「観客席から今日の熱いバトルを見させてもらった感じ、かなり身体に負担がかかっていたから少し心配だったんだが……その様子なら大丈夫そうだな」
「はい、もう完全回復です!」
「調子に乗らないの。少なくとも今日明日は安静だからね?」
「……あい」
ヒカリが言っていたお客さんであるダンデさんは、部屋に入ってくると同時にボクの体調の確認を取ってくる。やっぱり他人から見たらあの状態のボクはちょっと宜しくないように見えるらしい。実際のところは、苦しいのは確かではあるんだけど、あくまでも錯覚の痛みでしかないから、痛みからの回復もそれなりに早いというのが現状ではある。だからといって、みんなが安心する答えという訳ではないのだろうけどね。
ヒカリからしっかりと釘を刺されたボクは、少しだけしゅんとなりながらも、すぐに気持ちを切り替えてダンデさんの方に視線を向ける。
「それで……今日は一体どうしたんですか?」
「ああ、きみにお祝いの言葉を送ろうと思ってね」
少し脱線した話を戻し、ダンデさんに話題を向けると、返ってきたのはお祝いの言葉。今日優勝したボクに対するちょっとした挨拶だった。
「本当におめでとう、フリア君。今日の試合、もの凄く楽しませてもらった!シンオウ地方の元チャンピオンに推薦を受けたきみと、俺が旅立った町と同じ場所から巣立ったばかりの新米トレーナーのぶつかり合い。当然始まる前は勝敗なんて大体の人が決めつけていた。しかし、そんな予想をしてきた観客を、いい意味で思いっきり裏切るハイレベルな攻防……片方が俺が昔から知っている人間ということもあって、途中で感傷に浸って涙を流してしまったほどだ」
「ダンデさん……」
目を閉じ、拳を握りながら、ゆっくりと感情を吐露するダンデさんの姿は、ボクとユウリのバトルを本当に楽しんでみていたみたいで、当事者であるボクも、少しくすぐったい感情を感じながらも、それ以上の嬉しさに襲われる。一地方のチャンピオンの視線を釘づけにすることが出来るくらいには、いい勝負が出来たみたいで本当に良かった。
「本当に、純粋にいいバトルだった……ははっ、マサル君と言い、ユウリ君とホップと言い、もっと早く推薦状を渡すべきだったな。……いや、フリア君のおかげでここまで成長出来ていたと考えるのなら、ある意味タイミングは完璧だったのかもしれないが」
「買い被りすぎですよ。ボクが居なくても、みんなダンデさんが満足いくレベルまではすぐに成長していたはずです」
戦っている時にどんどん開花していったユウリのトレーナーとしての才能を見れば、例えボクが居なくてもユウリはここまで昇って来ただろう。なんなら優勝していてもおかしくないレベルだ。しかし、そんなボクの言葉をダンデさんは否定する。
「そんなことは無いさ。少なくとも、人を惹きつける試合をできる人物が、すぐ近くにいて前を走っていたと言う事実は、彼女たちに大きな影響を与えたはずだ。オレも、彼女たちとの関係性だけで言えば身近な人間ではあるが、それでも、大事な部分はテレビ越しでしか見せることが出来なかったからな」
ほんの少しだけ寂しそうな顔をしながらそう呟くダンデさん。ダンデさん的には、大切な弟とその友達だし、もしかしたら自分の手で育てたいという気持ちがあったりしたのだろうか?はたまた、まだ小さいと思っていた弟たちの成長に、感傷に浸っていたか。
(ポケモンバトルに関してはストイックなダンデさんなら、後者な気がするかも)
ダンデさんがポケモンバトルを教えている姿はちょっと想像できなかったし、性格的に自分を超える人を自分で育てるような人じゃない気がした。
「とにかくだ、改めて優勝おめでとう。これできみは晴れて、チャンピオンリーグへの参加券を獲得できたわけなんだが……さてフリア君。ずばり、きみの目標は」
まるで、ボクを試すかのような悪い笑顔を浮かべるダンデさん。答えなんて最初から分かりきっているくせに、ここでボクの口から言わせるとか、ちょっと意地悪だ。けど、それほどまでに楽しみにしてくれているということだろう。
なら、ボクもそれ相応の態度で返すとしよう。
「勿論、このまま勝ち続けて、ダンデさん……あなたを倒すことです」
笑みには笑みで返す。きっと今のボクも、悪いとは言わないまでも、ダンデさんに負けないくらい良い笑顔で返しているはずだ。隣で見守っているヒカリの表情が、呆れたものでありながらも、どこか微笑ましそうなものになっている辺りがその証拠だろう。
「ああ、それでこそだ!!」
ボクの答えに満足したダンデさんは、笑顔をさらに輝かせながら、嬉しそうに言葉を落とす。
「この後行われるチャンピオンリーグで最後まで勝ち進み、そして俺の前に立つのが、きみであることを願って待っているぜ!!」
「はい!!」
「そしてそれが実現した暁には……全力を持って、ぶつからせてもらおう」
「……」
最後の言葉とともに、ぐっと重くなる部屋の空気。
(これが、チャンピオンの重圧……!!)
