【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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235話

「いくよインテレオン」

「レオッ」

 

 場に出ると同時に気合いの入った声を上げたのは、ボクの5人目であるインテレオン。いつもクールな彼が、マホイップとモスノウの頑張りに押されてか、気合いの入った声を張り上げる。心做しか、指先にたまる水が少し漏れているようにも見える。それだけこのバトルに気持ちが籠っている証ということか。

 

「フーディン……まだ、行けますか?」

「……フッ!!」

 

 一方で、息を切らせながらも何とかやる気だけは途切れさせないように気を張っているフーディンとセイボリーさん。マホイップからのダメージもそこそこに受け、そしてそれ以上に大量のクリーム操作と、長距離テレポートによる疲れが身体を蝕んでいるため、動くのがかなりしんどそうに見受けられる。

 

「回復される前に攻め落としちゃおう!インテレオン!!『ねらいうち』!!」

「レオッ!!」

「『サイコキネシス』です!!」

「フッ!!」

 

 体力的優位はこちらにある。その優位を維持するために、相手に休憩の時間を与えずに仕掛けていくように指示を出したボク。これに従ったインテレオンは、右手人差し指をまっすぐフーディンへと向け、水の弾丸を3発放った。その弾丸の速度は凄まじく、音を置き去りにするのではと思ってしまうほど。だが、スピード勝負には慣れているフーディンも、すかさずサイコキネシスのバリアを貼ることでこの3つの弾丸を逸らし、事なきを得る。いくら疲れているとはいえ、これくらいならまだ何とかなるレベルみたいだ。

 

「なら……インテレオン!!クリームを手に!!」

 

 攻撃を防がれたこちらが次にした行動は、先程マホイップが使って、そのまま放置となっていた水色のクリームを両手につけるというものだった。

 

「また何か変なことが来ます!!警戒を!!」

「フゥ……」

 

 その行動にまた警戒度を一段階あげて、こちらをずっと見つめてくるフーディンたち。けど、そんな彼らの行動なんて気にもせず、ボクはインテレオンに向かって考えていた通りの行動をしてもらうように告げる。

 

「『アクアブレイク』で飛ばして!!」

「レオッ!!」

 

 ボクの指示を受けたインテレオンは、クリームが着いた両手に、クリームのさらに上から両手を包むように水を纏い、構えと準備が出来たと同時に、水を纏った両手を素早く振り抜いた。すると、水の塊で圧縮されたクリームが、腕を振るわれたことでインテレオンの両手から離れ、水に閉じ込められたまま飛ぶ斬撃の形に変形。そのまま真っ直ぐフーディン目掛けて突き進み始める。

 

 右手は上から下に、左手は右から左にと、十字を描くように振られた腕と同じ形に伸びた斬撃が飛ぶ。その様は、エルレイドが得意とするサイコカッターを水で真似たようなものに見えた。

 

「本当に手札が多いですね……ですが遠距離ならまだ何とかなりますし、クリームを閉じ込めたところで格段に威力が上がっているとは思えません!!『サイコキネシス』です!!」

「フッ!!」

 

 いきなり放たれたクリームとの合体技。その意外性に最初こそ驚きの表情を見せるものの、よくよく考えたらそんなに驚異では無いことに気づいたセイボリーさんが落ち着いて防御を指示。セイボリーさんの声で落ち着きを取り戻したフーディンも、すぐさま自身の周りに念動の守りを敷いて、水とクリームの刃に対する盾を作る。これでインテレオンの攻撃は防がれてしまうだろう。

 

(でも、それでいい!!)

 

「フッ!?」

「なっ!?」

 

 斬撃と念動は程なくして衝突。技と技の衝突結果はサイコキネシスの圧勝。少しの鍔迫り合いをすることも無く刃は弾け、圧縮されたクリームも圧が消えたので元に戻ろうと形を変える。が、このクリームが形を変えるというのがセイボリーさんたちにとっての予想外であり、ボクの狙っていたものだった。

 

 圧が無くなったクリームは、枷が無くなったことでその体積を膨らませ、一気に周りにその身体を伸ばし始めるのだけど、水の刃が消えた時にそれが起きたということは、中のクリームはフーディンの目の前で視界を防ぐように展開されてしまうということになる。

 

「フッ!?」

 

