【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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207話

 第1試合2回戦。ほぼ互角の両者の初手はダブルノックダウンから始まり、バトルの行方はますます予想しづらくなっていく。その事が嬉しいのか、隣にいたジュンはそれはそれは楽しそうに口を開く。

 

「おお~!!開幕から凄いな!!やっぱり見応えのある2人だぜ!!」

「まだ1人目のポケモンだからなんとも言えないけど、それでも既にお互いの得意分野が見て取れるわね」

 

 セイボリーさんはサイコパワーを使った変化技や、工夫した技の使い方で翻弄し、クララさんはどくタイプらしく相手の能力を下げたり妨害したりしながら攻めていく。同じヤドランというポケモンを使っていたのに、戦い方が全然違ったのを見る限り、確かにジュンの言う通り見応えのあるバトルと言っても差し支えない。やはりガラル地方のレベルは、他の地方と比べても頭一つ分飛び抜けている気はする。とはいえ先程も言った通り、この対戦もまだまだ序盤。ここから流れが変わって、どちらかが一気に崩れる可能性が0という訳では無い。特に、常に弱点を突かれることを念頭にしないといけないクララさんは1歩間違えれば一瞬で負けかねない。ここから先はもっと集中する必要があるだろう。

 

「さてさて、お互いの2人目はどう出るのかしら?」

「トレーナーとしての腕は互角っぽいもんな。なら次の対面はすごく大事だぜ」

 

 ジュンの言葉に小さく頷きながらわたしはバトルコートを注視する。すると、ヤドランをボールに戻し終えた2人はすぐに次のボールに手をかけて、宙へと放り投げる。

 

「行きなさい、ギャロップ!!」

「マタドガスゥ!!出番だぞォ!!」

 

 現れたのはギャロップとマタドガス。どちらもわたしが聞いたことのある名前だけど、またもや姿形はわたしの知るそれでは無い。リージョンフォームした彼らは、前者がエスパー、フェアリータイプ。後者がどく、フェアリータイプと、お互いが得意とするタイプにフェアリーが足されたものとなる。ヤドランに続いてまたもや共通点のある選出に、思わず少しだけクスりとしてしまう。ある意味相性はいいのかもしれない。なんて、少しだけ呑気なことを考えている間に、マタドガスを中心に変わった色をしたガスが溢れ出して行く。

 

「ふっふっふゥ~、セイボリちん、残念だったねェ」

「……なんのことでしょうか?」

 

 そのガスの動きを見て、クララさんは少し嬉しそうな顔を浮かべ、逆にセイボリーさんは口では強がっているものの、表情は少しだけ歪んで見えた。おそらく……いや、間違いなくこのマタドガスのガスのせいだ。

 

 マタドガスの特性『かがくへんかガス』。この奇妙なガスは、その場にいるポケモン全ての特性を無効にする力がある。そして、確かガラル地方のギャロップには、特性『パステルベール』があったはずだ。その効果は単純で、『どく』及び『もうどく』状態にならない。というもの。

 

 相手がどくタイプのエキスパートである以上、この特性はかなり大事なものとなる。そんな特性をこうも簡単に封じられたら、セイボリーさんとしてもあまりいい気持ちにはならないだろう。ダブルノックアウトからの選出読み合いは、クララさんが1歩上を行っていた。

 

(と言うよりも、全体的にこの手の強かさはやっぱりクララさんの方が上ね。本当に上手いわ)

 

 この辺りの人読みは、もしかしたらアイドル時代の処世術からいくつか流用しているのかもしれない。そう考えると、少しだけ納得出来たような気もする。

 

「じゃあ早速行くぞォ!!『どくどく』!!」

 

 パステルベールがない今、どく技はなんの障害もなく暴れることが出来る。そこを生かし、早速ギャロップをもうどくにするべく、身体から毒液を撒き散らすマタドガス。

 

「特性で防げないのであれば技で防ぐのみ!!ギャロップ、『サイコカッター』です!!」

 

 対するセイボリーさんは当然この技を回避したい。そのため、虹色の斬撃を飛ばして飛んでくる毒液をどんどん切り裂いていく。

 

「特性は確かに封じられてますが、タイプはまだ有利なのです!!そのままマタドガスごと攻撃を!!」

「ルロォ!!」

 

