「『ねらいうち』!!」
「『ラスターカノン』!!」
どっしりと構えるアマルルガの周りを翻弄するかのように走り回りながら、指先から次々と水の弾丸を放っていくインテレオン。自慢の素早さを存分に生かしたその戦法は、しかしマクワさんの的確な指示によってしっかりと撃ち落とされていく。
お互い致命打のない膠着状態が続くが、そうなってくると地味ダメージを貰うのはこちら側だ。ステルスロックが空中にある兼ね合いで、場に出た瞬間と比べれば少ないが、それでも激しく動く度に傷を負ってしまう。戦いが長引けば、ダメージを多く負うのはこっちになってしまうだろう。
しかし、何も悲観することばかりな訳では無い。
確かに現状場は膠着しているけど、手数は明らかにこちらが上回っている。今はマクワさんの手腕で辛うじてさばけてはいるが、アマルルガの辛そうな表情が、この状況を長く持たせられないことを物語っているように感じた。
アマルルガが堪えきれないのが先か、はたまた、インテレオンがスリップダメージで倒れるのが先か。
先程の大技同士のぶつかり合いから一転し、ジリジリした戦いが続く今回は、このまま行けば時間が解決することだろう。現上維持をすれば、およそ半分くらいの確率で勝つことは出来る。
けど、ボクもマクワさんも、そんな消極的なことは望んでなんか居ない。
「アマルルガ!!『ラスターカノン』をばらまいてください!!」
先に仕掛けたのはマクワさん
「インテレオン!!『アクアブレイク』!!」
撒き散らされたラスターカノンは、周りに浮くステルスロックに反射してインテレオンを四方八方から襲っていく。
ステルスロックを利用した集中攻撃。これはマクワさんがメロンさんとの戦いで見せた戦い方だ。相変わらず凄い精度と弾幕でこちらを狙ってくるけど、これは一度目にしたコンボ。故に、まだ冷静に対処できる。
「後ろから3発と上から2発。左右から1発ずつ!!」
冷静にどの弾がどのようにしてこちらを襲うかを見極めたボクは、インテレオンに飛んでくる順番を伝える。すると、インテレオンもアクアブレイクを振り抜いて、的確に技を弾いていく。
後ろからの弾は身体を右に回転させ、尻尾を薙いで弾き、上からの弾はサマーソルトをしながら両足のアクアブレイクで。そして最後の左右からは、サマーソルト後の着地した瞬間にすぐに両腕を左右に突き出して、両手のアクアブレイクをラスターカノンと当たると同時に爆発させることで全て弾き切る。
「次はこっちの番!!『ねらいうち』!!」
ラスターカノンを全て弾いたことを確認したボクはすぐさま攻めへ移行。最後のアクアブレイクの時に突き出した両手を、そのまま銃の形に変えて、その場で狙い撃ちを発射。インテレオンから左右に飛んで行った水の弾丸は、まるでラスターカノンが逆再生したかのような軌道を取ってアマルルガに飛んでいく。それも、頭の上からと真後ろからという、身体が大きく、かつ機動力に難があるアマルルガにとってなかなか対処しづらい方向から攻撃が迫って行った。
「真上に『ラスターカノン』です!!」
しかしマクワさんは動揺しない。下手に全部防ごうとしても絶対に上手くいかない。それをわかっているマクワさんは、素早く対処出来る方に絞って、そちらの攻撃を防ぐように指示。
真上に打ち出された鈍色の弾は的確にねらいうちと相殺する。が、当然この間に飛んできた背中からくるねらいうちは直撃する。
「ルルッ!?」
「落ち着いてください!『ラスターカノン』!!」
「避けて『アクアブレイク』!!」
