【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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UA10000突破に加え、日刊ランキングにほんの少しだけ載ってたみたいです。
読んでくださった方、感想を書いてくださった方、評価を入れてくださった方に改めて感謝を。

今回もごゆるりと楽しんで読んでいただけたら。


22話

『さて今日もやってまいりましたバウスタジアムのジムミッション!!今回の挑戦者はこちら!!ターフスタジアムでは見事な立ち回りを見せました。今注目されている噂の選手の1人……フリア選手!!』

 

 

『わあああああああ!!!!』

 

 

「おぉ……これはすごい……」

 

 ビート選手の戦い方を見て終わったあと、直ぐに眠気が襲ってきたのでベッドに体を沈め、今日のためにゆっくり睡眠をとり、そしていま、昨日予約した通りこうしてバウスタジアムのジムミッションに挑戦しに来たんだけど……

 

 普段ならこの大きな歓声に耳を塞いでしまうボクだけど今日は違った。というのも目の前に歓声をかき消さんばかりに轟音を立てているものがあるため。

 

 その正体は大量の水。

 

 今自分の立っているところからゴールとなる奥に微かに見える扉まで曲がりくねったり入り組んだりと、道が複雑に絡み合っており、一目で迷路になっているのがわかる。が、問題なのはその迷路を通せんぼするかのように降り注ぐ大量の水だ。

 

 ごうごうと音を立てながら道のど真ん中に降り注ぐその様は、一種の巨大な滝のようでとてもじゃないけどあの中を歩いていくのはかなり難しい……というかあんなものにうたれたら水圧的に動くことすらできないのではないだろうか……?できても真ん中に立ち続けて耐えるくらいだろう。

 

 そんな大きな滝が1本どころではなく、何本も何本も降り注いでおり、要所要所で道を塞いでいた。この水のせいで自分の立っているところから迷路全体を把握することが出来ず、ゴールへの道を軽く見ることも出来ない。そんな感じで観察している間に放送でジムミッションについての説明が続いていく。

 

 

『バウスタジアムのジムミッションは巨大迷路!!それもただの巨大迷路ではありません!!ご覧の通り迷路の至る所を水が邪魔をしています。この水は近くのスイッチを押すことによって止めることができます!!』

 

 

 放送の声を聞いて、試しに近くの赤色のスイッチを押してみるするとすぐ近くのごうごうという音が消えていく。

 

「なるほど、このスイッチ押したら止まるのか……」

 

 水が落ちていたところの地面は金網になっていたみたいでそのまま水は下に流れ落ちていた。金網はかなり頑丈なようで問題なく上を歩くことが出来る。というかここを通らないと道がない。

 

 ふと顔を上げて周りを見渡すとたくさんあった水の柱のうち、何本かが消えているのが見える。どうやらボタン一つで消える水の滝は一つではなく、滝の金網の色とボタンの色が連動しているらしい。その証拠にさっき赤色のボタンを押したんだけど、赤色の金網に降り注いでいた水の滝が止まっている。代わりにもともと赤色の金網しかなかったところは水が降り注いで新しい水の滝に変わり、通れなくなっているけど……つまりはこのボタンで滝を切り替えるギミックを解きながら迷路を抜けていくという感じだろう。一応ここから確認できるのは赤、青、黄色の三色。この三色に対応したスイッチを順番に作動させて突破するのがここのジムミッション。ターフタウンが観察を見るミッションならこっちは知能を見るミッションだろうか。

 

 

『さぁ、注目選手であるフリア選手はこのジムミッション、軽く突破するのか!?いざ……スタート!!』

 

 

『わあああああああ!!!!』

 

 

(こういうパズルゲームは結構得意なんだよね)

 

 耳を塞ぎながらスタートの合図を聞き歩き出す。まさかのボクの得意分野のジムミッション。このジムミッションはもしかしたら難易度高いのかもしれないけど個人的には楽しく進めそうだ。

 

 ……少しだけ下が気になるけど。

 

「す、少しだけ覗いて見よっか」

 

 迷路から顔を出して下を覗いてみる。迷路の下は全面水が張っている状態になっており、たくさんの滝が注ぎ込まれていることによって水面がかなり揺れ動いている。それだけなら別にいいんだけど……

