【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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223話

「タイレーツ。お疲れ様です。ゆっくりお休みを」

 

 ポットデスによる高速移動からのシャドーボールによって、身体を横たえることとなったタイレーツを戻すサイトウさん。その間に、こちらはポットデスと言葉を交わして士気をあげていく。

 

「この調子でガンガン行くよ!!」

「ティ~……ッ!?」

「ポットデス!?……やっぱり、強力な力の代償って大きいなぁ……」

 

 私の声に元気に反応してくれるポットデスだけど、返事の最後に少しだけ息を飲むような声が聞こえた。

 

 今のポットデスは攻撃と特攻が2段階。素早さに至っては4段階進化している状態だ。並の相手なら、ここからこの子が大暴れするだけで大体の人に対して勝ち星をあげることが出来るだろう。しかし、相手が私と同等以上の腕を持っているのなら話は変わってくる。

 

 からをやぶるとくだけるよろいは、長所が強力な反面デメリットも大きい。その証拠に、今のポットデスは特防が1段階。防御に関しては2段階も下がっている。元々の耐久の低さも相まって、かくとうタイプゆえ基本的に物理攻撃を得意とするサイトウさん相手に、このステータス状況というのは少しリスキーすぎると言われてもおかしくない。2回のはいすいのじんで強化されたタイレーツの攻撃も1度受けてしまっている以上、あと一撃でポットデスが落ちる可能性もゼロじゃない。いや、むしろ高い方だろう。

 

(攻撃よりも、避けることの方が大事かもしれないね)

 

「ポットデス……厄介な相手ですね……」

 

 そんな思考を回していると、サイトウさんからポツリと言葉がこぼれる。

 

 さっきまでは私視点の注意点をあげていたから分かりづらいかもしれないけど、現状辛い盤面にいるのは実はサイトウさんの方だったりする。というのも、サイトウさんの中で最速のルチャブルと、素早さをあげられるタイレーツがいなくなった今、ハイスピードについてこられるポケモンというのはいなかったりする。そういう点では、さっき述べたように避けることに集中出来れば、ここから被弾を無くすこと自体は意外と可能かもしれない。

 

(ポケモンの総体力は負けているけど、展開自体は悪くない。戦える……!!)

 

 少しずつ見えてくる終わりに、徐々に力が入っていくのを何とか抑えて、次にくるポケモンに注視する。

 

「頼みます。ゴロンダ」

「ゴロッ!!」

 

 現れるサイトウさんの4人目はゴロンダ。かくとうタイプにあくタイプも兼ねたこのポケモンは、本来ならかくとうタイプが打点を持ちにくいゴーストタイプにも強く出られる、ポットデスにとってはかなり辛い相手だ。しかも、このゴロンダはゴーストタイプにさらに強い特徴を持っている。

 

(特性は確か『きもったま』だよね……『てつのこぶし』じゃないから威力はちょっと控えめだけど、かくとう技も飛んでくるって考えたら、やっぱり油断はできないね……)

 

 あくタイプがばつぐんを取れる以上、基本的にはあくタイプで攻撃をすればいいけど、物理攻撃において単発威力の高さはやはりかくとう技に分がある。そういう意味でも、ゴーストだろうとなんだろうと問答無用で殴ることの出来るこの特性は少し厄介だ。

 

「ゴロンダ、『バレットパンチ』!!」

「ゴロッ!!」

 

 そんなサイトウさんが最初に選んだ技はバレットパンチ。弾丸のように固く拳を握り締め、その状態で高速で拳を叩き込む、威力よりもスピードを重視した攻撃だ。ポットデスの防御力の低下を見て、威力よりも当てやすさから選んだ技だろう。実際、たったこれだけの攻撃でも、今のポットデスにとっては致命傷になりかねない。

 

「避けて!!」

「ティ~!!」

 

 しかし、それはあくまでも当たればの話だ。守りを代償に手に入れたこの素早さは、バレットパンチだろうと追いつけない速度で飛び回る速度をポットデスに与えてくれた。

 

