【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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204話

「「『じしん』!!」」

「ノワッ!!」

「ダァンッ!!」

 

 お互いの切り札同士の開戦は、ダイマックスの時と同じく大きな揺れから始まっていく。

 

 ヨノワールは拳を叩きつけ、セキタンザンは四股を踏むことで技を発動させ、お互いの中間地点でぶつかった揺れが共振をし、さらなる大きな揺れとなってスタジアム全体を揺るがしていく。

 

「『かわらわり』!!」

 

 この大きな揺れによってセキタンザンが少しバランスを崩しているところに、ヨノワールが右手を白く光らせながら突っ込んでいく。地面はまだ余震で揺れているけど、ヨノワールは空に浮くことが出来るからこれくらいならまだ動ける。

 

 黒いマフラーをたなびかせ、通った後に闇の軌跡を残しながら走るその姿は、普段のヨノワールからは考えられない速さとなっており、この変化にまたマクワさんの顔色が驚きに染まる。

 

「『ストーンエッジ』です!!」

 

 それでもさすがの判断力ですぐさま攻撃を指示するマクワさん。その指示に従って、さっきと同じように四股を踏むセキタンザンは、地面から岩の柱を呼び出していく。

 

 今までのどのポケモンよりも鋭く、そして速く突き出てくる柱は、セキタンザンがマクワさんの手持ちの中でもレベルが違うことを顕著に教えてくれた。この攻撃は並大抵の人ではまず避けられないだろう。

 

 けど、ヨノワールと感覚を繋ぎ、敏感になっているボクたちのセンスがその上を行く。

 

(分かる……ヨノワール!!)

(ノワ……ッ)

 

 前のめりになっているところにブレーキをかけて止まるヨノワール。すると目の前に岩の柱がいきなり現れ、その柱が現れた瞬間、ボクとヨノワールは右腕を左から右に一閃して割る。

 

「なっ!?」

 

 マクワさんから驚きの声が聞こえるけどその言葉を無視して突き進み、途中で停止や軌道逸らしを混ぜて岩の柱を避けたり砕くことでやり過ごす。その際ボクも無意識のうちに一緒に腕を動かせていた。その度にヨノワールとさらに繋がるような気がして、どんどん動きが洗練されていく。その証拠に次どころか、3手先に飛び出してくるであろうストーンエッジの場所すらも、ヨノワールを通じて感覚で伝わってくる。

 

 前に進むヨノワールを止めるように生える岩を察知したボクたちはまたその場で急停止。同時に現れた岩の柱に、左から右にかわらわりを振って粉砕。と同時にその勢いを殺さずに回転することで、すぐさま飛んでくることが分かっていた他のストーンエッジたちもまとめて粉砕。

 

(行くよ!!)

(ノワッ!!)

 

 合図とともに回転を止めて、今度は両手を前に突き出して、両手に黒いオーラを纏わせる。すると、今まで砕いてきた岩たちが同じように黒いオーラを纏いながら空中に浮かび出す。

 

「『ポルターガイスト』!!」

「ノワッ!!」

 

 準備が出来たのを確認した瞬間すぐさま手を動かすボクたち。指示を受けた黒い岩は、弾丸のようにセキタンザンへと飛んでいく。

 

「くっ、『フレアドライブ』です!!」

「ダァン!!」

 

 この黒い岩に対するマクワさんの解答は、自身の身体を炎に包むというものだった。自分の石炭を強く燃やすことで、さらに強い大きな炎と化したセキタンザンは、ポルターガイストによる岩を辛うじて受け止めていく。けど、共有化したことによって威力の上がったポルターガイストを完全に受け止めることは出来ずに、その大きな身体を少し後退させる。

 

「『いわなだれ』!!」

 

 下がったセキタンザンをそのまま攻めるために、今度は頭上から岩の雨を降らせていく。

 

「『ストーンエッジ』!!」

 

 これに対し、頭上に向かって岩の柱を生やしていくことで何とか攻撃を防いだセキタンザンは、この隙にも前に飛び出してくるヨノワールに対する防御行動としてさらに岩を生やして、その裏に隠れるように移動を始める。

 

(そんな防御!!)

