【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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253話

「ありがとう。戻ってアブリボン」

「お疲れ様マホイップ。ゆっくり休んで」

 

 同時に倒れた5人目の仲間をボールに戻したボクたちは、いよいよ、最後の仲間が入っているボールに手をかける。

 

 泣いても笑ってもこれが最後。残りポケモン的にも、そしてボクの体力的にも、これで決着が着くこととなる。

 

「……本当に、フリアは凄いなぁ」

「……?」

 

 最後の戦いに向けてなけなしの集中力と体力を振り絞っていると、対面からユウリの呟くような、それでいてはっきり聞こえる声が届いてきた。その言葉に首を傾げながら耳を傾けると、ユウリはさらに言葉を続けていく。

 

「今日は……本当に勝つために色々考えた。フリアに勝つために、たくさん考えて……そして今日、その考えたことを一先ずは全部できたと思う……」

「……」

 

 本当に、この短期間でよく考えたと思う。タイレーツの本気も、ポットデスによる詰めも、ストリンダーの壁も、ミロカロスの隠し技も、アブリボンの近接技も……考えついてすぐに出来るものでは無い。ミスなく、自然に出来るように、努力やポケモンたちとの会話をしっかりと積み重ねてきたのだろう。

 

 天才が努力をした姿。それがユウリ……そしてコウキだった。

 

「でも、その尽くを乗り越えられちゃった。私の脳内だったら、この時点では何とか私の方が手持ちを多く残せている想定だったのに」

「……たまたま……だけどね」

 

 実際にユウリの作戦はとてつもなく鋭いものだった。ヨノワールを開幕に落とすことで、精神的な有利を奪う。これのせいで、本当にこのバトルは終始きつかった。こうやって戦えているのは、みんなが頑張ってくれたからだ。

 

(……手持ちにキャリーされるトレーナー。こう聞くと、やっぱり情けないな……)

 

「ううん、そんな事ない」

「え?」

 

 心の中で自虐していたボクの言葉を、ぴったりなタイミングで否定する。

 

「この結果はフリアの努力の証。フリアが1人のポケモンとだけじゃなくて、みんなと絆を作り上げた証。だからヨノワールが倒れても、みんなの心が折れることなんてなくて、むしろ強くなって反撃してきた。……本当に、凄いよ」

「……」

 

 ユウリから言われたことに返そうとするけど、咄嗟に言葉が思いつかない。だって、今言われたことはボクにとっては当たり前で、なんなら全トレーナーにとって当たり前のことで。

 

 別に特別なことはしていない。ただただみんなが凄いポケモンだっただけ。けど、そんなボクの気持ちを、言葉を聞く前にユウリは否定する。

 

「フリアにとっては、当たり前のことで取るに足らないことなのかもしれない。けど、少なくとも、私にとっては違った」

 

 右手に最後のモンスターボールを構え、袖を少し引いてダイマックスバンドを露出させ、最後のバトルの準備を進めるユウリ。

 

「ポケモントレーナーが、陰でどれだけ頑張っているのか知らなかった。どれだけ努力しているのか知らなかった。何よりも……どれだけポケモンを愛しているか知らなかった。そんな大事な部分を、誰よりもちゃんと見せて、教えてくれたのは、1番近くにいたフリアだった」

 

 ダイマックスバンドから光が溢れ、ユウリの右手のモンスターボールに吸い込まれていく。

 

「フリアは自分のことを凡人だって言うかもしれないけど、私はその言葉を否定する。だって私には、陰で1番頑張っているように見えたのはフリアだったから。勿論他のトレーナーもみんな頑張ってる。でも……それでも……!!私にとって誰よりも頑張っているように見えたのはフリアだから!!……私にその努力は真似出来ない。そういう意味ではきっと……フリアは努力の天才なんだなって、そう思った」

「っ!?」

 

 光を吸収しきってボールはその体積を一気に膨らませ、両手じゃないと持てないくらいの大きさになる。それをしっかりと掴んだユウリは、目を閉じて深呼吸を1回し、ゆっくりと目を開く。そして……

 

 

「そんなあなただから、私は憧れて、惹かれて……超えたいと思った!!そんなあなたに、挑みたい!!いくよ、フリア!!」

 

 

