【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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240話

「リッダァッ!!」

 

 大声とともに胸ビレを掻きむしり、ロックな音を撒き散らすストリンダー。本人の派手好きな性格と、ガラルのみんなのノリが合わさって、会場の空気が一気に騒がしくなっていく。

 

「ありがとうな、ウッウ。ゆっくり休んでくれ」

 

 そんな中、熱い空気に当てられることなく、いつも通りの……いや、むしろいつもよりもほんの少しだけ低いテンションで紡がれるホップの言葉。2人目の仲間を倒され、リードを取り返すことが出来ていない現状に、少なくない思いが募っているのだろう。けど、それはあくまでもいつもと比べると少し違うというだけで、別段大きく取り乱している訳では無い。

 

(凄く冷静……)

 

 けど、普段のホップを知っている私からすれば、こういうホップの方が逆に新鮮だ。それだけこのバトルに万感の思いを込めているということだろう。

 

(当たり前だけど……まだまだ全然気は抜けない……!!)

 

 改めて気持ちを引締め、来たるホップの3人目の仲間に目を向ける。

 

「頼むぞカビゴン!!」

「カァビ……」

「来た……カビゴン……!!」

 

 現れたのはカビゴン。ホップの手持ちの中でも屈指の耐久力と破壊力を秘めており、その爆発力は先のマリィとの戦いでも大活躍したほどだ。

 

(『のろい』をされたらそこから一気に崩されかねない……!!やるなら速攻!!)

 

「『オーバードライブ』!!」

「リッダ!!」

 

 私の頭をよぎる、のろいからの大あばれによるマリィの押され具合い。アーカイブで見てるだけでも伝わってきたその破壊力は、今でも私に脳裏に深く刻まれている。

 

 あれだけは許す訳には行かない。けど、私が対策するのはホップにとっても予想出来たこと。

 

「へへっ、なんか警戒されるってちょっと嬉しいよな!カビゴン!!その警戒を超えて技をぶつけてやろるぞ!!『じしん』だっ!!」

「カッビ」

 

 ストリンダーの速攻を見てカビゴンが取った行動は、こちらも即攻撃。1度軽くジャンプしたカビゴンが、その巨体を勢いよく地面に落とし、全方位に無差別の揺れを巻き起こす。

 

「わわっ!?」

 

 その威力は凄まじく、かなり距離が離れているはずの私の足元だけでなく、スタジアム全体を揺るがす勢いで広がっていく。当然対面しているストリンダーは、私が感じるそれとは比べられない揺れを受けることとなる。

 

「ストリンダー!!ジャンプ!!」

「リダッ!!」

 

 でんき、どくタイプを持つストリンダーにとって、じめんタイプの技は何がなんでも避けなくてはいけない技だ。こんなものを受けてしまえば、たとえ体力が完全にあったとしても耐え切れるかどうか怪しい。この技を放ったのが、高い攻撃力を誇るカビゴンであるのならば尚更だ。

 

 のろいをしてくると読んで、それを止めるべく放ったオーバードライブを無理やり中断してジャンプするストリンダー。この程度でじしんの勢い全てを避けられるだなんて甘いことは考えていないけど、それでもオーバードライブと相殺することも相まって、それなりの威力減衰が見込めると思っての行動だ。

 

(致命傷は受けても、一撃で戦闘不能とまではいかないはず……とにかく、まずはこの『じしん』をやり過ごすことを考えて……)

 

「逃がすなカビゴン!!もっと『じしん』!!」

「カッビィッ!!」

「え?」

 

 地面に勢いよく足をつき、全方位に破壊の揺れを広げているカビゴンが、ホップの指示と共にもう一度ジャンプして地面に足を叩きつける。すると、ただでさえ強力なじしんが、さらに威力を増して地面を揺らしてくる。その揺れ具合は、地面より岩を隆起させて、礫が空中に打ち上げれれていくほど。

 

「リダッ!?」

 

 礫が飛び上がるということは、空中にいるポケモンにも少なくないダメージが入るという事。それは跳んで躱そうとしたストリンダーにも適応され、次々と礫が身体を打ち付ける。しかもそれだけではなく、礫のせいで勢いを殺されたストリンダーは、まだ揺れが残っている地面へとゆっくり落下を始めていった。

 

 このままだと、じしんに巻き込まれてしまう。

 

「ストリンダー!!地面に『ばくおんぱ』!!」

「っダァッ!!」

 

