【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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244話

「『かえんボール』!!」

「バスッ!!」

 

 ダイマックスが終わって、いよいよ最後のぶつかり合いへと発展していく私とホップのバトル。その開幕はエースバーンの行動から始まっていく。

 

 大きく振りかぶって、思いっきり蹴り出した小さな小石は、一瞬にしてその姿を火球に変えてまっすぐゴリランダーへと突き進む。その火力は凄まじく、地面がグラスメイカーによって草原になっていることもあり、その軌跡は燃えてくっきりと跡が残るほど。弱点タイプであるこの技をゴリランダーが喰らえば、致命傷は必至だろう。

 

「『ドラムアタック』!!」

 

 この技を貰う訳には行かないホップ側は、この火球を防ぐべく、背中の太鼓を設置した後、両手のバチを景気よく振り回してリズムを奏でる。

 

 大地を騒がす独特なリズムに共鳴した根っこは、身長をぐんぐんと伸ばし、絡まり、1本の大きな鞭へと変貌。振るわれる度に鋭い風切音を鳴らすそれは、飛んでくるかえんボールに対して、まるでバッターがホームランを打つかのようなフルスイングを見せ、あさっての方向にかえんボールの軌道を逸らしていった。

 

「そのまま続けろ!!」

「グラァッ!!」

 

 自身への脅威を無事取り除いたゴリランダーは、そのままドラム演奏を継続させ、地面からどんどん木の根を呼び出し、こちらに向かってその触手を伸ばしていく。

 

「『でんこうせっか』!!」

「ッ!!」

 

 飛ばされた木の根に捕まったら最後、ミロカロスのようになることを理解しているエースバーンは、額の髪を白色に変えながらダッシュ。上から狙ってくる根っこが地面に着くよりも速く前に出たエースバーンは、右から飛んでくるものを屈んで避け、左から来るものは背面跳びの形で回避。次いで真正面から迫る根っこに対しては、背面跳びの着地を両手で行い、そこから腕の力で少しジャンプ。身体を回転させ、今度は両足で今しがた迫ってきた根っこに着地し、この根っこの上を走る形でゴリランダーに迫っていく。

 

 一連の流れを全てでんこうせっかを維持しながら行ったこともあり、ゴリランダーとの距離はかなり近くなった。今乗っている根っこを走り切れば、すぐにでも射程圏内に到達する。

 

「走って懐に入った瞬間に『とびひざげ━━』」

「バス!!……ッ!?」

「エースバーンッ!?」

 

 しかし、エースバーンが根っこの道を走りきる前に、根っこの上から吹き飛ばされ、私の前まで戻ってきてしまう。何が起きたのかと思い、慌ててエースバーンがさっきまでいたところに目を見けると、そこには右足を振り切った姿で止まっているゴリランダーの姿。その姿を見るに、どうやら右足のハイキックを貰ったようだけど、注目する点は今ゴリランダーがいる根っこの部分だ。

 

「根っこに芝生が生えてる……!?」

 

 キョダイマックス化と共に展開されたグラスフィールドの芝生が根っこの上にも展開されている。どうやら、この芝生ととある技の組み合わせによって、エースバーンよりも速く動いて攻撃をして来たみたいだ。

 

(そんなことが出来る技なんて、ひとつしかない……!!)

 

「良い『グラススライダー』だったぞ!!ゴリランダー!!」

「グラッ!!」

 

 グラススライダー。

 

 地面を滑るようにして移動し、相手に突進を行うこの技は、バトルコートがグラスフィールドの状態で行うと、そのスライディングの速度が一気に跳ね上がるという特性がある。その特性を、ドラムアタックによって生えてきた根っこの上にも適応することで、その根っこを自身が滑るためのレールとして活用し、エーズバーンの懐に潜ったという形だ。使い方としては、私のミロカロスのれいとうビームによるレール移動にかなり近い。

 

 ……それよりも汎用性が高いのがちょっと悔しい所だ。

 

「大丈夫?エースバーン……」

「バ……バスッ!!」

 

