「アーマーガア。戻って休んでくれ。……ごめんな」
アーマーガアにリターンレーザーを当てながら声をかけるホップ。
これでホップのポケモンは5人倒れ、いよいよ最後のひとりとなる。
(あと1人……でも、こっちもミロカロスはかなりピンチ……)
ここに来て再びリードを取り返せたけど、差が大きいとはお世辞にも言えない。いつもならとても頼りになるミロカロスだけど、今の状態の彼女はさすがに少し心もとない。
「ミロ……っ!!」
それでも決して目をそらさず、まっすぐ前を見る彼女の意思は潰えていない。
(うん……最後まで、お願いするね!)
そんな彼女の意志を受け取りながら、私も前を見て拳を握りしめる。
「すぅ……ふぅ……」
前を見つめる私に対して、ホップは胸に手を当てて深呼吸。アーマーガアが入っていたボールを腰に戻しながら、最後のボールを構えるホップは、緊張と喜びと焦りがごちゃ混ぜになったような表情を浮かべていた。
「ヘンだよな……リードずっと取られてて、やっと取り返したと思ったらまたすぐ挽回されて……このバトル中、オレは終始押され続けて、とうとう最後の1人まで追い詰められた」
言葉をつづりながら、ボールを握り締めた右手にどんどん力を込めていくホップ。ここから見ているだけでも、ボールが割れるのではないかと思われるほど力の込められているそれは、それだけこの状況に対する大きな気持ちを込めていることが伝わって来る。
「すっげぇピンチだ……いつものオレだったら、こんな状況でもピンチじゃないって強がってた……けど、ここまで来たら全く強がれない……でもさ……」
万感の思いが込められたモンスターボール。そのボールを、ダンデさんと全く同じ投球フォームをして投げ、ボールの中からホップの切り札を呼び出す。
「グラアアァッ!!」
ゴリランダー。
ホップが旅立ちと同時に貰った、ホップにとってバイウールーに並ぶ最高の相棒。
「それでも楽しくて……だからこそ!お前と一緒に!このピンチから逆転して勝つのが!!最高にかっこいいって思っちまった!!」
「っ!?ミロカロス!!『れいとうビー━━』」
「『ドラムアタック』ッ!!」
「グラアァッ!!!」
ホップが声をあげると当時に、ゴリランダーから感じる圧が一気に膨れ上がる。その圧に押された私は、慌ててミロカロスに攻撃技を指示。しかし、それよりも速く、ゴリランダーが地面に置いた木のドラムが躍動する。
叫び声をあげながら物凄い速さで叩き込まれたそのリズムは、ゴリランダーの周りを一瞬で森林地帯に変えていき、ミロカロスのれいとうビームは、森林地帯に生い茂る気の根っこに受け止められてしまって、ゴリアンダーには当たらない。むしろ、れいとうビームを受けたことで、木の根がまるで起こったかのようにその身体を伸ばしていき、ミロカロスを四方から追い立ててくる。
「『アクアテール』!!」
「ミロ……ッ!?」
ここまで迫られたらハイドロポンプやれいとうビームのような溜めのいる技は間に合わない。それでも何とか根っこを逸らそうとアクアテールを構えたミロカロスは、その場で尻尾を回転切りのように振り回す。が、迫って来る根っこのすべてが、高度を変えることによってこの回転切りを回避。そのままミロカロの下まで到達し、ミロカロスを包み込んで天高く昇っていく。
「ミロカロス!!」
「ミ……ロ……ッ!!」
完全に根っこにつかまったミロカロスは、身動きを取ることが出来ず、そのまま地面に叩きつけられる。その衝撃がとどめとなり、遂にミロカロスが落ちてしまった。
「ミロカロス、戦闘不能!!」
「ゴリランダー!!」
「グラッ!!」
ミロカロス戦闘不能。その言葉が宣言されると同時に、ホップはゴリランダーの名を呼びながら、自身のモンスターボールをゴリランダーにつきつけた。これに対してゴリランダーも声をあげて返事をし、ホップのボールの中へ戻っていく。
「ねがいぼしに込めたオレの夢と想い……今解き放つぞ!!ゴリランダー!!キョダイマックス!!」
ホップの声を共に、ゴリランダーが戻ったボールはその体積をどんどん膨らませ、同時に赤色の光を帯び始める。そして、一番大きくなったタイミングでボールを投擲。軽快な音と共に割れたボールの中からは、マリィとのバトルでも見せた、豪華な木製のドラムに鎮座し、森の王者の姿として君臨するゴリランダーの姿が現れた。
「グラアアアァァァッ!!」
キョダイマックスゴリランダー。
さらに膨れ上がる圧力に、思わず冷や汗が流れ、地面に落ちる。
(……え!?)
