前回のお話のあとがきに追記で書いてあるのですが、追記前に前回の話を読んでしまい気づいていない方もいらっしゃると思うので改めてここで言います。
感想にてご指摘いただき、改めて調べ直したところなんとこの時点のカジリガメは特性が実機でも「すいすい」でした。
まさかこの時点で夢特性が敵側で出てくるとは全く思ってもなかったので思い込みで誤情報を流してしまいました。
ひとえに作者の調査不足です。
誠に申し訳ございませんでした。
ただ、今から手直しとなると定期更新できるかどうか怪しく、バトルの手直しも間に合いなさそうなのでこの作品では「普通の挑戦者に対しては「シェルアーマー」or「がんじょうあご」を使用しているが主人公に対しては「すいすい」を使ってきた」という設定で進めたいと思っています。
実はこういう指摘って個人的にはかなりうれしくてですね。
知らなかったことを知れるいい機会なのでここも間違っているのではという指摘はすごくありがたいです。
今回指摘してくださった方、ありがとうございました。
『わあああああああ!!』
巻き起こる大歓声。地響きにも似たその歓声の中、緊張の糸が抜けゆっくりと腰を下ろす。
「か、勝った〜……」
地面の芝生も消えていき、残るのは少し硬いバトルフィールドの床だけだけど、さっきまで水で溢れていたせいか物凄く冷たい。雨にも打たれたし、飛沫も飛びまくっていたので想像以上に全身びしょびしょだ。
けど勝った。
周りから聞こえる大歓声が嫌でもそれを自覚させてくる。
「キルル!!」
「うわっとと……うん、お疲れ様キルリア〜」
胸元に飛び込んできたキルリアを抱きしめて頭を沢山撫でてあげる。ボクの胸に頬ずりするキルリアがとてもかわいらしく、先程まであんなに凛々しく戦ってた子には到底見えない。こんなにも甘えてくるのも珍しく、それだけ本気で頑張ってくれたという証なのだろう。
「本当にありがとうね」
「キルッ!!」
「お見事だったわ」
そんなスキンシップを楽しんでいるところにかけられる凛々しい声。さっきまで戦っていたルリナさんだ。
「ちょっとはしゃいじゃってやりすぎたかななんて思ったところもあるんだけど、しっかりと乗り越えてきたわね」
「あぁ、一応やりすぎたって自覚はあったんですね……」
まさかすいすいのポケモンで来るとは全く予想してなかったから面をくらってしまった。ボクも対処をひとつでも誤っていたら間違いなく負けていただろう。ヤローさんから頂いたマジカルリーフも大いに貢献してくれた。本当に感謝だ。
「そこに関しては申し訳なかったわ。どうしても物足りない戦いが続くこともあってね。まぁ、その点でいえば本気のパーティであなたと戦ってみたかったっていう不満はあるのだけれども……」
「勘弁してください……今のボクのパーティだと手も足も出ませんよ……」
「でも、シンオウ地方の仲間ならその限りでは無いでしょう?」
「それは……」
もちろん自慢の仲間たちなのだからいい戦いができる自負はある。けどそれはなんだか今の仲間に不満があるみたいな言い方ができてしまいそうで言いたくない。そんなボクの心を感じ取ってくれたのかキルリアがボクをギュッと抱きしめてくる。まるで気にしないでと、けどいつか昔の仲間を追い抜いてやると、優しさと対抗心を混ぜた熱い視線を向けてくる。それはキルリアに限った話ではなく、ジメレオン、マホミル、イーブイまでもが同じ気持ちなのかカタカタと揺れ動く。……ボクの相棒もそこはかとなく嬉しそうに少し揺れた。
「……うん、ありがとキルリア……確かに昔の仲間とならルリナさんの本気のメンバーともいいバトルができるかもしれません。けど、今はこのみんなで頑張りたいんです。だから待っててください。いつか、成長したみんなを連れて、本気のルリナさんに挑みます!!」
「……ええ!!駆け上がってきなさい!!待ってるわ!!」
