるのも多分2人くらいが限界なところを見ると、なるほど列ができてしまうのも無理はない。タクシーの数自体少なそうだしね。

 

 じゃあ自分で飛べるポケモンに乗ればいいのでは?と思うかもだけどここは他の地方と違って空を飛ぶのに免許がいるそうで……というのも一番の理由はワイルドエリア。

 

 このワイルドエリア、大自然故に魅力もあるけど脅威も多く、さっきまで快晴だったのに数分歩くと豪雪地帯に、さらに数分歩くと砂嵐に……といった感じで天候がデタラメに変わってしまうらしい。そのため上空の気流も滅茶苦茶で他の地方の感覚で空を飛ぶと間違いなく事故が起きる。そのための免許制。

 

 成程と納得する反面ワイルドエリアのヤバさが脳内で積もっていく。

 

「まぁ、例え空飛べるとしても今の手持ちだと飛べる子いないんだけど……いや、出来なくはないんだろうけど負担が……」

 

 とりあえず空路は無し。なら陸路になるんだけど……

 

「シュートシティ駅から地下鉄が出ててこれに乗れば5駅くらいか……これしかないかなぁ」

 

 懐事情と時間を考えても恐らくこれがベスト。線路が複雑という訳でもないから旅行者のボクでも迷うことはないだろう。

 

「……それにしても列車かぁ。初めて乗るかも」

 

 シンオウ地方では少なくとも見かけなかったはず……だしボク自身旅に列車は使ってない。緊張半分、ワクワク半分の気持ちでボクは改札を抜けて地下鉄へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここ何処??」

 

 迷うことは無いと言ったな。ごめん、あれは嘘だ。

 

 違うんだこれには訳があってだね……??

 

 列車に乗り心地よい揺れと初めて見る景色に感心しながら揺られること数十分。旅の疲れから少しウトウトしていた時だった。

 

 急にかかるブレーキに少し不機嫌になりながら目を開ける。

 

 何かあったのかなと車内アナウンスに耳を傾けると……どうも線路の途中でカビゴン達が昼寝を始めてしまい通行が出来なくなってしまったんだとか。

 

 倒すのは可哀想だし動かすにしても数が多く、いつ起きるのかも分からないとの事だったので仕方なく途中下車をして歩いてブラッシータウンへ行くことに。幸いにもかなり近くまでは来ているらしく、土地勘のないボクでも歩いて行けるだろうとふんで出発した。その結果が……

 

「何ここ……怖い……」

 

 辺り一面においしげる森と濃霧。

 

 地図を確認して車掌さんにも聞いて見るとブラッシータウンへの1番近い道が森を抜けるルートだったのでいざ行ってみたらこの有様。

 

 視界は悪く足元の草も生い茂っていて見づらい。何よりも怖いのが何故か見える範囲、感じる範囲にポケモンが全然いないことだ。ここまで雰囲気出ているのはもりのようかん以来だろうか……

 

「うぅ、なんか急に襲われそうな雰囲気……やだなぁ……」

 

 腰に提げている現在唯一の相棒にそっと手を添えて何時でも戦える準備をしておく。視覚には頼れないから聴覚を研ぎ澄まして……

 

『………ェェ…』

『………ゥ……』

 

「……?」

 

 かすかに聞こえるなにかの声。

 

(距離はあまり離れていなさそう……?もし人がいるなら助かるかもしれないし行く価値はありそう、かな?)

 

 そもそも右も左も分からないこの状況。縋れるものはなんにだって縋りたい。

 

 足元と周りに注意しながらも少しずつ声のする方向へ足を進める。濃霧ながらもかすかに視界の隅に映る木の陰でどれくらい動いてるかを確認しながら歩いていくと段々と明らかに生き物の陰が見えてきた。

 

「……メェェェ」

「……メソォゥ」

 

「ポケモン……?」

 

 さらに近づくと見えた陰は2匹のポケモン。

 