 素の速さだけで言えば間違いなくエースバーンの方が速かっただけに、急に自分よりも加速して懐に潜ってきたという奇襲性に、想像以上にダメージを貰ってしまっているエースバーン。ほのおタイプからかくとうタイプに変わったことで、本来ならいまひとつだった技を等倍で受けてしまったのが災いしたみたいだ。元気よくボクに返事を返してくれてはいるものの、少し呼吸は苦しそだった。

 

「まだまだ行くぞ!!『ドラムアタック』!!」

「グラッ!!」

 

 そうやってこちらが呼吸を整えようとするところに、再びゴリランダーの演奏が飛んでくる。腹の奥まで響いてくるようなその音は、根っこたちの動きをさらに躍動させ、まだ呼吸を整えきれていないエースバーンに向けてさらなる追撃を指示してくる。

 

「避けて!!」

「バスッ!!」

 

 真上から落ちてくる根の槍をバックステップで避け、次いで左右から飛んできたものを上体を反らせることで回避。しかし、上体を逸らしたことで上を向いた視界に、さらに3本の根がこちらを狙っているのを確認したため休むことは出来ない。先程まで自身の頭があった場所を通り抜けたその根っこのうち、右から飛んできたものに手をかけて、片手で逆上がりをしたエースバーンは、1回根の上に着地してすぐさまジャンプ。1番最初にバックステップで避けた根の側面に着地するように移動。同時に、さっきまでエースバーンがいた所に3本の根が突き刺さり、衝撃音が撒き散らされる。

 

「バス……」

「……厄介だね」

 

 ここまで来てようやくひと呼吸着いたエースバーンは、空に視線を向け、現在進行形で空を通る根の上を滑って移動しながら、ドラムを叩いてさらに根っこを増やしているゴリランダーの姿。正直、軽く絶望を覚えてしまうような光景だ。

 

 通常ならドラムアタックのための演奏のせいで足が止まってしまうという弱点を、明確に消すことに成功しているコンビネーション。

 

 物凄く強力だ。しかし、付け入る隙が無いわけじゃない。

 

(この戦法……それは時間制限!!)

 

 ひかりのかべやトリックルームのような、場の状況を変更するものは基本的に時間制限があるものが多い。それはグラスフィールドも一緒だ。私自身その正確な効果時間を測ることは出来ないけど、このフィールドがはられたキョダイマックス同士のバトルから考えるとかなりの時間が経過しているはずだ。だから、そう遠くないうちにこの芝生は消えることとなる。

 

(そうすれば、『グラススライダー』は弱くなる!!)

 

 グラススライダーは、先も言った通りグラスフィールド下で真価を発揮する技だ。グラスフィールドさえ消えてしまえば、今の機動力は消え、再びエースバーンの方が速い状態が帰ってくる。

 

 なんてこと考えていると、地面の芝生が少しずつ消え始めた。

 

(よし!!この芝生さえなくなってくれれば、まだこっちに━━)

 

「ゴリランダー!!ドンドコやってくれ」

「グラァッ!!」

「え?」

 

 が、そうは問屋が卸さない。

 

 ホップの指示で、ドラムアタックの時とはまた違ったリズムを奏で始めるゴリランダー。すると、効果時間を過ぎ、徐々に枯れ始めていたグラスフィールドが、その青さを取り戻していく。

 

「なっ!?」

「これで元通りだぞ!!」

「グラァッ!!」

 

 芝生が戻ったことで、再び根のレールを滑って加速するゴリランダー。通常の方法ではありえないこの現象のロジックこそは理解出来たけど、とてもじゃないけど驚くなという方が無理だった。

 

(技の『グラスフィールド』で貼った芝生じゃない!!特性の『グラスメイカー』と、ゴリランダー自身の能力で無理やり草原を維持してきた!?)

 

 ゴリランダーの太鼓は、ドラムアタックという技を見ればわかる通り、その音で植物を活性化させることが出来る。今回の無理やりなグラスフィールドの延長は、その性質を生かした戦法だった。

 

(これじゃあ場の流れは取り返せない……!!)

