【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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1回戦 第3試合
213話


「行くよ、レパルダス!!」

「行くぞ!!バイウールー!!」

「ニャゥ……」

「メェッ!!」

 

 1回戦第3試合。勢いよく繰り出されたポケモンは、あたしからはレパルダスで、ホップからはバイウールー。お互い、ジムチャレンジ時代からずっと決まっている、もはやルーティーンとなっている初手のポケモンだ。

 

 別にこのポケモンが先鋒に向いているとかでは無い。相手のパーティに強く出られる訳でもないのだけど、何故か最初に出してしまう。ないし、最初に出さないと気分の乗らないポケモンというのが人によっては存在すると思う。あたしとホップにとって、この子たちはそういった役割のポケモンだ。この子たちの戦い方次第で、今日の自分のコンディションや、相手との地力差、場の空気感をなんとなく掴むことが出来る。

 

 逆に言えば、今日一日の流れを取れるかどうかは、あたしたちがこの子たちを上手く動かせるかで変わってくる可能性も高い。

 

(出来れば先制はこちらが取りたかと。幸いこちらのポケモンの方が足は速い。上手くこっちが攻撃出来れば……けど、『ねこだまし』が使えないのは痛いところ)

 

 ポケモンが場に出た瞬間のちょっとした隙をつき、先制で小さな攻撃を繰り出しながら相手をひるませるねこだまし。初撃が大事であるバトルにおいて、かなりの安定択として放つことの出来るこの技は、しかし今回においては悪手になる。というのも、ホップのバイウールーの特性は『ふくつのこころ』。これは自身がひるむ度に素早さが上がる特性だ。

 

 確かに、無条件で相手を怯ませながらダメージを与えられるねこだましはかなり使い勝手がいい。けど、与えられるダメージはわずかだ。そんな微々たるダメージを与えるだけで、せっかくこっちが有利としている足の速さを相手に譲ってしまうのはちょっと割に合わない。もしかして、ここも考慮していたりするのだろうか。

 

(って、それは考えすぎとね)

 

 どうやらこの大一番でのバトルということもあって、あたしも想像以上に緊張しているみたいだ。ここは落ちついて行こう。

 

「レパルダス!!『つじぎり』!!」

「バイウールー!!『コットンガード』だぞ!!」

 

 兎にも角にも先手は取る。こちらがアドバンテージを取っている素早さを生かして、まずは速攻を仕掛ける。前右足を黒く染め、怪しく光らせたレパルダスは、身体中に毛を集めて自分の防御をぐぐーんと高めているバイウールーに向かって駆けだす。相手は物理攻撃技であるつじぎりを見て反応し、すぐに防御を固めたという事だろう。ホップにしてはとても手堅く、故にらしくない消極的な動きにホップにも緊張があるのかもしれないという気持ちを抱きながら、相手の動きに注意する。

 

 防御を固めているバイウールーに対して近づくことはそう難しいことじゃない。軽快に走り出したレパルダスは程なくしてバイウールーのそばに辿り着き、黒い爪を思いっきり振り下ろす。けど、ホップ側には特に焦った表情は見えない。恐らく、レパルダスぐらいの攻撃なら、これで十分受け止めきる自信があるからだろう。確かに、レパルダスは攻撃も特攻もどちらもできる代わりに、どちらも突出しているわけではないといういわゆる器用貧乏な能力をしている。

 

(けど、その考えは甘か!!)

 

「メェッ!?」

「バイウールー!?……急所か!!」

 

 本来なら防御をしっかりと上げたおかげで難なく受け止めることが出来るはずの攻撃に対して、バイウールーが必要以上の反応を示す。その理由は、攻撃が急所に当たってしまったため。

 

 いくら防御力をしっかりと育てたとはいえ、急所を鍛えることは不可能だ。そしてつじぎりという技はそういった急所を狙うという点において優れた技となっている。上がった防御力を貫通して叩き込案れる攻撃は、バイウールーに対して予想外のダメージを与えることに成功した。

 

 まずは先制。

 

「レパルダス!!このまま行くよ!!」

「バイウールー!!ジャンプだ!!」

 

 この流れを渡したくないあたしは、そのまま追撃を指示。その命を受けて黒い爪を振りかざしながら突き進むレパルダスは、連続で攻撃を当てようとする。これに対してホップ側がとった指示は、ジャンプで避けるというもの。バイウールーの速さでは横や後ろに下がれないと判断したみたいで、確かに今のレパルダスの攻撃を避けるという点においては一番楽な方法と言える。事実、今しがたレパルダスの放った攻撃は避けられてしまう。