満足気な笑顔を浮かべながらこちらに渡してくるのはみずバッジ。確かに頂いたそれをしっかりとリングケースにはめ込む。
これで2つ目。
まだまだ折り返しすら遠い2歩目。けど、みんなと勝ち取ったこの1歩は何よりもいい経験になった。
(まだまだ強くならなきゃ)
立ち上がり、大歓声と大喝采の中、ルリナさんと試合後のお互いを称える握手をしながら、改めて心に強く思った。
☆
「お〜いこっちだこっち!!」
「あ、いたいた」
ジム戦も無事終わり、ユニフォームから着替え、報酬なども貰い終えたボクはバウスタジアムでやることを終え、外で待ってくれていたホップたちの元へと向かっていた。今日の予定としては、流石にバトルしたばかりで全員疲れているであろうことから、どこかのカフェでまったりと体を休めながら、先の戦闘の振り返りを行おうということになっている。ただ特訓もしたいみたいだから少し先に進むかもとは言っていたけど……。
戦闘中は気づかなくても後で冷静になって考えてみたら実はこの動きの方が良かったなんてことは沢山あるからね。結果論なことも多いからその辺の区別は難しいところだから何とも言えないこともしばしばあるのはご愛嬌。
「おまたせみんな」
「ううん、全然待ってないよ」
「むしろ、さっきのフリアの試合についてみんなでずっと話してたからあっという間だったと」
「ああ!凄かったぞ!!ルリナさんの高速攻撃はもちろんだけど、それに対してマホミルが混乱を合わせたり、ジメレオンは罠仕込んだり、キルリアはマジカルリーフをあんな使い方したり……くぅ〜!!オレもあんな風に色んな攻撃してみたいぞ!!」
「あはは……でも結果見たら本当に僅差。なにかひとつでも噛み合わなかったら負けてたんだよね……」
相手の3匹を倒したけどこちらの手持ち的にはマホミル、キルリアがほぼ体力をもっていかれ、ジメレオンに至っては戦闘不能。あそこでキルリアが勝ってくれなかったらマホミルでは動ききれなかったから間違いなく負けていただろう。本当にみんなに感謝だ。
「そういえばみんなはどんな風に立ち回ったの?控え室にずっといたから分からなくてさ」
「オレはバチンキーがここで大活躍だったな!ウールーやアオガラスで削ってトドメをバチンキーで大暴れ。やっぱりタイプ相性っていうのは大きいぞ」
「あたしもモルペコが弱点をつけるからモルペコを主軸に戦ったと。あとはグレッグルもカジリガメに強いからそこも意識したかな」
「私はエレズンに頑張って貰ったかな。あ、あとはラビフットにも。ほのおタイプで動きづらかったと思うんだけどにどげりがカジリガメによく効くからつらかったけど最後は打ち勝ってくれてうれしかったなぁ」
やっぱりみんな的確に弱点をついて手堅く勝利って感じみたいだ。そこに関してはボクもキルリアにマジカルリーフを入れてたりするしね。やっぱり1番簡単に有利を取れる弱点をつく行動は凄く大事だ。
「しっかしフリア。ああいう作戦はいつ思いつくんだ?特訓を一緒にすることはあるけど思いついているフシなんて全然見かけないぞ?」
「それはあたしも気になってた」
「ああ……」
確かにここに来るまでの道中で、技の特訓とかはしてたけど戦略の話は特に深くはしてなかったっけ……ただ正直そんなに深い話ではないから参考になるかどうかは分からないけど。
「特に特別なことはしてないよ?図鑑の説明を読んだり、その子の得意なことを観察したりしてこれ出来そうだなって思ったものを本人と相談して形にしてるってだけ。言ってしまえばポケリフレとかを通して密にコミュニケーションをとってるだけだよ?」
「「「それがすごいことなのでは?」」」
「???」
3人からの総ツッコミに思わず首を傾げる。けど、ボクとしてはこの行動は日常的な行動のひとつでしかない。特に意識してやっていることでもないから詰められてもどう返せばいいのか分からないのがボク個人の感想だ。まぁ、強いて付け加えるならこういう搦手を考えるのが好きというのもあるけど……
