【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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1回戦 第2試合
206話


「全く、初戦から無茶しちゃって……」

「あはは、ほんとごめん……」

「そんな調子でこの先闘い続けられるのかしら……幸い、2回戦は後日だからそこまでは休めるでしょうけど……」

「一応体力回復には自信あるから、そこまでには間に合わせるよ」

 

 バトルフィールドから退場して控室に戻ったボクは、そのままスタジアム内にある休憩室に通され、そこでポケモンとボク自身の体力を回復させるために、しばらく安静という形でベッドに寝かされていた。やっぱりあの共有化による疲労はかなり大きく、ベッドに寝転んでしまった今、しばらくは足が動きそうにないくらいには固まってしまっている。とはいっても、ジョーイさんより、一時的な疲れでこうなっているだけで、異常そのものはないからすぐに良くなるとの言葉はいただいているので、大事になることはなさそうだ。けど、こんなことをあと2回はしないと優勝できないのは、ちょっと怖い所はあるかもしれない。もし優勝しようものなら、さらに上のトーナメントがあるからもっと戦うことになるしね。

 

 と、そんなちょっとしたダウン状態になっているところにお見舞いに来てくれたのが、さっきまで観客席でボクとマクワさんの試合を見に来てくれていたヒカリとジュンだった。ヒカリは少し呆れた顔で、ジュンは若干興奮した表情で話しかけてくるのが、2人の性格をよく表している。ヒカリは普段は引っ張りまわす側だけど、こういった状況ではむしろちゃんとした視点で見て来るから、暴走した時とのギャップが少し面白い。

 

「どっちにしろ、これにはなれるしかないからね……これでもましにはなった方なんだよ?」

「わかっているわよ。マスタードさんとの闘いの後気絶したのも知っているんだから。その時に比べたら、痛覚とか疲労の共有に関しては、慣れているのかそこだけ意識的に遮断しているのかは知らないけど、向き合い方もわかっているようだしね」

「それ以上に、共有化した時の強さも凄いもんな!!お前とヨノワールの戦い凄かったぞ!!」

「ありがと。共有化の話はちょくちょくしてたけど、実際に戦うところをみんなに見せるのは初めてだったもんね」

「ああ!!進捗も聞いてはいたけど、あそこまで完成してるとはな~……口から炎が出てたり、黒く光ってたり、水色の目が輝いてたり……くぅ~!!おいフリア!!ガラルリーグが全部終わったら、そのヨノワールと戦わせてくれよな!!」

「勿論。結局全力で戦えたのはヨロイ島での一件だけだったもんね。今度はもっと本格的にやろう!!」

「はいはい。暑苦しい男の友情はよくわかったから、フリアはちゃんと身体を休めなさい。当り前だけど、トーナメントは相手がどんどん強くなっていくんだから、明日はもっときついわよ?」

「うん。わかってるよ」

 

 ボクとジュンが次のバトルの約束をしている間に、ヒカリがボクのために疲れの取れる、それでいて軽く食べやすい料理をいくつか作って横においてくれた。やっぱりこと料理と身体の健康面においては、ヒカリは本当に細かい所まで目が行く。本当に、なんでこんなに優秀なのか不思議なくらいだ。後でお礼しなきゃね。

 

「お礼は今わたしが作っているコンテスト用の衣装を試着してくれればいいわよ!!」

「……それ絶対女性向けの服じゃん。お礼するのやめようかな……」

「大丈夫大丈夫!絶対にフリアに似合う服だから!!」

「なんで自分がコンテスト用に着る服がボクに合わせられてるのさ……」

 

 前言撤回。やっぱりヒカリもおかしい。

 

「それよりも、2人は次の試合は見に行かなくてもいいの?もう始まるんじゃない?」

 

 なんて、いつも通りのボクたちの会話を続けていた時にふと時計に目をやると、もう少しで第2試合が始まる時間に近づいていた。具体的に言うと、今から観客席に走ってギリギリ開始に間に合うかどうかと言ったところか。

 

「っと、そうだったな!!次はセイボリーとクララのバトルだったか……これはこれで見ものだからちゃんと見なきゃな!ヒカリ!!すぐに観客席に戻るぞ!!遅れたら罰金5000万円な!!」

 

 ボクの言葉を聞いたジュンは、慌てて部屋を飛び出していく。いつものせっかちモード全開の彼は、この休憩室の扉を閉めていくことなく走り去ってしまった。

 

