【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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201話

「バンギラス!!『じしん』!!」

「ブラッキー!!『でんこうせっか』!!」

 

 2人のバトルが始まると同時にバンギラスは地面を揺らし、ブラッキーはこれを避けるために岩の柱の頂点を利用する。

 

 柱の上を軽やかに飛び回るブラッキーは特にじしんに被弾することなく華麗に避けていく。しかし、バンギラスが行ったこの技が、こちらを攻撃するために放った訳では無いことにはすぐに気づいた。なぜなら、時間が経つと共に、ブラッキーが飛び回れる岩の柱がひとつ、またひとつと崩れ去って、小さな礫となって地面にちらばっていったからだ。それによって、自身の機動力を担う大切なオブジェクトとしてあった岩の柱は、むしろブラッキーの足に刺さるまきびしのような形として辺りにばらまかれていくこととなってしまう。

 

「ブラッ!?」

「ブラッキー、平気?」

「ブラッ!!」

 

 そしてとうとう全ての岩柱がなくなり、辺りが礫だらけになったフィールドに足をつけた瞬間、ブラッキーからは苦悶の声があがる。ステルスロックの存在もあって、今のブラッキーには小さくない岩の削りダメージがどんどん突き刺さっていく。

 

(対策が本当に早い……ステルスロックの使い方と言い、今回の岩の柱の逆利用と言い、絶対このコンボ元から思いついていたやつだ……)

 

 岩の柱を崩すこの戦法は、何もブラッキーの足場を奪うだけでは無い。この作戦には2つの効果が存在する。

 

 1つは先程いったとおりまきびし代わりとして地面にまくこと。これをすることで、ブラッキーが地面に足をつける度に小さいダメージが積み上がっていくこととなる。しかもこのまきびしは本来ならマクワさんの方にも影響が出るはずなんだけど、バンギラスはよろいポケモンという分類の通り、鎧のように硬い皮膚に覆われているため、この程度の礫なんて簡単に踏み砕けるからダメージを受けない。一方的にこちらを邪魔してくるギミックになってしまっているということだ。

 

 そしてもう1つ。それはでんこうせっか封じ。

 

 こうも地面に邪魔なものがとっちらかっていたら、ブラッキーは自由に動くことが出来ない。走れば礫が足に刺さるし、そもそも岩が散らばりすぎて足場が悪く、踏ん張りが効かないフィールドになってしまっている。ただでさえ技で素早さをごまかしているブラッキーにとって、この踏ん張りが効きづらいフィールドはやり辛くて仕方がない。

 

 それに……

 

「ブラ……」

 

(ガメノデスの攻撃が今になって効き始めている……)

 

 先の戦いでインテレオンをやられてしまった流れを取り返す大立ち回りを見せてくれたブラッキーだけど、当然代償は払っている。一見無傷そうな様相を見せてはいるけど、からをやぶるで能力をあげたガメノデスの攻撃を、全くの無傷で抑えられたわけではない。勿論、ブラッキーの防御はこの特訓期間でかなり鍛えたから、ダメージそのものは最小限に抑えている。うちの防御の要は伊達ではない。けど……

 

(言ってしまえばボディブローのような攻撃。即効性のある痛みではなく、身体の内側からじわじわと嬲って来るようなダメージ……マクワさんの事だから、ワンチャンこれも狙って……?いや、そこ重要なところじゃないか)

 

 問題は今目の前のバンギラスに対して、このままブラッキーを続投していいのか。

 

(……すっごくマホイップに変えたい)

 

 あくまでもブラッキーへのダメージは大きいわけではなく、脳の揺れや、重い一撃が身体に残ったことによるちょっとした障害だ。だから一度手持ちに戻せばその不調は何とかなるだろう。戦闘スタイルで考えてみても、現状でんこうせっかが使いづらいフィールドになってしまっているし、この礫だらけのフィールドならマホイップの得意分野でもある。

 

 だけど、サングラスの奥で光るマクワさんの目がそれを許さない。

 

