【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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212話

 審判による決着宣言とともに、スタジアムは溢れんばかりの歓声に包まれる。みんなこのバトルのレベルの高さにひたすら感動し、心を打たれたのであろう。実際、わたしとジュンもしっかりと感銘を受けており、周りの人につられて思わずスタンディングオベーションをしてしまうほどには、心を持っていかれてしまっていた。

 

 本当に、最後まで結果が分からない白熱したバトルだった。

 

 そんなにわかに騒がしくなるスタジアムの空気とは対象に、この盛り上がりの原因である2人は一言も喋ることなく、ただひたすら自分の相棒を見つめていた。

 

 片や地面を見つめ、悔しそうに唇を噛んでいる姿を見せ、片やまるで今の状況が信じられないという表情を浮かべながら、どこか遠くに視線を送っていた。その姿を見るだけで、2人の感情がこちらに流れてくるような気がして、胸がいっぱいになりそうになる。

 

「……アリガト、ヤドキング……お疲れ様」

 

 そんな2人のうち、先に口を開いたのはクララさんの方だった。

 

 血がにじむのではないかという程強く噛みしめていた口を開きながら零れるその言葉は、聞いているこちら側も悔しいという気持ちに襲われるほど。

 

「本当に、ありがとうございます。ヤドキング……ゆっくりお休みを……」

 

 次いで口を開くのはセイボリーさん。万感の思いが込められたその言葉は、聞いているとこちらの目にまで何かが届くような気持ちになる。

 

 勝者と敗者。フィールドをちょうど半分に分けた2つの感情は、傍から見ているわたしにとってはやはり何とも言えないものを感じる。仕方ないとはいえ、両方とも知人である身としては素直に喜ぶのが少し難しい。けど、本当にいいバトルであったという感想には変わらないので、2人の健闘をたたえて拍手を送る。

 

「本当に凄かったわね……」

「ああ……なんか、思わずうずうずしてくるぞ……!!」

 

 ジュンと感想を交わしながら、そんな間にも手を叩いていく。一方、拍手の雨を受け続けている2人のトレーナーは、ヤドキングを戻したボールを腰のホルダーに戻しながら、バトルコートの真ん中に歩み寄る。その距離がかなり近くなったところで、お互いの言葉が聞こえてきた。

 

「いやァ……こうやって全力で戦うのは初めてだったけどォ、セイボリちん強いねェ」

「クララさんこそ、本当にお強かったですよ……あなたの策、厄介でした」

 

 お互いの健闘を称えながら手を伸ばし、握手をする両者からは先ほどまでの差があった表情はなくなっており、微笑みを浮かべながら言葉を交わしていた。

 

「あ~あ、うちのリーグ終わっちゃったァ」

「ご安心を。あなたの分までしっかり勝ちますので。優勝者に負けてしまったのであれば、例え初戦敗退でも仕方ないと言えるでしょう?」

「……セイボリちん、人を気遣うの下手だよねェ」

「んなッ!?」

 

 もうマイクが切れているため、2人の声が拡張されることはないけど、バトル前との時と同様に、かすかに聞こえる声と口の動きで会話の内容を何となく察する。バトルが終わればそこからは友達。そんな空気を感じる会話を繰り広げる2人は、傍から見たら同門の中でも特に仲のいいもの同士の微笑ましいやり取りに見えるだろう。

 

 最も、その裏にはどんな感情が隠されているかはわからないが。

 

「まァ、一昔前ならそんな感情を抱くこともなかったんだろうけどォ?」

「う、うるさいですよ。慣れないことをしているのにわざわざ突っ込まないでください」

「それを言っちゃうのがもっとダメなんだぞォ。まったく、フリアっちなら絶対気の利いた言葉を言ってくれただろうにィ」

「ああもう!!本当にあなたは━━」

「大丈夫よ。ちゃんと納得しているから」

「……そうですか」

 

 一通り握手と会話を終えた2人はゆっくりと手を離し、少しだけ距離を取る。

 

「頑張ってね。セイボリちん」

「ええ……絶対に!!」

 

 その言葉を最後に、両者は控室のある方へと歩いて行く。そんな2人を見送るかのように、観客の拍手はさらに強く大きくなる。

 

 ちょっとしたバトル終わりの感傷に浸っていると、隣のジュンから声が聞こえた。

 