 

「……意外とたっかい」

 

 ここから水面まで普通に数メートルはあるような高さ。迷路の中には階段で登るところもあるのでその部分に至っては2桁メートルは余裕で超えそうだ。飛び込み感覚で行けば大丈夫かもしれないけどこの高さ普通に高所恐怖症の人にはきついのでは……?ボク個人にはそういうのはないので足がすくむなんてことは無いけど、金網を歩くのには勇気もいりそうだ。

 

「ブイブ〜イ!!」

「あ、ちょっとイーブイ!?いきなり飛びついてきたら危ないって!!もう……っとと」

 

 大まかな現状把握が済んだ所で迷路を攻略しようとした瞬間いつの間にボールから飛び出してきたのか、イーブイが後ろから飛びついてきて定位置の肩の上に乗り、尻尾をマフラーのように首に添わせてくる。ちゃんと肩に乗ってはいるものの、飛びついてきた勢いでバランスを崩し、そのまま前に落ちそうになる。

 

(まず、このままだと迷路から落ちそう……って水が張ってるから大丈夫か……)

 

 

『あ、ちなみに落水すると強制失格です!!』

 

 

「そういう大事なこと先に言ってくれません!?」

 

 何がなんでも落ちる訳には行かなくなったので全力で踏ん張る。イーブイにどつかれて落水して失格になりましたとかみんなに絶対言えない!!

 

「んぐぐぐ〜!!」

 

 手を振ったり背中を反らしたりして何とか耐えようとする。が、元々落ちてもいっかなんて考えてた弊害もあり耐えきれずに体が傾いていく。

 

(やばい〜!?)

 

 落ちると思いせめてイーブイだけはと腕に抱きしめようとして……

 

「ジメッ!!」

「キルッ!!」

 

 金網に指を入れ、尻尾をボクに巻き付けて支えてくれるジメレオンと、エスパータイプ特有のサイコパワーで支えてくれたキルリアのおかげで何とか空中で体が止まり、ゆっくりと迷路の上、金網の中心に帰ってくる。

 

「ありがとうジメレオン、キルリア。助かったよ……イーブイ〜?」

「ブイ……」

 

 目の前にイーブイを抱えて目線を合わせる。ジト目で見つめると流石に悪かったと思ったのかイーブイもしょんぼりとした顔でこちらを見つめてくる。

 

「まぁ、悪気があったわけじゃないもんね。今度からちゃんと時と場所考えてね?」

「ブイ〜……」

 

 頭をなでながらそう伝えると気持ちよさそうにするイーブイ。

 

 その後、再びボクの肩の上に乗りいつもの形に収まっていく。ほおずりしてくるイーブイに少しのくすぐったさを感じながら今度こそ迷路を攻略するべく足を━━

 

「ぶっ!?」

「ブイっ!?」

 

 動かそうとした瞬間頭上から大量の水が降り注ぎ滝修行みたいに打ち付けられる。あまりの水の勢いに一歩も動くことができずに……というか水の勢いが強すぎて体が押しつぶされそう。たまらず膝をつくボクはすぐさまイーブイを自分の体の下に動かして体でドームを作る。何とかイーブイはつぶされることなく体の下に隠して防ぐことができた。

 

(……ってイーブイ!体ぬれているのはわかっているけど体振らないで!!顔に水がっ!)

 

 体を振って水しぶきを飛ばしたいのはわかるけど代わりに全部ボクが受けるから勘弁してほしい。というかそもそもなんで水が勝手に出てきたのか。下を見ると確かにボクが止めた赤色の金網の滝なのに……

 

(いったいなんで……)

 

「マミュミュ~!!」

「マホミルお前かーーーー!!ジメレオン!キルリア!!」

「ジ、ジメ!!」

「キ、キル!!」

 

 赤色のスイッチの前に楽しそうにふわふわ浮かんでいるミルクの塊のようなポケモン。言わずもがなボクの手持ちのマホミルがイタズラ成功と言わんばかりにクルクル回りながら笑っていた。直ぐにジメレオンとキルリアに指示を出してマホミルを確保。そのまま2匹に赤色のスイッチを押してもらい水を止めてもらう。ようやく水圧から開放されたボクはビシャビシャに濡れて重くなった体を何とか起こし、マホミルの方へ。