 1匹はメリープのような見た目のポケモンであと1匹は水色の小さい四足歩行のポケモン。高さだけで見ればイーブイと同じくらいだろうか?どちらもシンオウ地方にはいなかった初めてみるポケモンだ。

 

「どんな子なんだろう?」

 

 気になっていつもの癖でついついポケモン図鑑をかざすけど出てきた文字は該当ポケモン無し。

 

「ああ、しまった……ポケモン図鑑のアップデートしてないからボクの図鑑だとここの地方特有のポケモン調べられない……仕方ないから自分の感覚でしっかり学んでみよっかな……そのためにも……」

 

 もうちょっと近くで観察しようかななんて思いながらまた少しずつ足を進めている。その時……

 

 バサバサバサッ

 

(!?)

 

 なにかが大きく羽ばたきながらこちらに飛んでくる音を聞き取る。

 

 体は無意識に駆け出しており、いきなり走り出したことによって起きる大きな音に目の前の2匹のポケモンが驚くような素振りを見せるけどそれを無視して飛びつき、2匹のポケモンを抱えながらその場を転がって離脱。と同時に先程までボク達がいたところを黒く大きな陰が通り過ぎる。

 

「大丈夫!?」

「メェェ……」

「メソ……」

 

 少し見える擦り傷にきずぐすりを使ってあげようかと考えたけどおそらく間に合わないと判断してオレンのみを2匹に渡してボク自身は直ぐに振り返り襲撃者に備える。

 

「あのポケモンは……あ!」

 

 ここに来てようやくその正体に気づく。

 

(あれは確かそらとぶタクシーの籠を運んでいたポケモンだ……)

 

 こうしてよく見ると黒色で大きなこの鳥はどこか鎧を纏ったように見える。エアームドのようにはがね・ひこうタイプだろうか?

 

(とりあえず応戦を……)

 

『ウルォーーーード!!』

 

「!?」

 

 モンスターボールを投げようとした瞬間響き渡るとてつもなく大きな遠吠え。その大きさと他者を圧倒する謎のプレッシャーを放つそれは瞬く間に広がり、ボクの身体中を這って行く。

 

(な、なにこれっ!?まるであの時のような……ッ!?)

 

 気づけば目の前から黒い鳥は消え、代わりにふたつの陰が現れる。それぞれシアン色とマゼンダ色の四足のポケモンらしき生き物が佇んでいた。

 

(この子達は……まるであの子達と対面したような空気だ。もしかして……っ!?)

 

 頭の中で色々考えている間に1歩、また1歩とこちらに近づく2匹のポケモン。プレッシャーに気圧されそうだけどそれに負けずに何とか踏ん張り、既に萎縮して怯えてしまっている後ろの子達の盾とならんと体を前に出し立ち塞がる。

 

「何者かはわかんないけど、この子達は傷つけさせないよ!!」

 

「「…………」」

 

 自分を奮い立たせるように大声を上げながら対面する。振り絞るボクに対して向こう側はひたすらこちらをじっと見つめている。

 

 そのまま両者動かずにいる。そんなに長い間では無いはずなのに無限の時間に感じる。

 

 そしてしばらくして……

 

「「……」」

 

 さらに深くなっていく霧の中、2匹のポケモンがその濃霧の奥へと帰って行った。

 

「…………はぁぁぁぁ、何もしてないはずなのに無茶苦茶疲れた……なんだったんだろ今のポケモン……いや、そもそもポケモンだったのかな……?」

 

 徐々に霧が晴れていき、消えた先に視線を向けても何もいなく先程の押しつぶすようなプレッシャーも無くなっていた。

 

「とりあえず一難去ってと……っと、大丈夫?」

 

 振り返って先程オレンのみを渡した2匹のポケモンの様子を見る。やっぱりと言うべきかプレッシャーによる緊張感のせいか一口も食べれていない状態だった。

 

「そりゃそうだよね……ちょっとまっててね。今手当してあげるから」

 

 未だに脅えている2匹を撫でて落ち着かせながらきずぐすりを使って癒していく。

 

「もう大丈夫だよ。よしよし、頑張ったね」

 