背中からの効果抜群の攻撃で思わずたたらを踏むアマルルガ。その隙を逃さないように懐に潜り、インテレオンは両手の刃を構える。アマルルガも何とか反撃をしようと弾を打つが、態勢が悪い状態で打った技は狙いが甘く、簡単に回避可能。だけど、それでも何か嫌な予感がしたので、攻撃の気配だけを見せてあえて近くで寸止めを行う。
「そこで止まって!!」
「『でんじは』でこうそ……っ!?」
「跳んで!!」
でんじはでインテレオンを捕まえようとした瞬間飛ぶボクからの指示に、思わず声を詰まらせるマクワさん。ここまで警戒されているとは思わなかったのだろう。直前で足を止めて空中に飛び出したことで、アマルルガからのでんじはは不発に終わり、小さくない後隙を晒すことになる。
当然このチャンスを逃がすわけが無い。
「『ねらいうち』!!」
「レオッ!!」
両手の人差し指を真っ直ぐアマルルガに向けて発射。真っ直ぐ飛ぶ弾丸は、アマルルガを仕留めんと猛進する。
「ルオッ」
それでも何とかダメージを抑えようと考えるアマルルガは、その場で身体を右に一回転。遠心力を伴った尻尾の一撃にて、かろうじて片方のねらいうちを弾くことはできたものの、もう片方のねらいうちが突き刺さる。
「ルッ!?」
「アマルルガ!!」
「インテレオン!!ダッシュ!!」
「レオッ!!」
アマルルガにぶつかると同時に起きる大きな水の爆発。同時にまう水飛沫を見ながら、攻撃を受けたアマルルガはたたらを踏み、インテレオンは着地と同時に追撃のために前に走る。
接近してくるインテレオンに対し、態勢を崩してもなお反撃をしようと前を向くアマルルガだけど、水飛沫の中をインテレオンが駆けたために、インテレオンの身体に異変が起きる。
「くっ、溶け込み……アマルルガ!!透明化に気をつけなさい!!」
身体の表面を水飛沫で濡らしたインテレオンは、自身の性質である周囲への溶け込みが発動。マクワさんの言葉通り透明なポケモンとして、アマルルガの視界の外へと消えていく。。
「ル、ルオ……」
右に左にと、長い首を回して何とかインテレオンの場所を確認しようと頑張っているものの、それでも完全に周囲に溶け込んだインテレオンを見つけるのは不可能だ。見失ってしまい、再び補足するのができないアマルルガが目に見えて焦っている。
ここがチャンス。
「インテレオン!!『アクアブレイク』!!」
こちらを見失ったアマルルガの背後に忍び寄るインテレオン。水飛沫という決して多くない水分から発動した透明化ということもあり、ここで水気が失われて透明化が解除されるものの、ここまで近づければ問題ない。右手に溜めた渾身のアクアブレイクを避ける術は無いため、確実に叩き込まれる。
「レオッ!!」
「ルルッ!?」
ここまで来てようやく自身の後ろにインテレオンがいることに気づいたアマルルガは、慌てて首を回して振り返るものの、既にアクアブレイクは放たれた瞬間で、インテレオンの技は真っ直ぐアマルルガの顔面へと進んでいき、同時に攻撃が当たる衝撃音が鳴り響く。
「よしっ……え!?」
「アマルルガ……よくやりました!!」
攻撃は確実に直撃。間違いなくアマルルガにダメージは入った。けど、そのうえでボクから上がる声は驚愕。なぜなら、攻撃を受けたはずのアマルルガが、身体に傷をつけながらも、インテレオンの右手をしっかりと口で咥え、そのうえで首と同じくらい長い尻尾をインテレオンに巻き付け、しっかりとホールドしていたから。
(自分の身体を犠牲にして無理やり捕まえに来た!?ってまずい!!この状態であの技を使われたらひとたまりもない!!)
