【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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前話にて、マクワさんの残りポケモンのカウントを間違えているところがありました。現在は修正していますが、それに伴って少しだけ文を変えています。展開自体は変わらないので、気になる方は見返していただけたらと思います。

失礼しました。

後、今回はあとがきにて今後の更新について少しお知らせを入れます。確認していただけたらと思います。


202話

 すなあらしが吹き荒れ、地面はクリームだらけ。そんなちょっとしたカオス状態なフィールドに姿を現したのは、側頭部にマホイップより託されたクリームと飴細工をつけたエルレイド。彼がひとたび腕を振るえば、デコレーションによって強化された技が、その余波だけで辺りのものを吹き飛ばしていく。

 

「もう一度、『せいなるつるぎ』」

「エルッ!!」

 

 現に、今もまたこの一振で、現れたばかりのエルレイドを傷つけようと迫ってきたステルスロックが次々と砕かれていった。

 

「……どこかでこの壁をどうにかしなくてはと思いましたが、まさかこんなにも最悪なタイミングで、こんなにも強化されて出てくるとは思いませんでしたよ……」

「だからこそ、このタイミングを選んだんです!!」

 

 エルレイドはインテレオンと同じく、いわタイプに強く出ることの出来るポケモンだ。それはこのバトルにおいての重要なポイントのひとつになってくる。故に、ボクはこの子が活躍できる作戦を考えたし、マクワさんはエルレイドをどうにかする方法を考えたはずだ。

 

 けど、マホイップによるフォローでその計画が狂った。

 

(多分、マクワさんの今の手持ち的で考えるなら、エルレイドはあの子で止めようとしてたはず。いや、あの子だけで止められるとは思って無さそうだから、バンギラスでマホイップを撃破。その後、バンギラスでエルレイドを削って、もう1人の子で相打ちに何とか持っていく……ってプランかな?)

 

 マホイップが出てくるまでは予想通りだっただろう。けど、そのマホイップがここでバンギラスと戦いきる前に引いて、デコレーションを使ってくるとは思わなかったはずだ。だから、本来ならエルレイドとバンギラスが対面する前に、もっと有利な展開に持っていきたかったはず。

 

 それほどまでに、マクワさんはインテレオンとエルレイド。そしてこのプランからわかる通り、最後に2人のポケモンを当てようとするくらいには、ヨノワールを警戒していた。

 

 マクワさんの最初のプランは多分、インテレオンにはツボツボの起点とアマルルガで、エルレイドはガメノデスとまだ出ていないあの子で、そしてヨノワールをバンギラスとマクワさんの切り札に託していたと思う。マクワさんの頭の中では、モスノウ、ブラッキー、マホイップは、まだ勝てる見込みがあったと考えていたはずだ。

 

 けど、蓋を開けてみれば計画は大狂い。

 

 モスノウこそ理想通り行ってるけど、ガメノデスはブラッキーに敗れ、マホイップはエルレイドを強化して逃げてしまった。

 

 マクワさんが警戒していなかった子たちから崩れ去っている。だからこその、マクワさんの『最悪』という表現。

 

 逆に言えば、このプランを途中で気づくことが出来たからこそ、ボクがマクワさんの意表を突いて勝ち取った、ボクに取っては『最高』の展開。

 

 マホイップに託されて強化されたエルレイドは止まらない。

 

「エルレイド!!『せいなるつるぎ』!!」

「エルッ!!」

「くっ、バンギラス!!砂を!!」

「グガァァァァッ!!」

 

 自身の剣を振りかぶるエルレイドに対して、バンギラスは再び大声を上げて砂を巻き上げる。が、巻き上がる砂はエルレイドの一振りによって起きた風圧で、一瞬のうちにかき消される。

 

「ダッシュ!!」

 

 すなあらしが途切れたと同時に走り出すエルレイド。クリームから力を受け取って、いつもよりも鋭く光るその刃は、かくとうを4倍のダメージで受けてしまうバンギラスにとっては死神の鎌にも見えるだろう。

 

「バンギラス!!『じしん』!!」

 

 そんな技を受けるわけはいかず、かといって避けられるほどの機動力を持たないバンギラスは、この突撃を技で止めるしかない。

 

 地面を揺らしてエルレイドの突撃を止めようと考えたマクワさんはバンギラスに指示を出し、それに応えるように地面を殴るバンギラス。エルレイドに襲い掛かる災害を模したその一撃は、しかしエルレイドが軽く飛ぶことで簡単に避ける。が、避けた先は空中。ブラッキーの時もそうだったけど、空中では身動きは取れない。