 次々と飛んでくる拳の弾丸を、ポットデスは余裕をもって回避。そのまま距離を取り、反撃の準備に移る。その動作を見て、ゴロンダはサッと腕をあげて飛んでくる技に対しての構えを取った。

 

「『ギガドレイン』!!」

「ティッ!!」

 

 そんなゴロンダに向かってこちらが放つのは緑色の小さな針。これが刺さったところから、相手にダメージを与えながらこちらの体力を回復する、ギガドレインだ。

 

「その技なら……『アームハンマー』!!」

「ゴロ━━」

「もう1回『ギガドレイン』」

「ティッ!!」

「なっ!?」

 

 ギガドレイン自体にそれほど威力はない。からをやぶるで威力が上がってたとしても、ポットデスとタイプが違う事や技の威力の低さから、アームハンマーで十分打ち破ることが出来ると判断したサイトウさんが、技による相殺を狙ってきた。が、拳を振り上げ、ギガドレインの針ごと叩き潰そうと振り下ろした拳が技に当たるよりも先に、いつの間にかゴロンダの真後ろまで移動を終えていたポットデスが、ゴロンダの背中に緑色の針を突き刺し、そこから体力を吸っていく。

 

「後ろです!!」

「ゴロッ!!」

 

 体力を吸われながらもなんとか反応するゴロンダは、そのまま振り返りながら腕を横なぎに振るう。しかし、ゴロンダが後ろを向いて腕を振るうころには、そこにはもうポットデスはおらず、私の近くまで下がってきていた。

 

「速い……」

「ゴロッ!?」

「っ!?……いえ、振り向いたせいで最初の『ギガドレイン』も止められていなかったのですね……」

 

 後ろに腕を振っている間に、最初に打っていたギガドレインも刺さって二重で体力を吸い取られるゴロンダ。体力の多いゴロンダに対して、体力の上限が低いポットデスは少し吸い取るだけで大量に体力を回復できる。既にタイレーツのアイアンヘッドで削られた分は回復……つまり、体力満タン状態までもっていくことはできている。もっとも、下がった防御が元に戻ったわけではないから、ゴロンダの火力があれば十分ポットデスをワンパンすることは可能だろう。避けることに集中しないといけないことには変わりない。

 

(でも同時に、ゴロンダはポットデスのスピードに追い付けていないことが分かった!気を付ければここは一方的に勝てる!!)

 

 強いて注意する点をあげるとするのなら、ゴロンダの放つバレットパンチだろうか。あれだけはポットデスの素早さに追いつけるだけのスピードがある。こちらの特性がくだけるよろいである以上、攻撃を受ける度に防御が下がるので、こういった小さい技も受けたくない。

 

「『シャドーボール』!!」

「ティ~!!」

 

 ならばこちらがするべきは、遠くからの弾幕攻撃。無数の黒い球は、ゴロンダを狙っている物から無差別に放っているものまで多岐にわたり、辺り一面に散らばる技は相手に防ぐべき球の判断を鈍らせる。

 

「『バレットパンチ』です!!」

「ゴロッ!!」

 

 それでも、この素早さから放たれるシャドーボールに対応するにはこの技しかない。あくタイプの身体と、バレットパンチの速さをもって何とかさばくゴロンダ。それも、ただ拳をぶつけるだけだと、攻撃が相殺した時の爆煙で視界が奪われて余計不利になってしまうので、拳の甲でそらしたり、関係ない方に飛ばすことで何とか耐えている。

 

(奇をてらう必要はないよね……私はこのままずっと攻撃し続けて、相手が対処してから動くことにしよう)

 

 どう考えても私の有利な展開。このまま続けばサイトウさんはひたすらジリ貧になるだけだ。勿論、こんなところで終わるサイトウさんじゃない。だから絶対何か対応策を練って来るだろうけど、かといってこちらが先に動きを変える必要はない。この有利展開を維持したままじっくり攻めていきたい。

 

「……ゴロンダ!『ストーンエッジ』!!」

「ゴロッ!!」

 

(来た!!)

