「戻って、ポットデス。お疲れ様」
「良い根性でした。ゴロンダ、休憩を」
地面は荒れ、隕石は元の礫となって散らばり、バトルコートは静寂を取り戻す。そんな中に飛び交う2本のリターンレーザーは、倒れたポケモンを主の下へと返していく。
ポケモンを戻した私たちは、そのまま懐で次のボールへ持ち替えて、次のバトルの準備をする。
(今倒されているポケモンはお互い4人……どっちもあと2人しか残って居ない……)
またひとつ近づくバトルの終わり。このバトルが終わった時、先に進めるのは私たちのうちのどちらか1人だけだ。
いやがおうにも力が入る。
(絶対に負けない……!!約束のためにも……目標のためにも……夢のためにも……!!)
「お願い、ミロカロス!!」
「頼みます、ネギガナイト!!」
「ミロォ〜!!」
「ギャモ……ッ!!」
5体目、副将として場に出たのは、私からはミロカロスで、サイトウさんからはネギガナイト。
ミロカロスは特殊方面が強く、ネギガナイトは物理方面に強い。また、ミロカロスが受け寄りなのに対して、ネギガナイトは攻め寄りの能力に秀でているという、何もかもが真反対のポケモン同士のマッチアップとなる。
じわじわ攻める方が勝つのか、或いは一瞬でかたがつくのか、ここにいる観客たち全員が一瞬息を飲む。
(まずはミロカロスが長く戦えるように整えてあげるところからしないとだね)
「ミロカロス!!『アクアリ━━』「ネギガナイト!!『であいがしら』!!」『━━ング』……え?」
ミロカロスの持久力をあげるべく、まずは恒久的な回復が期待できる技を指示していたら、いつの間にかネギガナイトがミロカロスの目の前まで走ってきていた。
ネギガナイトは決して足の速いポケモンでは無い。ゴロンダほどでは無いにしろ、大きな盾と剣を構えているせいでそれなりに機動力を犠牲にしてしまっている子だ。けど、お互いが場に出たばかりの、この一瞬の隙を逃さなかったサイトウさんが、速攻をかけることによってファーストヒットを許してしまう。
「ギャモッ!!」
「ミロッ!?」
ネギガナイトを象徴する、長くて大きなネギの直剣による一撃を受けたミロカロスは、苦しそうな表情を浮かべながら後ろに押される。唯一の幸いとして、アクアリングの発動だけは攻撃を受ける直前にできたため、ミロカロスの周りには彼女を守るように水の羽衣が生まれている。もっとも、この羽衣がミロカロスの傷を癒しきるような時間は、サイトウさんは許してくれないだろう。
(ポットデスの時と同じだ……油断しているわけじゃないのに、私の気がちょっとだけ緩んでしまう、呼吸と呼吸の間のような刹那の瞬間を的確に突いてくる……!!)
時間にして1秒に満たさない、本当に瞬きすればそれだけで過ぎてしまいそうな僅かな隙間を絶対に逃がさない集中力と判断力。私とのバトルを通じて、サイトウさんの集中力のギアがどんどん上がっていくのが目に見えてわかる。
(私も、より一層の集中を見せないと、一瞬で飲まれる……)
別に侮っていたわけじゃない。けど、バトルも終盤に近づき、さらに覚悟を決めないといけない時間になる。
(気持ちで負けるな!!頑張れ私!!)