 そのまま攻撃を続け、タイプ有利を使ってゴリ押しをはかるセイボリーさん。どくどくはあくまで変化技であって攻撃技では無い。そうなるとサイコカッターを止めるにはいささか威力が不十分と言わざるを得ない。そう考えると、セイボリーさんのゴリ押しは割と理にはかなっている。実際、この攻撃はマタドガスの方までちゃんと飛んでおり、何発かの被弾を確認できた。こうかはばつぐんだ。

 

「やったなァ?マタドガス!!『ヘドロばくだん』!!」

 

 けど、そんな大きなダメージを受けているはずのマタドガスはまだ平気そうな顔をしながら、今度は毒の爆弾を飛ばしてくる。本来ならエスパータイプに対しては等倍で入るどくタイプの技だけど、今のギャロップにはフェアリータイプが複合されているため、今回の場合はギャロップにもこうかばつぐんでダメージが入ってしまう。

 

「『こうそくいどう』です!!」

 

 この攻撃を避けるためにセイボリーさんは自身の機動力をアップ。元々速い方であったギャロップの足がさらに速くなり、攻撃を次々と避けていく。マタドガスが遅いポケモンというのもあって、更にその差は顕著になっている。

 

「このまま攻めますよ!!『サイコカッター』!!」

 

 機動力に物を言わせ、マタドガスを中心に右回りに走りながら虹色の斬撃を飛ばしていくギャロップ。360°から飛んでくる虹の斬撃は、いくら防御力に自身のあるマタドガスと言えども、かなり致命傷を受けてしまうに間違いない。

 

「きつい所ついてくるなァ……マタドガス!!『ヘドロばくだん』!!」

 

 このまま攻撃を受け続けるわけにはいかないクララさんは、マタドガスに攻撃を指示し、少しでも相殺していくことを狙っていく。しかし、ギャロップの攻撃が速すぎて、簡単に攻撃の間をすり抜けて斬撃が飛んでくる。たとえギャロップをわざと狙わず、適当に打ったヘドロばくだんでさえも、地面に着弾して飛散った泥の破片もつかせない勢いですべて避けていく。

 

「くゥ……こうなったら360°『かえんほうしゃ』ァ!!」

 

 どんな攻撃をしても避けられる。なら戦場全体を攻撃すればいい。そんなちょっとしたやけくそ具合を感じるクララさんの指示は、それを忠実に再現するべく、まるでスプリンクラーのように回転しながら、炎をまき散らすマタドガス。これならいくら機動力が高くても攻撃を避けられない。仮に避けるとしても上しかなく、ジャンプしてしまえば足が使えなくなるからそこを狙えばいい。

 

「成程……ですが、その手は効きません。ギャロップ、引きなさい!!」

 

 しかし、そこは冷静なセイボリーさん。確かに全方位かえんほうしゃは、ギャロップの前進を止めるという点においてはかなりの強さを誇る行動だ。だけど、その代わりに射程と威力を犠牲にする必要がある。そこを見抜いたセイボリーさんは、すぐさまギャロップに下がる指示をし、マタドガスから十分な距離を取る。

 

「ここから『サイコカッター』です!!」

 

 安全な位置に到達したセイボリーさんは、そこから悠々と攻撃をし始める。

 

 360°攻撃してくるのなら、遠くから強い攻撃で一点突破すればいい。そんなセイボリーさんの考えは見事的中し、範囲攻撃のために薄くなってしまっている炎の壁を、虹色の斬撃が切り裂きながら飛んでいく。

 

 物理攻撃が得意なギャロップだけど、これが普通の物理攻撃ポケモンというだけだったなら、このかえんほうしゃだけでよかった。しかし、セイボリーさんのギャロップのメインウエポンはサイコカッターという、遠距離でも攻撃できる技だ。そのせいでかえんほうしゃで止めることが出来ない、フリアのエルレイドも御用達の技だけど、本当に便利な技だ。

 

(さて、クララさんはどう出るのかしら?)

 

 接近を拒否すれば遠くから高火力で殴られ、距離を近づけたら機動力で押し込まれる。ここまで不利ならポケモン交換も視野に入るけど、ギャロップの射程と機動力が高すぎて交換にすらもリスクが伴う。かといって、判断に迷ってしまえばギャロップによってどんどん押し込まれていく。

 

 素早く、そして正確な判断が求められるこの瞬間。ここでの一手はとても重要だ。だからこそ、クララさんの方にじっと視線を向ける。

 

「マタドガスゥ!!『ヘドロばくだん』!!」

(『ヘドロばくだん』……?)

