【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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227話

「バスバースッ」

「エースバーン!!」

 

 審判の人から宣言が下り、私の勝ちが確定した。そのことに心の底から喜んだ私は、キョダイマックスから元の姿に戻っていくエースバーンに向かって駆け出していた。エースバーンも勝てたことが嬉しかったみたいで、なんなら私よりも先に動き出し、こちらに向かって走り出していた。

 

「ありがとう、エースバーン……」

「バース……」

 

 ダイマックスが終わり、ダイサンダーとダイジェットのぶつかり合いによって起きた雷雲も消えたことによって、さっきまでの快晴が帰ってきたバトルフィールド。そこに降り注ぐ太陽の光が、勝利の余韻から抱きしめ合う私とエースバーンをそっと包み込んでくれていた。

 

「バスバース~……」

「ふふ、くすぐったいよ~」

 

 そんなお日様の下で飛びついてきたエースバーンは、嬉しさのあまりに私に頬擦りをしてきた。それがくすぐったくて、そしてバトルの時の勇ましさとはまるで違って、その差がとても面白くてついつい笑みがこぼれてしまう。

 

「お疲れ様でした。カイリキー。戻ってください」

「エースバーンも、少し休んでね」

 

 エースバーンと噛み締めるように余韻に浸っていると、サイトウさんの声が聞こえてきた。もっともっと浸っていたい気持ちはあったけど、まだここは公式の場だ。喜びも程々に、まだやらなきゃ行けないことのために、一旦この気持ちを押し込めて、私もエースバーンをボールに戻しながら、サイトウさんの元へと歩き出す。

 

「サイトウさん。ありがとうございました」

 

 バトルコートの真ん中で向き合った私はサイトウさんよりも先に声を出して頭を下げる。こういう時は、『勝者からかける言葉なんてない』って言われているけど、少なくとも私は、こんな凄いバトルをしてくれたサイトウさんには心から感謝の気持ちが湧き上がっていた。それを伝えたくて仕方がなかった私は、さっきのことが頭にあっても、それでもなお口にせざるを得なかった。ただ、武人気質であるサイトウさんにとっては、もしかしたら嫌な事だったかもしれないと、言葉にしたから思った私は、少しだけゆっくり頭をあげた。

 

 心配が少し湧き始めながら持ち上げられた視線は、徐々にサイトウさんの視線と交わる。

 

「わたしからも感謝の言葉を。とても強かったです。裸足のわたしが、思わず『裸足で逃げ出したい』と思ってしまうほどでしたよ」

 

 そう告げながら、右肘に左手を添えながら右腕をこちらに伸ばすサイトウさんの瞳には、いつも以上に優しい色がともされており、その表情にまた見惚れてしまいそうになってしまった。そのせいで少しだけ反応が送れた私は、慌てて右手を伸ばしてサイトウさんと握手。お互いの健闘を称え合う。同時に、今日最後のバトルをした私たちに向かって、観客からの拍手の雨が降り注いだ。どうやら、観客の視点からも、今回のバトルは満足のいくものだったらしい。観客のみんなのために戦った訳では無いけど、こうやって喜んでもらえていると私も少し嬉しい気持ちになる。

 

「私も、何度負けてしまうかとひやひやしました。でも、それ以上に楽しくて……また、戦いたいって思いました」

 

 握手をしながら、私の口から零れる少したどたどしい言葉。激戦後ということもあって、少しだけ私の息が上がっているみたいだ。

 

「そう言っていただけて嬉しいです。わたしも、あなたとの立ち合いでとても心が躍りました。負けて悔しいという気持ちはありますが、同時に清々しさも感じます。そういう点では、今回のバトルはとても理想的なモノだったのかもしれませんね」

 

 そんな私の言葉にも、表情こそ柔らかくなっているものの、呼吸は一切乱れることなく喋るサイトウさん。やっぱり、体力面ではどうしようもなく負けているみたいだ。長期戦にならなくてよかった。

 

 そのまましばらく握手をしたまま手をシェイクしていた私たちは、満足したところでゆっくりと手を離す。

 

「ユウリさん。わたしに勝った以上、絶対に優勝してくださいね」

「サイトウさん……」

 