 テキパキと治療と緊張を解すための触れ合い(ポケリフレ)を行うこと数分。とりあえずほぼ完治させることができ、落ち着きを取り戻した2匹のポケモンを保護に成功。

 

「さて、あとはこの森を抜けるだけなんだけど……ってちょっと!?」

 

 これからどうするかを考えようとした途端にメリープみたいなポケモンがコロコロ転がりながらどこか行こうとするので慌てて追いかける。マシになったとはいえ霧がかかっているのに変わりはないので見失わないようにするのに必死だ。だからと言ってこの子の移動がどこか迷いのない帰巣本能に則ったような動きに見えたので止めるよりかはついて行く方が良さそうな気がする……。

 

(とりあえず、この子に道案内は任せて見よう)

 

 ちなみにもう1匹の水色の子はボクの頭の上に乗っかっている。治療やポケリフレのかいもあってかすっかりと警戒心を解いてくれているのかな。

 

(なんか可愛い……)

 

 ちょっと昔を思い出す光景ではあるね。

 

 ちょっぴりほのぼのしながら進んでいく森の中。少しずつだけど確かに霧が晴れていくのが分かる。

 

(おお、凄い。ホントに森から抜けられそうだ……ん?)

 

 見晴らしが良くなり森の終わりも見えようかと言う時。また新しく2つの陰が見え始める。またポケモンがいるのかな?と思ったら目の前を転がるポケモンが急にスピードを上げて陰に近寄っていく。

 

「あ、ちょ、ちょっと待って!……て、人!?」

 

 倒れている2人の人間。

 

 今度こそ間違いなく人だ。念願の人だけど2人とも気を失っているのかピクリとも動かない。もしかしたらなにか危ない状態なのかもしれない。

 

 慌てて駆け寄って状態を確認してみる。

 

 倒れていたのは男の子1人と女の子1人。

 

 男の子の方は少し褐色めの肌に黒のインナーシャツにボア付きデニムジャケット、トラックパンツを着ており、パッと見の印象はなんかモコモコしている感じ。対して女の子の方はピンクのワンピースにニット生地の緑のベレー帽とグレーのパーカーを着ている子だ。2人とも歳は同じくらいかな?

 

(……うん、ただただ気を失ってるだけ、かな?特におかしな所とか見当たらないし……)

 

 医者じゃないからなんとも言えないけど多分大丈夫……だと思う。

 

(とりあえずこの人たちが起きるまで見守ってあげよっか)

 

 出口を聞きたいのはもちろんのこと、さっきからメリープ似のポケモンが2人に突っかかっているあたり、もしかしたらどちらかの手持ちの子かもしれない。

 

 さすがに地べたに寝かせたままはしのびないので葉っぱを集めて簡易的なベッドを作ってそこに2人を寝かせてあげて……なんてことをして待っていたら遠くから声が聞こえた。

 

『お〜い……ホップ〜、ユウリ〜、どこだ〜!!』

 

 遠くまで響く低い男性の少し焦ったような声。

 

 この2人の保護者か何かかな?と当たりをつけたボクは返した方がいいと判断して声をあげる。

 

「すみませーん!!こっちです!!誰かいるのなら助けてください〜!!」

 

『っ!?今行くぞ!!』

 

 こちらの声が届いたみたいで徐々に足音も聞こえてくる。

 

 やがてみえてくる人影は褐色めの肌に赤いマントを羽織り、その下に黒の上と白の下のユニフォームのようなものに身を包んだ菫色のロングヘアーと金色の瞳が特徴の、どこかここに倒れている男の子の方に似た見た目の人だった。お兄さんか何かかな?

