【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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237話

「ヨノワール、お疲れ様!!」

「ノワ……」

 

 ボクの勝利宣言がされ、改めて決勝進出が確定したところでヨノワールに労いの言葉をかけるボク。だけど、肝心の張本人は腕を組んで少し違う方を向いていた。心を繋げてみると、どうやら『今回はあまり自分は活躍していないのだから、労うなら他の人を労ってあげてくれ』という意味らしい。確かに、明確な活躍はと言われたら、結果だけを見ればヤドランとヤドキングへとどめを決めたという功績ではあるものの、どちらかと言うと、他のみんなが体力をしっかりと削って、その最後の仕上げをヨノワールがしたという形になっている。活動時間で言えば、ヨノワールが場に出て戦った時間は確かに短い。

 

 けど、最後を決め切るというのも立派な仕事だ。とどめの難しさというのは、コウキとのバトルで嫌という程思い知らされているしね。勿論、今回1番頑張ったのがヨノワールではないのは確かだけど、それでも、労わない理由にはならないはずだ。そう思い、ヨノワールの背中を軽く撫でてからボールに戻してあげる。

 

「他のみんなも、頑張ってくれてありがとね」

 

 ヨノワールをボールに戻したら次はインテレオンたちの出番だ。ヨノワールと違って出番が多かったみんなはそれ相応に疲れているし、インテレオンに至っては毒状態になってしまっているから、ボールの外に出てあげるのは逆に辛くなってしまうから控えるけど、全部終わって怪我が治ったら、全員ちゃんと外に出て撫でてあげることをしっかりと覚えておく。とりあえず今は、みんなのボールを順番に撫でるだけで我慢してもらおう。

 

「ありがとうございました、ヤドキング。みなさんも、ゆっくりお休みを……」

 

 一通りみんなを愛で終わったボクは、視線を真正面にいるセイボリーさんへと向ける。ちょうど彼もボクと同じように労いが終わったところらしく、頭の周りに浮かんでいたボールたちがゆっくりと腰のホルダーに納まっていくところを確認することが出来た。

 

 そしてお互いがバトル後のスキンシップみたいなものを終えたところで、実況者の熱の篭った声をBGMにしながら、バトルコート中央へと足を運んでいく。

 

「……フリアさん、ありがとうございました」

 

 お互いが中心にたどり着いたところで、一瞬だけ無言で見つめ合う時間が生まれる。しかし、程なくしてセイボリーさんの方から、ちょっと気まずい時間を打ち破って、声を出しながら右手を伸ばしてきた。

 

「こちらこそ、ありがとうござい……あ……」

 

 その右手を取るべく、ボクも感謝の言葉を述べながら右手を伸ばし、握手をしようとする。けど、セイボリーさんの右手を取ろうとした時にボクの目に入ったのは、こちらに伸ばした状態で、小刻みに震えるセイボリーさんの右手だった。

 

「なんというのでしょうかね……ワタクシとしては、間違いなく今までで1番の全力を出したつもりではあるのです。少なくとも、人生でここまで本気になったことは無いと、胸を張って言えるくらいには……」

「……」

 

 顔を伏せ、声を震わせながらそう零すセイボリーさんに、ボクから掛ける言葉はない。きっと、何を言っても今のセイボリーさんにとってはプラスの言葉にはならないだろうから。声をかけるにしても、そのタイミングは慎重に選ばないといけない。だから、ここは沈黙を貫く。

 

「ですが、やはりまだまだ足りなかったみたいですね……せめて、残りのポケモンを同じ数にするくらいにはあなたを追い詰めたかったです……」

 

 震える手につられて、声も一緒に震え始めてきた気がする。

 

 でも、まだ声は掛けない。

 

「これではまだ、あの2人から……そして家からなじられるのを止めることは出来なさそうですね」

 

 セイボリーさんの言葉を聞いて思い出されるのは、ラテラルタウンで現れたあのコンビ。セイボリーさんの家庭事情に踏み込んだその過去は、とてもじゃないけどボクが簡単に口を出していいものじゃない。

 

 余計にボクから口を出す理由がなくなった。

 

「本当に、どこまでも遠いですね……これじゃあ、ワタクシが倒したクララさんに向ける顔がありません……」

 