「ミロカロス!!『ねっとう』!!」
「ネギガナイト!!盾を前に前進です!!」
覚悟を新たにした私は、早速ミロカロスに攻撃を指示。湯気を登らせ、相手に火傷の可能性を考慮させながら放たれたねっとうは、しかし左手の盾でしっかりと受け止められ、そのまま盾を前に出した状態で無理やり前進してくる。本来ならねっとうの温度のせいでやけど状態になってもおかしくないのに、盾という自身を守る道具がしっかりと受け止めてくれるおかげでその熱に身体を蝕まれる心配なく近づくことが出来る。徐々に詰まるミロカロスとネギガナイトの差。詰まりすぎて盾にあたって跳ねた水滴がミロカロスに帰ってきそうな距離になったところで、ネギガナイトが動きを見せる。
「『リーフブレード』!!」
射程距離内に入ったことを確認したサイトウさんが技を指示。盾を思いっきり左に振り、水しぶきを弾きながら、今度は右手に持った長く太い、ネギの剣に緑色の光を纏わせる。
くさタイプの力を内包した鋭い刃は、今しがた盾で弾いたねっとうを放った本人に向けて、鋭く右上から左下へと振り下ろされる。
「『アクアテール』!!」
これに対してミロカロスは、尻尾に水を纏わせて、鞭のように振るってネギガナイトの剣にぶつける。ぶつけると言っても、ただ真正面からぶつけ合うんじゃない。力ではどうやったってネギガナイトに勝てないのだから、鞭の原理を利用して高速になった尻尾の先端を打ち付けることで、この攻撃の軌道を無理やり逸らし、ネギガナイトの態勢を少し崩す。
この間に少しでもネギガナイトから距離をとるために、長い身体をくねらせ、サダイジャやスナヘビのように地面を滑りながら移動をする。もちろん、この間も攻撃をする手は休めない。
「『ねっとう』!!」
ネギガナイトを中心に反時計回りに周り、かつ徐々に距離を離しながらねっとうを再び発射。これに対してさっきと同じように盾で受け止めてくるけど、今回は移動しながら攻撃しているため、さっきのように盾を前にしたままの前進が意味をなさず、その場で受け続けることとなっている。こちらもこちらで、腰を据えての攻撃では無いため、ダメージに関しては正直期待はできないけど、これはあくまで時間稼ぎ。アクアリングで回復できるだけで私にとってはプラスになる。時間は私の味方なのだから、ここからじっくりと攻めていけばそれでいい。
周回しながらのねっとうによって、ある程度の回復と距離をとることが出来たミロカロスは、撒き散らされたねっとうによって立ち昇る湯気で肌を潤わせながら、今度は別の技を構える。
「『れいとうビーム』!!」
「盾で弾いてください」
ねっとうで熱くさせられたところに、今度はれいとうビームで急速冷凍。急激な寒暖差で相手の感覚を鈍らせると同時に、辺りに浮かぶ湯気が水滴に戻ることによって、ネギガナイトの身体に水滴が一気に付着し始め、ネギガナイトの動きが少し重くなる。また、その水滴にれいとうビームの冷気が当たることによって、水が一気に冷え、ネギガナイトに技が直接当たっていないのにも関わらず、ネギガナイトの体温も急激に下げていく。技2つを連続で出しただけに見えて、その実なかなかに厄介なコンボの完成だ。
「つらいコンビネーションですね……盾で受け続けるのは得策ではありません。ネギガナイト、『つじぎり』!!」
このまま受け続けると負けると悟ったサイトウさんは、すぐさま盾で受けることをやめて、黒色の光を宿した剣で迎撃することを選択。右手に持った剣を大きく左から右に薙いで、光線を弾けさせる。これで一時的にれいとうビームとのつながりを切ったネギガナイトは、身体に付着した水分や霜を吹き飛ばすため、身体を震わせていく。とてもうまいけど、これだけならまだこちらの攻撃チャンスだ。
「ミロカロス!!もう一度『れいとうビーム』!!」
「ミロッ!!」
水気を切ったとはいえ完全に乾いたわけではないネギガナイトに向けて、まずは真下を向き、自分の足元にれいとうビームを発射し、そこから顔を持ち上げることで狙いをつけて発射する。少なくとも、この打ち方によって盾で防ぐにはタイミングを取る必要があり、避けるにしてもジャンプすることは不可能になる。となればサイトウさんの次の行動は自然と読める。
「回避です!」
「ギャモ!!」
サイトウさんの声に合わせてネギガナイトがよける方向は当然横。私から見て右にジャンプして避けたネギガナイトは、着地と同時にミロカロスへととびかかれるように膝を少し曲げて、駆け出す準備をする。
(安心して、私から行ってあげるよ!!)