 手を離しながらサイトウさんに伝えられた言葉は、私に先を託すもの。こう言われて改めて実感するのが大会の残酷さだ。私は何とか明日以降にも希望を繋げることが出来たけど、サイトウさんのガラルリーグはここで終わった。

 

(ううん、私が終わらせたんだ)

 

 もちろん、お互い全力でぶつかり合っての結果だから納得はしている。その証拠が、さっきのサイトウさんの『清々しい』という発言でもあるし、今も微笑みを浮かべているサイトウさんの表情も、悔しいという気持ちがゼロではないにしろ、決して無理をして浮かべているのではなく、ちゃんと心からスッキリしているというのが分かる。だから、私も心置き無く明日以降に向かって心を作ることが出来る。

 

 けど、負けた人の思いがこんなに重いとは思わなかった。

 

 これから私は、サイトウさんに勝った人としてこの先戦う。つまり、私への評価の一部が、そのままサイトウさんにものしかかるのだ。

 

(もう、私だけの大会じゃない)

 

 多分、他の人にこのことを言えば……いや、なんならサイトウさんでさえ『気にしすぎ』と答えるだろうし、私がサイトウさんの立場なら絶対に同じことを言う。けど、当事者だからこその、ちょっとした責任感というのはどうしても存在していた。

 

 少しだけ緊張する。

 

「大丈夫ですよ」

「え?」

 

 そんな私の心の機微をしっかりと読み取ったサイトウさんは、やっぱり微笑みを浮かべながら私に言葉を落とす。

 

「今まであなたは沢山の出会いと試合をしてきました。それら全てが、ちゃんとあなたたちの心の糧となっているはずです。自分を信じて、前を見てください。あなたの目標のために」

 

 サイトウさんに言われて思い出すここまでの旅路。

 

 大変なこともあったし、怖いこともあったけど、私の夢と大事なものを見つけることのできたかけがえのない思い出だ。その時に思い、そして今日の大会までに育った感情を、サイトウさんの言葉で一気に思い出していく。

 

 同時に、私の身体から少し緊張が抜けていく。

 

(ほんと……敵わないなぁ)

 

「サイトウさん、本当にありがとうございます!!」

「いえいえ。こんな心躍る立ち会いをしてくれたお礼ですよ」

 

 改めてサイトウさんに頭を下げてお礼を言う私。これでちゃんと前を向いて戦える。むしろ、私が勝った側なのにこうやって気にかけて貰って、少しだけ恥ずかしい。

 

 

『サイトウ選手とユウリ選手の試合、実に盛り上がりましたね!!両者の素晴らしいバトルに今一度拍手を!!』

 

 

 サイトウさんとの会話が一旦区切られたところで、バトルコートに実況の人の声が響きわたり、私たちに向けられていた拍手がさらに大きくなる。

 

 まさしく雨のような音に包まれた私たちは、軽く観客の人たちに反応を返しながら、実況の人へと視線を向けた。この時に、ヒカリとジュンが見えたので、そちらにも軽く手を振っていくのも忘れない。

 

 

『さぁこれで今日全てのバトルが終わったということですが……それはつまり!!次の対戦カードが決まったということでもあります!!』

 

 

(そうだ……私たちが1回戦最終試合だから、これで今日の勝ち抜けが全員決まったんだ)

 

 実況の人の言葉にさらに盛り上がる観客たちと、この言葉で大事なことを思い出した私。

 

 控え室で待っているあいだは外の様子が一切分からなかったから、他のみんながどのようなバトルをしてどんな結果になったかを知らない。けど、私とサイトウさんの決着がついたことによって、少なくとも今日のバトルで生き残った人は決定した。当然、私の対戦相手だってもう決まっているし、反対の山だってどんな対戦カードになるかが決まっている。

 

 

『ではさっそく見ていきましょう!!今日の激戦を乗り越えて、次のステージへコマを進めたのは~……このメンツだアアアァァァ!!』

 

 

 そんなとても気になる情報が、テンションが高い実況者の言葉と共にスタジアムのディスプレイに映し出された。

 

 今日という激戦を乗り越えた勝者。そのみんなの顔写真を、私はしっかりと目に焼き付けていく。

 

「初戦はフリア。第2試合はセイボリーさんが勝ったんだ……」

「反対の山が気になるのは分かりますが、今は目の前の相手に注視した方がいいのでは?」

「あっ、と……そうだね……私の次の相手は……ホップか……」

 

