【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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242話

「戻って、アブリボン。……ありがとう」

 

 ボールに戻したアブリボンをぎゅっと抱き締め、目を閉じながら感謝の言葉を伝えていく。

 

「よくやったぞバチンウニ!!これで逆転だ!!」

「二二ッ」

 

 一方で、ついに奪うことにできたリードに飛んで喜んでいるホップサイド。

 

 残りのポケモンはあと2人と言う終盤戦で、こうやって逆転するのは確かに大きなことだ。大事な試合であるのなら、余計に。

 

 でも、まだバトルは終わっていない。

 

(カビゴンへの警戒を大きくしすぎて、他のポケモンへの対策が甘かった。このリードは……仕方ないものとして受け入れる。むしろ、バチンウニが暴れないように抑えてくれたアブリボンが本当にファインプレー。本当にありがとう)

 

 アブリボンのボールを腰に戻しながら、私はアブリボンにとにかく感謝する。

 

 彼女が最後の最後まで諦めずに羽ばたいてくれたおかげで、一方的な状況は起きなくなったのだから。

 

「アブリボンの意思……受け継ぐよ!!ミロカロス!!」

「ミロォッ!!」

「へへっ、来たなミロカロス!!」

 

 私の5人目のポケモンはミロカロス。美しい鱗とヒレをなびかせて、水しぶきと美しさを振りまくその姿は、見るもの全ての視線を奪っていく。綺麗な声を響かせながら降臨した、世界で1番美しいと言われるポケモンは、まっすぐとバチンウニを睨みながら構えをとる。

 

「気をつけろバチンウニ!!生半可な攻撃は止められるぞ!!」

「二二ッ!!」

 

 ミロカロスを見て、笑顔を浮かべながらも警戒を強くしていくホップとバチンウニ。どうやら、私がカビゴンを警戒するのと同じように、ホップも私のミロカロスを警戒していたようだ。成程そういうことなら、バチンウニであれだけ大暴れし、かつ後続に負担がかかるように電気のまきびしをばら撒いたのも納得ができる。私とサイトウさんの戦いを見て、スターアサルトを耐えきったあの姿を見れば、少しでも耐久を削っておきたいと考えるのは自然だ。

 

「ま、その前にこの電気の罠を食らってもらうけどな!!」

 

 だからこそ、ミロカロスの弱点をつけ、且つ回避が間に合わない、場にでてきた瞬間にダメージを与える電気のまきびし作戦。その作戦は見事にはまり、早速ミロカロスの方へ向けて矛を向け……

 

「ミロカロス!!『ハイドロポンプ』!!」

「ミロッ!!」

「二二ッ!?」

「……あれ!?なんで電気が発生しないんだ!?」

 

 られることはなく、ごくごく普通にミロカロスから攻撃が放たれて、まっすぐバチンウニに突き刺さり、勢いよく吹き飛ばされた。

 

 バチンウニによって作成されたまきびしと電気による、対ミロカロス最強作戦は、まさかの不発によって終わってしまう。

 

「な、なんでだ!?」

「なんでも何も、すごーく分かりやすく対策をしたと思うんだけどなぁ……もしかして、逆転できることに気持ちが先行しすぎて、気づかなかった?」

「は……?」

 

 私の言葉に困惑しながら、ここに来てようやくバトルフィールドを見渡すホップ。それと同時に何かがはじける音が、バトルフィールドの()()()()()聞こえてきた。

 

「地面にバチンウニの針が全くない!?っていうか、『まきびし』が吹き飛ばされてる!?なんでだ!?あれだけ地面に刺さっていたら、ちょっとやそっとじゃ抜けないはずだぞ!?」

 

 その音につられてそちらを見れば、そこにあるのは端に追いやられ、積み重なって放電しあっていたバチンウニの針。正直、今更気づいたのかとちょっと呆れそうになるけど、それだけ私のことに集中しているのかと思うと、同じ理由で私もバチンウニの戦い方を忘れていたからあまり責めることが出来ない。むしろラッキーだとさえ思ってしまっている。