「いや~、本当にいい勝負だったなぁ……んでもって、これでフリアの相手はセイボリーさんになったわけだな!」

「間に休みもあるからフリアもちゃんと身体を治してくるでしょうし、セイボリーさんも今日の試合のアーカイブを見直して対策を立てるだろうし……また今日とは違う動きがみられるかもしれないわね」

 

 今日のこのバトルでまた成長しているであろうフリアとセイボリーさんのバトルが、今から楽しみで仕方がなくなってきた。まぁそれよりも今は、激戦を繰り広げてくれた2人を労うとしよう。

 

(おめでとう、セイボリーさん。そしてお疲れ様、クララさん)

 

 心の中で改めてそう告げたわたしは、2人に対して、心から敬意を表するために拍手を送り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はァ」

 

 セイボリちんとの長く熱いバトルを終えたうちは、セイボリちんにこの先のバトルを託し、一通り言葉で背中を叩いて控室まで帰ってきた。帰ってきた控室は、バトルする前に待機していた控室とは別みたいで誰もいない。戦ってすぐのトレーナーを気遣っての対処なのだろう。

 

 ……今は、この対処が凄くありがたい。

 

「負けちゃったなァ……」

 

 控室の真ん中に並べられているベンチに座りながら、天井を見つめてぼそっと言葉を零すうち。当然うちの言葉に返答する声はなく、うちのか細い言葉はこの静かな控室の壁をむなしく反射して小さく響くだけ。そのことが、よりうちのガラルリーグの終わりを伝えているような気がして、響いた声が消えると同時にまた心に重くのしかかる。

 

「こんなに心に来たのは、初めてかもォ……」

 

 アイドルを夢見て頑張って、そしてアイドルの裏側を見て絶望して、一度夢を捨てたあの時だって、ここまで気落ちすることはなかった。確かにショックなことはあったけど、どこか納得しちゃった所がなかったかと言えばうそになるし、あの時はうち自身の考えが甘い所もあったからくじけちゃった所もなくはない。そういう意味では、夢しか見ていなかった当時のうちがこうなるのはある意味必然と言われても仕方がない。

 

 けど、今回は全然違う。

 

「アイドル目指していた時よりも、本気で頑張ったと思ったのになぁ……」

 

 挫折を知って、くじけて、それでも新しい目標と夢を見つけて……特に、ジムバッジを集めて、みんなでヨロイ島で特訓したあの期間は、今までのどんなことよりも本気で取り組んできた。それが楽しかったし、確実に強くなっていく自分を実感できたから、それがますます嬉しさにつながった。今日の大会だって、憧れのマリィセンパイと同じ舞台に立てることが本当にうれしくて、だからこそ、この大会はうちにとって特別で……

 

「あ、あれェ。おっかしいなァ……」

 

 気づけば、頬に何か温かいものが流れている感覚があった。その感覚が煩わしくて手で拭うけど、いくら拭ってもこの感覚が消えなくて。

 

「うゥ……うちの……大会……終わっちゃったァ……」

 

 その感覚がどんどん私の心を苦しめて来る。

 

 知らなかった。本気でやるポケモンバトルがこんなに楽しくて熱いものだなんて。

 

 知らなかった。本気でやるポケモンバトルで負けた時に、こんなに悔しいだなんて。

 

「もっと……もっと……戦いたかったァ!!」

 

 あの時ああすれば。この時こうすれば。あとからあとから湧いてくる後悔。たとえ全部結果論だと言われても、それでもやっぱり納得できないことも多くて、その思いは涙と声となって外へ出ていく。誰もいない部屋で本当に良かった。今なら、誰にも迷惑をかけることなく叫べるから。

 

「うわあああァァァ……ッ!!」

 

 メイクが落ちることも気にせずひたすら泣き叫ぶうち。一昔前だと考えられなかったけど、それだけ悔しくて悔しくてたまらなくて。

 

 初めて味わう本気の悔しさにどうしていいかわからないうちは、ただひたすらこうすることしかできなかった。

 

 ロトロトロトロト。

 

「うゥ……え……?」

 

