【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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230話

「ブラッキー!!」

 

 開幕いきなりダイマックス。そんな思いっきりのいい作戦に度肝を抜かれてしまったボクは、相手からの強烈な一撃を許してしまう。ブラッキーにとって効果抜群であるフェアリータイプのダイマックス技。ただでさえとてつもなく痛いその攻撃を、フェアリー技が得意なギャロップによって叩き込まれるというおおよそ最悪の展開。そのことに、ボクの心は穏やかでは無い感情に包まれていく。

 

「よし……まずはいい出だしです……!」

 

 一方で、作戦通りことが運んだと思われるセイボリーさんの表情は少し明るい。彼にとって、自身の技を一方的に防ぐことの出来るブラッキーはかなりきついから、こうしてでも落としておきたかったのだろう。

 

(『みらいよち』はブラフ……ボクがアーカイブで『みらいよち』への警戒を上げると信じてのこの采配か……ヤドランのモーションをボクに見せたのはブラッキーを釣り出すためってわけだ。そんでもって、その釣り出したブラッキーが、また何かしらの展開でボクの控えに戻ることすら嫌った。だからこそ、ここで確実にブラッキーを仕留めるためのダイマックス切り……思いっきりがよすぎるけど、確かに効果覿面だ……!!)

 

 セイボリーさんの奇策はボクの出鼻を綺麗に挫いた。その証拠に、ダイフェアリーによる爆風が消えたその中心点にいるブラッキーは、さっきの一撃がかなり響いてしまい、その身体を大きくふらつかせていた。本来なら防御にとても定評があるはずなのに、その自慢の耐久力が既に心許ないことになっている。いや、ブラッキー以外ではそもそもこうやって立つことすらできなかった可能性が高い。

 

「ブ……ラ……ッ」

(……さて、どうする?)

 

 ダイフェアリーの効果で足元にミストフィールドが展開されていく中、今のブラッキーにできることを考える。

 

 回復技は無理だ。間に合わない。同じ理由で交代も出来ない。ギャロップが既にダイフェアリーの次弾を構えている以上、たとえ交代できたとしても裏に多大な負担をかけてしまう。そうなると今できる最前の手は……

 

「ごめん、ブラッキー」

「……ブラッ」

 

 ボクの言葉に対して、無理をしてでも元気に返事を返すブラッキー。今の自分の状況を悟って、自らその役を担ってくれるということだろう。本当に賢くて自慢の仲間だ。だからこそ、ブラッキーをここで切らざるを得ないことに、大きな悔しさを感じてしまう。

 

 けど、こういう判断もしっかりしないと勝てるものも勝てない。

 

(ただでさえ初手ダイマックスっていう奇策で一気に流れを持っていかれているんだ……この辺りの判断は間違っちゃいけない!!)

 

「ブラッキー!!『でんこうせっか』!!」

「ブ……ラッ!!」

「ギャロップ!!『ダイフェアリー』です!!」

 

 

「ルロォォォォォッ!!」

 

 

 軋む身体に鞭を打って、高速でフィールドを駆け回るブラッキーと、そんなブラッキーに向かって降り注ぐ無数のダイフェアリー。地面に着弾する度に爆発するギャロップの攻撃を、紙一重で何とか避けながらギャロップへ接近したブラッキーは、距離が充分詰まったところで大ジャンプ。目線をダイマックスのギャロップと合わせることに成功した。ただし、こうしている間にもダイフェアリーは降り注ぐ。空中に飛び出している時点で次のダイフェアリーは避けることが出来ないし、この間にブラッキーができることなんてひとつ技を打つだけだろう。

 

 そのひとつの技は、しっかりと先のことを考えて決める。

 

(今ブラッキーが使える技で、ここで選ぶべきは一つだけ……!!)

 

「『でんじは』!!」

「ブラッ!!」

 

 選んだ技はでんじは。相手に微弱な電気を流して、身体を痺れさせることによって、今後の動きを阻害するための技。

 

 ギャロップは足の速いポケモンだ。その素早さを活かしてフィールドを駆け回り、速度を利用した鋭い一撃を放つことを得意としている。そんなギャロップだからこそ、素早さを削られるのはかなりきついはずだ。ダメージを与えられる時に与えるべきという考えも分からなくは無いが、ブラッキーは耐久は光るものがあるけれど、攻撃面に関してはあまり強いとは言えない。そんなブラッキーが、ダイマックスによってさらに耐久の上がっている相手に攻撃しても効果はほとんど無いだろう。なら、相手に致命的な状態異常をぶつけて、後続が有利に立ち回れるように場を作ってあげた方が建設的だ。

