【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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210話

「すげぇな……まさかあんな方法で打破するなんて……」

「奇想天外な行動はフリアで慣れているつもりだったのだけどね……」

 

 トリックルームを破壊して倒す。言葉にするのは簡単だけど、それを実行しようとは普通思わないし、思ったとしてもそれを実行するのも難しい。なぜなら、生半可な攻撃なら簡単に弾くからだ。じゃないと、フーディンに当たらなかったミサイルばりなんかがいちいちトリックルームを傷つけていたことになるし、そんなただの流れ弾で壊れたりしていたらたまったものでは無い。だからこそ、たとえこうかばつぐんの技だったとしてもある程度は平気で耐えるように設計されている。それだけこの歪んだ部屋というのは強度のある部屋のはずだった。

 

 けど蓋を開けてみれば、ペンドラーの一撃にて綺麗に粉砕と言う結果が残っている。

 

 果たしてその一撃が、あるのか分からないけどたまたま部屋の急所部分に当たったのか、それともペンドラーの力あってこそなのか、残念ながらその正体については一切分からないけど、今はとにかく、ペンドラーが起死回生の一手で状況をひっくりかえしたというのさえ分かればそれでいい。不正もズルもしていない以上、その結果だけが今のバトルに反映されるから。

 

「くッ……頼みます!!オーベム!!」

 

 まさかの行動でフーディンを失ったセイボリーさんの次の手は、1度下がったオーベムの繰り出し。クララさんと同じく、後ろにエースしかいない状況下であまり負担をかけさせたくないことと、オーベムのテレポートなら、ペンドラーに対してまだ動ける可能性が高いからという理由からの選出。また、オーベムの使うメテオビームとサイコキネシス、あとついでにいわなだれも、その全てがペンドラーに対してこうかばつぐんで殴ることの出来る技というのも大きい。

 

「オーベム!!『テレポート』です!!」

 

 その予想通り、早速動き始めたオーベムは瞬間移動で上空へ移動。そこから攻撃しようと技を構え……

 

「行かせねェぞォ!!『メガホーン』!!」

 

 その技が打たれるよりも速くペンドラーが懐に飛び込んで、緑の角を振り回す。1度でも距離を離してしまえば厄介になることはもう承知している。ならクララさん側がそれを止めない理由は無いし、むしろオーベムが使える技のほとんどは若干のため時間が必要になる技ばかりだ。となれば、距離を詰めるというのは相手に攻撃を当てるだけでなく、相手の技そのものをつぶす役割も担うことになる。

 

 攻撃は最大の防御。その言葉をまさしく体現するような行動だ。

 

「くっ……!!オーベム!!もっと距離を!!」

「べ……ム……ッ!?」

 

 そんな猛攻を受ける側であるオーベムは、それでもテレポートを連続することで何とか技の嵐を避けていく。しかしペンドラーの動きが速すぎて避けることがせいぜいで、その続きがどうしても続かない。テレポートで避けたとしても、瞬間移動して少ししたらもう目の前にペンドラーがいる状態になっているから攻撃を挟む隙がない。そんなことをすれば相手のメガホーンの方が先に当たってしまうから、結局またテレポートをせざるを得ない状態になってしまっている形だ。結果、戦況は永遠の鼬ごっこ状態になってしまっている。

 

「ペンドラー……凄い速さだな……テレポートで逃げきれてないぞ……」

「フリアのメガヤンマもそうだけど、乗りに乗ったら本当にこの特性はやばいわね……」

「ああ……でも、セイボリーさん側にも打つ手はまだあるよな?」

 

 そんなセイボリーさんが防戦一方な戦況を眺めながらジュンと会話をしていると、ジュンから疑問の言葉が浮かぶ。

 

「打つ手って?」

「『テレポート』の距離だよ」

 

 その言葉にわたしが聞き返すと、得意げにジュンが返してくる。

 

「攻撃にためが必要なら、そもそも瞬間移動する場所をうんと遠くにすればいいだろ?もしくはフーディンの時みたいに空中に行くとか!それならペンドラーも簡単に追っかけられないし、技を打つ時間も稼げるだろ?」

 