 

 そんなことを考えていたら、早速サイトウさんの方に動きが出る。シャドーボールを止めることをやめ、少し被弾しながらも無理やり地面に拳を当てると同時に盛り上がる岩の刃。もはやおなじみと言ってもいいストーンエッジの壁が、ゴロンダを守るようにせりあがった。

 

 ストーンエッジが生えるまでの数秒の球はゴロンダに当たったけど、ストーンエッジが生えてからは、シャドーボールはすべて岩の柱に防がれる。これだと確かにこちらの攻撃は当たらない。けど……

 

「それなら上から打てばいいだけ!!ポットデス!!」

「ティ~!!」

 

 ポットデスは空中に浮いているポケモンだ。地面からいくら壁を生やしたところで、その高さには限界がある。なら、その壁を越えて上から叩きつければいい。ただ、岩の近くで上にあがってしまうと、こちらにとって死角である柱の裏や頂点で待ち伏せされたときに対応できないので、柱から離れた位置で上昇していく。

 

「『シャドーボール』!!」

「ティティ~」

 

 高い所まで浮いたポットデスが、全体を見渡すように見下ろし黒い球を雨のように降らせるべく構える。

 

「……ティ?」

 

 しかし、そこでポットデスの動きが止まってしまう。

 

「ポットデス?どうしたの?」

「ティ!!ティティ!!」

 

 何かこっちに向けて伝えるかのように声をあげるポットデス。私の視界からだとストーンエッジが邪魔して見えないけど、ポットデスの視点だと何か無視できない事情があるのだろう。

 

(攻撃をやめる程の理由……?)

 

「ゴロンダ!!『ストーンエッジ』!!」

 

 

「ゴロッ!!」

 

 

「え?」

 

 ポットデスの手が止まった理由を考えようとしたところで飛んでくるサイトウさんの指示。それに対してゴロンダが返事を返したけど、その返事の声に違和感を感じてしまい、思わず声がもれる。

 

 ゴロンダの声は、旅中サイトウさんと別れる前から聞いているからよく知っている。そのこともあってか、今こうして戦っている間も少し懐かしい気持ちになるくらいだ。そんなちょっとしたなじみのある声が、少し小さく、それでいてぐぐもって聞こえてくることにどうしても違和感を感じてしまった。

 

 なぜこんな声の聞こえ方なのだろうか。

 

 しかし、そんな疑問について考えるよりも速く場が動き始めた。

 

 ゴロンダの小さな声が聞こえると同時に地面から次々と生えて来る岩の柱。一瞬で形成される岩の森は、見るものを圧倒するレベルの光景だ。

 

 けど、私が本当に圧倒されたのはこの次の展開。

 

「わわっ!?地面が揺れ……!?」

 

 岩の柱が並び終わると同時に、私の足元を襲う大きな揺れ。その揺れに驚いた私は、思わずしりもちをついてしまう。一瞬、ポケモンの技ではなく、自然災害の方の地震が起きたのでは?と錯覚してしまう程の強烈な揺れを感じた私は、その説をすぐさま取り下げて、原因をゴロンダだと決めつけ、慌てて立ち上がりながらフィールドを見る。と同時に、地面から生えている岩の柱たちが粉々に砕け、礫となって一斉に上空へと舞い上がった。それは空中にいるポットデスにとっては、まるでショットガンの球を乱射されているように見えていることだろう。

 

「避けて!!」

「ティティッ!?」

 

 気になることが出来たと思ったら急に飛んでくる岩の逆雨。上に落ちて来るその礫たちは、1つ1つが防御の低いポットデスに対して強烈なダメージを与えて来る。ひとつであろうと受けるわけにはいかないポットデスは、私の指示を聞いて慌てて回避。身体が小さいことと、素早さを上げていることで何とかその攻撃を回避するポットデスだけど、礫の数が多すぎてとてもじゃないけど無傷で避けきるなんて不可能で、その身体にかすり傷を作っていく。しかも、上に飛んでいる兼ね合い上、例え一回避けても、今度は落ちて来る礫が後ろから降ってくることとなるので、通常の倍の回数避ける必要があるのが更につらい。