 

 私の逆転へのプランを根底から覆されてしまった。こうなってくると、フィールドを味方につけたゴリランダーと真正面から戦うしかない。

 

(……踏ん張りどころ、だね)

 

 覚悟を決める。

 

 グラスフィールドが枯れるのを待つ消極的な行動ではなく、こちらからこの牙城を崩す攻めの姿勢へ。

 

「エースバーン!!」

「バッス!!」

 

 私の想いを受け取ったエースバーンが、髪の毛をノーマルタイプの証である白色に染めながらクラウチングスタートの構えを取る。

 

「来るぞゴリランダー!!『ドラムアタック』!!」

「グラァッ!!」

 

 この動作を見てホップは、あらかじめ手を打つためにすぐさまドラムアタックを指示。今まさに飛び出さんとしているエースバーンを、開幕の一歩から止めるべく、数多の根っこを突撃させる。

 

 それはまるで根っこの津波の様で、外から見ても迫力満点なその光景は、エースバーンから見たら恐怖心を揺さぶられるほどの光景だろう。

 

「『でんこうせっか』!!」

「バスッ!!」

 

 しかし、私のエースバーンはその光景を前にしても、怯えるどころかむしろ笑顔を浮かべながらその津波に突撃。真正面から伸びて来る根っこの1つをギリギリまで引きつけて、身体を右に半分だけずらして回避することで、前に進む足は止めずにすれ違いながら走ることに成功。

 

「止めろ!!」

「グラッ!!」

 

 これに対して、今度は3本がかりでエースバーンの進行方向に根っこを飛ばしてくるゴリランダー。少しだけ高度が高めなそれを見つめたエースバーンは、でんこうせっかの速度を維持させながらスライディングで下をくぐる態勢を見せ……

 

「エースバーン!!ジャンプ!!」

「ッ!?バス!!」

 

 その瞬間に根っこの角度がガクンと下がったのが見えたため、慌ててジャンプを指示。何とか反応したエースバーンは、地面に突き刺さった根っこに飛び乗って、再びダッシュ。あのままスライディングをしていたら、根っこに突き刺されていただろう。

 

「さすがの反応だぞ……でも!!ゴリランダー!!前だ!!」

「グラッ!?」

「っ!?」

 

 根っこの上をでんこうせっかで駆けている所、その進行方向を塞ぐように、エースバーンの目前に新しい根っこが突き刺さり、今エースバーンが乗っている根っこが折られ、少し傾く。

 

「そこだ!!『ドラムアタック』!!」

 

 これに一瞬だけ足を取られたエースバーン。それを隙と捉えたホップはすかさず指示を出し、根っこを一斉にエースバーンへと向けていく。その数は何と12本。それらすべてがエースバーンを狙っているわけではないのがまたいやらしく、12本のうち半分が直接エースバーンを狙っており、残りの半分はエースバーンが避けた時に当たるように、エースバーンの周りをめがけて突き進んできていた。

 

「厄介……でもまだ何とかなる!!『かえんボール』!!」

「バス!」

 

 これに対してエースバーンは、自身が足場にしていた根っこに、最初の根っこが突き刺さったことで巻き上がった根の破片を利用。6つの破片が固まっているところに右足を振り、6つの火球を同時に蹴りだす。

 

 木の根の破片を核にしたかえんボールはすぐに燃え尽きてしまうから、そんなに威力が出るわけではない。けど、エースバーンを狙って飛んでくる6つの根っこを全て防ぐくらいなら十分だ。これでエースバーンを直接狙う脅威はなくなった。同時に、エースバーンの周りに6本の根っこが突き刺さる。

 

「『とびはねる』!!」

 

 脅威を乗り越えたところで、今度はこちらから攻撃するべく、今なお上空でレールの上を滑っているゴリランダーを見据えながらジャンプするエースバーン。

 

「『とびはねる』……直進で来るのなら、迎撃して……」

「さっき刺さった根っこを足場に跳躍!!」

「っ!?」

「バスッ!!」

 

