【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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239話

「戻ってくれバイウールー。活躍させてあげられなくてすまなかったぞ」

 

 先手を取られたホップは、少し悔しそうな顔を浮かべながら、けど決して焦ることはなく、落ち着いてバイウールーをボールに戻していく。そして、バイウールーが入ったことを確認した後に、ボールを軽くひとなでして、腰のホルダーへと戻していく。

 

「さすがだぞ。まさかあんな戦い方してくるとは予想外だった」

「ホップこそ。ウールーの頃から好きだったコロコロ転がるのを、ここまで活かしてくるなんて思わなかった」

 

 まだ戦いは始まったばかり。逆転は当然起こりうるし、この先どうなるかなんて全く分からない。けど……

 

(なんだろう……すごく楽しい……!!)

 

 私もホップも、気付けば浮かんでいる表情は笑顔。さっきまで感じていた重さはだいぶ軽くなっており、今はとにかく、この最高の舞台で、最高の相手と戦えることが楽しくて仕方がない。

 

「先手は取られたけど、まだまだこれからだぞ!!行くぞ、ウッウ!!」

「ウッウ……嫌なチョイスだね……」

「ウ~」

 

 ホップから飛んでくる2人目のポケモンはウッウ。相変わらず少し抜けた表情を浮かべながら、けど気合いは十分と言った声をあげるウッウのタイプはみず、ひこうタイプ。技構成がメガホーン、インファイト、アイアンヘッド、そしてはいすいにじんとなっている今のタイレーツにとっては、攻撃技を全ていまひとつで受けてくるという厄介な相手になっている。いくらはいすいのじん3回重ねと言っても、少し技を通すのが難しいだろう。

 

(それにウッウって、逃げながらに戦いの長けてるもんね……)

 

 ダイビングやなみのりを行うことで水の中に逃げ、うのミサイルによる遠距離攻撃も可能な彼は器用に立ち回ることを得意としている。タイレーツの攻撃をいなすのが割と可能寄りのポケモンというわけだ。

 

 タイレーツにとっては間違いなく不利な相手。だけど、はいすいのじんの効果で自発的に交換をすることは出来ない。相手がふきとばしや、ほえるなどで強制交代をさせてくれば話は違うけど、残念ながらウッウはそういった技は覚えないし、たとえ覚えてもこの有利展開を自分から崩すことは無いだろう。

 

 結論、とにかく頑張るしかない。

 

(って、そんなことは『はいすいのじん』をした時点で決めてる!!)

 

「タイレーツ!!『メガホーン』!!」

「ヘイ!!」

 

 緑の角をのばし、槍のごとく突き進むタイレーツ。後ろから支えているヘイの力もあって、物凄い勢いとなって、空気を裂きながら飛んでいく姿は、緑色の流れ星のようだ。

 

「『ダイビング』!!」

「ウ~」

 

 対するウッウは、自身の特性を生かすために、地面に薄い水の幕を張っていき、その水の中に潜り込もうとする。が、そこはさすがに素早さを3段階上げているタイレーツ。水の幕を貼ることは許しても、次のダイビングまでは間に合わず、水に飛び込む準備をしていたウッウの身体に、技がしっかり叩き込まれる。

 

「そのまま後ろの壁に潜り込むんだ!!」

「ウッ……ウ~!!」

 

 しかし、素早さ勝負では勝てないことを理解しているのはホップとウッウも同じ。ウッウ自身が、わざと自分から後ろに飛び、大袈裟に飛ばされることで威力を逃がすと同時に、本来なら叩きつけられるはずの、バトルコートの壁にまで水の幕を展開していたウッウは、そのまま壁の中に潜りこんでしまう。

 

(上手い……水に中に入ってせいで、こっちの攻撃の勢いを完全に吸収された……)

 

 ダイビングという言葉から、どうしても下に潜るイメージを持っていたけど、水に潜ることがダイビングなのだから、水があるのなら下だろうが横だろうが、たとえ空に浮かんでいろうが関係ない。そのすべてがウッウにとっての入り口となる。

 

 そして、ひとたび水の中に潜ってしまえば、もうそこはウッウの独壇場。

 

「へ、ヘイ……」

「は、速い……」

 

 水が深いわけではないので、視線を下向けたらウッウの影は見ることはできる。問題はその速さだ。

 

 影を見るだけで分かるウッウの速度は、はいすいのじんを3回行って、高い素早さを得たタイレーツでさえも視認が難しいほど。ステージを自由に、そして縦横無尽に駆け抜けるその様は1つの魚雷のようにも見える。

 