 

 けど、その程度ではヨノワールの進撃は止まらない。両手を再び白く光らせて、かわらわりの準備を整えたヨノワールは岩の柱を次々となぎ倒しながら……

 

「っ!!そこっ!!」

「ノワッ!!」

 

 上から振りそぞぐ噴石に紛れたストーンエッジに反応して、これも打ち砕く。

 

「なぜこれにも……いえ、まさかっ!?」

 

 マクワさんが何かに気づいたような声をあげるけど、身体に当たる噴石がヨノワールを通して、ボクの身体に継続的な痛みを与えてくるためそれどころでは無い。噴石とストーンエッジの雨を砕きながら猛進するヨノワールに意識を向け続けるボクは、額から汗を流しながら、それでも腕を休めることなく振り続ける。

 

「今もなお、ヨノワールと一緒に、そして同じように振り続ける腕に、本来なら反応できないであろう死角からの攻撃に対する超反応。そして何より、噴石がヨノワールにあたる度に微かに歪められるあなたの表情……なるほど、ようやくわかってきましたよ。その状態、攻撃力と素早さの上昇以外に、五感を共有するという効果もあるわけですね……それなら先程の反応速度も、今のあなたの行動も理解出来る。しかし……」

 

 その間にも思考を回していたマクワさんは、程なくしてこの現象の正体にたどり着く。この辺りの考察の速さはさすがとしか言いようがない。けど、そんなマクワさんは、同時にボクが現在進行形で痛みに襲われていることも理解したためか、ボクの姿を見てほんの少しだけ躊躇するような視線を向けてきた。優しいマクワさんのことだ。これいかんの戦いで、ボクを傷つける可能性があることに思わず手が止まってしまうのだろう。実際未完成とはいえ、似たような状態で戦ったキバナさんとの戦いでは、終わったあとにボクは身体を崩している。ボクとキバナさんの戦いを履修しているマクワさんは、当然その場面も見たはずだ。だからこそ、ちょっとした躊躇いが出てきてしまうのだろう。

 

 そんなマクワさんの優しさを、ボクは視線で跳ね除ける。

 

(マクワさん。ボクは大丈夫です。このデメリットも、覚悟の上で使っています。だって、これがボクの本気だから……!!だからマクワさんも、気にせず本気で来てください!!)

 

 声に出すことはしない。……いや、出来ない。痛みと共有に集中しているからそれどころじゃない。けど、マクワさんにはこれで伝わるはずだ。その証拠に、視線を向ければその先でマクワさんは、いつものニヒルな笑みを浮かべながら口を動かしていた。

 

「全く、そこまで意思を通されたら、気にする方が失礼になるじゃないですか。……いいでしょう。あなたの本気、しかと受け取りました。ならこちらも、もうなりふり構いません!!セキタンザン!!」

「ダァン!!」

 

 ヨノワールのかわらわりが空を切り裂き、ついにセキタンザンが隠れていた岩をも砕いた。その後ろにいるセキタンザンの姿を、ヨノワールの視界を通してボクも見る。

 

「『かわらわり』!!」

「ノワッ!!」

 

 セキタンザンに対して攻撃を叩き込まんと右腕を振り上げるボクとヨノワール。このまま脳天へ落とそうと構えたその攻撃は、視界がいきなり()()()()()()()ことで、空ぶった感覚が腕に残った。不発に終わった証だ。

 

「っ!?目がっ……!!」

「ノワッ!?」

 

 急にやってきた目への異物感に反射的に目を瞑ってしまうボクとヨノワール。あくまで潰されたのはヨノワールの視界だけなので、ボクの視界に集中すれば視力は戻る。その状態でヨノワールの身に何があったのか確認すると、ヨノワールの目の周りに黒色の液体が付着しているのが確認できた。

 

 セキタンザンが発射できる、黒色の液体なんて1つしかない。

 

「『タールショット』か!!」

 

 タールショット。

 

 黒い粘性のある液体を相手にぶつけ、相手の機動力を奪う技だ。粘性の高いこの液体は簡単に振り払うことが出来ず、受けたポケモンの素早さを落とし、しばらくへばりついて逃さない。そしてこのタールショットにはもう1つの効果がある。いや、むしろこちらの方がメインの効果だ。

 

 セキタンザンの身体から生み出されたこの液体は非常によく燃える性質がある。そのため、この技を受けたポケモンは以降受けるほのおタイプの威力が倍になる。

 

「『フレアドライブ』です!!」

「ダァン!!」

「まずっ!?ヨノワール!!」

「ッ!!」

 

 黒い液体にまみれたヨノワールに向かって、全力の焔を纏った突撃を開始するセキタンザン。技の予備動作だけで感じる熱さから、すぐにやばさを悟ったボクは慌てて撤退動作に入る。しかし、タールショットのせいで動きが遅くなったヨノワールは、セキタンザンの突進よりも速く逃げることが出来ないため、下がりきることが不可能になる。

