【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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211話

「ヤドキング対ヤドキング……最初と全く同じ展開になったな……」

「それだけお互いの実力が拮抗してるって事でしょ。本当に、どっちが勝つかわからなくなったわね……」

 

 フリアとマクワさんのバトルに関してもそうだけど、ここのリーグはレベルが高すぎて誰が勝ってもおかしくない。どのカードをとっても、別の地方のリーグの決勝戦と言われても納得してしまう程のレベルを誇っている。これがガラルの平均なのか、それとも今年がやけに豊作なのかはわからないけど、少なくともシンオウ地方では豊作と言われてもここまでレベルの高い試合は見ることは難しいだろう。

 

「これが1回戦なんだもんな……正直もうお腹いっぱいだぞ……」

「気持ちは分かるけど、これが終わっても今日は後2試合あるからね?」

「……いやぁ、戦っているときはまだ戦いたいって気持ちでいっぱいなのに、見ごたえある試合は何度も見せられるとおなか膨れるな」

「後は録画して後日見たい気分と言われても咎められないもの、けど、出ている人全員知り合いとなると、そうも言ってられないわよね」

「だな……って、もう終わったかのような話しているけど、まだ終わってないぞ?」

「そうだったわね」

 

 ジュンに言われて視線を落とした先には、動きにやけにキレがあるセイボリーさんのヤドキングと、出てきたばかりで元気満タンのクララさんのヤドキング。まずは、この機敏になってしまったヤドキングに対する対処からだ。まぁ、これに関してはクララさんはもう辺りがついているらしいから、そこまで気にする必要はないでしょうけど。

 

「ヤドキング、『ぶきみなじゅもん』」

「ヤドキング。うちらももらっちゃおォ『じこあんじ』」

 

 早速先制攻撃を仕掛けようと技を放つセイボリーさんと、その技が到達する前にじこあんじを行うクララさん。ここまで来てようやくわたしとジュンは、先ほどのヤドキングとペンドラーの結果の理由を理解した。

 

「成程、『じこあんじ』……」

「確かにそれなら、一瞬でペンドラーに近づけるよな」

 

 じこあんじ。

 

 相手の能力変化をそのまま自分に落とし込むことの出来るこの技は、例え相手の能力がどれだけ変化しようとも全く同じ形にコピーする。だから、時間とともにどんどん速度を積み上げていくペンドラーが相手でも、彼の最高速度を一瞬でコピーできたというわけだ。正直そんなに有名な技でもなければ、目にする機会が多い技でもないので最初は気づかなかった。

 

 ペンドラーをコピーしたセイボリーさんのヤドキングをクララさんが更にコピーすることで、場に最高速度で動き回るヤドキングが2人並ぶこととなる。セイボリーさん側から放たれたぶきみなじゅもんは、一瞬で最高速度に到達したクララさん側のヤドキングが簡単に避ける。その際の動きが、本来のろいはずのヤドキングとのギャップがかなりあるせいで、どうしても違和感が凄くてムズムズしてしまう。変な気分だ。

 

「やはりされますよね……まぁ仕方ないです。この展開は予想していたので……ここからはまさしく、小細工無しのアドリブ勝負です!」

「うちも、相手がどくタイプならどくにしてじわじわって戦い方が出来ないしィ……ここからはマジのガチにぶつかり合いだもんねェ!」

 

 そんなわたしたちの気持ちなんか知らないセイボリーさんたちは、ただひたすら相手を見据えながらボールを構え、ヤドキングを一度ボールに戻す。この姿を見て、観客の声量が1段階上がる。こうしたということは、2人ともあれを使うという事だ。

 

 ヤドキングが戻された2つのボールが、赤色の光を吸収して大きくなっていく。

 

 

「ビッグに おなりなさい!!ワタクシのエレガントさん!!」

「スタジアムのみんなァ!! クララのオンステージ……いくからねェ!」

 

 

 2人の気合が勝った言葉と共に大きくなったボールが投げられ、空中でそのボールが爆ぜる。

 

 

「「ヤド……ッ!!」」

 

 

 現れるのは2人のダイマックスヤドキング。声を上げながら相見える両者は、より一層の気合いを決めながら、それぞれの主の指示を待つ。

 

「「『ダイアシッド』!!」」

 

 まず指示されたのは両者ダイアシッド。追加効果で特攻を上昇させることが出来るこの技で、ヤドキングを育てたいという考えからの行動だろう。元となった技はヘドロばくだんか。

 