「……ったく、あいつ、あとで絶対説教してやるんだから」

「あ、あはは……まぁでも、試合が気になるのはヒカリも同じでしょ?ボクはもう大丈夫だから行って来たら?」

「そうさせてもらうわね。じゃ、く・れ・ぐ・れ・も!変なことせずにちゃんと休むのよ?」

「わかってるよ。ジュンじゃないんだから、自分の限界はちゃんと理解してる」

「……若干怪しいけど、まぁいいわ。それじゃあ、わたしは戻るわね。何かあればスマホに連絡頂戴」

「ん、りょーかい」

 

 一通り伝えたいことは伝え終えたヒカリも、ジュンの後を追ってこの部屋を出ていく。ボクに気遣って、音を立てずに扉を閉めていくヒカリを見送ると、訪れるのは無音の空間。休むことに重きを置いているこの部屋は、遮音性に優れているためか外の声も入ってこない。これなら落ち着いて休むことが出来るだろう。……試合の雰囲気を全く味わえないのは、ちょっと残念だけどね。

 

「セイボリーさんとクララさんの試合……どうなるのかな……」

 

 今頃始まっているであろう、次の試合について想像を膨らませながら、ボクはゆっくりと意識を沈めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、良かった。試合は今から始まるところなのね」

「お、遅いぞヒカリ!!」

「あんたがせっかちすぎるだけなのよ。全く……」

 

 フリアが休んでいる休憩室を後にしたわたしたちは、自分たちが元いた席に戻っていた。これから始まる第2試合も観戦するためだ。というか、今回このトーナメントに参加している人のほとんどを知っているわたしたちにとっては、全ての試合が観戦したいカードになっている。もちろん、1番注目していた試合はフリアの試合だったから、1番気になる試合は最後まで見届けることは出来ている。けど、やっぱりみんなが出ているトーナメントならちゃんと見守ってあげたい。知り合いの活躍はなんだかんだ嬉しいしね。応援にも身が入るというものだ。

 

(そういう意味では、次の試合はどっちの応援をすればいいのか悩みどころだったりするのだけどね)

 

 視線をあげてスタジアムに掲げられているディスプレイに目を向けると、そこには次の対戦カードであるセイボリーさんとクララさんの顔が表示されていた。

 

 どちらも一時的にとはいえ、フリアが一緒に旅をした仲間であり、フリアを通して知り合いになってそこそこ話すようになった相手だ。クララさんは言わずもがな、セイボリーさんも実は紹介してもらっており、バドレックスの一件が終わったあと、また特訓のためにヨロイ島に戻った時に済ませた感じだ。

 

「さ~て、このバトルはどうなるかしらね?」

「同門対決だよな!!ってことは、お互いの戦略とか、手持ちのポケモンのこともよくわかっていそうだし、お互いやり辛そうだなぁ」

「そうかしら?話を聞く感じ、道場に入ってすぐはお互いあまり真剣に練習していなかったみたいだから積極的にバトルはしてないでしょうし、そもそもジムチャレンジが始まってからこのリーグが始まるまで、チャレンジの進み具合とか、リーグまでの手札隠しによる停戦協定とかでろくに情報が手に入っていないみたいだし、むしろ中途半端な先入観が邪魔して色々ごちゃごちゃしそうと見るのだけど」

「まぁ、お互いのことを知っているにしろ知らないにしろ、結局やり辛いに変わりはないだろ?そのうえでどうなるのか、楽しみだな!!」

 

 ジュンとわたしでこのカードによる考察をしていると、バトルコートの東と西、真反対の入り口からひとつずつ影が現れる。片方はシルクハットに浮いているボールが特徴的な、長い金髪にメガネ姿の見た目紳士的な青年が、もう片方はピンク色の髪に、ドクケイルを模したようなリボンを結わえた女性が、バトルコートの中心に向けて歩き出していた。

 

 その両者がバトルコートの中心に立って向かい合い、言葉を交わしていく。その内容が気になったわたしは、ルール説明をしている実況者の声を意識的にシャットアウトしながら、2人の方へと耳を傾けた。

 

「こうして向き合って戦うのは初めてですね。クララさん」

「そうだねェ……お互い、道場では不良門下生的な位置だったしィ?認知はしていたけど、深くかかわろうとはしてこなかった的なァ?」

 

 トレーナーの指示が観客にも聞こえるように、普段はトレーナーの首元についてあるマイクはオンになっているけど、今はまだバトルじゃないからオンにはなっていない。そのため、声を聞き取るためにはかなり集中しないといけないけど、コンテストの時に観客の1つ1つの声をしっかりと聞きながら演じるわたしにとって、これくらいの距離ならばまだ聞き取れる。そんな中聞き取った情報によれば、どうやら2人はそこまでかかわりが深いわけではないらしい。むしろ、悪かったかのようにさえ感じる。