 ずっと続くセイボリーさんの独白。それに対して未だに動くことが出来ないボクは、右手を出して固まることしかできない。

 

(こういう時、いい言葉をさっと思いついて掛けられたらいいのに……)

 

 何もできない自分に、少しだけ嫌な気持ちが募りそうになっていく。人の心の機微に聡いヒカリなら凄くいい言葉を投げかけていそうだけど、そこまで器用じゃないボクにはそう簡単に言葉が思いつかなくて。それでもどうにかセイボリーさんの心を軽くしてあげたいと思っていた時に、今まで固まったまま動かすことの出来なかったボクの右手に、急に衝撃が来る。

 

「っ!?」

「ですが!今回、確かにあなたの背中を少し追えた気がするのです!!」

 

 その衝撃に驚いて前を向くと、そこには声を震わせ、ボクの手を握る腕も振るわせ、目じりに少し悔し涙をためながらも、真っすぐこちらを見て、しっかりと言葉を続けていくセイボリーさん。

 

「あの時、後ろで震えることしかできなかったワタクシが、少なくともあなたにヨノワールを使わせるところまで来ることが出来た!確かに、まだ無理やり引っ張りだしたわけではないので、ワタクシの腕はまだまだかもしれません。ですが!それでも!!ワタクシはちゃんと前に歩いているのだとわかった!!なら……」

 

 ぎゅっと力強く握られた右手から感じる熱い想い。そしてこの熱と共に投げられた言葉は、セイボリーさんの熱い心を真っすぐと伝えて来る。

 

(なんだ、ボクの言葉なんて必要ないじゃないか)

 

 ボクが言葉をかけなければ、セイボリーさんの気持ちを持ち直すことが出来ないなんて思ったけど、蓋を開けてみれば全然そんなことはない。ここまで真っすぐ自分の気持ちを前に向けられるのであれば、セイボリーさんはこれからもしっかりと成長して、いつか家族を見返すような凄いトレーナーになるだろう。ガラル地方のジムリーダーになるのだって、そう遠くないうちに達成するはずだ。

 

(本当に、みんな逞しくて、強いなぁ……)

 

 この大舞台までしっかり駆け上がり、例えそこで負けても折れることなく前に進み続けるその心意気に、過去の折れて腐ってしまった自分の姿との対比を見てしまって、むしろ自分の方が少し不甲斐なく見えてしまう。

 

 今でこそボクが勝っているけど、あと少し経てば、ボクなんてすぐにおいて行かれるだろう。

 

(わかってる。ボクに才能がないことはしっかりと承知している。でも、それでも歩き続けるって決めたんだ)

 

 セイボリーさんに握られた手に、ボクも力を込めてしっかりと返す。

 

「うん、セイボリーさんは、凄い速さで僕を追いかけてきてる。この調子なら、間違いなくすぐに追いつかれちゃう……でも、ボクだって意地があるし、辿り着きたい場所がある。これからも、セイボリーさんに追いつかれないように必死に走り続けます。だから、追いかけたいのなら、覚悟していてくださいね」

「ええ……必ず、必ず追いつきますから、そちらこそお覚悟を」

 

 改めて手に力を込めて握りしめ合うボクとセイボリーさん。

 

 そのまましばらく見つめ合ったボクたちは、どちらかともなく手を離して少し後ろに下がる。

 

「いよいよ決勝戦ですね。ユウリさんか、ホップさんか……どちらが上がって来るかはわかりませんが、ワタクシに勝った以上、必ず優勝してくださいね」

「言われなくても、ボクはこのトーナメントを抜けて、ダンデさんに挑む気満々ですからね。……だから、見ていてください」

 

 お互い言いたいことを言い終えて満足したボクたちは、合わせていた視線を外してそれぞれが出てきた通路に足を動かしていく。

 

 前回はこの道を通る時はかなりグロッキーな状態だったから、息も絶え絶えに歩くことになっていたけど、今回は体力にまだ余裕があったからゆっくり、しっかりと歩くことが出来る。そんなボクに向けられる拍手の雨。その1つ1つをしっかりと受け止めながら、ボクは次のバトルへと思いを馳せる。

 

(次は……いよいよ決勝戦……)

 