 

 さて、色々混乱しているホップだけど、ここで種明かしといこう。とはいっても、何ら難しいことはしていないのだけど。

 

「確かにちょっとやそっとの衝撃だと、あの『まきびし』を外すのは至難の業だったはず。でも、その至難の業は、アブリボンとバチンウニの強さが可能にしてくれた」

「2人の強さ……あの時か!!」

 

 思い出されるのは、アブリボンのムーンフォースとバチンウニのびりびりちくちく……いや、あの時点で既にどくづきだったんだっけ?その2つがぶつかり、一瞬だけ拮抗した時に起きた衝撃。周りに広がっていったその衝撃は、地面に刺さっていたまきびしを振動させ、少しだけ浮き上がらせていた。これによって、本来なら簡単に動くことの無いまきびしたちが、ちょっとの力で動くようになる。

 

 これがまず1つ目の種。そして大事なのは、次の種。

 

「動くようになってしまえばこっちのもの。あとはアブリボンが頑張るだけだから……ね?」

「……そういう事か」

 

 ここまでの説明でホップもようやく答えにたどり着いたみたいで、少し表情を悔しそうなそれに歪めていく。

 

 最後のアブリボンの頑張り。それは、倒れる前に必死に翅を羽ばたかせていたあの動きだ。ホップから見れば、必死に向かい風を放って、転がってくるバチンウニを追い返す動きに見えただろう。けど、アブリボンの狙いはそこじゃない。アブリボンが狙って風を起こした先はバチンウニではなく、地面のまきびしに対してだ。

 

 ここまで言えば、最後にアブリボンが行った技の正体がわかるだろう。ホップも気づいたみたいで、ゆっくりと答えを口にする。

 

「『きりばらい』……最後に、これを放ったんだな……」

「うん。正解だよ」

 

 きりばらい。

 

 強い風を巻き起こし相手の身体に風を纏わせることによって回避力を低下させる技だ。そして同時に、まきびしやステルスロック、ひかりのかべ、果てはエレキフィールドみたいな、フィールドに展開されたギミックすらも散らしてしまうことが出来る技。

 

 アブリボンが最後の最後に力を振り絞って行われたこの技によって、バチンウニの作ったまきびし電気のトラップは完全に除去された。おかげでミロカロスはこの通り、のびのびと戦うことが出来る。本当にアブリボンには感謝しかない。

 

「さぁ、アブリボンのためにも、挽回するよ!!」

「ミロッ!!」

「くっ、けど除去されたならまた撒くだけだぞ!!バチンウニ!!」

「ニニッ!!」

 

 こちらの種が明かされたことで悔しそうな顔を浮かべたホップは、しかしこの程度で諦めることはなく、再びまきびしを撒くための準備を始める。アブリボンが落ちてしまっている以上、もういちどまきびしを撒かれてしまったらいよいよ除去する方法がなくなってしまう。だからこそのまきびしの再展開。だけど、当然私がそんなことを許しはしない。

 

「させないよ!!『ハイドロポンプ』!!」

「ルロォッ!!」

 

 バチンウニが回転して動こうとしたところで、ミロカロスの口元から勢いよく水が発射される。

 

「避けろバチンウニ!!そしたら続けて『びりびりちくちく』だ!!『ハイドロポンプ』ならまだ避けやすいはずだぞ!!」

「ニニッ」

 

 全てを穿たんと放たれたこのハイドロポンプは、みずタイプの技の中ではかなりの威力を誇る反面、技の操作が難しく、当てるのが難しい技だ。ホップの言う通り、避けるのはそんなに難しくはなく、むしろ威力に振り切った技のため、技の後隙がかなり大きい。この技を避けられてしまえば、ホップのバチンウニの機動力ならば問題なく反撃をすることが出来るし、なんなら反撃とまきびしの展開を同時に行うことも可能だろう。