 

「『いわなだれ』からの『かわらわり』!!」

「ノワッ!!」

 

 下がれないとわかったボクとヨノワールはすぐさま下がることを放棄。地面に手をつき、頭上より岩を落として少しでもセキタンザンの火力を落とし、そのうえでかわらわりをクロスに構えて受け止める。

 

「っつつ!?」

「ノワッ!?」

 

 それでも決して勢いの衰えることの無いセキタンザンの攻撃は、タールショットのこともあってかいつも以上に強い熱をもってヨノワールを襲っていく。けど、攻撃に負けずに踏ん張るヨノワールの意志に答えるために、ボクも痛みに耐える。

 

「セキタンザン!!」

「ダンッ!!」

 

 ただ、そんな意地すらもねじ伏せる火力を叩きつけて来るセキタンザンは、そのまま身体を押し込んでヨノワールを思いっきり押しのけた。

 

「ノワッ!?」

「うぐっ!?」

 

 後ろに弾かれるヨノワールと同時に、ボクの腕にのしかかる痛みと熱に声が漏れる。けど、ここで怯んでしまうと相手に追撃を許してしまうことになるので、そんなことをさせないためにもすぐさま態勢を立て直して前を向く。しかし、そこでマクワさんが行った指示は意外なものだった。

 

「セキタンザン!!意趣返ししてやりましょう!!上に向かって『タールショット』!!」

「ダン!!」

 

 指示した技は攻撃技ではなく変化技。それも、ヨノワールに向かって放つわけではなく、上空に向かって放つもの。フレアドライブを解除しないまま上空に放たれたタールショットは、黒色の液体としてではなく、炎を纏った塊として空中に打ち出された。そして、ある程度空中まで飛んだその炎の塊は動きを止めて、逆再生するかのように落ちていく。

 

 それはまるで、セキタンザンが放った、セキタンザン自身への攻撃のような気がして。

 

「ッ!?ヨノワール!!『ポルターガイスト』!!」

「ノワ……ッ!!」

「うぐっ!?」

 

 その様を見てマクワさんの狙いに気づいたボクは、なんとしてでもこれを止めるべくヨノワールに指示を出すけど、さっきの攻撃と、相変わらず降りそそぐ噴石によって痛む身体に意識を持っていかれ、動きが止まってしまう。その間にも落ちて来る炎の塊は、ついにセキタンザンに直撃し、セキタンザンにわずかなダメージを刻む。そして……

 

「ダアアァァァンッ!!」

 

 セキタンザンの火力がさらに跳ね上がり、身体に積まれた石炭の色が黒色から赤色へと少し変わっていった。

 

「……ボクがやった『デコレーション』を見て思いついた作戦なんだろうけど……まさか自分自身に攻撃を当てて『じょうききかん』を無理やり発動させるなんて……」

「言ったでしょう?『意趣返し』と……セキタンザン!!再び『フレアドライブ』!!」

「ダァンッ!!」

「ヨノワール!!」

「ノワッ!!」

 

 セキタンザンが持つ特性『じょうききかん』は、自身がほのおタイプ、もしくはみずタイプの技を受けた時に発動し、技を受けた時のエネルギーを自身の素早さへと変換して、能力を一気に引き上げるというものだ。その上昇量はとてつもなく、元の素早さがかなり低いはずのセキタンザンでも、この特性を発動してしまえば大体のポケモンを置き去りにするほどの機動力を手に入れてしまうほど。現に、また炎を身体に纏いながら駆け回るセキタンザンの動きは先ほどに比べて格段に速くなっており、目で追いかけるのがやっとなレベルだ。

 

「そこです!!」

(右ッ!!)

 

 圧倒的な素早さを手に入れたセキタンザンは、目が未だに見えず、そしてダメージも重なってきたヨノワールへふいうちを仕掛けるべく、ヨノワールの右から突撃をしてくる。けど、ボクと視界を共有しているため、自身を俯瞰してみるという少し独特な視界見ることの出来るヨノワールは、この攻撃を前に飛び出すことによって何とか回避する。

 

「まだです!!」

(次は後ろから!!)

 

 この回避行動を苦し紛れと判断したマクワさんは、そのまま攻撃の手をやめずに攻めを続行し、今度はヨノワールの後ろから飛び込んでくる。けど、これも視界共有のおかげでタイミングを把握し、右に身体を倒すように動かして避ける。

 

 それからも何度かセキタンザンによる炎の突進は続くものの、そのすべてをギリギリのところで回避していた。

 

(確かに『じょうききかん』で素早さはかなり上がっている。でも、自身で無理やり発動しているせいか本来よりも上昇量が少ない……これならまだ見切れる!!)