 

 そんな状況が地面にある岩の柱の数だけ長く続くので、私はポットデスがこの攻撃を躱し切るのをただひたすら待つしかできない。だからせめて、この攻撃が終わった時にすぐ動けるためにいろいろ考えてみる。

 

(ゴロンダの技が今わかっているので、『バレットパンチ』、『アームハンマー』、『ストーンエッジ』の3つ。そしてこの揺れの直前に『ストーンエッジ』の指示を受けていた。だから、今ポットデスを襲っている技も『ストーンエッジ』のはず。でも、『ストーンエッジ』だとあの揺れは起きない。かといって、揺れが『ストーンエッジ』の指示の後に起きた以上、『じしん』によるものではないもんね……じゃあこの攻撃は一体どうやって……?)

 

 この状況をどうやって起こしているのか皆目見当がつかない私は、視線を上空にいるポットデスから、地面にいるゴロンダに向ける。

 

 そこで私は、ようやくこの技の正体に気づいた。

 

「あ……いない!!」

 

 私の視界に入っているのは、岩の柱が壊れて、()()()()()()()()()()()()()()()()()、その『なにも』には、ゴロンダも含まれている。そして、そんなバトルフィールドの真ん中には不自然に空いた穴が1つ。

 

(やっとわかった!!ゴロンダは、()()()()()()『ストーンエッジ』をしていたんだ!!)

 

 地面の中からのストーンエッジ。それこそがこの上に落ちる礫の正体。

 

 ゴロンダの4つ目の技であるあなをほるによって地面の中に潜ったゴロンダは、その状態で地上に向かって拳を放ち、地面を振動。岩の柱を壊し、礫へと変換したうえで、上空に向かってストーンエッジを放った。それが今ポットデスを襲っているコンボの全容だ。地面に潜っているからこそ、さっきのゴロンダの返事がぐぐもって聞こえたのだとしたら、あの小声にも納得がいくし、ポットデスが空中にいて技を打とうとしたときに混乱し、動きを止めてしまったのも納得がいく。だって、ポットデスが空に飛んだ時にはもう、ゴロンダは地面の中にいてその姿が消えていたのだから。

 

「ティ、ティ~……」

「ごめんポットデス。気づくの遅れちゃった……」

 

 私が答えに辿り着くと同時に一旦落ちつく岩の礫。直撃こそ受けなかったものの、何回も身体をかすめた礫は、着実にポットデスの身体に細かい傷を作っていた。

 

(相手が動くのを待っているのが裏目に出ちゃった……せめてオトスパスの時みたいに潜るのが視認できていれば、まだダメージを抑えられたのに……)

 

 オトスパスの時のように目の前で潜るんじゃなくて、今回はちゃんと岩で隠して潜っているところに、サイトウさんの対策の速さを感じる。

 

「ようやく気付いたようですね。ですが、あなたのポットデスではどうすることもできないはずです!!もう一度『ストーンエッジ』!!」

 

 

「ゴロッ!!」

 

 

 サイトウさんの言葉で再び生えて来る岩の柱。私がコンボに気づいたところで、遠距離攻撃でかつ、実態を持たない特殊技を主体としている以上、地面の中にいるゴロンダには干渉できない。そのうえ、ゴロンダが隠れている兼ね合いで、ギガドレインによる体力の回復も同時に防がれてしまっているので、サイトウさんの言う通りこのままだと対策しようがない。以上のことから、安心してまた岩の柱を大量に準備したゴロンダは、ここから再び礫のショットガンを大量に発射。さっきと同じ量の攻撃がポットデスを襲っていく。

 

「ティ……」

 

 身体に細かくつけられた痛みのせいで集中力を途切れさせられているポットデスには、この攻撃をさっきみたいに避けるのは不可能だ。今度こそ直撃を貰ってしまうだろう。

 

(でも、それはあくまでこの攻撃を避けることに専念したらの話!!ゴロンダが地面の中にいるのがわかっているのなら、また引っ張り出してあげる!!そのためにも、今私がとるべき行動は回避じゃない!!)