 

 故の、ホップからの指示はびりびりちくちく。理にかなった正しく、そして素早い判断だ。

 

 もっとも、それはこのハイドロポンプを避けられればの話だが。

 

「ニニィッ!?」

「バチンウニ!?」

 

 真っすぐ飛んでくるハイドロポンプを避けようと、右に向かって走り出そうとしたバチンウニ。判断も走り出しも早かったため、避ける余裕は十分にあった。これでバチンウニが万全の状態であれば、間違いなく回避は成功していただろう。

 

 しかし、忘れてはいけないのが、アブリボンの放ったきりばらいは、受けたものに風をまとわりつかせ、()()()()()()()()()()()()()()という事だ。

 

 バチンウニの周りにうっすらと漂う空気の層。それがバチンウニの動きをほんの少しだけ阻害し、ハイドロポンプの射線から逃れるのを防ぐ。結果、ミロカロスから放たれた激流はバチンウニに直撃し、派手に音を立てながら大きく吹き飛ばされた。

 

 宙に浮かんだバチンウニが勢いをつぶされ、びりびりちくちくのために溜めていた電気を放電させながらホップの方に飛ばされていく。放電されている電気もステージの端っこに飛ばされた針に誘導されているせいで、ミロカロスに飛ぶことなんて万が一にもあり得ない。けど、それでもバチンウニはまだ目を回しておらず、その瞳に闘志を宿していた。

 

 ちゃんととどめを刺さないといけいない。

 

「ミロカロス!!もう一度『ハイドロポンプ』!!」

「ルロッ!!」

「バチンウニ!!針を飛ばせ!!」

「ニ……ニッ!!」

 

 とどめを刺すべく放たれた3発目のハイドロポンプ。空中にいるために回避する手段を持たないバチンウニは、最後の抵抗とばかりにこちらに針を飛ばしてくる。しかし、それらすべて水にまきこんで押し流し、再びバチンウニに叩き込む。

 

 これでバチンウニは倒れるだろう。けど、このバチンウニを相手にして、最後の最後まで気を抜いてはいけない。

 

「ミロカロス!!上に『れいとうビーム』!!」

「……流石にダメか」

 

 バチンウニが飛ばされているのを見送りながら、次は空に向かってれいとうビームを指示。すると、ミロカロスの上空で、何かが次々と凍っていき、ミロカロスの周りに落ちていく。

 

「さすがに、ここで毒を受けるわけにはいかないからね……」

 

 その正体は、バチンウニがどくづきをしながら飛ばしてきた針。毒を纏って、紫色に変色していたそれは、氷に閉じ込められたまま地面に散らばり、そのあとにミロカロスに振るわれた大きな尻尾によって、これまたまきびしと同じようにステージ端まで追いやられる。

 

 

『バチンウニ、戦闘不能!!』

 

 

(これでイーブン!!)

 

「ありがとう、バチンウニ。休んでくれ」

 

 アブリボンのおかげで取り戻したこの状況に、心の中でガッツポーズをしながらも、あくまでもイーブンに戻しただけだということを忘れずに前を見据える。

 

「……やっと追い越したのに、すぐ追いつかれちまった。本当に油断できないぞ……」

「油断してたの?」

「してなんかいないぞ!一瞬すらも気を抜けないってことだ!!」

 

 バチンウニをボールに戻し、腰のホルダーにつけながら次のボールを構えだす。

 

「取り返すぞ……アーマーガア!!」

「ガアァッ!!」

 

 ホップの5人目はアーマーガア。

 

 気合満々と、鋼の翼を広げながら高らかに吠えるアーマーガアは、その赤い瞳でひとにらみするだけで、睨まれたものの心をすくませてしまうかのような威圧感がある。

 

「ミロカロス……頑張るよ!!」

「ルロォッ!!」

 