方向音痴で、感情的で、優しくて面倒見のいいお兄さんと言う、普段の姿からは想像もできないその圧倒的な存在感は、人によっては今すぐにでも逃げ出したくなってしまうような圧がある。しかし、こんなプレッシャーを受けてなお、ボクの心はワクワクしていた。
わがままを言うのなら、明日にでも戦いたいほどに。
「ボクも、本気でとりにいきます!!」
「ああ!!」
メラメラとした視線をぶつけ合うボクとダンデさん。まるで火花でも散っているのではないかと錯覚するほどまっすぐ視線をぶつけ合うボクたちは、しかし隣にいるヒカリのせいでそんなやり取りも中断させられる。
「はいはい、気持ちはわかるけど今は療養に専念しましょうね~。ダンデさんも、怪我から立ち直ったばかりの人間にプレッシャーを振りまかないでください」
「「はい……」」
しかし、そんなヒカリからかけられたド正論パンチを防ぐ術を持たないボクたちは、そのまま大人しくこの言葉を受け取る。確かに、今は次の試合に備えて身体を治すことが先決だ。それに、まだダンデさんと戦うまでにはかなり長い道のりがある。先を見すぎて足元を救われないように、しっかり考えておかないといけない。
「ま、今日の用事というのはこういうことだ。優勝おめでとうという言葉と、きみの体調の確認。どうやら心配は杞憂に終わったみたいでよかった」
「ありがとうございます。それと、わざわざすいません」
「気にしなくていいさ。また全力で戦うきみの姿が見られるのを、いちトレーナーとして楽しみにしているぜ」
「おいっす~」
「フリア!!」
「起きたと?」
「もう身体は無事か!?」
「っと、どうやらきみの仲間たちも来たみたいだな」
「みんな!」
太陽のようにニカッと笑うダンデさんに、ついついこちらも微笑みが生まれてしまう。そんなやりとりとをしていると、再びこの休憩室の扉が開かれた。その先にはジュン、ユウリ、ホップ、マリィがおり、一瞬にしていつものメンバーが集まることとなる。こうしておなじみのメンバーが集まると、やっぱりどこか落ち着くところがあるせいか、ボクの心も一気に安らぐ。
「その調子なら大丈夫そう……ってアニキ!?」
「ああホップ。お前のバトルもしっかり見させてもらったぜ。熱くいいバトルだった!!お前なら、この先ももっと強くなるだろう!!」
「おう!!絶対アニキを超えるから待っててくれよな!!」
「っはは、楽しみだ!!勿論、ユウリ君やマリィ君が来るのも楽しみにしている!!なんなら、次回はジュン君とヒカリ君も参戦してくれてもいいんだがな」
「いいのか!!く~っ、速く戦いたいぜ!!」
「わたしはパスかな……バトルにあくまでも本職はコンテストだし……」
同時に、部屋にいるダンデさんの存在に気づいたホップたちがさらに騒がしくなる。ここは休憩所なので声量自体は下げているものの、それでもチャンピオンがいるというのは少しの盛り上がり要素だ。うるさくはないものの、人によっては煩わしさは感じてしまうかもしれない。今この周辺に人があまりいなくてよかった。
「フリア!」
「わっぷ!?」
なんて、そんなダンデさんの方のやり取りを少しひやひやしながら眺めていると、突如身体に襲い掛かる衝撃。
「大丈夫!?大事ない!?」
「平気!平気だから!落ち着いて……ね?」
いきなり飛び付いてきたその影はユウリ。バトルコートではボクを真っすぐ送り出してはくれたものの、その後ボクが廊下で気を失ったと聞いて気が気じゃなかったらしい。少し慌てた様子で訪ねてくるユウリに対して、ボクは落ち着かせるように言葉を柔らかくしながらユウリに話す。
「ごめんね?ボクを信じて送ってくれたのに、結局気絶しちゃった……」
「ううん、私の方こそ……でも、今は無事なんだよね?」
「うん、後遺症はないし、もう大丈夫だよ」
「よかったぁ……」
少し大げさな気もするけど、ユウリからしてみれば自分が原因で起きてしまっている状態だ。たとえお互いが理解したうえでの出来事だったとしても、これでボクの身に何かあったらユウリにとっては悔やんでも悔やみきれないだろう。