 ディスプレイに表示されたのは、フリア、セイボリーさん、ホップ、そして私の4人。

 

 私よりも先に戦って、先に進む権利を得た3人を、サイトウさんと確認しながら喋り合う。サイトウさんの言う通り、私の次の対戦相手は同じ山のホップ。一方で、反対の山の組み合わせはフリアとセイボリーさんになっていた。つまり、今日でマクワさん、クララさん、マリィ、サイトウさんの4人が脱落ということになる。

 

 8人だった参加者が、一日で半分になってしまった。その残酷さに、少しだけ息をのむ。

 

 

『今日という運命の日を乗り越えたこの4人が、次はどのような戦いを繰り広げるのか!!今から楽しみで仕方ありませんね!!』

 

 

 そんな少し複雑な気持ちでいる私と、隣で真っすぐな視線を向けるサイトウさんの事なんて気にせず盛り上がっていく実況者。そういう仕事だから仕方ないとはいえ、負けたばかりのサイトウさんがここにいるのに、先の話をするのは少しだけ思うところがあったりはする。当の本人はあまり気にしていないのか、私の視線に気づいてこっちを見ながら微笑んでいるけど……

 

「何度も言いますが、わたしのことは気にしないでください」

「でも……」

「負けたわたしの責任ですし、ここの実況者も進行上仕方なくお話している感じです。悪意はありません。それに、この間にわたしたち選手が動いてはいけないという決まりもありません。もしここにいるのが辛ければ、退出は自由のはずですから」

「サイトウさん……」

 

 こうして目を合わせて喋っていても、やっぱり気負っている様子はない。本当に心から気にしていないみたいだし、サイトウさんの言う通り、もし本当に嫌なら彼女はすぐにこの場を離れる権利がある。サイトウさん自体、こういった場面でウソをつくような人でもないから、この言葉は本当なのだろう。それでもまだ気になりはするけど、これ以上詮索するとしつこくなりそうだからやめておく。

 

 それよりも、サイトウさんの言う通り今は目の前のことだ。

 

「ホップ……」

 

 頭の中をよぎるのは控室で約束した言葉。

 

(約束……ちゃんと守って先に勝って待っててくれてたんだ……)

 

 自分のライバルがしっかりと勝ち残っていることに、そして、そのライバルとの約束を私がしっかり守れたことに、心の中で熱くなるものがある。

 

「ふふ……やはり、あなたもトレーナー、ですね」

「あ!?え、えっと……えへへ……」

 

 そんな熱い視線をディスプレイに向けていると、私の横顔を見てサイトウさんが微笑んでいた。

 

 ちょっと恥ずかしい。

 

「次の試合も応援していますが、まずは今日のバトルの疲れを癒してください。傷つけたわたしが言うのもおかしは話しですが、今日のダメージはしっかりと癒しておかないと、次の対戦が大変ですよ?」

「そうですね」

 

 実況の人の話も、次の試合の日程やら、今日のバトルの振り返りやらで盛り上がり、観客たち全員の視線もそちらに集まっているため、今私たちの方をしっかり見ている人はあまりいない。元々離脱しても何も言われていないのだから、だったらサイトウさんの言う通り、今やるべきはことはすぐにみんなを休憩所に連れて行って回復させてあげることだろう。ポケモンセンターの技術があれば、次の試合までにダメージが残るなんてことは絶対にないとはいえ、利用するのは速いに越したことはない。となれば早速行動だ。

 

「じゃあ、先に失礼します!サイトウさん。またポケモンバトルしましょうね!!」

「はい。お疲れ様です。また戦いましょう」

 

 まだここに残りそうな雰囲気を出しているサイトウさんに声をかけて先に控室の方へと走っていく。もしかしたら、回復設備を先に私に使わせてくれるように待つのかもしれない。

 

(もしそうなら、なおさら早く休ませて、サイトウさんも早く使えるようにしないとね)

 

 新しく出来た早く休む理由を頭に浮かべながら、私は足を動かした。

 

 その足取りは、激闘の疲れが残っていにもかかわらず、少しだけ軽かった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行きましたね」

 