「でも、そういう話を聞くとやっぱりふれあいって大事なんだな……」
「手持ちのみんなとの信頼関係があればこそだよね」
「あたしもモルペコと仲はいいつもりだけど……そこまで考えてなかったと」
「絶対やらなきゃいけないって訳でもないしね。でもやっておいて損はないと思うよ?人によってはこういう行動を取って極限にまで仲良くなったペアは状態異常を自力で治したり、狙って急所に技を当てることができたり、どんな攻撃を受けても踏ん張れちゃったりとか、そういう不思議なことを狙って出せる人もいるみたいだし」
先の戦いで言えばカジリガメがマジカルリーフを受けても最後まで立っていたあの場面などがそれに当たるだろう。ジム戦用に調整されたポケモンであっても確かなキズナを結んでいるあたり流石ジムリーダーと思わざるをえない。
「キズナの力……」
「よ〜し、オレもどこかのタイミングでみんなとのキズナを深める時間も作るぞ!!」
「そうだね。私もラビフットたちとふれあいたいな」
「ならちょっと広いところいってテント広げたりする?」
「お、いいなそれ!!名案だぞ!!そうと決まれば早速行こう!!」
「おおいたいた!!君たち!!」
「「「「?」」」」
これからの方針が決まったのでさっそくこの先の道でテントを建てに向かおうとした時にかけられる声。そんなに遠くないところからかけられたのか、その声の持ち主は思ったより近くにいた。
「え、え〜っと……」
その人を確認してなにか喋ろうと思ったけど声が出ない。何故かと言うと……うん。その人の服装が……ちょっとね……。
真っ白に少しラインの入ったトップスに水色に白の水玉模様が描かれた短パンというなんとも言えないジョギングスタイルの服装。真っ黒な帽子と真っ黒なサングラスがその胡散臭さを余計に助長している。おなかが出っ張っててだらしない姿なのも余計に。
一言で言ってしまえば……
「ダッサい……」
「「「フリア!?」」」
「っ!?」
思わず口に出てしまってたみたいで慌てて口に手を当てる。そっと目の前の人に視線を向けて確認しようとするけどその後ろにいる金髪の女性がものすごい形相でこちらを睨んできてて、その表情があまりにも怖すぎて顔を向けることが出来ない。
(怖い!?あの人無茶苦茶怖いんですけど!?)
まるで人を絞め殺さんばかりの黒いオーラがダダ漏れの中、それに気づいているのか怪しいおじさんが高らかに笑いながら静寂を打ち破る。
「はっはっは、いえいえいいんですよ。こうでもしないと目立ってしまっていかんのですよ。しかしこういってもらえるということは変装成功ってことですね」
「え、変装……?」
ということはもしかしてこの人はどこかで会った。ないし、有名な人なのかもしれない。
「おいフリア……本当にわからないのか」
「この人、ローズさん!!リーグ委員長!!」
「……へ?」
ホップとマリィに言われて改めておじさんの見た目を確認する。開会式の時に見たスーツのどこかダンディズムあふれる人と目の前のだらしないおじさんを重ね合わせて……
(……いわれてみれば似てる?)
「え、えと……本当にローズ委員長、ですか?」
「はい。わたくし、ローズと申します。噂と活躍のほどはかねがね聞いてますよ。フリア選手」
「うわぁ!?えっと、失礼な発言、申し訳ありませんでした!!」
「気にしないでくださいな。よその地方から来たのならなじみはないでしょうし、さっきも言った通りこれは変装でしてね?むしろバレては意味が無いんですよ。いやぁ、効果があってよかった〜」
『あ、ローズ委員長〜!!こっち向いて〜!!』
「ん?やぁやぁ、声援ありがと〜」
ローズさんに対しての失礼を詫びようと思ったら遠くから聞こえる声に律儀に手を振るローズさん……ってあんなこと言ってるけど思いっきりバレてるのでは?その変装で効果あったのはボクに対してだけのような気がする。それに……
(今度はさっき声掛けてきた人達にガン飛ばしてる!?)
