私「あ、あなぬけのひも何回でも使える仕様になったんだ便利!!」
~数日後~
私「あなぬけのひもが必要になるほど深いダンジョンなくね?」
ワイルドエリアに力を注ぎ込みすぎた結果ですかね?
あと21話時点でお気に入り3桁と記憶してるんですがもう200が見える……
本当にありがたいお話です。
大変感謝!
まぁ、とにもかくにも……
バウスタジアム編後半です。
どうぞ
「行きなさい!サシカマス!!」
「シャーー!!」
ルリナさんが繰り出してくる2匹目のポケモンはサシカマス。能力的にはトサキントと大きく差があるという訳でもないポケモン。しかしギアを上げるという発言とビデオを見た感じ、トサキントよりもさらに速い戦いが得意だと言うのが予想できる。こちらはかなり手負いのマホミル。高速のトサキント相手に善戦はしたもののこれ以上速くなるなら動けるか怪しくなる。もっと言えばこちらのマホミルは万全ではない。正直な話、これ以上は無理に戦わせてもつらいだろう。
「マホミル、戻って」
「……マミュ」
若干申し訳なさそうな顔をしながらボールに戻っていくマホミル。マホミルにリターンレーザーを当てて完全に戻ったところでボールをひとなで。
「そんなに落ち込まないで。トサキントを落としてくれただけでも凄くありがたかったから……ゆっくり休んでね」
カタカタと揺れるモンスターボールにまたひとなでして腰に戻す。代わりにもう一個のボールを取り出し二体目を出す。
「頼むよ、ジメレオン!!」
ボクが出す二体目はジメレオン。ボクの手持ちの中で一番素速さの高い子だ。
「みずのジムリーダー相手にみずタイプのポケモンで挑むのね」
「すばやさ対決するならこの子しかいないので……行きます!!」
「『アクアジェット』!!」
「『ふいうち』!!」
相手がギアをあげると言った時点で予想出来たみずタイプの高速技アクアジェット。まるでロケットのような圧倒的スピードで突っ込んで来ようとしたサシカマスに対して攻撃前の隙を逃さずに懐に鋭く踏み込んで一撃。サシカマスを思いっきり後方へ吹き飛ばす、が、綺麗に空中で態勢を整えてアクアジェット開始。ジメレオンにお返しといわんばかりに一撃かまして即離脱。アクアジェットを継続し続けて先ほどのトサキントのこうそくいどう以上の速さで駆け回る。
「初速なら間違いなくこちらが速いけど継続速度ってなると間違いなくサシカマスの方が上か……」
「アクアジェットを継続して出す練習をしている子だからね!悪いけどあなたに対しては容赦しないわ!!」
永遠と水しぶきを上げながら走り回るサシカマス。だけどジメレオンは焦らない。しっかりとその両目でサシカマスの動きを追いかけられている。……が、それでも速すぎる。
「サシカマス、『みだれづき』」
「ジメレオン!後ろ!!」
まるでダーツと言わんばかりの鋭く速い一撃。ボクの視線から見える範囲を伝えジメレオンが避けやすいようにする。後ろからという指示を聞いてしっかりと反応して避けてくれるジメレオンだが、アクアジェットしながらのみだれづきの連続攻撃に反応しきるのが難しく、かろうじて避けているものの体勢を崩す。
「今よ!『かみつく』!!」
「ジメレオン!!」
とっさに腕でガードするものの、鋭い歯がしっかりとジメレオンの腕に刺さっていく。ほんの少し顔をゆがめるジメレオン。すぐに腕を振って払い、返しにみずのはどうを打つものの、再びアクアジェットを開始し避けていく。
(完全なヒット&アウェイ……てんしのキッスの行動のせいでカウンターも警戒してるからか行動もフェイントを織り交ぜたりしてこっちを揺さぶってきている)
カウンターでみずのはどうを構えたりしているものの、構えを見た瞬間警戒されて逃げられてしまう。
(ふいうちはたぶんもう通じない。後ろのポケモンは最後にあてたいからとんぼかえりは打ちたくない……やっぱりこうしかないか……)