 

「でも空中に行ったら、次は避けられなかと!!」

 

 しかし、空中に行ってしまえば今度は動けない時間が増えてしまう。その間は絶好の攻撃チャンスだ。

 

 空中に飛んだバイウールーを追いかけるようにレパルダスも飛んで、つじぎりの構えを取る。

 

「『コットンガード』!!」

 

 そんな此方の動きを見てもホップ側の動きは変わらない。これで防御力はマックスまで上げられてしまったけど、それだけならまたこちらが急所を突いて攻め切るだけだ。勿論、急所に必ず当たる技というわけではないため、次も絶対にそこを狙えるという確証はないけど、そこは攻撃回数でカバーすればいい。何回も攻撃すれば、どこかで必ずまた急所に当たるはずだ。

 

(やっぱりいつものホップの動きに見えなかと。緊張のせい……?ちょっと残念だけど、でも、それはそれであたしにとっては都合がよかと!!悪いけど、このまま押し切らせて貰うけんね!!)

 

「レパルダス!!連続で『つじぎり』と!!」

「ニャウッ!!」

 

 ここがチャンスということをレパルダスも感じ取ってくれているみたいで、片手だけだった黒い爪を両手にして振りかぶる。ここから連続攻撃を仕掛けて、急所に当たる確率をあげるという、作戦と言うにはいささか力押しすぎる、しかし現状において、多分正解だと思う行動を行っていく。空中で逃げ場のないバイウールーは、この攻撃を見つめることしか出来ない。

 

「いって!!」

 

 両方の前足を突き出し、いよいよバイウールーに攻撃が直撃する。

 

「へへっ、バイウールー!!キャッチだぞ!!」

「えっ?」

 

 しかし、直撃したあとの展開は、あたしの想像とは違う方に向かっていった。

 

 確かに攻撃は当たった。今もレパルダスの爪は、コットンガードでふわふわになったバイウールーの毛の中へと突き刺さっている。だけど、問題はこの前足が「毛に埋まって全く抜けない」状態になってしまっているという点だ。

 

「『コットンガード』は確かに急所は苦手だ。でもさ、そもそも急所に届かないくらい、毛の密度と量を増やせば、全く問題ないよな!!」

「防御方面のゴリ押しってこととね……」

 

 さっきはホップらしくないって言ったけど前言撤回だ。方向性が変わっているだけでホップのプレイスタイルであるゴリ押しを通していくというのは変わっていない。攻めっけが強く、あまり搦手をしないからこういうことはしなさそうという先入観に囚われてしまっていた。あたしのミスだ。

 

「んでもって、この状態ならレパルダスに回避手段はないだろ!!」

「レパルダス!!どうにか前足をひっこ抜くと!!」

 

 ホップの言う通り立場は逆転。有利だったはずのレパルダスは前足が埋まって動けない。ここからできることなんてほとんど無いだろう。そして、この状況はバイウールーにとっては絶好の状況だ。

 

(一見この状況だとバイウールーにも攻撃手段はないように見えるけど、あたしの考えが正しいなら絶対にあの技が来ると!!それだけは絶対に避けないと……!!)

 

「レパルダス!!『あくのはどう』!!」

「ニャゥッ!!」

 

 両手が塞がれてしまっているのなら両手を使わない攻撃をするしかない。けど、現状あたしのレパルダスが覚えている特殊技はこれくらいしかない。そしてこの技は確率で相手を怯ませてしまう技だ。そうなれば、最初に懸念していた『ふくつのこころ』が発動してしまい、すばやさが逆転してしまう可能性がある。

 

(けど、今はそんなこと考えている暇はなかと!!)