 

「ホップ!ユウリ!……大丈夫そうだな。……君は?」

「えっと、ボクはフリアと言います。この森で迷ってたらこの子たちに出会って……そしたらこの子たちがこの2人のところまで案内してくれて……」

「ウールー……それにメッソンも。そうか、君が保護してくれたんだな。オレの名前はダンデ。ありがとう。2匹と2人を助けてくれて」

 

 ダンデさんが挨拶とお礼を言いながら手を出してくるので答えるように返し握手。とても大きくガッシリとして、けどどこか温かみのあるその手はなんだかお父さんを少し思い出した。

 

 ……今更だけどようやくこの子達の名前がわかった。

 

 コロコロ転がってたのがウールーで頭に乗ってる子がメッソンみたいだ。

 

「いえいえ。ボクも森で迷っていた時にウールーに道案内してもらったので……ありがとね」

 

 ウールーの頭を撫でながらお礼を言う。どことなくウールーも嬉しそうだ。

 

「あ、もしかして2匹ともダンデさんの手持ちだったりしましたか?」

「メッソンはオレの手持ちだがウールーは違うな。この近くの町に住んでいる子だ」

「そうなんですね。じゃあメッソン。頭から降りよっか」

 

 頭上に今だにへばりついているポケモンに声をかける。さすがに持ち主がいる今このまま頭の上に載せておくのはあまり良くないと思い下ろそうとするけどどこか少し抵抗を感じる。どうしたんだろう……?

 

「メッソン……?」

「……ふむ」

 

 一向に動く気配を見せないメッソンに少し疑問を持っているとダンデさんがなにか考えるような素振りを見せたあと懐からモンスターボールを取り出す。

 

「メッソン、戻るんだ。……すまないねフリア君。どうやらこの森での出来事が相当怖かったみたいだ」

 

 モンスターボールから伸びるリターンレーザーを当てメッソンを戻した後もボールを見つめながら喋るダンデさん。そのモンスターボールはかすかに震えていた。そんなに怖かったのだろうか……

 

(だとしたらもう少しちゃんとポケリフレしてあげたら良かったなぁ……悪いことしちゃったや……)

 

 ポケモンとの触れ合いには割と自信があっただけにまぁちょっとショックはあるよね……。

 

「……フリア君」

「はい、なんでしょう?」

 

 少し後悔と申し訳なさを感じながらダンデさんの方を向くとどこか何かを決意したような表情をしていた。

 

(……本当になんだろう?)

 

 まるで心当たりないので少し怖いのだけど……

 

「もし君が良ければなんだが、是非とも━━」

「んん……んうっ」

「「!?」」

 

 続きを話すダンデさんの言葉を遮るように響く呻き声。急に聞こえた声に2人して少し驚いてしまい、慌てて声の聞こえた方に視線を向ける。

 

「ん……ぅ、ウールー!!」

 

 呻き声をあげていたのは男の子の方で(多分ダンデさんがホップと呼んだ方……かな?)視線を向けたと同時にウールーの名前を叫びながら上体を勢いよく起こした。

 

 どうやら気絶から目が覚めたらしい。

 

 とりあえず良かったとホッとしながらボクとダンデさんはひとまず話を中断して、ホップ君?の方へと近づいて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ポケモン制限

悩んだ設定その1。
ガラル出身キャラにするよりも他の地方から来ましたの方が書きやすいかなと。
そうなると手持ちをどうするかですがだからといってせっかく書くならガラル地方のポケモンをしっかり書きたかったので。
ちゃんとシンオウ地方での手持ちも決めてあるのでそのうちに……
連れてきた1匹は誰なんでしょうかね。

まどろみの森

アニメでサトシとゴウが列車から降りた時の進行方向見て右手が森。そのままその森がまどろみの森だったので線路の位置的にはギリギリ入れるのではないかなと。
ゲームのマップでは全然近くはないんですけど……。
個人的にワイルドエリアとの兼ね合いもあってボクの頭の中ではゲームマップのブラッシータウンよりのトンネルに入る前に止まったイメージです。

ポケモン図鑑

ゲーム的にはアプデしないと分からないので現在はガラルのポケモンはわからないです。
でもポケモンを捕まえた時のIDは多分図鑑のIDのはずなので図鑑自体は常にネットにつながってそうなものだけど……でももしそうなら勝手にアプデされてそう?うーん。

メッソン

この時点で何人かの手持ちが一部明かされてるようなものですね?








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