 うちがそうやって打ちひしがれていると、うちのスマホロトムに着信が入って来る。ここ最近はうちと仲が良い人みんなすぐ近くにいたから、あまり鳴ることの無かったスマホロトムの着信音。久しぶりに聞くその音に思わず変な声が出てしまうけど、スマホロトムを取り出して映し出される名前を見て、うちはすぐにその着信に出た。

 

『ふっふっふ~、クララちん、お疲れ様~。その様子だと、ちゃんと全力で頑張れたのかな?』

「し、ししょ~……」

『試合、ちゃんと見てたよん。頑張ったね~クララちん』

「頑張ってないィ……勝てなかったァ……勝ちたかったァ……」

『ふっふっふ……そんな姿のクララちんを見るのは初めてだね~……悔しい?』

「うん……う゛ん゛……ッ!!」

『そっかそっか~』

 

 スマホロトムの先から聞こえてきたのは師匠の声。きっと道場で闘っているうちを見て電話をかけてくれたのだろう。その気遣いが嬉しくて、気づけばうちは思いのたけをぶつけていた。そんな子供みたいなわがままにも、優しく対応してくれてた師匠。このやり取りがとても嬉しくて。

 

「それだけ悔しいって気持ちがあれば、クララちんはもっともっと強くなれるよ~。……帰ってきたら、またうんと特訓しようねん」

「う゛ん゛~~~~~ッ!!」

 

 本当にこの人の下に行ってよかった。心からそう思えた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 拳が震える。

 

 身体が震える。

 

 鼓動が躍動する。

 

「いよいよか……!!」

 

 ついさっきリーグスタッフの人から聞いた話によると、先ほど第2試合が終了し、今バトルフィールドの整備に入っているらしい。それはつまり、次の第3試合であるオレの試合がもう少しで始まるという事だ。

 

 朝からずっと待っていて、いよいよオレがこの大舞台で闘う瞬間。

 

 テレビからしか見ることの出来なかった、小さいころから夢見ていたあの舞台に対に立つことが出来る。それだけで心の奥から震えて来る。

 

「ホップ、凄く嬉しそうだね」

「当り前だぞ!!オレはこの瞬間を何年も待ち続けていたんだからな!!」

 

 小さいころに見たアニキの姿は今でも鮮明に思い出される。

 

 あの時、あの瞬間、オレはこの世界に一目ぼれした。そんな小さい頃から見てきた大きな夢の一歩に、ようやく足をかけることが出来た。

 

 勿論、ここで負けてしまったらなんの意味もないけど、そうならないようにこれだけ頑張ったんだ。負けた時のもしもよりも、それ以上の思いがオレの胸に宿っている。

 

「子供のころ抱いていた、『アニキのようになる』から、『アニキを越えてチャンピオンになる』に変わった夢を実現させる……その時がついに来たって思ったら、こうなるのも理解できるだろ?」

「……そうだったね」

「……ハロンタウンでのこと、ちょっと思い出すよな」

 

 オレ以外で控え室に残っている唯一の人間であるユウリと話しながら、この旅の始まりを思い出す。

 

 アニキからポケモンを貰って、一緒に旅立って、入っちゃいけない森に入って、そこでフリアと出会って……挫折もあったし、つらいこともあった。けど、そんなときはみんなが助けてくれて。いろいろな経験を経て、オレは今ここにいる。その中でもやっぱり、オレがここまで来ることが出来た大切な存在は、フリアとユウリの2人だった。

 

「なぁユウリ。あの時した約束、覚えているか?」

「『オレとオマエ。2人で競い合って、チャンピオンを目指すんだ』だよね」

「ああ」

 

 オレの言葉に当然と言った表情で返してくれるユウリ。それが嬉しくて、少しだけ頬が緩む。だから、オレは心の底から思ったことをぶつける。

 

「ありがとな!ここまでついてきてくれて。……オマエが本当はチャンピオンに興味ないっていうのは、ちょっとわかっていたんだけどな」

「あはは……それはごめん」

 

 オレが夢に焦がれたあの日、ユウリは楽しそうにしては居たけど、憧れとまでいっていなかったのは何となく気がついていた。もっとも、今はフリアのおかげで明確にチャンピオンになる理由を見つけたみたいだが……だとしても、旅に出た当初はそんな目標はなかったはずだ。

 

 それでもユウリはオレと一緒に旅出てくれた。

 