(絶対にボクがモンスターボールを構えた瞬間に、その隙をついて攻撃をしてくる)

 

 試しに少しだけ指をボールの方に近づけてみる。

 

「バンギラス!!『ストーンエッジ』!!」

「やっぱり!!避けて!!」

 

 すると予想通りマクワさんから攻撃の指示が飛んできたので、ブラッキーに回避行動を取らせる。また足に礫が刺さってしまうけど仕方がない。現在進行形でバンギラスが飛ばしてくる岩の塊に比べればまだマシだと思うしかない。

 

(しかし、当然とはいえ岩の柱の方はもう打たなくなってる……本当に徹底しているなぁ……)

 

 ストーンエッジの打ち方ひとつとっても、最初のような地面から突き出す柱を放つのではなく、岩の塊を弾丸のように飛ばしてくる使い方にシフトしている。こうなるとさっきのように足場として利用することが出来ないし、単純に弾幕が壁になってしまいなかなか接近ができない。こうなってしまうと、遠距離技をあくのはどうしか持たいないボクのブラッキーでは決定打にかける。そのため長期戦を余儀なくさせられるんだけど、そうなってくると地面の礫とすなあらしがこちらの体力を削ってくる。それに、今回は覚えさせていないけど、この砂によってつきのひかりの回復の阻害もばっちり対処していた。

 

 本当に、ブラッキーの対策が完璧だ。

 

 進むも地獄。耐えるも地獄。

 

(けど、前に行かなきゃ勝てない。なら!!)

 

「ブラッキー!!『あくのはどう』をしてダッシュ!!」

 

 ストーンエッジにあくのはどうをぶつけ、岩を砂煙に変えてその中を突き進む。

 

 行っても行かなくても地獄なら、まだ勝てる確率のある前に行く。その覚悟を決めたブラッキーはとにかく走る。今この瞬間にも、ブラッキーの足の裏はどんどん傷が増えているだろう。それでもしっかりと表情を引き締めて前に駆けていくブラッキーは、引くことを一切考えていない。

 

「バンギラス!!『じしん』!!」

 

 まさに特攻。守りに主を置くポケモンによるまさかの行動に、マクワさんの表情も少しだけ揺れたような気がする。けど、その揺れもほんの少ししか見せることはなく、すぐさま反撃の指示を落とす。その指示を聞き届けたバンギラスによって再び巻き起こされる大地の暴動は、真っすぐブラッキーを襲っていく。

 

「跳んで!!」

 

 当然こんなこうげきを受けるわけにはいかないブラッキーは宙に跳ぶ。これならじしんをよけるついでに地面の礫を踏むことはない。その代わりに空中にいるい間は相手の攻撃をよけることはできないというデメリットはあるけど、じしんを行った後の隙を突けば、その可能性も大分抑えられるはずだ。

 

「バンギラス!!」

「グガアアァァァッ!!」

 

 そんなことを考えていると、マクワさんの指示でバンギラスが大声で叫び始める。すると、さっきからずっと流れているすなあらしがさらに強くなる。

 

「ブラッ!?」

「ブラッキー!?」

 

 急に強くなったすなあらしが目に入り、思わず声を漏らしてしまうブラッキー。更に、ただ砂が目に入るだけではなく、じしんによって打ち上げられた岩の礫がすなあらしに吹きあげられることによって、それらが一斉にブラッキーに襲い掛かる形となってしまう。

 

「ブ……ラ……ッ」

「ブラッキー!!地面に『あくのはどう』!!」

 

 このままではただでさえ大きいスリップダメージがさらに大きくなってしまうので、ブラッキーに指示を出して地面を攻撃。その時に巻きあがる砂煙で、自身の周りにある石礫を吹き飛ばして地面に着地する。

 

 じしんはもう収まっているし、じしんによって礫が打ちあがり、すなあらしによってそれらがすべて吹き飛んだから地面にまきびしのようなものもない。ブラッキーとバンギラスの距離も大分詰まってきているので、再びじしんを打たれる頃には、もうブラッキーは自身の手が届く範囲にまで近づけていることだろう。

