【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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214話

「行くと!!」

「頼むぞアーマーガア!!」

 

 お互い1人目のポケモンを失い、そして後にポケモンを倒した側となったマリィがポケモンをチェンジしたことによって2回目となるポケモンの同時呼び出しとなる。結果、場に現れたのはオレのアーマーガアとドクロッグ。だけど、先のやり取りのせいで、オレの頭の中に1つの懸念点が生まれる。

 

(あのポケモン……()()()()?)

 

 レパルダスを倒した後、オレのバイウールーはズルズキンと対峙していると()()()()()。けど、最後のわるだくみとナイトバーストを見て確信する。あれはズルズキンではなくゾロアークだ。

 

 ゾロアーク。

 

 ばけぎつねポケモンというものに分類されるこのポケモンは、その名前の通り、他のポケモンに化ける特性「イリュージョン」というものを持っている。この特性によって姿の変わったゾロアークは、1度攻撃を当てることが出来ればその変化を解くことが可能だが、逆に言えば、一撃当てないとその正体がゾロアークなのかどうかを判別することが出来ない。一応、さっきみたいに相手がしてきた技から正体を看破することもできなくは無いが……正直その辺りの観察眼には自信が無い。

 

(今回みたいに技を見てからだと看破の意味が無いよなぁ……その頃には攻撃を受けてお終いだ。かと言ってオレは多分、技以外の行動から本物を見分けるのは多分苦手……くっそう、フリアならこの辺りは得意そうなんだがなぁ)

 

 技を見るまで判断基準がほとんど無いというのがどうしても辛い。ここまでのレベルになると、相手に技をひとつ通されるだけでどうしようもない展開になる可能性も少なくない。さっきのバイウールーとゾロアークのバトルがそのいい例だろう。積み技なんて特に顕著だ。思わずないものねだりをしてしまう気持ちもわかって欲しい。

 

 そして、このイリュージョンという特性の、もうひとつやばいところがある。

 

(今対面してるドクロッグ……あれは本当にドクロッグなのか……?)

 

 それが相手トレーナーに与える疑心暗鬼。

 

 アーマーガアとドクロッグの対面は、タイプ的にはこちらがかなり有利だ。相手のかくとうわざはひこうタイプのおかげで減らせ、どく技に関して言えばはがねが全て止めてくれるし、こちらはひこうタイプの技で一方的に弱点を突くことが出来る。一対一のバトルなら、基本的に勝つことが出来るだろう。

 

 しかし、マリィの手持ちにゾロアークがいるのだとすれば、()()()()()()()()()()()()()()()()は100%では無い。耐性的には余り変わらないけど、2人のポケモンは戦闘スタイルがまるで違う。いつものオレなら、相手がドクロッグだと分かればノータイムでてっぺきを行っていた。けど、もし相手がゾロアークなら、特殊で殴ってくるゾロアークの前に大きな隙を晒すことになる。さっきのバイウールーのコットンガードが正しくいい例だろう。

 

 しかも厄介なのが、このイリュージョンが発生するタイミングだ。

 

 イリュージョンによる変化は、先も言った通り1度攻撃を当てれば解除することが出来る。しかし、せっかく解除しても1度ボールに戻ってしまうとイリュージョンが復活してしまい、次にフィールドに出てきたときに再び化けた姿で出てきてしまう。

 

 しかも、その時はまた別のポケモンへと化けて……。

 

 一応、ゾロアークがイリュージョンする先にはある程度の法則性があるらしいが、その法則性もどうやらマリィが懐でちょっといじるだけで簡単に操作が可能らしいから、思考するのもあまり意味は無い。

 

 本来なら、対面で出てきたポケモンを疑う必要は一切無いはずなのに、このポケモンが1人いるだけで余計なことにも頭を回さなくてはいけない。今目の前にいるポケモンだって、さっきまでズルズキンに変化していたゾロアークを、マリィがボールに戻して懐に持っていき、そこで交換する振りをしてまた繰り出し直しているだけでドクロッグでは無い可能性もある。

 

(相手がドクロッグなら『てっぺき』が一番いい。けど、相手がゾロアークなら、多分『ブレイブバード』とかでさっさと殴った方が絶対にいい……ああチクショウ!!どっちがいいんだ!?)