「あの時はすまなかった。オレは周りが見えていなかったみたいで……ユウリがもし嫌に感じていたなら本当に申し訳なかったぞ」

「謝らないでホップ。確かに昔の私はそんなにチャンピオンに……ポケモンバトルに特別興味を惹かれているわけじゃなかった……でも、ポケモンバトルが嫌いってわけじゃなかったの。みているのは楽しかったし、ホップが嬉しそうに話してくれるのを聞くのも楽しかったから、いやじゃなかったよ」

「そう言ってくれると助かるぞ」

 

 オレの唯一の不安としては、オレのせいでユウリが嫌な思いをした可能性があるのではないかと思ったけど、そんなことはないみたいでとりあえず安心だ。

 

「本当にありがとうだぞ」

「ううん。私も、ホップに引っ張られなかったら、こんな素敵な出会いをすることはなかったから……だから、私の方こそ、ありがとう!」

「ははっ!なんか、変にくすぐったいな!!オマエとこういう会話は初めてだし!!」

「ふふ、そうだね」

 

 最近はいろんな人と仲良くなって、とても賑やかになったこともあってか、こうして2人きりで話すのは凄く久しぶりだ。

 

 昔からずっと一緒だったオレたち。だからこそ言えることを、今ここで言う。

 

「オレの今の夢は、フリアのおかげで見つけることが出来た」

「私の今の夢は、フリアが魅せてくれたから出来た」

「フリアはオレたちにとっての師匠であり、先生みたいなもんだよな」

「いつも先を行って、本人に自覚はないんだろうけど、私たちを引っ張ってくれているもんね。私はどっちかというと、先輩って感じがしたけど」

「確かに!そっちの方があってる気がするぞ!!」

 

 2人の共通の師であるのはフリアだ、それは間違いない。

 

「でも、やっぱり夢の1歩を一緒に踏み出してくれたのは……ユウリ、オマエだぞ」

「うん。一緒に踏み出して、同じ目標を進んで行ったのはホップだった」

「だから、オマエのライバルとして、改めて言うぞ!!」

「……うん」

 

『ホップ選手。次の試合の準備が整いました。準備の方をお願いします』

 

 リーグスタッフの人からの招集がかかった。いよいよオレの番だ。その前に、ユウリに言わなくちゃいけない事だけを伝える。

 

「マリィに勝って、オレは先に2回戦で待ってる。だから、絶対に来いよ!!ライバル!!」

「……うん!!」

 

 オレの言葉に力強く返してくれるユウリ。その返答にオレも満面の笑みを返し、バトルフィールドへの道を歩いて行く。

 

 もう振り返らない。

 

 次にユウリと顔を合わせる時は、お互いが勝って、次の対戦相手として決まった時だから。

 

「よし……行くぞ……!!」

 

 控え室の扉を開けて進むオレの足は、心なしかいつもよりも軽かった。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ……ふぅ……」

「……いい集中ですね」

「うん……。正念場……だからね」

 

 深呼吸を1つするあたしに声をかけてきたのは、先ほどまで同じように集中力を高めていたサイトウさん。あたしの後に出番を控える彼女は、あたしよりもさらに長いこと待たされることとなる。それまでこの集中力を維持しないといけないと思うと、ちょっと大変そうだなと思いはするけど、正直今は自分のことで手一杯なので、気の利いた言葉は掛けてあげられそうにない。

 

「対戦相手はホップ選手……強敵ですね」

「うん……まぁ、ここにいる人は強い人しかおらんけどね」

「ふふ、違いないですね。わたしの対戦相手もユウリさんです。そして他の山にいる方たちも全員、わたしのよく知る強い人たちばかり……本当に、今年は大変ですね」

「全くと……」

 

 本当に今年のレベルはとても高い。他地方に比べてガラル地方のレベルが高いことはよくわかってはいたつもりだけど、あたしが毎年見ていたリーグと比べて今年はおかしい。そもそも突破者が8人というのが訳が分からない。普段なら多くても4人程度なのだ。

 

 そんな多い時の倍の人数を誇る今回の突破者。当然そんな人たちが弱いわけもない。

 

 でも、あたしだってそんな突破者の1人なんだ。

 

「あたしも、頑張る。やっと立ちたかった舞台に立てるけん……」

 

 スパイクタウンを盛り上げるためにここまで来た。それは間違いなくあたしの本心だ。けど……

 