 

「『でんこうせっか』!!」

 

 となればすぐさま行動。着地と同時に地面を踏み込んだブラッキーが、一気にトップスピードまでギアを上げてバンギラスの下まで飛び込む。

 

「バンギラス!!」

「グガアアァァァッ!!」

 

 再び響きわたるバンギラスの咆哮。じしんでの迎撃が間に合わないと判断したマクワさんは、再びすなあらしを巻き上げるためにバンギラスに指示を出す。けど、さっきと違って礫のないただのすなあらしならブラッキーの動きは止められない。再び目にすなあらしが入ったブラッキーは思わず目を閉じてしまうけど、その分の視界はボクが担う。

 

「そのまままっすぐ走って!!」

「ブラッ!!」

 

 ボクの指示を信じて前に進むブラッキー。すなあらしにさらされながらも進んでくれた彼の勇気もあって、ついにバンギラスの懐まで潜り込むことに成功する。

 

「今!!真正面に『イカサマ』!!」

 

 目は見えなくとも、ボクの言葉とここまで経験してきた戦いから自身の目の前にバンギラスがいることをしっかりと把握したブラッキーは、ガメノデスを倒したときのように前足を構え、背の高いバンギラスのお腹を殴りぬこうと更に身体を前に運ぶ。

 

 これでバンギラスが倒れるなんてことはないだろう。ガメノデスよりももっと物理に耐性があるバンギラスには少し通りが悪いし、そもそもイカサマはあくタイプの技だ。バンギラスも同じタイプを持っている以上相性はいまひとつ。でも手痛いダメージは入るのは間違いない。ガメノデスのように攻撃を上げているわけではないけど、バンギラスはそもそもの攻撃力が高いポケモンでもあるため、その攻撃を利用したイカサマは決して小さくないダメージを叩き込めるはずだからだ。

 

 そんなことを考えている間に、ブラッキーの手がバンギラスの身体に触れようとしていた。と同時にあたりに響くのは打撃音。バンギラスの攻撃を借りた重い一撃が叩きつけられる音がしっかりとボクの耳に届いたと同時に、バンギラスの身体が少し傾いたのを確認する。どうやら右足を後ろに一歩下げたらしい。

 

「入った!!ブラッキー!!そのままもう一回━━」

 

 いい一撃が入った。なら次にするのは追撃だ。それを指示するために口を開こうとし……

 

「バンギラス!!『かわらわり』です!!」

「グガァッ!!」

「ブラッ!?」

「え!?」

 

 さっきまで有利な状況で戦いを進めていたと思ったブラッキーが、複数の岩の礫と一緒にボクの目の前まで吹き飛ばされていた。

 

 何が起きたのか一瞬理解が出来なくて、慌ててバンギラスの方に視線を向けると、そこにはさっき下げた右足を右手と一緒に前に出し、更に、自身の前に岩の塊を6つ、アスタリスク状に並べて展開していたバンギラスの姿があった。

 

「『ストーンエッジ』で受け止めてカウンター!?」

「ふぅ、何とかなりましたね」

 

 まさかのストーンエッジの使い方に驚愕が隠せない。

 

 直撃したと思っていたブラッキーのイカサマはバンギラスに当たらず、すなあらしによって存在そのものを悟られないようにして展開された岩のバリアによって防がれていた。その隙にブラッキーにとってばつぐん技であるかくとうタイプのかわらわりを貰ってしまっていた。しかも、その時にストーンエッジの槍も追加で貰うというおまけつき。

 

「ブラ……」

「ブラッキー!!」

 

 それでも何とか身体を起こそうと踏ん張るブラッキー。けど、すなあらしにステルスロック、そしていわのまきびしによってどんどん体力を奪われ、ガメノデスの攻撃がまだ身体に残っていたブラッキーの脚は震え、今にも倒れてしまいそうなほど弱っていた。むしろ、今も立っているのが不思議なくらいだ。

 

「これでも耐えますか……ですがここであなたは落とさせてもらいます!!バンギラス!『じしん』!!」

「ブラッキー!!避けて!」

 