しかし、そんな圧された私の感情が、次に起きたことによって今度は驚愕に染められることとなる。
「行くぞ、ゴリランダー……見せてやれ!!」
(な、なにこれ……!?)
その元凶がある場所は地面。
「今、この場においてだけは……」
ゴリランダーの叫びと、ホップの言葉と共に、地面の状態がどんどん変わっていく。
「ゴリランダー……オマエこそが……!!」
ゴリランダーを中心に広がっていくそれは、すでに私の足元にまでその効果が及んでいる。
「真の王者だってことを!!」
「グラアアアァァァッ!!」
(『グラスフィールド』!?)
それは芝生。
青々と伸び、そしてフィールド一杯に茂ったそれは、まるでゴリランダーを崇めるかのように、風にたなびいて揺れていた。
☆
「はははっ、本当に、俺の知らない間にどんどん成長していくな……」
シュートスタジアムは特別観客席。実況者や解説者が座っている所のように、観戦するための特別な部屋が用意された場所にて、俺は今行われているバトルに目を向けていた。
対戦カードは俺の弟であるホップと、その弟の幼馴染であるユウリ。どちらも俺が推薦状を出した、今大会の注目株の人間であり、ジムチャレンジを乗り越え、このガラルリーグを準決勝まで勝ち上がった若きホープたちだ。
「推薦状を出したときから、いい線まで行くとは思っていたが……」
2人のことは、勿論小さいころから知っている。俺が試合で勝つたびに飛んで喜ぶホップと、その後ろで小さく微笑んでいるユウリの姿。まだまだ小さく、ポケモンバトルのポの字も知らなかった彼、彼女たちは、なんならポケモンを手に入れ、推薦状を手にして旅立ったのすら数か月前という、新人も新人という立場の人間だ。
そんな彼らが、今こうやって、大舞台にて、俺の心すらひきつけるような物凄いバトルをしている。
「やはり俺の目に狂いはなかったな!さすが俺の弟とその幼馴染だ。ここにマサルがいたら、彼も大喜びだろうな……いや、もしかしたら今ここにいるかもしれないな」
頭の中に、去年俺に挑んできた少年を思い浮かべながら言葉を零す。
ユウリの兄であるマサルもまた、俺の喉元に届きうる力を持っていた人間だった。
「しかし、本当に今年は有望株が多い。たまたま当たり年だったのか……はたまた……いや、完全に、彼の影響だろうな」
続いて思い浮かんだとある少年。
シンオウ地方から来た、俺をしても未だに底が見えないトレーナー。
ヨノワールとの不思議な現象は、リーグの上の方でもかなり話題になっているらしい。
そんな彼が吹かせてくれた新しい風。それがホップたちに影響しているのは、誰の目から見ても明らかだった。その影響度はすさまじく、俺の想像を遥かに超えてくれていた。
「まさか、ここで『グラスメイカー』を発現させるとはな……」
あの時ホップたちに任せたあの3人は、俺の手持ちであるゴリランダーたちがいつの間にか持ってきた卵からかえった子たちだ。故に、グラスメイカーを発現させる素質そのものはある。けど、ポケモン側に素質があるからと言って、トレーナーがそこまで育て上げられるかどうかはそのトレーナー次第だ。発現させることもできずに、そのまま終わってしまうものも多い。
だが、今俺の目の前で、キョダイマックスと同時に地面に草原を作っているゴリランダーは、間違いなくゴリランダーが秘めた力を引き出すことに成功している姿だった。その要因の1つとして、例の彼もまた大きくかかわっていることだろう。
「ああ、本当に凄い……そして同時に……もったいない……!!」
バトルを見ながらどんどんうずいて行く俺の心。
今、彼らとバトルをすれば、さぞ楽しいバトルをすることが出来るだろう。
しかし、オレと戦えるのは、多くてもこの中から1人だけ。
それが本当にもったいない。
「だが、そう決まっているなら仕方ない……それに彼らなら、例えここでチャンスを逃しても、いつか俺の下に来るだろう」
闘う時はその時でも遅くない。とにかく今は、この素晴らしい戦いをしかと目に焼き付けていたかった。
「ゴリランダーは見事に秘めた力を発現させることが出来た。……なら、同じ時に生まれ、同じ時間を成長にあて、そして同じく才能あふれるトレーナーに育てられた他の子どもたちもまた……」
今なお吠えながら、地面を緑に染めていくゴリランダー。そんなゴリランダーとこれから戦う、反対側に立つ少女に目を向ける。
「さぁ見せてくれ。きみの、成長の証を……!!」
彼女の見せる可能性に、期待を込めながら。
☆
「グラアアアァァァッ!!」
私の目の前で吠えるゴリランダー。その声の大きさに比例して広がっていくグラスフィールド。
本来なら、ダイソウゲンを放った後で展開されるはずのこのフィールド。しかも、キョダイマックスしたゴリランダーはダイソウゲンではなく、キョダイコランダに変わるため、このフィールドを展開することはできない。なのに、今私の目の前には、確かに草原のフィールドが張られていた。
(『グラスメイカー』!?『しんりょく』じゃなくて!?……いや、でも確かにダンデさんのゴリランダーは『グラスメイカー』だった……そして私たちのポケモンはダンデさんからもらっている……だったら確かに納得できるかも……だけど……!!)