 帰ってきた言葉の内容は至極普通のこと。実際こう動けたらペンドラーは何もできることがないだろう。岩の足場を使った攻撃もミサイルばりも、どちらも既に晒した手札且つ、初見ですらフーディンにダメージを与えられなかった戦法だ。相手がオーベムとフーディンよりも機動力こそ下がっているものの、同じ手が何にもなしに通るようなことは無いだろう。となれば、ますますジュンの言うように行動すれば、セイボリーさんはまた流れをとりかえせるように見える。けど、わたしはそれを否定する。

 

「それに関しては不可能ね。多分だけど、セイボリーさんはその行動を『やらない』のではなく、『できない』のよ」

 

 その理由には心当たりがある。

 

「『できない』って、どういうことなんだ?」

「これはわたしの予測が入っているから、確実にこうとは言えないのだけど……おそらく、『テレポート』という技の飛距離は、ため時間に比例するのよ」

「ため時間?」

 

 そもそもとして、テレポートという技はかなり繊細な技の可能性が高い。セイボリーさんはポンポン行っているから感覚が麻痺しちゃいそうだけど、よく考えたら瞬間移動なんて大層な技が簡単に行えるわけがない。恐らく、今この瞬間もセイボリーさんとオーベムは、今自分がいる位置と、これからテレポートで飛んでいく先の位置の座標やらなんやらを計算して行っている可能性が高い。そのうえで、今のセイボリーさんは攻撃を避けるためにすぐにテレポートをしなければいけない状況になっている。たった数秒……いや、コンマ以下の秒数であっても遅れることの許されないこの状況。テレポートの演算に使える時間だってかなり最小限に抑えなくちゃいけない。そんな中で、もしわたしの考え通り、飛距離を伸ばすのにため時間が必要なのだとしたら、この状況では遠くに飛ぶことが不可能になる。むしろ分かる人にとっては、この短時間でこんなにもテレポートを連打していることの方がよっぽどすごいのかもしれない。

 

「成程な。それなら納得だ。と同時に、やべぇ状況ってわけでもあるわけだ」

「そうね。このまま逃げに徹しても攻撃できず、むしろ『テレポート』の演算で頭が疲れるだけ。ダメージは受けなくても、精神的な疲労によってパフォーマンスはどんどん落ちるでしょうね。そうなればむしろ、セイボリーさんの疲れのせいで余計に戦えなくなるんじゃないかしら?」

 

 またまた一転して時間がクララさんの味方になる展開。時間とともに頭が疲れるセイボリーさんに対して、ペンドラーはただ走るだけでいい。その走るという行為だって、特性のおかげで十分に加速されているからペンドラー側の消費は少ない。どくびしのせいでオーベムにはどくダメージも積み重なっているから、体力だって削られていく。

 

(どこかで腹くくらないと、逃げてばかりじゃどうしようもないわよ。どうするの、セイボリーさん?)

 

 防戦一方なセイボリーさんに目を向けて、彼がどう動くのかに注目する。そんなわたしの視線の先には、苦しそうな顔を浮かべながらも、何かを決意したような表情を見せる姿。何かをするのだろう。

 

「……仕方ありません。オーベム、一度だけ、我慢を……!!『いわなだれ』!!」

「……べムッ!!」

 

 懐に飛び込んできたペンドラーを見ながら、セイボリーさんはこぶしを握り締めて言葉を口にする。その言葉に返すように返事をしたオーベムが、意を決してテレポートをやめ、いわなだれを構える。

 

「やっと捕まえたぞォ!!ペンドラー!!」

「ペン……ッ!!」

 

 テレポートと比べ、発動に時間のかかる攻撃技を選んでいるため、当然この間にペンドラーの攻撃を受けてしまう。

 

 むしタイプの技はエスパーダイプにはばつぐん。しかも、どくびしのせいもあって余計に体力が削れている。テレポート続きで疲れた体に重たい一撃を貰ったオーベムは、体力の限界に一気に近づいてしまう。けど、それでもセイボリーさんの指示を遂行しようとしたオーベムは、メガホーンによって吹き飛ばされながらもいわなだれを発動。攻撃を受けながらの発動故か、狙いの甘くなってしまった岩の雨は、その分広範囲に落ちていく。狙われていない分逆によけにくくなっている状態だ。

 

「べ……ム……ッ!!」

「ナイスガッツです。オーベム」

 

 まばらに落ちていく岩の雨はオーベムにも予想はできない。ランダムに落ちていく岩は、攻撃が高くないオーベムが発動しただけあって威力こそ心もとないけど、ペンドラーに対してはこうかばつぐんでダメージが通る。大ダメージは期待できなくても、怯みくらいはするはず。そうなれば、サイコキネシスをためる時間は十分稼げる。わたしが頭の中で考えていた打開策の1つだ。