 そして、そんなブラッキーの最後の体力を削りきらんと放たれる最後の技。この技に対して避けるように指示を出すものの、もう足腰に力の入っていないブラッキーに避けられるはずもなく、あえなく地面の振動に巻き込まれて、今度こそその身体を地面に横たえてしまう。

 

 

「ブラッキー、戦闘不能!!」

 

 

「……ありがとう。ゆっくり休んで」

 

 倒れてしまったブラッキーをボールに戻しながら、ボクは次のボールを構える。

 

(本当に凄い。そしてなによりも手札が多い。あんな反撃をされるなんて思わなかった……)

 

 すなあらしの操作による阻害や、ガメノデスのストーンエッジを利用したまきびしに、ストーンエッジによる的確なカウンター。そして何よりもびっくりするべきは、ガメノデスをブラッキーによってかなり早期に落とされたにもかかわらず、これだけのことを冷静にこなす落ち着きよう。

 

(ガメノデスとのバトルでこっちに流れを取り戻したと思ったのに、それでもまだ崩れない……本当に岩のように固い心を持っているんだ)

 

 今もサングラスを指で持ち上げ、額にうっすらと汗を流しながらもこちらをニヒルな笑顔で見続けるマクワさん。

 

 けど、心の奥底は、今も物凄くクールなのだろう。

 

(ほんと……強いなぁ)

 

 思わずこちらも笑みがこぼれる。

 

 このバトルが楽しくてたまらない。

 

「頼むよ!!マホイップ!!」

「マホッ!!」

 

 ワクワクしてくる心を抑えながら繰り出すボクの4人目。

 

 青色のクリームの身体から甘く、けど少しさわやかな匂いを放ちながら現れた彼女の身体に、ステルスロックがまたまとわりつく。けど、マホイップは特に気にしたような表情は見せない。

 

「クリーム展開!!」

 

 そんなマホイップにまずはフィールドづくりを提案。あたり一帯にクリームをまき散らし、クリームの海を作ると同時に、空中に浮かぶステルスロックにクリームがかかっていき、ステルスロックの位置が分かりやすく視認できるようになっていく。

 

「これでステルスロックも避けやすくなったね」

「……やはりそう来ますよね。ブラッキーを落としておいて正解でした」

 

 これがボクがブラッキーを下げてマホイップを出したかった理由。マホイップのクリームがあれば、このように岩は視認できるし、バンギラスのじしんを抑えながら、かつ地面の岩の礫も気にせずに行動できたから。最も、今はもう礫はないから、地面は気にしなくてもいいんだけどね。

 

 この展開を予想していたからこそ、マクワさんもブラッキーを無理やり落としに来たという事だろう。本当に先を見据える力が強い。おかげでせっかくとったと思った流れを再びイーブンに戻された。

 

 全体の状況を見れば、お互い残りのポケモンは3人VS4人と負けている。けどアマルルガの消耗具合から、その差は微々たるものだ。むしろ先程までの流れを考えれば、ボクの方が展開は良かった。

 

(この流れをまた奪い取って、そのまま勝ちきりたい……そのためにも、マホイップの行動は大きく関わって来る……慎重に、けどこの作戦を絶対に通す!!)

 

 ボクの頭の中に浮かぶ1つの作戦。これが通れば勝てる見込みがかなり高い。

 

 ここが勝負所。けど、マクワさんに悟られてはいけない。

 

「マホイップ!!クリームに飛び込んで『とける』!!」

「マホッ」

 

 まずはバンギラスの攻撃をしっかりと受け止められる準備をする。地面に拡がった水色の海に飛び込んだマホイップは、そのまま自身の場所が悟られないようにしばらく回遊してから自身の身体を鍛えていく。

 

「バンギラス!!『じしん』!!」

 

 一方で、防御の上昇を止めたいバンギラスは、地面に拳をたたきつけて地面を揺らす。これによって、マホイップがどこにいようが気にせずダメージを与えるつもりなのだろう。しかし……