 しかし、睨まれた側であるミロカロスはそんな視線をものともせずに、綺麗な声を響かせながら構える。

 

「『ハイドロポンプ』!!」

「『ブレイブバード』!!」

 

 お互い準備万端。それを感じ取った私たちは、何か合図をするわけでもなく、同時に技を指示した。

 

 ミロカロスは口から激流を放ち、アーマーガアは身体を白く光らせながら翼を広げ、嘴を前に突き出しながら真っすぐ突っ込んでくる。

 

 この2つの技がぶつかり合うのに、時間は1秒もかからない。

 

「ッ!?衝撃が……!?」

「ぐぅ……凄い圧力だぞ……っ!!」

 

 激流と鋼の身体がぶつかり合うと同時に撒き散らされる飛沫と衝撃に、思わず顔を腕で覆う私とホップ。けど、腕の隙間からしっかりと前は見ており、状況はちゃんと確認する。

 

(戦況はほぼ5分……でも、ミロカロスがちょっと押されてる)

 

 ピタリと止まって鍔迫り合いを起こしているように見える、水の流れと鋼の鳥。しかし、その実少しずつアーマーガアの進撃が進んでいるように見える。ほんのわずかずつしか動いていないそれだけど、それもでしっかりと動いてしまっているあたり、純粋な力勝負ではアーマーガアの方がわずかに上らしい。ただ、現状だとそこまで焦る必要もないように感じる。

 

(『ねっとう』から『ハイドロポンプ』に変えたのに、それでも負けるなんて……凄い威力……でも、確かに力比べはほんの少し負けているけど、多分ミロカロスの下に到達するときにはお互いのスタミナが切れて仕切り直しになるはず……大丈夫、まだ焦る段階じゃない。むしろ、ミロカロスに近づけば近づくほど水の勢いは上がって来るんだから、そこまで近づいてくれれば……!!)

 

 そんな私の予想通り、少しずつ近づいてくるアーマーガアは、ミロカロスに近づくほどその表情を苦しそうなものにゆがめていく。それでも気合を入れてどんどん突き進んでくるアーマーガアだったけど、ミロカロスとの距離があと数十センチというところで進撃はピタリと止まり、完全な拮抗状態へ。そのまま鍔迫り合いが5秒ほど経過したところで、お互いのスタミナがいったん切れ、ハイドロポンプとブレイブバードが止まり、その数秒後にエネルギーが爆散。ぶつかり合った時よりもさらに大きな衝撃と音をまき散らしながら、両者の距離が初期状態へと戻されていく。

 

「ミロ……」

「グァ……」

 

 距離が離れたところで一呼吸し、酸素を取り入れる両者。その緊張感は私たちにも伝わっており、私とホップの深呼吸も重なった。

 

 そして、お互いの深呼吸が終わったところで、再び私とホップの指示が重なる。

 

「『れいとうビーム』!!」

「『ひかりのかべ』!!」

 

 次のお互いの手は、私がれいとうビームでホップがひかりのかべ。地面を凍らせながら真っすぐ伸びる青白い光線は、しかしアーマーガアの展開した透明な壁にせき止められる。

 

「行って!!」

「ルロッ!!」

 

 けど、ホップのアーマーガアがひかりのかべを覚えているのはマリィとの闘いを見ていて知っていたので、特に焦りはしなかった私はすかさず氷のレールに乗って、アーマーガアへ接近する指示を出す。ひかりのかべはあくまでも特殊技に対する回答だから、それなら物理で殴ろうという単純な考えからの行動だ。

 

「『アクアテール』!!」

 

 目的地である、アーマーガアの懐に素早く到着したと同時に、今度は尻尾に水を纏わせたミロカロスは、先の考え通り物理技にてアーマーガアへ攻撃を開始。下から上に、サマーソルトをしながら思いっきり尻尾を振り上げる。

 