 

 どっちかを選べばどっちかの対策がおざなりになるというジレンマ。相手の技を打たせる前に対策したいのに、正解の対策が相手の技の後じゃないと分からないのが余計にややこしい。なまじゾロアークが足の速いポケモンというのがなお厄介だ。ちょっとでも迷って隙を与えてしまえば、その瞬間刺されてしまう。

 

(って、この迷ってる時間もあれだよな!?なら一か八か!!)

 

「アーマーガア!!『てっぺき』だぞ!!」

 

 さっきズルズキンに化けて出てきていたから、連続でゾロアークじゃないだろうという考えからてっぺきを選択。これで相手がドクロッグであるのなら、防御をかなりあげられたから攻撃のごり押しが通る。

 

(さぁ、どうだ……!!)

 

「『かえんほうしゃ』!!」

「またゾロアークかよ!?逃げろアーマーガア!!」

 

 願うように相手のドクロッグを見てると、飛んできたのはかえんほうしゃ。どうやら交換したように見せかけただけで、実際はボールに戻して腰に持って行ったあと、控えの子のボールに触っただけでボールの交換はしなかったらしく、ゾロアークの変化を変えるためだけにこうしたらしい。

 

 はがねタイプの身体を持つアーマーガアにはこうかばつぐんで刺さってしまう攻撃に、空中に逃げざるをえなくなる。けど、予想とはずれてしまった展開にすぐに反応できなかったアーマーガアは、その身体を少し焼かれてしまう事となる。幸いやけどにはならなかったものの、こうかばつぐんのダメージは決して少なくはないだろう。

 

「くっ、『ブレイブバード』だぞ!!」

「ガァッ!!」

 

 一通り攻撃を避けたらすぐに反撃。相手がゾロアークであるのなら、てっぺきは必要のない技になる。なら今できることは、とにかく攻撃をして相手に好きに行動をさせないようにすることだ。反動で自身の身体も傷つくけど、その分強力な威力を誇るこの技で、とにかく速くゾロアークを落としたい。こう何度も姿を変えられては、こちらのテンポがどんどん崩される。

 

 気合を入れたアーマーガアが黄色の光を携えながら、目にもとまらぬスピードで空を駆ける。

 

「『ナイトバースト』からの回避!!」

「クロッ」

 

 これに対しマリィは、ナイトバーストを放ってブレイブバードの速度を少し、その隙に横に飛ぶことでこの技を回避。アーマーガアの攻撃を綺麗にいなす。そして……

 

「戻って!!」

 

 この隙にゾロアークをボールに戻し、次のポケモンを準備する。

 

(逃げられた……っでも、交代だ!!出てきた瞬間のポケモンを攻撃すれば、さすがに避けられない!!)

 

「アーマーガア!!」

「ガァッ!!」

 

 オレの一言で察してくれたアーマーガアは、すぐさま上空に飛びあがりブレイブバードの準備をする。再び黄色の光を纏いながら空を駆けまわるその姿は、まるで1つの流れ星のようだ。

 

「次!!お願い!!」

 

 そんな状況で出てくるのはモルペコ。マリィのそばによくいるポケモンで、でんきタイプとあくタイプを備えた小さく可愛いポケモンだ、もっとも、おなかが減ったらかなり凶悪な姿に変わることでも有名な、ちょっと変わったポケモンでもあるが。

 

(そんなことよりも、やっぱりポケモンの名前を呼ばないんだな……)

 

 レパルダス以外に、種類だけで言えば既に4人のポケモンを繰り出しているわけだが、マリィの口からこのポケモンたちの名前を聞いたのは1回もない。間違いなく、オレにこのポケモンが『ゾロアークの可能性がある』という可能性を植え付けるための言い回しだ。実際、この言い回しのせいでオレの判断が、毎回正体判定に少し割かれるから困りものだ。

 

(さて、こっちは本物か、はたまた偽物か……けど、やることは決まってる!!)

 

 既に空中でブレイブバードの準備が出来ている以上、こちらがする技は1つだけ。場に出た瞬間で、まだ細かい動きが出来そうにないモルペコに向かって突撃を行う。でんきタイプを所持しているためあまり効果的ではないけど、耐久力の低いモルペコならこれでも小さくないダメージになるはずだ。ひこうタイプ最高火力をもって、少しでも大きなダメージを与えたい。

 

「『オーラぐるま』!!」

「ペッコ!!」

 

 対するマリィ側は、モルペコだけが覚えることの出来る技、オーラぐるまによって反撃に出る。

 

(『オーラぐるま』が出来るってことはこれは本物か!!タイプ的には不利だが、戦い方が物理寄りなら今度は『てっぺき』が生きて来るぞ!!)