 ガラルに来て、もうかなりの時間が経っている。そして、このガラルに来て送ってきた濃密な時間は、ボクが思っていた以上の経験値を与えてくれた。

 

 その経験を試す、1つの区切りとなる場所が、もう目の前までやってきた。

 

(ホップ……ユウリ……どっちが来ても、簡単には勝てない相手……)

 

 どちらも、ボクより高い才能を秘めた、将来性の高い原石だ。比べるのはちょっと失礼かもしれないけど、成長性の高さは、今日闘ったセイボリーさんよりも上だと思っている。その様は、まるでコウキの姿を幻視するようなそれだ。下手をすれば、今日行われるホップとユウリのバトルで、とんでもない才能が開花して、一気に成長する可能性もあると思っている。

 

 今まで以上に、先入観というのが敵になる相手だろう。なまじ長い間一緒に旅をしているせいで、余計にその罠にはまりやすい。

 

(それでも……勝つ!!)

 

 けど、勝たなきゃボクはコウキの下に辿り着けない。

 

 今度こそ、彼を越えるために。

 

(そのためにもまずは……ッ!?)

 

 来たるべき決勝戦に向けて、これから何をするべきかを考えていた時に、何か懐かしい気配を感じたボクは、そちらの方に視線を向ける。

 

 今いるところから見て、左側のやや上くらいから感じたその気配に身体を硬直させてしまったボクは、そちらの方向を重点的に捜索。一方で、自分たちに視線を向けられたと感じた観客たちは、ボクが視線を向けた瞬間に少し歓声を大きくし、席から立ち上がってさらに拍手を送ってきた。この行動自体は、ボクにとっては恥ずかしくも嬉しい行動ではあるものの、立ち上がった観客が多いせいで、座ったままの観客の姿を視認することが難しくなってしまった。

 

 これでは、例えあの位置にこの気配の正体がいたとしても、気配の正体を確認することはできないだろう。観客たちが座るのを待つというのもあるけど、さすがにそこまで待ってしまうと、大会の進行に影響が出てきてしまうから、今のところは諦めて控室の方へ足を進めるしかない。

 

 けど、やっぱりボクの頭の中は、今感じた懐かしい気配に引っ張られて……

 

(今の、やっぱり……いや……そんなわけ……だって……)

 

 自分の感覚が感じた結果と、ボクの理性が導き出した理論が齟齬を起こし、頭の中が混乱する。

 

 決勝戦に通過することの出来たボク。けど、その余韻は気づけばなくなっており、ボクの混乱が治った時にはもう、みんなをジョーイさんに預けて終わった後の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フリアさんとのバトルを終え、控室へ戻ったワタクシは、改めて今日のバトルを反省していた。

 

 ワタクシの動きで悪い所は、特に思いつくことが出来なかった。文字通り全力を出し切って、それで負けたという、納得のいく敗北だ。

 

 だからこそ、ワタクシは改めてフリアさんとの差をつきつけられた。

 

 納得がいく敗北ということは、もしもという可能性すらないという事だ。きっと、何回戦ったとしても、展開こそ変わった可能性は大きいが、それでもワタクシの敗北という結果が変わることはなかっただろう。それだけ、今のワタクシとフリアさんの間には大きな差があったということになる。

 

「本当に、凄い人たちばかりですね……」

 

 これでフリアさんのほかにも、ホップさんにユウリさん、そして、負けてしまったものの、サイトウさんにマクワさんという、ワタクシよりも格上の人がまたいたのだから、本当に世界の広さと壁の高さを実感する。正直、ワタクシが2回戦に進めただけでも、かなり運がいいというしかなかった。きっと、2回戦がフリアさん以外の2人のどちらかだったとしても、やっぱりワタクシの負けは硬かったと思う。

 

「その人たちに、今度こそ追い付かないといけませんね……」

 

 そうと決まれば、早速ワタクシも特訓をするべきでしょう。聞く話によれば、サイトウさんとクララさんはもうヨロイ島に向かい、次に向けての特訓を開始しているのだとか。

 

 ワタクシよりも才能がある人が、すでに次に向けて動いているのに、ワタクシが足を止めることなんてあってはならない。

 

「全く、過去のワタクシからは考えられない思考ですね……」

 