 自身の目の前に急に現れる水色のカーテン。サイコキネシスのバリアよりも大きく広がるそのクリームを前にして、フーディンは驚きの声を上げて身体を固まらせていることだろう。残念ながらボクからはどうなっているのかが確認できないから予想でしか語れないけど、少なくともテレポートの移動を瞬時に判断できるほどの心理的余裕は無さそうだ。

 

「前が……しかし、それならこうするまでです!!」

 

 そんなフーディンの心を落ち着け、さらに先程マホイップのマジカルリーフを受けながら行った時のようにテレポートで移動する指示を出そうとしているセイボリーさん。だけど、それよりも先にインテレオンが動く。

 

「インテレオン、『ねらいうち』」

「レオ」

「フッ!?」

「なっ!?」

 

 フーディンが指示に従ってテレポートをするよりも早くフィールドに響く、ガラスが割れたような音。その音の正体は、フーディンが自身を守るように展開していたサイコキネシスのバリアが砕ける音。よくよく見れば、フーディンから見て左手側のバリアには確かに穴が空いており、そこを中心に念動の壁がぶれ始めて崩壊しているのが確認できる。

 

「左から!?しかし左には何も……」

「よそ見してていいんですか?」

「っ!!」

 

 慌てて攻撃が飛んできた方向に視線を向けるセイボリーさん。サイコキネシスを破ったインテレオンの位置を確認するために視線を向けるけど、そこには誰もいないように見える。そのことに意識を取られついつい考え込んでしまっているけど、今フーディンの目の前には広がったクリームがあり、自身を守るものはもうない。そんな状態で何もしなければ、当然目の前のクリームはフーディンを襲うわけで……

 

「フ……フゥ……ッ!!」

 

 フーディンの上から降り注いだクリームがベッタリと身体に張り付いていき、フーディンの動きを阻害する。これでテレポートはともかく、通常移動の制限はできたはずだ。

 

「『きあいだめ』」

「レオ……」

 

 身体を襲う気持ち悪い感覚にフーディンがうなされている間に準備を進めるボクとインテレオン。

 

「フーディン!!『サイコキネシス』で身体のクリームも地面のクリームも全部集めて辺りに飛ばしまくってください!!今になってようやく気づきましたが、相手は今透明になっているはずです!!捜索を!!」

「フッ!!」

 

 そんなボクとインテレオンに声を聞いて、ようやく答えにたどり着いたセイボリーさんが、慌ててボクたちの動きに対する解答を出し始める。

 

 セイボリーさんの言う通り、先程サイコキネシスを壊した時はインテレオンは自分の姿を隠していた。メッソンの頃からその身体に備わっている擬態能力によって、身体の表面を濡らすことで自身の姿を透かせて背景と同化。視認できない状態にして、クリームに気を取られている間に接近し、ほぼゼロ距離からねらいうちを発射することでサイコキネシスのバリアをぶち抜いたと言う訳だ。

 

 その事に気づいたセイボリーさんが、今度は自分がし返すとばかりに、地面のクリームを操ってやたらめったらと飛ばしまくる。

 

(成程、透明になっているインテレオンのあぶり出しか……)

 

 インテレオンの透明化は、背景に擬態しているだけで本当に消えているわけじゃない。だからこの状態でも攻撃が当たってしまえば普通にダメージは通るし、今回のようにクリームをぶつけられたら身体にクリームが付着してしまう。そうなると、インテレオンはクリームまでは擬態させることはできないから、空中に不自然に浮かぶクリームの塊を作り出してしまう事となり、それがインテレオンの場所の証明になってしまう。セイボリーさんが狙っているのはそれだ。だから今も、地面に広がっている大量のクリームを沢山の小粒に分けて操り、竜巻に巻き込まれたかのように振り回す。

 

 これだけのクリームの嵐。避けるのは難しく、そしてこれのどれか1つにでも当たったら、フーディンはこの力を一気にインテレオンに向けることだろう。

 

 けど、どこに目を向けても、フーディンが操るクリームが何かにぶつかる気配がない。

 

「フ……!?」

「い、いない……そんなことは……どこに……」

 

 右も左も、前も後ろも、フーディンから見てどの場所に視線を動かしても、どこかにぶつかった跡のあるクリームの塊は見つからず、インテレオンの気配が全く感じられない。そのことが信じられず、自分の見落としの可能性を考慮してあちこち見まわすセイボリーさん。その姿を見て、ボクは小さく指示を出す。