 走って控室の方へと戻っていったユウリさんを見送り、私は視線を再びディスプレイへとむけた。

 

 自分の顔が映っていないそのディスプレイは、わたしが負けたという事実をこれでもかと叩きつけて来る。そのことが悔しくて、つらくて、心の奥にしこりのようなものを少し残す。けど……

 

「本当に、完膚なきまでに負けてしまいました……」

 

 空を仰ぎながら先のバトルを思い出す。

 

 最初はわたしの方が優勢だったのに、気づけば追い付かれ、追い抜かれていた。決して油断していたわけじゃないのに、戦いの中で恐るべきスピードで成長したユウリさんに、わたしの背中を掴まれてしまった。

 

(このバトルが始まってすぐの時は、間違いなくわたしの方が強かったはず……なんですけどね)

 

 長くカラテを習い、目を鍛えたおかげでこういった観察力もそれなりに鍛えていると自負はしていたし、わたしの判断も間違えていなかったと思っている。

 

 でも負けた。

 

 本当に、私の戦いにどんどん追い付いて、最後に追い抜いた。その成長速度には目を見張るものがあった。

 

(もし天才というのがいるとすれば、ユウリさんのような人のことを言うのでしょうかね)

 

 あまりこういう言葉で片づけるのは好きではないが、そう思いたくなるほどのことが起きている。

 

「全く……壁は多く、そして高いですね……」

 

 その姿が、どこかひ弱な従弟と重なってしまう。

 

 わたしよりも身体が弱くて、頼りなくて、事故に合って生死を彷徨った、かけがえのないわたしの親族。そんな彼が、意識不明から返ってきたと思ったらゴーストタイプのポケモンと深く繋がりを得て、一瞬でジムリーダーまで駆け上がって……その時の成長速度と、どうしても今回の出来事を見比べてしまう。

 

 天才というのは、やっぱり理不尽だ。わたしの一歩を簡単にすっ飛ばしてしまう。そのことに心が折れそうになることだってある。

 

 でも……それでも……

 

「わたしは、あの子を守れる立場でいたい」

 

 もう2度と、彼が生死の淵を彷徨うことにならないように。そんなことになってしまう前に助けられるように。

 

「そのためにも、まだまだ鍛錬をしないといけませんね」

 

 気合を入れて、ユウリさんが去っていった方向を見つめる。

 

 才能の差なんて上等。もとより、わたしには努力するしか方法がないことなんて百も承知。それでも足りないのであれば、もっと努力の質を上げるだけだ。

 

「このリーグが落ち着いたら、ヨロイ島の道場の戸を叩く必要があるかもしれませんね」

 

 ガラル地方本島より少し離れたところにある孤島。そこには、伝説のかくとうジムリーダーだった人が師範として活動している道場がある。勿論わたしもとても興味はあったものの、伝説とうたわれる人にわたしみたいな未熟者がうかがってよいものかと委縮していた。けど、今のわたしが、本気でわたしの望む場所に行くのだとすれば、こんな萎縮はさっさと捨てる必要がある。

 

「……彼のことを思えば、今まで萎縮していたのがバカみたいですね」

 

 あんなに足がすくんだり、心が躊躇し続けていた内容のはずなのに、自分の目標を改めて明確にしたらこんなにもあっさりと覚悟が決まることに、少しだけおかしさが込み上げて笑ってしまう。

 

「あなたもそうなのでしょうか。ユウリさん。そしてフリアさん」

 

 人は人のためならどこまでも強くなれる。それを体現していた今日の対戦者と、そんな彼女が焦がれる少年を思い出しながら、わたしは騒がしいスタジアムの中心で、無意識に言葉をこぼしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい~っす。調子はどうだ~?」

「お見舞いに来たわよ。……って、その調子だと問題はなさそうね」

「ジュン!ヒカリ!2人が来たってことは、今日の試合は終わったんだね?」

 

 スタジアムの休憩室のベッドでゆっくりしていると、少し抜けた声を上げながらジュンが入り、それに呆れたような表情を見せながらヒカリも続いてきた。仕方ないとはいえ、休憩のためにずっと1人で暇をしていたボクは、彼らの訪問に思わずテンションが少し上がる。

 