「ミロカロス!!」
「ミロッ!!」
けど、そんな突撃思考のネギガナイトよりも速くミロカロスが動く。
私の指示を聞いたミロカロスが少しジャンプして飛び乗ったのは、先ほど自分が地面からネギガナイトに向かって打ったれいとうビームの跡。地面にあててから顔を持ち上げたこともあって、ミロカロスからネギガナイトがジャンプする前までいたところに、一直線に真っすぐの細い氷のラインが出来上がっていた。それは1つのレールのようにも見え、それに乗ったミロカロスは滑るようにそのラインを移動してネギガナイトの横まで一気に突き進む。
「ギャモッ!?」
「またアクロバットな……ネギガナイト!!『リーフブレー━━』」
「『アクアテール』!!」
「ミロッ!!」
氷のラインを滑って移動したミロカロスは、ネギガナイトが剣を構えるよりも先にその真横まで辿り着く。身体の大きいミロカロスからはとても想像できない速度で滑るその姿は目で追うのも大変だ。しかし、それでも何とか直撃だけは避けようと、身体をミロカロスと向い合せ、一番すぐに手元に動かせる、右手に持つ剣の柄を盾代わりにすることで、少しでも威力を下げようという素早い判断を見せて来る。流石の反応だ。
「でも、サイトウさんならそうするって信じてました!!」
「ミロッ!!」
「ッ!?」
私から見て、氷のラインから右に飛び、そして右手に持つ剣の柄で身体を守っているネギガナイトは、ラインの上を滑っているミロカロスから見て右手におり、且つ左側の防御が薄くなっている状態だ。それを見越していたミロカロスは、氷のラインを滑りながら身体を時計回りに回し、水を纏った尻尾を左から右に薙ぐように振るう。そうすると、ネギガナイトの右側面部に向かってしなった尻尾が飛び、ネギガナイトの右側頭部へ直撃する。
側頭部を殴られたことで、ちょっとしら脳の揺れを感じたネギガナイトは視線を少しさまよわせながらミロカラスが元々いた方向へ吹き飛んでいく。
「ギャモッ!?」
「ネギガナイト!!気を確かに!!」
「ギャ……モッ!!」
けど、サイトウさんの一括を聞いてすぐさま頭を振り、正気と正しい視界を取り戻したネギガナイトは、その状態で地面に剣を突き刺して、自分がこれ以上吹き飛ぶことを阻止する。
地面に剣を刺した瞬間にすぐさまネギガナイトが止まったあたり、ネギガナイトの筋力の高さがよく分かる。それには確かに驚いたし、脳の揺れも気合だけで跳ねのけたこともびっくりしたけど、ネギガナイトがいる場所は空中。こちらが有利になっていることに変わりはない。
「『ねっとう』!!」
「ミロッ!!」
空中でストップしているネギガナイトはこちらにとっては格好の的。そのネギガナイトに向かって、ミロカロスが全力でねっとうを放つ。これが当たれば大ダメージは間違いないし、やけどを引こうものならいよいよネギガナイトの勝ち目がなくなる。
「盾をぶつけてください!!」
「ギャモッ!!」
これに対してネギガナイトは、右腕の力だけで剣を引き抜きながら少しジャンプ。しかし、これだけではねっとうの射程範囲から逃げられないので、そこを補うために、左腕の盾を飛んでくるねっとうの線に上から叩きつけるようにぶつけ、その反動で上に飛びあがって無理やり避けてきた。
(こんなことしておいて、私だけ『アクロバット』って言われるの納得いかないんだけど!?)
某誰かさんのせいで、みんなヘンな動きを取り入れるようになっている気がしなくもないけど、今はとりあえず避けたネギガナイトを攻撃することを優先する。
(距離を取った状態で『ねっとう』を打っちゃうと、さっきみたいに逸らされる。なら……!!)
「ミロカロス!!『れいとうビーム』!!」
「盾を投げつけてください!!」
今度は盾を使って逸らされないように、触れるだけで凍るれいとうビームに変更。さっきよりもさらに高く跳んだネギガナイトにれいとうビームを放つけど、ネギガナイトは今度は盾をこちらに投げつけてきた。
「『つじぎり』!!」
ネギガナイトは盾を投げただけだから、まだ自由な剣を黒色に光らせ、れいとうビームに叩きつけてビームを弾く。
「『アクアテール』!!」
一方のこっちは、尻尾に水を纏わせて盾をネギガナイトがいない方向へ弾き飛ばす。これで相手は防御手段を失った。もうねっとうを盾でそらされることはない。
「今なら当てられる!!『ねっとう』!!」
今度こそちゃんと当てるために、しっかり狙いを定め、力を込めてねっとうを発射する。
身体をどっしりと構えて放ったねっとうは、さっき地面に剣を刺して止まっていたネギガナイトを狙った時よりもさらに強く、荒々しく飛んでいく。これだけの威力があれば、つじぎりやリーフブレードでも止めることはできないだろう。
「……ネギガナイト。今なら、ミロカロスは動けないはずです」
しかし、サイトウさんはそんな状況でも焦りを見せない。いや、むしろ嬉しそうな顔を浮かべているまである。
(『今のミロカロスは動けない』……?確かに今のミロカロスは自由に動けない。けどそれはネギガナイトも同じはず。できてせいぜい技で迎撃をするだけ……いや、技……まさか!?)