「ここまで来たら、やっぱりチャンピオン目指したかと!!街のためって気持ちと同じくらい、あたし自身がチャンピオンになりたいから!!だから……絶対勝つ!!」

 

 チャンピオンになればあたしも嬉しいしスパイクタウンのみんなも嬉しい。一石二鳥の素晴らしいことだ。なら、やっぱり目指さない手はない。

 

「良い気合ですね。ですが、優勝は渡しません。その場所は、わたしがいただきますので」

 

 そんな気合を入れているところに、サイトウさんは挑発するような笑みを浮かべながらこちらを見て来る。この人がこんな表情を浮かべるなんてちょっと意外だけど、だからこそあたしを認めてくれているような気がして少し嬉しかった。だから、あたしもちょっと挑発気味に返してみる。

 

「渡さんよ。ホップのチームもサイトウさんのチームも、あたしがコロッとやっちゃうけんね!!」

 

『マリィ選手。次の試合の準備が整いました。準備の方をお願いします』

 

 お互い発破をかけ合いながら視線を合わせているところにかかる、あたしを呼ぶ声。

 

 いよいよ運命のバトルが始まる。

 

「じゃあ、行ってくるけん!!」

「先で待っててください。必ず追いつきますので」

「うん!!」

 

 サイトウさんとの約束をして拳を軽く当てるあたしは、そのまま控室の出口へ向けて足を運ぶ。

 

 徐々に聞こえてくる歓声が、あたしの鼓動を更にはやめていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようマリィ!!ようやくオレたちの番だな!!」

「そうね。すっごく待たされた気分と」

「まぁ仕方ないだろ。前2つの試合も、いい試合してるんだとしたら長いのも納得だ」

「観客もすっごく盛り上がっとるもんね。きっと、本当に凄いバトルをしてたんだと思う」

 

 視線を左右に伸ばしてみれば、エール団も社会人も子供も、観客たちみんな大盛り上がり。ここまで2つの試合がそれだけ白熱していたことがよく分かる。これは是非とも、アーカイブを確認して、試合を見直さなきゃいけない。けど、今はそれよりも大事なことが目の前にある。

 

「そんなみんなのバトルに負けないくらい、いい試合しないとな!!」

「勿論!!この大会の主役は誰なのか、教えてあげるけん!!」

「お?その言葉は聞き過ごせないな!!今回の大会の主役、そして優勝者はオレだ!!悪いけど、ここは逃せないぞ!」

「ふふ」

「へへっ」

 

 実況の人による説明の影で行われる、あたしとホップの掛け合い。多分一部の人には聞こえているだろうけど、それでも2人だけの会話なような気がして少し楽しい。同時に、お互いを挑発して発破をかけるような発言に、あたしたちの心も、バトルに向かってあがっていく。

 

『お嬢!!頑張れ~!!』

『スパイクタウンの星!!このまま駆けあがってくれ~!!』

『絶対勝つって信じてるわ~!!』

 

 後ろから聞こえてくるのはエール団のみんなの声援。スパイクタウンの1件から改心して、ちゃんと真面目に応援してくれるようになったあたしの大事なサポーターのみんな。彼らの声が、あたしの背中をぐっと押してくれる。

 

 彼らの声に応えたい。そのためにも、絶対に勝つ。

 

 

『では両者!!準備をお願いします!!』

 

 

 心を決めたと同時に、審判の人から合図が入る。同時に、あたしとホップが腰に着いたボールに手を添えて、第3試合の先鋒の準備をする。

 

 

「行くよホップ!!あんたのチーム、コロッっとやっちゃうけん!!」

「行くぞマリィ!!オマエを越えて、オレはチャンピオンになる!!」

 

 

ポケモントレーナーの ホップが

勝負を しかけてきた!

 

 

「行くよ、レパルダス!!」

「行くぞ!!バイウールー!!」

 

 1回戦第3試合。みんなの声援を受けて、あたしの大勝負が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クララ

悔しさはバネに。師匠もきっと誇り高いでしょう。

ホップ

いよいよ夢に見た舞台。果たしてその舞台で輝けるのか。

マリィ

街のためでもあり、自分のためでもある戦い。




第3試合開始。熱戦が終わったらまた熱戦。大忙しですね。




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