 

「ヨノワール!!」

「ノワッ!!」

 

 ギリギリのところで回避していくうちにタイミングに慣れ始めたボクたちは、少しずつ余裕をもって攻撃を避け始める。あと少しすれば、完璧にタイミングを掴んで避けることが出来るだろう。そうなればこの攻撃に対してカウンターを決めることもできそうだ。けど……

 

「『ストーンエッジ』!!」

「「ッ!?」」

 

 此方がタイミングを掴んできているなら、マクワさんはそのタイミングをずらしてくる。それを表すかのように、ヨノワールがフレアドライブをよけたタイミングで地面を踏みしめたセキタンザンは、ヨノワールの回避先にかなり背の高い岩の柱を生やしていく。

 

 この攻撃を察したヨノワールは何とか回避。しかし、この回避行動の終わりを突くように今度は炎の突進が飛んでくる。

 

「手数が……一気に……ッ!!」

「突進だけでだめなら岩の柱も加えたコンボで崩します!!」

 

 この突進も何とか回避するけど、その回避の終わりを再び岩の柱に襲われる。それでも頑張って何とか避けると、襲ってくるのはまた炎の突進。

 

 炎と岩。どちらも決して安くない攻撃が交互に跳んでくる様は、傍から見ているとひやひやものだろう。意識を共有しているボクは勿論、当事者であるヨノワールは更にそのプレッシャーを受けている。そんな極度の緊張感のせいか、ヨノワールの動きも少し悪くなり始め、攻撃もちょっとずつ掠るようになる。その度にまた皮膚に鈍い痛みが走るけど、それでもここで意識を逸らすと取り返しがつかないことになってしまうため、意地でも前を見て避け続ける。

 

 そんなギリギリのところで何とか踏ん張り続けていたボクたちだけど、その抗いも終わりを迎える。

 

「ヨノワール!!そっちはダメ!!」

「ッ!?」

 

 もう何回目かになる岩の柱を何とか避けるヨノワールは、ようやく取り戻し始めた自分の視界で周りを見渡す。すると、自身の周りを岩の柱で完全に囲まれていた。ボクの視界からだと死角があって分からなかったけど、ヨノワールの主観として見渡すとひとつの隙間もなく、完全に閉じ込められている状態になっていたことが分かった。

 

(なら上に!!)

「『じしん』!!」

 

 けど柱に囲まれているという設計上、真上は解放されている。そこから脱出するべく、すぐさま宙に浮き上がるヨノワール。けど、それと同時にセキタンザンがじしんを放ってきた。すると、地面が大きく揺れ、ヨノワールの周りの柱が崩壊。大きな岩石となって、ヨノワールの真上から降りそそぐ。

 

「ノワッ!?」

「ヨノワール!!」

 

 最初の何個かはかわらわりで砕くことは出来たけど、ヨノワールを囲む岩が一斉に崩れたことで発生した岩石があまりにも多く、両腕では足りない物量に押されてしまい、あっという間に生き埋めになってしまう。それでも何とか這い上がろうともがくヨノワールを襲うのは、未だ止まない噴石たち。岩石を覆うように降るそれが、ヨノワールをさらに追い詰める。

 

「うッ……ぐ……」

 

 岩のこすれる鈍い音と地響き、そして噴石が止んだのは、ボクが身体の痛みに耐えきれず、片膝を地面に着いた時だった。

 

「……ヨノワール」

 

 そして訪れる静寂。

 

 あれだけ騒がしかったフィールドが嘘のように静まり返り、響くのはボクの声だけ。実況も観客もマクワさんも、誰も喋らない。強いて聞こえてくるのは審判の人が、ヨノワールが戦闘可能なのかを調べるために近づいていく音だけ。その審判の視線の先にある岩石の山も、ピクリとも動かない。

 

 ヨノワール戦闘不能。

 

 この状況に置いて、誰もがこの答えに行き着いた。故に観客は、今からマクワさんのコールを行おうと準備をした。なんなら、マクワさんさえも、勝ちを確信していた。

 

 けど、未だに『共有化が切れていない事』を感じることの出来るボクはゆっくりと、しかしはっきりと告げる。

 

「……『じしん』」

「ッ!?セキタンザン!!下が━━」

 