そこまで考えて嫌な予感を感じた私は、しかしもう打ち出した技を今更止めるなんてできない。私が出来ることは、ただこの技が決まってくださいと願うだけだ。
「ネギガナイト。今こそあなたの全力を見せる時!!『スターアサルト』!!」
「ギャモッ!!」
「やっぱりっ!!」
そんな私の視線の先で剣を構えるネギガナイトは、ミロカロスに向かって真っすぐ剣先をつきつけ、身体全体をオレンジ色に光らせはじめた。
スターアサルト。
渾身の力を剣に乗せ、全体重と全力をもって相手に突撃を行う技。技を打った後、その反動でしばらく動けなくなってしまうというデメリットこそあるものの、そのデメリットを越えるほどの圧倒的な破壊力を誇る、真に鍛えられたネギガナイトだけが行うことの出来る、かくとうタイプでも随一の威力の必殺技だ。
ミロカロスだって、今自分が放てる全力をもってねっとうを打っているけど、この攻撃がかわいく見えるほどの威力を秘めたこの技は、ねっとうの湯を一瞬で切り裂き、そのまま技の主であるミロカロスに向かって飛んでくる。
「ミロカロス!!『アクアテール』!!」
「ミロッ!!」
このままこの技を受けるわけにはいかないこちらは慌ててクッションとなる技を発動。当然勝てるだなんて一切思ってはいないけど、少なくとも受けるダメージを減らすことくらいはできるはずだ。
(『アクアリング』のおかげで最初のダメージも大分回復できたし、今なら耐えられるはず!!……ミロカロスを信じるんだ!!)
ミロカロスに祈っている間に、ねっとうを完全に切り裂いたネギガナイトが一瞬で目の前に迫って来る。それに対してなんとかアクアテールを間に合わせたミロカロスは、スターアサルトに対して真正面からぶつかり合う。
2つの技がぶつかると同時に響き渡る衝撃と爆風。しかし、この2つの技が拮抗することはない。一瞬こそ、2人の動きがぴたりと止まったような気がしたけど、その拮抗は直ぐに打ち破られ、ミロカロスが負けるという結果で現れる。
尻尾を弾かれたミロカロスはその際の痛みで動きが固まり、その隙にネギガナイトがすれ違いざまにスターアサルトを叩き込んで静止する。ネギガナイトが通り抜けた後に起きたオレンジ色の爆発は、ミロカロスを包み込んでその姿を隠し切る。
「ミロカロスッ!!」
思わず声を荒げてしまう私。
あれだけ派手な爆発と大きな衝撃を見てしまえば、ミロカロスの体力がどれだけ減らそれてしまっているか心配になってしまう。この技自体は、サイトウさんのバトルのアーカイブを見ていれば何回か目にすることはあるのだけど、テレビ越しでもその威力の高さは理解出来た。けど、こうやって生で見てみるとますますその威力の高さが分かる。いや、あの時から時間が空いていることを考えると、あの時よりももっと威力が上がっているのだろう。
(お願い……耐えてて……)
「ギャモ……ッ」
巻き上がる爆煙を背に、剣を振り終えたあとのネギガナイトは攻撃の反動で動くことが出来ない。腕や足、腰といった、身体の至る所を痺れさせ、苦悶の声をあげるネギガナイトは、再起に時間がかかることをこれでもかと教えてくれた。だからこそ、もしミロカロスが耐えているのなら、間違いなくネギガナイトは落とすことが出来る。そうすれば、先に王手をかけられるのはこちらだ。
(ミロカロス……)
巻き上がる爆煙が少しずつ消えていき、徐々に視界がクリアになる。
風が吹き、煙がはれ、ついにミロカロスの状態が確認できた。
そこには、身体中に傷を負い、世界一美しいと言われる身体をポロボロにさせ……
「……ミロッ!!」
それでもなお、水の輪を纏い、凛々しくネギガナイトを見つめるミロカロスの姿があった。
「ミロカロス!!」
「……お見事」
その姿に私はまた声をあげ、サイトウさんはひたすらに賞賛の声をあげた。