(対戦相手にもちょっと色々強いてしまうのは、本当に困るところだね……ヒカリの言う通り、もうちょっと注意しよう)
「ごめんね~」
「はぇ!?」
ユウリの頭を撫でながら今回のことを反省する。正直こんな子ども扱いするような行動で誠意ある謝罪と言えるのかというとあやしい所があるけど、これくらいしかやることがないので許してほしい。
「あうう……」
(……うん、あとでポフィンあげよう)
ボクの方に顔をうずめてぐりぐりしながら声を漏らすユウリを見て、やはりこのやり方はあまりよくなかったと反省したボクは、あとでポフィンをあげることを決める。これはホテルに戻ったらすぐに料理にかからないとだね。
「うわ~お……」
「ん?どうしたのヒカリ?」
「いいえ~何でもないわ~」
「相変わらず凄いとね~」
「「ね~」」
「ん~……?」
そんなボクとユウリのやり取りを見て、ヒカリとマリィが凄く変な笑顔を浮かべている。それがとてつもなく気になって質問を投げかけてみるけど、ヒカリもマリィもなんだか不気味なくらい優しい笑みを浮かべながら答えをはぐらかしていく。本当にどうしたのだろうか?
「さて、フリア君の様子も確認できたし、俺はそろそろ戻るとするよ」
「ええ~行っちまうのかアニキ~……これからオレたちで飯でも食べに行こうって話になってるんだけどよ~……」
「ははは、それは楽しそうだ。願わくば相席させてもらいたいものだが……チャンピオン業というのはそこそこにやることが多くてね」
ボクがヒカリとマリィの行動に不気味さと気持ち悪さを感じていると、ダンデさんが声をかけてきた。話したいことを終えたので、ここから移動するみたいだ。そのことにホップはあからさまに残念そうな顔を浮かべる。どうやらこの後みんなでご飯を予定していたのだけど、そこにダンデさんが来れないことが少し不満らしい。……というか、ここに来たのはボクをご飯に誘うためだったのね。勿論、ボクの体調を確認して、大丈夫そうならという前提条件の下だろうけど……その話を切り出す前にダンデさんを視界に入れてしまったため、ちょっと話が進まなかったみたいだ。
「ご飯という事なら、また今度一緒に食べよう。その時は、俺がみんなの分をおごらせてもらうぜ!」
「絶対だからな!!約束だぞ!!」
「ああ!!」
ホップと指切りしながら笑顔で答えたダンデさんは、ホップと手を離すと部屋の出口に向かっていく。そして出口付近で振り返ったダンデさんは、最後にボクの方を見て言葉を残す。
「ではな、フリア君!!チャンピオンリーグ、楽しみにしているぜ!!」
「はい!!」
この言葉を最後に、ダンデさんは部屋を出ていく。室内から出ていくというだけあって、視界からいなくなってしまうのはすぐだったけど、ホップやジュンはダンデさんが部屋から出ていっても、しばらくはそちらの方を見ていた。ホップはともかくとして、ジュンもこの地方のチャンピオンの存在を目の当たりにして、どこか思うところがあるみたいだ。
「で、これからみんなでご飯食べに行くの?」
「おお、そうだった!!」
ダンデさんがいなくなって産まれた、ちょっとした無音の空間。けど、このままだと話が進まないので、ボクから話を切り出していく。すると、思い出したかのように手を叩きながら、ホップがこっちを見てきた。
「フリアの身体の調子が大丈夫なら、みんなでご飯行こうって話をしてたんだ!!」
「今まではリーグ前ってこともあって、みんなピリピリしとったけんね。そんなリーグも終わったし、もう気兼ねなく顔を合わせられるけん、お疲れ様の慰労もかねてってことで、ご飯食べよって話しと」
「成程ね」
ホップとマリィの説明に納得いったボク。確かに、ここ最近はお互いが闘う可能性があるということもあって、出来る限り顔を合わせないようにしていた。一応リーグ中の控室では顔を合わせていたけど、それ以外の期間ではほとんど顔を合わせていなかったため、こうやって全員がそろうのはなかなか久しぶりな気がする。
そんなリーグも無事に終了した。