「インテレオン!!もう片方の手で『ねらいうち』を━━」
「アマルルガ!!『フリーズドライ』です!!」
「ルルォッ!!」
急いで反対の手でアマルルガを攻撃して距離を離そうと考えるけど、マクワさんの指示には間に合わない。インテレオンが攻撃する少し前にアマルルガの口元が白く光り、インテレオンの腕にフリーズドライが突き刺さる。
フリーズドライ。
こおりタイプでありながら、本来ならいまひとつに抑えることが出来るはずのみずタイプにもこうかばつぐんを与えることの出来るこの技は、当然インテレオンにとっても手痛い反撃となる。ねらい撃ちこそ何とか放つことが出来たものの、それよりも先に零距離で喰らったフリーズドライは、決して防御の高くないインテレオンに深々と突き刺さる。
少し遅れて放たれたねらいうちの爆発と合わせることで、何とかアマルルガと距離を離すことに成功はするけど、インテレオンの右腕にはその攻撃痕が深々と残っていた。
「レオ……ッ」
「くっ……」
「手痛いダメージは貰いました。ですが……」
インテレオンの右腕にしっかりと残る赤い腫れ。それはくしくも、先ほどツボツボの足に残っていたそれと全く一緒だった。
「レオッ!?」
「しもやけ……インテレオンにも発症しちゃってる……」
「やはり確率というのはちゃんと平等のようですね」
これでインテレオンは定期的にダメージを受けることになってしまうけど、正直この症状はツボツボが発祥するそれと比べて全く意味が変わって来る。というのも、先ほども述べた通りしもやけには特殊技の威力を下げられてしまうという効果も持っている。ツボツボは物理を中心に戦うけど、インテレオンは特殊を中心に戦う。つまり、メインウェポンを取り上げられている状態になってしまっている。
「『ラスターカノン』です!!」
「『ねらいうち』!!」
そんな状態の中、再びこちらに迫りくるのはラスターカノンによる集中砲火。これに対して、さっきと同じようにねらいうちで撃ち落とそうとしていく。けど、しもやけが右腕に発症しているせいで右腕が上がらず、こちらが放てる技が半分になってしまっていることと、しもやけの効果で特殊技の威力も半減されてしまっているせいで、相手の攻撃を全然止められなくなってしまっている。幸い、ラスターカノンはフリーズドライと違って、こちらに対していまひとつの技であるため受けるダメージは少ない。けど、受ける回数が多くなってしまっているため、大きなダメージこそ受けていないものの、総合的な被ダメージはいつの間にか逆転してしまっている。
(このままだと絶対に勝てない……なら、いちかばちか……!!)
「インテレオン!!前に『ねらいうち』!!」
「レオ……ッ!!」
鈍色の弾幕にさらされながらも、ボクの言葉の意図をくみ取ったインテレオンが前から飛んでくる鈍色の弾にねらいうちをぶつける。すると、インテレオンの目の前にはねらいうちとラスターカノンがぶつかることによって起きた水飛沫が巻き上がる。
「突っ込んで!」
「レオッ!」
その水飛沫に飛び込むインテレオン。これによって、再びインテレオンの身体が周囲の風景と溶け込んでいく。
「また奇襲作戦ですか……しかし、しもやけで下がっているあなたのとくこうでは……」
「『きあいだめ』」
「っ!?」
マクワさんの言葉を遮るように指示するのは、自身の集中力をあげ、相手の急所を打ち抜くことに特化する技のきあいだめ。ポプラさんとのバトルでも見せた、インテレオンの切り札の1つだ。
「行ける?インテレオン」
「……」
インテレオンから声は返ってこない。当然だ。今は姿を透明にして隠しているのだから、下手に声を上げてしまえば自分の居場所がばれてしまうのだから。でも、声がなくてもインテレオンの気持ちはよくわかる。
準備は完了した。後は、渾身のねらいうちをアマルルガに叩き込むだけだ。
「インテレオン……用意……!」
「くっ、アマルルガ!自身の周りに『フリーズドライ』で氷の障壁を!!」
「ル、ルルッ!」
マクワさんの言葉を聞いて慌てて周りに壁を作るアマルルガ。その速度は慌ててやった甲斐もあってかかなり早く、一瞬にしてアマルルガの姿を、氷の結晶の中に閉ざしていく。
これでアマルルガを守る鎧が出来た。けど、関係ない。
「インテレオン……『
「レオッ!!」
ボクの合図とともに放たれるインテレオンからの渾身の一撃。
極限にまで圧縮された水の弾丸は氷の鎧をも突き抜けて、その奥にいるアマルルガに突き刺さる。