 

 そんな不利状況のクララさんが指示したのはヘドロばくだん。サイコカッターを止めるにしてはタイプが悪く、そもそも今の機動力の高いギャロップには簡単に接近を許してしまう行動。攻めとしては正直何かが足りず、これをするくらいなら、リスクを取ったとしても素直にポケモンを交代した方がよかったのでは?と思ってしまう程。そんなわたしの予想通り、このヘドロばくだんを簡単に避けたギャロップは、ヘドロばくだんとすれ違うようにマタドガスの方へ走っていく。

 

「そのまま『サイコカッター』で直接切り付けてやって下さい!!」

 

 紙一重ですれ違ったギャロップはマタドガスの下へと走り出し、自慢の角を虹色に輝かせる。この攻撃が叩き込まれれば、さすがのマタドガスもダウンするだろう。セイボリーさんもそのつもりでいるからこその零距離攻撃。こうそくいどうで上げた自慢の足によって、見る見るうちに距離を詰めたギャロップは、すぐさまマタドガスの懐に潜り込んで自慢の角を振り上げ……

 

「マタドガス!!『ヘドロばくだん』!!」

「ルオッ!?」

「なっ!?」

 

 何故かギャロップの攻撃よりもマタドガスの攻撃が速く発動した。

 

「なぜ!?『こうそくいどう』したギャロップが間に合わない……!?」

「いつから『こうそくいどう』してたと錯覚してたのかなァ?」

「それはどういう……」

「ルゥ!?」

「ギャロップ!?」

 

 ギャロップが受けてしまったヘドロばくだん。その事実に驚いているうちに、攻撃を受けて少し下がったギャロップの頭から紫色の泡が出る。

 

「どく状態まで!?く、『ヘドロばくだん』による追加効果が……」

「果たしてそうかなァ?」

「ル……ウゥ……」

「この苦しみ方は……もうどく!?なぜ!?」

 

 次から次に起こる不可解な現象。こうそくいどうで上げたはずの機動力はいつの間にか失われており、そしてヘドロばくだんの追加効果ではなるはずのないもうどく状態になってしまっている。この現象のおかしさは観客にも伝染しており、未だに原理を理解できない人は何かズルをしたのではないかと疑ったりもしている。正直わたしも今ようやくわかったところで、そういう気持ちを抱いてしまうのも理解できてしまった。事実、隣のジュンはまだ正解に辿り着いていない。

 

「おい……今何があったんだ?」

「どうやら、『ヘドロばくだん』と『どくどく』を外した時点で準備完了してたみたいね」

「そんな初めからか!?」

「じゃないと、今『かえんほうしゃ』によって浮かんでいる霧の説明が出来ないじゃない」

「霧……蒸発か!!」

 

 地面に飛び散ったヘドロばくだんとどくどくの液がかえんほうしゃの熱で蒸発。毒霧が発生し、その中を走ってきたことによってギャロップの身体に少しずつどくが蓄積されて行ったからこそ、ギャロップがもうどくを発症してしまったというわけだ。

 

「そっちは理解できた。……じゃあ、『こうそくいどう』の無効化はどうなったんだ?」

 

 どくの原理は以上。となれば、次に気になるのはギャロップの足が遅くなった理由だ。最も、正確には『遅くなった』という表現はちょっと違うのだけど……。

 

「それもこの霧が関係はしているわよ」

「そうなのか?でもどくって別に素早さを落とす効果は……」

「どくにはなくても、霧の方にはあるでしょ?正確には、『素早さを落とす』ではなく、『変化したステータスを元に戻す』だし、『霧』じゃなくて『煙』……だけど」

「元に戻す……『クリアスモッグ』か!!」

 

 相手に少量のダメージを与えながら、能力変化のすべてをリセットするこの技は、毒の霧に混じって打ち出すことによってギャロップが気づかない間に命中し、少量のダメージ故被弾したことにも気づかずに効果が発動。ギャロップとセイボリーさんはこうそくいどうによるバフが消えているのに、消えていない想定で動いてしまったからこそ、想定よりも遅くなってしまい『遅くなった』と勘違い。その隙をついたクララさんが、ヘドロばくだんを叩き込んだ。という流れだ。

 

 最初から行われていた仕込みと、ここまでの動きすべてが作戦。本当に強かで、どくタイプらしい狡猾さを体現したかのような立ち回りだ。下手をすればフリアよりも、作戦という観点なら巧いかもしれない。