 

「「ヤド……ッ!!」」

 

 

 お互いの位置から徐々に現れる毒液柱は、互いに干渉することなく両者にぶつかる相打ちとなる。相殺をされた訳では無いから追加効果はしっかりと現れた。が、やはりここはどくのエキスパート。両者の様子を見る限り、セイボリーさんの方が若干多くダメージを受けているように見える。

 

「「『ダイサイコ』!!」」

 

 セイボリーさん側のヤドキングが少し怯み、一瞬だけ行動が遅れたところで次に行われるのは、おそらくぶきみなじゅもんが元となっていると思われるダイサイコの打ち合い。さっきと同じく、同じ技同士が放たれた今回もまた、お互いから出た虹の波動がぶつかり合うことなく両者に直撃する。同時に地面に展開されるサイコフィールドが、辺りを不思議な感覚で覆っていく。

 

 今回の技のぶつけ合いは、少し技の発射が遅れたけど、そこはエスパータイプ使いの意地を見せて、セイボリーさんがやり返すような形でクララさんに少し多めにダメージを与えていく。

 

 これでトントン。

 

 サイコフィールドが展開されきったところで、すぐさま3回目のダイマックス技を構える両者。出し惜しみなんて考えていない、正真正銘の真正面からのぶつかり合い。そんなこのバトル最後のダイマックス技は、お互いの得意技で締められる。

 

「ヤドキング、『ダイサイコ』です」

「ヤドキング!!『ダイアシッド』ォ!!」

 

 エスパータイプとどくタイプのダイマックス技。普通に考えたら間違いなくエスパータイプが一方的に勝つ。実際ヤドラン同士の戦いでは、サイコキネシスとシェルアームズのぶつかり合いでちゃんとサイコキネシスが勝っている。その事を考慮すると、今回もダイアシッドがかき消されて終わるのでは?と思ったけど、技の出方からまたもやお互いの技が干渉することなくお互いにぶつかっていく。

 

 

「「ヤド……ッ!?」」

 

 

 空から降りそそぐように飛んでくる虹の波動と、地面から間欠泉のように噴き出してくる毒液の柱は正確に対戦相手に直撃する。ダメージに関しては、タイプ相性的にいまひとつにされない且つ、サイコフィールドによって威力が上げられているダイサイコを放ったセイボリーさん側に分があるけど、未来のことを考えると、いまひとつとは言え自身の特攻をさらに一段階成長させているクララさんの方に分がありそうだ。結局お互いにじこあんじがある以上自身の能力を上げる技は意味がないようには見えて来るけど、実際のところは相手に『じこあんじを使わせる』と言った隙を作らせることになる。

 

 クララさんが能力をコピーした際は、『素早さ』という技の回避に関わる項目だったことと、ぶきみなじゅもんという技がそんなに速く飛んでいく技ではなかったことが大きい。それに対して、クララさんの攻撃技はおそらくぶきみなじゅもんよりも弾速の速いヘドロばくだんが中心だし、先ほどのやり取りからそもそも技を0距離から放つようにする可能性も大きい。それでもセイボリーさんが被弾覚悟でじこあんじを行ってくる可能性もあるけど、それはそれでクララさんの方が1回多く攻撃できるから、結果今回のダメージと合わせれば同じくらい、もしくはクララさんの方が少し有利に傾くはずだ。

 

「今この時のダメージを取ったセイボリーさんか、それとも、未来の火力にかけたクララさんか……」

「同じポケモンで、ヤドキングに至っては技構成までかなり似てるのに、立ち回りはまるで逆」

「それでいてちゃんとトレーナーの性格がちゃんと出てきてるから面白いよな」

 

 赤黒い雲が消え、お互いのダイマックスが終了。元のサイズに戻ったヤドキングが、身体に傷を残しながら、それでもお互いを見つめて闘志を燃やしていく。

 

「ダイマックス技をお互い真正面からぶつけ合っているものね。体力の消費はかなりありそう」

「フリアの時と違って、技を技で相殺したんじゃなくて、お互いノーガードで殴り合ったもんな。追加効果も全部発動しちゃっているから、ごまかしてあるとか、喰らったフリでもない。ちゃんとダメージを貰っている」

「お互いの足の速さもあるし、もう時間はあまり残されてなさそうね」

 

 注目するべきはセイボリーさんの対応だ。

 

 先ほども言った通り、ダイアシッドを1回多く行っているクララさんはここからの火力が高い。これに対してセイボリーさんがじこあんじで追いつくのか、はたまたこの差は諦めて向き合い続けるのか。