 

「『ストーンエッジ』!!」

「まだまだ『せいなるつるぎ』!!」

 

 そんな無防備なエルレイドに向けて放たれる岩の刃。エルレイドを中心に、四方から飛んでくるそれは、エルレイドがその場で回転斬りを放つことでまた全て砕け散る。

 

「そのまま回転を維持して!!」

 

 さらに、その際行った回転をさらに加速させ、高速の独楽となってバンギラスに向かって前進する。

 

「周りがダメなら……下から『ストーンエッジ』です!!」

 

 いよいよやばくなってきた状況に焦るマクワさんは、それでも何とかしようと手を打ってくる。

 

 独楽となっているエルレイドの中心を下から撃ち抜くようにせり上る、青く光った岩の柱。その狙いは正確で、全くのずれなく下からエルレイドを突き上げる。けど、極限まで研ぎ澄まされたエルレイドの精神はこの攻撃をしっかり察知し、岩が上がると同時にジャンプ。岩がギリギリ届かない所まで飛び上がったエルレイドは、そのままその岩を踏み台にして踏み込み、バンギラスに向けてさらに加速する。

 

「叩き込んで!!」

「とにかく耐えてください!!『かわらわり』!!」

 

 もうここまで来たら止めるのは不可能。せめて受けるダメージを抑えるためにかわらわりを構えるバンギラス。右腕を白く輝かせながら、上から下に振り下ろされるその攻撃は、そんじょそこらの攻撃なら簡単に吹き飛ばしてしまうだろう。けど、今バンギラスを襲っているのは特性とデコレーションで強化された、かくとうタイプの中でも最高峰の威力を内包された技。自身の最大の弱点をこれでもかと突いてくるその一撃は、たとえバンギラスであろうと受け止め切ることは難しい。そのことを証明するかのごとく、バンギラスの腕がエルレイドの独楽にぶつかった瞬間、鈍い音を響かせながら弾かれる。

 

「グガッ!?」

 

 腕を上に跳ね上げられ、大きな隙を晒すバンギラス。当然エルレイドはこれを逃さない。

 

「エルッ!!」

 

 バンギラスの懐まで入り込むエルレイド。ここまで近づけば、もう技を防がれることもない。

 

 独楽の回転に任せて何度も刃を叩きつけるエルレイド。それに合わせて打撃音も何回も響きわたる。

 

「ガッ……グッ……」

 

 自身を襲う弱点の嵐。けど、そんな中でもまだバンギラスは必死に喰らいつく。

 

「『かみくだく』!!」

「グ……ガァッ!!」

「エルッ!?」

 

 もはや執念に取りつかれていると言われても納得するほどの意地を見せ、攻撃の嵐を受けているというのに、それでも何とかエルレイドの右腕に喰らいつき、無理やり回転を止めて来るバンギラス。

 

(本当に凄い執念だ……それだけマクワさんを慕って、勝利を届けたいと願っているんだね)

 

 バンギラスの思いがボクの心に確かに刺さっていく。けど、ボクだってここで負けるわけにはいかない。それはエルレイドも一緒で、腕を噛まれて動きを止められたことに驚きはしたものの、すぐに表情を引き締めて、止められたのを理解したうえで行動を起こす。

 

「エルレイド!『せいなるつるぎ』!!」

「エルッ!!」

 

 確かに腕を噛まれて止められたことには驚いた、しかし、止めることに力を使いすぎたバンギラスは、そこからの追撃が出来る体力が残っていない。腕を噛み続けて捕まえることもできないため、すぐさま腕を振り払ったエルレイドは右腕を真上から振り下ろした。

 

「グ……」

 

 頭上から振り下ろされた会心の一撃は、ここまで必死に耐えきっていたバンギラスの意識をついに刈り取り、その巨体をゆっくりと地面に倒すことに成功する。

 

 

「バンギラス、戦闘不能!!」

 

 

「エルッ!!」

「良い調子だよエルレイド!」

「お疲れ様です……ゆっくり休んでください」

 

 これで倒れたポケモンの数はイーブン。けど、総体力はこちらの方が多いだろう。相手のアマルルガはかなり削れているけど、こちらのマホイップはあまりダメージを貰っていない。せいぜいすなあらしとステルスロックによるスリップダメージくらいだ。今場にいるエルレイドのダメージと合わせても、アマルルガの方が被ダメージは大きい。しかも場に残っているエルレイドはマホイップによって強化済み。万全の状態で次の戦いも迎えることが出来る状態だ。

 

(ブラッキーの時に奪って、バンギラスで奪われかけたけどエルレイドで再び奪い取ったこの流れ。何が何でも維持する!!)