 ボクが今まで聞いたユウリの声の中で、間違いなくいちばん大きな声。ありったけの気迫と想いを込めた魂の言葉。そして、言葉と同時に放たれたダイマックスボールは、空中で弾けて、その中に眠っていた猛る焔を解き放つ。

 

 全てを焼き尽くす巨大な火球の上で、腕を組みながらフィールドを見下ろす、キョダイマックスしたエースストライカー。そんな彼は、まるで「早く出てこい」と言わんばかりに、ボクの方へと……いや、正確には、ボクが握りしめているボールへと視線を注いでいた。

 

 そんな見られるだけでも火傷してしまいそうなほど熱烈な視線を投げかけられたボクは、しかしそれ以上に、ユウリの言葉が心に響いていた。

 

(努力の天才……か。そう言われたのは初めてかも……)

 

 ここまでの旅で、読めないだの手札が多いだの、そういった褒め言葉を貰うことはしばしばあったけど、努力の天才と言われたことは無かった。

 

 正直いって、嬉しくはあるがやはり素直に受け止めることは出来ない。やっぱり、上を知ってしまっているせいか、いくら努力しても届いている気が一切しない。となると、みんなからは努力をしていると思われている今のレベルでも、全然足りないのではと思ってしまうからだ。でも……

 

(……ほんの少しは、そう言って貰えるような人に……彼らと同じ舞台に……近づけているのかな……?)

 

 客観的視点から見て、ボクもその天才たちと少しは肩を並べられる場所に来ることが出来たのかもしれない。そう思うと、少しだけ、救われた気がする。

 

(はは、これが自惚れじゃなければいいな)

 

 少しだけ頬が緩むけど、すぐに引き締める。今はまだ、試合中だ。

 

(まだユウリに勝ってないのに、そんなことを言えるわけない……まずは、ここを勝たないと!!)

 

 左手で最後のボールを握りしめ、右手の手首に着いているダイマックスバンドに持っていって押し付ける。

 

 赤い光を直接吸収したモンスターボールは、いつものやり方よりも数段速くダイマックスボールへと姿を変える。

 

「ボクには、その言葉を素直に受け取ってもいいのか……分からない。だって、それでも到達できなかった側の人間だから。……主役には、なれなかった人間だから……」

 

 右手が使えない今、急に大きくなったボールを支えるには少々ぎこちない姿となる。左腕一本で抱き抱えるようにしてボールを持つ姿は、さすがにちょっとかっこ悪い。

 

「でも、その言葉に似合う人になりたいと……ボクは思っている。そのためにも……やっぱりボクは、負ける訳にはいかない!!」

 

 でも、そんなの関係ない。

 

 かっこ悪くて上等。むしろ、1度折れている時点でボクにそんなものは無いし、気にしている余裕もない。ボクが目指す場所は、それほどまでに凡人には遠いところだから。

 

 

「もう一度約束の場所にいくんだ!!そのためにも、天才の君に挑んで、今度こそ超えていく!!いくよ、ユウリ!!」

 

 

 利き手じゃない手で何とか投げたボールは、少しだけ頼りない軌道を描きながらも高く飛び、エースバーンの目線と同じくらいの高さで弾け、中からボクの最後の仲間が解き放たれる。

 

 

「レオ……!!」

 

 

 現れるはインテレオン。しかし、こちらもいつもの姿では無い。その姿は、アラベスクタウンでダイマックスした時の姿とは大きく異なっており、身長に関しては本当にダイマックスしているのか疑ってしまうほど小さく、元の姿から大きくなっていない可能性すらある。が、そんなインテレオンが普段から揺らし、時には武器として操る尻尾部分に大きな変化があった。

 

 その変化は長さ。

 

 インテレオンのお尻部分から伸びている尻尾は、キョダイマックスの効果によって全長をグンと伸ばしていた。その長さを数字としてあらわすのであれば、おそらく50メートル弱はくだらない。しかも、ただ長くなっただけでなく、太さも何倍も広がっているこの尻尾は、そのおかげもあってか筋力と質量も物凄く増加している。そんな強く、太く、長く、そして何より逞しくなった尻尾は、地面で一度渦を巻いた後、天に向かってまっすぐ伸び、40メートルほどの高さでもう一度渦の形をとっていた。傍から見たら背の高い小さな丸机のような形に見えるだろう。インテレオン本人はその尻尾の上にて、普段は黄色い瞳を真っ赤に染め、右手の人差し指から伸びた水塊を構えながらエースバーンを見下ろしていた。その赤い双眸は目標までの距離だけでなく、気温や気圧、対象の温度を見ることもでき、右手の水塊から放たれる弾丸は15キロ先の木の実だろうと打ち抜く正確無比さを兼ね備える。