「ああ終わったぞ。どれもすっげぇバトルだった!」

「いいなぁ……生で見たかった……」

「今回は当事者なんだから諦めなさい。その分しっかりとわたしたちが楽しんであげるわ」

「意地悪だなぁ……」

 

 一方で、ジュンは満足いくものを見たあとの達成感に包まれた様子を見せ、ヒカリも表情を綻ばせながらボクに話しかけてくる。どうやら本当に凄いバトルが行われたらしい。

 

 ヒカリの言う通り、当事者であるボクは今回のような休憩や、控え室での待機時間などもあってリアルタイムで試合を見るのは少し難しい。試合自体は後でアーカイブを見ればいいから問題は無いのだけど……やはりこういうのは現地でリアルタイムで見てこそだ。そこだけはちょっと惜しい。と、そこまで考えて、ボクは一番聞かなくちゃいけないことを思い出して、2人に話題を振る。

 

「っと、そうだった。今日の試合が全部終わったってことは、2回戦の組み合わせはどうなったの?」

 

 それは今日の生き残り。そして次の試合のカードだ。ボクの場合、クララさんとセイボリーさんの勝者と戦うことになっているのだけど、果たしてどっちが上がってきたのか。そして……

 

(ユウリはどうなってるんだろう……)

 

 先日の夜に約束をしたユウリが、ちゃんとあがってきているのかがとても気になった。

 

 そんなボクの期待に応えるべく、ヒカリが真剣な眼差しでボクを見ながら結果を教えてくれた。

 

「今日のバトルを勝ち残ったのは、フリア、セイボリーさん、ホップ、ユウリの4人よ。つまり、2日後に行われる2回戦で、次にフリアと当たるのはセイボリーさんってことになるわね」

「セイボリーさんか……」

「何か思うところあるのかしら?」

「まぁ、ちょっとね……?」

 

 セイボリーさんと言えば、初めて会った時はどこかうさん臭くて怪しい人だったけど、一緒に旅をしていくにつれて少しずつかっこいい所を見せてきて、最後は自身の過去と決別するかのような覚悟と共に、ボクの前に出て守ってくれた頼りになる人。ラテラルタウンでの出来事は、昨日のようにちゃんと思い出すことが出来るほどだ。あの時の彼の、『超えるべきひとつの壁として、あなたに出会えてよかった』という発言は今でもしっかりと記憶に残っている。

 

 そんな彼が、ついにボクの下へとやってきた。

 

 うぬぼれじゃないけど、セイボリーさんはユウリと同じくらいにボクに対して大きな思いをも持っている人だ。

 

 その思いを、ようやく本気でぶつけられる場所で相まみえることになる。

 

 間違いなく、今までで一番の気合を入れて向かってくるだろう。

 

(……全力で迎え撃ちます。セイボリーさん!!)

 

 マクワさんという強敵に勝ったと思ったらまた強敵とのバトル。

 

(ヒカリによると、2回戦は2日後に行うんだったよね。それまでに、少しでも体力の回復と、作戦の構築を行って迎えよう。彼のエスパー技はかなり強力だからね。となるとやっぱり大事なのは……)

 

 セイボリーさんと戦うということを明確に理解した時から、再びボクの心は昂ぶっていき、すぐさま頭の中が作戦で埋め尽くされていく。

 

 もう、ボクの頭はセイボリーさんと戦う事しか入っていない。

 

「ふふ、本当に楽しそうよね」

「全くだぞ……あ~あ、オレも出たかったなぁ……」

 

 そんな幼馴染の言葉すらもスルーしたボクは、ユウリたちがこの部屋に来るまでの間、ひたすらに頭の中でシミュレーションをし続けた。

 

(次も……絶対に勝つ!!)

 

 ボクの想いに呼応するように、近くに置かれた6つのボールも、カタカタと揺れたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




エースバーン

エースバーンのと言えば、やっぱり頬擦りな気がします。完全にアニポケ効果ですね。

サイトウ

彼女もまた、マリィさんのようにしっかりと先を見て歩いて行く人だと思い、このような描写に。実機でもかなり綺麗な微笑みを見せてくれますよね。




久しぶりの主人公君。一体何話ぶりでしょうか……これも全部フルバトルが長いせいですね。もうちょっと短くまとめたい気持ちもあるのですが、やはり書きたいことが多すぎる……




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