「ジメレオン、『みずのはどう』!!」
「ジメッ!!」
何発も撃ち込まれるみずのはどうは、しかしサシカマスには一発も当たることはなくよけられていく。
「そんなあてずっぽうな攻撃に当たると思ってるの?私のサシカマスを甘く見ないで!!」
「……」
手のひらから何発も水の球を作り発射するがどれも当たる気配がなく、いろんなところに転がっていく。何発打っても全く攻撃が当たらないことにジメレオンも攻撃の手をどんどん速めるものの、サシカマスの動きが速すぎて、たとえ今から千発撃ったところで当たるかどうか怪しいレベルで当たる気がしない。その間にもアクアジェットの勢いを利用したみだれづきが五月雨のように何回もジメレオンを襲い、生傷を増やしていく。耐久力のそんなにあるわけではないジメレオンはこのままいけば戦闘不能へと陥ってしまうだろう。
「まだそんな無駄な行動をとるつもり?」
「……」
「だんまりね……ならこれでとどめよ!『かみつく』!!」
アクアジェットで飛びついてくるサシカマス。この攻撃に合わせるようにみずのはどうを打ってしまうとまたさっきみたいに避けられてしまう。ならば……
「ジメレオン、手を差し出して!!」
「ジメッ!!」
「え?」
ぎらりと怪しく光るその口の中にジメレオンが手を突き出す。腕で防ぐよりも強い痛みに声が出そうになるもまた我慢。右手がしっかりとサシカマスに咥えられているのを遠くからしっかりと視認する。
(ごめん、ジメレオン!でもよく頑張って耐えてくれた!!)
「ジメレオン、『みずのはどう』!!」
「っ!?口を離しなさいサシカマス!」
作戦に気付いたルリナさんが慌ててそう答えるもののもう遅く、サシカマスの口の中でみずのはどうが今までの攻撃の恨みと言わんばかりの大爆発を起こす。あまりにも爆発の威力が大きく、また至近距離だったためかジメレオン本人も少なくない反動ダメージを負うものの、それ以上にサシカマスがかなりの痛手を負いながら宙を舞う。サシカマスはこと防御面においてはトサキントよりも低く、特に特殊面に関する防御においては紙と言っても差し支えないほどに脆い。この一撃だけでもかなりのダメージが入っているはずだ。だけど今逃がしたらまたアクアジェットの機動力を発揮され今度こそこちらがやられる。
今ここで仕留め切るしかない。
「捕まえて!ジメレオン!!」
「ジメッ!!」
「シャッ!?」
尻尾を器用に使ってサシカマスを縛る。拘束から逃れようとじたばたしだすサシカマスだが、やはりこういった防御方面は強くないみたいで先程のような激しさがない。
「もう1回『みずのはどう』!!」
「ジィィィッ、メッ!!」
再度放たれるみずのはどうは再び大爆発を巻き起こし、今度は遠くへ吹き飛ばされるサシカマス。2回目の至近距離大爆発。アクアジェットで避けたり受け流したり出来ずにクリティカルヒットを決めれた。かなりの痛手を負っているはず。だが……
「まだいけるわよね、サシカマス!!」
「シ……シヤァーッ!!」
「まだ立つか……」
「ジメ……」
いくら特防が低いとはいえあくまで効果はいまひとつ。みずタイプにみずタイプの攻撃はあまりに通らない。だからこそルリナさんはアクアジェットで移動はするもののアクアジェットでの攻撃はして来ないのだから。
「してやられたけど……もうその手も喰らわないわ!!サシカマス!!今度こそ仕留めるわよ!!『アクアジェット』!!」
「シャーー!!」
かなり傷だらけなものの、再び水を纏って高速で動き出す準備を始めるサシカマス。2回も高速攻撃に対してカウンターを決めた。さらに警戒された今、もうこの手も通じない。再びサシカマスのオンステージが始まろうとしている。けど……
「……予想通り!!」
「……何を言って」
ドパァァァンッ!!