とはいえ、こんな土壇場で覚醒するだなんて思いもしなかった。
このフィールドが展開されていると、地面に足をつけているポケモンのくさタイプの技が強くなってしまう。つまり、純粋にゴリランダーの火力が上がるということになる。そうなると、ただでさえ強力な技であるキョダイコランダが、更にやばい技になってしまう。
間違いなく、今までで戦ったポケモンで一番の強さを秘めたポケモンになるだろう。
(でも……負けられない……!!)
「戻って、ミロカロス。……お疲れ様。本当にありがとう」
ゴリランダーの変化にあっけにとられてしまい、戻すのを忘れていたミロカロスをボールに戻す。サイトウさんとのバトルに続き、その耐久力を存分に生かした粘りによって、また私は助けられてしまった。私のために、今回もたくさん頑張ってくれたミロカロス。そんな彼女の想いを、目の前のゴリランダーにおびえたからという理由で踏みにじるなんて絶対にありえない。
(ううん、ミロカロスだけじゃない。アブリボンもストリンダーも、ポットデスもタイレーツも、必死に頑張ってきた。そのバトンを私のせいで落とすなんて絶対にヤダ!!)
前を見て、最後のボールに手を掛ける。
(確かに、ゴリランダーは予想外の強さを手に入れてる)
右腕に巻かれたダイマックスバングルを赤く光らせる。
(でも、それなら私のエースバーンだって、負けてない!!)
右腕から伸びた赤い光が、モンスターボールに吸い込まれていき、大きく膨らんでいく。
「みんながここまで連れてきてくれた!!そのみんなに応えるために、行くよエースバーン!!キョダイマックス!!」
そして、大きくなったそのボールを構え、私は天高く放り投げる。
現れるは巨大な火球。
何者かの魂を宿したかの如く表面に顔を浮かべたそれは、目と思われる部分がしっかりとゴリランダーを向いており、これから倒すべき相手としてその闘志を燃やし、その熱を自身の身体に再現するかの如く、火球を燃え上らせていた。
「バアアアァァァスッ」
その火球の上で、天に向かって声をあげるエースバーン。いつもの姿に比べて耳を長く伸ばしている彼もまた、ゴリランダーに負けず劣らずの声を張り上げていた。
キョダイマックス対キョダイマックスの対面。
スタートは、ホップが切った。
「『ダイアース』ッ!!」
「グラアアアァァァッ」
ホップの声と共に雄たけびをあげたゴリランダーは、バチを持っている長い4本の髪を同時に地面に叩きつけ、大きな地震を発生。叩かれた地面を起点に発生したその揺れは、地面に罅を作り、黄色いエネルギーを漏れさせながらエースバーンの方へと向かっていく。
ゴリランダーから放たれる、地面タイプのダイマックス技。
攻撃力の高い彼が放ったこの一撃は、例えキョダイマックスしているとしても、打たれ強いわけではないエースバーンには致命傷として突き刺さることになるだろう。だからこそ、この攻撃は絶対に受けてはいけない。
けど、不思議と私の心は穏やかで。
(大丈夫……確かに怖い攻撃だけど、今のエースバーンなら、絶対に何とか出来る。だから、怖がる必要なんて……ない!!)
迫りくるダイアースに向けて真っすぐと視線を向けた私は、臆することなくエースバーンに指示を出す。
「エースバーン!!『ダイジェット』!!」
「バアアアァァァスッ」
私の指示を受けたエースバーンは、大きな声で吠えながら右足に風を集めていく。この風を纏った右足を思いっきり振りぬけば、嵐と見間違うほど強烈な風が飛んでいくこととなるだろう。
(『ダイジェット』と『ダイアース』をぶつければ、きっと威力を抑えられる!!……けど、思ったよりもために時間がかかってる!?)