 

「インテレオン、『ねらいうち』」

「……」

 

 ボクの言葉に返ってくる言葉はない。代わりに、ボクが今インテレオンがいるであろう場所に視線を向けると、そこにはほんのわずかに見える水の弾。

 

(地上にいないのなら、インテレオンがいる場所なんて1つしかない。さぁセイボリーさん。さっきマホイップに対してフーディンがしてきたことに対する意趣返しです。……ぜひ、受け取ってくださいね)

 

発射(FIRE)

「上!?」

「フッ!?」

 

 ボクの言葉と同時に、上にいることに気づいたセイボリーさんとフーディンの顔が上にあがり、それから一拍遅れて、上空に浮かぶ小さな水の弾丸がわずかな発射音を立てて打ち出される。

 

 音すらも置き去りにしたその弾丸は、ボクたちの誰にも視認されることなく飛び出し、気づけばフーディンの足元で、一度だけ何かが穿たれたような音が小さく響いた。

 

「……フーディン?」

 

 穿たれた音が聞こえると同時に、ステージを荒まくように動いていたクリームの動きがピタリと止まった。それはまるで時を止められたかのように見え、そのあまりに不自然な現象に、セイボリーさんも若干声を震えさせながら、小声でゆっくりとフーディンに声をかける。

 

「……」

 

 しかし、フーディンから声は返ってこない。

 

 何ひとつ音のならない無音空間。観客も、息をすることさえ忘れているのではないかという場所で、しかしほどなくして耳に小さな音が入って来る。

 

 その音は、何かが落ちてきたような音で、しかしその音の発生源には何も見えない。だけど、そのなにも見えないというのが、逆にその音の正体を教えてくれた。

 

「……」

 

 ほどなくして、音の正体はゆっくりと姿を現す。

 

 答えは勿論インテレオン。擬態を解いた彼が、目を閉じ、人差し指を立て、優雅に、そしてゆっくりと地面を踏みしめ、一歩、また一歩と、ボクの方に歩いてくる。そして……

 

「フゥ……」

 

 インテレオンが立てた指に、まるでろうそくの火を消すかのようにそっと息を吹きかける。その動作を合図に、空中に浮いていたクリームのすべてが一斉に落下し、辺りに水分を多めに含んだ音を響かせた。

 

 そして、このクリームたちを持ち上げた張本人もまた、堕ちていったクリームと一緒に、その身体を地面に横たえた。

 

 その様は、インテレオンがフーディンの命の灯を息で消したように見えた。

 

 

「……はっ!?フ、フーディン、戦闘不能!!」

 

 

 ドラマのワンシーンのような余りにも現実離れした光景に、審判の人も思わず宣言が遅れてしまう程の一幕。

 

 急所必中。一撃必殺。

 

 元々急所に当たりやすいねらいうちを、きあいだめで集中力をあげてから放つことによって、絶対に急所に当てることが出来るようになっている水の弾丸は、その効果を証明するようにフーディンの脳天に直撃し、まだもう少し余裕があったはずのフーディンの体力を削り切ってしまっていた。これでまだげきりゅうが発動しているのだから、やはり条件の揃った時のインテレオンは物凄く頼りになる。

 

(……でもやっぱり、威力がちょっと出すぎている気がしなくもないけど……)

 

 その威力の高さに少しだけ違和感は感じるけど、いい方向で誤算なのは別に構わないので、少なくとも今気にする必要はないだろう。

 

「……戻ってください、フーディン」

 

 まだバトルは終わっていない。顔を伏せながらフーディンを戻すセイボリーさんが、今一体どんな心境なのかはわからないけど、まだ最後のヤドキングが残っている以上、例えセイボリーさんの心が折れていたとしても油断はできない。99%勝ちが確定していたとしても、1%の確率で負けてしまうのなら、それは安心の材料にはなりえない。

 

「……本当に、強いですね」

「……」

 

 ボールにフーディンを戻し、ホルダーに引っ掛けながら言葉を零す。

 

「あなたに勝つために、ここまでたくさんの策を立ててきました。しかし、その悉くを弾かれてしまい、とうとう手元はヤドキングだけ……」

 