 

 

「ルロッ!?」

 

 

 ダイマックで身体を大きくしているギャロップに、この電波を避けることは出来ずにしっかりと突き刺さってまひを与える。これで足を奪うことに成功した。

 

「ブラッ!?」

 

 しかし、でんじはを空中で行ったことによって、次の行動ができないブラッキーもまた、天から降り注ぐダイフェアリーに対して何も出来ずに、無防備なところに技を直撃させてしまうこととなる。技によって空中から叩き落とされたブラッキーは、そのまま地面を何回かバウンドしてボクの近くまで飛ばされる。

 

「ブラ……」

 

 

「ブラッキー、戦闘不能!!」

 

 

 これだけのダメージを受けてしまえば、さすがのブラッキーだって耐え切ることは出来ない。ボクの目の前で身体を横たえたブラッキーは、目を回して小さな声を発していた。

 

「本当にごめんね、ブラッキー……」

 

 そんなブラッキーを抱きしめて、身体を何度か撫でた後にボールの中へと戻していく。

 

 ブラッキーのボールを腰のホルダーに入れて、前を見上げるボク。その視線の先には、未だにダイマックスエネルギーを保持して、ダイマックス状態のままこちらを見下ろすギャロップの姿。まひによって身体が少し不自由なのか、時折表情を歪めてはいるものの、その立ち振る舞いはこちらを威圧するには十分だ。

 

 そんなギャロップを見て、ボクは次にどうするかを考える。

 

(この状況、どっちが正解かな……)

 

 このギャロップとの戦うプランは2つ。

 

 1つは、ダイマックスを切って早々に倒してしまうこと。こちらの方が後出しになるため、ダイマックスが切れたギャロップに向かって攻撃を当てることが出来る。そうすれば間違いなくギャロップを落とし、イーブンに戻すことが出来るだろう。今回において、表択と言うべき安定行動だ。あと1発残っているギャロップのダイマックス技も、こちらのダイマックスで安全に受け止められるのも評価できるポイントだ。

 

 では気になるもうひとつのプラン。それは、ここでダイマックスを切らずに、何とかしてこのギャロップの一撃を耐え、ダイマックス権をバトルの後半に送るというもの。正直かなりリスクは高い。次のギャロップの一撃でこちらの次のポケモンが倒れようものなら、今度はこちらがダイマックスを切った時にセイボリーさんのポケモンを3人倒さなくては精算が取れないレベル。たとえ倒されることがなくても、1つミスすればこちらに致命傷が入る。が、通ればこのバトルの流れを根幹から覆せる一手になる。

 

(安定を取るか……賭けに出るか……)

 

 どちらが正解かと聞かれたら間違いなく前者だ。ここが大会の場で、相手がボクと同等近くの強さであることを考えても今ここで無茶をする必要は一切ない。ブラッキーがまだ1人目の脱落者であり、相手がまだ誰も落ちていないというバトルの序盤の展開だということも加味しても、本当に理由がない。これが、相手がどうしようもなく格上が相手で、そもそもの勝算がないなら試す価値はあったかもしれないけど、少なくとも今は違う。

 

(落ち着け……いきなりダイマックスを切られてボクの思考も混乱しているんだ。勝負に出るとしても今じゃない。冷静に……冷静に……)

 

 いきなりダイマックスを切られたことや、エスパータイプ使いに一番有利なブラッキーを早々に落とされたせいで、ついつい思考が博打を打とうとする方向に流れそうになるのを何とか抑える。

 

(安定択は間違いなくダイマックスを切ること。元々ダイマックスは後に切るだけで有利なんだから、今でも十分巻き返せる。なら……!!)