 

「マ〜ホ〜ミ〜ル〜……?」

「マ、マミュッ!?マミュッ!?」

「こんのはごろもフーズさん〜?やっていい事と悪いことあるでしょ〜?」

 

 思いっきりほっぺたをつねって引っ張ったり、ぐにぐにしたりしておしおきする。こいつは間違いなく悪意を持ってやったから問答無用!!若干柔らかくてもちもちして気持ちいいなぁとか、やっぱり甘い香りがするなぁとか思ってしまうところはあるけどこのいたずらっ子だけは絶対に怒ってやらねば。……むしろマホミルはこの状況を楽しんでいるような気がしなくもないけど。あまり長くしても仕方が無いので解放してあげると相も変わらず楽しそうに笑いながら空中をクルクル回るマホミル。

 

「こいつ絶対反省してない……」

 

 預かり屋ではあんなに頼もしかったのにと思いながらも、これがこの子の性格ならそれはそれで個性的で面白いし、この子の特徴でもあるからいっかと割り切る。自分の手持ちの新しい1面が知れて良かったと思おう。

 

「へっくし……でも濡れ鼠にしたことは許さない」

 

 おかげで下着までびしょびしょで布が肌にピタリと張り付き気持ち悪い。というか、最近ボク水浸しになることが多すぎる気がする。いつかみずタイプに変えられそう。

 

(……なんか変な視線を向けられてる気がするけど……うん、気のせいだよね)

 

 気にしたらショックを受けそうだからやめておこう。

 

 そんな中ジメレオンがボクの横腹をつつき、ディスプレイの方に指を向ける。

 

 既に制限時間の5分の1が消費されている。ボクの位置はまだスタートラインを少し進んだとこくらい。

 

「やばい、遊びすぎた」

 

 得意分野だからと言って余裕を持ちすぎている。流石にそろそろ真面目に頑張ろう。

 

「みんな急ぐよ!!」

 

 ホントはみんなをボールに戻した方がいいのかもしれないけど、なんだかんだみんなボクと一緒に動いていたいみたいで、先頭を飛ぶマホミルはいつもの笑顔を浮かべ、肩に乗ったイーブイはボクが走ることで上下するその動きを、まるでアトラクションにでも乗って遊んでいるみたいにはしゃぎ、ボクの後ろを着いてくるジメレオンとキルリアはやれやれとほんの少しの呆れを含ませながらも、笑いながら着いてきてくれた。

 

 まぁ、振り回されることもあるし、いたずらされることもあるし、問題児がいたりするしで大変なことは多いけど……

 

(それでも、みんなと居るのは楽しいし心強いし……うん、どこへだって行けそうだ)

 

 ガラル地方でもちゃんと手持ちのみんなとは絆を深めていけそう。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジメレオン、『みずのはどう』!!』

『ジィ、メエェェェェッ!!!』

 

『ワタシラガ戦闘不能!!勝者、ジメレオン!!よってこの戦い、フリア選手の勝利!!』

 

「……」

 

 スマホロトムに映し出されているのはガラル鉱山にて出会い、問答を少しした後に別れた1人の選手が映っていた。挑発的なぼくの言葉に、しかしそれを気にせずに返してきたその人は別地方のチャンピオンから推薦された選手らしい。後で調べたところシンオウリーグにて準優勝。この地方にはない四天王というものが向こうにはいるらしいが、その四天王も2人は倒していると聞く。ただの名前だけでなく、正真正銘猛者と言える実力者だ。

 

 ……どうも手持ちはその頃とは全然違うのかどれも未進化ポケモンしか手持ちにいないみたいだが。もしかしたらガラルの規約に引っかかっている手持ちしかいないのかもしれない。それでも腰にひとつ、恐らくシンオウ地方から連れてきているポケモンを収めているであろうモンスターボールは確認できる。

 

 つまりは彼はまだ全力では無い。

 

 トレーナーの実力が高いのはこの試合のビデオでよく分かる。だが、それでも……

 

「ぼくは、負ける訳にはいかない」

 

 あの人の期待に答えるために。ぼくを評価し、拾ってくれた敬愛すべきあの人に……けど……

 

(……なぜ、あの人はぼくの名前をいつまでも覚えてくれないだろうか)

 

 何度も話しているはずなのに、何回も関わっているはずなのに、すんなりと名前が出てきたことは1度としてなかった。

 

 もしかしたら、心の底ではあの人も……

 

(違う!!あの人は!!絶対にっ……!!)