 

「マホ?」

 

 とけるを積み終わったマホイップは、不思議そうな顔を浮かべながらクリームの海から顔を出す。地面に拡がっているこのクリームは、この場においては振動と威力を和らげる緩衝材となっていた。

 

「『マジカルシャイン』!!」

「マホッ!!」

 

 相手の攻めを止めたのなら次はこちらの番。地面の揺れが収まったと同時にマホイップから虹色の光が放たれて、バンギラスに飛んでいく。あくタイプを含むバンギラスにとって、フェアリータイプのこの技はこうかばつぐんだ。当たれば間違いなく大きなダメージを刻むことが出来る。

 

「バンギラス!!砂を!!」

「グガァァァッ!!」

 

 この光に対してバンギラスが取る行動は咆哮。もう既に何度も見たこの咆哮は、すなあらしが吹き荒れる前触れだ。今回もその例に漏れず、視界を覆うほど激しく吹き荒れるすなあらしは、しかし攻撃技という訳では無いのでマジカルシャインを止めるには至らない。砂の中をそれでも進み続ける虹の光はバンギラスにちゃんと直撃する。

 

「グゥ……」

「良い気迫ですよ。バンギラス」

「やっぱりこの程度じゃ足りないよね……」

「マホ……」

 

 しかし、自身が苦手な技を受けたはずのバンギラスは、それでも全く効いていないかのように佇んでいる。

 

 これは決してマホイップの火力が低い訳では無い。原因は今も尚吹き荒れているすなあらしのせいだ。

 

 天候すなあらしは、いわ、じめん、はがねタイプのポケモン以外に定期的にダメージを与えるだけでなく、いわタイプのポケモンを特殊技から守る壁の役目も一緒に担っている。そのため、すなあらしが舞っているこの場において、バンギラスは常に特殊技に対しての鎧を1枚羽織っている状態となっている。

 

 一応マホイップなら、おそらくめいそうを何回もしてとくこうを積み上げれば、いつかバンギラスの鎧を越えることはできる。けど、それには多大な時間がかかり、その間マホイップはすなあらしにさらされ続けることとなる。

 

(本来ならすぐ止むはずのすなあらしもなかなか止まないし、なんならバンギラスが吠える度に強くなっている気がする……時間で止むことに期待しない方がいいよね……なら、やっぱり当初の狙い通り、この作戦で行こう!!)

 

「マホイップ!!もっと『マジカルシャイン』!!」

「力押しですか。それならこちらの領分ですよ!!『ストーンエッジ』!!」

 

 覚悟を決めると同時に放たれるお互いの技。

 

 両者の中間でぶつかり合ったその技は、しかしストーンエッジの方が威力が高いため、相殺せずこちらの攻撃を貫いて飛んでくる。

 

「クリーム!!」

「マホッ!!」

 

 けどそんなことは予想済み。すぐさまクリームを展開して岩の刃を受け止めていく。

 

「バンギラス!!すぐに追い打ちを!!嫌な予感がします!!『ストーンエッジ』!!」

「グガァッ!!」

「もっともっとクリームを出して!!マホイップ!!」

「マホッ!!」

 

 この様子を見て、こちらの意図を感じとれはしなかったけど、それでも嫌な予感を感じたマクワさんは、こちらのクリームを貫くことを考えてさらなる力押しをしてくる。けど、とけるによって防御を上げ、さらにクリームにとけこみ、ポプラさんのようなクリームさばきにまたひとつ近づいていたマホイップには届かず、そのすべてをクリームの柱によってせき止めきる。

 

「これほどとは……」

「さぁ行くよ!!もう一度『マジカルシャイン』!!」

「マホッ!!」

 

 目の前で起きたことに、さすがのマクワさんも驚愕を隠せず一瞬動きが止まる。そこを逃さず、今度はクリームで止まったストーンエッジに向けてマホイップがマジカルシャインを放つ。すると、空中で止められていた岩の塊がマジカルシャインの推進力を得て、バンギラスの方へと雨霰のように返っていく。