(やっぱり水中は追い切れない……となると、出てくるところを叩くしか……)

 

「ウッウ!!『うのミサイル』だ!!」

「ジャンプ!!」

 

 作戦を考えている時に飛んでくるホップの指示。この言葉に嫌な予感を感じた私は、場を確認するよりも早くタイレーツに回避を指示。その指示に従って、その場で一斉にジャンプしたタイレーツの下を、サシカマスが通過していくのが見えた。あと一歩でも動くのが遅かったら、今のに被弾していた可能性がある。

 

「まだまだぁ!!もっとだぞ!!」

 

 何とか綺麗に回避はした。けど、ホップはこの1回で満足はしない。すぐさま次弾を装填したウッウが、今度はタイレーツの右側面から3発、サシカマスの弾を発射してくる。

 

「『メガホーン』!!」

 

 これに対してタイレーツは、着地と同時にすぐさま角を緑にして、右を振り向きながら角を薙いで弾を弾く。が、息付く暇もなくウッウは活動しており、タイレーツが振り終わると同時に、今度は左側面から3発飛んでくる。

 

「タイレーツ!!今度は左!!そのあとは後ろから!!」

 

 左を振り返りながら角を振り抜いて弾き、さらに後ろから飛んでくるものに対しては再びジャンプで避ける。けど、こちらがサシカマスを避ける度に飛んでくるサシカマスは増え、着地と同時に今度は左右から飛ばされ、しかもその後には前と後ろからと、ジャンプした時に当たるように、対空気味に放たれたサシカマスも確認できた。

 

(いちいち飛んでくる方を見ていたら間に合わない……なら!!)

 

「タイレーツ!!『メガホーン』で回転斬り!!」

「ヘイッ!!」

 

 タイレーツに向かって、360°全方位から向かってくるサシカマスの弾幕。1つ1つ丁寧に返していたら絶対に間に合わないと判断した私は、その場で回転斬りを指示。角を前に向けたまま、何回も回転したタイレーツは、自分の周りに緑色の軌跡を残してサシカマスを全て弾く。が、陣形をV字型のまま無理やり弾いたせいか、回転の中心にいたヘイチョーはともかく、後ろに並んでいたヘイたちが少し苦しそうな表情を浮かべていた。

 

(『はいすいのじん』で陣形を固定させた所をつかれてる……ここに来てこの陣形の不自由なところを突かれるのは予想してなかったかも……)

 

 全方位からのサシカマスの弾幕。これに対して、タイレーツがとることの出来る一番の最適解は、間違いなく全員で背中合わせの円陣を組んで、それぞれが迎撃を行う事だ。個ではなく、6人で1人のポケモンだからこそできる作戦ということを考えれば、タイレーツにとってこの攻撃は本来楽に乗り切ることの出来る攻撃だ。

 

 けど、今のタイレーツははいすいのじんの影響で陣形を崩せない。いや、普通のタイレーツならこんなことにはならないのだけど、重ね掛けのデメリットが予想外の方向から私の首を絞めてきた。

 

「成程……3回も『はいすいのじん』をされたときにはびっくりしたけど、その分制限も大きいんだな!!なら、そこをどんどんつかせてもらうぞ!!」

「っ!!タイレーツ!!サシカマスをウッウのいる方に返して!!」

 

 どんどん増えて来るサシカマスの攻撃に、こちらはメガホーン1本で立ち向かう。

 

 ただ回転切りをして跳ね返すだけではとてもではないけど時間が足りない。そう判断した私は、サシカマスをウッウの方に返して、こちらの攻撃手段に転用するように指示。無茶を言っていることは分かっているけど、はいすいのじんのバフ効果と、やらなきゃどうしようもないという状況が相まって、こういう指示しか出せない。

 

「ヘイッ!」

「ウッ!?」

「……なんでここにきてそんな凄いことできるんだ……」

 

 けど、火事場の馬鹿力というべきか、追い詰められて逆に集中力が上がったタイレーツの反撃が、最初こそただ弾くだけに終わっていたその行動が、徐々にウッウの身体を正確に狙い始めていく。

 

 さっきまで自分が一方的に攻撃していたのに、気づけば自分にも少しずつ攻撃が返され始めていることに焦りを感じ始めるウッウ。そのせいか、こちらへ飛んでくる弾幕も少しずつ少なくなってきている。それもこれも、今フィールドの中心で、逆境に耐えて頑張っているタイレーツのおかげだ。

 

(凄い……タイレーツが、勝つために今まで以上のパフォーマンスを見せてくてる……)

 

 勝ちたいという気持ちがどんどん伝わってくるその動きに、私も自然と力が入っていく。

 

 絶対に勝たせてあげたい。

 

(っ!?聞こえた!!)