「ギャモ……」
ネギガナイトも、耐えきったミロカロスに敬意を表すように目を閉じ、動きを止める。
「ミロカロス。『ねっとう』」
「ミロッ!!」
そんなネギガナイトに、渾身のねっとうを放ち、しっかりとトドメをさす。
盾もなく、動くこともできない彼にこの攻撃を止めるすべはない。
「ネギガナイト、戦闘不能!!」
「よしっ!!」
「お疲れ様です、ネギガナイト。ゆっくりお休みを」
ネギガナイトにリターンレーザーを当てて戻すサイトウさん。これで残り最後のひとりまで追い詰めることが出来た。
「ミロ……ッ!?」
「ミロカロス、大丈夫?」
「……ミロッ」
(返事は元気だけど……やっぱりしんどそう……)
けど、ミロカロスの消耗もすごく激しい。あと何か技がひとつ掠るだけでも、そのまま倒れてしまいそうな程に儚く見える。
(でも、逆に言えば体力さえ戻すことが出来れば、一気に有利になる……!!)
ただ、ミロカロスにはアクアリングがある。時間とともに体力を戻してくれるこの技がある限り、ミロカロスは完全に倒れない限り、相手にとっては安心できない大きな壁となるだろう。
(時間を稼ぐだけでこちらが勝てる確率がぐっと上がるけど……できるかな……?)
問題は、その肝心の相手が攻めに特化したサイトウさんだということだ。なんせ、サイトウさんの最後は、サイトウさんの手持ちの中でもトップクラスの攻撃性能を兼ね備えたあの子だ。例えミロカロスの体力が満タンだったとしても、耐え切るのは至難の業だろう。
それを、体力が僅かな状態で行わなければならない。
(多分無理……でも、出来れば勝てる可能性がぐっと上がるなら……やるしかないよね!!)
無理難題だけど、やる価値はすごく高い。ならやるしかない。
気合いを入れ直し、サイトウさんの最後のポケモンと対面する。
「人数ではずっと有利だったのに、最後の最後でまくられましたね。流石です」
ネギガナイトのボールを懐にしまい、代わりのハイパーボールを取り出しながら、サイトウさんは少し口元を緩めながら感想をこぼす。
けど、そんな柔らかな表情も直ぐに消える。
「ここが踏ん張りどころ……私も、共に頑張ります!!行きましょう!!カイリキー!!」
「リィアアアッ!!」
引き締まった表情から、思いっきり力を込めて投げられたハイパーボールから現れる、4本の腕に筋骨隆々の筋肉が逞しいかいりきポケモンのカイリキー。繰り出されるパンチは2秒間で1000発打てるほどの速度を持つ。腕一本でも山をも動かすと言われている怪力が、4本も同時にこの速度で打ち出されるのは恐怖でしかないだろう。
(来た……サイトウさんの切り札……!!)
サイトウさんは『ここが踏ん張りどころだ』と言っていたけど、多分本当に踏ん張りを見せないといけないのは私の方だろう。
「頑張るよ……ミロカロス!!」
「ミロッ!!」
ミロカロスと頷きながら、サイトウさんの最後の壁を見つめた。
ねっとう
言わずと知れたチート技。DLCで帰ってきましたけど、覚えるポケモンはだいぶ制限されていましたね。当然と言わば当然ですが。
れいとうビーム
氷のラインを滑って進む移動法は、某鍵の主人公が放つあの氷魔法をもとに。あれがないと、船に追いつけないのに気づかないと、なかなか突破できませんよね。
スターアサルト
ネギガナイトの必殺技……なんですが、やはり反動が痛いということでなかなか使われませんね。ダイマックス技とは相性がいい所は長所ですが、ダイナックルとダイアシッドは、攻撃系が上がる兼ね合いで威力を少し下げられているせいで、やっぱりかみ合わせはよくないという……なのになんでダイジェットは威力高いままなのか謎でしたけど……
投稿日がちょっと不安定な期間になりましたね。少しご迷惑を掛けます。改めて、申し訳ありません。