「『てっぺき』して翼を叩きつけろ!!」

 

 これに対してアーマーガアは、全身を鈍色に輝かせて、今度は防御力をぐーんと伸ばし、その状態で右の翼を上から振り下ろす。

 

 ぶつかり合った2つの技は、またもやきれいに相殺することとなり、両者の距離がまた少し開く。

 

「『はがねのつばさ』!!」

「『アクアテール』!!」

 

 しかし今回は仕切り直しなんてせずに、相打ちによってのけ反った身体を無理やり前に戻し、再び攻撃の構えを取る。

 

 まずは一足先に態勢を立て直したアーマーガアが、翼を再び鈍色に輝かせながら伸ばし、今度は左の翼をすれ違いざまにぶつけるイメージでこちらに突っ込んでくる。

 

「かがんで『ハイドロポンプ』!!」

 

 これに対してミロカロスは身体を地面に伏せて、自身の頭上をアーマーガアに通り抜けさせる。そして、自身の真上にアーマーガアが来たタイミングで、真上に向かってハイドロポンプ。アーマーガアのお腹を攻撃するように発射しようと、口元に水を集めて、球状に圧縮していく。

 

「『ブレイブバード』!!」

 

 下を取られたアーマーガアは、ハイドロポンプの予兆を確認したと同時にすぐさまはがねのつばさを停止。技をブレイブバードへと変更して、翼をはためかせ、嘴の向きを真下に無理やり変更し、ミロカロスに向かって落ちていく。

 

「水をぶつけて!!」

 

 技の出はブレイブバードの方が早いため、このまま行けばハイドロポンプを放つ前にミロカロスがダメージを受けてしまう。そこで、攻撃の仕方を水を吐くのではなく、この圧縮した水を直接ぶつける路線に変更。落ちてきた嘴を受け止めるように、ミロカロスは水を前に向けたままアーマーガアに突撃。

 

「グアッ!?」

「ミロッ!?」

 

 ブレイブバードとハイドロポンプの相打ち結果は引き分け。圧縮した水に嘴が触れたことによる爆発によって、ミロカロスは地面を転がされ、アーマーガアは空に向かって吹き飛ばされていく。

 

 両者に決して少なくないダメージが入った。が、総合的なダメージで見ると、空に衝撃を逃せたアーマーガアの方が少ないように見える。

 

「『れいとうビーム』!!」

「ミ……ロッ!!」

 

 しかし、態勢を整えたのはこちらの方が早かった。そのため、まだ空中でバランスを崩しているアーマーガアに向かってすかさず攻撃。凍てつく光線はまっすぐ綺麗に飛んでいく。

 

「『はがねのつばさ』!!羽を盾にするんだ!!」

 

 この攻撃は避けられない。そう判断したホップは、避けるのではなく受けることを選択。右翼を自身の前に持ってきて広げ、盾にして受け止める。

 

「突っ込め!!」

 

 翼の盾で攻撃を受け止めたアーマーガアは、そのまま翼を前に展開したままミロカロスに向かって突き進む。その姿はまるで盾の兵士が攻撃をかき分けて進軍するそれに見えた。

 

「出力あげて!!」

 

 このままでは間違いなく押しつぶされると判断した私は、氷の勢いを強くすることで、アーマーガアが落ちてくるよりも速く凍りつかせて、行動不能にすることを選択。身体が鋼である以上、温度が下がるのは速いはず。そこに期待を込めてれいとうビームをとにかく放ち続けた。

 

「くっ、このまま凍らされるわけにはいかないぞ……でも引くのはもっと無しだ!!アーマーガア!!左の翼も重ねろ!!」

 

 徐々に凍り始める右の翼。その様子に苦い顔を一瞬浮かべるホップだったけど、その表情をすぐに戻し、今度は左の翼も使うことを指示。この指示に従ったアーマーガアは、左の翼を右の翼の後ろから重ね、その状態で更にミロカロスに向かって力を籠め始める。翼は機能していないので、もはや『飛ぶ』ではなく『落ちる』となっているけど、ひかりのかべによる軽減に物言わせて無理やり落ちてきていた。