「シャッ!?」
「サシカマス!?」
アクアジェットの準備を終え、ダッシュを開始した直後に起きる水の大爆発。動き出しにもろに当たってしまい軽く吹き飛ばされる。
「一体何が……!?」
「ジメレオン!!10番から15番!!」
「ジメッ!!」
「ッ!?」
ボクの指示により再び響く水の大爆発音。サシカマスをさらに水の爆風が襲っていく。
「……やられたわ。ちゃんと意味ある行動だったのね」
「これがジメレオンの得意技ですから!!」
ジメレオン。
ボクのジメレオンはそうでも無いみたいだけど、基本的には面倒くさがりやが多い種であり、代わりにと言ってはあれだけど頭がかなりよく、ワナを使った頭脳戦を得意とするのがジメレオンの大きな特徴だ。
手のひらから出る水分……ボクのジメレオンはこれにみずのはどうの威力を上乗せしているけど、ジメレオンはこの水を綺麗に丸めてその形を維持し、それを至る所にワナとして置くことにより、自分のナワバリを守りつつ自分の得意とする頭脳戦への盤面へと持っていくのを基本的な戦い方としている。また、丸められた水はジメレオンの能力故かまるでゼリーのようにその形を維持し続ける。
ではこの爆発は一体何によるものか。
それはサシカマスがアクアジェットで避けて不発になってしまったみずのはどうたち。
千発打っても当たる気配の見えない攻撃だったが、
どのように配置すればサシカマスの動きを止めることができるか。頭のいいジメレオンだからこそその計算された配置は1度踏み入れた敵を確実に罠で絞め殺す巨大な一種の迷路のようなものになる。あとはこの罠がちゃんと起動するようにサシカマスをその罠地帯の真ん中に飛ばすだけ。そのためにかみつくをわざと受けてもらったという訳だ。
「次!!30から35!!」
「ジメッ!!」
予め番号を付けておいたみずのはどうはジメレオンの指示ひとつで好きなタイミングで起爆できる。その爆風によってサシカマスがどのように吹き飛ぶか計算された上で配置されたみずのはどう……いや、水の地雷と言うべきそれは連鎖して爆発していきサシカマスに更なるダメージを与える。下手に動けず、かと言って動けばさらに誘爆していく地雷たち。ルリナさんの表情も焦りを表していき、ついに我慢の限界か逃げの指示が飛ぶ。
「サシカマス、空に向かって『アクアジェット』!!」
地面に転がっている地雷を嫌って空に飛び出すサシカマス。地雷と言うだけあって地面にしか転がってないので空に飛び出せばもちろんない。けどそれはこっちだって百も承知。ならば先回りするなんてわけない。
「ジメレオン、落とせ!!『みずのはどう』!!」
空中では起動を変えるために使う水の力は地上の比ではない。その力は直ぐに放つことなんて出来ずにため時間を要する。その間を殴るのは素速さの高いジメレオンにとっては容易で、先に空中に飛び出していたジメレオンがみずのはどうを叩き込み地面にたたき落とす。
ちょうど地雷が1番多い所へ。
今までで1番大きな水の破裂音。
その圧倒的な音と爆風に思わず顔を覆ってしまうものの直ぐに飛んでくる水飛沫を払い除けて前を見る。
そこには体を横たわらせて目を回すサシカマスの姿。
『サシカマス戦闘不能!!勝者、ジメレオン!!』
これで2本。
ここ、バウスタジアムのジム戦はターフスタジアムより1匹多い3対3の対戦だ。次が最後の1匹……こちらは3匹フルで残ってるとはいえジメレオンもなかなか削れており、マホミルに至っては戦えるかどうか若干怪しいところもあり、実質戦闘不能と言っても過言ではないだろう。
ジメレオンで次のポケモンをどこまで削れるか。
なんせ次はダイマックスが来るうえ、ルリナさんの発言からして技の組み合わせは今までもやってきてるからもちろんとして、最後の1匹だけ差し替えられてるらしい。流石に限度はあると思うけど警戒するに越したことはない。そんな思考をしている間にサシカマスを戻すルリナさん。
「お疲れ様、サシカマス……やるわね!!本当に見事よ。みんなが強いっていう理由がよくわかるわ」
「ありがとうございます」
「ええ……だからこそ、ジム戦だって言うのにわたし、今物凄く熱くなっているわ!!」
