【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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226話

 お互いの持つボールからリターンレーザーが伸び、それぞれの相棒をボールの中へと戻していく。

 

 バトルフィールドを包むのは静寂。しかし、これはバトルが終わったからでは無い。むしろ、ここからが一番の魅せ所。

 

 両者ボールを右手に握りしめたまま、その手首に巻かれた赤色のバンドに視線を送る。すると、そのバンドから赤い光が溢れ出し、光はボールの中へと吸い込まれていく。

 

(いよいよ、これで決まる……)

 

 右手の中で徐々に大きくなるボールの感覚に比例して、私の鼓動も早くなる。

 

 泣いても笑っても、これがこのバトルの最後のやり取り。

 

(負けたくない。勝ちたい。先に進みたい!!)

 

 手の中で大きくなりながら、私の思いを受け取ったエースバーンがボールをカタカタ揺らしていく。

 

「本当に、ギリギリのバトルですね……」

 

 大きくなったボールを抱えながら、対面から聞こえてきたサイトウさんの言葉に耳を傾ける。あちらも、大きくなったボールを抱えながらこちらを見ていた。

 

「あなたを侮っていた訳ではありません。しかし、ここまで拮抗したバトルになるとは思いませんでした。戦う時は感情を出さない……それがわたしの信条だったのですが……それが簡単に崩れてしまう程、楽しいです」

 

 サイトウさんの目には、彼女の言葉通りハイライトが入っており、口元が緩んでいるその表情は年相応のかわいらしい微笑みとなっていた。正直私も見とれてしまう程のレベル。けど、それ以上に、サイトウさんにこのバトルが楽しいと言われたことが嬉しかった私は、サイトウさんのようにかわいくは無理かもしれないけど、それでも同じように微笑みながら言葉を返す。

 

「私も、凄く楽しいし、サイトウさんにそう言ってもらえるバトルが出来て嬉しいです。もっともっと戦いたい……でも……」

 

 私とサイトウさんからすっと、微笑みが消える。

 

 私はこれからの最後のやり取りのために気を引き締め、サイトウさんは戦闘モードに移行して目のハイライトを消す。

 

「それはそれ。これはこれ……わたしは優勝したい。あの子を近くで守る存在になるために」

「私はあの人の隣に自信を持って立つ存在になりたいから!!」

 

 赤く、大きく輝くモンスターボールを掲げ、思いっきり空に投げつける。

 

 

「ここを勝つために!!もう、全部壊しましょう!!尊敬を込めて、キョダイマックス!!」

「みんながここまで連れてきてくれた!!そのみんなに応えるために、行くよエースバーン!!キョダイマックス!!」

 

 

 空中で同時に開かれる巨大なモンスターボールが重厚な音を立てるとともに、中からキョダイマックス化したカイリキーとエースバーンが現れる。

 

 まずはカイリキー。通常と比べて筋肉は引き締まり、頭部の3つある角は真ん中がさらに伸びて、某ヒーローのような見た目にも見えなくはない。目も黒い部分が消え、全体的に黄色く光って、首回りも黒い模様が加わったことで、全体的に覆面レスラーの様な人相となっている。そして何よりも注目するべきは、カイリキー自慢の4本の腕。パワーの大半が集中しているのか、太みを増した4本の腕はひび割れ上にオレンジ色に光っており、そのうえでパンチの速度は元の姿から変わっていないため、パンチの威力はもはや爆弾球と言っても差し支えない。

 

 そんな暴力の化身ともいうべきカイリキーと対峙するのは、こちらもキョダイマックスとなって姿が変わったエースバーン。

 

 身長こそは元のエースバーンから少し伸びただけ。大きく変わった点と言えば、ラビフットからの進化に伴って失われた垂れ耳だろうか。それも、ただ垂れただけでなく、自身の身長よりも長くなった垂れ耳は、普通に地面に立てば地面にこすりつけてしまうのは必至だ。

 

 これだけの変化だと、キョダイマックスとしては些か物足りないように見えるけど、エースバーンのキョダイマックスにおいて一番注目するべきは、エースバーン本人ではなく、エースバーンの足元にある巨大な火球だ。まるで何者かの魂が宿ったかのような顔を浮かべる巨大な火球は、エースバーンが蹴った際に込めた闘志によってその大きさを変化させる。最大で直径100メートルまで大きくなることが確認されたこの火球は、当然破壊力もすさまじく、カイリキーの拳にも勝るとも劣らない。キョダイマックスによって目に見えないけど、脚力も大幅に強化されているエースバーンによって蹴りだされるこの火球の威力が今から楽しみだ。その気持ちを表すかのように、火球の上に乗り、腕を組んで仁王立ちするエースバーンの表情も、不敵な笑顔を浮かべている。