 

 ただそれ以上に、このまま無防備にあの技を喰らうわけにはいかないので、ここはバイウールーが怯まないことを願って攻撃を当てるしかない。

 

 レパルダスから零距離で放たれる黒い波動は、もふもふに身体を膨らませたバイウールーに突き刺さる。コットンガードによって身体の守りを固めているとはいえ、それはあくまでも物理に対してのみだ。だから特殊技であるあくのはどうに対しての耐性が出来ているわけではない。そのため、相手の怯みを考慮しないのであれば、むしろこちらの方がダメージ的にも正解ではある。

 

「平気だよな!!バイウールー!!」

「メェッ!!」

「ッ、止まらなかと!!」

「ニャゥッ!?」

 

 けど、元々の耐久力が高いバイウールーにとっては、器用貧乏なレパルダスの攻撃を受け止めるのはわけない。例えここで急所に当たったところでバイウールーを落とし切ることは無理だろう。それでも、次の攻撃の威力が下がればと思ってしてみたものの、やはりうまくいかず……

 

「バイウールー!!一気に決めるぞ!!『ボディプレス』!!」

「メッ!!」

 

 バイウールーが気合を入れた声を発しながら、レパルダスを下に向けた状態で一気に地面へと落ちていく。

 

 ボディプレス。

 

 本来相手を攻撃するときは、物理技なら攻撃の、特殊技なら特攻の高さによって、その技を強く放つことが出来るのかが決まって来る。しかし、このボディプレスという技はこの基本に当てはまらない。身体を全力でぶつけて攻撃してくるこの技は、物理攻撃の技でありながら、『技使用者の防御力が高ければ高いほど威力の上がる』という性質を持っている。当然、変化技で防御を育てればその分強くなる。

 

 そして、今バイウールーはコットンガードを2回行っているため、防御の育ち具合がとてつもないことになっている。ボディプレスが防御力で殴る技であるなら、その威力は比例して上がっている。更に、このボディプレスという技はかくとうタイプに分類される技だ。あくタイプであるレパルダスにとって……いや、あくタイプを中心に使うあたしにとって、もはや天敵と言ってもいい技。

 

(レパルダスは耐久力も高い方じゃなか!あんな技受けたら、ひとたまりもない!幸い、まだ地面までの距離はある……なら!!)

 

「レパルダス!!もっかい『あくのはどう』!!」

「レ……パ……ッ!!」

 

 このまま押しつぶされたら間違いなく戦闘不能になる。まだ戦いは始まったばかりだし、バイウールーに対して満足にダメージが入っていない今、レパルダスを落とされるのはさすがに避けたい。こうなったら意地でもバイウールーを引きはがす必要が出て来る。怯むのを承知で……いや、むしろ逆に怯むことを望んでもう一度あくのはどうを放つ。これで怯むと、素早さも上を取られるという悪状況になってしまうけど、もうそこも受け止めるしかない。

 

(お願い!怯んで!)

「ニャッ!!」

「メッ!?」

 

 そんなあたしの祈りとレパルダスの想いが届いたのか、バイウールーとレパルダスの身体が少し離れ、バイウールーから少し戸惑ったような声が聞こえる。

 

「バイウールー!!気合で押し切るぞ!!」

「メッ!!」

 

 けど、ホップとバイウールーはその怯みを気合で抑え込む。特性の恩恵で素早さが上がるという有利展開を捨ててでもレパルダスを落とし切るつもりらしい。

 

「いっけぇ!!」

「メェッ!!」

 

 怯みを抑え込んだバイウールーは、少しだけ距離が離れたレパルダスを逃がさないと言わんばかりに再び毛で巻き込む。

 

「ミャッ!?」

 

 いよいよ身動きの取れなくなったレパルダスと一緒に、バイウールーがまるで1つの白い流れ星のように地面に落ちていき、衝突と同時に轟音と衝撃をまき散らす。

 

「ッ……レパルダスッ!!」

 

 風圧と音に思わず目と耳を一瞬瞑ってしまったあたしは、すぐに前を向き直し、声を上げながらバトルフィールドを確認する。

 

「ミィ……ァ……」

 

 そこには、バイウールーの下敷きになり、目を回しているレパルダスの姿があった。

 

 

「レパルダス、戦闘不能!!」

 

 

「ッし!!いいぞバイウールー!!」

「メェッ!!」

 

 レパルダスの姿を確認すると、同時にあがる審判の言葉とホップ陣営の喜ぶ声。

 

 あくのはどう2回につじぎりの急所と少なくないダメージは入っているはずなのに、それを感じさせないほど元気な姿を見せるバイウールーの姿。それに少しだけ圧されてしまいそうになる。

 

(……強か)

 

 分かっていたことだけど、こうやって改めてつきつけられるとかなりくるものがある。

 