 

「このまま『ヘドロばくだん』で押しちゃってェ!!」

「くっ、『サイコカッター』です!!」

 

 ここまで流れを取ってしまえばもう取り返せない。ヘドロばくだんに対してサイコカッターで応戦するけど、もうどくになってしまっている以上、相殺すらもギャロップにとっては重くのしかかる。時間のかかるバトルは当然クララさんに傾く形となり……

 

 

「ギャロップ、戦闘不能!!」

 

 

「っしィ!!」

「……戻ってください。お疲れ様でした」

 

 そのまま毒が回りきってしまったギャロップがダウン。クララさんが先制する形となった。

 

「これでようやく差が出たな……クララさんが先制するか……」

「けど、まだそんな開いているわけではないわね。簡単にひっくり返るわよ」

 

「行きなさい!!オーベム!!」

「ベム……」

 

 今後について話しているときに繰り出されるセイボリーさんの3人目。宙に浮いた埴輪のような見た目をした、ポケモンの中でもさらに不思議なことが多いポケモンが現れる。

 

 とくこうが高く、特殊技の種類も豊富なオーベムでマタドガスをさっさと倒してしまおうという考えだろう。実際、マタドガスはそんなに特防は高くない。追い付くという観点なら、確かに有利とは言える。

 

「『サイコキネシス』!!」

「『ヘドロばくだん』!!」

 

 ギャロップの時と同じように、わざと技のぶつかり合い。けど今回はあの時よりも明らかに速くヘドロばくだんがかき消される。それだけオーベムの攻撃が強いという事だろう。

 

「ちょォッ!?火力違いすぎないィ!?……けど、粘るぞォ!!『かえんほうしゃ』!!」

 

 その差はクララさんにとっても予想外らしく、ギャロップとの違いに面を喰らう。けど、動揺は最小限にし、すぐに行動。時間がかかり、薄くなってきた毒の霧を再び強くするためにかえんほうしゃを撒くマタドガス。同時に、徐々に濃くなっていく紫の霧は少しずつオーベムに迫っていく。このままではギャロップのにのまいになってしまうだろう。

 

(さぁ、どうするの?)

 

 セイボリーさんに視線を移すと、深呼吸をしている姿が目に入る。何かを仕掛けるという事だろう。その予想通り、程なくしてセイボリーさんから指示が飛ぶ。

 

「行きますよオーベム。『いわなだれ』です!!」

「へェ!?」

 

 セイボリーさんが意を決して選んだ技はまさかのいわなだれ。特殊が得意なオーベムだけど、物理方面に関しては、お世辞にも良い能力とは言えない。……いえ、本来は特殊だけで戦うポケモンだから、あまり物理が得意である必要はむしろないのだけど……どちらにせよ、オーベムで物理技を使う人はほとんどいない。そんなオーベムがいきなり繰り出すいわなだれに、クララさんは思わず面を喰らったような顔をするが、その技の使い道はすぐに理解できた。なぜなら、その岩たちはマタドガスめがけてではなく、自身の前に壁として積み上げていったため。

 

 その様は、フリアがヨノワールでよくやる戦法と一緒で、何なら先ほどのマクワさんとの闘いでも、このいわなだれで相手の攻撃を妨害していたほどだ。最も、控室からはバトルコートの内の様子はわからないので、本人たちは知ることはないだろうけど。

 

「なんか……フリアみたいな使い方するよな」

「ふふ、目標にしてるだけあって、こういうところはマネしたくなるのかしらね?」

 

 とてもなじみ深い戦い方にわたしたちは思わず声が漏れてしまう。そしてセイボリーさんがフリアに似た戦法を取っているのは、フリアとともに旅をしてきた経験のあるクララさんにも当然理解されている。

 

「フリアっちみたいな戦法とっちゃってェ~、本当に大好きだなァ?」

「ええ、目標にしている相手の戦い方は研究するものです。あなたも、マリィさんの戦法は熟知しているのでしょう?」

「モチのロン!!」

 

 お互い口元を緩めながら、お互いにとって心に刻まれているトレーナーについて言葉を交わす。

 

(これは後でフリアとマリィがアーカイブ見たらさぞ照れるのでしょうね~……しっかり弄ってあげましょっか!)