 

 キョダイマックス同士の対面。

 

 試合順番的に、マリィとホップもキョダイマックスが出来るトレーナーだから、観客にとっては2戦連続のキョダイマックス対面だろう。その事がとても嬉しいのか、観客たちの声援はさらに跳ね上がり、その声に応じて私の鼓動も早くなる。

 

 エースバーンの火球と、カイリキーの筋肉から発せられる熱気のせいで、バトルフィールドの温度が上がっている。その上昇と、私にかかって切る緊張、そしてここまでの激闘による疲れから、頬を汗が伝うのを感じた。対面のサイトウさんも、一筋の汗を伝わせていることから、精神状況も同じだということがよく分かる。

 

「「……」」

 

 お互いじっと見つめ、動かない時間がしばしば。

 

 周りの声は大きいのに、対面する私たちは、汗の伝う音すら聞こえてくるのではないだろうかという程集中された、無音の空間に放り込まれていた。

 

 そんな私たちの頬を伝う汗が顎にたまり、地面へと落ち、弾ける音がした。

 

「『ダイジェット』!!」

「『ダイサンダー』!!」

 

 弾ける音が聞こえたと同時に繰り出される私とサイトウさんの指示。エースバーンは右足に竜巻を纏わせ、カイリキーは右側2本の腕に電気を纏い、お互いに向かって走り出す。

 

 

「バースッ!!」

「リキッ!!」

 

 

 電撃と風が真正面からぶつかり合って、爆音と暴風をまき散らしていく。その2つの攻撃はこのバトルコートを包む竜巻となり、電気は空へと昇って、一瞬にして空に暗雲をたちこませた。

 

 天候すら変更させる両者の攻撃に,観客の声が止まる。

 

 どちらも得意とする自分のタイプと同じ攻撃ではない一撃なのにこの威力だ。

 

 果たして、本気の一撃だとどうなってしまうのか、その威力を想像した観客たちの息を飲む声が聞こえた気がした。

 

「エースバーン!!」

 

 雷の音が響く中、火球から飛び降りたエースバーンは全力ダッシュ。キョダイマックスすると大体のキャラが大きさ故に機動力をある程度犠牲にするけど、身体の大きさ自体があまり大きくなるわけではないエースバーンにはその理屈は当てはまらない。大きくなろうとも健在な、むしろ上がった脚力を生かして通常以上の足をもって走り回るエースバーンは、自身の何倍もの大きさを誇るカイリキーの周りを走り回り、カイリキーの視線を困惑させる。

 

「カイリキー。落ち着きましょう」

 

 

「リキッ……」

 

 

 しかし、焦るカイリキーもサイトウさんの一言で冷静を取り戻し、すっと目を閉じる。目で追えないのなら、耳で聞いて追いかけると言ったところか。はたまた、サイトウさんが目となるのか、心の目で見るのか。どちらにせよ、これで簡単に崩せるなんてことは無くなっただろう。

 

(それでも崩す……!!)

 

「エースバーン!!『ダイアタック』!!」

 

 

「バスッ!!」

 

 

 

 駆け回ったエースバーンが、脚に白色の光を宿してカイリキーの足元に入り込む。

 

 大ダメージと共に相手の素早さを奪う効果を持つこの技は、カイリキーの足を狙うことによってその効果をさらに強くしようという考えの下放たれる。背が高くなった分、小回りが利きづらい今のカイリキーでは足元への攻撃は対処が難しいだろう。

 

 けど、サイトウさんはむしろこの技を待っていたかのような表情を浮かべる。それを見てやばいと思った私は、慌てて退避を指示。

 

「エースバーン!!避け━━」

「逃がしません!!カイリキー、『キョダイシンゲキ』!!わたしのカラテと、あなたの技を重ねますッ!!」

 

 

「リキッ!!」

 

 