委員長ということは関係性から予想されるのは恐らく秘書と思われるであろう女性がものすごい形相でまた睨み出している。ローズさんが上手く隠れられないのはこの人の存在も5割くらいあると思う。
(ってまたこっちにらんでる!?)
失礼なことを考えてるのがバレてしまっているのだろうか。
慌てて視線を逸らす。エスパーか何かじゃないかと疑ってしまう。しかしジム戦の次はこの地方で一番偉い人との対面。緊張することが多すぎてなんだか頭がクラクラしてくる。
「しかし、先程の試合を見させてもらったけど……うんうん。やっぱり注目されるだけはあるね。みんなとても素晴らしいトレーナーだ」
「見てたんですか?」
「委員長だからね。特等席からの観戦さ」
自慢げに答えるローズさん。どうやらさっきの試合をしっかりと観察されたらしい。となると途端に変な事してないかとか急に不安になり始める。大丈夫だとは思うんだけど心配は心配だ。
「今日は注目試合ばかりだったからね!!とても興奮しながら見させてもらったよ。マリィ君のモルペコのすばやさを生かしたバトルにホップ君の勢いの良さが分かる大胆な攻め。ユウリ君の相手の次の手をしっかりと見極めて攻める手堅い戦い方。そして何よりも……フリア君の奇想天外な、それでいて理にかなっている確かな戦い方。うんうん!ガラル地方のレベルアップしているさまをこの目に焼き付けられてわたくしは大変満足だよ!」
「そう言って貰えるのは嬉しいんですけど、ボクだけは一応シンオウ地方の人間ですよ?」
「違う地方だからこそいいんじゃないか!!こうして新しい風を取り込むことによって刺激され、さらにみんなが強くなる。わたくしが考えてる理想の一つさ!!」
嬉しそうに、きっとサングラスの奥の瞳はキラキラしてる。そう思わせるほどテンションの上がった声でそう告げる。それだけ地元を愛しているということだろうか。発言からしてとにかくガラルのことを大切にしているというのが伝わってくる。もっとも、ほんの少し怖いと感じるところもあるんだけど……
「他の地方に関してはカブ君も元々ホウエン地方の人だからガラルは君を歓迎するよ!!そうだ、もし良ければこのジムチャレンジが終わったら是非ともうちに━━」
「え、えっと……」
「委員長。そろそろお時間の方が」
「え〜?もうかい?」
そこから派生して飛び出てくる勧誘の言葉になんて返せばいいのか分からずあたふたしてしまう。なんだか頭もふわふわしてて言葉がまとまらない。そんな軽いパニックになっているところ秘書の人に告げられる終了のお知らせ。やっぱり偉い人と言うだけあってとても忙しい身らしい。
「う〜ん、フリア君だけでなくユウリ君やホップ君、マリィ君にも話を聞きたかったんだけど……うん、仕方ないね。やることはちゃんとやらないと!それではみなさん、ごきげんよう!!」
その言葉を最後にバウタウンの駅の方へ歩いていくローズ委員長。列車に乗って次の仕事場に向かうのだろう。小さくなっていくローズ委員長の背中を見届けて、完全に見えなくなったあたりで力を抜く。
「ふぅ、まさかローズ委員長にここで出会うとは思わなかったぞ……」
「うん、あたしもちょっと緊張しちゃった」
「ローズ委員長もチャンピオンカップ準優勝の実績があるし、そんな人に注目って言われると肩に力入っちゃうよね」
「そんなに凄い人なんだ……」
失礼な言い方をすれば人は見た目に寄らないんだなって。兎にも角にもやっと力が抜ける。そう自覚した瞬間視界が揺れる。
(ああ、ターフスタジアムでジム戦したあともこうなってたっけ。う〜ん、2回目だしもう慣れると思ったけどやっぱり体力落ちて……)
「フリア……?」
「あ、あれ?」
ふらついた所をユウリが受け止めてくれる。あまり体を預けるのも悪いのですぐに離れて立とうとする。
「ごめんねユウリ、すぐに離れるから」
「それどころじゃなか!!フリア、顔色悪かと!!」
「おい、大丈夫か?……って熱!?」
「フリア!?しっかり!!」