 次のボールを自分の頭の前に浮かばせながら、それでも顔をあげないセイボリーさんの姿を、ボクは黙って見続ける。

 

「対するあなたはまだまだ元気なインテレオンとヨノワールを残している……だれがどう見ても絶望的な状況……」

「……」

 

 今の状況を整理するかのように、小さく言葉を零していくセイボリーさん。その言葉はとてもネガティブで、聞き方によってはこのバトルをもうあきらめているかのようにも聞こえてくる。

 

 けど、ボクはそれでもセイボリーさんから何かを感じ、目を離せない。

 

「昔のワタクシなら、間違いなく諦めていた場面ですね……ですが……なぜでしょう……」

 

 ゆっくり顔を上げるセイボリーさん。そしてようやく合わせることが出来たその瞳。

 

「今のワタクシ、これっぽっちも負ける気がしません!!ヤドキング!!行きましょう!!勝ちを確信している相手の足元を、ひっかけてやりましょう!!」

 

 今までで一番ギラギラした瞳をしながら、セイボリーさんは胸元に手を添えて深く一礼。それと同時に、頭の前に浮かんでいたボールが前に飛び出し、中からヤドキングが放たれる。

 

「ヤド……ッ」

「追い込まれるほど高まる……ワタクシの本気パワー……!!お見せしましょう!!これぞワタクシの人生一番の大勝負!!『サイコフィールド』!!」

 

 ヤドキングが地面に足をつけると同時に、ヤドキングを中心にピンク色の空間が展開。地面に未だ残っているミント色のクリームも相まって、とてもファンシーな空間が出来上がった。

 

 サイコフィールド。

 

 地面を不思議な空間に変え、地面に足をつけているもののエスパータイプの技の威力を底上げするのと同時に、でんこうせっかやかげうちと言った、相手より速く動いて攻撃することを目的とした技の発動を阻害する効果を持っている。まあ、後者に関してはインテレオンもヨノワールも、そういった技を覚えていないので気にする必要はないけど、問題は前者の方だ。

 

 エスパータイプの技の威力上昇。これは純粋にセイボリーさん側へのバフになるし、こちら側にエスパータイプの技を使うポケモンはもういないので、この空間にタダのりすることもできない。

 

(そしてこのタイミングでこの技を選んだってことは……)

 

「ヤドキング!!見せてあげましょう!!この日のための最終奥義!!『ワイドフォース』です!!」

「ヤドッ!!」

「インテレオン!!とにかく下がって!!」

 

 ピンク色の空間ができると同時に宣言されたのはワイドフォース。元々サイコフィールドの恩恵を受けるエスパー技の中でもさらにシナジーが良い技で、フィールド効果による威力上昇量が他のエスパータイプの技よりも圧倒的に大きく、またその威力の上昇量故に、攻撃範囲も比べ物にならないくらい広がる、正しくサイコフィールドでこそ輝く一番の大技。その破壊力は見ているだけで背筋が冷えるものであり、ヤドキングを中心に広がるピンクの光は、まるで大爆発が起きたのでは無いかと錯覚するほどの威力と音を伴ってインテレオンに向かって飛んでくる。

 

「レオ……ッ!?」

「インテレオン!?」

 

 見るだけでわかってしまうこの技のやばさに、さすがのインテレオンも冷や汗を流しながらバックステップ。少しでも距離を開けて、たとえ受けてしまったとしてダメージをちょっとでも抑えようと努力する。そのおかげがもあってか、ワイドフォースが広がり始めるよりも先にある程度距離をとる事は出来た。が、なぜかインテレオンの身体が少し仰け反る。一体何事かと視線をインテレオンに向ければ、インテレオンの左目に、ワイドフォースによって吹き飛ばされたクリームが付着していた。勢いよく飛ばされて目に入ってしまったらしい。

 

「レ、レオ……ッ!!」

「大丈……インテレオン!!前!!」

「ッ!?」

 

 慌てて目を擦って視界を取り戻そうとするけど、今バトルフィールドには沢山のクリームがある。それらがこんな攻撃を受けて、たかだか目にちょっと入る程度のクリームしか飛び散らないわけが無い。それに気付いたボクが慌てて声をかけるけど、その時には既に遅く、ワイドフォースによって飛び散ったクリームが壁となってインテレオンを襲ってくる。

 