 慌てて地面に向けてばくおんぱ。じしんのエネルギーを抑えると同時に、地面に衝撃がぶつかった反動で、ストリンダーの身体が軽く浮き上がり、落ちかけていたところからさらに上に上昇する。これで少なくとも、何も無ければじしんが直撃することは無いはずだ。

 

 そう、何も無ければ。

 

「逃がすなカビゴン!!『ヘビーボンバー』!!」

 

 空に逃げるストリンダーに対してカビゴンは、ここで逃げられたら面倒になることを察してさらに追撃をしかけてくる。今までがウールーの転がるだったり、ウッウのうのミサイルによる釘付けだったりと割とテクニカルな動きが多かったためか、こういったとにかく力で押していくホップ本来の動きがとても新鮮に見え、今までの戦いとのギャップで判断が鈍りそうになる。それでも何とか頭をはたらかせて、今こちらにできることを必死に模索していく。

 

(空中で機動力のないストリンダーにこの『ヘビーボンバー』は避けられない。かと言って、ここで『ばくおんぱ』を使ったら、技の反動でまだ揺れてる地面に落ちて、結局『じしん』を受けちゃう……今求められるのは、空中にいたままカビゴンの攻撃をいなすこと……なら、私の今するべき技は……!!)

 

「ストリンダー!!『ほっぺすりすり』!!」

「リダッ!!」

「カビッ!?」

「なっ!?」

 

 空から落ちてくるカビゴンに向かって、逃げるのではなく逆に手を伸ばしたストリンダーは、カビゴンの手を掴んで引っ張り、身体をカビゴンの真下の位置から少し横にずらして、そこから抱きつくように密着。2人がくっついてひとつの塊となったところで、ストリンダーが自身の頬に貯めた電気をカビゴンに押し付けて、その身体をまひにおかしていく。

 

「よしっ!!」

「くっ、結構押してるつもりなんだけどなっ!!」

「簡単にはやりたいことさせないよ!!」

 

 さっきから危ない橋を渡りまくっている気がしなくは無いけど、それでも何とかギリギリのところで回避し続けている。カビゴンのじしんも、2人が地面に落ちる頃には収まっていることだろう。少しだけ息を吐いて、心を落ち着ける。

 

「なら、無理やりやりたいことを通してやる!!カビゴン!!仕返しだ!!ストリンダーを掴んで離すな!!」

「カビッ!!」

「リダッ!?」

 

 けど、そんな私の呼吸の隙間をホップは見逃さない。

 

 私とストリンダーの気が緩んだ一瞬の隙に、痺れる身体に鞭打って自分に頬を擦り付けてきたストリンダーをガッチリホールドしてきたカビゴン。いくら電気を放っているといっても、ストリンダーの身体で一番電気を発する瞬間は胸ビレを手で弾いたときだ。今回みたく、真正面から抱きしめるようにホールドされてしまうと、発電器官が押さえつけられるせいでうまく電気を発することが出来なくなってしまう。一応ストリンダーの発電方法は胸ビレを弾く以外にもあるにはあるけど、その方法が淀んだ水を飲んで身体の中に取り入れた後に、毒素を分解したときのエネルギーで発電されるという仕組みなため、今回はどうやったって発電できない。

 

(『ハイパーボイス』も胸ビレを起点とする技だから放てないし、『ヘドロウェーブ』も毒液を分泌する場所を抑えられてる……)

 

 この状況になると打てる技なんて1つしかない。

 

「『ほっぺすりすり』!!」

「リ……ダ……ッ!」

 

 新しく発電する術を抑えられたストリンダーは、頑張ってほっぺをこすりつけ、自身の体内に残っている電気をぶつけるしか抗う方法がなく、必死にカビゴンの身体に引っ付いて電気を流す。しかし、この程度の攻撃では、カビゴンの逞しい防御を打ち破ることなんてとてもじゃないけどできず、カビゴンが少し気合を入れるだけで、その攻撃は完全に受けきられてしまう。

 

 その間にも、カビゴンはストリンダーを抱いたまま、真っすぐ地面にへと落ちていく。

 

「このまま決めるぞ!!カビゴン!!『じしん』!!」

「ストリンダー!!なんでもいいからとにかく何かしら放って逃げて!!」

 

 まるでちきゅうなげのようにも見えるその技行動。このままカビゴンのじしんが発生してしまえば、ストリンダーは地面とカビゴンの間に挟まれ、そのうえでじしんのダメージをその身に全て受けてしまうから、どうやったって戦闘不能になってしまう。

 

(それだけは避けたい……!!)