 今回大会に出場している人の中で、あたしが一番かかわりが深いのはホップだ。ひとつ目のジムからジムを制覇し、ヨロイ島で特訓をするまでの長い期間をほとんど一緒に活動している人。彼のことはよく知っているし、挫折した辛い時間もそばで見てきた。だからこそわかる。

 

(元々の経験と柔軟さで駆けあがったのがフリア。そのあとを圧倒的な才能と吸収力でついて行くのがユウリだとすれば、誰よりも心を成長させ、がむしゃらに走り切ったのは間違いなくホップと)

 

 直近で大きな敗北を知っているホップは誰よりもそのばねを利用している。その反動の勢いを殺さずにここまで来た彼には、未だに衰えていない勢いがある。しかも、ただでさえそんな勢いがついているのに、最近になって攻めに特化した戦闘スタイルであるジュンという先輩に刺激してもらったことで、その勢いは更に増している。

 

 この勢いを止めないと、あたしに勝ちはない。

 

「すぅ……ふぅ……」

 

 決して甘く見ていたわけじゃない。

 

 けど、あたしの予想は遥かに超えていた。

 

 確かにここ最近はお互いの手札がばれないように、各々特訓の時は少しだけ距離をとっていた。けど、それにしたってあたしの知るホップからの成長具合が激しすぎる。

 

「ありがとうレパルダス。ゆっくり休むと」

 

 けど、それはこちらだって同じだ。

 

 少し距離を取って特訓している間、あたしだって成長している。

 

「次……行くと!!」

「ズルッ!!」

 

 深呼吸をし、気合を入れ直したところであたしはレパルダスを戻して次のポケモンを繰り出す。

 

「次はズルズキンか……かくとうタイプで弱点を突いて、無理やり倒してくるつもりだな!!だが、『コットンガード』を2回したバイウールーは、物理じゃ簡単に落ちないぞ!!」

「メェッ!!」

「……」

 

 ホップの言葉を聞き流しながら、あたしはここからどう動くかを考える。

 

(真っすぐ攻撃するだけじゃダメ。この子を出した意味がなかと。それに、すぐに変化技を積むのもダメ。それこそ一瞬で攻め切られると)

 

 となると、一番は相手の攻撃を避けて、その隙に細かくばれないように準備を続けていく必要がある。

 

(なら最初の手は……)

 

「『ヘドロばくだん』をして前進!!」

「ズルッ!!」

 

 相手を動かすためのヘドロばくだん。

 

 ズルズキンはあまり特殊技が得意なポケモンではないから、この技に対してホップは変な違和感を感じたのかちょっと首を傾げたけど、そのあとすぐに前に出る姿を確認することで、あたしの考えを何となく理解する。

 

 別段大きなダメージは受けないけど、もしも毒になったら厄介なので、バイウールーはこれを横に飛ぶことで回避。そのままステップを踏みながら、バイウールーは軽快にこちらに走ってくる。

 

「『ヘドロばくだん』で誘導か?悪いが、この程度じゃバイウールーは止まらないぞ!!バイウールー!!『ボディプレス』だぞ!!」

 

 そのまま勢いよく走るバイウールーは、先程レパルダスを倒したように、今回も踏み潰そうと軽く飛びながら突っ込んでくる。

 

 飛ぶと言っても、空高く跳ねている訳ではなく、先程の反省を活かして少し低めに飛んでいるので、素早さを維持しながら、且つ隙があまりでないように技をしかけてきていた。ゴリ押しが目立つホップだけど、どうすればそのゴリ押しが安全に、そして確実に決まるかをちゃんと理解しているし、その対策スピードも磨きがかかっている。

 

「ズルズキンはそんなに速いポケモンじゃないはずだぞ!!ならこの攻撃も避けづらいはずだ!!」

 

 ホップの言う通り、ズルズキンは防御と特防は高いけど、代わりに足は遅い。敵の攻撃を受け止めて、そこから返すのがいちばん得意な戦い方であるポケモンだ。かと言って、今のバイウールーのボディプレスにこの戦法を適応すると、おそらく耐える前に重傷を負ってしまい、反撃に出ることが出来ない。そうなれば、連続でボディプレスを受けてすぐに落とされることになるだろう。

 

 けどそれは、あくまでも普通のズルズキンならという話だ。

 

「後ろに下がって避けると!!」

 

 前から飛んでくる白色の塊に対して、()()()後ろに跳ぶことによって、攻撃の範囲外へと逃げていく。

 