 

「ポットデス!!『サイコキネシス』!!」

「ティ……ッ!!」

「ここで『サイコキネシス』ですか……仕掛けてきますね。ゴロンダ!!注意を!!」

 

 飛んでくる礫に対してポットデスが行ったのはサイコキネシス。エスパータイプであるこの技は、あくタイプであるゴロンダには通用しない。勿論そんなことはここにいる誰もが理解している。だからサイトウさんも、なにかしてくると予知してゴロンダに注意を促す。肝心の本人が地中にいるため、ストーンエッジによる地響きも相まって声は聞こえないけど、きっとゴロンダは今地面の中で警戒しているだろう。

 

 そんなの関係ない。

 

「どんどん礫を集めちゃって!!」

「ティ!!」

 

 ボロボロになりながらも元気に声を上げたポットデスは、両手を前に突き出して虹色の光を集めていく。すると、まるでその引力に引っ張られるかのようにポットデスへ飛んでいく礫が集まっていく。

 

 1つ。また1つと、ひとつひとつの礫はとても小さいけど、ゴロンダが放ったストーンエッジが集まっていくことにとって、その大きさは気づけばひとつの巨大な隕石のようなそれとなる。勿論、全てを集めきるのは不可能だから、一部は被弾してしまっているけど、それでも体力ギリギリで堪えたポットデスは、現状集められるだけの礫を集めきった。

 

「叩きつけて!!」

「ティッ!!」

 

 その隕石を、からをやぶるで威力を上げたサイコキネシスを存分に振るうことで、地面に向かって投げつけていく。地面の中にまだゴロンダがいるのなら、この隕石が地面に着弾した時の衝撃は全部ゴロンダにまで伝わるはずだ。逃げ場のない地中でそのダメージは、ゴロンダに対して致命傷になりうる。

 

「さすがに受けられませんね!ゴロンダ!!地上へ!!」

「……ッダァ!!……ゴロッ!?」

 

 この隕石を見てさすがに地面の中にいるわけにはいかないと判断したゴロンダが、勢いよく地上に出て来る。と同時に、今自分が置かれている状況をようやく視認したゴロンダが、驚きの表情を浮かべる。

 

 呼ばれて地中から飛び出した瞬間、視界一杯に広がる隕石を見たら、誰だってこんな反応になってしまうだろう。

 

「すぐに避けてください!!」

「ゴロッ!!」

 

 しかしそこはここまで勝ち抜いた猛者。そんな動揺はすぐに捨て、迫ってくる隕石を避けるべくすぐに横へ走る。

 

 時間が経つたびに近づいてくる圧倒的な質量に普通なら足がすくんでしまうところを、それでも走り抜けたゴロンダが、ギリギリのところで範囲から逃れることに成功。ゴロンダが範囲から逃れた2秒後に隕石が着弾し、地響きと衝撃が辺りに響き渡る。

 

「ひゃっ!?」

「っ!?」

 

 この衝撃によって、また立つことが出来なくなった私は再び尻餅をつく。真正面を見てみれば、さすがにサイトウさんにとっても衝撃が大きかったみたいで、倒れてはいないけど、左膝をついた状態になっている姿を確認できた。

 

 けど、私もサイトウさんも、自分のことなんて気にせずにすぐ視線を戦場に戻す。なぜなら、この衝撃を一番近くで受けていたゴロンダは、隕石衝突時の揺れをジャンプすることで回避していたから。

 

 しかも、そのジャンプ先はポットデスのいる方向。

 

 こんな状況になっても、ゴロンダとサイトウさんはしっかりと勝利への道を見逃していなかった。

 

「『バレットパンチ』!!」

「ゴロッ!!」

 

 拳を鈍色に輝かせながら突っ込んでくるゴロンダは、ポットデスに対して高速の拳を連続で繰り出してくる。岩の礫でかすり傷をたくさん負ったポットデスにとっては、この拳どれか1つ受けるだけで、倒れるには十分のダメージとなる。