 少し前までの、腐っていた自分を思い出して、思わず苦笑いを零してしまう。

 

 高い壁。遠い背中。果てしない道。

 

 先を見据えれば見据えるほど、まったくもって嫌になってしまう程、つらく険しい世界だ。

 

「ですが、そこをちゃんと歩けている今のワタクシの状態に、どこか喜びを感じてしまっているのも確かなのですよね……」

 

 それもこれも全部、ワタクシに背中を見せてくれた彼のおかげなのだろう。

 

「さぁ!!悔し涙も流しましたし、反省も終わりました!!明日から、もっと前を向いて、頑張りましょう!!ふっふっふ、今度こそ、ワタクシの素晴らしきサイコパワーを見せてやりますよ!!」

 

 確かに苦しい世界だ。でも、それ以上にやりがいと楽しさを感じてしまう。

 

(この気持ちを大切にしましょう)

 

 家族や、ワタクシをなじってきた人を見返す以上に、今を支える大切なやりがいを見つけたワタクシは、これからも前を向いて歩いて行ける。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……終わったみたいだな」

 

 控え室の椅子に座り、瞑想して集中力を高めていたオレは、ふと感じた気配から、バトルが終わったことを悟る。

 

 別にドアが開いた音がしたわけでもないし、何かが聞こえてきたわけでもない。けど、何となく空気が変わった気がし、それを、何となくフリアとセイボリーさんのバトルが終わったそれだと、直感で感じることが出来た。

 

「……ッ!!」

 

 それと同時に、一気にオレの身体にのしかかって来る大きなプレッシャー。

 

 シュートスタジアム。その大舞台に立つのは、2回目だというのに、1回戦をした時とは既に違う空気を感じてしまう。それはまるで、戦う場所そのものが変わってしまったのではないかと錯覚してしまう程だ。

 

(たった1回勝って、次に進んだだけでこんなにも重さが変わるのか……)

 

 既に今から椅子から立ち上がるだけの行動が、しようとするだけで拒否反応が出そうになるほどいやなそれになってしまっている。人によっては、これだけで心が折れてしまいそうだ。

 

「……へへ、そんな凄い所で、ユウリと戦うのか……!!」

 

 けど、今のオレにとっては、それさえもバトルへ向けての興奮剤にしかならない。

 

 小さいころに2人してテレビを見ていて、ずっと憧れていた舞台。そこに2人そろって立つことができ、更にそこで戦うことが出来る。

 

 これが嬉しくないわけがない。

 

(速く……速く……ッ!)

 

 もうすでに心は準備万端。後は、呼ばれるのを待つだけ。

 

『ホップ選手。次の試合の準備が整いました。準備の方をお願いします』

 

「来た!!はいっ!!」

 

 そう思っているところに、ついに来たオレの出番を告げる声。

 

 その言葉に反射で反応したオレは、跳ねるようにして椅子から立ち上がり、足を向けていく。

 

(ユウリ……行くぞ……!!)

 

 名前を呼ばれてさらに上がるオレのテンション。そのテンションに引っ張られるように、オレの足はぐんぐんと進んで行く。

 

(絶対勝って、決勝に行く!!)

 

 目指すは頂点ただ1つ。

 

 アニキにまた1つ近づくために、オレはこの先に待っているであろう幼馴染に、闘志を燃やしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん、おめでとう。フリア」

 

 控え室にて、明らかに変わった空気を感じて、フリアとセイボリーさんのバトルが終わったことを確信した私は、無意識のうちにそう呟いた。それも、フリアの勝利を確信したような様子で。

 

 だって、ここまで来て、フリアが約束を破るような人には思えなかったから。

 

 それに、セイボリーさんにはちょっと申し訳ないけど、現状の腕なら間違いなくフリアの方に軍配が上がることは、私からしてみれば当然と言うべき結果だから。

 

 これは嫌味とかではなく、どちらとも一緒に旅をした過去があり、2人の実力をしっかりと把握している私だからこそ、客観的に、そして贔屓無しに導き出せる予想だ。だからこそ、セイボリーさんが戦う前に私は『勝ってください』ではなく、『頑張ってください』としか言えなかったのだから。

 

「……って、ここまで考えてて、結果セイボリーさんが勝ってたら無茶苦茶恥ずかしいかも……」

 