 

「ヤドキング!!『ぶきみなじゅもん』です!!」

 

 これに対するセイボリーさんの答えは『このまま殴り合い』。じこあんじによる隙をさらす行為そのものを嫌った形になる。

 

「『ヘドロばくだん』!!」

 

 これに対してクララさんは応えるようにヘドロばくだんを選択。有利タイプであるぶきみなじゅもんと、威力そのものが上げられているヘドロばくだんはちょうど両者の中間で激突し、今まで負けていたヘドロばくだんが、強化された分でものを言わせて何とか引き分けへ。爆発音とともに、2つの技が弾けて散っていく。

 

「走っちゃってェ!!」

 

 技が消えるのを見届ける前に、今度はクララさんから動きを始める。

 

 限界まで上がった素早さを生かして、セイボリーさんの方に向かってシュールなガンダッシュを見せるヤドキング。煙の中を突き抜けて迫る様は、先ほどの技の打ち合いを引き分けまでもって行けた自信からかくるものか。とにかく今が攻め時と判断したクララさんはガン攻めモード。相手を毒にできない以上攻めるしかないので、どちらにせよこの判断は間違えていないように見える。

 

「『ぶきみなじゅもん』を!!」

 

 対するセイボリーさん側は、まだ動くことはせずにどっしりと構えて技の準備をしていく。威力で負けている以上、技を簡易で出すのではなく、1つ1つに力を込めて放つつもりだろうか。

 

「発射!!」

「ヤド……!!」

「『ねっとう』!!」

 

 強力な念動力を生み出し、周りの空間をゆがめているところにクララさんが放つのはねっとう。湯気を立ち昇らせたアツアツの一撃は、念動力にぶつかると同時に蒸気をまき散らし、セイボリーさん側の視界を奪っていく。

 

「飛び越えながら『ヘドロばくだん』!!」

 

 その水蒸気の上を飛び超えたクララさん側のヤドキングは、真上に到達したと同時に、打ち下ろすように毒塊を叩きつける。

 

 水蒸気の中に落ちていった毒塊は、そのまま中に隠れているセイボリーさんの方へと降りそそぐ。

 

「もっと『ぶきみなじゅもん』を!!」

 

 一方のセイボリーさんは、ここからさらに念動力の威力を上げて、堕ちて来る毒を無理やり弾き返そうとする。ぶきみなじゅもんが音技であることを利用し、自身を守るドーム状に放たれたその技は、周りの水蒸気と毒をまとめて消去。一気に視界をクリアに戻し、すぐさまクララさんサイドを視界に収める。

 

「まだまだァ!!走り回って『ヘドロばくだん』!!」

 

 ぶきみなじゅもんの壁を作り上げたセイボリーさんに対し、クララさんは攻めの手を止めない。セイボリーさん側を中心に、反時計回りに走りながら連続でヘドロばくだんを発射し、四方八方からぶきみなじゅもんを殴り続ける。エスパータイプに中和されるなんてお構いなしに放たれる強力な弾幕は、本来不利であるはずの呪文の壁を、威力と物量で無理やりぶち壊そうと押していく。

 

「クッ……!!」

 

 これにはさすがのセイボリーさんも表情をゆがめる。やはり特攻の上昇幅が1つ違うのがここに来てちゃんと響いてきた。かといって、今からじこあんじをしてしまうと周りから飛んでくる毒に対処が出来なくなってしまう。

 

「ヤドキング!!ワタクシも協力します!!さらに『ぶきみなじゅもん』を!!」

 

 今からじこあんじをしないのであればもう頑張ってこらえるしか道はない。セイボリーさんは自身のサイコパワーも使ってヤドキングを更に援護。足りない能力は自身が補うというこちらもパワープレイで乗り越えようと画策していく。結果、念動力のドームはその大きさを徐々に大きくしていき、その表面に毒々しい液体をどんどん付着させ、虹色に歪んでいたドームはいつしか、濃い紫色をしたとてもあやしいドームへと変貌していた。

 

 この毒液のせいで、再びセイボリーさん側のヤドキングは姿見えなくなってしまう。

 

「あとちょっとで押せっぞォ!!ヤドキング、『ヘドロばくだん』を打ちながら右手に溜めろォ!!」

 

 これを好機と見たクララさんは、いよいよとどめの準備を始めていく。

 