 

 けど、これだけじゃ足りない。

 

「そんな攻撃、全部避けちゃってェ!!」

 

 ただ岩が降って来るだけならペンドラーの動きを止めることは不可能だ。確かに、狙って放たれているわけじゃないから予測して避けるのは難しいだろう。けど、ペンドラーはそんな予測を上回る移動速度を持っている。これくらいの攻撃なら反射神経だけでよけきることは造作もない。実際、クララさんの指示通り縦横無尽に駆け回るペンドラーにこの岩の雨はどれもあたることはなく、結果として周りに岩をばらまくだけとなってしまう。

 

 いや、状況として言えば、セイボリーさんにとっては更に悪い方へ傾いたかもしれない。

 

「ベム!?」

 

 何かが落ちる音共に後ろを振り向くオーベム。そこには、自分が落とした岩が降ってきており、自分が下がるための退路をつぶされてしまう。一応オーベムにはテレポートがあるため、いざとなれば飛べばいいのだけど……

 

「チャ~ンス!!ペンドラー、とどめぶっかましちゃってェ!!」

「ペンッ!!」

 

 それはペンドラーが許さない。

 

 テレポートをさせる時間をも与えずに突き進むペンドラーが、気づけばオーベムの近くにまで迫っていた。地面には岩が散らばっているから走りづらくなっているはずだけど、同じくいわなだれを使えるペンドラーにとっては慣れたものなのかもしれない。じゃなきゃ、岩を足場に空中を跳ねるなんてできないし。

 

 とにかく、降りそそいだり、障害物になった岩も簡単に躱したペンドラーが迫って来る。後ろは岩に塞がれ、思いのほかペンドラーが速いせいでサイコキネシスをためる時間も確保できていない。しいて言えばテレポートで飛ぶことはできるけど、それだと先ほどの繰り返しに戻ってしまう。

 

(さぁ、どうするの?)

 

 これに対するセイボリーさんの答え。

 

「オーベム!!『テレポート』です!!」

 

 その技はテレポート。けど、ただテレポートをしただけでは先ほども言った通り繰り返しになってしまう。だから、ここでのテレポートの使い方はここまでとは違うものとなっていた。

 

「岩を目の前に!!」

「ベム!!」

「エッ!?」

 

 今までは自分が瞬間移動するために使っていたテレポート。それを、自分以外の物を動かすのに使用する。それが、この土壇場でセイボリーさんが行ったとっておきの一手だった。

 

 オーベムの後ろには自身の退路を断つ岩がある。けど、これを自分とオーベムの間に瞬間移動させることによって、瞬間的に間に障害物を作り上げた。

 

「そう言えば忘れてたけど、あの技って自分以外の物も移動できたんだったな」

「技の使用者が触れているものに限るみたいだけどね。確か、フリアもその能力を借りて、セイボリーさんと共闘した時があったって言ってたかしら?」

 

 その時はすごく大変な闘いをしたらしいけど、今はその話はあと。みるべきは目の前のバトルだ。

 

 オーベムによって岩を目の前に出されたペンドラー。本来ならこの程度の岩を簡単に避けたり壊したりできたはずだけど、ここでは最大まで育った素早さが仇となる。

 

「ンぺッ!?」

「ペンドラーッ!?」

 

 急ブレーキでも間に合わないほどいきなり現れたこの岩に、ペンドラーが頭から突っ込んでしまう。まさかの現象とダメージに、クララさんも思わず声が漏れた。

 

「スピードの乗った分だけ、熱烈なキスを岩としてくださいな。オーベム!!『サイコキネシス』!!」

 

 岩とぶつかり、怯んだことで生まれた大きな隙。オーベムとセイボリーさんが欲しくて欲しくてたまらなかったこの時間を利用して、オーベムはサイコキネシスを準備する。

 

「放て!!」

「ベムッ!!」

「ペンッ!?」

 

 チャージが完了と同時に放たれるオーベムの最大火力。威力もタイプ相性も申し分ない攻撃が、ついにペンドラーを捉えて吹き飛ばす。

 

「よし、ここから反撃です!!第2射を!!」

 