足に力が入らない。体が寒い。なんだかみんなの声もだんだん遠く……
ぼやけた視界と頭の中で、記憶に残ったのはポケモンセンターに運ばれたのかなというぼんやりとした記憶だけだった。
☆
「すぅ……すぅ……」
「全く、お騒がせな人と」
「流石に今回ばかりは冷や汗かいたぞ……」
「でも、確かに体調崩してもおかしくないことにはなってたんだよね……気づけなかったなぁ」
「「……」」
あれから私とマリィとホップの3人で何とかポケモンセンターに運び込み、ベッドで寝かせて検査してもらったところただの風邪ということが分かってとりあえず一安心。原因は体の冷え。
……うん。心当たりがありすぎる。
ターフスタジアムでの雨の中での激闘。預かり屋でこの季節の深夜にフリアだけ着替えずに寝巻きのまま外でバトルや卵の保護。バウタウンの釣り堀での落水。ジムミッションでずぶ濡れのままの挑戦。そして今日のバウスタジアムでの雨や水しぶきの中での長時間の激闘。
これが夏だったり、この中の2つか3つだけならまだ大丈夫だったのかもしれないけど、全部が重なりあってしまい、そして同時に激闘が終わったことによるアドレナリンが抑えられ、疲れなどを自覚したことによる発病。誰がどう見ても納得の経緯。だからこそ気づけなかった自分がちょっと悔しい。
「まぁでも、まだ大事なくてよかったぞ」
「うん。とりあえず2、3日安静にしておけばすぐに治るってジョーイさんも言ってたし、大丈夫だとは思う」
「それでも少し不安と……」
「んんぅ……」
「「「!?」」」
布団から聞こえる悩ましげな声。3人で視線を向けるとまだ顔がほんのり赤いフリアがゆっくりと目を開ける。
「あ、あれ……ここ……」
「フリア、目が覚めたか?」
「ホップ……?あ、そっか。ボク倒れて……ごめんね?」
「謝ることなかと!それよりも安静!!」
「そうだよ。私たちのことは気にしないで?」
「うん……ありがと……」
何とか会話は成立するもののやっぱりたどたどしくて舌が上手く回ってない。額をそっと触ってみるとかなり熱い。近くに水を貼ってある桶があるのでそこでタオルを濡らし額に乗せる。ほんの少し表情が柔らかくなったのを確認できたあたり、気持ちいいのかもしれない。これで少しは楽になればいいんだけど……
「ジョーイさんから……なにか言われたりした?」
「いや、ただの風邪らしいぞ。2、3日安静にしておけば治るってさ」
「そっか……ちょっとかかるなぁ……」
「全然待つよ?」
「う〜ん……でも……」
悩むような顔を見せるフリア。自分が荷物になるとか考えてるのかな……私が同じ立場なら同じことを言うかもしれないから気持ちは分からなくはない。けど……
「フリア1人で待たせるのはしのびないぞ……」
「うん、結構つらそうだし、あたしたちが目を離すとまた無茶しそうだし……」
「でも……先に進んで頑張って欲しいって……気持ちもあるし……」
「「う〜ん……」」
フリアの言いたいことも分かる。というのも次のジムはカブさんが待っている。カブさんはエンジンシティにて、ジムチャレンジャーの3番目の関門となるほのおタイプのジムリーダーなんだけど……毎年ここを突破できる人がとにかく少ない。半分以上の人が突破できないと言われているここは一種の登竜門としての役割を担っている。
まず最初にぶつかる壁。ここを乗り越えるだけで優秀だと言われており、逆にまず最初の目標はここを超えること言われるほど。そうなるとフリアの心配事も納得できる。
つまりは、先に行ってちょっとでも長くカブさんの対策を取って欲しい。
それがフリアが暗に告げている言葉。それを理解できるが故にホップもマリィも少し迷う。特にホップはエースがバチンキーというほのおタイプがとことん苦手なポケモン。だからこそ少しでも長く、早く特訓して欲しい。そんなフリアの優しさから来る言葉が胸に刺さる。
カブさんに勝つためにも確かに特訓したい。けど、フリアも心配。
ふたつの思いに板挟みになる2人は頭を悩ませる。
(……だったら、私が動かないとだよね!!)