 

 狙った獲物は絶対に逃さない冷酷無比なスナイパー。それがキョダイマックスしたインテレオンの姿だった。

 

 

「バスッ!!」

「レオ……」

 

 

 火球の上のエースバーンと、尻尾で出来た櫓の上のインテレオン。まだお互いがヒバニーとメッソンだったころからよく知っている2人が、ガラルリーグトーナメントの決勝戦という、1つの舞台の最高地点で向かい合う。そう考えると少しくらいは感慨深い気持ちになりそうだけど、今のインテレオンとエースバーンの瞳には、ただひたすらに目の前に立ちふさがる敵に勝つことしか考えていない。

 

 昔から一緒に進んできたからこそ、2人にとってお互いは、誰よりも負けたくないライバルの1人だった。

 

 言ってしまえば幼馴染対決。そう言われれば、2人の気持ちもよく分かる。ボクとユウリも闘志を燃やしているから、ボクたち4人の気持ちがお互いを刺激し合ってとてつもない熱気を生み出していく。

 

「インテレオン!!」

「エースバーン!!」

 

 発言は同時。

 

 キョダイマックスした両者が、お互いの主の声を聞いた瞬間、技を構えた。

 

「『キョダイソゲキ』!!」

「『キョダイカキュウ』!!」

 

 

「バアアアスッ!!」

「レオ……ッ!!」

 

 

 

 指示が下されたと同時に、エースバーンとインテレオンがすぐに行動を起こした。

 

 エースバーンは後ろに飛び、火球の後ろに着地しながら右足を後ろに振り上げシュートの構え。一方で櫓の上にいるインテレオンは、右手を目元に近づけて狙撃の構え。人差し指に水を圧縮して溜めていき、一撃で仕留める準備を整えた。

 

 

「バスバァァァスッ!!」

 

 

 この状態から先に仕掛けたのはエースバーン。振り上げた足を思いっきり火球に叩きつけ、櫓の上でじっとしているインテレオンに向けて高速で飛ぶ火球を放つ。

 

 エースバーンの勝ちたいという気持ちを汲んで、その体積をぐんぐんと大きくしていくその火球は、高さ40メートル近くあるインテレオンのすべてを飲み込む勢いで突っ込んでくる。

 

 

「レ……オッ!!」

 

 

 しかし、そんな状況においても一切の動揺を見せないインテレオンは、恐怖や熱気に揺らされることなく、ただひたすら冷静に、冷徹に、ゆっくりと、引き金を引くかのように右手の中指を小さく動かし、極限にまで圧縮された水の弾丸を解き放つ。

 

 インテレオンの指先を離れたた小さな水塊は、自身の何十倍も大きな炎の塊のど真ん中へと邁進し、そのまま火球の中に飛び込んだ。

 

 傍から見たら、火球に水の弾丸が飲み込まれ、蒸発して消えたように見えるだろう。

 

 ファーストヒットはエースバーンがとる。観客の誰もがそう思っただろう。が……

 

「『キョダイソゲキ』……凄い火力……」

 

 ユウリが言葉を零すと同時に、キョダイカキュウが大爆発。火球の中まで突き進んだキョダイソゲキが、火球の核に触れたと同時に圧縮を解き、元の大きさに戻る勢いをもって内側から消し飛ばしていった。

 

 結果、水が蒸発したことと急激な温度上昇が相まって、辺りに濃い水蒸気が漂い始めた。

 

 キョダイソゲキがキョダイカキュウを爆発させた衝撃も相まって、ボクの身体に熱い風が叩きつけられる。けど、その風圧に負けずに前を見て、すぐに動く準備をする。

 

「『ダイナックル』!!」

 

 

「バアァスッ!!」

 

 

 

 しかし、そんなボクよりも先にエースバーンが動き始めた。

 

 火球が復活するまでの時間を埋めるべく、自身の足にオレンジ色の光を纏ったエースバーンが、リベロによって自身のタイプをかくとうに変えながら、ダイマックス中とは思えない速度でインテレオンに詰めてきた。

 

「『ダイアイス』!!」

 

 