 しかし、ただ真っすぐジャンプするのではなく、先ほど落ちてきた6本の根の側面を足場に、次々と飛び移ることでピンボールのような軌道を描きながら、ゴリランダーに向かって高速で近づいて行く。

 

「くっ、『ドラムアタック』!!」

 

 高速で飛び回るエースバーンを止めるべく、根っこをとやたらめったら伸ばしてくるゴリランダー。

 

「全部蹴りばして!!」

 

 これに対して、髪を空色に変えているエースバーンは、リベロの効果で変わったことよって得たひこうタイプのエネルギーを足に纏い、伸びて来る根っこを蹴りで裂きながらさらに加速。全ての根っこを蹴り飛ばして、いよいよゴリランダーの下へ到達。ゴリランダーが現在進行形で滑っている根っこに相乗りする形でそばに立ったエースバーンは、そのまま右足を引いて蹴りの準備を整えた。

 

「『アクロバット』!!」

 

 これに対してゴリランダーも腹をくくり、右腕に力を込めて突き出してくる。

 

「バス!!」

「グラ!!」

 

 ぶつかり合う拳と蹴り。

 

 激しい衝撃音を鳴らす2つの攻撃は、しかし速度とタイプ相性で有利を取っているエースバーンが勝つ。

 

「グラッ!?」

 

 拳を弾かれて隙をさらしたゴリランダー。そんな彼のお腹に、左足の飛び蹴りをかまして勢い良く吹き飛ばす。

 

「グッ!?」

「ゴリランダー!?」

 

 蹴られたゴリランダーはかなりの勢いで吹き飛ばされる。その証拠に、ドラムアタックの根っこを3つほど貫通して吹き飛んだゴリランダーは、4つ目の根っこにぶつかることでようやく勢いが止まる。

 

「ようやくとま……ゴリランダー!!真上だ!!」

 

 けど、ここでこちらの攻め手は止まらない。

 

 勢いが止まったことで追いつきやすくなったエースバーンは、ゴリランダーをとびはねるで追いかけて再び接近。ゴリランダーの真上を取って、そこで膝を構える。

 

「『とびひざげり』!!」

「バスッ!!」

 

 髪をオレンジ色に染め、オーバーヘッドの要領で突き出された膝は、真っすぐゴリランダーの頭めがけて振り下ろされる。これが当たれば、地面に叩きつけられてさらなるダメージが期待できる。

 

「パワー比べなら負けないぞ!!『10まんばりき』!!」

「グラアァッ!!」

 

 しかしゴリランダーも黙ってやられはしない。

 

 吠えると同時に身体に薄い茶色のエネルギーを纏ったゴリランダーは、力任せに腕を振るってエースバーンを迎撃。とびひざげりと10まんばりきという、先ほどよりも威力の高い技のぶつかり合いは、その威力に比例して大きな音を立てる。

 

「バスッ!?」

 

 そして今回は、天秤がゴリランダーの方へ傾いた。

 

「『アクロバット』!!」

 

 今度は先ほどと真逆で、弾かれたエースバーンに対してゴリランダーが蹴りを放つ。威力としてはそんなに高くはなかったものの、とびひざげりを使ったことによって、自身のタイプがかくとうに変わっていたエースバーンに、このアクロバットは抜群として突き刺さる。結果、エースバーンも先ほどのゴリランダーと同じように吹き飛ばされ、太い木の根に背中から叩きつけられてしまう。

 

「『ドラムアタック』!!」

「『とびはねる』!!」

 

 叩きつけられたエースバーンに卒倒していく木の根たち。これを貰うわけにはいかないエースバーンは、傷む身体に鞭打ってジャンプ。こちらをねっらってきた木の根を何とか回避することに成功する。

 

「『グラススライダー』!!」

「『とびひざげり』!!」

 

 その回避先に滑り込んでくるゴリランダー。

 

 一瞬でエースバーンの目の前に出てきたゴリランダーは、右腕を振りかぶってパンチの構え。それに対してエースバーンは膝をぶつけて相殺し、お互いが弾かれるように吹き飛ばされ、両者また木の根に背中からぶつかっていく。

 