 

 もうなりふり構ってられないこちらは、毒液やら電撃やらをやたらめったら放つしかなくなってしまった。私の指示を何とか聞いて、身体のいたるところから、紫色の液体やら電気ショックやらを弾けさせていく。しかしそれはとても技と呼べるようなものではなく、そのどれもがカビゴンの厚い脂肪を突き破ること敵わずに、ただただいたずらにストリンダーの身体から消費されていく。

 

 そんな無茶苦茶な戦いをして、ストリンダーのガス欠がすぐ来ることなんて誰が見ても明らかで……

 

「ダ……」

 

 身体にため込んだものを吐き出し切ってしまったストリンダーは、カビゴンの腕の中でぐったりしてしまう。一方のカビゴンは、身体のいろんなところに紫色の液体を付着させてはいるものの、そのどれもが表面に軽くついているだけで、カビゴンが空から落ちて来る時の風圧だけでそれらがどんどんはがされていく。

 

「カッビッ!!」

 

 そしてついに地面に落ちるカビゴンとストリンダー。地面に落ちると同時に今まで起きた2回のじしんを遥かに凌ぐ威力をもって地面を揺らし、カビゴンたちが落ちた周辺の地面が思わず隆起してししまうほどの衝撃に思わず顔を覆ってしまう。

 

 1、2秒ほど続くその暴風から顔を守り、衝撃が消えたと同時に前を見る。するとそこには、目を回してカビゴンの下敷きになるストリンダーの姿があった。

 

 

『ストリンダー、戦闘不能!!』

 

 

「良いぞカビゴン!!」

「カ~ビ……ッ!!」

 

 ストリンダーの戦闘不能の言葉と同時に、喜びの声をあげるホップとカビゴン。カビゴンはまひによってわずかに声を詰まらせるけど、首を振ってすぐさま振り払い、我慢の様子を見せている。身体に付着していた毒液に関しても、地面にぶつかった時の衝撃できれいさっぱり吹き飛んでおり、毒のダメージが入っているようには見えなかった。

 

 もっとも、ポケモンは基本的に何か1つの状態異常になった場合、ポケモン自身が持つ抗体が激しく反応するせいなのか、どうも2つ目の状態異常に対しては耐性を持つみたいなので、今回はどうやったってどくにはならない。今回はどく目当てで毒液を掛けていたわけじゃないから、そこは別にいいんだけどね。

 

「ありがとう、ストリンダー」

 

 ストリンダーをボールに戻しながら労いの言葉をかける。その間、私の視線はカビゴンに向けられていた。

 

(マリィとのバトルを見返していた時も思ったけど、やっぱりホップのカビゴン、凄く強い……)

 

 ホップの研究をするうえで、一番しっかり確認したマリィとのバトルでもカビゴンは大暴れをしていた。のろいを積んで防御と攻撃を同時に強化し、とにかく力で押して暴れるあのスタイル。まだ私とのバトルでは積まれてはいないけど、あれをされたら私だってたまったものではない。

 

(なんとしてでもそれだけはさせちゃいけない……そのためにも、次の子は……)

 

「行くよ!!ポットデス!!」

「ポ~!!」

 

 私の3番手はポットデス。ピンク色のティーポットから顔を出しながら、ゆらゆらと身体を揺らすその姿は、さっきのウッウと同様に少しバトル向きのそれとは思えない表情を浮かべていた。

 

「よろしくね?」

「ポルティッ!!」

 

 しかし、そんな余裕そうな表情も、私が声をかけるときりっと引き締まったものに変わり、やる気満々というかのようにティーポットから腕を伸ばし、力こぶを見せる。

 

 ……サイズ的に多分この力こぶが見えているのは私だけだと思うけどね。それが少しかわいらしくて、くすっとしてしまいそうになる。

 

(っと、和んでいる場合じゃないよね!!)

 

 軽く頬を叩いて気合を入れなおす私は、前を真っすぐみる。その視線の先には相対するポットデスとカビゴン。両者は、見た目こそ少しほんわかしてはいるものの、相手を観る目線は鋭く、戦闘準備は万端と言った様子を見せていた。そんな2人を見て、私とホップは同時に指示を出す。

 

「カビゴン!!」

「ポットデス!!」

「「『のろい』!!」」

「……って、お前もか!?」

 

 出された指示は、私もホップものろいだった。

 

「カ~ビ……」

 