「ルゥッ!?」
「アマルルガ!!」
その威力はしもやけ故控えめではあるものの、的確に急所を貫いたその技によって、氷の障壁は砕け、アマルルガの身体はゆっくりと崩れていく。
けど、まだアマルルガの目は死んでいない。
「インテレオン!!もういちど『ねらいうち』!!」
とどめを刺すべく、最後のねらいうちを構えるインテレオン。この技が当たれば、ようやくアマルルガを落とすことが出来る。その一歩を手に入れるべく、指先を真っすぐ構えたインテレオンの指先から真っすぐ水の弾丸が放たれて……
「……ようやく見せてくれましたね。アマルルガ、今です。『メテオビーム』!!」
「っ!?」
水の弾丸が、岩の光線にかき消された。
「インテレオン!!避けて!!」
「レオ……ッ!?」
いきなり放たれた反撃の一撃。こんなものを貰えば当然瀕死になってしまう。だから慌ててインテレオンに逃げる指示を出す。が、しもやけのダメージのせいで動きが鈍ってしまい、避けるのに一歩遅れてしまう。そんなインテレオンに、メテオビームが直撃する。
「インテレオン!!」
つい声を荒げて叫んでしまうけど、ボクの声で結果が変わるなんてことはなく。
「インテレオン、戦闘不能!!」
「……ふぅ、まずは第一関門……!」
「……ごめん、ありがとう。インテレオン」
岩の光線が晴れた後に残っているのは、目を回しているインテレオンの姿。そんな彼に謝罪の言葉を投げながら、ボクはボールに戻していく。
(やられた。あの氷の壁の中にこもって、ボクのインテレオンが『きあいだめ』をしている間に、アマルルガは『メテオビーム』のチャージをしていたんだ)
ボールに戻しながら頭の中を巡るのは、先ほどのやり取りの裏の出来事。インテレオンの準備に気を取られて、アマルルガにも最高打点の技があることを失念していた。メロンさんとのバトルを直で見ていたうえでのこの結果は、ボクの不注意以外の何物でもない。
(ほんとにごめん……)
けど、起きてしまったことはしょうがない。ここから切り替えて、マクワさんのアマルルガを倒すプランを組み立てないといけない。
「戻ってください。アマルルガ」
「え?」
なんてことを考えていたら、マクワさんがアマルルガをボールに戻してしまった。
メテオビームの効果で特攻は上がっているから、てっきりこのまま続投してくると思っていたのだけど、そこはアマルルガの休憩を優先させたらしい。この判断が吉と出るか凶と出るかはわからないけど、少なくとも今この瞬間においてのボクの意見は、少しだけ厄介だなという感想だった。
(できれば、今ここで落として安心したかった……けど、それこそ文句を言っても仕方がない)
頬を軽く叩き、自分の失敗を戒める。
インテレオンをここで失ったのはとても痛い。けど、だからと言ってここで焦ってはいけない。
「お願いします!ガメノデス!!」
ボクが心を落ち着けている間に繰り出されたのはガメノデス。みずといわタイプの複合ポケモンだ。
(大丈夫……落ち着いて……インテレオンの分も頑張るんだ……!!)
ガメノデス。彼の戦い方は何となくわかっている。なら、ボクが次に出すべきポケモンは……
「お願い、ブラッキー!!」
ボクから繰り出される3人目のポケモンはブラッキー。登場とともに、辺りを舞う岩の礫がまた刺さって来るけど、ブラッキーは特に気にした様子もなく前を見つめる。
「頼むよ、ブラッキー!!」
「ブラッ!!」
「ブラッキー……ここに来て守り重視のポケモンですか……意外ですね……ここは流れを取り戻すために、エルレイドで来ると読んでいたのですが……」
「マクワさんこそ、ボクはてっきりこのままアマルルガで押してくるんだと思ってました」
「そうしたいのはやまやまなのですが、あいにくと、僕はまだまだ全然安心してませんし、この先を考えると、後2人は警戒しないといけないポケモンがいるのでね……温存できるところはしたいのですよ」
「そういう事ですか……」
何となく、マクワさんのプランがわかってきたような気がする。そしてマクワさんが警戒しているであろうポケモンも……だからこそ、少しだけボクの中の対抗心が燃え上る。
だって、マクワさんはそうは思っていないとわかっていても、今の発言は、他のポケモンはまだ何とかなると思われているような気がしたから。
「守りに定評があるポケモンですが……僕のガメノデスでその盾をこじ開けます!!『からをやぶる』!!」