腰から3つ目のダイブボールを取り出す。そして、3匹目を繰り出す前に最初からそのダイブボールへと赤い光が収束していく。
これで1回そのまま出てくるならふいうちで少しでも削ろうと思ってたけどそれすらもやらせて貰えないみたいだ。
「覚悟しておいて……」
赤い光を集めきったボールが肥大化し、ルリナさんの腕の中へ。
「この隠し球のポケモンが起こす大波で、あなた達を果てまで吹き飛ばしてあげる!!カジリガメ、ダイマックス!!」
「ガァァァァァメェェェッ!!!」
投げられた赤い大きなボールから出てくるのはダイマックスカジリガメ。元々巨大な顎が印象的なポケモンがダイマックスしたことによってさらに強調され、あらゆるものが噛み砕かれるのではと錯覚するほどの迫力がある。
着地すると同時に地響きが伝わってくる。同時にサシカマス戦で使われずに僅かに残った地雷たちが全て踏み潰されて破壊される。ダメージはあるはずだけど微々たるものすぎて全然効いているように見えない。
カジリガメの特防は低い訳では無いけどかと言ってとりわけ高い訳でもないから少しくらいはダメージ入って欲しいものだけど……そこはダイマックスの耐久力の高さといったところか。
(みずといわの複合タイプだから今までの相手と違ってみずタイプの技がいまひとつでは無いから通りはいいはずなんだけど……)
まるでちょっと痒いから足を地面に擦る感覚で済ませるあたり体力が高いのかもしれない。けど先程も言った通り今までの相手よりは通りやすいはずだ。
「行くよジメレオン。『みずのはどう』!!」
「カジリガメ、『ダイストリーム』!!」
ジメレオンの両手から水の塊を放つものの、カジリガメから放たれる水の奔流が強すぎてこちらの攻撃が流されてしまう。若干威力を削ぐことはできたもののジメレオンにかなりのダメージが入る。同時にダイストリームの効果によって降り出す雨。
(雨……みずタイプの威力が上がるから向こうの火力は上がるけどこれならジメレオンのもうひとつの特性も生かせそう)
ターフスタジアムにて見せた透明化。もう一度あの作戦が使えそうだ。
「ジメレオン、雨を使って透明━━」
「『ダイアーク』なさい!!」
自分の体の横を何かが通り抜け、後ろで大きな衝突音が響く。
「……え?」
何が起こったか分からず後ろを振り向くとそこには壁に背を預け、目を回しているジメレオンがいた。いや、正確には何が起こったかは分かってはいた。ダイアーク……黒色の波動がジメレオンを打ち抜き吹き飛ばされ戦闘不能。体力の削れ具合から倒れるのは正直妥当と言ったところではある。問題は
『ジメレオン戦闘不能!!勝者、カジリガメ!!』
「戻ってジメレオン……お疲れ様。ありがとうね」
ジメレオンをボールに戻しながら思考の海へ。
カジリガメは速さだけ見ればそこそこのポケモンだから素の素速さはジメレオンの方が速い。事実同時に行動した時にカジリガメのダイストリームよりもジメレオンはみずのはどうを速く打ち出していた。だからこそ透明化を指示したのにそれよりも速くダイアークを打たれた。
(ダイアークにふいうちみたいな能力はなかったはず。なんで……)
三体目を繰り出すために腰のホルダーからこちらの最後のポケモンを取り出しながらああでもない、こうでもないと頭を働かせていくものの、一向に答えが出てこない。とりあえず落ち着こうと深呼吸を一回。雨と先ほどの地雷のせいでモンスタボールも結構濡れてしまっていたので袖で水をぬぐって……
(まてよ……)
空を見る。
しとしとと降る雨。
相手はみずタイプのジムリーダー。
となれば答えは一つ。
「そういうことか……」
「ふふふ……私の隠し玉、気に入ってくれた?」
「ええ、そうですね……
「だから隠し玉なのよ」
特性すいすい。天候が雨の時に素速さがかなり上がる特性。
ボクが調べた中ではカジリガメの特性はがんじょうあごか、シェルアーマーのどちらかしか知らない。というかすいすいの個体なんて初めて聞いた。隠し玉というのはこういう事なのだろう。
確かに強い。すいすいのポケモンが自分で攻撃しながら雨を降らせているんだからその効率は計り知れない。ダイマックスとの相性はとてつもなくいい。けど、だからと言って負けていい理由にはならない。
(絶対勝つ!!)