 

「くっ!!『かわらわり』です!!」

 

 その岩に対してバンギラスが慌てて対処していく。しかし、クリームを突破しようと何回も放った代償ともいうべきか、跳ね返ってくる岩の数が多すぎる。致命傷こそ受けていないものの、バンギラスはしばらく岩の対処に追われることだろう。

 

 仕上げをするなら、マホイップが自由に動ける今しかない。

 

「マホイップ!!仕上げ行くよ!!」

「マホ!!」

「バンギラス!!難しいかもしれませんが、岩を落としながら警戒を!!」

「グガッ!!」

 

 ボクたちが何かしてくることに対して受けに回ることしかできないマクワさん。この状態なら、絶対に止められない。

 

「マホイップ!!上空に向かって『()()()()()()()』!!」

「マホ~ッ!!」

「『デコレーション』……?なぜこのタイミングで……」

 

 ボクの指示に従って上空に飛ばされるクリームと飴細工。身構えていたところに指示された技がまさかの補助技で、それもおおよそシングルバトルで有効に活用されることの無いそれに、マクワさんの混乱はさらに加速する。

 

 その間にボクはマホイップをボールに戻し、5()()()()()()を繰り出した。

 

「ありがとうマホイップ……そして行くよ、エルレイド!!」

「ここで交代……まずい!!バンギラス!!あのクリームを落としてください!!『ストーンエッジ』です!!」

 

 ここまで来てようやくボクの考えに気づいたマクワさん。

 

 だけど、もう遅い。

 

 マホイップと交代して現れたエルレイドは、その場で目を閉じ、ゆっくりと肘の刃を伸ばしていく。

 

 まるで騎士が剣を構えるような、そんな優雅な動きを取っているエルレイドの上空から落ちてくるのは、先ほどマホイップが放ったクリームと飴細工。不思議な力が込められたそのクリームは、しっかりとエルレイドの身体に降り注ぎ、エルレイドの側頭部にクリームでできた花と、ベリーあめざいくをつけていく。

 

 その効能は、攻撃と特攻2つの2段階上昇。

 

 効能を受けたエルレイドはゆっくりと目を開く。そして……

 

「エルレイド。『せいなるつるぎ』」

「……エルッ!!」

 

 抜刀。

 

 クリームを落とすために放たれた、全てのストーンエッジを一刀のもとに切り伏せる。

 

「……これは、まずいですね」

「グガ……」

 

 マクワさんとバンギラスの苦い声が聞こえてくる。

 

「さぁ、行くよ!エルレイド!!」

「エルッ!!」

 

 それに対してボクとエルレイドは、ここで決め切るつもりで気合を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ストーンエッジ

地面から岩を生やす使い方と、岩の塊を弾丸にして打ち出す2つの使い方に咥え、カウンターのかべとしても使われましたね。後半2つに関してはポッ拳のガブリアスが使っていたストーンエッジを3個にしています。あれもカウンター技でしたよね。ちなみに、最初はカウンターのところを『当て身』と書こうと思ったのですが、どうやら当て身は打撃技全般のことをいう見たいで、カウンターの意味はないみたいですね。当身技も、本来の意味は『当て身(打撃技)を受け流して投げる技』という意味みたいです。これを省略して、当て身技と言ってしまったのが定着してしまったのだとか。面白いですね。

デコレーション

まさかのシングルデコレーションです。実機でする場合は、相手に付与して、それをメタモンでコピーするというのが応用になりますかね。どちらにせよ、かなりトリッキーですね。

すなあらし

吠える度に巻き起こり、決して止むことの無いすなあらし。これは第5世代以前の仕様を持ってきています。当時は、特性によって替えられた天候は永続だったんですよね。だからこそ、雨パ、砂パ、晴れパなどの天候パは、かなり猛威を振るっていました。ニョロトノとキングドラ(通称トノグドラ)が最強クラスのコンビだっただなんて、今の人が聞いたら驚くでしょうね。




VSマクワさん。少しずつ、終わりに近づいてますね。




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