 

 深呼吸をして頭の中を落ち着けたところで、ホルダーから次のボールを取りだしたボクは、ダイマックスエネルギーをボールに送り込む。

 

 バトル序盤でのダイマックスバトル。

 

 まさかの珍しい展開に、本来なら後半のガス欠を危惧して若干荒れる可能性のある試合内容にもかかわらず、観客たちの声援は下がることなく鳴り響く。恐らく、1回戦での全員に腕前を理解したからこそ、例えここでこの手札を切っても、まだまだ凄いことをしてくれるという1種の信頼が有るのだろう。それに応えられるかは分からないけど、最低限このバトルでは、セイボリーさんに勝つために今できる最高のパフォーマンスを魅せることを心に決めてボールを送る。

 

「いきなりで吃驚だよね……でも、キミなら行ける。信じてる!」

 

 光を吸収したボールが大きくなり、片手で持てなくなる。そんな巨大な赤い球を、ボクは渾身の力を込めて空へと投げた。

 

 

「キミに託す。だから絶対勝って!!エルレイド、ダイマックス!!」

「……エルッ!!」

 

 

 空中で開かれたボールから飛び出してきたのは、赤い光を受けて、目の前のギャロップに対してゆっくりと両腕の刃を構えるエルレイド。その両の刃に黒色のオーラを纏っていく。ボールの中にいる時からこの戦況を見つめており、自分が何を指示されるのかを最初から理解してくれているからこその行動。そのことに少しだけ頬を緩めながら、エルレイドが予想している通りの技を選択する。

 

「『ダイアーク』!!」

 

 

「エルッ!!」

 

 

 ボクの指示を受けてすぐに両腕から黒いオーラを解き放ち、目の前のギャロップに向けてたたきつけるエルレイド。技の準備をしていただけあって、想像よりも速く飛び出したその技は、ギャロップに反撃の隙を与えない。

 

「『ダイウォール』です!!」

 

 

「ルロッ!!」

 

 

 技による相殺が間に合わないと判断したセイボリーさんは慌てて防御を選択。ギャロップの身を守るように現れた透明なシールドは、エルレイドからの攻撃をしっかりと受け止めていなしていく。

 

(いい反応……)

 

 なかなかの速度で打ち出されたはずの攻撃は、見ての通りかろうじてとは言えしっかりとギャロップに受け止められてしまい、ノーダメージとなってしまう。その証拠を突き付けるかのように、黒いオーラは透明なバリアと激しい音を響かせ合いながらはじけ飛び、お互いのダイマックスポケモンが少し後ろに下げられる。これでお互いの距離が空き、仕切り直しだ。

 

(けど、これで相手のダイマックスが切れる!!)

 

 此方は1回目の技使用だけどあちらは3回目の技の使用だ。ダイマックスのリミットを迎えるのはあちらが先。あとは、ギャロップが小さくなったところにこちらのダイマックス技を叩き込めばいい。早速その準備をするために、再びエルレイドにダイアークの準備をさせ……

 

「戻りなさい!!ギャロップ!!」

「!?」

 

 ギャロップのダイマックスが切れるよりも速くセイボリーさんが手持ちに戻し、次のボールを構えた。

 

「オーベム!!行きなさい!!」

「ベム……」

 

 現れたのはオーベム。茶色の身体をした浮遊体は、ダイマックスをしたエルレイドを前にしても特に何か反応をするわけでもなく、いつも通りの態度をとっていた。

 

(ここに来て交換……?けど、やることは変わらない!!)

 

 どちらにしろ、相手がエスパータイプの使い手である以上こちらの最高打点はエスパーに弱点をつける技だ。こちらが放つ技は特に変わらないので、この準備は無駄にならない。

 

「もう1回『ダイアーク』!!」

 

 エルレイドも理解してくれているので、特に動揺することなく技を再び発射。黒いオーラの塊が真っすぐオーベムに向かって飛んでいく。

 

「『リフレクター』です!!」

「……そういう事か」

 

 そんな迫りくる弱点の技に対してオーベムがとった行動はリフレクター。物理技を半減に抑えるこの技は、しばらく場に残って使用者のパーティをやさしく守る壁となる。

 

 ダイマックスが切れるよりも速くギャロップを戻したのはこの壁を素早く張るため。これによって、本来なら大ダメージを受けるはずの技をしっかりと抑え、こちらのダイマックスによる被害を最低限に抑えるのが目的というわけだ。

 

 結果論の話になってしまうけど、こうなるのならダイマックスはもうちょっと温存しておいてもよかったかもしれない。オーベムの技構成をわざわざ変えているあたり、おそらくこの展開こそがセイボリーさんの望んだ展開なのだろう。

 

「オーベムが生きている間にダイマックスを切ってくれてよかったです。突飛な作戦はあれど、冷静な時はとことん冷静なあなたの事、序盤は冒険しないと信じていました」

「……本当に研究してきたんですね」

「あなたに勝つためなら……どこまでも……!!」

 