 サイトウさんの指示と共に、拳のオレンジの光をさらに強くさせたカイリキーは、その4つの光をすべて同時に地面にたたきつける。急に頭上から襲い掛かってくる4つの拳に対しては、足の速いエースバーンはまだ回避ができる。攻撃と攻撃の隙間を縫って何とか避けきったエースバーンは、カイリキーの右足に自身の足を叩きつける。

 

 

「リキッ!?」

 

 

 カイリキーの膝裏にきっちり叩き込まれるエースバーンの右足。これにより、カイリキーの態勢がわずかに崩れた。これを機に、カイリキーに対して追撃をしていきたいエースバーンだったけど、追撃が出来ない。なぜなら、キョダイシンゲキの攻撃はまだ終わっていないから。

 

 

「バスッ!?」

 

 

 攻撃を一度当てたエースバーンが上を見上げると、拳をまた振り上げ直したカイリキーの姿。カイリキーの拳は秒間500発の速度で放たれる。その物量はたとえキョダイマックスしても変わらない。しかも、キョダイシンゲキの追撃によって、カイリキーの拳に追従するかのように、空から拳の形を象ったオーラが降り注ぐ。

 

 カイリキー本体からのラッシュと、空から雨のように降りそそぐ拳の嵐。まさしく、強大な軍勢がエースバーンに向かって空から進軍してくるような、圧倒的な圧力が襲ってきた。

 

「走って!!」

 

 ゲリラ豪雨のごとく、空から落ちて来る拳の嵐を前にして、エースバーンは必死に足を動かして避けていく。これで1つ1つが軽いのであればまだいい、けど、キョダイマックス化し、拳にひび割れ上に目に映るほどのエネルギーを拳に込めているカイリキーの一撃は、1つ1つが爆弾級の火力を秘めている。地面にぶつかるたびにそのエネルギーが周りに飛ぶことによって、例え拳本体を避けても余波がエースバーンを襲っていく。その余波でさえとんでもない火力を秘めているせいで、もはや地面は爆発の嵐。そのせいで地面は揺れに揺れ、立っているのも難しいほどのものとなる。そんな地獄のような状況がたっぷり10秒ほど続き、カイリキーの足元が煙で全く確認できなくなった。が、その煙が晴れるよりも速く、煙からエースバーンが弾き飛ばされ、火球にぶつかってきた。

 

「エースバーン!?大丈夫!?」

 

 

「バ……バス……ッ!!」

 

 

 自分の大きな火球に背中を預けながら起き上がるエースバーン。素早さと攻撃力の高い代わりに、防御面が少し頼りないエースバーンにとって、ここまでのバトルで受けたダメージも相まってかなりのダメージを負ってしまっている。そんなエースバーンに対して、さらに追い打ちをかけるようにカイリキーの身体が薄く黄色に光りだす。

 

 キョダイシンゲキの追加効果、きあいだめ状態。

 

 キョダイシンゲキを行った後のカイリキーの意識は、極度の集中状態へと入っていく。これによって、カイリキーの攻撃は更に正確無比なものとなり、その攻撃精度は、技のことごとくが急所に吸い込まれるかのように真っすぐ飛んでいき、例え防御を技で育てた相手であろうとも敵を確実に仕留めに行く。2秒で1000発叩き込まれる拳そのすべてが急所に直撃すると考えたら、その恐ろしさはよくわかるだろう。ダイアタックで機動力を奪われているとはいえ、それを補って余るほどの破壊力を、今のカイリキーは手に入れたことになる。

 

「強いね……エースバーン……」

 

 

「バス……」

 

 

 エースバーンの前に腕を組み、こちらをまっすぐ見下ろしてくるカイリキー。その姿はまさしく、こちらを押しつぶす巨人の壁となって立ちはだかっている。

 

 とても高く、強力な壁。見上げるだけでこちらを絶望に落としてきそうな圧力を感じる。

 

 けど、私もエースバーンも、瞳に宿す焔は消していない。

 

(この壁を越えなきゃ、フリアの横になんていけない!!)