ならば、ボクたちが出来る限り距離を開ける理由ももうない。
「勝ったり負けたりで、全員がいい気分とは言わないだろうけど、それでもとりあえずは区切りを1つ迎えたのだから、ここら辺でいったんパーっとやっちゃいましょ?」
「なんだかんだ、シュートシティでみんなでご飯ってなかったからな!!今から楽しみだぜ!!」
「はは、ヒカリとジュンも我慢してたもんね」
ボクたちの試合が終わるまで待ってくれていたジュンたちも合わせて、ここにいるみんなでご飯にいく。うん、今からとても楽しみだ。
(一体何料理を食べに行くんだろう?)
コンコンコンコン。
「フリアさん、今大丈夫でしょうか?」
「あ、はい!いいですよ」
「失礼します」
みんなで食べに行くとして、どこの地方のご飯を食べるんだろうかと想像していると、またしてもこの部屋に来訪者の音。今度は入室前にボクの名前を呼んできたので、それに声をあげて返事をすると、シュートスタジアムのスタッフの人が入ってきた。
その人の手には、6つのモンスターボールがあった。
「フリアさん、ポケモンたちの治療が終わりましたので、こちらにおいておきますね」
「ありがとうございます!!」
「いえいえ、優勝おめでとうございます。あ、あと体調が大丈夫なのでしたら、ジョーイさんをお呼びしますね。検査を受けて大丈夫でしたら、そのまま部屋から出ていただいて大丈夫ですので」
「何から何までありがとうございます」
「大丈夫ですよ。では、失礼します」
ボクの手持ちのみんなが入っていたボールを、ベッド横においてある机の上に並べたスタッフの人は、用事が済むと同時に頭を下げて退出していく。恐らくジョーイさんを呼びに行ったのだろう。ということは、この部屋で最後の検査が行われるという事だ。
「という訳だからさ、外で待っててくれる?すぐに追いかけるから」
「そうね。沢山いてもジョーイさんの邪魔になってしまうし、先に外で待っているわ」
「早く来いよ!!遅れたら罰金500万円だからな!!」
「なんて言ってるけど、フリアのペースでいいけんね」
「その間に、オレたちの方で店見つけておくぞ!!」
「うん、お願い」
ボクの言葉にヒカリたちがいつも通りの空気で返答し、すぐに部屋を出ていく。
あれだけ騒がしかった休憩室が一気に静かになったことに、少しだけ寂しさを感じるものの、まだやるべきことがあるため、まずはそちらに声をかける。
「ユウリ……ユウリ……!大丈夫?」
「ふぇ!?あ……あれ……?」
ここまでずっと蹲っていたユウリがようやく起動。辺りを見回したら自分以外が居ないことに凄く焦りを感じたのか、忙しなく動き始めていた。そんな彼女に、ボクはとりあえずこれからの動きについて説明する。
「この部屋には今からジョーイさんが来て、最後の検診するみたいだから、とりあえずユウリは外で待っててくれる?多分、いつも通りの裏口でみんな待っていると思うから」
「あ、みんなもう外に行ったんだ……い、いつの間に……」
「さっき出ていったばかりだから、今から行けばすぐ追いつけると思うよ。ボクも検診が終わり次第すぐに行くから、先に行って待っててくれる?」
「うん!!あ、あとごめんなさい!!病み上がり……?の身体にこんなことして……」
「大丈夫だよ。むしろ心配してくれてありがと」
「うん……」
ようやくいつものユウリに戻り、ボクからゆっくり離れる。けど、その表情はやっぱり少し優れない。なので、あっているか分からないけど、ボクなりにユウリを元気づける言葉を投げかけてみる。
「心配したお詫びにポフィンとかお菓子とか、色々作ってプレゼントしたいからさ。ご飯終わったあとボクの部屋に遊びに来てよ。もしその後にまだ話し足りないことがあったら、そこでお話も楽しそうじゃない?」
「えっと……いいの?迷惑じゃない?」
「全然」
「そっか……うん、わかった」
ボクの提案を聞いたユウリは、とりあえずは穏やかな表情を浮かべながらボクの意見に賛同してくれた。やっぱりユウリはポフィンが大好きみたいだ。これは腕によりをかけて作らないとね!!