 

 けど、こっちだってこの展開を予想しなかったわけじゃない。

 

「『サイコキネシス』!!」

「ティッ!!」

「ゴロッ!?」

「まだ岩のストックがありましたか……」

 

 飛んでくる拳に対して、こちらは隕石を作る際に集めきれなかった、余りの礫で作った小さな岩の球を拳にぶつけることで相殺。また、岩が砕かれたことで舞う砂によって、ゴロンダの視界を一瞬だけ奪う。

 

 時間にして1秒にも満たない刹那の時間。しかし、それだけの時間があれば、今のポットデスにとっては十分で。

 

「『ギガドレイン』!!」

「ティッ!!」

「ゴロッ!?」

 

 この間に背中に回り込んだポットデスが、両手をそっとゴロンダの背中に当て、ゴロンダに残っている体力をすべて吸い取ろうとしていく。

 

 さっきは針を刺すことによる間接的なドレインだったのに対して、今回は両手から直接吸われることによって、さっきよりも凄い勢いで体力を奪い去る。からをやぶるの効果もあって、威力の倍増したドレインを直で受けたゴロンダは目に見えて力を失っていき、拳からは鈍色の光が消えていった。

 

「ティッ!!」

 

 それに反して技を当てた側であるポットデスは、かすり傷がどんどん癒えていき、また完全な姿となって喜んでいた。

 

 その姿にほっと一息つく私。

 

 しかし、その一瞬が、今度はこちらの命取りになる。

 

「ゴ……ロ……ッ!!」

「ティッ!?」

「ポットデス!?」

「良い根性です。ゴロンダ!!」

 

 もう体力なんて残っていないはずなのに、それでも最後の意地で背中に手を当てているポットデスに右腕を回すゴロンダは、そのままがっしりとホールドする。

 

「ティ……ッ!ティ……ッ!!」

 

 ただのホールドなら霊体であるポットデスは逃げることが可能だ。けど、きもったまであるゴロンダは、その霊体をも実態ある物として掴んで離さない。

 

 そ子からポットデスを無理やり目の前まで持って、未だに空いている左腕を振り上げたゴロンダは、真っすぐそれを振り下ろす。

 

「『アームハンマー』!!」

「ゴロッ!!」

「ティッ!?」

 

 轟音とともに振り下ろされた腕は、圧倒的な破壊力を持ってポットデスへとぶつけられ、受けたポットデスは目にもとまらぬ速さで地面に打ちつけられて目を回す。

 

 

「ポットデス、戦闘不能!!」

 

 

「ポットデス!!」

「ゴロ……ッ」

「よくやりました。ゴロンダ」

 

 ポットデスが倒れたところを見届けたゴロンダは、ニヒルな笑顔を浮かべ、サイトウさんを見る。その表情にサイトウさんが言葉を返し、それを聞いたゴロンダは満足げな顔へと変えながら、地面へと落ちていく。

 

 大きな音を立てながら落ちたゴロンダは、そのまま眠るように目を閉じていった。

 

 

「ゴロンダ、戦闘不能!!」

 

 

 ストリンダーたちに続いてまたもやダブルノックアウト。しかし、残りの手持ちは着実に減ってきている。

 

 一進一退の攻防も、徐々に終わりが見えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ストーンエッジ

何時しか話した、ポッ拳のガブリアスが放っているものの贅沢バージョン。地面の中から礫を連続発射されるのは、想像しただけで足が痛そうです。

サイコキネシス

一方のこちらは、一種のポルターガイストを起こしてますね。ポットデスの英語名も『ポルティーガイスト』と、とても合っているの名前をしています。最も、本家のポルターガイストは物理なので、ポットデスには合わないんですけどね。

ギガドレイン

実機ではいきなり吸われていますが、昔のルビサファでは、まず『チクッ』という音の後に吸われているアニメーションだったので、私の中では未だに針のイメージがあったりします。……この話伝わる人、今は少ないんでしょうね。




鬼退治フェスが難しすぎてやばいですね。チャワンが乱獲できない……




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