ターフスタジアムでは少し小細工をしてから行ったけど今回はそんな余裕なんてない。初めから全力で行こう。
『さあ行くよ……君に託す!!キルリア、ダイマックス!!』
『キルウウウウウウッ!!』
ダイマックスしたキルリアがカジリガメに並び立つ。二回目のトレーナー同時でのダイマックス対面。ただ申し訳ないけどここでも安定をしっかりとっていく。すいすいでただでさえ素速さが上がっているのに雨で威力も上がっているんだからせめてダイマックスの一撃だけは受けたくない。
「『ダイストリーム』!!」
「『ダイウォール』!!」
カジリガメのダイマックス最後の攻撃をしっかりと受け切ることによって相手を元の大きさに戻していく。これで相手の耐久力は元に戻っていく。ただ素速さに関しては小さくなったゆえに小回りが利いてこちらの攻撃は避けられやすくなっている。今もその図体に見合わないありえない速さで駆け回っている。
「『シェルブレード』!!」
「『ダイソウゲン』!!」
しっぽに水の刃をまといながら急接近して足を狙ってくる。
今から防ぐのは間に合わないからここはダメージ覚悟でカウンター。くさタイプのエネルギーを拳にまとわせ思いっきり地面を殴るが、カジリガメの素速さが思いのほか速すぎて拳が直撃する前に範囲から逃れられてしまう。しかしダイソウゲンの効果であるグラスフィールドの展開の余波が辺りに広がっていき、その爆風にカジリガメが晒される。たかが余波だけどカジリガメにとってはみず、いわの両方が弱点とする天敵とも言えるタイプの技。広がった草原の上を何とか受身をとりながらも転がっていくカジリガメ。決めるなら今しかない!!
「キルリア、畳み掛けて!!『ダイソウゲン』!!」
「カジリガメ踏ん張りなさい!!『シェルブレード』よ!!」
態勢が崩れているカジリガメにトドメと言わんばかりに右手を緑に光らせて殴りぬこうとするキルリアに何とか立ち上がり尻尾の刃を突きつけるカジリガメ。お互いの技かぶつかるもののタイプの相性のせいか、カジリガメが押され吹き飛ばされる。
激しい音を立てながら吹き飛ばされるカジリガメを見つめるキルリアは、ダイマックスが切れたためもとの大きさへ。みんなの視線はカジリガメへと向けられる。
超弱点のダイマックス技の直撃。誰しもが決着を感じていた。しかし……
「っ!?キルリア、防御!!」
「キルッ!?」
煙の中から弾丸の如く駆け出した何かが水の刃をキルリアにぶつける。何とか腕で防御したものの、雨で威力が、すいすいでスピードが上がった攻撃が直撃してしまいボクの足元近くまで吹き飛ばされる。
「なんで耐えられるんですか……」
「隠し球だから、よ」
視線の先にはボロボロになりながらもこちらを見つめるカジリガメと得意げに頷くルリナさん。
(シェルブレードで威力を削りながらすいすいで上がったスピードで後ろに飛んで衝撃を逃がしきってる……ほんと、なんて技術……)
隠し球。なるほどその発言に一切の偽りなしだ。
「キルリア、大丈夫?」
「キル!!」
すぐに起き上がるものの決して小さくないダメージ。けど、まだまだ戦える。
「さぁ、お互いダイマックスはもうないわ。あとは真正面からの殴り合いよ」
「ですね……」
お互いのポケモンが睨み合う。
「カジリガメ、『シェルブレード』」
「キルリア、『マジカルリーフ』」
静かに放たれる指示。カジリガメは尻尾に水の刃を纏わせ、一方キルリアは両手に不思議な色をした葉っぱを繋ぎ合わせ、葉っぱでできた刀を作るという擬似的なリーフブレードのようなものを作り上げる。2本の草でできた刀を逆手に持って構えるその姿はなにかによく似ている。これまた遠距離が強くないボクのキルリアによる特殊運用。
お互いのポケモンが刃を構え再び睨み合い。
「「いけ!!」」
「ガメ!!」
「キル!!」
お互い同時にかけ出す。先に攻撃するのはすいすいで速くなっているカジリガメ。あっという間に距離を詰めて袈裟斬りの角度でしっぽを振るう。それを右手のマジカルリーフブレードで受止め左手で返すキルリア。一方カジリガメは防がれたのを確認して直ぐに距離を少しとり、かと思えばキルリアの左手の攻撃から逃げるようにキルリアを半円を描くように回り込んで今度は回転斬りのように打ち込む。左手が間に合わないと悟ったキルリアはこれを屈んで回避。振り向きながら右手の刀を振るう。