 と、ここまでフリアが勝つことを確信したようなことを述べているけど、勿論セイボリーさんが勝つ可能性だってゼロではない。たとえ99%の確率で勝つことの出来る相手だったとしても、裏を返せば1%の確率で負けうる相手だと言うことだ。

 

 ポケモンバトルにおいて、絶対という言葉は無い。

 

 そういう意味では、何が起きるかなんて分からないから、セイボリーさんが勝っていても不思議では無い。もし今日の結果がそうなっていたら、私はとんでもない道化師だ。穴があったら入りたくなってしまいそうなほど痛いことを言いまくってしまっている。

 

「で、でもでも、誰も聞いていないからセーフ……」

 

『ユウリ選手。次の試合の準備が整いました。準備の方をお願いします』

 

「ひゃい!?」

 

 なんてくだらない事を考えていたら、いつの間にか準備が整っていたのか、私を呼ぶリーグスタッフの声が聞こえてきた。急に聞こえてきたその言葉にびっくりした私は、思わず変な声を発してしまい、その事が、さっきの思考も相まって、妙な恥ずかしさを与えてくる。

 

(ああもう、私何しているんだろう……)

 

 これから大事なバトルがあるというのに、まるで緊張感がない。緊張のしすぎで身体が強ばることに比べれば遥かにマシなのだろうけど、いくらなんでも緩みすぎだ。相手がホップであることを考えれば、ここまで気持ちを緩めるのはいくらなんでもダメすぎる。

 

(そう、相手はあのホップなんだ……)

 

 控え室の椅子から立ち上がり、気持ちを切り替えて、これから戦う相手のことを頭に浮かべていく。

 

 小さい頃から一緒に色々なことを体験し、そしてこの舞台を夢見てきた2人。

 

 最初こそは、私はこの場所に特別なおもいがあったわけではなく、漠然と『ホップが言うのなら……』ぐらいにしか考えていなかったここまでの道。今となっては、フリアのおかげで私の夢の1つとして、私自身の強い思いでここに立っている大舞台。

 

 確かに、私の心を変えてくれたのはフリアだ。けど、忘れては行けない。

 

 私に、そもそもこの世界があるということを教えてくれたのはホップであるという事を。

 

 ホップがこの道を教えてくれなければ、そもそも私はここにすらいないし、フリアと会うことすらなかっただろう。

 

 私がフリアと出会わなかった世界線。それは、今となっては考えられず、そして同時に恐怖すら感じてしまうほど迎えたくない結果軸。そんな私の運命を変えたホップとのバトル。

 

(ホップ……)

 

 勿論、このバトルがホップにとっても大事なバトルで、夢のための大切な1歩というのは知っている。私の運命を良い方に変えてくれた恩人の夢だ。私がこうして立ちはだかることに、なにか思うところがあるのも事実だ。でも……

 

「たとえホップが相手でも、もう負けたくない理由ができたから……!!」

 

 ホップの実力はよく知っている。セイボリーさんとフリアのカードと違って、客観的に見てもお互いの腕は互角。どっちが勝ってもおかしくない、先の読めないバトルとなるだろう。私自身、勝てるかどうか、今になって不安が押し寄せてくる。

 

「それでも、約束したから。……決勝で戦うって、フリアと決めたから……!!」

 

 その不安を押しのける。

 

 さっきと違って、身体を程よい緊張が包み込む。

 

 もう、頭の中はバトルモードに切り替わっていた。

 

「行くよ、ホップ……!!」

 

 足をバトルコートへと向け、1歩。また1歩と進めていく。

 

 お互いの夢のための、譲れないバトル。

 

「夢へかける思い……どっちが大きいか……勝負だよ!!」

 

 私の運命のバトルのひとつが、もうすぐ始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




フリア

みんな折れずに前を向いていることに、素直に感心しています。ガラルのメンバーはメンタルも強いですね。

セイボリー

自身が劣っているのを改めて分かったうえで、更なる成長を夢見ます。大きくなって欲しいですね。

ホップ

アニキにむけて、いざ出陣。

ユウリ

少しふわふわしていますが、気持ちの切り替えはしっかりしています。こちらも約束のため、ゆっくり足を進めます。




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