 一度大きな攻撃が決まれば、流れも隙もさらに作れる。サイコキネシスによって飛ばされたペンドラーは、オーベムとの距離を離していくから、ここを利用してまたサイコキネシスを準備する。このまま流れを引き込んでペンドラーを落とし切る態勢に行くつもりだ。

 

「ペンドラーッ!!岩に角ォ!!」

「ペ……ンッ!!」

 

 しかし、クララさん側もすぐに反撃の一手に出る。

 

 サイコキネシスで吹き飛ばされたペンドラーは、自分が飛ばされた先にある岩に角を突き立てて、それ以上吹き飛ばないように身体を支える。

 

「ぶん投げちゃってェ!!」

「ペンッ!!」

「なッ!?」

 

 身体を無理やり止め、地面に足をつけたペンドラーが、角に刺さった岩をオーベムの方にぶん投げる。まさかの反撃に、今度はセイボリーさんが驚きの声を上げる。

 

「ベムッ!?」

 

 飛んできた岩に何とか反応できたオーベム。構えていたサイコキネシスを利用することによって岩を弾いたオーベムは、何とかこの窮地を脱出。しかし、岩への対処のせいでせっかく溜めていたサイコキネシスを使い切ってしまう。

 

「ペンドラーッ!!」

「ペンッ!!」

 

 その隙を、ペンドラーが逃さない。

 

「『メガホーン』!!」

 

 今度こそ逃げる手を失ったオーベムに対して、最高速で走りだしたペンドラーがとどめの一撃を叩き込む。

 

「べ……ム……」

 

 2回目の弱点攻撃。当然オーベムに耐えられるダメージではない。

 

 

「オーベム、戦闘不能!!」

 

 

 ペンドラーにより、セイボリーさんの5人目の仲間が倒れる。

 

「……ありがとうございました。オーベム。ゆっくり休んでください」

 

 これでセイボリーさんの手持ちはあと1人。

 

「……行きますよ。絶対に勝つために。ヤドキング!!」

 

 セイボリーさん最後の1人はヤドキング。ガラル地方のリージョンフォームとなっているその姿は、またもやわたしの知るヤドキングとは違う姿をしていた。

 

「やっぱり、セリボリちんのエースはヤドキングゥ!!ヤドキングは足が遅いポケモンだからァ……ペンドラー!!あなたの速さで押し込んじゃってェ!!」

 

 しかし、違う姿をしているからと言って、他の姿と能力が大きく変っているということはないらしい。わたしの知っている姿と同じく、ヤドキングの弱点である素早さをついた攻撃で、ペンドラーが一気に肉薄していく。

 

 もうあとがないセイボリーさんは、一刻も早くペンドラーを落とし、ヤドキングの負荷を少なくした状態で次に繋ぎたい。一方で、クララさんの方はこのバトルを優位に進めるために、ペンドラーで倒せないにしろ、ダメージを蓄積させておきたい。特に、ガラルヤドキングはどくタイプを含んでいるのかどくびしのどくを貰っていないので、純粋に殴ってダメージを与えないといけない。もっとも、すばやさにかなりの差があるため、このままだとペンドラーがまた押し切ってしまいそうにも見えてしまうが。

 

 いよいよもってセイボリーさんの敗北色が濃くなり始めてきたフィールド状況。たとえペンドラーを倒せたとしても、これだけ足に差があれば、その頃にはかなりにダメージを貰っていることだろう。送りバントをするだけでいいペンドラーとは相性が悪すぎる。クララさんもそれを理解しているから、もう押せ押せムードが止まらない。

 

「『メガホーン』!!」

「ペンッ!!」

 

 角を光らせて、縦横無尽に走り回る赤の影。ヤドキングの何倍もの速さを誇る彼が、周りを走りながら、ゆっくりと距離を詰めてくる。そんなペンドラーに対し、しっかりと目を向けようとするヤドキングだけど、動きが速すぎて追いかけきれていない。視線を左右に揺らせながら、少し戸惑ったような声を上げる姿が、ヤドキングの動揺具合を何よりも物語っていた。

 

「ヤドキング、落ち着いてください」

「ペンドラー!!やっちゃってェ!!」

 

 そんなヤドキングを見て落ち着くように声をかけるセイボリーさんだけど、その声をかき消すようにクララさんの指示が飛び込んでくる。

 

「ペンッ!!」

 