 

 ブレイブバードとオーラぐるまのぶつかり合いは、タイプ相性のこともあってアーマーガアが少し押されるような形で、だけども体格の差もあって何とか相殺に持っていくことに成功する。ひこうタイプの技でこれなら、他の技でならなんとかなる可能性が高い。

 

「よ~し、じゃあ早速━━」

「『ボルトチェンジ』と!!」

「ちょ!?」

 

 早速こちらから攻撃を仕掛けて今度こそ流れを取り返そうとしたら、今度はモルペコがボルトチェンジの構えを取った。

 

 ボルトチェンジは相手を攻撃しながら控えのポケモンと交代する技だ。同じような技として、フリアがヤローさんとのバトルで見せたとんぼがえりがあるんだけど、あちらと違ってこちらは特殊技。またもや鉄壁の意味をなくしてくる技だ。今の状況でこういった技をしてくるのは本当にやめて欲しい。

 

「アーマーガア!!『はがねのつばさ』だ!!」

 

 せめて受けるダメージを減らすために翼を固くし、飛んでくる電撃に対して防御行動をとるアーマーガア。おかげでボルトチェンジ自体のダメージはかなり抑えることが出来たけど、その代わりにモルペコの交代を許してしまう。ボルトチェンジで戻ったモルペコを腰に移し、マリィは次のポケモンを繰り出してくる。

 

「次!!お願い!!」

「ズルズキン……」

 

 現れたのはズルズキン。これでマリィの切り札意外でポケモンの見た目だけなら、切り札以外のポケモン全てがお披露目したこととなる。ゾロアークのイリュージョンは、手持ちにいるポケモンにしか変化することはできないから、これでマリィの手持ちのほぼすべてがわかったこととなるわけだが、正直マリィの手持ちなんてオレたちにとっては周知の内容だ。マリィにとっては今更バレたところでなんのデメリットにもなりはしない。

 

 一方のオレは、これでまたこのズルズキンが本物なのか、はたまたゾロアークが化けた姿なのかをいちから判断しなければならない。

 

(くっそ……最初はうまくいったのに一気に流れ持ってかれてるな……何とかしなくちゃだぞ……)

 

 どうにかして相手のこのサイクルを崩さないと、オレは永遠とゾロアークに振り回され続けることとなる。ここいらで一発ぎゃふんと言わせないと、オレが勝つことは不可能だ。

 

(どうすれば……)

 

 そんな悩みで頭を埋め尽くされている間に、マリィからの攻撃が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「攻められてるわね。ホップ」

「ああ。お得意のガン攻めを、正解の択を散らすことで判断を鈍らせてる。……だぁ~もう!!せっかくオレがいろいろ教えてやったのに、それを生かせないじゃないか!!」

 

 状況はマリィ優勢。ゾロアークのイリュージョンを利用した巧みな戦術はホップの攻めの悉くをいなし、ゆっくりと、真綿で首を締めるようにホップを追い詰めていく。その様は熟練のトレーナーの動きで、とてもじゃないけど同い年の立ち回りには見えない。奇想天外な作戦で相手の虚をつくのがフリアなら、繊細でいやらしく、そして小さな動きをコツコツ積み重ねて勝利をもぎ取る知能派。それがマリィだった。もっとも、その作戦の要が交代というなかなか珍しい行動という時点で、彼女も奇想天外という点ではそうなのかもしれないけど。

 

「フリアとは別方面で本当に厄介ね。ここまで交代を駆使して戦うトレーナーも珍しいんじゃないかしら?」

「本来は交代って行為はそれなりにリスクを伴うからな。そんなに頻繁に行う人はチャンピオンとかでもそういないぞ」

「けど、今はこの行為がとても刺さっている」

「ソロアークの特性に噛み合っているのもそうだけど、ホップの場合はゴリ押しを通す戦い方だからな。こうも弱点となるタイプがコロコロ変わるとなると、そのたびにゴリ押しの仕方に工夫を入れないとだめだから、余計に難しくなっているな」

 

 ゴリ押し戦法というのは、当然だけどそれなりに火力が高くないと成立しない。最初のバイウールーが攻撃を通せたのも、防御力を極限にまで高め、その防御を使って巨大なダメージを与えたからだ。しかし、今はそのダメージを与える前に防がれたり、いなされたりしてしまっている。これではホップの強みが生かせない。