 

 これは自分の実力がないだけだ。まだまだぼくが弱いだけだ。だから……

 

(この人には負けられない!!)

 

 スマホロトムから視線をあげ、今度は今生放送を流しているテレビに視線を向ける。

 

『ゴール!!たった今、フリア選手が迷路を抜けゴールしました!!最初こそ色々なトラブルがあったものの、そんなことなぞなんのそのとパートナーのポケモンたちと軽やかに突破していく姿は今回も観客の視線を集めていました!!やはり注目選手!!これは明日のジムリーダー、ルリナさんとの戦いも楽しみですね!!』

 

 画面の中には髪も服も濡れ、水を滴らせながらも手持ちのポケモンを撫でながら、恥ずかしがりながらもしっかり観客には答えていた渦中の選手。

 

 見た目華奢で顔も中性的でパッと見では女性にも見えそうで、肌も色白な彼が水に濡れている姿に1部の人が(男女共に)ほんの少し頬を赤らめてる気がするのは気のせいだと願いたいがまあそこは置いておく。

 

「次に会ったら……」

 

 その先は口には出なかったがはっきりと心に刻んだ。その思いとともにぼくはホテルの一室から歩き出す。決意を胸に歩き出すぼく。だってぼくにはこの道しかないから……だから……

 

(この胸の痛みだって気のせいだ)

 

 あんなに、手持ちのみんなと信頼し、楽しそうにしている彼を見て、羨ましいとか、寂しいなんて気持ちは、あるはずなんて無いんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たわね、フリア選手!!」

 

 ジムミッションを乗り越えた次の日。

 

 朝はいつものメンバーで朝食をとり、ジムミッションの感想を言い合ったり、アーカイブを見て笑われたりなんか頬を赤らめられたりとよく分からない時を過ごした後、昼食をとりいよいよルリナさんとの対戦の時。

 

 真っ白のユニフォームに928の番号を背負い、やる気を持って相対するは腕組みをしたまま凛としたたたずまいでこちらを待ち受けるルリナさん。その右手にはすでにダイブボールが握られており、もういつでも戦闘に入ってもいいという状態になっている。

 

「はい!一昨日宣言した通り全員ちゃんと一発で突破してここに来ました!!」

「知っているわよ。あなたが最後なんだから」

 

 昨日のジムミッションはもちろん全員突破しているのだが、今日の挑戦の順番がホップ、マリィ、ユウリ、ボクの順番でルリナさんに挑んでいる。既にボク以外の全員の挑戦は終了しており、控室に待機していたため全員の結果こそわからないものの、ふと横に視線を向けるとすでにみんな観客席におり、こちらに向かって元気いっぱいに手を振っていた。あの様子からして全員勝ったのだろう。

 

(ボクだけが負けるわけにはいかないよね)

 

 若干のプレッシャーはかかるもののそれ以上に目の前からのプレッシャーの方がでかいため気にならない。

 

「本当に全員強かったわ……だからこそ、その全員が口をそろえて強いというあなたが気になって気になって仕方がないの」

「過大評価しすぎです……けど、弱いつもりもないのでみんなに続けるようにしっかり勝たせてもらいます!!」

「ええ……ええ……!全力で来なさい!!ヤローとの戦いを見た時からワクワクしてたの!!少しだけ手持ちいじっちゃってるけどあなたなら大丈夫よね!!」

「……え?」

「さあ行くわよ!!」

 

 

『さあさあ皆様!今日はどの試合もハイレベルな中、ついにやってきた4人目の挑戦者!!シンオウからやってきたフリア選手!!』

 

 

 なんだか不穏な言葉が聞こえた気がするけど実況の声が全てをかき消してしまい聞くタイミングを逃してしまう。

 

(え、大丈夫だよね?流石にいきなり鬼畜になってはないよね?)