「レオ……ッ!!」

 

 

 これに対してインテレオンは、空中に氷の弾丸を打ち込み、空に大きな曇りぐもを発生。すると、その雲の中から巨大な氷塊が複数現れ、そのうちの1つがインテレオンとエースバーンの間に立ちふさがるかのように落ちてくる。

 

「そんなもの!!砕いちゃえ!!」

 

 しかし、この程度の障壁なんのその。右足を振り上げるだけで簡単に砕いたエースバーンは、進軍する足を止めることなくインテレオンに突き進んでいく。勿論、インテレオンの攻撃はこれで終わりではなく、ここからも次々と氷の塊は落ちてくるものの、次のそれを今度は左を足を振り上げて破壊し、その次の氷塊を右足の回し蹴りで破壊。その後ジャンプして4つ目の氷塊の上を取ったエースバーンは、その氷塊を少し威力を抑えて蹴りだし、この間に櫓から地面に降り立ったインテレオンに向かって、むしろ氷塊をぶつけるかのように飛ばしてきた。

 

「それだけ長くなった尻尾だと、せっかくの素早さが台無しになるでしょ!!」

 

 

「バスッ!!」

 

 

 ダイマックスによる素早さの低下を狙って畳みかけて来るユウリ。確かに、尻尾が伸びたことによって、どこでも高所を取れるようになったインテレオンは、狙撃という観点においてはかなり強力になったと言ってもいい。しかし、その代償に50メートル弱にも伸びた尻尾というのが、とにかく移動するのに弊害がある。ユウリの言う通り、ここはキョダイマックスインテレオンの明確な弱点となるだろう。

 

「インテレオン!!」

 

 

「レオ……ッ!!」

 

 

 しかし、それでもこちらは戦うしかない。迫りくる氷塊に対して、インテレオンは尻尾の先端だけを器用に動かして、飛んで来る氷塊をはたき落とす。ダイマックス技を使ってしまうとこちらのダイマックスが切れてしまうので、氷塊を落とすにはこうするしかない。けど、そんなことをすれば、エースバーンの進軍を止めることはできない。

 

「取った!!」

 

 インテレオンが氷を落としている間に距離を詰めたエースバーンが、インテレオンの真上で右足を振り上げた状態で待っていた。このままダイナックルによるかかと落としをぶつけるつもりだろう。

 

「エースバーン!!」

 

 

「バアァスッ!!」

 

 

 距離はゼロ。撃ち落としは不可能。技ももう間に合わないだろう。そんな状態で、エースバーンが声をあげながら足を振り下ろす。

 

「大丈夫だよね?……インテレオン?」

 

 

「レオ……ッ!!」

 

 

「え?」

 

 

「バス……ッ!?」

 

 

 が、渾身の力を込めたエースバーンのかかと落としは、インテレオンの消失と共に空を切る。

 

 当たると確信していたはずの技が当たらなかった。そのことはユウリとエースバーンに少なくない衝撃を与える。が、集中力が高まっているユウリはすぐさまその正体に辿り着く。

 

「上!!」

 

 

「バスッ!?」

 

 

 ユウリの言葉を聞き、驚きながら上を見るエースバーン。そこには、シュートスタジアムの天井に張り巡らされている鉄骨の1つに尻尾を巻き付けて、そこに引っ張られる形で浮き上がり、天井に張り付いているインテレオンの姿。確かに、長い尻尾というのは急な移動には不便だけど、今回みたいに尻尾を引っかけられる場所があるならその限りじゃない。利用できるものは何でも使う。

 

「インテレオン!!」

 

 

「レオッ!!」

 

 

 窮地を脱することが出来たインテレオンは、そのまま天井に張り付いた状態で赤い瞳をエースバーンに向けながら、右手の水塊に水を圧縮していく。

 

 打てるダイマックス技はあと1回。何が何でもこれは当てたい。

 

「エースバーン!!」

 

 

「バスッ!!」

 

 

 対するエースバーン側も、リベロによってオレンジ色に変わっていた髪色を再び赤色へ変更。同時に、最初に蹴り飛ばした火球が自身の横に復活したので、両足に焔をためて、最後のダイマックス技の準備を始めた。

 

 インテレオンは右手にどんどん水を集めていき、エースバーンは火球を蹴り上げて、その火球について行くようにジャンプすることで、インテレオンと同じ高度に到着。

 