 ドームの中に押し込められているということは、ここからセイボリーさんは動くことが出来ないという事。なら、クララさん側はゆっくりと準備ができる。

 

 右手に毒液を圧縮させ、拳の周りに纏わせるように構えながら、左手で普通のヘドロばくだんを継続して注ぎ続けるクララさん。気にするべき点はやはり右手のそれで、わたしたちはこの攻撃方法に見覚えがあった。

 

「あれって、フリアのエルレイドがまだキルリアだった時の!!」

「身体から力を離して技を放つのが苦手だった、当時のキルリアが全力で戦うために編み出した戦法ね」

 

 アーカイブでしか見たことないけど、確かに何度か見かけたその戦法に声を上げるジュンとわたし。きっと、今日のためにこの技術も凄い練習したのだろう。込められた力の強さを感じる。

 

「……懐かし戦法ですね」

「何が何でも勝ちたいからねェ!!吸収できそうなもんは、何でもやるゥ!!ヤドキング!!」

「ヤドッ!!」

 

 右手に毒々しい塊を携えたヤドキングが、周走行をやめてセイボリーさんサイドへ向けて一直線に駆け始める。

 

「来ますよヤドキング!!集中を!!」

 

 ここが勝負所。

 

 セイボリーさんも気合を入れるように、ドームの中にいる自分のパートナーに声をかける。返事は返ってこないけど、きっとあの中でぶきみなじゅもんによるドームを維持するためにさらなる念動力をためていることだろう。そんなドームに向かって走るクララさん側のヤドキングは、ドームまであと数歩で手が届く位置に到達すると同時に、右腕を思いっきり後ろに引き絞る。

 

「叩き込むぞォ!!腰入れて叩き込めェ!!」

 

 右腕を引き絞った状態でついにドームの目の前まで到着したクララさんのヤドキング。腰の横に添えて溜められたその拳は、渾身の力と毒エネルギーをため込んだまま、真っすぐドームに突き刺さる。けど、ドームの周りがヘドロばくだんの毒でコーティングされていたせいか、帰ってきた音は『ベチャッ』という水音だけ。何かが起きるわけでもなく、ドームに対して右腕を突き立てて動かなくなったヤドキングだけがフィールドに残る形となる。

 

 訪れる一瞬の静寂は技の不発を予感させ、観客から戸惑いの声が漏れ始める。が、当事者であるセイボリーさんとクララさんの表情は、焦り顔としたり顔に別れている。

 

「ヤドキングゥ!!打ち込んでェ!!」

「ヤド……ッ!!」

 

 右腕を突き立てた状態から、その右腕に左手を添えたヤドキングは、一瞬だけ腕を引いたかと思えば、すぐさま押し込んだ。その時、微かにだけど『ピキッ』というなにかにヒビが入るような音が聞こえてくる。

 

「……まさか!?ヤドキング!!今すぐ『ぶきみなじゅもん』をやめてそこから回避を━━」

「遅ェ!!」

 

 同じく音に気づいたであろうセイボリーさんもその表情を驚愕に染め、慌てて回避行動を取ろうとするが、それよりも早くフィールドに爆音が響き、セイボリーさんが籠っていたぶきみなじゅもんのドームが()()()()()()()

 

 右腕に溜め込んだヘドロばくだんを、ドームのヒビから無理やり中に押し込んで、ドーム内に落ちたヘドロばくだんを起動。正しく、密室の中に爆弾を放り投げて爆発させたという訳だ。

 

 密室空間ゆえに衝撃が逃げる先がなく、むしろドームの内側で衝撃が反射しあってしまうため、中にいるセイボリーさんのヤドキングには尋常ではないダメージが刻まれる。結果、被ダメージの大きさからドームを維持できなくなったセイボリーさんのヤドキングは、戦闘不能こそなっていないものの、爆ぜてバリアも毒も全て吹き飛ばされたその中心でたたらを踏みながら、今にも倒れそうな雰囲気を醸し出していた。

 

「ヤドキング!!とどめいくぞォ!!」

 

 このチャンスを逃さないクララさんは、ドームに爆発によって押され、少し距離を離されたヤドキングに再び突撃命令。右腕に再度ためられるどくエネルギーは、『この一撃で絶対に決める』という意志を感じた。

 

「走ってェ!!」

 

 右腕を引き絞りながらあと数歩の所まで迫り来るクララさんのヤドキング。

 

「ヤドキング!!」

 

 未だにたたらを踏んで、動きがおぼつかないセイボリーさんのヤドキング。

 