が、エースバーンが技の準備を終えるよりも、想像以上にダイアーズの攻撃スピードが速い。このままでは、エースバーンが足を振るよりもダイアースがぶつかってしまう。かといって、今から私が出来ることも何もない。
(ぶつかる!?)
「バスッ」
「……エースバーン?」
そんな危ない状況だというのに、エースバーンはこちらに視線を向けて笑顔を返す。それはまるで『心配しないで』と言っているようで。
「……」
その言葉を信じて、エースバーンに視線を向け続ける。
エースバーンに迫っていくオレンジ色のエネルギー。地面を伝って迫るそれは、未だに右足に風を集めているエースバーンに真っすぐ突き進んできて……
「バスッ」
「……え?」
「……は?」
エースバーンが吠えると同時に撒きおこった風がエースバーンと火球を包みこみ、オレンジ色のエネルギーを跳ね返していく。
(いや違う……跳ね返しているんじゃなくて……受け流している?)
跳ね返していると錯覚してしまったけど、よく見れば風に沿ってオレンジのエネルギーが明後日の方に流れていくのが見えた。この現象を正しく言葉にするのなら、跳ね返すではなく受け流すという言葉になる。けど、それと同時に疑問が浮かぶ。
「一体どうやって……」
「あ……」
私と同じ疑問を浮かべたホップが思わず言葉を零す。その言葉に心の中で同意しながら、ゆっくりとエースバーンを眺めていく。すると、1つ気になる点を見つけた。
それはエースバーンの額。
本来は赤色に輝く、エースバーンの自慢の髪型が、今は空色に変色して輝いていた。
「あの色は……もしかして……」
その変色を、私は見たことがある。
「……そりゃ、ゴリランダーがこうなったなら、エースバーンもそうなるよな」
私よりも何回もダンデさんのバトルを見ていたホップも、当然この変化に気づく。
エースバーンの頭部の変色。これはエースバーンのとある特性によって起きる現象だ。その髪型と色は、これから自分が放つ技に影響され、その技に適応し、より強く放つために変わっていく。変幻自在のエースストライカーだからこそ行える、ゴリランダーにとってのグラスメイカーのような、彼自身に秘められた、もうひとつの特性。その名を……
「……『リベロ』。エースバーン……あなたも、成長したんだね」
「バスバスッ」
普段のほのおタイプからひこうタイプへと変化したエースバーンが、嬉しそうに声を上げる。
「……えへへ」
その笑みにつられて、私も笑う。そして……
「うん……エースバーン!!やっちゃって!!」
「バスッ!!」
ひこうタイプとなり、ひこう技が得意となった彼の右足が、勢いよく振り抜かれる。
「ゴリランダー!!」
「グラッ!!」
突如荒れ狂う暴風に、ホップの慌てた声が飛び出す。この声に反応したゴリランダーは慌ててドラムを乱打。すると、ゴリランダーの周りに生えた根っこたちが、ゴリランダーを守るように集まって壁になっていく。しかし、ダイウォールでもなく、キョダイコランダでもないその行動は、ダイジェットを受けるにはあまりにももろく、一瞬で細切れになり、そのままゴリランダーに突っ込んでいく。
「グラ……ッ」
こうかはばつぐん。いくら根っこが威力を多少なりとも削ってくれたとはいえ、ここまで強力なダイジェットとなってしまえば、ゴリランダーを襲う攻撃の威力はとてつもない。少なくないダメージを負ったゴリランダーは、その身体を少しぐらつかせた。
「畳み掛ける!!『ダイナックル』!!」
「バースッ」
これを好機ととった私は、すかさず攻撃を指示。エースバーンもここが攻め時とわかっているので、私が指示を言い切るよりも前に火球の上から飛び上がり、髪の色と両足を少し濃いオレンジ色の光でコーティングしながら構える。
「ゴリランダー!!『ダイジェット』!!」
「グラッ」
これに対してゴリランダーは、ぐらついた態勢をすぐに立て直し、長い4本の髪をひとつに束ね、エースバーンが放った時のように竜巻を纏わせて右から左に凪ぐ。この一撃が、空から飛び蹴りを放つ格好で急降下してくるエースバーンとぶつかり合い、辺りに爆風が撒き散らされた。
「バスッ!?」