 

 純粋な力勝負では、先ほど負けた通りアーマーガアに分があり、技という面においても、今回はブレイブバードではないとは言え、こちらもれいとうビームになっているので分が悪い。そのうえでひかりのかべがあるので、やっぱりミロカロスの火力が少し足りない。その証明をするかのように、ハイドロポンプとの打ち合いの時以上に速いスピードでアーマーガアが突っ込んでくる。

 

(これ……止められない……!!)

 

「弾け!!」

 

 まずいと思った時にはもう間に合わず、ミロカロスの直前まで迫ったアーマーガアは、ギリギリまで近づいたのを確認したと同時に、盾のように重ねていた2つの翼を一気に解放。力任せに振るわれた鋼の翼は、氷を無理やり砕き、その破片をミロカロスの方に飛ばしていく。

 

「ルロッ!?」

「いまだ!!『ブレイブバード』!!」

「グアァ!!」

 

 氷の破片で怯むミロカロス。その瞬間に、翼が自由になったアーマーガアがさらに加速。自身の嘴を矛に変えて、ミロカロスに向かって思いっきり突っ込む。

 

 怯んでいるミロカロスに、これを回避する術はない。

 

「ルッ!?」

「ミロカロス!!」

 

 身体に突っ込んでくる鋼鉄の嘴。その重さと威力にミロカロスはつぶされ、苦しそうな声をあげる。

 

「いいぞアーマーガア!!」

「グアァッ!!」

 

 それでも一切の力を抜かないアーマーガアは、さらに力を込めて押し込んでいく。

 

 絶体絶命の状況。けど……

 

「……ミロカロス、行けるよね?」

「ミ……ロ……ッ!!」

 

 サイトウさんのネギガナイトのスターアサルトを耐えきったミロカロスは、これくらいの攻撃ならまだ耐えられる。

 

「『ハイドロポンプ』!!」

「ミ……ロォッ!!」

「なっ!?」

「ガァッ!?」

 

 押しつぶされながらも、それでも最後まで耐えきったミロカロスが、死力を尽くしてハイドロポンプを放つ。

 

 ブレイブバードを放ち、零距離にいたアーマーガアに、この技を避けることは出来ない。

 

「ミ……ロォォォッ!!」

「グ……ア……ッ!」

 

 むしろ、近づきすぎた故に、ひかりのかべがほとんど機能しなくなってしまっているアーマーガアは、そのまま激流に押し流され、気づけばステージの端の壁にまで叩きつけられていた。

 

「グ……」

 

 

『アーマーガア、戦闘不能!!』

 

 

 息も絶え絶え。

 

 もう瀕死一歩手前。それでも

 

「ミロ……ッ!」

「ありがとう……ミロカロス!!」

 

 ミロカロスが、最後の最後で粘りを見せた。

 

「……本当に、やるな……ッ!!」

 

 このミロカロスの意地には、ホップもこういうしかなくなっていた。

 

 勝利まであと一歩。

 

 最終ラウンドの幕が、開かれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




きりばらい

種明かしはこの技でした。初登場時から少しずつ除去できるものが増え、剣盾からフィールドも消せるようになっているんですね。地味にいろいろ強化されている技です。もやもや気分はこれで払いましょう。

ミロカロス

ユウリさんの砦を担う1人になっていますね。耐久力の鬼です。まるでBDSPのシロナさんのミロカロスみたいですね。




さぁいよいよ追加DLC第二弾ですね。私もさっそく留学してきます。新しい冒険を楽しみましょう!

……個人的に気になっているのは、どうも『のろい』の技マシンがあるとか?……流石にディンルーやサーフGOにはありません……よね?




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