(喜んでくれると嬉しいな……)
「じゃあ、待ってるね」
「うん、待ってて」
ボクの言葉に頷いたユウリは、それでも若干後ろ髪を引かれながら部屋を出ていく。
(本当に心配症だなぁ……ユウリのためにも、早く戻らないとね)
その姿に、相変わらずの優しさだなぁと思わず微笑みを浮かべ、ジョーイさんが来るのを待つ。
ご飯を食べたあとのことを考え、少しだけ鼓動を速くしながら……。
☆
「はぁ……やっぱりわかってもらえないかね……」
「わかってはいるつもりです。ですが、何も今やるべきことではないというだけです」
ガラル地方最大の都市、シュートシティ。
ガラル地方で一番発展し、規模も巨大なものとなっているこの都市は、夜になるとその発展力を示すかのように、煌びやかにライトが輝きだす。住宅街は勿論のこと、観覧車やシュートスタジアムまでもが華麗にライトアップされる中、それでも一番目を引き付けるのは、やっぱりリーグ委員長の名を冠したこのローズタワーだろう。当然こちらも夜になるとライトアップされており、いつも以上に自己主張を激しくしていた。
そんなローズタワーの頂上にて、2人の男性が会話をしている。
「せっかく大会で盛り上がっているのに、それをわざわざ中止にしてまでやる理由がわかりません。確かに、未来にはこの資源がなくなる可能性もわずかながらにあるのかもしれませんが、何も数週間でなくなるわけではないでしょう?」
「甘い、甘いよ……。こういうのはすぐに取り掛からなくては意味がないんだよ」
「それでも、やはり俺はリーグを中止するに足る理由とは思えません。……大丈夫ですよ。リーグが終わったらちゃんと手伝います」
「そうではない……そうではないんだよ……」
「と言われましても……ならなぜリーグの時期をずらさなかったのですか。あなたなら、それくらい自由に変えられたでしょう?」
「それが出来なかったから、こうなってしまっているのだよ……もう、賽は投げられてしまっている」
「……」
しかし、その2人の会話は並行線で、まるで着地点が見えない。微妙にすれ違っているだけのようにも見えるし、そもそも根本的な部分が伝わっていないようにも見えるその会話は、片方の男性がこの場を離れることで終わりを迎える。
「チャンピオンリーグの日にちはもう決まっています。それをあらかじめ変えていなかった以上、俺はチャンピオンリーグの日時を変更するほどのことではないと考えます。……何度も言ってますが、リーグが終わったらちゃんと手伝いますから……ですから、あなたは安心してチャンピオンリーグを楽しんでください。素晴らしいバトルになりますから」
そう言い残し、男性は完全にタワーの頂上から姿を消した。
「……はぁ、違うのだよ。……もう、彼の誕生を止められないのだよ……私がガラルの未来を変える時は……もう決まっているんだ」
その姿を見送った男性は、誰にも届かないと知っていながらも、そう言葉を残した。
ホップ
実機と違って、さらに強さを求める未来へ。もう一回心が折れるルートが消えそうですね。
ローズタワー
実機ではいろいろありましたけど……個人的には別に主人公が何かしなくても、何も起こらなかったのでは?と。結局ダンデさんは普通に帰ってきてますし……。
それでも徐々に迫る不穏な空気。さて、どうなるんでしょうかね。