「キルリア、上!!」
「キル!?」
しかし振るわれた刀を跳んで避けたカジリガメは真上からしっかりとこちらに狙いを済ませている。
「叩きつけなさい!!」
「刀で守って!!」
豪快に縦回転しながら叩きつけられるシェルブレードを刀をクロスさせて受け止めるが威力が高すぎて吹き飛ばされる。
(こっちもグラスフィールドで威力は上がってるけど向こうの雨の恩恵がデカすぎる……単純な力勝負だと負けちゃう……)
少しフラフラしながらも立ち上がり、再び刀を構えるキルリア。シェルブレードはもう何発も喰らえない。
「カジリガメ、トドメよ!!」
勢いに乗っているカジリガメが、最後の力を振り絞り勢いよく駆け抜けてくる。
(なにか手を打たないと……なにか、なにかいい手は……相手のカジリガメだってもう辛いはずなんだ。あと1回マジカルリーフを当てられたら……けどすいすいで速くなってるカジリガメに攻撃を当てるなんて至難の業。こんな時ヤローさんなら上手く当てられ……)
そこまで考えて頭の中で何かが閃いた。
(そうだ、これなら!!)
「キルリア!!
「キル!!」
手に持った刀を2本ともカジリガメに勢いよく投げる。投げられた草の刀は激しく回転しながらカジリガメの方へ。当たればもちろん致命傷……だが。
「今更そんな攻撃に当たらないわ!!カジリガメ!!」
「ガメェッ!!」
走りながら器用に回転斬りを放ち2本とも弾くカジリガメ。弾かれた刀はあらぬ方向へ飛んでいく。
「『シェルブレード』!!」
「ガァァメェェェェッ!!」
「キルリアッ!!」
「キルゥゥッ!!」
そのまま勢いを殺さずクルクル回りながらキルリアに向かってトドメのシェルブレードを放つカジリガメ。慌てて新しいマジカルリーフの刀を両手に作り出し、地面に突き刺して何とか受けとめる。クロスさせていた時よりもしっかりと受け止めてはいるものの向こうもスピードを乗せに乗せた渾身の1発のせいか、徐々に後ろに下げられている。このままじゃあ撃ち負ける!!
「カジリガメ、押し切って!!」
「ガメェェェェェエ!!」
「まだ強くなるの!?」
「キルッ!?」
ルリナさんの指示を聞き、さらに力を込めるカジリガメ。いよいよ受け止めきれずに草の刀は壊れかけ、キルリアの体が浮き始める。
「決まる!!」
ルリナさんの言葉が聞こえた。その時……
「ガメッ!?」
「カジリガメ!?」
カジリガメの背中に
カジリガメに弾かれた時、キルリアが
カジリガメの動きが……力が……一瞬止まる。
「キルリアぁぁぁぁぉぁぁっ!!」
地面から刀を引き抜き、刀の形を整えて左手で一撃……右手で一撃……。2回切りつけながらカジリガメの後ろに走り抜ける。カジリガメはまだ耐える。
だから両手の刀とカジリガメに刺さった2本の刀。その全ての草を束ねて1本の巨大な草の刀に仕上げる。
「いっけええええぇぇぇぇぇ!!」
「キィィィィィ、ルゥゥゥゥゥッ!!」
大きな草の刀を握りしめて、上段に構え、真っ直ぐ振り下ろし叩き付ける。
紫色と緑色が混じり合い、輝いて見える巨大な草の刀がカジリガメを一刀両断する。
「……」
「……」
刀を振り抜いた状態で止まるキルリアと、1歩も動かないカジリガメ。
まるで時が止まったかのように動かない両者。しかし、そんな静寂も直ぐに破られる。
「ガ……メ……」
カジリガメの、地面に伏す音によって……。
『カジリガメ戦闘不能!!勝者、キルリア!!よってこの戦い、フリア選手の勝利!!』
「キルゥゥゥゥゥゥッ!!」
雨上がり……差し込んだ日差しの中で、キルリアが刀を天に掲げ、まるで勝鬨をあげるかの如く吠えた声が、スタジアム中に響いた。
アクアジェット
アニメでショータがアクアジェットの面白い使い方をしていたのでそちらを参照。
サシカマスなので地面は滑れるけどまだ空中を飛ぶほど火力はない感じです。
忘れてるかもですがここまだ2つ目のジムなので……
これが後半でカマスジョーなら空飛んでたかも……?