そんな2人を見て私は決意。グッと心の中で拳を握りながら頷き提案する。
「私が残ってみておくから、2人とも先に行ってて?」
「ユウリ!?」
「本気!?」
わたしからの提案に驚きの声を上げるホップとマリィ。確かに二人からしたら意味の分からない手案かもしれない。けど……
「フリアの先に行って特訓してほしいって気持ち、ホップなら特にわかるんじゃない?」
「う……」
さっきも言ったけどバチンキーを主戦においているホップにとって次のジムは他の誰よりも登竜門といての意味合いが強い。この悩みはここのジムを突破する前からホップがフリアに伝えていたことで、一つ目のジムで苦手タイプであるみずでくさを突破した姿から感銘を受けたホップがちょくちょく相談していたのは私たちの中では周知の事実。色々な作戦を聞いていたし、早くそれを試したいと言っていた姿もみんなの記憶にしっかり残っている。そんなホップを思っての言葉。
フリアはとにかく優しい。自分のことよりも他者を優先するのを当たり前のように思っているから。けどそれはホップだって一緒で……昔から幼馴染としてかかわっているからホップの気持ちだってわかっている。だからその折衷案。
「大丈夫。無茶しないように私が見ておくからさ。ホップは次のジムに向けて頑張って?」
「……すぐ、追い付くから……ボクなら……大丈夫」
「フリア……ユウリ……」
「マリィはその間に、ホップが無茶をしないか見ててもらえない?」
「うん。わかった。任せて!あたしならホップの対戦相手にもなってあげられるしね」
「……わかったぞ。ただ約束だ。すぐ戻ってくるんだぞ!!」
「……勿論!」
ベッドで寝ながら拳を上げるフリアにホップもそっと合わせる。それを約束の指切りの代わりに交わし、ホップとマリィは先に部屋を出ていく。
「フリアも。早く治すためにも、今はしっかり休んでね」
「ユウリ……ごめ━━」
「こ~ら」
謝ろうとしていたフリアの言葉を遮る。今聞きたい言葉そんな言葉じゃない。
「私は違う言葉が聞きたいな」
「……うん。ありがと……」
「うん。どういたしまして」
そのまま安心したのかまた眠り始めるフリア。その寝顔が普段の頼りがいある優しい姿からの、幼く可愛らしい姿へのギャップがなんだかおかしくついつい頬が緩んでしまう。
そっと頭をなでてみる。
心なしか、フリアの顔がちょっと穏やかになった気がした。
(さて、私もやれることはしよう!)
病室に長居するのも悪いと思う。私も次のジムのために新しい仲間を探したい。幸いにもここは海が近いから近くでもいい子が見つかるかもしれない。
(そうと決まれば早速海に行こう!ついでに市場でお見舞いの果実も買わなきゃね!!)
その時は元気になったフリアに新しい仲間を教えよう。そんなことを考えていたら、私の足は不思議ととても軽く、いつもよりも少し楽しく目的地へと足を進められた。
バウスタジアム
なんだかんだで皆しっかり弱点持ってますね。
ちゃんと対策してます。
ローズ
初めてプレイしていた時。誰だこのおっさんって素で思ってました。
熱
むしろ今までよく体調崩さなかったなと……
スーパーマサラ人でも川での特訓のあと風邪ひいてたのでまだ持っていた方では?
こんなご時世なので皆さん体調には気を付けてくださいね。