 ホップの指示と共に欠伸をするカビゴンは、自身の素早さを犠牲にする代わりに、攻撃力と防御力を一段階成長させていく。マリィとのバトルでも猛威を振るった、攻防一体の要注意技の1つだ。これを何回もされれば、私のポケモンなんて一瞬でつぶされてしまう事だろう。そのうえで防御も一緒にあがるのだから、倒すのに苦労する難攻不落の壁となる。

 

 でも、だからこそのポットデス。

 

 ポットデスもカビゴンと同じで、行った技はのろい。しかし、この技は使ったポケモンがゴーストタイプなのか、はたまたそれ以外なのかで効果が全然違うものとなる。

 

「ポ……ティッ!!」

 

 カビゴンが欠伸をしている目の前でポットデスが行ったのは、紫色に光る五寸釘を自分に突き刺すというもの。

 

「ティ……ッ!!」

 

 自分の身体にぐんぐんと釘を沈めていくポットデスは、沈んでいくたびに苦しそうな声をあげていく。その姿が少し痛々しく、自傷することを指示した自分にちょっとした後悔が沸いてしまう。しかし、ポットデスはこれを理解してくれたうえで、自分からこの役目を買ってくれた。そんなポットデスの覚悟をしっかりと見届けるため、目をそらさずに前を観続ける。

 

「カビ……?」

 

 そんなポットデスの、自分の体力を生贄にささげた行動の結果は、カビゴンの目の前に徐々に表れ始める。

 

 それは、ポットデスが自分に刺した五寸釘と全く同じもの。カビゴンの斜め上に急に現れたそれを、カビゴンは不思議そうに眺める。

 

「カビゴン!!その釘を叩き落とすんだ!!」

「カビッ!?」

 

 しかし、この釘の意味を理解しているホップは、カビゴンに対してすぐさま攻撃を指示。カビゴンも、ホップの声を聞いてこの技のやばさに気づいたらしく、慌てて右腕を上から下に振り下ろす。しかし、ポットデスが呼び出したこの釘は、目には見えるものの実体を持っているわけではない。そのため、カビゴンが必死に降ろした腕はすり抜け、紫の五寸釘は真っすぐカビゴンの胸へと吸い込まれていく。

 

「カ……ビ……ッ!?」

「カビゴン!?」

 

 胸へと刺さった五寸釘は、そのままポットデスの時と同じようにどんどん奥に突き刺さり、カビゴンの身体へ少しずつ沈み込んでいく。そして、その釘が沈む度にカビゴンから苦痛の声が上がる。

 

 この効果を見てわかる通り、ゴーストタイプがのろいを行った際、その効果は自身の体力を消費して、文字通り『呪い』を相手に与えるものとなる。これでカビゴンは常にのろいによって体力を蝕まれることとなる。

 

「さぁ、いくらでも『のろい』を積んでもらっていいよ?その代わり、カビゴンの体力は少しずつ削らせてもらうけどね?」

「ぐ……っ!」

 

 ゴーストタイプののろいは、発動に自分の体力を半分消費する必要のある、かなりリスクの高い技となっているけど、その代わり1度発動してしまえば、モンスターボールに戻らない限り永遠とのろいによる苦しみに襲われることとなる。こうなってしまえば、カビゴンの寿命がすぐそばまで迫っている以上、のろいを積んで強化するだなんて悠長なことはしていられない。では、『ここでホップはカビゴンをボールに一旦戻してのろいを解除してくるのでは?』と思うかもしれないけど、そうなったらなったで今度はこっちがからをやぶるをして、逆にこちらの攻めの起点にできる。ホップの残りのメンバーからしても、からをやぶったポットデスと真正面から戦いたくなんてないだろう。今も苦しそうな声を上げながらこちらを見てくるホップの表情には、今私が考えていることと同じことを思い浮かべ、どうするか悩んでいるように見える。

 

(すごく悩んでる……でも、時間はこっちの味方。動かないのならこっちからじっくり仕掛ける!!)