罠
剣盾の図鑑説明と最近のアニメでジメレオンが水の果実みたいなものを洞窟に設置して罠みたいにしてましたね。
あれの強力版と思っていただけたら。
すいすい
カジリガメのすいすいは夢特性なので本来ならここでは出てきません。
というか、出てきたら難易度かなり上がる気が……
だからこそキョダイカジリガメが惜しすぎる……キョダイガンシンがいわ始動なら普通に強かったと思うんですけど何故かみず始動なんですよね……
追加効果ステロならいわで良かったのでは?と。
おかげでタイプ一致どちらも打てないんですよね。ダイロック打つと砂嵐になって雨消えちゃう癖にキョダイガンシンだと雨降らない……
間違いなくルリナさんのパートナーになったのが原因なのでカジリガメ好きの方はルリナさんを恨みましょう()
ちなみにトサキントとサシカマスは元々の特性がすいすいです。
なので実はトサキントが雨乞いしてたらとんでもない事になってます。
おそロシア……
なぜしなかったかと言うと忘れてるかもしれませんがここまだ2つ目の(ry
ダイウォール
ガチ勢の方なら多分ここでキルリアダイマックスではなく、マホミルで受けてから死に出ししてると思います。
けど、流石にストーリー的には可哀想なので却下。
ご了承ください。
マジカルリーフ
問題児キルリアは遠くに放つと威力が一気に下がるのはこの技も適応されます。
なので葉っぱを固めて刀にし、逆手で二刀流。
……もうあれにしか見えませんよね。
隠す気はありません。
どうでもいいけど書いてて最後のキルリアの叫び声がkillに聞こえた方、私もそう見えました()
ちなみにこちらが今回の技構成になっています。
トサキント
みずのはどう
うずしお
つのでつく
こうそくいどう
サシカマス
アクアジェット
かみつく
うずしお
みだれづき
カジリガメ
シェルブレード
みずでっぽう
かみつく
ずつき
VS
マホミル
ドレインキッス
りんしょう
てんしのキッス
あまいかおり
ジメレオン
みずのはどう
とんぼがえり
ふいうち
なみだめ
キルリア
マジカルリーフ
ドレインキッス
サイケこうせん
かげぶんしん
前回と違って使ってない技もありますが、実は今回はルリナさんの方は実機と技構成は全く一緒です。
いじらなくても普通にいい技多い……
実機と違うのはカジリガメがすいすいということだけですね。
実機だとシェルアーマーか、がんじょうあごなんですが……そこはちょっと調べきれませんでした。申し訳ありません。
ちなみにルリナさんのポケモン、カジリガメ以外全員♀なのでマホミルのメロメロ作戦も通用しないという……
なので預かり屋で活躍したメロメロはなくなっています。
何はともあれ、バウスタジアム編、決着です。
6/10追記。
感想にてご指摘いただき、改めて調べ直したところなんとこの時点のカジリガメは特性が実機でも「すいすい」でした。
まさかこの時点で夢特性が敵側で出てくるとは全く思ってもなかったので思い込みで誤情報を流してしまいました。
ひとえに作者の調査不足です。
誠に申し訳ございませんでした。
ただ、今から手直しとなると定期更新できるかどうか怪しく、バトルの手直しも間に合いなさそうなのでこの作品では「普通の挑戦者に対しては「シェルアーマー」or「がんじょうあご」を使用しているが主人公に対しては「すいすい」を使ってきた」という設定で進めたいと思っています。
これからも度々、作者の調査不足で誤情報が出る可能性があるかもしれませんがそれでもこの作品を楽しんで頂けたらと思います。
もちろん、今後起こらないようにさらに下調べは重ねますが……
とにかく、今回は間違った情報故に不快に思った方がいらっしゃるかもしれません。
その方に改めて謝罪を、そして情報を提供してくださった方に多大なる感謝を。
これからもこの作品に付き合って頂けたらと思います。