 

 調子も流れも良い。このまま駆け抜けるつもりで、ボクとエルレイドは改めて気を引き締める。

 

「本当に凄い人です。やはり一筋縄ではいかない。僕の考えなんて簡単に飛び越えて来る……ですが、まだ負けていない。挽回なんていくらでもできる。だから……取り返しますよ、イシヘンジン!!」

 

 マクワさんから出て来る5人目のポケモン。現れたのはイシヘンジンだ。

 

 太くたくましい脚と、その上に乗っかる可愛らしい顔と手がとても特徴的なポケモンだ。太い脚からわかる通り蹴りが得位なポケモンで、同時にいわタイプの中ではそこそこ走れるポケモンでもある。少なくとも、能力を上昇させる技のことを考えないのであれば、今のマクワさんの手持ちの中で一番足が速いのはこのイシヘンジンだ。

 

(……いや、違うか。()()()()()()()()()()、一番速いのはこの子だ)

 

「行きますよイシヘンジン!!『ロックカット』!!」

「させちゃダメ!!エルレイド、『サイコカッター』!!」

 

 自身の岩を磨いて、余計な部分を落とすことによって素早さをぐーんと上昇させるロックカット。もともとあるそこそこの素早さを更に鍛えることによって、イシヘンジンは強力な機動力を手に入れる。どっしりと腰を据えて戦うマクワさんの中では珍しい戦い方をするそのスタイルは、ボクも通したくないから邪魔するように斬撃を飛ばしていく。

 

「イシヘンジン!!気にせず『ロックカット』を!!」

「ヘーン!!」

 

 これに対してのマクワさんの指示は斬撃の無視。いわタイプのポケモンの多くに見受けられる、体力と防御の高さを用いて、無理やり受け止めて自分磨きすることを選んだみたいだ。実際、その作戦は物凄く有効に働く。

 

 特性とクリームによって強化されたその斬撃は、しかしイシヘンジンの動きを止められず、イシヘンジンのロックカットを許す形となる。それでもダメージはしっかりと入っているため、続けてサイコカッターを放つものの、一度ロックカットを積んでしまえば攻撃をかわすのはたやすい。とても体重が520あるとは思えない、すばやいステップでサイコカッターの嵐を華麗に避けていく。

 

(やっぱり速い……流石はエルレイド対策の予定を背負っているポケモンだ……)

 

 先ほど話していたマクワさんのプラン予想があっているのであれば、この子はガメノデスと一緒にエルレイドと戦うことを頼まれていたポケモンのはずだ。そしてその戦法は、からをやぶるやロックカットと言った素早さを上げる技を使って、こちらを翻弄するというもの。実際、その戦法はエルレイドに対してはかなり有効となる。エルレイドは遅いポケモンというわけではないけど、特別速いかと言われたらそうでもないポケモンだからだ。そのため、距離が少しでも空いてしまえば、こちらの攻撃方法はサイコカッターしかない。だからこそ、ロックカットをサイコカッターで止めようとしたけど、やはりいわタイプの強固な守りを崩すにはせいなるつるぎがないと厳しいみたいだ。

 

「そのためにもまずは近づかなきゃね……『サイコカッター』!!」

「『てっぺき』!!」

 

 近づくきっかけを作るために、再び斬撃の弾幕を作り出すエルレイド。これに対してイシヘンジンが次に行うのはてっぺき。素早さに続けて防御もぐーんと成長させたイシヘンジンは、サイコカッターの嵐を体で平気に受け止めてしまう程には硬くなってしまっている。

 

(自身の長所をとにかく伸ばしてる……これはいよいよ『せいなるつるぎ』じゃないと倒せないね……)

 

 てっぺきによって防御を育てられた以上、いよいよもってせいなるつるぎじゃないとイシヘンジンを倒せなくなってしまった。けど、逆に言えばせいなるつるぎさえ当てられたら、イシヘンジンは倒せるはずだ。ロックカットをするために体力を少し犠牲にしているイシヘンジンになら、一回流れを通せば倒せるはずだ。というのも、せいなるつるぎには相手の防御変化を無視して殴ることが出来るという効果もある。だから、エルレイドが覚えている技の中では唯一、相手のてっぺきを無視して攻撃できる重要な技だ。

 

 勿論マクワさんもそのことは分かっているので、こちらとの距離には細心の注意を払うはずだ。

 

「『ストーンエッジ』!!」

「避けて!!」

 