 ボクの指示を聞いてようやく悟ったマクワさんが慌てて指示を出すけど、その指示をかき消すような轟音が鳴り響き、岩石の山がじしんの衝撃と共に吹き飛んでいく。その中心には、自身の周りに黒い岩を浮かばせながらオーラを纏い、両手と身体を更に真っ黒に染め、そして腹の口の端からさらに焔を滾らせるヨノワールの姿。

 

 心なしか、水色のモノアイも強く、深く輝いているような気がする。

 

「力に応じて、色と焔が濃く……それに、目の光が……っ!!」

「……『ポルターガイスト』!!」

「ノワ……ッ!!」

 

 マクワさんの声が聞こえてくるけど、その声をかき消すようにヨノワールが力強く腕を振る。するとヨノワールの周りに浮いていた黒い岩が、弾かれるようにセキタンザンに向かって飛んでいく。

 

「くっ、さっきよりも勢いが強い……!!『フレアドライブ』!!」

「ダ……ンッ!?」

「セキタンザン!?」

 

 この岩の群れに対して、セキタンザンが炎を纏って迎撃を始めるけど、突如セキタンザンの身体が傾く。何が起きたのか分からないと言った顔を浮かべたマクワさんは、しかしその原因にすぐに気づいた。

 

「さっきの『じしん』で吹き飛んだ岩のひとつを『ポルターガイスト』で操作していたのですか!!」

「気づいても遅いです!!」

 

 ヨノワールが吹き飛ばし、派手に構えることによって視線を誘導し、その間に弧を描くように遠回りした岩がセキタンザンに命中。不意を打たれた結果となったこの攻撃に、セキタンザンはその炎を少し散らせながら膝を着く。

 

「ここで決める!!『ポルターガイスト』!!」

「ノワッ!!」

「セキタンザン!!意地でも耐えますよ!!」

「ダ……ンッ!!」

 

 そんなセキタンザンに最後の攻撃を叩き込むべく、黒い岩の雨を落とす。それは今まで噴石やら岩石やらを落とされた鬱憤を晴らすかのようで、見ているだけで圧倒されそうなほどの物量が叩き込まれる。しかし、それでもマクワさんの言葉を頼りに意地を見せるセキタンザン。1度揺れて、脆くなったはずの炎を何とか持ち直し、足をしっかりと地面に着けて耐えるセキタンザン。

 

 物凄い執念だ。だけど、こうなってしまえば、彼自慢のじょうききかんはもう頼りにならない。そして機動力を失ったセキタンザンは、もうヨノワールの敵では無い。

 

「ヨノワール……!!」

「……ノワ!!」

 

 セキタンザンに飛んでいくポルターガイストの岩。そのひとつに身体を潜り込ませていたヨノワールが、岩が当たる瞬間に身体を出す。

 

「なっ!?」

「ダッ!?」

 

 急に目の前に現れた黒の霊。その姿に声を漏らすことしか出来なかったマクワさんとセキタンザン。そんな彼らに対し、ボクは右腕を上にあげながら、告げる。

 

「『かわらわり』!!」

「ノワッ!!」

 

 一閃。

 

 高く振り上げられ、そしていつも白とは違う、漆黒のオーラを輝かせたヨノワールの右手は、ボクの腕と寸分たがわない動きで振り下ろされる。

 

「……」

 

 手刀が当たったはずなのに音はせず、むしろ何かが切れたかのような音を鳴り響かせ、同時にセキタンザンの炎を霧散させていく。そして……

 

 

「セキタンザン、戦闘不能!!」

 

 

 今までヨノワールの前に立ちはだかった石炭の壁が、音を立てて崩れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




タールショット

相手の素早さを一段階落とし、同時に相手にほのお抜群のデバフをつける、セキタンザン専用の技です。一見効果は強いのですが、如何せんセキタンザンが遅すぎるのと、じょうききかんによる素早さのバフが極端すぎて、すばやさダウンがあまり役に立っていないのが悲しい技。ですが、お話としては映えますよね。ちなみに、宙に向かって打って自分で受け、自身を強化するのはアニポケの棒ジムリーダー戦を参考にしています。金色のピカチュウを見た時の感情は今でも覚えていますね。

じょうききかん

ダブルバトルではちょくちょく見る強力な特性。ただ、はらだいこと違って『限界まで引き上げる』ではなく、『六段階上昇』みたいですね。




少し期間があいてすいませんでした。今日からまたいつも通りになりますので、よしなにお願いします。




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