 

「当時の……いえ、このジムチャレンジの途中まで、ワタクシは腐っていましたからね。むしろ、いつも適当で軽いあなたが、視界に入るたびに疎ましく思ったほどです」

「それはこっちのセリフ的なァ?道場に入った時は荒れに荒れてたしィ?いろんな人にガン飛ばしてて、『こいつなにサマァ?』って思ったこともたくさんあったしィ?ほんっと意味わかんないやつ~って感じてたしィ」

 

 どうやらファーストコンタクトは想像以上に悪いみたいだ。現に、過去を話し合う2人の表情は、口を開くたびに少しずつ目元とこめかみがぴくぴしていた。このままでは別のバトルが始まるのではないかと、少しだけ不安になってしまう程。周りの観客たちがこれに気づいていないのだけが幸いと言ったところか。

 

 けど、そんな表情を浮かべていた2人は、しばらく経った後、すっと穏やかな表情に変わっていった。

 

「ですが、このジムチャレンジを越え、あなたという人間を改めて知った時、あなたが歩んできた道の辛さを知りました。夢を目指し、しかし、周りの環境がそれを許さなかったあなたの道を」

「うちが挫折して落ちていったのと同じように、セイボリちんの心に住む闇の部分を、セイボリちんがジムチャレンジを突破して帰ってきたときの、リーグに向けての話し合いがきっかけで知った」

 

 次いで2人が口にしたのは、相手がどのような軌跡を歩んできたかというもの。どちらも挫折を知り、堕ちていき、荒れに荒れた黒歴史。

 

 はじめましてでは絶対に知ることの出来ない、その人の根幹に巣食う、闇の部分。

 

(……こうしてみると、2人とも境遇はかなり似ているのね。ほんと、物凄い偶然)

 

 しかも、このお話がどことなく、どこかの幼馴染を思い出させるから余計に思うところが出てきてしまう。

 

「きっと、クララさんが見てきた闇は深いのでしょう」

「きっとォ、セイボリちんが受けた傷は大きいんだろうなァ」

 

 そんなわたしの心なんてつゆ知らず……いや、何なら聞かれているとも思っていない2人の掛け合いは、徐々に独白の色を強くしていきながら、少しずつヒートアップしていく。

 

「でも、そんな闇の中でも、ちゃんと光を見つけた」

「でもォ、同じように傷を負いながらも、それでも前を向いていた人を見つけちゃったんだよねェ」

 

 2人の視線が、熱くなる。

 

「ええ。とてもかっこよく、とてもやさしく、とても強い……今のワタクシの一番の目標です」

「うんうん!!うちも!!夢を思い出させてくれる最高の推しに出会ったァ!!」

 

 セイボリーさんの念により、ボールの1つが前に突き出される。

 

「その目標に、1つでも近づきたいのです」

「その推しの隣にィ、恥ずかしくない姿で立ちたいんだァ」

 

 クララさんの手が、懐のボールをきつく握りしめる。

 

「ですから……」

「だからァ……」

 

 

『━━と、説明はこのくらいにしまして、さぁ始めて行きましょう第2試合!!両者ポケモンをお願いします!!』

 

 

「先で待っているフリアのために、勝たせていただきます!!」

「マリィセンパイの隣に立つためにィ、ぜってェ勝つ!!」

 

 

 実況の人の言葉と共に、セイボリーさんとクララさんの首元のマイクがオンになり、2人の魂からの叫び声が響き渡りながら2つのボールが宙に投げられた。

 

 

「「行け!!ヤドラン!!」」

 

 

 宙に投げられたボールが割れると同時に現れるのは2人のヤドラン。しかしその姿はわたしがよく知るそれではなく、ガラル地方に適応した姿……いわゆるリージョンフォームした姿となって佇んでいた。

 

 エスパータイプのエキスパートであるセイボリーさんと、どくタイプのエキスパートであるクララさん。そんなお互いが得意としているタイプの2つを含んだこのポケモンが、お互いの初手として向かい合った。

 

「いきなりミラー戦か……こりゃ本当にややこしいな」

「お互い同じポケモンだけど、得意としているタイプは違うものね。そうなって来ると、普段なら一番よく知っているポケモンなのに、自分とは違う動きをしてくる姿に調子を狂わされる可能性が出て来るわね。そうなって来ると、有利なのはセイボリーさんの方かしら?」