 

 今日の戦いの後の楽しみが1つ増えたところで、セイボリーさんは更に岩を落とし始めていく。オーベムの周りに積み上げられていく岩はまるで城壁のようになっており、攻撃の低さ故に強固とは言わないまでも、少なくともマタドガスの火力では突破するのはかなり時間がかかると思われる。

 

「オーベム!!『メテオビーム』です!!」

 

 そんな城壁を作ったオーベムが行うのは、先の戦いでもマクワさんが行っていた、チャージしながら自身のとくこうを上げるメテオビーム。壁で自身を守っている間に大技を準備するという魂胆だ。先ほども言った通り、マタドガスだとこの壁を突破するのは時間がかかる。だから安心してチャージすることが出来るだろう。

 

(あくまで、クララさんが()()()()()()()()()の話だけどね)

 

 とはいえ、あくまでも壁は壁だ。天井があるわけじゃない。だから上からの攻撃を防ぐことはできないし、だからこそフリアが岩のかべを作るのは相手の攻撃が放たれてからだ。たとえ技前に打ったとしても、上から来ても対処できる何かを準備している。だから今回のように、攻撃される前に作るのはあまりしない。

 

「そんな壁じゃうちの攻撃は止まんないぞォ!!マタドガス!!上から『ヘドロばくだん』!!」

 

 クララさんもそのことは理解しているため、すぐさま上空に向かってヘドロばくだんを打ち上げる。ある程度の高さまで打ち上げられた爆弾は、途中で方向転換し、上から下へ自由落下。そのままオーベムが隠れているであろう壁の裏に降り注いでいく。

 

 クララさんの視点からではわからないだろうけど、俯瞰して見える観客席から見ても、しっかりとオーベムに降り注ぐその攻撃は、メテオビームのチャージ中の彼には避けられない。

 

「さすがに壁を作るのが速すぎたんじゃないィ?」

「……」

 

 ヘドロばくだんの雨にさらされるオーベムの姿は、次第に攻撃によって巻き上げられた土煙で隠れていく。この土煙が消えたころには傷だらけのオーベムが見られることになるだろう。

 

 けど、土煙が晴れていくよりも先に、セイボリーさんの指示が走る。

 

「オーベム、発射!!」

 

 この指示を聞いて、クララさんを含めたほとんどの人が、ヘドロばくだんを耐えたオーベムが無理やり攻撃してきたように聞こえただろう。しかし、そんな予想を裏切る形でオーベムからの攻撃が飛んできた。

 

 具体的に言えば、マタドガスの()()()()

 

「へ……?」

 

 視線を上に向けてみれば、その先には両手を前に突き出したオーベムがいた。

 

「上からァ!?いつの間にィ!?」

 

 メテオビームが直撃したマタドガスは当然撃沈。

 

 

「マタドガス、戦闘不能!!」

 

 

「くゥ……ありがとう、マタドガスゥ……」

 

 マタドガスのダウンを見届けたクララさんは、悔しそうに声を漏らしながらボールに戻していく。その姿を見ながらわたしとジュンは言葉を交わす。

 

「『テレポート』か……あれって技をためながらできるんだな……」

「セイボリーさんがエスパーに造詣が深いからだと思うけどね。普通はできないわよ。負荷が大きすぎるもの」

 

 メテオビームをためながら上空にテレポートして、そこから気づかれないようにチャージして攻撃。やっていることは単純だけど、やれと言われて簡単にできるものじゃない。そこはエスパータイプのエキスパートである彼ならではの戦略だ。いわなだれの壁も、この戦略を通しやすくするためのデコイだと考えれば、なるほどと凄く納得する。

 

「フリアの真似だけじゃなくて、ちゃんと自分らしいものに落とし込んでいるのは凄い所よね」

「だな。……さて、あっという間に追いついちまったな」

「むしろとくこうを上げられている分逆転しているかもね」

 

 一進一退の攻防。

 

 第2試合はまだまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




かがくへんかガス

特性を無効化する空間を作り出す強特性……なんですけど、肝心の消したい特性が消せなかったりするちょっと残念な特性。特に、ミミッキュの特性を消せなかったことに落胆した方も多いのでは?

テレポート

セイボリーさんが実機でも得意(?)にしている技。ウルガモスとの戦闘でも役立っていましたが、今回は瞬○移○か○は○波みたいな使い方になっていますね。




ピクミンが楽しい今日この頃。1~4まで全部switchでできるのがありがたすぎる……




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