「その考え、悪いですけどすぐに改めてもらいますよ!!ブラッキー!!『でんじは』!!」
「避けてください!!」
からをやぶるで自身の能力を強化しようとしているところにとんでいくでんじは。アマルルガがに散々打たれたので、今度はこっちがし返す番だ。
からをやぶるによってせっかくあげた機動力を落とされないためにも、少し大げさにでんじはを避けるガメノデス。けど、無理やり避けたせいで態勢が悪く、バランスを崩してしまっていた。
「ブラッキー!!『でんこうせっか』!!」
その隙を逃さず、ブラッキーがダッシュ。空いていた距離を一瞬で詰めたブラッキーが、ガメノデスの懐に潜り込んだ。
「ガメノデス!『シェルブレード』!!」
懐に潜り込んだブラッキーに対して距離を取りたいと考えたガメノデス。そんな彼が、からをやぶるによって強化された攻撃力でブラッキーを攻撃しようと技を構えたので、ブラッキーはその攻撃を
「なっ!?」
「ガメ!?」
攻撃はしっかりと直撃している。しかし、そんな攻撃を受けてもびくともしないほど、ブラッキーの防御力は鍛えられており、そのうえでガメノデスの手を弾いて、攻撃の構えを取っていた。
「ブラッキー!!『イカサマ』!!」
「ブラッ!!」
そこから放たれるブラッキーの技はイカサマ。からをやぶるで上がった攻撃力を逆に利用し、その攻撃を自身の攻撃としてガメノデスに押し返す技。シェルブレードを行ったばかりの隙だらけの身体にカウンターの形で叩き込まれたこの攻撃は、ガメノデスに大きなダメージを与える。
「ガメッ!?」
「ガメノデス!!」
「たたみかけるよ!!『でんじは』!!」
「ブラッ!!」
イカサマによるダメージが大きく、思うように動けないところに追い打ちで放たれるでんしは。これでガメノデスの機動力はガクンと落ちることになる。少なくとも、からをやぶるによって上がった分は消えただろう。
「『でんこうせっか』!」
「くっ、『ストーンエッジ』!!」
そのままステージを駆け回るブラッキー。この動きを邪魔しようと、ガメノデスが地面を何度も殴りつけ、そのたびに地面から岩の柱がどんどんせりあがって来る。しかし、この岩の柱すらも足場にしたブラッキーが、更に縦横無尽に駆け回った。
「く……まさかここまで動けるとは……」
「ガメッ!?ガメッ!?」
岩の柱から柱へ。陰を縫うように駆けまわっていくうちに、ガメノデスはとうとうブラッキーの姿を見失っていく。いくら攻撃が上がったとしても、その技がちゃんと相手に当たらなければ意味がない。そして、こちらの姿を隠してくれているこの岩の柱は、でんこうせっかで駆け回っているブラッキーにとっては有利なものでしかない。
フィールドを駆ける黒色の影。その影は、ガメノデスの死角を突いて、懐より強力な攻撃を叩き込む。
「ブラッキー!!『イカサマ』!!」
黒く光るブラッキーの前足が、ガメノデスの顎をしたからかちあげるように振りぬかれ、さらに追撃とその場で回し蹴りもプレゼント。
「ガメッ!?」
「ガメノデス!?」
でんこうせっかの速さと、からをやぶるを利用した重さを兼ね備えたその連撃は、岩の柱を数本折りながら、ガメノデスをマクワさんの下へと吹き飛ばした。
「ガメノデス、戦闘不能!!」
「戻ってください、ガメノデス」
そのまま目を回したガメノデスは、マクワさんのボールに戻っていく。
「ブラッキー……想像以上に厄介ですね……」
「うちの守りの要ですからね!!簡単には抜かせないですよ!!」
「ブラッ」
「……別に甘く見ていたわけではありません。けど、これは考えを改める必要がありそうですね……」
そんな言葉を零しながらも、マクワさんの表情はずっと笑っている。
そしてそれはきっとボクも。
「行きなさい!!バンギラス!!」
「グガァァァァッ!!」
マクワさんの4人目の手持ち、バンギラス。
彼の咆哮と共に、場にはすなあらしが吹き荒れた。
「バンギラス!!『じしん』!!」
「ブラッキー!!『でんこうせっか』!!」
そのすなあらしの中で、げっこうとよろいの名を冠したポケモンがぶつかり合う。
フリーズドライ
みずタイプにもばつぐんを取れるこおりタイプの技。ただでさえ通りの強いこおりタイプの攻撃性能をさらに引き上げている技ですね。本当に強い。
200話……長く書いてますね。もう読み返すのがおっくうになりそうですね。ここまで付き合ってくださりありがとうございます。これからも、もう少しお付き合いいただけたらと思います。