 先にしかけたのはやはりクララさん。

 

「もう一度ォ、『ヘドロばくだん』!!」

「……ヤドッ!!」

 

 右手に溜めた毒を、もう瀕死手前のヤドキングに、しかし油断は一切せず着実に叩き込むために狙いを定めて繰り出していく。

 

 もう距離は離れていない。あとは腕を振り抜くだけ。この技が当たればセイボリーさん側は確実に倒れる。

 

 

「叩き込めェ!!」

「ヤドッ!!」

 

 

 ヤドキングとクララさんの叫び声が重なり、ヤドキングの拳が真っすぐ放たれる。邪魔するものはもうない。当たるまでの瞬間がまるでスローモーションのように流れていき、わたしたちの時もゆっくり流れているような錯覚に陥っていく。

 

 徐々に縮まる顔と拳。この距離がゼロになり、このバトルに決着がつく。誰もがそう予想し……

 

「ヤドキング……回避からの捕獲を!!」

「ヤド……ッ!!」

 

 拳が当たる寸前で意識をはっきりと取り戻したヤドキングが、顔を小さく横に傾けるだけで避け、拳を振りぬいた状態でバランスを崩しているクララさんのヤドキングを抱きしめるように捕まえた。

 

「なァッ!?」

「ヤ、ヤド……ッ!?」

 

 まさかの反撃に驚きの声しか出ないクララさん。ヤドキングも、しっかりとホールドされたせいで見動きが取れない。

 

「やっと捕まえましたよ……さぁヤドキング!!ワタクシたちの勝利で幕を引きましょう!!」

 

 捕まえた相手を絶対に逃がさないようにしながら技の準備を進めるセイボリーさん。攻められていたところから一転。一気に逆転したセイボリーさんが、逆にとどめの一撃を放つ。

 

 

「この一撃でとどめを!!『アシストパワー』です!!」

「ヤドッ!!」

 

 

 放たれた技はアシストパワー。自身の能力が上がれば上がるほど威力も上がるこの技は、現在素早さが限界まで上がり、且つ特攻も少し上がっているヤドキングにとっては最高且つ最強の技となる。

 

「ヤドキング!!『ヘドロばくだん』!!」

「ヤ……ド……ッ!!」

 

 そんな技を目の前にし。かつ捕まっている状態でもひるまず懸命に反撃をしようとするクララさん。慌ててヘドロばくだんでアシストパワーを止めようとするけど、当然タイプも威力も負けている今の状態では、この技を止めることは不可能だ。

 

「地面にィッ!!」

「ッ!?」

 

 そこで選んだのは地面への攻撃。アシストパワーが当たるよりも前に地面へ打ち付け、爆風で距離を離そうと考えたクララさんの素早い機転は、その想定通り地面でしっかりとは爆ぜ、辺りに毒と土煙をまき散らしてフィールドと2人のヤドキングの姿を隠してしまう。

 

「……どうなったんだ?『アシストパワー』、避けられたのか?」

「さぁ……どっちでしょうね……避けられたらクララさんの、避けられていなかったらセイボリーさんの勝ちよ」

 

 わたしからの視界では、爆風の方が先に広がっていたからギリギリヘドロばくだんが間に合ったように見えた。しかし、土煙が広がる前に一瞬、アシストパワーの光が煌めいたようにも見えた。

 

 本当に、どっちが勝っているのかわからない。恐らく、2人のヤドキングにはこの土煙を飛ばす力も残っていない。だから結果を知るには、この煙が自然に消えるのを待つしかない。

 

 誰もが固唾を飲み、その煙を見つめる。

 

 その時間は数秒か、はたまた数十分か。

 

 音の消えた空間で、誰もが見つめる中、徐々に煙が消えていき、ついに勝者が目に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ヤドッ!!」

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 毒液に身体を汚されながらも、アシストパワーの光を放ちながら立つヤドキングの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クララ選手のヤドキング、戦闘不能!!よってこのバトル、セイボリー選手の勝ち!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宣言とともに上がる大歓声。

 

 同門対決は、エスパータイプのエキスパートが勝つことによって、幕が降ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




同門対決

ということで、今回はセイボリーさんに軍配が上がることに。書いているわたし自身、最後までどちらを勝たせるか迷ってました……




2戦目終了。自分で書いててあれですが、本当にボリューミーですね。




追記

ヨノワール内定ありがとうございます。ヨノワール内定ありがとうございます。ヨノワール内定ありがとうございます。
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