 その発言と共に目の色をぎらつかせるセイボリーさん。ボクも技の構成を少し弄ることはあるけど、いわなだれにテレポート、メテオビーム、そしてサイコキネシスと言ったガン攻めスタイルだったものをこんなに変えるのはなかなかない。なんせ立ち回りそのものが変わるから、そのための練習や動きを考える必要があるからだ。『ただ壁を2回張るだけなのでは?』と思う人も多いかもしれないけど、セイボリーさんはダイマックス技を受け、そのうえで後続に続けるためにこの技構成にしている。それはつまり、このオーベムが活躍できるかどうかは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にかかっている。できなければ、ポケモン1人が置物になるも同義だ。

 

 そのタイミングをしっかりと読んで、ぶっつけ本番で成功させてきた。

 

(それだけボクの動きや思考を何回も考えてきたってことだよね……)

 

「エルレイド!!『ダイアーク』!!」

「オーベム!!『ひかりのかべ』です!!」

 

 三度エルレイドから飛んでいく黒色のオーラに対して、今度はひかりのかべを張るオーベム。ひかりのかべは特殊技を抑えるための技だから、今エルレイドが放たったダイアークに対しては意味がないし、リフレクターがあるとはいえ、物理防御に対して自信があるわけではないオーベムでは耐えることはできず、この技で落ちることにはなるだろう。その予想通り、黒いオーラがオーベムにぶつかり、爆ぜた後に残ったのは目を回したオーベムの姿。

 

 

「オーベム、戦闘不能!!」

 

 

 これで残りポケモン自体はイーブンになったけど、オーベムとブラッキー、それぞれが行った仕事量があまりにも違いすぎる。ブラッキーがギャロップをまひさせたのに対して、オーベムが行ったことは2つのかべをしっかりと場に残すこと。このせいで、これからこちらが行う攻撃は、そのほとんどが半減されることになる。

 

(それに、この戦法を取ったということは、おそらくオーベムには『ひかりのねんど』を持たせているはず。この壁が消えるのはかなり後と考えてよさそうだね……)

 

 この壁を乗り越えるのならかなりの威力が必要になるけど、その威力を簡単に出すことの出来るダイマックスはオーベムを落とすのに使いきってしまった。エルレイドの姿も、程なくして元の大きさに戻ることになるだろう。

 

「行きますよ、ヤドラン!!」

「ヤァド」

 

 そんなタイミングでセイボリーさんが繰り出してきたのはヤドラン。奇しくも、巡り巡ってバトル開始の状態に戻ってきた対面となる。が、あの時と違うのは、ヤドランの体力が少し削られていることと、セイボリーさん側にリフレクターとひかりのかべが貼られていること。ヤドランの体力も、削れているとは言ってもサイコカッターが1回当たっただけ。オーベムと違って、物理方面を受ける方がまだ得意なヤドランは全然ピンピンしている。1度ボールに戻って休んだのも、ヤドランとしては精神的に大きいかもしれない。

 

(完全に場は整えられてる……)

「エル……ッ」

 

 ダイマックスが切れ、エルレイドが元の大きさに戻りながら、少し嫌そうな声を上げる。今の状況があまり良くないということを理解しているのだろう。

 

「守りは万全!!行きますよヤドラン!!『みらいよち』!!」

「『サイコカッター』!!」

 

 こちらのダイマックスが切れると同時に、天に向かって何かを呟くヤドランの姿。それを見てすぐさまエルレイドが虹の刃を放つものの、それらは全て、ヤドランの前にたちはだかる壁によって、威力を大きく削られた上でヤドランに到達する。分かっていたこととはいえ、これでは致命傷にはならない。と、同時に、セイボリーさんの攻撃プランがようやくわかってきた。

 

(セイボリーさんはこのまま『みらいよち』をふんだんに絡めてこちらを攻めるつもりなんだ……)

 

 みらいよちは未来に攻撃を予知する兼ね合いで、技が発生するまでに時間がかかる。けど、そのデメリットを補えるくらいに威力が高い。また、このラグを上手く利用することでとても避けづらい波状攻撃を仕掛けることも可能な技だ。しかもこの技、なんとまもるやみきりといった、自身を技から守るタイプの攻撃を無視できる。みがわりがないと、基本的に攻撃を誰かしらが受けることとなってしまう。

 

 高威力且つ、タイプ一致の強力な技が、だ。

 