 その指示を受け取ったペンドラーが、ついにヤドキングの懐まで潜り込んできた。頭の角に眩い緑の光を携えた巨大なむしポケモンは、自身の最高火力を叩きつけるべく、勢いよく角を振り上げる。

 

 当たれば大ダメージ。倒せないにしても、この先の戦いに負担がかかる。避けなくてはいけない攻撃だけど、それをヤドキングの低いすばやさが不可能にしてしまう。だからこの攻撃は直撃してしまう。

 

(これは……厳しいわね……)

 

 ペンドラーの素早さを攻略出来なかった時点でこうなる未来は確定していた。本当ならフーディンで倒しておきたかっただろう。けど、もうフーディンを失った今、最大加速のペンドラーを止められるポケモンはいない。

 

 勝負あり。わたしはそう思い、しかし最後までちゃんと見ておこうと視線を送り……

 

「ヤドキング。避けてください」

「ヤド……」

「エ?」

「ペンッ!?」

 

 ヤドキングの姿がぶれ、ペンドラーの攻撃が避けられる。

 

「ヤドキング。『ぶきみなじゅもん』」

「ヤド……」

 

 攻撃を避けたヤドキングが、すかさず口元を動かして何かを唱える。すると、ヤドキングの周りが強力なサイコパワーによって歪み、その波動が目の前にいるペンドラーを勢い良く吹き飛ばす。

 

「ペンドラー!?」

「ぺ……ン……」

 

 ヤドキングの攻撃で吹き飛ばされたペンドラーは、そのままクララさんの目の前まで転がっていき、その巨大な身体を横たえる。

 

「……今、何をしたんだ?」

「わたしにもわからなかった……でも、ヤドキングが本来ならありえない速度で動いているのだけは見えた……どうして……?」

 

 本来は足の遅いヤドキングがどうしてあんなに素早く動けたのか。原因の分からなかったわたしとジュンは、見た目ゆったりなのに明らかに動きが違うヤドキングに目を奪われる。

 

 

「ペンドラー、戦闘不能!!」

 

 

「ウゥ……ありがとペンドラー……あなたのおかげでここまで挽回できたよォ……」

 

 一方、ここでようやく宣言を受けたクララさんは、ここまで大立ち回りを見せてくれたペンドラーにお礼を言いながらボールに戻していく。戦績だけで見れば、ペンドラーだけでフーディン、オーベムの2人を撃破しているので十分な活躍だ。けど、目の前でありえない動きをしたヤドキングに、もの凄く嫌そうな顔を浮かべながら言葉を零す。

 

「……セイボリちん、もしかしてここまで予想しててその技を入れていたのォ?」

「フーディンだけに対策を仕込むと流石に負担が大きいので。……もっとも、他の選手の対策でもあるので、出来れば使いたくなかったのですがね……やはり出し惜しみして勝ち登れるトーナメントではないですね」

「あ~あ、うちももっと警戒するべきだったなァ……その技、うちも知ってる……っていうか、覚えてるしィ」

 

 どうやらクララさんはこの現象の正体について知っているらしい。心当たりがある反応を示しながらボールを構えているその姿は、少しだけ後悔がにじんでいた。

 

 けど、その後悔もすぐ振り払う。

 

「でも、ペンドラーのおかげでここまで持ってきた。……ぜってェ勝つ!!」

 

 すぐに切り替えて、クララさんも最後のポケモンを呼び出す。

 

「いっくぞォ!!ヤドキング!!」

 

 出てきたのはセイボリーさんが繰り出したポケモンと全く同じのヤドキング。

 

 同じポケモン同士のミラーバトル。それはくしくも、この2人のバトルの開幕と同じ形となる。

 

「行きましょうヤドキング。今こそ、エスパーの底力を見せる時です!!」

「負けてたまるか。最後まで、うちらのハートはくじけねェ!!」

 

 ヤドキングVSヤドキング。

 

 同門対決の、最後のバトルが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テレポート

他者も瞬間移動できるのはスマブラなどでやっていますね。この作品でもウルガモスとの戦いで行っていました。……この技さえ覚えられたら、いつでも旅行行けるんですけどね……。

ヤドキング

ガラルヤドキングも素早さの種族値は30と、原種と同じ数値です。が、どうやら最大加速したペンドラーの攻撃を簡単に避けた様子。一体何をしたのでしょうか?




あと少しで2戦目が終わりますね。やはり長くなりがちですが、付き合っていただけたらと思います。頑張れ、私の引き出し……
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