 

「エースバーン!!」

 

 

「バスッ!!」

 

 

 私の声とともに勢い良く立ち上がるエースバーン。声をあげて気合を入れなおしたエースバーンは、自分の後ろにある大きな火球へと向かい合い、右足に焔を纏って構えを取った。

 

「行くよ……全力!!」

 

 

「バースッ!!」

 

 

 その構えから繰り出される強烈な蹴り上げによって、蹴られた火球は轟々と激しい音を立てながら、雷雲立ち込める天へと飛んでいき、雷と焔のぶつかりによる不協和音を辺りに奏でる。

 

 

「……バスッ!!」

 

 

 そんなカオス状態になっている上空めがけて、自慢の脚力を生かしたエースバーンは火球を追いかけるようにジャンプをし、その身体を雷雲に隠して行く。

 

「……来ますよカイリキー。準備を!!」

 

 

「リキッ!!」

 

 

 大技の準備をするエースバーンの姿を見つめながら、サイトウさん側も最後の攻撃の準備をする。極限の集中状態へと意識を落としているカイリキーも、両腕にたまっているオレンジ色のエネルギーを燦々と輝かせて拳を構える。

 

 そのカイリキーが目を向ける黒雲の中で、その黒色を徐々に赤く染めていくものが現れる。

 

 黒い雲が押しのけられ、姿を現して行くのは、まるで太陽を思わすかのように輝き、熱を発する巨大な火球。その火球の表面には、エースバーンと私の心情を表すかのように、勇ましい表情が描かれていた。

 

(正真正銘、これが最後の一撃。この攻撃が通用しなければ、私の負け……)

 

 空に浮かぶこの火球の裏には、私の指示を今か今かと待つエースバーンがいることだろう。そんな彼に届くように、私はおなかの中から、空に響き渡る声をあげる。

 

 

「エースバーン!!『キョダイカキュウ』!!」

「バースッ!!」

 

 

 空から返って来るエースバーンの叫びと共に、炎の燃え上がる音と衝撃音が鳴り響き、空に浮かぶ火球が隕石のようにカイリキーに向かって落ちていく。

 

 身長が25メートルあるカイリキーよりも圧倒的に大きい火球。それが自分に落ちてくる様は、私とエースバーンがさっき感じた絶望感と同じくらいの迫力があることだろう。けど、私とエースバーンが絶望を跳ね返したように、サイトウさんとカイリキーだって、このくらいの攻撃なら全力で立ち向かってくる。その心意気を表に出すように、私とエースバーンの叫びに負けないくらいに張り上げた声で答える。

 

 

「カイリキー!!『キョダイシンゲキ』!!」

「リッキッ!!」

 

 

 元々輝いていたオレンジの光をさらに強くした4つの拳を構えたカイリキーは、自身の周りにオレンジ色のオーラで作り出した拳を沢山権限させる。先ほど空から振り下ろした拳の雨を、今度は空に向かって打ち出す構えだ。

 

 徐々に迫りくる巨大な火球。その距離が徐々に近づき始めたときに、カイリキーの腕が動き出す。

 

 

「リッ……キィィッ!!」

 

 

 打ち出される拳の豪雨。

 

 落ちてくる隕石を打ち返さんばかりの力を込められたその攻撃は、周知に熱風と衝撃を撒きちらしながら拮抗していく。

 

 打ち出される1000を超える拳と直径100メートルに迫る火球同士のぶつかり合い。拮抗しているように見える両者の技は、徐々にカイリキーの力によって上に押しあげ始められていく。集中状態のカイリキーが、火球の核を的確に殴ることによってその勢いを確実に削っていた。このままでは火球は消されるだろう。

 

 けど、そんなことわかりきっている。

 

「エースバーン!!」

 

 

「バスッ!!」

 

 

 徐々に規模を小さくしている火球に対して、未だに天空にいるエースバーンが、足に纏わせた炎を下に向けながら急降下。押され始めている火球に対して飛び蹴りをかます。すると、エースバーンの足の裏の器官から発せられる焔が火球へと燃え移り、小さくなっていた火球のサイズが元に戻り始める。また、エースバーンの蹴りが追加されることによって、カイリキーへと向かう重さと速度が上昇。ここまで優勢を保っていたカイリキーの表情がゆがみ始める。

 

 

「リ……キ……ッ!!」

 

 

「カイリキー……つらいのは分かります。ですがここが踏ん張りどころです!!ともに堪えましょう!!」

 

 

「リキッ!!」

 

 

「エースバーン!!ここで引くなんてできないから!!絶対に押し切るよ!!」

 

 

「バースッ!!」

 

 

 火球を挟んで行われる、カイリキーの拳とエースバーンの足による鍔迫り合い。この掛け声を皮切りに、エースバーンも両足に焔を纏わせて、単発から連続蹴りへと変更し、何度も何度も火球を蹴りまくっていた。