「はやっ!?」

「あまり舐めないで欲しかと!!『ヘドロばくだん』!!」

 

 その速度が予想以上に速かったらしく、思わず声を上げるホップ。そんな彼にお返しと言わんばかりにヘドロばくだんを飛ばしていく。

 

「思ったより速いな……なら仕方ない!!それくらいなら覚悟すれば行けるぞ!!バイウールー!!『とっしん』で突き抜けて、『ヘドロばくだん』ごとズルズキンを吹き飛ばせ!!」

 

 不意を突かれた動きから飛び出してくる遠距離攻撃はさすがに反応が遅れてしまう。けど、技を打っているのはあくまでズルズキン。特殊技が得意ではないズルズキンからの攻撃であるなら、バイウールーの耐久があれば打ち負けることはない。毒の可能性は捨てきれないが、それを捨ててでも今攻めるべき。そう思考を変更し、バイウールーは全体重を乗せた突撃を行ってくる。

 

 飛んでくる紫の爆弾を真正面にして、恐れるどころか突っ込んでくるところが実にホップらしいし、そのうえであながち間違っていない選択をしっかりしてきているのが本当に恐ろしい。確かに、ズルズキンが放つ特殊技なら、いろんなポケモンが割ると簡単に打ち破ることが出来るだろう。もしあたしがホップの立場にいたとしてもそうしたはずだ。

 

 けど、何度も言うように、このズルズキンはただのズルズキンじゃない。

 

「甘かね……ホップ」

「?なにが甘いん━━」

「メッ!?」

「なっ!?」

 

 あたしの言葉に疑問の声を上げたホップは、次の瞬間声色が困惑から驚愕へと変化される。

 

 なぜなら、バイウールーがヘドロばくだんに負けたから。

 

「バイウールー!?無事か!?」

「メ……メェ……ッ!」

 

 本来ならバイウールーでも勝てるはずの攻撃に弾かれて地面を転がるバイウールーは、ホップの声に答えてすぐさま身体を起こすけど、思いもよらないダメージにたたらをふんでしまう。

 

 仕掛けるならここだ。

 

「『わるだくみ』!!」

「ズルッ」

「『わるだくみ』だって!?」

 

 このタイミングであたしが指示したのは、自身の特攻をぐーんとあげるわるだくみ。特殊攻撃を主軸に置くポケモンの何人かが覚えるあくタイプの変化技だ。覚えるポケモンは別段少ないという訳でもなく、珍しい技という訳でもない。けど、ホップはまるで『ありえない』とでも言いたげな表情を浮かべながら、あたしに言葉を復唱した。

 

 理由は簡単。

 

 だって、ズルズキンはわるだくみなんて()()()()のだから。

 

「まさかそのポケモンは……っ!!」

「気づくのが遅すぎと!!流れが取れたことが嬉しすぎて、視野が狭まったんじゃなかと?いくよ……『()()()()()()()』!!」

 

 ここでようやく何がおかしいのか気づいたホップは、しかし既に準備が完了しているあたしの攻撃を防ぐことはできない。

 

 ぐーんと強化され、このポケモンの()()()()()をもって、バイウールーにとどめの一撃を叩き込む。

 

「メ……ェ……」

 

 

「バイウールー、戦闘不能!!」

 

 

 当然一撃。得意技をここまでおぜん立てすればその威力はかなりのものになる。相手が防御を育てて殴るなら、こっちだって特殊を育てて殴るだけだ。

 

「くっ、サンキューだぞ、バイウールー。ゆっくり休んでくれ」

「……ありがと。ナイスファイトと、いったん戻って」

「ズルッ!!」

 

 バイウールーを戻すホップと、活躍してくれた子に激励の言葉を贈りながらボールに戻すあたし。

 

 これでイーブン。

 

「さぁ、流れ取り戻して、ちゃっちゃと勝つとよ!!」

 

 次のボールを構え、あたしはさらに気合を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ボディプレス

防御で殴るという新しい特徴を持つ技。なぜか盾のあの人がもらえなかった技ですが、新作では……

???

マリィさんの二番手。あの技を行っている時点でもう隠す気もないですが、一応この形で。イッタイダレナンダー。




DLC情報を今でもちょくちょく見返すくらいには楽しみにしていますが……キバナさんがどんどん渋いキャラになっていきますね。




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