リベロによって今度はかくとうタイプに変わったエースバーンのダイナックルが、いつもよりもさらに火力が上がっている状態で放たれてはいるものの、元々の攻撃力が高く、さらに技のタイプ相性でも有利を取っているゴリランダーに分が少し傾いたため、この髪の鞭と飛び蹴りのぶつかり合いは、エースバーンが押し切られることで決着となる。攻めるつもりが、逆に痛手を喰らったエースバーンは、そのままこちらに跳んで帰ってきた。
「よし、いい耐えだぞ!!」
「くっ、やっぱり一筋縄じゃ行かない……!!」
「バスッ」
飛ばされたエースバーンは火球の側面に足をつけて停止し、ゴリランダーを睨む。
「グラッ」
一方のゴリランダーは、ダイジェットの構えを解き、髪を4本に分けて再びバチを構える。
「「……」」
これでお互いが打てるダイマックス技はあと1回。
放つ技は、もちろん決まっている。
「エースバーン!!『キョダイカキュウ』!!」
「ゴリランダー!!『キョダイコランダ』!!」
「バアアアァァァスッ!!」
「グラアアアァァァッ!!」
指示を受けると同時に両者天に向かって吠えながら、最後のダイマックス技の準備に取り掛かる。
火球の側面に着地していたエースバーンは、そのまま地面に降りて、火球を思いっきり天に蹴り上げながら、自身の髪と光を赤色に変え、タイプをほのおタイプに戻す。そしてさっき蹴り上げた球を追いかけるように自身もジャンプをして、自身と火球の位置を入れ替える。そこからオーバーヘッドキックを叩き込むことで、ゴリランダーに向かって、もはや隕石とも言える大きさと威力の攻撃を繰り出した。
対するゴリランダーは、4本の髪と、両腕に構えた6本のバチを振り回し、木で出来たドラムセットをリズムに合わせて乱打。この音を皮切りに、地面を隆起させながら躍動する根っこたちが、次々とくっつき、ねじれ、大きな1本のドリルのような形となり、飛んでくる隕石に向かって真っ直ぐ突き進む。
落ちる火球と穿つ木の根。ぶつかり合う2つの技は、お互いの技を破壊していく。
根は燃え、火球は爆ぜ、お互いの技は徐々にその規模を小さくしていき、最後は赤色の混じった爆炎とともに、フィールド全てが覆われてしまい、状況が確認できなくなってしまう。
……でも、そんな状況になっても、私とホップの目は、決して揺れない。
「エースバーン!!『とびはねる』!!」
「ゴリランダー!!『アクロバット』!!」
状況が見えないけど、『絶対にこんなことでは倒れない』とを確信している私とホップが、すぐさま指示を出す。すると、重なった指示が飛ぶと同時に、今度は煙の中から何かがぶつかる衝撃音が鳴り響いた。
「バス……ッ!!」
「グラ……ッ!!」
このやり取りによって、フィールドを覆っていた爆炎は吹き飛び、その中心には蹴りと拳をぶつけ合う両者の姿。
きっかり1秒ほど拮抗した後に、2人は距離をとって、お互いの主の前に降り立った。
「バースッ!!」
「グラァッ!!……ッ!?」
「……やっぱりタイプ相性がキツイか」
お互いの主の元へ着地した両者。エースバーンは元気よく吠えたけど、ゴリランダーは少しだけバランスを崩した。どうやら先のやり取りで、少し火の粉が降り掛かってきていたらしい。
「……グラッ!!」
しかし、すぐさまいつもの構えに戻り、声を上げるゴリランダー。ダメージはそんなに大きくないことが伺える。
「いいぞゴリランダー。……まだまだやれるぞ!!」
「エースバーン……勝つよ……絶対に……っ!!」
「グララァッ!!」
「バスバースッ!!」
ダイマックス技の効果で、特防と素早さが上がったゴリランダーと、攻撃と素早さが上がったエースバーンが吠える。
ここから先は、純粋なぶつかり合い。
私とホップの、最終ラウンドが始まった。
グラスメイカー
ゴリランダーの夢特性。ダンデさんのゴリランダーは、実機ではしんりょくですが、エースバーンがリベロならこれでもよいのではと思います。……ダンデさんのゴリランダー、アニメだととんでもなく強かったですよね。
リベロ
第9世代にて弱体化を受け、リベロとへんげんじざいが発動するのは、場に出てから1回だけになってしまっていますが、この作品では全盛期のままで書かせていただきます。やっぱり、一番強い時代の性能で掻いた方が、お祭り感あって楽しいですよね。リベロの発動描写はアニポケを参考にしています。あの描写、結構好きですよ。
dlcでタロさんとフリアさんの絡みを想像してみたり。性格的には、むしろヒカリさんと気が合いそうですけどね。ドレスを着させられたフリアさんを見て、変なことが起きそうな予感()。