「純粋に、エスパータイプはどくタイプを攻撃するのが得意だもんな。クララさんが不利相性をどう攻略するかがカギになっていくぞ」

 

 同じようで大きな違いがある2人のポケモン。そんな2人による、負けられない第2試合が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『シェルアームズ』ゥ!!」

「『サイコキネシス』!!」

 

 同じポケモンによるバトルの開幕は、お互いの得意とする技による挨拶から始まった。

 

 2人の中間でぶつかり合う毒の弾丸と虹色の波は、しかし拮抗することなく毒の弾丸がもみ消されていく。やはりタイプ相性はかなり大きいようだ。

 

 毒の弾丸を消した波はそのまま流れ、クララさんのヤドランに向かって飛んでいく。一方でクララさんのヤドランはこの攻撃を避けて再びヤドランの左腕に着いた大砲から球を発射。当然これも撃ち落とすために、セイボリーさんが再び虹の波を放つけど、それと同時にセイボリーさんのヤドランの頭上から酸のボムが落ちて来る。

 

 相手にダメージを与えながら特防をガクッと下げるどく技、アシッドボム。

 

 クララさんは、弱点を突かれることによるダメージレースの差を、相手の耐性を下げることによって埋めようという作戦らしい。

 

「ならこちらは『ひかりのかべ』と攻めの準備を!!」

 

 それに対するセイボリーさんの解答は、ダメージレースの有利を取らせない動きをすること。ひかりのかべを行うことによって、下げられた特防をすぐさまカバー。これによって短期間とはいえ、下がった特防分の防御はひとまず補えた。

 

「優位は渡しません!!『サイコキネシス』!!」

 

 タイプ有利を離さないセイボリーさんは、1度ヤドランに力を溜めさせた後に、ひかりのかべを盾とした攻めへと転ずる。虹の波を放ったセイボリーさんの攻撃は、今度は避けられることなくクララさんに命中。エスパーとどくの複合であるため、ばつぐんで受けることはないけど、それでも少なくないダメージを受けた。

 

 しかし、クララさんの表情は困るどころかにやけていく。

 

「良いですよ!!このままもう一度『サイコ━━』」

「させねーぞォ!!『かなしばり』ィ!!」

「なっ!?」

 

 それに気づいていないセイボリーさんが再び攻撃を宣言したところで、クララさんが一歩先にかなしばりを発動させる。相手が最後に発動した技を一定時間封印するこの技によって、セイボリーさんが得意とするサイコキネシスを的確に封じていく。こういったところの強かさは、クララさんの性格をよく現していると言っても差し支えないだろう。

 

「さァ、どんどん押してくぞォ〜!!『アシッドボム』ゥ!!」

 

 相手の主力技を止めたクララさんは、ここからさらに自分の流れを作り上げるためにアシッドボムをばら撒き始める。この技にあたってしまえば、それだけで特防がどんどん下げられて、ひかりのかべで補っていた部分を上回って耐性を下げることが出来る。そうなってしまえばもうクララさんの独壇場だ。

 

「くっ、『ドわすれ』です!!」

 

 対するセイボリーさんは、苦し紛れのドわすれで自身の耐久を何とか維持しようと頑張る。正直この行動はただイタズラに決着までの時間を伸ばすだけの意味の無い行動でしかない。というのも、どう考えてもド忘れをするよりもアシッドボムが当たる回数の方が多いからだ。実際その通りになっているし、この試合を見ている人のほとんどが、この開幕はクララさんが持っていくと確信していた。

 

 しかし、セイボリーさんの表情は一切崩れない。それは先程かなしばりを決めたクララさんの姿にダブって見えた。

 

「ヤドラン!!あと数秒で『かなしばり』が消えるので準備を!!」

 

 かなしばりの時間をしっかりとカウントしていたセイボリーさんは、解除と同時に攻撃できるように準備を始める。一方でクララさんは、この発言を聞いて再びかなしばりを構える。

 

「それを言わなかったら1回くらいは攻撃出来たのにねェ?ヤドラン!!準備ィ!!」

 

 両者が準備を進めたところでかなしばりは解除。アシッドボムの雨も終わり、場に残っているのはかろうじて特防を守りきった、傷を負ったヤドランと、まだまだ元気なヤドランの2人。どちらがどちらだなんて言うまでもない。

 

「『シェルアームズ』ゥ!!」

 