 

「タイレーツ!!右斜め後ろ!!」

「ヘイ!!」

 

 タイレーツからの想いを受け取った私は、いつの間にか上がった集中力のおかげで、ウッウがわずかにならした水音に気づき、反射的にその方向を指示。すると、タイレーツがすぐさま反応して、そちらに向けてメガホーンを振るう。そのタイミングは、ちょうどいま飛んできたサシカマスとばっちりかみ合い、まるで逆再生でもしたのではないかと思う程綺麗に反射。吸い込まれるように飛んでいったサシカマスは、その場で次弾を構えていたウッウに直撃する。

 

「ウッ!?」

「ウッウ!?」

「よし!!大当たり!!」

「ヘイ!!」

 

 攻撃を受けたことでバランスを崩したウッウ。これによって、一時的に弾幕が止まる。

 

「走って!!」

「ヘイッ!!」

 

 絶好のチャンスを逃さないために、タイレーツが全力疾走。一瞬で距離を詰め、伸びた緑色の角をまっずぐつきつけ……

 

「ここで捕まったら負けるぞ!!何が何でも潜るんだ!!」

「ッ!!ウッ!!」

 

 タイレーツの攻撃が当たる直前に、気合を入れたウッウが水の中に身体を滑り込ませてぎりぎりメガホーンを避けていく。

 

「くっ、惜しい!」

「良いぞウッウ!!そのままもう1回『うのミサイル』で攻めていくぞ!!」

 

 絶好のチャンスを逃してしまった代償は大きく、再び全方位からうのミサイルが飛び始める。けど……

 

(うん……さっきの集中がまだ続いているから、音がよく聞こえる……!!)

 

 私の鼓膜を叩く水の音が、今ウッウがいる場所と、飛んでくるサシカマスの方向を正確にとらえてくれる。

 

「まずは右前。次が左でその次が前と後ろ同時!!」

「へヘイ!!」

 

 右前から飛んでくるサシカマスは左下から右上に振り上げて弾き、左から来たものは、さっき振り上げた動きと逆の動きをして叩き落す。そして前と後ろのサシカマスはジャンプしてよけ、両者の頭をぶつけ合わせて空中に打ち上げる。

 

 ここで耳に聞こえる水音。

 

(聞こえた!!ウッウの音!!)

 

「左後ろ!!」

「へヘイ!!」

 

 私が指示した位置に、先ほど頭がぶつかって浮き上がったサシカマスを飛ばすタイレーツ。もはや慣れてしまったその行動によって、飛ばされたサシカマスは正確に水音が鳴った場所に突き刺さる。

 

(よし、これでまた隙が……)

 

「いまだ!!『ダイビング』!!」

「ウ~!!」

「ヘイッ!?」

「え?」

 

 しかし次に私の視界に映ったのは、真下から飛び上がったウッウに身体をつかれているタイレーツの姿。攻撃の衝撃で打ち上げられたタイレーツは、Vの字形を保ったまま空中で態勢を崩す。

 

(なんで!?確かに音が聞こえた方に攻撃を……あっ!?)

 

 水音が聞こえた方向。そこに視線を向けると目に入ったのは、目を回したサシカマスの姿が3()()

 

(あの音はサシカマスが跳ねた音!!)

 

 ウッウがわざとあの場所にサシカマスを飛ばしたことで、私に位置を誤認させ、ウッウとは関係ない方に攻撃するという隙を作らせるための工作。私が耳でウッウの位置を悟っていることを逆手に取られた。

 

「ウッウ!!『うのミサイル』!!」

「『アイアンヘッド』!!」

 

 タイレーツを下から打ち上げ、そのままタイレーツよりも上空まで飛びあがったウッウは、真上から咥えているうのミサイルを2回発射。それに対して頭を鈍色に染めたタイレーツが、サシカマスの側面に頭を添えて1つ目を後ろに流し、2つ目に対しては足裏を合わせ、かかと落とすをするかのように下にさげ、逆に足場にしてウッウの方に向かって飛び出した。

 

「『うのミサイル』!!」

「避けて!!」

 

 サシカマスを足場にして飛び出したタイレーツに対して、3度目のうのミサイル発射。これに対してタイレーツは陣形ごと回転して3発目を回避。とうとうウッウの懐に飛び込むことに成功し、タイレーツのチャンスがやって来る。

 

「『インファイト』!!」

「ヘイ!!……ヘイッ!?」

「タイレーツ!?」

 

 そのチャンスをものにすべく、拳を構えて突撃するタイレーツ。しかし、そんなタイレーツの進撃を止める影が1つ。

 

「へへ、セーフ……」

「サシカマス!?なんで後ろから!?」

 

 それはタイレーツを後ろから射貫くうのミサイル。けど、ウッウから飛ばされたうのミサイルはさっき全部避けたはずだし、今ウッウは空中にいるから新しい弾を装填は出来ない。新しいうのミサイルを発射してきた覚えだってない。

 

(打たれた『うのミサイル』だって全部下に……いや、下……?)