 

 拳と蹴り。それぞれが火球にぶつかるたびに熱風と轟音が交じり合い、壮絶な押し合いが発生する。

 

 火球に叩き込まれているのはどちらも威力としては申し分ない攻撃だ。そのせいで、いくらエースバーンが供給しているからと言っても、蹴りと拳による破壊で散らさせる火炎の方が量は多い。結果として、供給され直しによって元の大きさに戻った火球は、再びそのサイズを小さくし始めていく。けど、エースバーンが蹴りで押し合いに加わった事で、火球は小さくなりながらもカイリキーの方に押し込まれていた。

 

 火球が消えるのが先か、はたまた火球が落ち切るのが先か。

 

 カイリキーの方に落ち、徐々に大きさを小さくしていく火球を見つめながら、私は心の中で信じる。

 

(大丈夫。エースバーンなら勝てる。……そうだよね?)

 

 視線を火球からエースバーンに向けると、エースバーンと目が合った。瞬間、エースバーンが一瞬だけ、こちらを見て微笑み、すぐにカイリキーの方へと視線を向ける。

 

 

「バス……バースッ!!」

 

 

 叫び声をあげると同時に、エースバーンの身体が薄く赤色に光りだす。エースバーンの特性である、もうかが発動した証だ。体力が減ったエースバーンは、その残りの体力を更に燃やし、全力以上の力を引き出した。

 

「やっちゃえ!!エースバーン!!」

 

 

「バアアアァァァスッ!!」

 

 

 身体を光らせたエースバーンは、その輝きを右足に集中し、今までで一番の力をもって火球を蹴り飛ばし、カイリキーに向かって最後の押し込みを行う。

 

 

「リキ……ッ」

 

 

「カイリキー!!」

 

 急にのしかかる重さに表情をゆがめたカイリキー。しかし、それでも最後の意地とばかりに、サイトウさんの声をブーストにしながら耐えていく。これにより再び火球が拮抗しそうになったが……

 

 

「バスッ!!」

「リキッ!?」

 

 

 エースバーンが火球の中に入り込み、通り抜けてカイリキーに向けて直接蹴りを叩き込んだ。その光景を見た瞬間に、火球が大爆発。バトルコート全てが爆煙に包まれて見えなくなってしまう。

 

「うわっ!?」

 

 身体に叩きつけられる熱風と衝撃に、思わず顔を覆ってしまう私。しばらくしてその衝撃もなくなってゆっくり顔を上げるけど、それでも爆煙が私の視界を覆って確認できない。音で確認しようにも、火球が爆発した後の余韻で耳も正常に働いていないので確認もできない。

 

 そんな何もわからない、まるで闇の中に放り込まれたかのような状況に取り残された私。けど、不思議と不安感はなかった。

 

 なぜなら、私の中には根拠はないけど確かな信頼があったから。

 

(大丈夫。だって、エースバーンは私に向かって笑っていたもん。だから、そういう事だよね?エースバーン?)

 

 

「バアアアァァァスッ!!」

 

 

 私の心の言葉に応えるように聞こえるエースバーンの雄たけび。同時に煙は晴れ、視界が広がったバトルコートの真ん中で、エースバーンは天に向かって、心の底から吠えていた。そんな彼の足元には、目を回したカイリキーが倒れている。

 

 

「カイリキー、戦闘不能!!よってこのバトル、ユウリ選手の勝ち!!」

 

 

 エースバーンの勝ちは確信していた。あれだけ自信満々なエースバーンが負けるわけないってわかっていた。けど、こうやって審判の人に正式に言葉として告げられると、やっぱり心の奥から湧き上がるものがある。

 

 その思いは、無意識のうちに、私の口と身体が漏れ出した。

 

 

「~~~~~~~しッ!!」

 

 

 膝を曲げ、渾身のガッツポーズをしながら、私は声にならない音を、会場に響き渡るくらいに発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キョダイシンゲキ

ただ殴るだけではなく、拳のオーラも落ちるようになっています。実機がちょっと弱いので、これくらいしてもいいのかなと。キョダイマックス全般に言えることですけど、基本技の方が強いのはやっぱり残念ですよね。

キョダイカキュウ

対する実機でも強いキョダイマックス技。天候こそ変えられませんけど特性貫通は普通に強いですよね。




1回戦完了。お疲れ様でした。




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