 これで仕切り直し。しかし、距離が空いたというのは互角に戻ったという意味では無い。このバトルにおいて、遠距離が強いのはゴリランダーの方だ。

 

「『ドラムアタック』!!」

 

 よって、ここからの展開は再びホップ主導のもと行われていく。

 

 頭を狙って伸びてきた根っこを屈んで避け、足元を狙ってきたものを右に跳んで回避。その回避終わりを狙って来たものにはかえんボールをぶつけ、その後に狙ってきたものはとびはねるで何とか回避していく。

 

(……苦しい)

 

 距離が空いたことによってどんどん苛烈になっていくゴリランダーの攻撃。1度近づかれて危ない目にあったという経験からか、今度は徹底してきているせいでなかなか近づくことが出来ない。今も、エースバーンが飛び退いた場所に、大きな根っこが轟音を立てながら地面を叩きつけていた。

 

(本当に、凄いパワー……)

 

 音だけで伝わるそのパワー。一体今日のためにどれだけ練習し、そしてどれだけの思いが込められているのだろうか。

 

(夢のためだもんね……わかるよ……)

 

 ホップがこの大会にかける思いは私がいちばん知っている。

 

 だってずっと隣で見てきたから。

 

 ずっとこの場所に憧れる視線を横で見てきていたのだから。

 

(でも、それは私だって一緒なんだ!!)

 

 一昔前の私なら、ホップの気持ちを汲んでわざと負けたかもしれない。辞退していたかもしれない。けど、今の私には出来てしまった。どうしても譲りたくないものが生まれてしまった。だから……

 

「絶対に勝つんだ……エースバーン!!」

「バスッ!!」

 

 ずっと休むことなく攻撃を避け続けていたため、ダメージも相まって息が切れ始めているエースバーン。だけど、私の声にはそんなことを表に一切出さずに元気よく返答。その姿を見て私も思わず頬を緩める。

 

(私とエースバーンなら、どこまでも跳べる!!)

 

「『かえんボール』!!」

「バァスッ!!」

 

 木の根を避け続けていると、ほんの一瞬だけ生まれた僅かな余裕。その一瞬の空間で、しっかり息を吸い込んだエースバーンは、右足に焔を溜め、足元にあった石を思いっきり蹴り飛ばす。

 

 業と音を立てながらまっすぐ突き進むかえんボールは、道中にある細い木の根を貫きながら、ゴリランダーの元へと直進する。

 

「させないぞ!!『ドラムアタック』!!」

「グラァッ!!」

 

 これに対してゴリランダーはさらに太鼓のリズムを速め、貫かれた木の根よりも何倍も太い根を召喚。

 

「打ち返せ!!」

 

 その根を用いて、飛んできたかえんボールを打ち返してくる。

 

 跳ね返る際に用いた木の根はこの攻防で燃え尽きてしまうものの、かえんボールはしっかりと打たれており、あちらこちらにある木の根を3回ほどバウンドしてエースバーンの方に飛んでいく。

 

 このバウンドによって木の根に炎が燃え移り、ゴリランダーが作り上げた森が延焼し始めていくけど、それでもかえんボールそのものはしっかりとエースバーンに帰ってきていた。それも、ただ帰ってきたのではなく、木や草原を巻き込んでさらに激しく燃えており、エースバーンが打ち出していた時と比べると、かえんボールの体積はかなり大きくなっていた。

 

「ここで決めるぞゴリランダー!!『ドラムアタック』!!」

「グラアアァァァッ!!」

 

 さらに、跳ね返したかえんボールに追従する形で伸びていくドラムアタックの根っこと、その上を滑って来るゴリランダー。かえんボールの火力が高すぎて若干引火してしまっているけど、そんなことなんてお構いなしと突き進む根っことゴリランダーは、ほんのりと身体を緑色に光らせていた。

 

(『しんりょく』……『グラスメイカー』が発現しても、一緒に併発するんだ……)

 

「そのまま全力で『グラススライダー』だ!!」

「グラァッ!」

 

 特性の複数発現。キバナさんが見せたジュラルドンと同じその現象。それを知ってか知らずか発動していたゴリランダーは、緑色の光と共に突っ込んでくる。

 