 だが、技である以上タイプ相性というのが存在し、エスパータイプの技であるためあくタイプのポケモンにはどうしても勝てないというのは揺るがない。なので、最悪あくタイプのポケモンを場に出せば、無傷で攻撃をいなすことは可能だ。

 

 だが、今のボクにはその行動も許されていない。

 

(ボクがブラッキーで『みらいよち』を対策することを予見して、その上でギャロップにその対処を任せ、通ったら自分の防御を磐石にして『みらいよち』で攻めまくる。ボクにはブラッキーがいたけど、逆に言えばエスパータイプの技を半減以下で抑えられるのはブラッキーしかいない。ブラッキーが居ない今、ボクのパーティにはエスパータイプの技が一貫している。それを最初から狙ってたんだ)

 

 エスパータイプに弱点をつけるポケモン自体はこちらにも何人かいるけど、受けるという点では、こちらはタイプでそれを行うことはできない。そしてこちらの攻めに対しては壁で対処する。

 

(本当に完璧なプラン……一体どれだけボクの研究に時間をかけたんだろう……)

 

 セイボリーさんと共に旅をした期間は決して長い訳では無い。ジム2つ分の道のりを一緒にいただけだ。それなのに、ボクの思考パターンをしっかりと研究して、こんなにも完璧な作戦を立ててきている。

 

(分かっていたつもりだったけど、本当にただの『つもり』だった……)

 

 ボクの中で、セイボリーさんへの警戒度が跳ね上がる。

 

(応えなきゃ……ッ!!)

「エル」

 

 そんなボクの心の機微を悟ったエルレイドは、小さく声を上げてながら肘の刃を伸ばしていく。

 

「『つじぎり』!!」

「エルッ!!」

 

(遠距離がダメなら、近距離で殴る!!)

 

 ボクの指示とともに、肘に黒いオーラをまといながらダッシュするエルレイド。ヤドランに対して効果抜群であるこの技なら、たとえリフレクターで伏せがれたとしても悪くないダメージは入るはずだ。それに、つじぎりは急所に当たりやすい技でもある。急所を捉えた技は、たとえ壁が間に入ったとしても、その効果を無視してダメージを叩き込むことが出来る。期待値も高いこの技なら、現状かなり固くなっているヤドラン相手にでも善戦はできるはずだ。

 

「ヤドラン!!『シェルアームズ』!!」

 

 対するヤドランは左腕の砲台から毒の弾丸を複数発射。こちらの進撃を止めるように打ち出されたそれは、鋭く、そして素早い。しかし、エルレイドの集中力がそれを上回っており、飛んでくる毒弾を切り裂きながら駆け抜ける。ヤドラン自身の素早さが遅いこともあって、みるみる詰まっていくエルレイドとの距離は、程なくしてゼロになることだろう。そうなればエルレイドの間合い。一気に攻撃を叩き込むことが出来る。

 

「……ッ!?下がって!!」

「エルッ!?」

 

 が、その直前で嫌な予感を感じたボクはエルレイドに撤退を指示。エルレイドが慌てて下がったところで、エルレイドがいた場所に向かって沢山の光の弾が降り注ぐ。みらいよちによる時間差攻撃だった。

 

 この技を避けるために下げられてしまったエルレイド。再び距離が空いてしまったので、ヤドランの距離となる。

 

「ヤドラン!『みらいよち』!!」

「ヤド……」

 

 そして再び放たれるみらいよち。

 

(厄介……)

 

 アーカイブでわかっていたとはいえ、やっぱり時間差の攻撃がとても厄介だ。

 

「まずはこれを攻略しないとね……セイボリーさん、ボクの『みらいよち』対策がブラッキーだけじゃないってことを、教えてあげます!!」

「エルッ!!」

 

 セイボリーさんに宣戦布告をしながら、ボクは右手の指で、自身の太ももを定期的に軽く当てながらエルレイドと構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オーベム

今回は壁張り。実機のフルバトルで強いのかはわかりませんが、少なくとも弱くはなさそうですよね。

みらいよち

やっぱりいつ考えても厄介な技。実機ではあまり見ませんが、リアルでこれをされるとかなりきつそう。




アニメでヨノワールを見て、『相変わらずカッコいい』とついつい声が漏れてしまいました。本当にかっこいい……

あと、次回の更新についてお知らせを。

もしかしたら次話、もしくは次々話に関しては、諸事情で遅れる可能性があります。その際、どれくらい遅れるかの目安がないので、下手をすれば一週間遅れるなんてこともあるかもしれません。ご了承くださいませ。




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