 

 ルリナさん、普段の凛とした大人な女性のたたずまいとは裏腹に血気盛んなところもたくさんあるようでもしかしたら想像以上に戦闘狂なのかもしれない。

 

(ええい、どっちにしろ勝たなきゃ先に進めないんだ!!ならどんな状態になっても勝ってやる!!)

 

 手持ちを変えたといってもこれはあくまでジム戦。せいぜいが一匹ちょっと強くなってるくらいだろう。その上がり幅だって常識の範囲内ですんでいるはずだ……たぶん。

 

 

『さあ行くわよ!あなたのすべてを洗い流してあげるわ!!ガラルの水の力、見せてあげる!!』

 

 

ジムリーダーの ルリナが

勝負を しかけてきた!

 

 

「行くよ、マホミル!!」

「行きなさい、トサキント!!」

 

 ボクが繰り出すのはいたずらっ子マホミル。そしてルリナさんの野球選手もびっくりな綺麗なフォームから放たれる一匹目はトサキント。物理攻撃が得意なみずタイプのポケモンだ。

 

「トサキント、いきなり行くわよ!!『こうそくいどう』!そして『つのでつく』!」

 

 そこからさらに素早さを上げて高速で攻め立ててくる。ビート選手との戦いでも見せてきた切り込み隊長的行動。素早さの遅いマホミルは反応が間に合わず直撃を受けてしまう。スピードが乗った分だけ重くなった一撃がマホミルを襲うもののまだ平気という顔を見せてくる。

 

「さあトサキント、もっともっと速く!!『こうそくいどう』!!」

「トッサ!!」

「マミュ!?マミュ!?」

 

 どんどん速くなっていくトサキント。高速で地面を滑っていくその様はかなりシュールであるものの、当事者であるマホミルからしてみれば右へ左へ高速で視界から外れていくトサキントの残像はかなり怖く見えるはずだ。

 

「マホミル、落ち着いて!!」

「!!……ミュ!!」

 

 一瞬パニックになりかけたもののボクの声に冷静さを取り戻し落ち着いて前を見据えてくれる。確かに速い。けど先日戦ったあのフォクスライのでんこうせっかの嵐と同じくらいだし、シンオウでの仲間だったあの子と比べたらまだまだ遅い。マホミルからしたら速すぎるかもしれないけど、トレーナーであるボクが目になればそれでいい!!

 

(トサキントの動きをじっくり見て……物理が得意なら必ず接近してくるタイミングがあるはず!!)

 

「何もしないならこのまま攻めるわよ!『つのでつく』!!」

 

(来た!!)

 

 ずっとマホミルの周りを滑って移動していたトサキントが攻撃するべくマホミルに向かって突進しだす。トサキントが動きを攻撃寄りにシフトした瞬間からどのルートで攻撃してくるかを予測して……

 

(攻撃力が高めかつあれだけ速度が出ているならならこの戦法で!)

 

「マホミル、斜め左後ろに『てんしのキッス』!!」

「マミュ!!」

「トサッ!?」

「トサキント!?」

 

 相手の動きを先読みして放たれたてんしのキッスはトサキントに直撃しトサキントは混乱状態へ。あのスピードと元の攻撃力の高さは確かに脅威だ。だけどその能力を全開にしたまま走り回っているところをいきなり混乱させられたらどうなるか。

 

「スピードの乗った分だけ威力の上がった自傷ダメージ……流石に痛いんじゃないんですか?」

「やってくれるわね……」

 

 高速で動いているところでバランスを崩しこけて、スピンしながらバトルフィールドの壁まで滑っていき激突し、物凄い轟音を響かせる。

 

「トサキント、まだいけるわね!」

「ト……トッサ!」

 

 決して小さくないダメージを受けながらも壁にぶつかった衝撃で混乱を治してこちらに戻ってくるトサキント。しかしやはりというべきかその動きは少しぎこちない。

 

「マホミル、追撃!!『ドレインキッス』!!」

「させないわ!『みずのはどう』!!」

 

 ドレインキッスで回復を狙うもののすぐさまみずのはどうで相殺。水しぶきが上がり視界が少し悪くなる。

 