 

 ……まぁ、方法がないわけではないのだけど。

 

「ホップの手持ちなら、あのポケモンが大活躍の場面なんだがな」

「そのためにも、このポケモンをうまく使わないとなんだけど……気づくかしらね?」

「気づいてもらわないと困るぞ。じゃないと、オレが鍛えた甲斐がないからな!!」

「すっかり師匠面しちゃって……」

「でも、オレの戦闘スタイルに引っ張られてるのは事実だろ?」

「確かに、似ているところはあるわよね……もしかして、ちょっと情が移ってる?」

「……知らないぞ」

「……ま、そういう事にしてあげるわ」

 

 そんな話をしている間にも戦況は動いて行く。

 

 マリィがサイクル過程で再び出したモルペコが、オーラぐるまでアーマーガアに突撃した姿が目に入る。こうかばつぐんである技を受けたアーマーガアはかなりのダメージを受け、もう少しでやられてしまいそうな雰囲気を見せ始めていた。

 

「もう少しで落ちるわね」

「ああ」

 

 さぁ、ここからどういった反撃を見せてくれるのか。期待して見させてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ボルトチェンジ』で戻ると!!」

「ペッコッ!!」

「くっ、『はがねのつばさ』だぞ!!」

 

 モルペコから飛んでくる電撃を翼で弾き、何とかこれ以上の被弾を減らすアーマーガア。ここまでたくさんのポケモンと変わる変わるぶつかり合い、そのたびに少しずつ消耗させられたアーマーガアは、もう瀕死手前まで削られていた。とんでもない大きいダメージなどは貰いはしなかったものの、それでも多種多様な攻撃は着実にアーマーガアのダメージを削っていっている。ほどなくしてアーマーガアは倒れることになるだろう。

 

(せめて何か爪痕を残せれば……もしくは、何か突破口を……)

 

 オレの一番得意な戦法はとにかく攻撃しまくって押しまくることだ。けど、現状はゾロアークが攪乱してくるせいで攻撃が通りづらい。どうにかしてゾロアークを倒すか、何かしらの攻撃を通す必要があるのだが。

 

 幸い、今はマリィがモルペコから次のポケモンを繰り出すまでのちょっとした時間が発生するので、この間に考えをまとめておく。

 

(……別方面から考えてみよう。正直今のオレだと、マリィのこのサイクルを止める方法を考えるのは無理だ。どうしようもない。だからマリィの残り手持ちメンバーから考えるんだ)

 

 マリィの残りは、ズルズキン、ドクロッグ、モルペコ、ゾロアーク……そして切り札のオーロンゲだ。

 

 ゾロアーク以外は基本的に物理技が得意なメンツが集まっており、こうしてみると結構片寄った編成に見える。

 

(……っていうか、そもそもあくタイプって特殊技を覚えているポケモン少ないのか……それなら、もしかしてやりようが……?)

 

「いくと!!」

 

 考えがまとまり始めたところで、マリィから繰り出されるズルズキン。相変わらず名前を呼ばないせいで正体は分からないけど、だんだんとオレのするべきことが分かってきた。

 

 そうするためには、おそらくアーマーガアの犠牲が必要になるかもしれないが。

 

(すまないアーマーガア。けど、絶対勝つから、頑張ってくれ!!)

 

「『てっぺき』だぞ!!」

 

 アーマーガアに謝罪をしながらてっぺきを指示するオレ。もしこのズルズキンが本物であるのなら、アーマーガアはまだ戦うことが出来るだろう。けど……

 

「『ナイトバースト』!!」

「ゾロアークか……」

 

 正体がこちらなら、もう耐えることも逃げることもできないほど消耗しているアーマーガアでは避けることはできない。後は瀕死になるのを待つだけになる。

 

 けど、これでいい。最後に仕事をして後に託す。それが今のアーマーガアのやるべきことだ。

 

「『ひかりのかべ』!!」

「ガァッ!!」

 

 アーマーガアも、オレを信じて最後の仕事を完遂してくれる。特殊技の威力を抑えてくれるこの技は、しかし消耗しすぎたアーマーガアではその減らした威力でさえ自身を倒し切る威力になってしまう。

 

 

「アーマーガア、戦闘不能!!」

 

 

「ありがとうだぞ、アーマーガア」

 

 けどこれでいいい。このおかげでひかりのかべを味方に長い時間残すことが出来る。

 