 お互い準備は出来た。

 

「エースバーン!!」

「インテレオン!!」

 

 お互いの目が、真っすぐ相手を捉える。そして……

 

「『キョダイカキュウ』!!」

「『キョダイソゲキ』!!」

 

 

「バアアアスッ!!」

「レオ……ッ!!」

 

 

 エースバーンのドロップキックと、インテレオンのトリガーを引く動作が、同時に行われた。

 

 激しい音を響かせ、轟々と音を立てながらとてつもない勢いでインテレオンに向かっていく火球と、一方で、全く音を立てず、しかし火球と負けず劣らずの勢いと圧力を発しながらエースバーンに突き進む水の弾丸。

 

 ダイマックスしてすぐの1発目の時よりもさらに威力の上がっている両者の攻撃は、瞬きしている間にもうぶつかり合う寸前のところまで迫っていた。このままいけば、またさっきのように水の弾丸が火球に入り込み、火球を内側から破裂させるだろう。今この試合を観戦しているおおよその人が、そう予想しているはずだ。

 

 しかし、その予想は外れる。

 

(……火球も弾丸も、どっちも凄い回転がかかってる)

 

 お互いに向かって突き進む火球と弾丸は、どちらも最初の時と比べて物凄い回転が加わり、貫通力が増していた。これが最初のダイマックスの時よりも威力が高い理由の1つなのだけど、この回転が両者のぶつかり合いにさらに影響を及ぼしていく。

 

 具体的に言うのであれば、サイズの大きい火球は回転と熱気のせいで周囲に突風を巻き起こしており、水の弾丸の軌道をほんの少しだけずらし、水の弾丸はライフル弾のようにしてあることで、先ほどよりも鋭く速く貫通していき、キョダイカキュウの中を先ほど以上に簡単に突き進んでいく。

 

 結果、軌道が少しずれたキョダイソゲキは、キョダイカキュウの核にぶつかることなく突き進み、だけど貫通力が増しているがゆえに、火球を無視してエースバーンに到達する。そして、火球が狙撃で消されなかったということは、火球もまた、何物にも阻害されることなくインテレオンの下へと到達する。

 

 

「バスッ!?」

「レオッ!?」

 

 

「エースバーン!?」

「インテレオン!?」

 

 両者被弾。

 

 2人がいたところで大爆発が起き、エースバーンは水蒸気に、インテレオンは爆炎に包まれて、その姿を隠してしまう。そしてその数秒後、それぞれの煙から、地面に落ちていく2人の影が現れた。その姿はボクたちが知るいつもの姿に戻っており、ダイマックスが終了した証明となる。同時に、堕ちて来る2人の身体のいたるところに傷がついており、先ほどの攻撃がちゃんと両者に直撃していることもよくわかった。となれば、タイプ的に弱点を突くことが出来ているこちらの方が少し有利かもしれない。

 

(もっとも、ユウリ相手にその程度だと、全然安心できないけどね……むしろ、ここからが本番だ……)

 

 考えていると同時に、地面に2人が落ちて来る音が聞こえてきた。かなりの高さから落ちてきたこともあってか、2人とも落下のダメージもしっかりと身体に刻まれた。

 

「バ……スっ!!」

「レ……オっ!!」

 

 けど、当然こんなところで2人とも終わらない。終われない。

 

 若干笑っている膝に鞭打って、それでもしっかりと両足で地面に立っている2人は、瞳の闘志をさらに燃え上がらせながら、お互いを見つめている。

 

 エースバーンは赤色の、インテレオンは青色のオーラを身に纏う。もうかとげきりゅうが発生した証だ。

 

 もはや、2つの特性が同時に発動していることに驚きはない。ユウリならそれくらいやってきそうだから。

 

 お互いの体力はもうわずか。このバトルも、もう長くはないだろう。

 

(すぅ……ふぅ……)

 

 痛みすぎて、逆に痛みを感じなくなり始め、頭も少しクリアになる。

 

(さぁ……最後だ……)

 

 エースバーンも、インテレオンも……そして、ボク自身の体力もう限界が近い。

 

(……勝負!!)

 

 決着は、もう目の前だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




インテレオン

インテレオンに限らずですけど、ガラル御三家のキョダイマックスの異質感はすごいですよね。他のキョダイマックスと比べて、かなり癖が強いと感じます。
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