「次はこっちの番よ。『こうそくいどう』をしながら『うずしお』!!」

 

 マホミルを中心に再びこうそくいどうしながら今度はマホミルをみずの檻の中へ。うずしおに飲み込まれて良くマホミルは徐々に体力を削られていく。

 

「マミュ~!?」

「マホミルはどうやっても遅いポケモン……さっきは不意を打たれたけど水に取り込まれ、自分の向いている方向が分からなければもう受けないわ!!」

 

 対策が速いうえにこ水で閉じ込められているからモンスターボールのリターンレーザーも届かず下がらせることもできない。うずしおによって常にぐるぐる回されているマホミルの方向感覚も死んでしまっているためさっきみたいに技を打つ方向の指示も難しい。けど……

 

「うずしおを警戒していたのはボクも同じです!!」

 

 下調べをしてここのジムのポケモンがうずしおを得意としていることはわかっている。方向感覚を狂わせて来るならそもそも方向を気にしなくていい攻撃をすればいい。

 

「マホミル、大声で『りんしょう』!!」

「マ……マミュ~!!!」

「な!?」

「トッサ!?」

 

 りんしょうは自分の発する声で攻撃するいわゆる音技と呼ばれるもの。勿論狙いを定めて打つよりかは威力はさがるものの確実にダメージは入る。それにうずしおで強制的に回転させられているから真正面に技を出し続けるだけで結果的に全方位技に変わる。いきなりの反撃に目を食らうトサキントはりんしょうによって仰け反りその動きを止めてしまう。それによってうずしおの拘束がほんの少しだけ緩んだ。

 

「今!!マホミル、『ドレインキッス』!!」

「マ……マ〜ミュ〜!!」

「トサッ……ッ」

「トサキント!!」

 

 今マホミルが放てる1番威力の高い技を全力でトサキントにぶつける。直撃したトサキントはそのままルリナさんの近くまで吹き飛ばされて、その目をぐるぐると回転させたまま倒れた。

 

 

『トサキント戦闘不能!!勝者、マホミル!!』

 

 

『わあああああああああ!!』

 

 

「よし、いいよマホミル!!」

「マ……マミュ!!」

 

 何とか倒したもののマホミルもかなり消耗している。元気に答えるその返事もどこか疲れがみてとれ、スムーズな返事になっていない。

 

「お疲れ様トサキント。よくやってくれたわね」

 

 一方トサキントを労いながらリターンレーザーをあて、ボールの中に戻していくルリナさんは悔しさ半分、楽しさ半分といった表情をしていた。

 

「やるわね、さすが注目選手!!」

「期待に応えられているなら何よりです!!」

「トサキントのこうそくいどうをつむ前に止められたり、全方位攻撃で攻撃されたりっていうのは経験あるけど、ジムチャレンジの子が対処するところはあまり見た事ないもの。2回3回と積んでる状態なら尚更ね」

「スピードバトルは慣れてるんです!!」

「そう……」

 

 ボクの返答に満足気に頷くルリナさん。そのまま2つ目のモンスターボールに手をかける。

 

「なら、どんどんギアを上げていくわよ!!」

「望むところです!!」

 

 その言葉とともにルリナさんは2体目のポケモンを繰り出してきた。

 

 バウスタジアムでの戦いは、まだ始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




迷路

こういう迷路は私も大好きです。
個人的に一番好きなジムミッションでしたね。
ただ落ちたら危なそう……

はごろもフーズ

私がマホミルを初めて見た時に頭に浮かんだ言葉。

濡れ鼠

ことある事に濡れてるフリア君……ちなみに次のお話でも濡れます。(みずタイプのダイマックスが絶対出てくるため)
実際問題、中性的美形の人がほんのりしっとりしてる感じは見とれそうな気がします。

名前

実機でも忘れてる描写あるんですよね〜……深読みしてしまいます。

ルリナさん

テンション上がりすぎてほんの少しだけ手持ち強化。
どういじってるんですかね?
どうでもいいけどあの投球フォーム体やわらかすぎて凄い……ダイブボール統一っていうオシャレなところもいいですよね。
ちなみに私はムーンボールが一番好きです。




次回もルリナ戦。
決着するかは分かりません。




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