 

「ポットデス!!『ギガドレイン』!!」

「っ!?カビゴン、避けろ!!」

「カビ!!……ッ!?」

 

 私の指示を聞いてようやくハッとしたホップが慌てて回避を指示。しかし、元々の足の遅さと、身体がまひしていることが合わさって、動きがかなり遅くなってしまったカビゴンは、緑色の針を避けることに失敗。刺さったところからエネルギーが吸い取られ、ポットデスの方へと吸い込まれていく。

 

 これでのろいによって消費した体力を、いくらか回復することに成功。心做しか、ポットデスの表情が少し明るくなった気がする。

 

「……随分とえげつない作戦だぞ」

「こうでもしないと、ホップのカビゴンは簡単に暴れちゃうからね。対策は凄く考えたよ」

「嬉しいけど、嬉しくないぞ……」

 

 のろいによるスリップダメージに、ギガドレインによる体力回復。ホップにとって苦しい状況が積み重なっていく。今も五寸釘を叩き込まれているカビゴンは、目の下あたりに紫色の隈のようなものが浮かび上がらせており、かなり苦しそうにしている。カビゴンが倒れるのも、時間の問題だろう。……けど。

 

「嬉しくは無いし、かなり苦しい状況だけど……でも、おかげでやることは明確になったぞ!!」

 

 ホップの表情は明るくなる。

 

(本当に……)

 

「時間をかければかけるほどダメなら……防御を捨てればいいだけ!!攻めて攻めて攻めまくるだけだ!!カビゴン!!『じしん』!!」

「カッビ!!」

「ああもう!!気持ちいいくらい切り替え早いんだから!!ポットデス!!『ギガドレイン』!!」

 

 時間をかければ不利になるのなら、何も考えず攻めることだけに集中すればいい。そんな最適解を知ってか知らずか、すぐさま導き出したホップは、カビゴンにじしんを指示。カビゴンも、その言葉を聞いて右腕を思い切り地面にたたきつけ、今日4度目の大地震が発生。これを見て私はギガドレインで少しでもダメージを与えて、じしんの発生を遅らせようとするけど、そんなこと無視と言わんばかりに地面を殴っていく。

 

「すまないぞカビゴン……けど、お前の頑張りは無駄にしないぞ!!さぁ最後の悪あがきを見せてやるぞ!!『じしん』をしまくれーッ!!」

「カァビッ!!」

 

 のろいによるダメージのせいで残された時間は無い。それを理解しているからこそ、呪われようが、痺れようが、そして緑の針によって体力を吸い取られようが、その全てを無視してひたすらに地面を殴って大地震を起こしまくる。

 

「ポットデス!!攻撃中止!!避けることだけに集中して!!」

「ティッ!!」

 

 威力が上がる度に増えていく礫の数。その増加スピードはとても早く、ギガドレインを打つ余裕はものの数秒でなくなってしまった。だから、攻撃をすぐ辞めたポットデスはカビゴンを見ることすらもやめて、地面から飛んでくる礫に注視。とにかく避けることに専念する。

 

「ティ……ッ!?」

「くっ、攻撃が激しぎる……っ!!」

 

 けど、それでもポットデスは回避し切ることが出来ず、いくつかの礫をその身に受けてしまう。のろいの発動に体力を削っていたポットデスにとって、このダメージはかなり重く、物理耐久の低さも相まってかなり辛い状況に追いやられてしまう。が、何も悪いことばかりが起きた訳では無い。

 

「……ッ!!ティッ!!」

「ポットデス!!」

 

 ポットデスの特性、くだけるよろい。

 

 物理技を受ければ受けるほど、自身の防御力を犠牲に素早さを成長させるこの能力は、当然じしんにも反応する。礫が当たる度に発動していくこの特性の効果で、ポットデスの動きはみるみる成長していく。結果数秒後には、あれだけ苦戦させられたじしんによる礫の嵐を全て捌けるようになっていた。

 

 屈み、揺れ、逸らし、回り、あらとあらゆる方法で礫の嵐を避ける様は、舞を踊っているようにも見え、思わず見とれてしまいそうになるほど。

 

「凄い……」

 

 そんな、誰もが見とれそうなその回避劇は、じしんの収まりと共に終焉を迎える。

 

 カビゴンの身体に突き刺さる五寸釘が、最後まで刺さり切ったみたいだ。

 

「カ……ビ……」

 

 

『カビゴン、戦闘不能!!』

 

 

 のろいの回り切ったカビゴンは、そのままゆっくりと身体を横たえる。

 

 ホップの大きな壁を打ち崩した、大きな一歩。けど……

 

「ティ……ティ……」

 

 ポットデスも、少なくない傷を負っている。

 

 まだまだ気は抜けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ストリンダー

図鑑説明を見ると、なかなか面白い生態をしている子です。ちなみに、パソコンで「すとりんだー」を文字変換すると「ストリンダ―」と、伸ばし棒が変になってしまうので、「すとりんだ」までを打って変換し、そのあとに「ー」をつけるというめんどくさいことをしていたりします。一発で全部ちゃんと変わって欲しい……

のろい

呪いと鈍い。面白い言葉遊びですよね。

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