 イシヘンジンが上がった素早さを使って距離を取り、思いっきり地面を踏みしめる。同時に地面からせりあがって来る岩の柱。もう何度も見たその風景は、さすがに見慣れているというだけあって簡単に避けることが出来る。地面から湧き上がるくらいならもう戸惑うことはない。けど、注意するべきはここからだ。

 

「イシヘンジン!!蹴りなさい!!」

「ヘーン!!」

 

 少し気の抜けるような声とともに振られる、イシヘンジンの大きな足。すると、彼の足が触れると同時に砕け散ったストーンエッジが、礫となってこちらに跳んでくる。それもただ跳んでくるだけでなく、ロックカットによって速くなった脚力をそのまま岩に乗せて打ち出されたため、物凄い速さでこちらに跳んできていた。

 

「はやッ!?」

「エルッ!?」

 

 その速度は、下手をすればインテレオンのねらいうちよりも速いのではないかと錯覚させるほどで、気づいたときにはボクたちの顔の横を通り過ぎて、バトルコートの壁にまで突き刺さっているものまで見受けられるほどだった。

 

「エルレイド!!耐えて!!」

「エルッ!!」

 

 ここまで速いと技を構える暇もないので、エルレイドの反応速度に任せるしかない。両肘の刃を伸ばしたエルレイドが、ボクの想いに答えるように声を上げながら腕を振るう。けど、これだけの速さを誇る攻撃を完全に防ぐことはできない。そのため、エルレイドが防ぐのは自身の急所を捉えてきそうなものだけだ。それ以外の物は全て無視しているため、エルレイドの身体には着実にかすり傷が増えている。

 

 とても痛々しい。けど、ボクにできることは対策を考えて指示を出すことだ。エルレイドもそれを信じてくれているからこそ耐えてくれている。だから、その期待に応えるためにもボクは必死に策を考える。

 

(ストーンエッジを蹴って礫のショットガン。それも脚力を上げて放たれる圧倒的速さ……この間は下手に攻撃するよりも防衛に回るしかない……チャンスはこの技が終わった後。岩の柱だって無限じゃない。柱を使い切った瞬間が前に走るチャンスだ……けど……)

 

 そこで問題なのがイシヘンジンの機動力。

 

 ロックカットで素早さがぐんと上がっているイシヘンジンは、今のエルレイドでは追いかけられない。それでも追いつくというのなら、何かしらの搦め手が必要だ。

 

(相手の機動力を奪う何か……)

 

 エルレイドが身体に傷を作りながら礫を弾く中、いろいろ考えて1つの答えを出す。

 

(いや違う!岩の柱が消えるのを待たなくてもいい!!機動力を奪うんじゃなくて、今みたいに()()()()()()()()()()()()いいんだ!!この場合、またダメージは増えちゃうけど……倒せるのならそれに越したことはない!!)

 

「エルレイド!!『サイコカッター』!!」

「エルッ!!」

 

 高速で飛んでくる礫に対してパリィを行っていたエルレイドは、その手を少し止めて腕にパワーをためていく。その間は礫を止めるものがなくなるため、エルレイドに少なくないダメージが積み重なるものの、その代わりにたまった斬撃を連続で繰り出すことによって、イシヘンジンへの返しの攻撃となる。

 

 跳んでいく虹色の斬撃は、礫を崩しながら何発もイシヘンジンの下へ到達していく。

 

「『てっぺき』です!!」

「ヘーン!!」

 

 しかし、そのすべてを鉄壁の身体にて受け止められてしまう。わかっていたことだけど、この防御力は見ていて少し心に来る。けど、相手から飛んでくる礫はなくなった。この一瞬を逃すわけにはいかない。

 

「エルレイド!!」

「エルッ!!」

 

 少しある距離を速く詰めるために、思いっきり地面を踏み抜いて前に走り出すエルレイド。ここで懐に入らないとイシヘンジンは捕まえられないとわかっているその走りは、今までで一番のスピードを見せていた。けど、それでもイシヘンジンとの距離はかなりある。

 

「落ち着いてくださいイシヘンジン。引き続き岩の柱を蹴って石の礫を!決して近づけないでください!!」

「ヘーン」

 

 マクワさんもこの距離なら追い付かれないことを知っているため、冷静に迎撃準備。次の岩の柱に移動したイシヘンジンが、再び礫の弾丸を発射するために、大きく足を振りかぶる。

 

 やっぱりこのままじゃ間に合わない。

 

「ヘーン!!」

 