 

 そこまで考えて視線を下に落とすと、そこには水面をぴちぴち跳ねるサシカマスが目に入った。

 

「ま、まさか……最初に打ち出した2発のサシカマスに向かって、3発目を打ち出して……跳ね返してもらったの……?」

「サンキューだぞ!サシカマス!!」

 

 ウッウと戦っているはずなのに、まさかサシカマスに邪魔されるとは、またもや予想外の出来事だ。

 

「へ、ヘイ……ッ」

 

 後ろから突き刺さるサシカマス。その衝撃のせいで、せっかく拳に溜めていたインファイトの力が少しずつ抜けていく。

 

 さっきまでタイレーツがチャンスだったのに、そのチャンスが180°反転。今度はウッウ側のチャンスへと変わる。

 

「ウッウ!!『ドリルくちばし』!!」

「タイレーツ!!『アイアンヘッド』!!」

 

 態勢を崩しているところに上から嘴を突き付けて来るウッウ。対するこちらも、何とか応戦するべくアイアンヘッドを構えるけど、頭を鈍色に変える前にウッウの鋭いくちばしが突き刺さり、タイレーツが地面に叩き落される。

 

 こうかはばつぐん。そのうえ、せっかくはいすいのじんであげた防御もインファイトによって下がってしまっているので、想像よりも打たれ弱くなっていたタイレーツはそのままダウン。目を回して倒れることとなる。

 

 

『タイレーツ、戦闘不能!!』

 

 

「ありがとう、タイレーツ」

 

 ここまで頑張ってくれた戦士にお礼を言いながらボールに戻す。予想外のことが多かったけど、それでもウッウに少なくないダメージを与えていたのも事実。十分戦ってくれた。むしろ、サシカマスの妨害が入るまではこちらの流れだったくらいだ。

 

「っていうかずるい!!サシカマスの力借りて、複数で闘ってくるなんて!!」

「それを言ったらタイレーツも同じじゃないか!!こっちは1対6だったんだぞ!!」

「それとこれとは話が別だもん!!」

 

 此方は6人で1人なのに、あちらは純粋に2人のポケモンで襲ってきている。普通にずるい。けど、負けは負け。ここで文句を言っても仕方がない。ちゃん意識を切り替えて、私は次のポケモンを構える。

 

「お願い、ストリンダー!!」

「リンダッ!」

 

 私の2番手はストリンダー。純粋にウッウに弱点をつけるでんきタイプの選出。それに、これなら万が一耐えられてうのミサイルをまた繰り出されたとしても、その頃にはうのミサイルに使われる弾はピカチュウに変わる。ストリンダーならまひになることはないから、相手の攻撃を気にせず動ける。

 

「ストリンダーか……」

「ホップが基本に忠実に行くなら、私もしっかり則っていくよ!!」

 

 みず、ひこうタイプであるウッウに対して、でんきタイプはかなり効果的にダメージが入る。

 

 奇をてらった作戦を立てて相手を引っ掻き回すのは大事だけど、根幹部分は忘れてはいけない。ポケモンバトルにおいて、まず大事なのはタイプ相性だ。ポケモンスクールでも最初に教わる一番の初歩。それはどこまでもついてくる。なら、ここはしっかりと注視するべきだ。

 

(いくらタイレーツが削ってくれているとはいえ、ウッウに致命的な攻撃が入ったわけじゃない……体力的にもまだ半分以上は絶対残っている。数値化してみるのなら多分……7割くらい……かな?でも、そこまで削れているのなら、ストリンダーの威力なら一撃で持っていけるはず!!)