 先手を打ったのはやっぱりクララさん。相手にサイコキネシスを打たせたい彼女は先に攻撃を仕掛けることで、サイコキネシスを発動しなければ直撃を受け、発動すればかなしばりで再び縛るという2択を迫っていく。

 

「『サイコキネシス』です!!」

 

 対するセイボリーさんの解答はサイコキネシス。技を封じられることよりも体力を削られることを嫌ったのだろう。特防がかなり下がっている今、ひかりのかべがあったとしてもこの攻撃はかなり痛手になるはずだからだ。その考え通り、サイコキネシスは最初と同じように毒の弾丸を中和し、揉み消していく。これで攻撃を受けることはなくなったが、同時にかなしばりの的にもなってしまう。そこでわたしはひとつの疑問を抱えた。

 

(セイボリーさんは、なぜポケモンを交換しないのかしら?)

 

 現状ヤドラン同士の戦いにおいてはクララさんが1枚上手に見える。なら、ここでするべき行動はヤドランに有利なポケモンに入れ替えるべきだ。フリアのブラッキーみたいに、変えたいけど変えられないなんて状況にも見えないし、まだまだ序盤である今のうちに交換はしておくべきだと思う。

 

(ミラー戦にプライドがある……とかかしら?いえ、それもないわね。そんなものに囚われて立てるほど、今のフリアの隣は軽くないもの。となれば……『あれ』、かしらね?)

 

 色々考えていくうちに、そういえば先程セイボリーさんのヤドランが『準備』と言われていたことを思い出す。それはまるでフリアがなにか技を隠す時の指示に見えて。

 

 そこに気づいたわたしは視線を上に向ける。すると、バトルフィールドの上空が少し歪み始めていた。

 

「そんなに簡単に『サイコキネシス』していいのかなァ?また縛っちまうぞォ!!」

 

 けど、そんな空気の異変に気付いているのはほとんどいない。恐らく、現地で観戦しているトップ層の人たちしかわかっていないだろう。対面しているクララさんも気づいていないのだから、その精度はかなりのものだ。

 

「ヤドラン!!『かなしばり』ィ!!」

 

 気づいていないクララさんは、当初の予定通りかなしばりを宣言。セイボリーさんの攻撃技を止めるべく、再び術を掛けようと目を光らせる。

 

「ヤドラン!!今です!!」

「エ!?」

 

 その瞬間、ここぞとばかりにセイボリーさんが動き出す。すると、空中の歪みから光の球が現れ、クララさんのヤドランへと殺到。強力な力を秘めたそれは、ぶつかると同時に爆ぜ、大きなダメージを与えていく。

 

(『みらいよち』……完璧に入ったわね)

 

 未来に攻撃を予知し、時間差で強力なエスパータイプの攻撃をする技。ひかりのかべと同時に撒いておいたタネが芽吹いた瞬間だった。

 

「『サイコキネシス』です!!」

 

 みらいよちによってできた隙を逃さず攻撃するセイボリーさん。このまま流れを取り切っていく考えだろう。

 

「ぐゥ……!!ヤドラン!!ここで引いたらだめェ!!『シェルアームズ』ゥ!!」

 

 一方クララさんも、ここで引いたらだめなことを理解しているため、無理やり攻めに転じる。

 

 再びお互いを狙って放たれる虹の波と毒の弾丸。しかし、今度は相殺することなく、技と技がすれ違ってお互いの身体に直撃した。

 

「ぐっ!?ヤドラン!!」

「大丈夫ゥ!?」

 

 飛んでくる衝撃に耐えながら戦況を見る2人。その視線の先では、方やみらいよちとサイコキネシスのコンボによってかなりのダメージを一度に貰ってしまい、方やがくーんと下げられ、更にひかりのかべも消えてしまったことにより脆くなった特防に重い一撃を貰ってしまい、地面に伸びた姿をさらすヤドランがいた。

 

 

「クララ選手、セイボリー選手、ともにヤドラン戦闘不能!!」

 

 

(ダブルKO……まさしく互角ね)

 

 第2試合の開幕は、両者ダブルノックアウトによる、お互い譲らない完全な互角から始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第2試合

同門対決。実は二人とも技構成もポケモンも同じなのに、切り札が違ったりするんですよね。まぁ、同じポケモンにするのはちょっとあれな気もするので納得ですが。

みらいよち

この技と言えば、やはりゴジカさんを思い出します。サトシさんの攻略の仕方は面白かったですよね。

アシッドボム

今となっては、レイドバトルのお供。いつもうちのハラバリーがお世話になっています。




実機では未来のジムリーダー対決ですね。どうなるのでしょうか。




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