 火球とゴリランダーの突撃。これを喰らってしまえば戦闘不能だ。

 

 安全を取るのなら、避けることがマスト。だけど……

 

「……ここまで来て、逃げるなんてないよね!!」

「バスッ!!」

 

 この状況を前にして一切引くことを考えないエースバーンは、髪と身体を赤く光らせながら、右足に焔を纏っていく。

 

 特性もうかとリベロの同時発動。

 

 ゴリランダーが出来るのなら、エースバーンにだってできるはずだ。

 

「エースバーン!!」

 

 私の声を聞いて右足を強く踏み込み、焔を更に強くするエースバーンは、真正面から迫る火球をじっと見つめている。

 

「行くよ……その炎が誰のものなのかを……知らしめる!!『かえんボール』!!」

「バアアァァァスッ!!」

 

 一際大きく響き渡るエースバーンの声と共に、赤々と光る右足の回し蹴りが火球に叩き込まれる。瞬間、かえんボールの火力がさらに跳ね上がり、その大きさを2回りも大きくした。もはや1つの小さな太陽と言っても差し支えないほど大きくなったその火球は、周りの根っこを根こそぎ燃やしていく。

 

「熱いな……でも、負けるなゴリランダー!!」

「グ……ラァァァッ」

 

 しかし、そんな熱の中でも、ゴリランダーは自身の周りに更に大量の根っこを纏うことで耐え、火球を挟んで反対側からエースバーンに向けて突撃をし続けていた。

 

 本来なら相性不利で燃えてもおかしくないのに、それをゴリランダー自身の火力で無理やりぶち抜こうとしている。

 

(本当に凄い火力……でも!!)

 

 今、この場において、絶対的な立場にいるのが誰なのかを証明するために。

 

「エースバーン!!」

「バ……アアアァァァスッ!!」

 

 火球を挟んで行われるゴリランダーとエースバーンの鍔迫り合い。

 

 時間が経つとともにどんどんその体積を大きくしていく火球に、ゴリランダーもエースバーンも跳ね飛ばされそうになるけど、気合で耐えてひたすらに攻撃を続ける。

 

 気付けばその大きさはとてつもないものになっており、先ほどよりも更に3回りほど大きくなったそれは、あと少しの衝撃が加われば爆発でもするのではないかと思ってしまう程の熱を秘めていた。

 

「バ……スッ!!」

「グ……ラッ!!」

 

 そんな危ない状況なのに、それでも一切引かない両者。

 

「「……ッ!!」」

 

 2人の止むことなに攻撃の勢いに、私とホップは拳を握って見つめることしかできない。

 

(頑張れ……エースバーン……ッ!!)

 

 祈り、見つめ、ひたすら待つ。

 

 果たして、先に限界を迎えるのはどちらか。

 

「バスッ!?」

「グラッ!?」

 

 その答えは、エースバーンでも、ゴリランダーでもなく、その中心にある火球だった。

 

「わっ!?」

「ぐっ!?」

 

 響く爆発音。染まる視界。

 

 エースバーンとゴリランダーが挟んでいた火球が、弾ける。

 

 そして、バトルフィールドから……音が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




グラススライダー

言わずと知れたゴリランダーの得意技。新作では弱体化されていましたね。流石に、全盛期のファイアロー以上の火力は許されなかったみたいです。不遇な草タイプなので、別に良かった気がしなくもないのですが……テラスタルと相性が良すぎるのがいけなかったんですかね?

グラスフィールド

根っこの上も地面と扱ってもよい。という、カードゲームみたいな理論で移動するゴリランダーさん。アクセルシンクロもしそうです。

太鼓

ゴリランダーの太鼓は実機でも説明されていますよね。こうなると、グラスフィールド張り放題なので、それはそれでやばそうですが。




フリアさん名義で遊んでいるスカーレットでタロさんと話していると、少し楽しいのですが、それ以上に罪悪感が湧いてきました。誰に対してとは言いませんが、謝罪しておきます。ごめんなさい……。




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