「『アクアブレイク』!!」

 

 こんな勢いで飛ばされたらいくらクリームと言えどもダメージは貰ってしまう。しかし避けることは不可能。なので、せめて技でうち落とそうと両手でバツ印を書くように振るったインテレオンは、クリームの壁に小さな隙を作ることに成功。この隙間に身体をねじ込んで、大ダメージを避けようとする。ただ、急いで作った隙間ゆえ、綺麗に通り抜けることは出来ず、身体の至る所にクリームが付着することにはなってしまった。

 

 これで透明化も難しくなった。けど、同時に一旦ワイドフォースも落ち着いた。

 

「『ねらいうち』!!」

「『ヘドロばくだん』!!」

 

 技が切れたところを見て水の弾丸を放つインテレオン。真っ直ぐ突き出された指から放たれたその弾は、しかしヤドキングが生み出した毒の玉によって相殺。水と毒液の飛沫が辺りに飛び散る。

 

「走って!!」

 

 そんな水と毒の相殺を確認するよりも早くインテレオンに次の指示を出す。クリームが身体に付着したせいで若干動きが鈍いものの、ヤドキング相手にはこれでも充分速いので気にせずダッシュ。ヤドキングを中心に時計回りに周回しながら、右の人差し指をヤドキングに向ける。

 

「『ねらいうち』!!」

「『ヘドロばくだん』!!」

 

 向けた指先から次々と放たれる水の弾丸。ヤドキングもインテレオンを止めるべく、毒の玉をばら撒き始める。どちらも発射している攻撃の量が多く、先のような相殺のしあいではなく、自分に来るものに対する回避行動が少し増え始めた。

 

「レオッ!!」

 

 高く飛んできた毒の玉は姿勢を低くしてよけ、足元を狙って飛んできた次弾を前宙しながらジャンプして回避。その際にヤドキングに向けて2発ねらいうちを放って攻撃を仕掛けると同時に、インテレオンの着地を狙って放たれたヘドロばくだんを、ねらいうちを放った反動で少し下がったことで着地地点をずらして回避。着地と同時に再び走り始める。

 

「ヤド……ッ!!」

 

 一方ヤドキングは、頭を下げて初段を回避しながらヘドロばくだんを1発発射。その間に飛んできた次の水を、右足をあげてしこをふむ前のような態勢をとって回避。一時的に片足状態になってしまったため、バランスを崩しそうになり、そこを付け狙うように次の水弾が飛んでくる。が、これに対して左足を軸にして反時計回りに身体を回転させることによって、半身をずらして弾を避け、回転の勢いを載せてヘドロばくだんを発射してくる。

 

 華麗に、そしてスマートに避けながら攻撃するインテレオンと、危なっかしく、そしてコミカルに避けながら攻撃するヤドキング。常に動く片方と、最低限の動きしかしない片方の、まるで正反対でありながら、しかしどちらもしっかり攻撃を回避しているこのやり取りから、この場にいる誰もが視線を釘付けにされていた。

 

 動きに華があるのは確かにインテレオンだが、最小限の動きで避けているということは、ヤドキングもこの攻防の全てを見分けられているということだ。ここにいる観客たちも、その事を理解しているからこそ、今この場のレベルの高さに目を奪われていた。

 

 お互いクリーンヒットが出ない膠着状態。しかし、今回はこの膠着状態は、セイボリーさんに有利な展開だ。ヘドロばくだんがばら撒かれることによって、毒のガスが漂い始めているからだ。長くこの状況を続けていくと、いずれインテレオンは毒に蝕まれ、倒れることになるだろう。

 

(どこかで勝負かけなきゃね……)

 

 拮抗している場を見つめ、ボクはぎゅっと拳を握った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ねらいうち

設定ではこれをマッハ3で打ち出すインテレオン。こんなのが急所に当たれば……って、この話、以前したような気がしますね。けど、そんな技でもフーディンはまだしも、ヤドキングもしっかり見極めてます。恐ろしいですね。

ワイドフォース

ダブルでよく見かける技ですね。フィールド下で強くなるシリーズの1つであり、カプ系に渡されない技の1つです。パルデア環境を考えたら、貰っても平気そうですけどね。それだけパルデアのポケモンたちは戦闘に特化してますから……




もう少しで、セイボリーさんとの闘いも終わりですね。




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