「頼むぞカビゴン!!」

 

 アーマーガアを戻してすぐにカビゴンを繰り出し、相手に思考の時間を与えない。ここから先は時間とのバトルだ。ゾロアークが場にいる今のうちに、やりたいことをどんどん進めていく。

 

「カビゴン!!『のろい』!!」

「!?ゾロアーク!!『ナイトバースト』!!」

 

 選ぶ技はのろい。ゴーストタイプか、それ以外のタイプが使うかで効果がまるっと変わってしまうこの技は、ゴーストタイプ以外だと自身の素早さを下げる代わりに、攻撃と防御を強化する。本来なら特殊技を得意とするゾロアークの前では意味がないが、ひかりのかべがある今なら、ゾロアークの攻撃はもともと半減で受けられる。しかもカビゴンは特殊技に対する耐久が高い。それ相まって、今のゾロアークの攻撃くらいなら全然余裕で受け止められる。

 

「『のろい』、『のろい』、『のろい』……まだまだ『のろい』だぁッ!!」

「カ~ビ……」

 

 欠伸をしながら、しかしやることはしっかりとするカビゴンは自身の能力をどんどん育てていく。一番最初にわるだくみさえできればゾロアークでも何とか倒すことが出来ただろうけど、ここまで育ってしまえばやられる前に全部を倒せる。

 

「戻ってゾロアーク!!ズルズキン!!『とびひさげり』!!」

「ズルッ!!」

 

 ここに来てマリィの言葉がくずれはじめ、明確な焦りを見せて来る。ゾロアークではもうわるだくみを積んでも遅いと判断したマリィが、名前を隠すこともせずにズルズキンを呼び、ズルズキンが放てる最大のかくとう技を放ってくる。のろいのせいで足が遅くなってしまったカビゴンはこの技を避けることが出来ないので真正面からこの技を受けることになってしまう。こうかばつぐんの強力な一撃だ。

 

「カビ……?」

「ズルッ!?」

「嘘!?」

 

 しかし、すばやさを犠牲に防御を育てたカビゴンにとってはこの技ですらもう効かない。柔らかいお腹で弾かれたズルズキンは、そのことが衝撃的過ぎて受け身を忘れ、地面を転がってしまう。

 

 今こそ、反撃開始の時。

 

「カビゴン!!『じしん』!!」

「カ~……ビッ!」

 

 ゆっくりと、しかし、のろいによってとてつもない力を秘めた拳が地面に突き刺さる。同時に起こるのは災害クラスの破壊の嵐。その攻撃は、例え防御力に自身があるはずのズルズキンだろうと一瞬で吹き飛ばす。

 

 

「ズルズキン、戦闘不能!!」

 

 

「っし!!」

 

 バイウールーにされた時と同じく、一撃で地に沈むズルズキン。しかし、マリィの表情はその時以上に焦りに焦っていた。

 

 当然だろう。だって、バイウールーの時は特殊で殴ったり、かくとう技を半減で受けられるドクロッグで受けると言ったわかりやすい対策が見えていたのだから。

 

 けど今は違う。

 

 特殊はひかりのかべが受け、物理はのろいによって育った防御が受ける。そしてオレのカビゴンがメインとして使うじしんは地面技。この技はマリィの手持ちでは半減以下で受けられるタイプが存在しない。つまり、タイプでの耐久も成立しない。

 

(いつかジュンが言ってたっけな)

 

 ゴリ押しは無理やり通すのではなく、通せるように下地を作ってあげるのが大事だと。

 

「作ったぞ……その下地……!!」

 

 ここまではゾロアークに好き勝手された。

 

 けど、もう迷う必要はない。

 

 ここからは何が起きようと、カビゴンがひたすらじしんをするだけでいいのだから。

 

「見せてやるぞ……これが最強のゴリ押しだ!!」

 

 右手の拳を左の掌に打ち付け、パチンという音を立てながら宣言する。

 

「さぁどうするマリィ?このままだと……『じしん』だけで全部終わるぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




のろい

のろいカビゴンは剣盾でも一定数の活躍をしていましたよね。なんだかんだ強いです。

マリィ

こうしてみると、あくの弱点に関しては切ってますけど、地面タイプの一環は切れていないという。もっとも、タイプ統一なので、何かしらの一貫性は生まれてしまいますけどね。




新アニポケの最新話が普通にかっこよくて魅入ってました、やはりいですね。




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