 当然イシヘンジンはこちらを待たない。振りかぶった足で思いっきり岩を蹴り、物凄い衝撃音を奏でる。結果……

 

「へン?」

「な!?」

 

 蹴られた岩の柱が粉々に砕け、礫を越えてもはや砂となって舞っていく。

 

「エルレイド!!今!!」

「エルッ!!」

 

 礫を越えて粉々になっているということはこちらに攻撃が飛んでこない時間が増えたという事。しかも、イシヘンジンは足を振りぬいている状態なのですぐに動くことが出来ない。その隙に懐に走り込むために、エルレイドがどんどん距離を詰めていく。

 

「一体何が……」

 

 今まで礫に変わっていたのが、急に粉々になるようになったことに驚くマクワさん。けど、その理由にすぐ気づく。

 

「イシヘンジン?いつの間に()()()()()()を……」

「ヘン?」

「いえ、そういう事ですか」

「エルレイド!!『せいなるつるぎ』!!」

「エルッ!!」

「って今はそれどころではないですね。『ストーンエッジ』!!」

 

 けど、そのころにはもうエルレイドは懐まで入り込んでいる。慌てて岩の刃を生成してエルレイドを追い返そうとするけど、懐に入ってしまえばエルレイドの方が技は早い。

 

「打ち上げて!!」

 

 イシヘンジンが地面を踏み抜くよりも先に、技をアッパー気味に打ち出すエルレイド。それも一発では重いイシヘンジンは浮き上がらない。なので何回も刃を叩きつけてイシヘンジンの身体を無理やり空中に打ち上げた。

 

 これでイシヘンジンの機動力は完全に奪った。そんな空中に飛ばされたイシヘンジンの頭には、さっきまでエルレイドについていたクリームとアメざいくがついていた。

 

「岩の柱が礫にならずに粉々になったのは、『サイコカッター』で礫を弾いたときにクリームも一緒に飛ばしたから。そのクリームがイシヘンジンに付着したことによって、イシヘンジンの攻撃が上昇。そのことに気づかなかったイシヘンジンが、いつもと同じ力で岩の柱を蹴ったことによって、いつも以上に岩が砕けてしまった……それが今の現象の原因ですね」

「その通りです。エルレイドの攻撃が下がってしまうデメリットはありますけど、その分いい展開が取れました。1つの賭けでしたけど、うまくいってよかったです。このまま打ち取ります!!『せいなるつるぎ』!!」

 

 空から落ちて来るイシヘンジンに対して、とどめのせいなるつるぎを構えるエルレイド。空中にいるイシヘンジンには避けるすべはない。

 

「確かに、もうイシヘンジンは戦えないでしょう。次の技で確実に落とされる……しかし、抗うことはできます。幸い、あなたのおかげでイシヘンジンの攻撃は上がっている……なら!!」

「!?エルレイド!!やっぱり技は中止!!一回下がって━━」

「もう遅いです!!イシヘンジン!!最後の力を振り絞って『ヘビーボンバー』!!」

「へ……ヘン!!」

 

 けど、マクワさんはこの状況を逆に利用する。自由落下によって落ちるスピードを生かし、そのままエルレイドに向かって自慢の体重を叩きつける。

 

 イシヘンジンはもうこの技を使うしかできないため、この技さえ避けてしまえばもう動けない。けど、技の発動準備をしてしまったエルレイドにはこれを避けられない。それを悟ったエルレイドは、ヘビーボンバーにせいなるつるぎで立ち向かう。

 

「エルッ!!」

「ヘーン!!」

 

 ぶつかり合うお互いの技と声。同時に捲きあがる土煙。

 

 戦場を覆いつくすその煙は結果を隠していくけど、程なくして晴れて、ボクたちに勝敗を伝える。

 

 そこには……

 

「エル……」

「ヘン……」

 

 

「イシヘンジン、エルレイド、戦闘不能!!」

 

 

 目を回して倒れる両者がいた。

 

「お疲れ、エルレイド……ゆっくり休んで」

「ありがとうございましたイシヘンジン。いいガッツでした」

 

 これでお互い4人ダウン。

 

 ボクは、次のボールに手を添えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




イシヘンジン

とても所属地の偏ったポケモンですよね。本来はダブルで活躍するポケモンです。実は蹴りが得意という設定も面白いですよね。




前書きに書かれた通り、更新についてのお知らせです。

7月1日より、諸事情によりしばらく家を空けるため、次の投稿予定日の6月29日の後から少し投稿が止まります。その次の投稿は7月11日を考えておりますので、ご了承いただけたらと思います。
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