 

「ストリンダー!!『オーバードライブ』!!」

「リンダァッ!!」

「マリィの時と言い、連続ででんきタイプと戦わせてすまないぞ……でも、踏ん張れれば一気に傾く!!頑張るぞ!!『ダイビング』からの『うのミサイル』!!」

 

 その証拠であるオレンジ色の胸ビレを引っ掻き回し、辺りに電撃を解き放つストリンダー。それに対し、絶対に技を受けられないウッウは水の中に潜って電気の衝撃波を回避。そのまま自分が勝っている機動力をもって、タイレーツの時以上の一方的なバトルをするために、再びうのミサイルにより貼り付けをし始める。

 

 確かにタイレーツに比べてストリンダーの機動力は、お世辞にも強いとは言えない。けど、ストリンダーにはそもそも機動力がいらない。なぜなら、ストリンダーが主力とする技は、音技故に攻撃範囲が凄く大きいから。

 

「『オーバードライブ』!!」

「リンダッ!!」

 

 飛んでくるサシカマスたちをまとめて撃墜する電気の波は、一瞬のうちに痺れたサシカマスたちを行動不能に追いやっていく。

 

「そのまま身体を水につけて!!」

「っ!?さがれウッウ!!」

 

 更に、そこから自分の胸ビレを足元の水につけるように屈むストリンダー。先ほど、サシカマスに気を取られている間に、真下からダイビングを受けたことを反省して、すぐさま足元への対処を施す。

 

 電気をよく通す水に、発電器官の備わっている胸ビレを浸すことにより、足元の水がストリンダーを中心に電撃を帯びていき、電気のドームを作り上げていく。

 

 水を伝ってどんどん体積を増やしていくそのドームは、傍から見ているだけでもかなりの電力を内包しているように見える。その威力は、離れているはずのこちらまでもが、肌がピリピリ痺れてくるような気がするほど。当然この攻撃を見てウッウがとる行動は逃げること。私の予想通り、やっぱりストリンダーの足元まで迫っていたウッウは、この電撃を見て慌てて退避。私の位置からでも目に見えて分かるほど、黒色の影が高速で壁際まで下がっているのが確認できた。あそこまで下がられたら流石にこちらの攻撃は届かない。

 

「直接攻撃は回避するぞ!『なみのり』!!」

 

 この状況になってしまったらもうウッウには近づく理由がない。壁際まで寄ったウッウは、ここからはさらに距離を取って戦うようで、壁際から大きな大きな津波がやって来る。

 

「おっきい……」

 

 此方の身長の何倍も大きく、もっと言えばダイマックスポケモンですら飲み込んでしまうのではというほど高い波。見る人が見れば、一種のトラウマにもなりかねないその迫力のある攻撃がゆっくりとストリンダーに向かって流れてきた。

 

 これに飲み込まれてしまえば、いくら体力がまだ減っていないとは言っても致命傷は必至。この大規模な攻撃は、何が何でも止めなくちゃいけない。

 

「やれる?ストリンダー」

「……リンダッ!!」

 

 とてつもなく大きな、言ってしまえば一種の災害級の攻撃。それを前にして、こちらに向かってニヒルな笑みを浮かべるほどの余裕を見せてくれるストリンダー。その姿に頼もしさを感じた私は、頷きを返しながらストリンダーに指示を出す。

 

「ストリンダー!!『ばくおんぱ』!!」

「リッダァッ!!」

 

 放たれる技はばくおんぱ。全てを吹き飛ばす強烈な音波は、そのまま波の中心に向かって真っすぐ飛び、ぶつかるとともにとてつもない衝撃音と爆発を巻き起こす。

 

「っ!?なんて火力だよ!!」

「特性『パンクロック』と合わさった私のストリンダーの火力は、毎日毎日成長しているからね!!」

 

 爆発によって波を2つに割かれ、真ん中にぽっかりと大きな穴が開き、波の形が崩れていく。

 

「ウッ!?」

 

 文字通り波に乗ってこちらに進撃してきていたウッウは、突然自分が乗っていた波が消えることによって空中に投げ出されてしまい、自由が利かなくなる。

 

「ストリンダー!!『オーバードライブ』!!」

「リッダッ!!」

 

 空中に投げ出されたウッウ。そこに向かって放たれる電撃の波。

 

「ウッウ!!『うのミサイル』!!」

 

 せめて少しでも威力を下げようと、最後のサシカマスを発射するウッウ。しかし、この程度で止まるわけがない電気の波は、そのままサシカマスを貫通してウッウに直撃。

 

「ウッ!?」

「ウッウ!!」

 

 全身余すことなく電気にまみれたウッウは、そのまま地面に落ちて目を回す。

 

 

『ウッウ、戦闘不能!!』

 

 

「ふぅ……次!!」

 

 激闘はまだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




タイレーツ

サシカマスを足場にしているところは、6人全員で踏んづけています。サシカマスかわいそう……

なみのり

実機の表現を見る限り、なみのりってかなり凄い規模になっていそうですよね。ポッ拳やユナイトでは、かなり規模は小さいですが。




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